特許第6047436号(P6047436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6047436ガス精製装置並びにこれを備えた石炭ガス化システム及び石炭ガス化発電プラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047436
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】ガス精製装置並びにこれを備えた石炭ガス化システム及び石炭ガス化発電プラント
(51)【国際特許分類】
   C10K 1/00 20060101AFI20161212BHJP
   C10K 1/10 20060101ALI20161212BHJP
   C10K 1/34 20060101ALI20161212BHJP
   C10J 3/46 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   C10K1/00
   C10K1/10
   C10K1/34
   C10J3/46 J
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-59621(P2013-59621)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2014-185208(P2014-185208A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2015年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】広田 守
(72)【発明者】
【氏名】福原 広嗣
(72)【発明者】
【氏名】長崎 伸男
【審査官】 大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−048844(JP,A)
【文献】 特開平10−316978(JP,A)
【文献】 特開平04−346818(JP,A)
【文献】 特開2012−021138(JP,A)
【文献】 特開2002−241770(JP,A)
【文献】 特開2000−212581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3
C10K 1
DWPI(Thomson Innovation)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭ガス化のために石炭から取り出された粗製ガスを浄化する水洗塔と、硫化カルボニル転化器と、加湿部と、これらを接続する配管とを備え、前記加湿部は、石炭ガス化システムの運転を停止している期間中における前記配管の内部の湿度を90%以上に維持する機能を有することを特徴とするガス精製装置。
【請求項2】
前記加湿部は、水を保持する容器と、前記水に空気を供給するポンプとを有することを特徴とする請求項1記載のガス精製装置。
【請求項3】
前記加湿部は、水を噴霧する噴霧部を有することを特徴とする請求項1記載のガス精製装置。
【請求項4】
石炭ガス化のために石炭から取り出された粗製ガスを浄化する水洗塔と、硫化カルボニル転化器と、水を保持する容器である洗浄水タンクと、これらを接続する配管とを備え、前記洗浄水タンクは、前記水を液体状態で前記配管の内部に供給し、石炭ガス化システムの運転を停止している期間中における前記配管の内部の湿度を90%以上に維持する機能を有することを特徴とするガス精製装置。
【請求項5】
前記水は、50ppm以上の亜硝酸ナトリウムを含み、又は、水素イオン指数が9.5以上であることを特徴とする請求項記載のガス精製装置。
【請求項6】
ガス化炉と、請求項1〜のいずれか一項に記載のガス精製装置とを備えたことを特徴とする石炭ガス化システム。
【請求項7】
ガス化炉と、請求項1〜のいずれか一項に記載のガス精製装置と、ガスタービンとを備えたことを特徴とする石炭ガス化発電プラント。
【請求項8】
さらに、排熱回収ボイラと、蒸気タービンとを備えたことを特徴とする請求項記載の石炭ガス化発電プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス精製装置並びにこれを備えた石炭ガス化システム及び石炭ガス化発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
石炭ガス化発電プラントは、石炭をガス化するため、その内部には腐食性のガス成分であるCO、NOx、Cl、SOx、HS等が配管や機器の内部に存在する。特に、生成したガスを精製するためにアンモニアを含む水にガスを通し、その下流側では水分と腐食性のガス成分と水が存在する環境となり、金属材料に対する腐食性が著しく高くなる。そのため、一般に、耐食性の高いステンレス鋼等が使用されているが、それでも運転時及び停止保管時に著しく腐食することがあり、問題となっている。
【0003】
特許文献1には、冷却塔及び吸収塔循環液のpHを10以上に調整する停止中の防食方法、並びに、装置の停止と同時に装置内の液をすべて抜き出し、水洗する方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、石炭ガス化プラント起動時の湿式ガス処理装置における鉄材料等の腐食を抑制することを目的として、ガス洗浄器でガス成分を吸収した循環水のpHを6ないし9の弱酸性ないし弱アルカリ性とすることのできるpH調整手段を設けた石炭ガス化プラントの起動排ガス処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−346818号公報
【特許文献2】特開平11−128659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、石炭ガス化システムのガス精製装置において、小さい動力で配管等の腐食を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のガス精製装置は、石炭ガス化のために石炭から取り出された粗製ガスを浄化する水洗塔と、硫化カルボニル転化器と、加湿部と、これらを接続する配管とを備え、加湿部は、石炭ガス化システムの運転を停止している期間中における配管の内部の湿度を90%以上に維持する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、石炭ガス化システムのガス精製装置において、安価な材料を用いた配管等であっても腐食を抑制することができ、これにより製造コストを低減することができる。このため、配管等のメンテナンスのためのコストを低減することができる。
【0009】
また、本発明によれば、大量の水をポンプ等で送る必要がないため、必要な動力を小さくすることができ、これによりランニングコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】加湿部を有するガス精製装置の例を示す概略構成図である。
図2】洗浄機能を有するガス精製装置の例を示す概略構成図である。
図3】湿度を管理した環境下における腐食試験の結果を示すグラフである。
図4】孔食深さに及ぼす亜硝酸ナトリウム濃度の影響を示すグラフである。
図5】炭素鋼の腐食速度に及ぼすpHの影響を示すグラフである。
図6A】石炭ガス化発電プラントの例を示す概略構成図である。
図6B】石炭ガス化システムの例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、石炭ガス化発電プラントのガス精製装置に加湿又は洗浄をする機能を付加し、配管に付着した酸性成分及び塩類を水(凝縮水も含む。)で希釈することを特徴とする。
【0012】
図6Aは、石炭ガス化発電プラントの例を示したものである。
【0013】
本図において、石炭ガス化発電プラントは、ガス化炉200と、ガス精製装置300と、燃焼器を含むガスタービン500と、排熱回収ボイラ600と、蒸気タービン700と、排ガスを放出する煙突800とを備えている。
【0014】
ガス化炉200には、微粉炭1を供給し、微粉炭1の成分をガス化して石炭ガスを製造する。この石炭ガスをガス精製装置300に導入し、不純物を除去する。精製したガスは、燃焼器に導入され、空気501(酸素)と混合され、燃焼し、ガスタービン500の動力源となる。このガスタービン500により第一段階の発電が行われる。ガスタービン500を通過した燃焼ガス(排ガス)は、排熱回収ボイラ600にて水を蒸発させる熱源として用いられる。ここで発生した水蒸気は、蒸気タービン700に送られ、第二段階の発電の動力源となる。
【0015】
図6Bは、石炭ガス化発電プラントの一部を構成する石炭ガス化システムの例を示したものである。
【0016】
本図において、石炭ガス化システムは、空気圧縮機101と、酸素製造装置100と、ガス化炉200と、熱回収装置210と、サイクロン220と、フィルタ230と、水洗塔等を含むガス精製装置300と、脱硫装置310と、一酸化炭素変換装置400と、二酸化炭素吸収装置410とを備えている。本図に示すものは一例であり、石炭ガス化システムの構成は、本図に限定されるものではない。
【0017】
石炭ガス化システムにおいては、空気4が空気圧縮機101で加圧され、酸素製造装置100に供給される。酸素製造装置100においては、圧力スイング吸着装置等を用いて空気4が酸素3と窒素2とに分離される。
【0018】
図示していない燃焼器又は燃焼炉で燃焼する燃料の石炭は、予め微粉砕された微粉炭1を、酸素製造装置100で製造された窒素2を搬送媒体としてガス化炉200に供給し、同時に酸素製造装置100で製造された酸素3もガス化炉200に供給する。微粉炭1は、ガス化炉200にて蒸し焼きにされ、石炭ガスとなる。ここで、微粉炭1の搬送は、窒素2を搬送媒体とする方式を例として記載したが、これに限定されるものではない。
【0019】
ガス化炉200でガス化された石炭ガスは高温のガスであるため、ガス化炉200の下流側に設置した熱回収装置210で石炭ガスが保有する熱を回収して蒸気を生成する。
【0020】
熱回収装置210にて熱が回収され冷却された石炭ガス5は、サイクロン220、フィルタ230、ガス精製装置300及び脱硫装置310を通過し、精製され、一酸化炭素変換装置400に導入される。熱回収装置210を通過した石炭ガス5には、石炭中の灰分やカーボン分が固体として含まれているため、サイクロン220及びフィルタ230によって脱塵する。
【0021】
脱塵された石炭ガス5は、アンモニア、塩化水素など、後段に配設した脱硫装置310の障害となる物質を除去するために、水洗塔を含むガス精製装置300を経て、脱硫装置310に供給される。
【0022】
脱硫装置310には、通常、アミン類からなる吸収液が供給されるようになっている。吸収液と接触した石炭ガス5は、脱硫装置310によって硫化水素などの硫黄成分が除去され、精製ガス6となる。精製ガス6は、脱硫装置310からその下流側に設置した熱交換器401を経て一酸化炭素変換装置400に供給される。一酸化炭素変換装置400においては、精製ガス6に含まれる一酸化炭素が蒸気21と接触して二酸化炭素に変換され、同時に、蒸気21が分解されて水素が生成し、二酸化炭素及び水素を含むシフトガス7となる。
【0023】
一酸化炭素変換装置400は、通常、200℃〜450℃の温度条件で運転される。しかしながら、精製ガス6の温度は約40℃と低温であるため、熱交換器401によって精製ガス6を加熱し、一酸化炭素変換装置400内で蒸気が凝縮しない温度となるように精製ガス6を昇温して供給する。
【0024】
シフトガス7は、二酸化炭素吸収装置410に供給され、アミン系吸収液と接触して脱炭酸ガス8となる。脱炭酸ガス8は、図6Aに示す石炭ガス化発電プラントの燃焼器に送られ、複合発電に用いられる。
【0025】
次に、上記石炭ガス化システムの起動又は停止時における運転方法について説明する。
【0026】
ガス化炉200の起動又は停止の際においては、窒素2が酸素製造装置100から一酸化炭素変換装置400にパージガスとして供給される。窒素2は、燃料貯蔵タンク1100から燃料流量調整バルブを介して供給した燃料ガス30と共に燃焼装置1000に供給され、燃焼する。図6Bにおいては、燃料ガス貯蔵装置1100からの燃料ガス30を燃料装置1000に直接導入するものを図示しているが、燃焼装置1000の上流側で酸素製造装置100からの窒素2と合流するように配管系統を構成しても良い。
【0027】
窒素2中に含まれる酸素は、燃焼装置1000において燃料ガスとの酸化反応により完全に消費される。そして、燃焼装置1000で燃焼して排出される燃焼ガスは、ガス中に酸素が全く存在していない燃焼ガスとして一酸化炭素変換装置400に供給される。具体的には、脱硫装置310から熱交換器401を経由して一酸化炭素変換装置400に至る配管系統であって、熱交換器401より上流側の配管系統に供給される。供給箇所はこれに限定されるものではない。
【0028】
ガス中に酸素が全く存在していない燃焼ガスを生成するため、燃焼装置1000には、低濃度の酸素ガスでも燃焼可能な燃焼触媒を用いることが有効である。
【0029】
燃焼装置1000で生成した燃焼ガス中には、一酸化炭素変換装置400に充填された一酸化炭素転換触媒を酸化する酸素が含まれていない。このため、この燃焼ガスを用いて一酸化炭素変換装置400の加熱又は冷却をしても、一酸化炭素転換触媒が還元状態で保持される。これにより、一酸化炭素変換装置400を常に正常に運転することができる。
【0030】
以下、実施例について説明する。
【実施例1】
【0031】
図1は、石炭ガス化発電プラントのガス精製装置に加湿装置(加湿部)を取り付けた例を示したものである。
【0032】
本図において、ガス精製装置300は、水洗塔161と、熱交換器153と、COS転化器164(硫化カルボニル転化器)と、加湿タンク152(加湿部)とを備えている。すなわち、本図に示すガス精製装置300は、従来のガス精製装置に加湿タンク152を付加したものである。加湿タンク152には、純水を入れてある。また、COS転化器164は、粗製ガスに含まれる硫化カルボニル(COS)を硫化水素(HS)に変換する機能を有する。
【0033】
石炭から取り出された粗製ガスは、配管120から、粗製ガス中の不純物を取り除くためのアンモニア水が入っている水洗塔161に通され、浄化(精製)される。しかし、不純物の一部は残り、更に下流側の配管121に送られる。
【0034】
さらに、配管121に送られたガスは、熱交換器153及び配管123を通り、COS転化器164に送られる。その後、当該ガスは、配管124を通り、熱交換器153で熱交換をした後、配管125から次の脱硫装置へ送られる。
【0035】
ガス精製装置100においては、水洗塔161よりも下流側では、水洗塔161から飛散した腐食性の不純物である塩や有機酸がプラントの運転中に蓄積される。そのため、水洗塔161よりも下流の配管を構成する材料としては、耐食性の高いステンレス鋼が用いられている。
【0036】
プラント運転中の粗製ガスは、還元雰囲気のため、ガス精製装置300の系統内部の腐食は軽微である。しかし、プラント停止保管期間中においては、ガス精製装置300の系統内部には酸素が流入するため、耐食性の高い材料であっても腐食が加速され、場合によっては貫通孔が発生するという問題が生じる。
【0037】
そこで、上記の問題を解決するため、プラント停止保管期間中においては、純水が入った加湿タンク152に配管126、127を介してポンプ151により空気を供給する。この空気は、純水の内部に吹き込まれるようにすることが望ましい。これにより、加湿タンク152の上部の配管128、バルブ150及び配管122を介して配管121の系統に湿度100%の空気が送られる。加湿タンク152には、一定量の純水が保持されるように、配管129から純水が供給される。すなわち、加湿タンク152は、純水を保持する容器である。バルブ150は、プラントが停止し、保管状態に移行した際に開き、同時にポンプ151も稼動する。ここで、用いる純水又は空気は、加熱してもよい。
【0038】
本明細書において「湿度」とは、加湿タンク152の純水の温度における飽和水蒸気圧を分母とし、加湿タンク152の気相における飽和水蒸気圧を分子として算出した相対湿度をいい、これを百分率(%)で表したものである。
【0039】
これらの操作により、配管121の系統に湿度100%の空気が送られるため、プラント停止保管期間中に低温度となった配管121、123等の内壁面に結露(凝縮水)が生じ、プラントの運転中に蓄積された塩や有機酸等の腐食性の不純物が希釈される。これにより、配管121、123等の内壁面における腐食性の不純物の濃度が低下するため、プラント停止保管期間中における配管121、123等の腐食を抑制することができる。
【0040】
加湿に用いる純水又は空気を加熱した場合、配管121、123等の内壁面に結露が生じやすくなるため望ましい。
【0041】
なお、結露は、配管の継ぎ目等の隙間、きず等に生じやすい性質がある。これは毛管凝縮によるものである。このように隙間等に結露が生じやすい性質は、腐食性の不純物が隙間等に蓄積され、隙間腐食が発生することを防止することができる点で有効である。また、大量の水をポンプ等で送る必要がないため、必要な動力が小さくて済む利点もある。
【0042】
本実施例の変形例としては、加湿部に純水を噴霧する装置(噴霧部)を設置することにより、配管等の内部を加湿する構成がある。噴霧部は、噴霧のための空気を供給するポンプを有する。この構成においても、使用する純水の量は、必要最小限となるため、動力が小さくて済む利点がある。
【実施例2】
【0043】
図2は、停止中に配管や装置の内壁面に付着した腐食性の不純物を洗浄することが可能な構成の例を示したものである。
【0044】
ここでは、実施例1において図1を用いて既に説明した構成については、説明を省略する。
【0045】
図2においては、加湿タンク152内の水を液体状態で配管130からポンプ173により配管174に送り、配管123等の内壁面に蓄積された腐食性の不純物を洗浄することができるようになっている。すなわち、加湿タンク152は、洗浄水タンクとして機能する。この場合には、COS転化器164に水が入らないようにするため、バルブ171及びバルブ172を閉とした状態で操作する。
【0046】
なお、本実施例においても、実施例1と同様に、加湿タンク152を加湿のための装置として用いることができる。また、配管123等の内壁面に蓄積された腐食性の不純物を洗浄した後で、当該加湿を行うことは更に望ましい。
【実施例3】
【0047】
図3は、停止中におけるガス精製装置の内部の湿度が腐食に及ぼす影響を示したものである。対象となる材料は、SUS304鋼及びSUS316鋼を選択している。当該材料は、腐食試験を始める前に、水洗塔の濃縮液を模擬した塩化ナトリウム(NaCl)とギ酸(HCOOH)とを含む水溶液に浸漬した。腐食試験においては、常温の空気を所定の湿度とした雰囲気に当該材料を100時間放置した。
【0048】
本図から、湿度が10%〜50%の範囲では、SUS304鋼及びSUS316鋼ともに腐食(孔食)が発生するが、湿度が90%以上では腐食がほとんど発生していないことがわかる。その理由は、耐食性の高いとされるステンレス鋼の場合、水に触れた状態から乾燥に移行する際に最も腐食が進行することにあると考えられる。湿度90%以上で乾燥を防止した状態で保管することにより、腐食を抑制することができる。
【実施例4】
【0049】
図4は、腐食に対する亜硝酸ナトリウム濃度の影響を示したものである。
【0050】
腐食試験においては、塩化ナトリウム(NaCl)とギ酸(HCOOH)とを含む亜硝酸ナトリウム水溶液に材料(試験片)を浸漬し、常温の空気中で100時間放置した。
【0051】
本図から、亜硝酸ナトリウム(NaNO)の濃度が高いほど腐食(孔食)が抑制されることがわかる。ステンレス鋼(SUS304鋼又はSUS316鋼)の場合は濃度30ppm以上で、炭素鋼の場合は濃度50ppm以上で、孔食を完全に防止できることが分かる。
【0052】
したがって、鋼材の表面に腐食性の不純物が存在し、それを除去するための洗浄水に50ppm以上の亜硝酸ナトリウムを混合すれば、腐食を抑制することができる。
【実施例5】
【0053】
図5は、炭素鋼の腐食に及ぼすpH(水素イオン指数)の影響を示したものである。パラメータとして酸素濃度をとっている。腐食試験は、所定濃度の酸素を含む窒素雰囲気にて25℃で100時間放置して行った。
【0054】
pHを高くするための薬剤は、水酸化ナトリウムを用いたが、これに限定されるものではなく、アンモニア、炭酸ナトリウム等でもよい。
【0055】
本図から、pHが高くなるほど炭素鋼の腐食量が低下すること、並びに、酸素濃度5ppb及び100ppbともにpH9.5以上においてはほとんど腐食しないことがわかる。したがって、洗浄水等の水質をpH9.5以上に調整すれば、炭素鋼でも腐食しないと考えられ、ステンレス鋼においては更に腐食しないと考えられる。
【0056】
以下、本発明の効果について説明する。
【0057】
本発明によれば、石炭ガス化システムのガス精製装置において、安価な材料を用いた配管等であっても腐食を抑制することができ、これにより製造コストを低減することができる。このため、配管等のメンテナンスのためのコストを低減することができる。
【0058】
また、本発明によれば、大量の水をポンプ等で送る必要がないため、必要な動力を小さくすることができ、これによりランニングコストを低減することができる。
【0059】
さらに、本発明によれば、配管の腐食による毒性ガスの漏出を防止することができる。
【符号の説明】
【0060】
1:微粉炭、2:窒素、3:酸素、4、501:空気、5:石炭ガス、6:精製ガス、7:シフトガス、8:脱炭酸ガス、100:酸素製造装置、101:空気圧縮機、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、174:配管、150、171、172:バルブ、151、173:ポンプ、152:加湿タンク、153:熱交換器、161:水洗塔、164:COS転化器、200:ガス化炉、210:熱回収装置、220:サイクロン、230:フィルタ、300:ガス精製装置、310:脱硫装置、400:一酸化炭素変換装置、410:二酸化炭素吸収装置、500:ガスタービン、600:排熱回収ボイラ、700:蒸気タービン、800:煙突。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B