【文献】
P. Dong, C. Xie, L. Chen,L. L. Buhl, and Y.-K. Chen,112-Gb/s Monolithic PDM-QPSK Modulator in Silicon,Optics Express,米国,OSA Publishing,2012年12月10日,Vol. 20, No.26,B624-B629
【文献】
C. Doerr, et al.,Packaged Monolithic Silicon 112-Gb/s Coherent Receiver,IEEE Photonics Technology Letters,米国,IEEE,2011年 6月15日,Vol.23, No.12,p.762-764
【文献】
Hiroshi Fukuda, et al.,Silicon photonic circuit with polarization diversity,Optics Express,米国,OSA Publishing,2008年 3月31日,Vol. 16, No.7,p.4872-4880
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記前段モード変換部では、前記第1コア部および第2コア部の高さが互いに等しく、かつ、前記第1コア部と第2コア部のうち断面が大きいコア部の幅が、光の導波方向に沿って連続的に小さくなることによって、前記出力端で前記第1コア部と前記第2コア部の断面の形状が互いに合同となることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の基板型光導波路素子。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<本発明の概要>
本発明の基板型光導波路素子は、前段モード変換部(スーパーモード生成素子)と後段モード変換部(突合せ結合素子)とを組み合わせた構成を有する。
光の導波方向に導波路構造が変化する構造(例えばテーパ導波路)を有するスーパーモード生成素子では、入力されたTE
0がTE
0のスーパーモードの奇モードに変換される。突合せ結合素子では、前記奇モードがTE
1に変換される。
スーパーモード生成素子は、光の導波方向に導波路構造を連続的に変化させることで、いわゆる断熱変化の現象を利用して、TE
0のモードを奇モードに変えるため、前記構造の導波路(例えばテーパ導波路)を十分に長くすれば、奇モードへの変換効率を高めることができる。
突合せ結合素子は、TE
0のスーパーモードの奇モードと矩形導波路のTE
1との電界分布の類似性を利用することで、奇モードからTE
1への変換効率を高めることができる。
スーパーモード生成素子は、出力端における2つのコア部の断面の形状および大きさが互いに同じとなる(合同となる)ため、製造誤差の影響を受けにくく、波長依存性も小さい。
突合せ結合素子は、波長が変化した場合や、製造誤差により導波路構造が変化した場合でも、奇モードとTE
1の両方の電界分布が変化するため、波長変化や製造誤差の影響が小さい。
従って、本発明は、広い波長帯域にわたり高効率の変換が可能であり、かつ、製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できるという特徴を持つ。
【0026】
以下、本発明の基板型光導波路素子について、詳細に説明する。
はじめに、本発明の基板型光導波路素子の具体例を提示した後、この具体例を参照しつつ、スーパーモード生成素子によるTE
0と奇モードの変換原理を述べ、次いで、突合せ結合素子による奇モードとTE
1の変換の原理について述べ、続いて、本発明の効果を説明する。
【0027】
<基板型光導波路素子>
本発明の第1の実施形態として、
図1に示す基板型光導波路素子10の構造について説明する。
図1(A)は、基板型光導波路素子10を示す平面図であり、
図1(B)は、
図1(A)の断面位置(a)における断面図であって、光の導波方向に垂直な断面を示す。この断面において、コア部1とコア部2とが向かい合う方向(光の導波方向に垂直な方向)の寸法を幅といい、前記幅方向に垂直な方向(基板Sに垂直な方向)の寸法を高さという。
【0028】
図1に示すように、基板型光導波路素子10(モード変換素子)は、コア5およびクラッド15を有する光導波路4を備えている。光導波路4は基板S上に形成されている。
クラッド15は、コア5よりも屈折率が低い材料からなり、コア5を覆って形成される。クラッド15は、上部クラッド6と下部クラッド7とを有する。上部クラッド6は、コア5および下部クラッド7の上に設けられている。
下部クラッド7は、例えばSiO
2からなる。上部クラッド6は、例えばSiO
2または空気層からなる。
【0029】
コア5は、クラッド15よりも屈折率が高い材料からなり、互いに並列した一対のコア部1,2と、コア部1,2の後段(出力側)に設けられた出力部3と、を備えている。
コア部1,2および出力部3は、好ましくはSi(シリコン)からなる。
以下、コア部1を第1コア部1といい、コア部2を第2コア部2ということがある。
なお、本発明は、コアがSiからなるシリコン導波路に限らず、SiO
2からなるコアを用いた光導波路、例えばプレーナ光波回路(Planar Lightwave Circuit:PLC)等の光導波路に適用することもできる。
【0030】
図1(B)に示すように、コア部1,2の断面形状は矩形とすることができる。なお、コア部1,2の断面形状はこれに限らない。
コア部1,2の高さH
1,H
2は互いに等しいことが好ましい。コア部1,2の高さが互いに等しいと、コアを形成する際のエッチング回数を最小減に抑えることができる。
【0031】
図1(A)に示すように、コア5は、コア部1,2を伝搬する光のモードを変換する前段モード変換部8(スーパーモード生成素子)と、前段モード変換部8を経た光のモードを変換する後段モード変換部9(突合せ結合素子)とを有する。
【0032】
基板型光導波路素子10は、SOI(Silicon on insulator)基板を加工して作製することができる。例えば、リソグラフィ/エッチングプロセスにより、SOI基板のSiO
2層を下部クラッドとし、Si層をコアとすることができる。コアの形成後、上部クラッドとしてSiO
2層を設けることができる。
【0033】
<スーパーモード生成素子の原理>
スーパーモード生成素子の基本原理について述べる。
スーパーモード生成素子では、隣接する2つの導波路において、一方の導波路のTE
0を他方の導波路のTE
0に徐々にモード結合させることで、TE
0をTE
0のスーパーモードの奇モードに変換する。
基板型光導波路素子における2つの導波路をそれぞれ導波路1、2と呼ぶ。導波路1は、入力端においてコア部の幅が、導波路2のコア部の幅より小さい方とする。
ここでいう導波路は、光を導波する経路であって、コアとクラッドとから形成される。
図1に示す基板型光導波路素子10の前段モード変換部8では、導波路1はコア部11およびこれを覆うクラッド部からなる。導波路2はコア部12およびこれを覆うクラッド部からなる。
【0034】
モード結合とは、一方の導波路をあるモードで伝搬する光について、その伝搬するコア部から外部へ浸み出した光の一部が、他方の導波路へ移ることをいう。
モード結合を効率よく行うには、導波路における結合対象のモードの実効屈折率が、互いに同程度である必要がある。「同程度」とは、実効屈折率の差が、後述する結合係数χを用いて、χ×波長/πよりも小さいことをいう。この条件が満たされていることを「位相整合している」という。なお、コアの形状と大きさが同じ(合同)である場合、そこを伝搬する同じモードの光の実効屈折率は同じになるため、常に位相整合する。これは、波長が変化してもコア形状は変わらないため成り立つ。また、2つのコア部に互いに同じ変動(幅や高さの変動)が起きる場合などのように、2つのコア部に互いに同じ量の製造誤差が生じる場合でも、コアの合同の関係が崩れないため、位相整合は崩れない。
【0035】
図2に、幅が互いに等しいコア部21,22を有する光導波路素子を示す。
この図に示すように、隣接する導波路間でTE
0をモード結合させるとき、コア部の高さが互いに等しい場合には、コア部の幅を互いに同じにすることでコア形状が同じになるため、位相整合する条件が成立する。これは、波長が変化しても常に成り立つ。
また、コア部の幅が互いに同じ構造では、2つのコア部に互いに同じ変動(幅や高さの変動)が起きる場合などのように、2つのコア部に互いに同じ量の製造誤差が生じる場合でも位相整合は崩れない。
【0036】
このとき、互いに隣接する導波路の両方のTE
0がモード結合するため、2つのコア部を並列させた断面を導波するモードは、
図3(A)および
図3(C)に示すような、それぞれの導波路のTE
0が結合し、かつ電界成分が幅方向に対称なモード(偶モードと呼ばれる)と、
図3(B)および
図3(D)に示すような、それぞれの導波路のTE
0が結合し、かつ電界成分が幅方向に反対称であるモード(奇モードと呼ばれる)となる。これらをまとめてTE
0のスーパーモード(もしくは、単にスーパーモード)と呼ぶ。
【0037】
隣接する導波路で結合対象となるそれぞれのモードの位相整合が成立しているとき、一方の導波路から浸み出した光が他方の導波路へ移りスーパーモードになるのに要する導波路の長さは、モード結合の強さを表す結合係数χに依存する。χは次式のようになる。
【0039】
ここで、E
i(i=1,2)は2つの隣接する導波路i(i=1,2)を導波する結合対象のモードの電界ベクトルを表し、Nは2つの導波路を隣接させたときの屈折率分布を表し、N
iは、導波路iが単独で存在するときの屈折率分布を表し、座標x,yはそれぞれ幅方向、高さ方向を表す。
【0040】
上式より、導波路1もしくは導波路2においては、両方のモードの電界の内積を積分するため、コア部から外部へ浸み出す光が大きいほど結合が強くなることがわかる。結合係数χが大きいと、短い距離でスーパーモードを生成することができる。
【0041】
<スーパーモード生成素子の具体例>
図1を参照しつつ、スーパーモード生成素子の具体例である前段モード変換部8を説明する。
前段モード変換部8を構成する範囲のコア部1,2を、それぞれ前段第1コア部11および前段第2コア部12という。
コア部11,12の入力端11a,12a(前段入力端)は、光がそれぞれコア部11,12に入力する端部である。出力端11b,12d(前段出力端)は、光がコア部11,12から出力する端部である。
【0042】
前段第1コア部11は、平面視において直線状に延在し、幅および高さが長さ方向(光の導波方向)に一定であることが好ましい。図示例の前段第1コア部11は幅および高さが長さ方向に一定であるため、断面形状(光の導波方向に垂直な断面の形状)も全長にわたって一定である。
前段第1コア部11の内側縁11c(コア部11の両側縁のうちコア部12側の側縁)と外側縁11d(内側縁11cとは反対側の側縁)はそれぞれ直線状に形成されている。
コア部11,12の断面形状は矩形が好ましい。
【0043】
前段第2コア部12の導波路構造は、入力端12aから出力端12bにかけて連続的に変化している。
光の導波方向に導波路構造を変化させるには、コア部の幅を光の導波方向に沿って変化させることが好ましい。
コア部の幅は、コア部への光の閉じ込めに関係するため、幅を変化させることで、コア部を導波する光のモードの実効屈折率を任意に調整することができる。
導波路構造を変化させる手法としては、コア部の高さを変化させる手法もあるが、コア部の高さを一定としたまま、コア部の幅をコア部の長さ方向に変化させる手法は、SOI基板の加工において、1度のエッチングでコア部を作製することができるため、好ましい。
【0044】
前段第2コア部12の内側縁12c(コア部12の両側縁のうちコア部11側の側縁)は、前段第1コア部11の内側縁11cに平行な直線状とされている。
前段第2コア部12の外側縁12d(内側縁12cとは反対の側縁)は、入力端12aから出力端12bにかけて徐々に内側縁12cに近づくように傾斜した直線状とされている。
このため、前段第2コア部12は、入力端12aから出力端12bにかけて幅(
図1(B)の幅W
2)が一定の割合で連続的に狭くなるテーパ状に形成されている。
前段第2コア部12は、幅が徐々に狭くなるため、断面の大きさが入力端12aから出力端12bにかけて一定の割合で連続的に小さくなっている。
【0045】
本実施形態において、入力端11a、12aでは、第2コア部12の幅(
図1(B)の幅W
2)は第1コア部11の幅(
図1(B)の幅W
1)より大きくされているため、コア部12の断面はコア部11の断面より大きい。すなわち、コア部12の断面積はコア部11の断面積より大きい。
第2コア部12のテーパ化により、出力端11b,12bでは、コア部11,12の幅は互いに等しくなっている。このため、出力端11b,12bでは、コア部11,12の断面の形状および大きさは互いに同じである。
コア部11,12は互いに離間している。コア部11,12の間隔(gap)は、入力端11a、12aから出力端11b、12bにかけて一定とすることができる。
【0046】
なお、コア部11,12は、入力端11a,12aで断面形状が互いに合同でなく、かつ、少なくとも一方のコアの断面の形状もしくは大きさが、光の導波方向に沿って連続的に変化することによって、出力端11b,12bでコア部11,12の断面が互いに合同となっていれば、その構造は図示した例に限定されない。
例えば、入力端における断面が小さい方のコア部の大きさが、光の導波方向に沿って連続的に大きくなることによって、出力端で2つのコア部の断面が互いに合同となる構造を採用してもよい。
「連続的に変化する」とは、コア部11,12の構造に急峻な変化がなく、例えば、コア部の外面に段差部分が生じるほどの不連続な凹凸箇所が生じない程度にコア部11,12の断面が変化することをいう。
【0047】
以下、
図4を参照して、前段モード変換部8をさらに具体的に説明する。
図4は、前段モード変換部8を示す図であり、
図4(A)は平面図、
図4(B)は
図4(A)の断面位置(c)に沿う断面図、
図4(C)は断面位置(b)に沿う断面図、
図4(D)は断面位置(a)に沿う断面図である。
【0048】
コア部11(コア部1)およびコア部12(コア部2)はSi(屈折率3.48(波長1580nm))からなり、上部クラッド6および下部クラッド7はSiO
2(屈折率1.44(波長1580nm))からなる。コア部11,12(コア部1,2)の高さは220nmである。コア部11,12(コア部1,2)の間隔は200nmである。
【0049】
図4(D)に示すように、コア部11(コア部1)の幅は400[nm]とし、コア部12(コア部2)の幅は400−X[nm]とした(−200≦X≦0)。Xは、入力端12aから出力端12bにかけて、−200から0まで線形に変化する。
このため、コア部12(コア部2)は、入力端12a(X=−200)から出力端12b(X=0)にかけて幅が徐々に狭くなるテーパ状となっている。
なお、
図4(C)は入力端11a、12aと出力端11b、12bとの中間位置(X=−20)における断面を示す図である。
【0050】
スーパーモード生成素子では、上述の位相整合する条件を基に、入力端では隣接する導波路のコア形状を合同でないようにすることで、故意に、位相整合する条件を崩し、出力端では、隣接する導波路のコア形状を合同とすることで、位相整合する条件を成立させる。
さらに、コア部の形状もしくは大きさを光の導波方向に沿って連続的に変化させる(すなわちコア部をテーパ化する)ことによって、入力端から出力端にかけて、連続的に位相整合させていく。
【0051】
図4に示す例では、入力端11a、12aでは、コア部12(コア部2)の幅(
図4(D)の幅W
12a)がコア部11(コア部1)の幅(
図4(D)の幅W
11a)より大きいことにより、コア部12の断面はコア部11の断面より大きくなっている。このため、位相整合は成立せず、モード結合がほとんど行われない。
一方、出力端11b、12bでは、コア部11,12(コア部1,2)の幅(
図4(B)の幅W
11b,W
12b)が互いに等しいことにより、コア部11,12の断面の形状および大きさは互いに同じとなる。このため、位相整合が成立する。
【0052】
コア部12は、テーパ状に形成されているため、入力端から出力端にかけて、光の導波方向に沿って徐々に位相整合し、その結果モード結合が進行する。このため、テーパ導波路(コア部12)の長さ(テーパ長)を十分長くとることにより、ほぼ損失無く、導波路1に入力したTE
0を奇モードへ変換することが可能となる。
上述のように、一方の導波路から浸み出した光が他方の導波路へ移りスーパーモードになるのに要する導波路の長さは結合係数χに依存するため、結合係数χが大きいほど、高効率なモード変換が、短い導波路(短いデバイス長)で可能となる。
なお、導波路の幅を変えて実効屈折率を調整する手法は、導波路サイズが大きいほどコア部への光の閉じ込めが大きくなり、コア部の屈折率の影響を強く受けるため、実効屈折率が上昇するという現象を利用している。
【0053】
この原理を、上記具体例を参照しつつさらに詳しく説明する。
コア部の幅を光の導波方向に変化させる(すなわち導波路をテーパ化する)ことによって、入力端において位相整合する条件を崩すことができることを確認するため、導波路1,2がそれぞれ独立に存在する場合のモードの実効屈折率を計算した。結果を
図5に示す。なお、波長は1580nmとした。
【0054】
図5より、X=0では、導波路1のTE
0と導波路2のTE
0の実効屈折率が一致しており、位相整合することがわかる。
Xが0から離れるに従って、導波路1,2のTE
0の実効屈折率にずれが生じ、位相整合する条件は崩れていく。
−200≦X<0の範囲で、導波路1のTE
0の実効屈折率が導波路2のTE
0の実効屈折率より小さくなっているのは、導波路1では、導波路2に比べてコア部の幅が小さいためである。
【0055】
続いて、
図6に、導波路1、2を互いに隣接させた場合のモードの実効屈折率を示す。#0,#1は、それぞれ2つの導波路の断面におけるモードのうち、実効屈折率がそれぞれ1、2番目のモードの実効屈折率を示している。
導波路が独立に存在する場合の実効屈折率を示す
図5と比べると、
図6では、X=0で、#0と#1とは一致せず、互いに離れている。
これは、導波路1のTE
0と導波路2のTE
0の間で位相整合する条件が成り立つことから、モード結合によって2つのモードは相互作用し、混在したモード(スーパーモード)を形成しているためである。
X=0から離れると、位相整合する条件が成立しなくなっていくために、このような相互作用は起きず、導波路が独立して存在するときと同様のモード分布が得られ、その結果、実効屈折率も独立に導波路が存在する場合と大きく変わらなくなる。なお、X=0において、モード#0は偶モードとなり、#1は奇モードとなる。
【0056】
テーパ導波路のように、導波路の構造を光の導波方向に徐々に変化させる構造では、一つの実効屈折率の曲線上で推移するようにモードが変換されることが知られている(断熱変化という)。
【0057】
そのため、
図6において、X=−200(入力端)において導波路1へTE
0を入力し、導波路の長手方向に徐々にXを−200から0へ変化させていくことで、X=0において、TE
0を、TE
0のスーパーモードの奇モードへ変換することができる。
【0058】
これを確認するため、
図7に、断面位置(a)〜(c)(
図4(A)参照)におけるモード#0、#1の電界分布を示す。
図7(A)、(B)は断面位置(a)における電界分布(E
X成分)を示すシミュレーション結果[(A)モード#0、(B)モード#1]である。(C)、(D)は断面位置(b)における電界分布(E
X成分)を示すシミュレーション結果[(C)モード#0、(D)モード#1]である。(E)、(F)は断面位置(c)における電界分布(E
X成分)を示すシミュレーション結果[(E)モード#0、(F)モード#1]である。
なお、x,yはそれぞれ幅方向、高さ方向を表す。
図7(E)、(F)の電界分布はそれぞれ
図3(A)、(B)と同じである。
【0059】
モード#1をみると、
図7(B)に示す断面位置(a)(X=−200)では、TE
0は導波路1に存在している。
図7(D)に示す断面位置(b)(X=−20)では、導波路2のTE
0へモードが結合し始めていることがわかる。
図7(F)に示す断面位置(c)(X=0)では、位相整合する条件が成り立つため、導波路1のTE
0と導波路2のTE
0が混在したスーパーモードの奇モードが見られる。
このように、光の導波方向に導波路構造を徐々に変化させることで、導波路1に入力したTE
0を奇モードに変化させることが可能であることがわかる。
以上がスーパーモード生成素子の原理である。
【0060】
なお、図示例では、前段第2コア部12は、入力端12aから出力端12bにかけて幅が連続的に減少しているため、全長にわたってテーパ状に形成されているが、前段第2コア部12の形状はこれに限らず、長さ方向の一部のみが、幅が連続的に減少するテーパ状に形成されていてもよい。
【0061】
図4では、スーパーモード生成素子(前段モード変換部)の導波路間隔(コア部11,12の間隔)は一定としているが、これに限らず、導波路の長さ方向に変動してもよい。
また、互いに隣接する2つのコア部が、出力端において断面の大きさが互いに同じであり、かつそれ以外の範囲では第1コア部のTE
0の実効屈折率が第2コア部のTE
0の実効屈折率より小さくなる、という条件を満たしていれば、テーパ化するコア部は2つのコア部の一方のみでもよいし、2つのコア部の両方であってもよい。
例えば、第1コア部11が、第2コア部12と同様に、入力端11aから出力端11bにかけて連続的に幅を減じるテーパ状に形成されていてもよい。
【0062】
また、前記具体例では、コア部2は長さ方向に幅が線形に変化するテーパ導波路であるが、テーパ導波路はこれに限らず、曲線テーパ状の導波路であってもよい。
なお、導波路構造を変化させる手法としては、コア部の幅に限らず、コア部の高さを光の導波方向に沿って変化させる手法もある。コア部の高さを変化させることで、コア部を導波する光のモードの実効屈折率を任意に調整することができる。
また、前記具体例では、コア部の入力端および出力端は、光の導波方向に対して垂直に形成されているが、この垂直方向に対し傾斜していてもよい。
【0063】
<突合せ結合素子の原理>
続いて、突合せ結合素子によって奇モードをTE
1に変換する原理について述べる。
TE
0同士の奇モードは、TEモードの主な電界分布であるE
x成分が反対称で、2つのピークを持つような電界分布を有する。
一方、TE
1もまたE
x成分が反対称で、2つのピークを持つような電界分布を有する。
このため、TE
1と奇モードとは類似性が高い。そのため、奇モードが伝搬する2つの導波路と、TE
1の導波する1つの導波路とは、不連続に接続しても、高い結合効率を持って奇モードからTE
1を変換することが可能である。
【0064】
<突合せ結合素子の具体例>
図1を参照しつつ、突合せ結合素子の具体例である後段モード変換部9を説明する。
後段モード変換部9は、コア部11の出力側に連なって形成された後段第1コア部13と、コア部12の出力側に連なって形成された後段第2コア部14と、これらコア部13,14の出力端13b、14bが接続される出力部3とを有する。
コア部13,14の入力端13a,14a(後段入力端)は、光がそれぞれコア部13,14に入力する端部であり、出力端13b,14d(後段出力端)は、光がコア部13,14から出力する端部である。
後段モード変換部9は前段モード変換部8の出力側に連なって形成されているため、入力端13aは出力端11bと同じ位置にあり、入力端14aは出力端12bと同じ位置にある。
【0065】
後段第1コア部13は、直線状に延在し、幅および高さが長さ方向(光の導波方向)に一定であることが好ましい。後段第1コア部13の幅は、前段第1コア部11の幅と同じであることが好ましい。
後段第1コア部13の内側縁13c(コア部13の両側縁のうちコア部14側の側縁)と外側縁13d(内側縁13cとは反対側の側縁)はそれぞれ直線状に形成されている。
【0066】
後段第2コア部14は、直線状に延在し、幅および高さが長さ方向(光の導波方向)に一定であることが好ましい。後段第2コア部14の幅は、前段第2コア部12の出力端12bにおける幅と同じであることが好ましい。
後段第2コア部14の内側縁14c(コア部14の両側縁のうちコア部13側の側縁)と外側縁14d(内側縁14cとは反対側の側縁)はそれぞれ平面視直線状に形成されている。
後段第1コア部13と後段第2コア部14とは、平面視において互いに平行であることが好ましい。
コア部13,14は、前段第2コア部12と同じ方向に延在する直線導波路である。
【0067】
コア部13,14は、互いに同じ幅であることが望ましい。コア部13,14の断面形状は矩形状が好ましい。
コア部13,14は互いに離間しており、その間隔(gap)は、入力端13a、14aから出力端13b、14bにかけて一定とされている。
図示例のコア部13,14は幅および高さが長さ方向に一定であるため、断面形状(光の導波方向に垂直な断面の形状)も全長にわたって一定である。
コア部13,14の出力端13b、14bは、出力部3の入力端3g(接続端)に、共通に接続されている。
【0068】
出力部3は、直線状に延在する直線導波路であって、幅および高さが長さ方向(光の導波方向)に一定であることが好ましい。出力部3は、断面矩形状とすることができる。
【0069】
入力端3gにおける出力部3の幅は、出力端13b、14bにおけるコア部13,14の幅、およびコア部13,14の間隔の合計(W
13+W
14+gap)以上が好ましく、前記合計(W
13+W
14+gap)より大きいことがさらに好ましい。
図示例の出力部3では、一方の側縁3cは外側縁13dに比べて外側方寄りに位置しており、これにより、出力部3の一方の側部は、コア部13の外側縁13dより外側方に張り出して形成されている。外側縁13dより外側方(
図1(A)の左方)に張り出した部分を突出部3eという。
出力部3の他方の側縁3dは外側縁14dに比べて外側方寄りに位置しており、これにより、出力部3の他方の側部は、コア部14の外側縁14dより外側方に張り出して形成されている。外側縁14dより外側方(
図1(A)の右方)に張り出した部分を突出部3fという。
【0070】
出力部3は、コア部13,14と同じ方向に延在する直線導波路である。このため、出力部3の側縁3c,3dは外側縁13d,14dと平行である。
コア部13,14が接続される入力端3gは、平面視において、コア部13,14の延在方向に対し垂直であることが好ましい。
出力部3の高さは、コア部1,2の高さと等しいことが望ましい。
【0071】
以下、
図8を参照して、後段モード変換部9をさらに具体的に説明する。
図8は、後段モード変換部9を示す図であり、
図8(A)は平面図、
図8(B)はコア部の断面図、
図8(C)は出力部の断面図である。
後段モード変換部9では、「導波路1」はコア部13を有する導波路に相当し、「導波路2」はコア部14を有する導波路に相当する。「導波路3」は出力部3を有する導波路に相当する。
【0072】
コア部13(コア部1)およびコア部14(コア部2)はSi(屈折率3.48(波長1580nm))からなり、上部クラッド6および下部クラッド7はSiO
2(屈折率1.44(波長1580nm))からなる。コア部13,14(コア部1,2)の高さは220nmである。
コア部13,14(コア部1,2)の幅W
13,W
14はそれぞれ400[nm]とする。
コア部13,14(コア部1,2)の間隔をgap[nm](gap=200)とする。
【0073】
図8(A)に示すように、入力端3gにおいて、出力部3の幅方向の中央線C
2と、コア部13,14の幅方向の中央線C
1とは互いに一致する。
コア部13,14の中央線C
1は、出力端13b、14b(入力端3g)において、コア部13,14とこれらの隙間を含む幅方向範囲(コア部13の外側縁13dからコア部14の外側縁14dまでの範囲)の中央を通り、コア部13,14の延在方向に沿う線である。中央線C
1から外側縁13d,14dまでの距離はそれぞれ(W
13+W
14+gap)/2である。
出力部3の中央線C
2は、平面視において出力部3の延在方向に沿う線であって、入力端3gにおいて、中央線C
2から側縁3c,3dまでの距離はそれぞれW
3/2である。中央線C
1,C
2は互いに平行とすることができる。
【0074】
はじめに、導波路3の幅であるWが、導波路1,2の幅W
13,W
14および導波路1,2の間隔gapの合計と等しい場合、すなわち、W=W
13+W
14+gap(=1000nm)を満たす場合を考える。この場合、導波路3には「突出部」は形成されない。
図9に、この条件下(W=1000)での、導波路3(出力部3)におけるTE
1のE
x成分(y=0.00730942μm)を示す。
図9は、電界分布(E
X成分)を示すシミュレーション結果[(A)]と、E
X成分を示すグラフ[(B)]である。
図10は、
図9と同じ条件における、導波路1,2(コア部13,14)での奇モードを示す。
図10は、電界分布(E
X成分)を示すシミュレーション結果[(A)]と、E
X成分を示すグラフ[(B)]である。なお、
図10(A)、(B)の電界分布はそれぞれ
図3(B)、(D)と同じである。
【0075】
図9(出力部3におけるTE
1の電界分布)と、
図10(コア部13,14における奇モードの電界分布)とを比較すると、これらが互いに類似していることがわかる。
【0076】
導波路1,2と導波路3を不連続的に接続した場合、これらの突合せ結合による変換効率は次式で表される(ただし、TEモードはE
x成分が主成分であることから、それ以外の成分の寄与を無視している)。
【0078】
ここで、記号は次のように定める。積分は導波路1,2と導波路3との結合部断面全体で行っている。
【数7】
【0079】
式(6)より、導波路1,2の奇モードと導波路3のTE
1との電界分布が類似しているほど、変換効率が高くなることがわかる。実際、
図8(A)の突合せ結合素子において、W=1000のときの変換効率は高い値(約−0.294dB)となる(波長は1580nm)。
【0080】
次に、導波路3の幅Wが、導波路1,2の幅W
13,W
14および導波路1,2の間隔gapの合計より大きい場合、すなわち、W>W
13+W
14+gapを満たす場合を考える(特願2013−214792の明細書等を参照)。
出力部3は、コア部13の外側縁13dより一側方(
図8(A)の左方)に張り出した突出部3eと、コア部14の外側縁14dより他側方(
図8(A)の右方)に張り出した突出部3fとを有する。
【0081】
この構造を採用することによって、導波路1,2の奇モードと、導波路3のTE
1との電界分布をさらに近づけることができることを説明する。
図11に、導波路3の幅と、奇モード/TE
1の変換効率の関係を示す(波長は1580nmとした)。
この図に示すように、変換効率はW=1250付近で最大値(−0.022dB)となる。
これは、(W=1000の場合と比べて)Wを大きくすることで、奇モードとのピーク位置が揃い、式(6)の積分値が大きくなったためである。
【0082】
図12に、W=1250の場合、すなわち、W(=W
3)>W
13+W
14+gapとなる場合におけるTE
1の電界分布とE
x成分(y=0.00729512μm)を示す。
この図を
図9(W=1000)と比較すると、
図12では、
図9に比べ、ピーク位置が幅方向外側に移動しており、
図10の奇モードのピーク位置に近づいていることがわかる。このため、導波路1,2の奇モードと導波路3のTE
1との電界分布の重なりが大きくなる。
このように、突合せ結合素子の出力部を「W
3>W
13+W
14+gap」を満たすように形成することによって、奇モードとTE
1の電界分布の類似性を利用することで、奇モードをTE
1に高効率で変換することができる。
【0083】
スーパーモード生成素子に入力したTE
0は、奇モードへと変換され、その後、突合せ結合素子に入力されてTE
1に変換される。
【0084】
図1および
図8では、突合せ結合素子(後段モード変換部9)は、出力部3とコア部13,14とを備えているが、突合せ結合素子は、出力部3のみから構成されていてもよい。
【0085】
<本実施形態による効果>
[効果1]
効果1として、広い波長帯域にわたって高効率な変換が可能であり、製造誤差に強いことが挙げられる。以下、その理由について述べる。
従来技術である非対称方向性結合器では、位相整合する条件を維持することが、高い変換効率を維持するのに必要であった。
しかしながら、波長が変わったり、製造誤差によって導波路構造が変化した場合、この条件が満たされず、変換効率が低下する。
これに対し、本発明で用いられるスーパーモード生成素子は、出力端でコア部の断面の形状および大きさが互いに同じであるため、波長が変わっても実効屈折率にずれが生じることはなく、位相整合が崩れることはない。
従って、広い波長帯域で高い変換効率を確保することができる。
【0086】
また、リソグラフィ/エッチングなどによる一般的な製造誤差は、局所的には2つのコア部に同じ量だけ生じるため、コア部の幅や高さが製造誤差によって変動しても位相整合は崩れない。また、使用するウェハ(SOI基板など)に層の高さのバラつきがある場合でも、その影響は2つのコア部に同等に及ぶため、位相整合の成立の障害とはならない。
従って、製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる。
【0087】
さらに、スーパーモード生成素子は、光の導波方向に徐々に導波路構造を変えることで、いわゆる断熱変化により、エネルギーの損失を十分小さくすることができる。
そのため、導波路構造が変化する部分(例えばテーパ導波路)の長さ(テーパ長)を十分長くとることにより、低損失でモード変換が可能となる。
【0088】
本発明で使用する突合せ結合素子もまた、広い波長帯域にわたって高効率な変換が可能であり、かつ製造誤差に強い。これは次の理由による。
波長が変化した場合、それに応じてモードの電界分布はコアに対して広がったり(波長が増加した場合)、縮んだり(波長が減少した場合)する。
この変化は、任意のモードで同一であるため、奇モードとTE
1の場合でも、波長の変化に応じて互いに同じ電界分布の変化をもつ。そのため、突合せ結合の変換効率は高い値となる。
これを確認するために、
図13に、W=1250のときの波長と変換効率との関係を示す。
この図より、波長が変化しても高い変換効率が維持されることがわかる。
【0089】
また、リソグラフィ/エッチングによる製造誤差や、ウェハ(SOI基板など)の層の高さのバラつきがある場合、その影響(コアの幅や高さの変化など)は、局所的には導波路の各部位に同じ量だけ生じるため、導波路1,2と導波路3とは互いに同じように変化する(幅がともに増える、減るなど)。このため、それに応じて、それぞれの導波路のモードの電界分布も、互いに同じように広がったり、縮んだりする。
そのため、突合せ結合素子では、変換効率の低下は起こらず、高い変換効率を確保できる。
【0090】
具体例として、
図14に、突合せ結合素子(後段モード変換部)の導波路1〜3のコア幅(図中、導波路幅と記載)(例えば
図8(A)のW
3,W
13,W
14)をすべて−30nmだけ変化させた場合の変化量と変換効率との関係を示す。なお、
図14では、計算精度の問題で、変換効率が100%を超えている部分がある。
この図より、導波路1〜3のコア幅が変化しても、高い変換効率が維持されることがわかる。
【0091】
以上のように、スーパーモード生成素子(前段モード変換部)および突合せ結合素子(後段モード変換部)は、いずれも、波長依存性、および製造誤差に対する特性の点で優れている。
従って、本実施形態では、スーパーモード生成素子(前段モード変換部)および突合せ結合素子(後段モード変換部)を使用することによって、広い波長帯域にわたり高効率の変換が可能であり、かつ、製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる。
【0092】
続いて、本発明の進歩性について述べる。突合せ結合素子へTE
0の奇モードを入力することでTE
1が得られることは公知であるが、本発明は、この奇モードを生成するのに、従来知られるテーパ化方向性結合器(参考文献[1]を参照)の原理の一部を利用した、新規なスーパーモード生成素子を用いた点に大きな進歩性があると考えられる。
参考文献[1]:MICHAEL G. F. WILSON, et. al., “Tapered Optical Directional Coupler,” IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TICCHNIQUES, VOL. MTT-23, NO. 1, JANUARY 1975
【0093】
本発明では、異なるモードへの変換を扱うにも関わらず、少なくともスーパーモード生成素子の出射端および突合せ結合素子において、対称な導波路構造を用いることができる。前述のように、対称な導波路構造は、波長依存性、および製造誤差が生じた場合の特性の点で優れている。
また、スーパーモード生成素子を使用することにより断熱変化の現象を利用でき、さらに、突合せ結合素子において、奇モードとTE
1の電界分布の類似性を利用することができる。
従って、本発明では、広い波長帯域で高い変換効率を確保することができ、しかも製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できるという顕著な効果を奏する。
【0094】
[効果2]
効果2として、TE
0とTE
1のモード多重が可能であることが挙げられる。
本発明では、スーパーモード生成素子の導波路2にTE
0を入力すると、突合せ結合素子からTE
0のままで出力される。
これは、
図6の実効屈折率曲線において、導波路2に入力したTE
0は、スーパーモード生成素子で偶モードになり、その後、突合せ結合素子において、導波路3のTE
0に結合するためである。
従って、導波路1,2にそれぞれTE
0を入力することで、TE
0とTE
1が多重された光を出力することができる。
なお、偶モードの電界分布は、幅方向に対称であるため、幅方向に反対称な導波路3のTE
1とは結合しない。そのため、TE
1と混ざることはない。
【0095】
ここで、「モード多重」とは、一方の導波路から他方の導波路へのモード変換によって生じるモード(モードA)とは異なるモード(モードB)の光を他方の導波路に入力することによって、モードAの光とモードBの光が他方の導波路から同時に出力されることをいう。
【0096】
[効果3]
効果3として、一回のリソグラフィ/エッチングプロセスで作製することができ、製造が容易であることが挙げられる。
例えば、SOI基板のSi層を、1回のリソグラフィ/エッチングプロセスで、
図1等に示すコア5(コア部1,2および出力部3)とすることができる。
また、コア等の高さに関する要請は特に無く、光導波路の一般的な条件が成立していればよいことから、他の光導波路素子との集積が容易であることも利点として挙げることができる。
【0097】
[効果4]
効果4として、細かいプロセスを必要とせず、製造が容易であることが挙げられる。
例えば、従来のTE
0とTE
1の変換構造としては、非対称なY分岐があるが、Y分岐は、プロセス上、付け根部分を精度よく作製することが容易ではなく、形成精度の低下は性能劣化につながる。特に、各部位の寸法がサブマイクロメータのオーダであるシリコン細線導波路では、この問題は顕著である。
それに対して、本実施形態では、コア部の間隔が長さ方向に一定である。Y分岐の付け根とは異なり2つの導波路を互いに接するまで徐々に接近させる必要がないことから、容易に製造ができる。
【0098】
[効果5]
効果5として、デバイス長が短いことが挙げられる。
奇モードとTE
1の変換構造としては、対称なY分岐構造も考えられるが、この場合、導波路を徐々に接近させる必要があるため、デバイス長が長くなりやすい。
それに対して、本実施形態では、奇モードとTE
1の変換に、突合せ結合素子を用いている。突合せ結合は非常に短い距離で可能であるため、Y分岐構造に比べて、デバイス長を短くできる。
【0099】
本実施形態の基板型光導波路素子では、入力および出力の方向が前述の方向とは逆の方向である場合には、前述の動作とは逆の動作が可能である。例えば、
図1に示す基板型光導波路素子10では、出力部3にTE
1を入力すると、コア部11の入力端11aからTE
0が出力される。一方、出力部3にTE
0を入力すると、コア部12の入力端12aからTE
0が出力される。このように、出力されるコア部が入力モードに応じて変わるため、基板型光導波路素子10は、モードスプリッタに応用することもできる。
【0100】
(実施例1)
<基板型光導波路素子>
図15は、本発明の実施例1である基板型光導波路素子20(モード変換素子)を示す図であって、
図15(A)は平面図であり、
図15(B)は、
図15(A)の断面位置(a)における断面図である。なお、以下、既出の基板型光導波路素子と共通の構成については同一符号を付して説明を省略する。
コア部11(コア部1)の幅は400[nm]とし、コア部12(コア部2)の幅は400−X[nm]とした(−200≦X≦0)。Xは、入力端12aから出力端12bにかけて、−200から0まで線形に変化する。コア部13,14の幅はそれぞれ400[nm]である。コア部1,2の間隔gapは200[nm]である。出力部3の幅は1250[nm]である。コア部1,2および出力部3の高さは220nmである。
【0101】
基板型光導波路素子20では、第1コア部1が直線導波路23を有し、第2コア部2が曲げ導波路24を有する。直線導波路23はコア部11の入力側に形成され、曲げ導波路24はコア部12の入力側に形成されている。
【0102】
曲げ導波路24は、平面視において湾曲して形成されている。
これによって、コア部1(直線導波路23)とコア部2(曲げ導波路24)とは、少なくとも出射端23b,24bを含む長さ範囲で、前段モード変換部8に近づくほど互いに接近している。
曲げ導波路24の湾曲形状は、例えば、円弧状とすることができる。曲げ導波路24の形状はこれに限らず、任意の曲線状であってよい。例えば楕円弧状、放物線状、双曲線状などの高次曲線状(例えば二次曲線状)を採用できる。図示例の曲げ導波路24は、2つの略円弧を組み合わせたS字状とされている。
【0103】
基板型光導波路素子20では、前段モード変換部8の入力側において、第1コア部1(直線導波路23)と第2コア部2(曲げ導波路24)とが、前段モード変換部8に近づくほど互いに接近して形成されているため、不要な光の反射を抑えることができる。
【0104】
上述のように、前段モード変換部8では、コア部12をテーパ化することで、入力側におけるモード結合を低減しているが、直線導波路23と曲げ導波路24とは、前段モード変換部8から離れるほど互いに離間するため、テーパ化よりも確実にモード結合を低減することができる。このため、前段モード変換部8におけるモード変換効率を高めることができる。
これは、テーパ構造に比べ、コア部が互いに離間する構造の方が、結合を弱める効果が高いからである。
【0105】
基板型光導波路素子20では、コア部1(コア部11)が直線導波路23を有し、コア部1より幅が広いコア部2(コア部12)が曲げ導波路24を有する。これは、幅が狭いコア部1では光の閉じ込めが弱いため、曲げた場合の損失が大きくなるからである。
基板型光導波路素子20は、直線導波路23および曲げ導波路24がなくても基板型光導波路素子としての機能に支障はないが、上述のように、反射の低減やモード結合の低減などの利点があることから、これら(直線導波路23および曲げ導波路24)を採用するのが好ましい。
【0106】
図15に示す基板型光導波路素子20では、コア部1,2のうちコア部2のみが曲げ導波路24を有するが、コア部1,2が、曲げ導波路において、前段モード変換部8に近づくほど互いに接近する構造であれば、曲げ導波路を形成する位置は図示例に限定されない。
例えば、コア部2が直線導波路を有し、コア部1が曲げ導波路を有する構造でもよいし、コア部1,2の両方が曲げ導波路を有する構造でもよい。
【0107】
基板型光導波路素子20は、SOI基板を加工して作製することができる。SOI基板の中間のSiO
2層(屈折率:1.44)を下部クラッドとし、Si層(屈折率:3.47)をコアとして用いる。コアの形成後、上部クラッドとしてSiO
2層を設ける。
【0108】
この実施例によりモード変換が可能であることを示すために、コア部1にTE
0を入力したときに出力されるTE
1の変換効率(入力したTE
0のパワーに対する出力されるTE
1のパワーの比)を有限差分時間領域法(FDTD)で計算した。
突合せ結合素子(
図15の後段モード変換部9)の長さL
2は1μmとした。波長は1550nmとした。計算結果を
図16に示す。
図16は、スーパーモード生成素子のテーパ長L
1(テーパ導波路(コア部12)の長さ)と変換効率との関係を示している。
この図より、スーパーモード生成素子のテーパ長L
1が長いほど、光の導波方向のコア部の幅の変化が緩やかになるため、断熱変化の条件が成立しやすくなり、変換効率が高くなることがわかる。
【0109】
図17は、スーパーモード生成素子(前段モード変換部8)のテーパ長L
1(コア部12の長さ)が100μmのときの電界分布を示す。
図17は、コア部1に入力端(下端)からTE
0を入力した場合における、y=0.1μmのE
X成分を示している。波長は1550nmとした。
【0110】
図17より、スーパーモード生成素子では光が結合し、出力端では、両方のコア部にTE
0が分布する奇モードに変換していることがわかる。また、突合せ結合素子により奇モードがTE
1に変化していることも確認できる。
【0111】
図18は、本実施例の波長依存性(波長と変換効率との関係)をFDTDによってシミュレーションした結果を示すグラフである。スーパーモード生成素子のテーパ長L
1は100μmとした。
図18より、本実施例では、1520nmから1640nmにわたって、−0.56dB以上の高い変換効率を持つことが確認できる。
なお、電界分布は長波長になるにつれコア部の外に広がり、隣接する導波路への結合が大きくなるため、長波長においてスーパーモード生成素子の変換効率が高くなり、それによって全体の変換効率が向上している。
【0112】
次に、本実施例における、製造誤差による影響を確認するため、全てのコア部(および出力部)の幅が−30nmだけ変化したときの、波長と変換効率との関係をFDTDによってシミュレーションした。スーパーモード生成素子のテーパ長L
1は100μmとした。
計算結果を
図19に示す。
【0113】
図19を
図18と比較すると、コア部(および出力部)の幅が−30nmだけ変化した場合の変換効率の変動は、各波長において0.24dB以内に収まっており、高い変換効率を維持している。
この図より、本構造は、製造誤差に強いことが確認できる。
なお、製造誤差がある場合(
図19)に、製造誤差がない場合(
図18)よりも変換効率が向上しているのは、次の理由による。
コア部の幅が変化すると、そのコア内への光の閉じ込めの程度が変化する。幅が小さくなった場合、閉じ込めが弱くなるため、コアからの浸み出しが増え、それによりスーパーモード生成素子の隣接導波路への結合が強くなる。このため、製造誤差がある場合の方が変換効率が上昇している。
ただし、製造誤差によっては、閉じ込めが強くなる場合もあるが、変換効率の変動の幅は導波路間で同程度であるため、本発明が製造誤差に強いという事実は変わらない。
【0114】
次に、本実施例(
図15)で、コア部2のTE
0と、TE
1(コア部1へ入力されたTE
0が変換されたもの)のモード多重が可能であることを示す。
そのために、コア部2に入力側からTE
0(区別のためTE
0’と記載)を入力した時の突合せ結合素子から出力されるTE
0’の透過率(コア部2へ入力したTE
0’のパワーに対する、突合せ結合素子から出力されるTE
0’のパワーの比)をFDTDによりシミュレーションした。
【0115】
図20に、スーパーモード生成素子のテーパ長が100μmのときのFDTDで計算した電界分布を示す。波長は1550nmとした。
図20は、コア部2に入力端(下端)からTE
0を入力した場合における、y=0.1μmのE
X成分を示している。
このとき、透過率は−0.86dBとなり、多くのパワーが透過することがわかる。以上により、本実施例はモード多重が可能である。
【0116】
<従来技術との比較>
本実施例と、従来技術である非対称方向性得結合器の性能と比較する。詳しくは、実施例1と、
図69の構造を有する比較例1とを比較する。まず、比較の妥当性について次の観点から検討する。
本発明に用いられるスーパーモード生成素子と従来技術の非対称方向性結合器は、ともにモード結合の原理を利用している。
モード結合は、隣接導波路への光の浸み出しが大きいほど結合が強くなり効率が上がる。そのためには、コア部の幅を小さくし光の閉じ込めを弱くすればよい。
しかしながら、実際に作製することを考慮すると、コア部の幅が狭すぎると再現性が低下したり、リソグラフィの精度に依存しマスク設計通りの導波路が作製できなかったりといった問題があるため、コア部の幅には作製が可能な最小値がある。
そのため、最小のコア部の幅を同じ条件にすることで、実施例1と比較例1との比較が可能となる。なお、コア部の間隔を小さくすることでも結合は強くなるため、実施例1と比較例1とのコア部の間隔も同じにしている。
【0117】
実施例1では、モード結合の原理を利用するスーパーモード生成素子の出力端(最もコアを狭くする必要がある部分)の幅を400nmとして、それ以外のコア部の幅を決定した。コア部の間隔は200nmとした。
比較例1(
図69の非対称方向性結合器)は、結合対象となるTE
0が導波するコア部1(最もコアを狭くする必要がある部分)の幅を400nmとし、これと位相整合するようにコア部2の幅を決定した。
最小のコア部の幅およびコア部の間隔を同じ条件としたため、実施例1と比較例1との比較が可能となる。
【0118】
図21に、実施例1および比較例1について、波長が変換効率に与える影響を比較した結果を示す。なお、実施例1、比較例1の結果をそれぞれ実施例1−1、比較例1−1と記載した。これらの結果は、
図18および
図71に示したものと同じである。
図21より、比較例1(比較例1−1)では、波長1580nm付近では実施例1よりも低損失ではあるが、波長が変化すると大きく変換効率が低下する。そのため、波長による損失変化が大きい。
【0119】
一方、実施例1(実施例1−1)は、1580nm付近では比較例1(比較例1−1)に劣るものの、1520〜1640nm(光通信におけるC+Lバンドをカバーする波長範囲)における、波長に依存する損失変化が小さい。
また、この波長範囲の最小変換効率を比較すると、実施例1(実施例1−1)の方が高いことがわかる。
以上のように、実施例1(実施例1−1)は、比較例1(比較例1−1)よりも広い波長範囲にわたって高効率な変換が可能である。
なお、実施例1(実施例1−1)では、スーパーモード生成素子が断熱変化を利用しているため、テーパ長を長くすることで、さらなる低損失化が可能である。
一方、比較例1(比較例1−1)の非対称方向性結合器は、長さを大幅に変更するのが難しいため、変換効率に関して、これ以上の改善は見込めない。
【0120】
続いて、
図22に、実施例1および比較例1について、製造誤差が変換効率に与える影響を比較した結果を示す。
図22は、コア部(および出力部)の幅が−30nmだけ変化したときの変換効率を示す。なお、実施例1、比較例1の結果をそれぞれ実施例1−2、比較例1−2と記載した。これらの結果は、
図19および
図74に示したものと同じである。
図22より、比較例1(比較例1−2)では、位相整合が成り立たず大きく変換効率を下げているのに対し、実施例1(実施例1−2)では高い変換効率を維持している。従って、実施例1(実施例1−2)は比較例1(比較例1−2)よりも製造誤差に強い。
これらの結果より、実施例1は従来技術に比べ、広い波長帯域で高い変換効率を持ち、かつ製造誤差に強いことがわかる。
【0121】
(実施例2)
<基板型光導波路素子>
図23は、実施例2である基板型光導波路素子30(モード変換素子)を示す平面図である。この実施例は、前段モード変換部と後段モード変換部との間に、これらを互いに接続する中間コア部を設けた構造の第1の例である。
基板型光導波路素子30は、互いに並列した一対のコア部31,32と、コア部31,32の後段側(出力側)に設けられた出力部33(後段モード変換部39)とを備えている。コア部31,32および出力部33の高さは互いに等しいことが望ましい。
基板型光導波路素子30は、前段モード変換部38と後段モード変換部39との間に、テーパ状のコア部31B,32Bを有する中間コア部34が介在している点で、
図1に示す基板型光導波路素子10と異なる。
【0122】
前段モード変換部38を構成するコア部31A,32Aのうち、コア部31Aは直線状に延在し、幅は長さ方向(光の導波方向)に一定である。
コア部32Aは、入力端32Aaから出力端32Abにかけて幅が連続的に狭くなるテーパ状に形成されている。コア部31A,32Aの間隔は長さ方向に一定とされている。
前段モード変換部38は、入力端31Aa、32Aaでは、コア部32Aの幅がコア部31Aの幅より大きいため、コア部32Aの断面はコア部31Aの断面より大きい。
出力端31Ab、32Abでは、コア部31A,32Aの幅が互いに等しいため、コア部31A,32Aの断面の形状および大きさは互いに同じである。
前段モード変換部38は、入力端31Aa、32Aaでは位相整合が成立せず、出力端31Ab、32Abでは位相整合が成立する。
【0123】
中間コア部34を構成するコア部31B,32Bのうち、コア部31Bは、コア部31Aに連なって形成され、入力端31Baから出力端31Bbにかけて幅が連続的に狭くなるテーパ状に形成されている。
コア部31Bの入力端31Baの幅は、コア部31Aの出力端31Abにおける幅と同じである。
コア部32Bは、コア部32Aに連なって形成され、入力端32Baから出力端32Bbにかけて幅が連続的に狭くなるテーパ状に形成されている。
コア部32Bの入力端32Baの幅は、コア部32Aの出力端32Abにおける幅と同じである。このため、入力端31Ba,32Baでのコア部31B,32Bの断面の形状および大きさは互いに同じである。
コア部31B,32Bの出力端31Bb,32Bbでの幅は互いに等しい。このため、出力端31Bb,32Bbでのコア部31B,32Bの断面の形状および大きさは互いに同じである。
コア部31B,32Bの間隔は長さ方向に一定とされている。
【0124】
出力部33は、断面矩形状とすることができる。
出力部33は、直線状に延在する直線導波路であって、幅および高さが長さ方向(光の導波方向)に一定であることが好ましい。
入力端33gにおける出力部33の幅は、出力端31Bb,32Bbにおけるコア部31B,32Bの幅、およびコア部31B,32Bの間隔の合計より大きくされている。このため、出力部33は、コア31Bの外側縁より外側方に張り出した突出部33eと、コア32Bの外側縁より外側方に張り出した突出部33fとを有する。
接続端(出力部33の入力端)において、出力部33の幅方向の中央線と、コア部31B,32Bの幅方向の中央線とは一致する。
コア部31B,32Bの中央線は、コア部31B,32Bとこれらの隙間とを含む幅方向範囲の中央を通る線である。
出力部33の中央線は、出力部33の延在方向に沿い、出力部33の幅方向の中央を通る線である。
【0125】
基板型光導波路素子30では、テーパ構造を有する中間コア部34を設けることによって、前段モード変換部38から後段モード変換部39にかけてコア部31の幅を緩やかに変化させることができる。
このため、コア部31Aとコア部31Cの幅が異なるにもかかわらず、前段モード変換部38と後段モード変換部39とを低損失で接続できる。
【0126】
(実施例3)
<基板型光導波路素子>
図24は、実施例3である基板型光導波路素子40(モード変換素子)を示す平面図である。この実施例は、前段モード変換部と後段モード変換部との間に中間コア部を設けた構造の第2の例である。
基板型光導波路素子40は、互いに並列した一対のコア部41,42と、コア部41,42の後段側(出力側)に設けられた出力部43とを備えている。コア部41,42および出力部43の高さは互いに等しいことが望ましい。
基板型光導波路素子40は、前段モード変換部48と後段モード変換部49との間に、直線状のコア部41B,42Bを有する中間コア部44が介在している点で、
図1に示す基板型光導波路素子10と異なる。
【0127】
前段モード変換部48を構成するコア部41A,42Aのうち、コア部41Aは直線状に延在し、幅は長さ方向(光の導波方向)に一定である。コア部42Aは、入力端から出力端にかけて幅が連続的に狭くなるテーパ状に形成されている。
前段モード変換部48は、入力端では、コア部42Aの幅がコア部41Aの幅より大きいため、コア部42Aの断面はコア部41Aの断面より大きい。
出力端では、コア部41A,42Aの幅が互いに等しいため、コア部41A,42Aの断面の形状および大きさは互いに同じである。
前段モード変換部48は、入力端では位相整合が成立せず、出力端では位相整合が成立する。
【0128】
中間コア部44を構成するコア部41B,42Bのうち、コア部41Bは、コア部41Aに連なって形成され、幅は長さ方向(光の導波方向)に一定である。コア部41Bは直線状に延在し、入力端の幅は、コア部41Aの出力端における幅と同じである。
コア部42Bは、コア部42Aに連なって形成され、幅は長さ方向(光の導波方向)に一定である。コア部42Bは直線状に延在し、入力端の幅は、コア部42Aの出力端における幅と同じである。
コア部41B,42Bの幅は互いに等しい。このため、コア部41B,42Bの断面形状は全長にわたって互いに同じである。
コア部41B,42Bの間隔は長さ方向に一定とされている。
コア部41B,42Bの出力端は、出力部43に接続されている。
【0129】
後段モード変換部49を構成する出力部43は、前図の出力部33と同じ構造である。
すなわち、出力部43の入力端における幅は、出力端におけるコア部41B,42Bの幅、およびコア部41B,42Bの間隔の合計より大きい。このため、出力部43は、コア41B,42Bの外側縁よりそれぞれ外側方に張り出して形成されている。
接続端(出力部43の入力端)において、出力部43の幅方向の中央線と、コア41B,42Bの幅方向の中央線とは一致する。
コア部41B,42Bの中央線は、コア部41B,42Bとこれらの隙間とを含む幅方向範囲の中央を通る線である。
出力部43の中央線は、出力部43の延在方向に沿い、出力部43の幅方向の中央を通る線である。
【0130】
基板型光導波路素子40では、前段モード変換部48と後段モード変換部49との間に直線状の中間コア部44を設けたことにより、後段モード変換部49の配置の自由度を高めることができる。
【0131】
(実施例4)
<基板型光導波路素子>
図25は、実施例4である基板型光導波路素子50(モード変換素子)を示す平面図である。この実施例は、前段モード変換部と後段モード変換部との間に中間コア部を設けた構造の第3の例である。
基板型光導波路素子50は、互いに並列した一対のコア部51,52と、コア部51,52の後段側(出力側)に設けられた出力部53とを備えている。コア部51,52および出力部53の高さは互いに等しいことが望ましい。
基板型光導波路素子50は、前段モード変換部58と後段モード変換部59との間に、湾曲形状のコア部51B,52Bを有する中間コア部54が介在している点で、
図1に示す基板型光導波路素子10と異なる。
【0132】
前段モード変換部58を構成するコア部51A,52Aのうち、コア部51Aは直線状に延在し、幅は長さ方向(光の導波方向)に一定である。コア部52Aは、入力端から出力端にかけて幅が連続的に狭くなるテーパ状に形成されている。
前段モード変換部58は、入力端では、コア部52Aの幅がコア部51Aの幅より大きいため、コア部52Aの断面はコア部51Aの断面より大きい。
出力端では、コア部51A,52Aの幅が互いに等しいため、コア部51A,52Aの断面の形状および大きさは互いに同じである。
前段モード変換部58は、入力端では位相整合が成立せず、出力端では位相整合が成立する。
【0133】
中間コア部54を構成するコア部51B,52Bのうち、コア部51Bは、コア部51Aに連なって形成され、幅は長さ方向(光の導波方向)に一定である。コア部51Bの入力端の幅は、コア部51Aの出力端における幅と同じである。
コア部52Bは、コア部52Aに連なって形成され、幅は長さ方向(光の導波方向)に一定である。コア部52Bの入力端の幅は、コア部52Aの出力端における幅と同じである。
コア部51B,52Bの平面視形状は、円弧状が好ましいが、これに限らず、任意の曲線状であってよい。例えば楕円弧状、放物線状、双曲線状などの高次曲線状(例えば二次曲線状)を採用できる。
コア部51B,52Bの幅は互いに等しいことが好ましい。
コア部51B,52Bの間隔は長さ方向に一定とされている。
コア部51B,52Bの出力端は、出力部53に接続されている。
【0134】
後段モード変換部59を構成する出力部53は、前図の出力部43と同じ構造である。
すなわち、出力部53の入力端における幅は、出力端におけるコア部51B,52Bの幅およびコア部51B,52Bの間隔の合計より大きい。このため、出力部53は、コア51B,52Bの外側縁よりそれぞれ外側方に張り出して形成されている。
接続端(出力部53の入力端)において、出力部53の幅方向の中央線と、コア51B,52Bの幅方向の中央線とは一致する。
コア部51B,52Bの中央線は、コア部51B,52Bとこれらの隙間とを含む幅方向範囲の中央を通る線である。
出力部53の中央線は、出力部53の延在方向に沿い、出力部53の幅方向の中央を通る線である。
なお、基板型光導波路素子30〜50では、中間コア部は前段モード変換部に含めてもよい。
【0135】
(実施例5)
<基板型光導波路素子>
図26は、実施例5である基板型光導波路素子80(モード変換素子)を示す平面図である。
基板型光導波路素子80は、コア5に代えてコア85を有すること以外は、
図15に示す基板型光導波路素子20と同様の構成である。
コア85は、前段モード変換部8と、後段モード変換部89を有する。
後段モード変換部89は、コア部13,14と、コア部13,14の出力側に設けられた出力部3と、出力部3の出力側に延出する1つの出力側コア部86とを備えている。
出力側コア部86は、出力部3よりも幅が小さくされている。出力側コア部86は、断面矩形状であることが好ましい。
後段モード変換部89は、出力部3の入力側に2本のコア部13,14が接続され、出力側に1本の出力側コア部86が接続されているため、1×2MMI(マルチモード干渉計。Multi-Mode Interferometer)として利用可能である。
【0136】
(実施例6)
<基板型光導波路素子>
図27は、実施例6である基板型光導波路素子60(偏波変換素子)を示す模式図である。
基板型光導波路素子60は、
図1に示す基板型光導波路素子10(モード変換素子)の出力側に、高次偏波変換素子101(高次偏波変換部)を有する。なお、高次偏波変換とは、TE
1とTM
0との間の変換をいう。
【0137】
図28は、高次偏波変換素子101の構造の一例を示すもので(非特許文献1を参照)、(A)は平面図、(B)は断面図である。高次偏波変換素子101は、コア102と、屈折率がコアよりも低い下部クラッド103と、屈折率がコア102より低い上部クラッド104とを有する光導波路を備えている。
コア102は例えばSiからなる。下部クラッド103は例えばSiO
2からなる。上部クラッド104は例えば空気からなる。
高次偏波変換を行うには、上部クラッド104と下部クラッド103が互いに異なる屈折率を持つことが必要である。
【0138】
図27の基板型光導波路素子60は、TE
0を基板型光導波路素子10によってTE
1に変換し、TE
1を高次偏波変換素子101によってTM
0に変換することができる。
高次偏波変換素子101では、TE
0は別のモードへの変換が行われないため、コア部2に入力され、出力部3から出力されるTE
0(区別のためTE
0’と記載)は変換されない。
このため、高次偏波変換素子101の出力側から、TM
0とTE
0’とが合波した出力が得られる。よって、基板型光導波路素子60は、偏波多重を行うための素子として用いることが可能である。
【0139】
(実施例7)
<基板型光導波路素子(偏波変換素子)>
図27の基板型光導波路素子60においては、高次偏波変換素子101に代えて、
図29に示す高次偏波変換素子61を用いることもできる(特願2013−135490を参照)。
図29(A)にコア62の平面図、
図29(B)〜
図29(D)にそれぞれコア62の終了部、中間部、開始部の断面図を示す。コア62の周囲には図示しないクラッドが設けられている。
図29(A)では下部コア64に網かけを付した。
【0140】
高次偏波変換素子61では、コア62は、断面矩形状の下部コア64と、下部コア64の上に形成された断面矩形状の上部コア63とを有する。開始部68と終了部69では、上部コア63の両側縁がそれぞれ下部コア64の両側縁と重なる位置にあるため、コア62は断面矩形状である。
開始部68の幅W
68は終了部69の幅W
69より大きい。開始部68と終了部69の高さはいずれもH
62であり、下部コア64の高さH
64はコア高さH
62より低い。
【0141】
開始部68から中間部70までの区間L
61では、下部コア64の幅は一定である一方、上部コア13の幅は開始部68から中間部70にかけて徐々に小さくなる。
中間部70から終了部69までの区間L
62では、下部コア64の幅は中間部70から終了部69にかけて徐々に小さくなる一方、上部コア63の幅は一定である。
高次偏波変換素子61では、コア62が上下非対称の構造を有し、上部コア63および下部コア64の一部の幅が緩やかに変化しているため、TE
1をTM
0に変換することができる。
【0142】
<基板型光導波路素子>
本発明の第2の実施形態として、
図30に示す基板型光導波路素子110の構造について説明する。
図30(A)は、基板型光導波路素子110を示す平面図であり、
図30(B)は、
図30(A)の断面位置(a)における断面図である。なお、
図1に示す基板型光導波路素子10と共通の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0143】
図30に示すように、基板型光導波路素子110(モード変換素子)は、コア5に代えて、コア105を有すること以外は、
図1に示す基板型光導波路素子10と同様の構成である。
図30(A)ではスラブ部16に網かけを付した。
コア105は、互いに並列した一対のコア部1,2(リブ部)と、少なくともコア部1,2間に形成されたスラブ部16と、これらの後段(出力側)に設けられた出力部3とを備えている。
スラブ部16は、コア部1,2に比べて低く形成されている。すなわち、
図30(B)に示すように、スラブ部16の高さH
16は、コア部1,2の高さH
1,H
2より低い。
【0144】
図30(A)に示すように、スラブ部16は、コア部1,2の長さ方向の少なくとも一部において、コア部1,2を互いに接続して形成されている。
スラブ部16は、コア部1,2の互いに対向する内側面の間(すなわちコア部1の内側縁11c、13cの側面と、コア部2の内側縁12c、14cの側面との間)に形成されている。
図示例のスラブ部16は、コア部1,2の全長にわたって形成されている。なお、スラブ部16は、コア部1,2の長さ方向の一部のみに形成されていてもよい。
スラブ部16はコア部1,2と同じ材料(好ましくはSi)からなり、コア部1,2と一体に形成されている。
【0145】
図30(B)に示すように、スラブ部16は、コア部1,2の内側面の下部から延出して形成され、スラブ部16の下面はコア部1,2の下面と面一である。コア部1,2は、スラブ部16の上面から上方に突出している。
コア105は、コア部1,2の幅方向の一方側(内方側)のみにスラブ部16が設けられることによって、いわゆる半リブ導波路を形成している。
【0146】
図30(A)に示すように、コア105は、コア部1,2を伝搬する光のモードを変換する前段モード変換部108(スーパーモード生成素子)と、前段モード変換部108を経た光のモードを変換する後段モード変換部109(突合せ結合素子)とを有する。
前段モード変換部108は、コア部11,12(リブ部)と、これらの間に設けられたスラブ部16とを有する。
後段モード変換部109は、コア部13,14(リブ部)と、これらの間に設けられたスラブ部16とを有する。後段モード変換部109は、前段モード変換部108の後段(出力側)に連なって形成されている。
【0147】
基板型光導波路素子110は、SOI基板を加工して作製することができる。例えば、リソグラフィ/エッチングプロセスにより、SOI基板のSiO
2層を下部クラッドとし、Si層をコアとすることができる。
コアは、2回のリソグラフィ/エッチングプロセスで形成することができる。すなわち、まず、一定厚さのコアをリソグラフィ/エッチングプロセスで作製した後、その一部をリソグラフィ/エッチングプロセスで薄肉化してスラブ部とすることで、コア部とスラブ部とを有するコアを形成することができる。
【0148】
<スーパーモード生成素子の原理>
図31に、幅が互いに等しいコア部21,22と、コア部21,22間に形成されたスラブ部16とを有する光導波路素子を示す。
この図に示すように、隣接する導波路間でTE
0をモード結合させるとき、モードは、
図32(A)および
図32(C)に示すような偶モードと、
図32(B)および
図32(D)に示すような奇モードとなる。これらをまとめてTE
0のスーパーモード(もしくは、単にスーパーモードと呼ぶ。
上述のように、位相整合が成立しているとき、一方の導波路から浸み出した光が他方の導波路へ移りスーパーモードになるのに要する導波路の長さは、モード結合の強さを表す結合係数χに依存する。
【0149】
<スーパーモード生成素子の具体例>
図30および
図33を参照しつつ、スーパーモード生成素子の具体例である前段モード変換部108を説明する。
図33(A)は平面図、
図33(B)は
図33(A)の断面位置(c)に沿う断面図、
図33(C)は断面位置(b)に沿う断面図、
図33(D)は断面位置(a)に沿う断面図である。
「導波路1」はコア部11を有する導波路に相当し、「導波路2」はコア部12を有する導波路に相当する。
【0150】
コア部11(コア部1)およびコア部12(コア部2)はSi(屈折率3.48(波長1580nm))からなり、上部クラッド6および下部クラッド7はSiO
2(屈折率1.44(波長1580nm))からなる。コア部11,12(コア部1,2)の高さは220nmである。スラブ部16の高さは95nmである。コア部11,12(コア部1,2)の間隔は200nmである。
【0151】
図33(D)に示すように、コア部11(コア部1)の幅は400[nm]とし、コア部12(コア部2)の幅は400−X[nm]とした(−200≦X≦0)。Xは、入力端12aから出力端12bにかけて、−200から0まで線形に変化する。
このため、コア部12(コア部2)は、入力端12a(X=−200)から出力端12b(X=0)にかけて幅が徐々に狭くなるテーパ状となっている。
なお、
図33(C)は入力端11a、12aと出力端11b、12bとの中間位置(X=−20)における断面を示す図である。
【0152】
図33に示す例では、入力端11a、12aでは、コア部12の幅(
図33(D)の幅W
12a)がコア部11の幅(
図33(D)の幅W
11a)より大きいことにより、コア部12の断面はコア部11の断面より大きくなっている。このため、位相整合は成立せず、モード結合がほとんど行われない。
一方、出力端11b、12bでは、コア部11,12の幅(
図33(B)の幅W
11b,W
12b)が互いに等しいことにより、コア部11,12の断面の形状および大きさは互いに同じとなる。このため、位相整合が成立する。
【0153】
コア部12は、テーパ状に形成されているため、入力端から出力端にかけて、光の導波方向に沿って徐々に位相整合し、その結果モード結合が進行する。このため、テーパ導波路(コア部12)の長さ(テーパ長)を十分長くとることにより、ほぼ損失無く、導波路1に入力したTE
0をTE
0のスーパーモードの奇モードへ変換することが可能となる。
上述のように、一方の導波路から浸み出した光が他方の導波路へ移りスーパーモードになるのに要する導波路の長さは結合係数χに依存するため、結合係数χが大きいほど、高効率なモード変換が、短い導波路(短いデバイス長)で可能となる。
【0154】
この原理を、上記具体例を基に説明する。
コア部の幅を光の導波方向に変化させる(すなわち導波路をテーパ化する)ことによって、入力端において位相整合する条件が崩れていることを確認するため、導波路1,2がそれぞれ独立に存在する場合のモードの実効屈折率を
図34(A)に示す。なお、波長は1580nmとした(以降も同様とした)。
図34(B)は、コア部11を有する導波路1が独立に存在する場合の導波路1の断面図である。独立化した導波路1のコアは、コア部11と、コア部11から幅方向に延出するスラブ部16A(高さ95nm)とを有し、全体の幅はコア105の幅(400+200+(400−X)[nm])と同じである。
図34(C)は、コア部12を有する導波路2が独立に存在する場合の導波路2の断面図である。独立化した導波路2のコアは、コア部12と、コア部12から幅方向に延出するスラブ部16B(高さ95nm)とを有し、全体の幅はコア105の幅(400+200+(400−X)[nm])と同じである。
【0155】
図34より、X=0では、導波路1のTE
0と導波路2のTE
0の実効屈折率が一致しており、位相整合することがわかる。
Xが0から離れるに従って、導波路1,2のTE
0の実効屈折率にずれが生じ、位相整合する条件は崩れていく。
【0156】
図35に、導波路1、2を互いに隣接させた場合のモードの実効屈折率を示す。
導波路が独立に存在する場合の実効屈折率を示す
図34と比べると、
図35では、X=0で、#0と#1は一致せず、互いに離れている。
これは、導波路1のTE
0と導波路2のTE
0の間で位相整合する条件が成り立つことから、モード結合によって2つのモードは相互作用し、混在したモード(スーパーモード)を形成しているためである。
X=0から離れると、位相整合する条件が成立しなくなっていくために、このような相互作用は起きず、導波路が独立して存在するときと同様のモード分布が得られ、その結果、実効屈折率も独立に導波路が存在する場合と大きく変わらなくなる。
【0157】
テーパ導波路のように、導波路の構造を光の導波方向に徐々に変化させる構造では、一つの実効屈折率の曲線上で推移するようにモードが変換される(断熱変化)。
そのため、
図35において、X=−200(入力端)において導波路1へTE
0を入力し、導波路の長手方向に徐々にXを−200から0へ変化させていくことで、X=0において、TE
0を、TE
0のスーパーモードの奇モードへ変換することができる。
【0158】
これを確認するため、
図36に、断面位置(a)〜(c)(
図33(A)参照)におけるモード#0、#1の電界分布を示す。
図36(A)、(B)は断面位置(a)における電界分布(E
X成分)を示すシミュレーション結果[(A)モード#0、(B)モード#1]である。(C)、(D)は断面位置(b)における電界分布(E
X成分)を示すシミュレーション結果[(C)モード#0、(D)モード#1]である。(E)、(F)は断面位置(c)における電界分布(E
X成分)を示すシミュレーション結果[(E)モード#0、(F)モード#1]である。
なお、x,yはそれぞれ幅方向、高さ方向を表す。
図36(E)、(F)の電界分布はそれぞれ
図32(A)、(B)と同じである。
【0159】
モード#1をみると、
図36(B)に示す断面位置(a)(X=−200)では、TE
0は導波路1に存在している。
図36(D)に示す断面位置(b)(X=−20)では、導波路2のTE
0へモードが結合し始めていることがわかる。
図36(F)に示す断面位置(c)(X=0)では、位相整合する条件が成り立つため、導波路1のTE
0と導波路2のTE
0が混在したスーパーモードの奇モードが見られる。
このように、光の導波方向に導波路構造を徐々に変化させることで、導波路1に入力したTE
0をTE
0のスーパーモードの奇モードに変化させることが可能である。
【0160】
<突合せ結合素子の具体例>
図37を参照しつつ、突合せ結合素子の具体例である後段モード変換部109を説明する。
図37は、後段モード変換部109を示す図であり、
図37(A)は平面図、
図37(B)はコア部の断面図、
図37(C)は出力部の断面図である。
後段モード変換部109において、「導波路1」はコア部13を有する導波路に相当し、「導波路2」はコア部14を有する導波路に相当する。「導波路3」は出力部3を有する導波路に相当する。
【0161】
コア部13(コア部1)およびコア部14(コア部2)はSi(屈折率3.48(波長1580nm))からなり、上部クラッド6および下部クラッド7はSiO
2(屈折率1.44(波長1580nm))からなる。コア部13,14(コア部1,2)の高さは220nmである。スラブ部16の高さは95nmである。
コア部13,14(コア部1,2)の幅W
13,W
14はそれぞれ400[nm]とする。
コア部13,14(コア部1,2)の間隔をgap[nm](gap=200)とする。
【0162】
図37(A)に示すように、入力端3gにおいて、出力部3の幅方向の中央線C
2と、コア部13,14の幅方向の中央線C
1とは互いに一致する。
コア部13,14の中央線C
1は、出力端13b、14b(入力端3g)において、コア部13,14とこれらの隙間を含む幅方向範囲(コア部13の外側縁13dからコア部14の外側縁14dまでの範囲)の中央を通り、コア部13,14の延在方向に沿う線である。
出力部3の中央線C
2は、平面視において出力部3の延在方向に沿う線である。
【0163】
はじめに、導波路3の幅であるWが、導波路1,2の幅W
13,W
14および導波路1,2の間隔gapの合計と等しい場合、すなわち、W=W
13+W
14+gap(=1000nm)を満たす場合を考える。
図38に、この条件下(W=1000)での、導波路3(出力部3)におけるTE
1のE
x成分(y=0.00730942μm)を示す。
図38は、電界分布(E
X成分)を示すシミュレーション結果[(A)]と、E
X成分を示すグラフ[(B)]を示す。
図39は、
図38と同じ条件における、導波路1,2(コア部13,14)での奇モードを示す。
図39は、電界分布(E
X成分)を示すシミュレーション結果[(A)]と、E
X成分を示すグラフ[(B)]を示す。なお、
図39(A)、(B)の電界分布はそれぞれ
図32(B)、(D)と同じである。
【0164】
図38(出力部3におけるTE
1の電界分布)と
図39(コア部13,14における奇モードの電界分布)とを比較すると、これらが互いに類似していることがわかる。
【0165】
導波路1,2と導波路3を不連続的に接続した場合、これらの突合せ結合による変換効率は上述の式(6)で表される(ただし、TEモードはE
x成分が主成分であることから、それ以外の成分の寄与を無視している)。
【0166】
式(6)より、導波路1,2の奇モードと導波路3のTE
1との電界分布が類似しているほど、変換効率が高くなることがわかる。実際、
図37(A)の突合せ結合素子において、W=1000のときの変換効率は高い値(約−0.134dB)となる(波長は1550nm)。
【0167】
次に、導波路3の幅Wが、導波路1,2の幅W
13,W
14および導波路1,2の間隔gapの合計より大きい場合、すなわち、W>W
13+W
14+gapを満たす場合を考える(特願2013−214792の明細書等を参照)。
【0168】
この構造を採用することによって、導波路1,2の奇モードと導波路3のTE
1との電界分布をさらに近づけることができることを説明する。
図40に、導波路3の幅と、奇モード/TE
1の変換効率の関係を示す(波長は1550nmとした)。
この図に示すように、変換効率はW=1200付近で最大値(−0.087dB)となる。
これは、Wを大きくすることで、奇モードとのピーク位置が揃い、式(6)の積分値が大きくなったためである。
【0169】
図41に、W=1200の場合、すなわち、W(=W
3)>W
13+W
14+gapとなる場合におけるTE
1の電界分布とE
x成分を示す。
この図を
図38(W=1000)と比較すると、
図41では、
図38に比べ、ピーク位置が幅方向外側に移動しており、
図39の奇モードのピーク位置に近づいていることがわかる。このため、導波路1,2の奇モードと導波路3のTE
1との電界分布の重なりが大きくなる。
このように、突合せ結合素子の出力部を「W
3>W
13+W
14+gap」を満たすように形成することによって、奇モードとTE
1の電界分布の類似性を利用することで、奇モードをTE
1に高効率で変換することができる。
【0170】
本実施形態によれば、スーパーモード生成素子(前段モード変換部)は、TE
0を、第1および第2コアの出力端でTE
0のスーパーモードの奇モードに変換する。
突合せ結合素子(後段モード変換部)は、前記奇モードを、TE
1に変換する。
このため、スーパーモード生成素子に入力したTE
0は、奇モードへと変換され、その後、突合せ結合素子に入力されてTE
1に変換される。
【0171】
<本実施形態による効果>
[効果1]
本実施形態では、第1実施形態と同様に、広い波長帯域で高い変換効率を確保することができ、しかも製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる。
さらに、本実施形態では、一対のコア部の間にスラブ部を形成することによって、スラブ部が無い場合に比べて、2つのコア部の間において、コアとクラッドの屈折率差が実質的に小さくなり、光の浸み出しが大きくなる。そのため、結合係数χが大きくなり、隣接する導波路間の光の結合が大きくなる。
従って、短い距離でモード変換が可能となり、デバイス長を短くできる。
【0172】
[効果2]
コア部の間にスラブ部を形成した構造を有するため、2回のリソグラフィ/エッチングプロセスで、コア部とスラブ部とを一体に形成することができる。
すなわち、まず、一定厚さのコアをリソグラフィ/エッチングプロセスで作製した後、その一部をリソグラフィ/エッチングプロセスで薄肉化してスラブ部とすることで、コアを形成することができる。
また、コアの高さとスラブ部の高さの制限は特になく、光導波路の一般的な条件が成立していればよいことから、他のスラブ部を有する光導波路素子(リブ型位相変調部を有する光変調器など)との集積が容易である。
【0173】
[効果3]
図1等に示す第1の実施形態の基板型光導波路素子10と同様に、スーパーモード生成素子の使用により、広い波長帯域にわたって高効率な変換が可能であり、かつ製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる。
また、突合せ結合素子の使用により、広い波長帯域にわたって高効率な変換が可能であり、かつ製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる。これは次の理由による。
波長が変化した場合、それに応じてモードの電界分布はコアに対して広がったり(波長が増加した場合)、縮んだり(波長が減少した場合)する。
この変化は、任意のモードで同一であるため、奇モードとTE
1の場合でも、波長の変化に応じて互いに同じ電界分布の変化をもつ。そのため、突合せ結合の変換効率は高い値となる。
これを確認するために、
図42に、W=1200のときの波長と変換効率との関係を示す。
この図より、波長が変化しても高い変換効率が維持されることがわかる。
【0174】
また、リソグラフィ/エッチングによる製造誤差や、ウェハ(SOI基板など)の層の高さのバラつきがある場合、その影響(コアの幅や高さの変化など)は、局所的には導波路の各部位に同じ量だけ生じるため、導波路1,2と導波路3とは互いに同じように変化する(幅がともに増える、減るなど)。このため、それに応じて、それぞれの導波路のモードの電界分布も、互いに同じように広がったり、縮んだりする。
そのため、突合せ結合素子では、変換効率の低下は起こらず、高い変換効率を確保できる。
【0175】
具体例として、
図43に、突合せ結合素子(後段モード変換部)の導波路1〜3のコア幅(
図43では導波路幅と記載)(例えば
図37(A)のW
3,W
13,W
14)をすべて−30nmだけ変化させた場合の波長と変換効率との関係を示すグラフである。
この図より、導波路1〜3のコア幅が変化しても、高い変換効率を維持していることがわかる。
このように、本実施形態では、スーパーモード生成素子(前段モード変換部)および突合せ結合素子(後段モード変換部)を使用することによって、広い波長帯域にわたり高効率の変換が可能であり、かつ、製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる。
【0176】
[効果4]
基板型光導波路素子110では、スラブ部16を有するため、後段モード変換部9において、奇モードからTE
1への変換効率が高まるだけでなく、偶モードからTE
0への変換効率も高められる。
このため、TE
0とTE
1のモード多重を行う際に有利となる。
【0177】
(実施例8)
<基板型光導波路素子>
図44は、本発明の実施例8である基板型光導波路素子120(モード変換素子)を示す図であって、
図44(A)は平面図であり、
図44(B)は、
図44(A)の断面位置(a)における断面図である。なお、
図30に示す基板型光導波路素子110と共通の構成については同一符号を付して説明を省略する。
コア部11(コア部1)の幅は400[nm]とし、コア部12(コア部2)の幅は400−X[nm]とした(−200≦X≦0)。Xは、入力端12aから出力端12bにかけて、−200から0まで線形に変化する。コア部13,14の幅はそれぞれ400[nm]である。コア部1,2の間隔gapは200[nm]である。出力部3の幅は1250[nm]である。コア部1,2および出力部3の高さは220nmである。スラブ部16の高さは95nmである。
【0178】
基板型光導波路素子120では、第1コア部1が直線導波路23を有し、第2コア部2が曲げ導波路24を有する。直線導波路23はコア部11の入力側に形成され、曲げ導波路24はコア部12の入力側に形成されている。
【0179】
基板型光導波路素子120では、第1コア部1(直線導波路23)と第2コア部2(曲げ導波路24)とが、前段モード変換部108に近づくほど互いに接近して形成されているため、不要な光の反射を抑えることができる。
直線導波路23と曲げ導波路24とは、前段モード変換部108から離れるほど互いに離間するため、テーパ化よりも確実にモード結合を低減することができる。このため、前段モード変換部108におけるモード変換効率を高めることができる。
【0180】
この実施例によりモード変換が可能であることを示すために、コア部1にTE
0を入力したときに出力されるTE
1の変換効率(入力したTE
0のパワーに対する出力されるTE
1のパワーの比)を有限差分時間領域法(FDTD)で計算した。
突合せ結合素子(
図44の後段モード変換部109)の長さL
2は1μmとした。波長は1550nmとした。計算結果を
図45に示す。
【0181】
図45は、スーパーモード生成素子のテーパ長L
1(テーパ導波路(コア部12)の長さ)と変換効率との関係を示している。
この図より、スーパーモード生成素子のテーパ長L
1が長いほど、光の導波方向のコア部の幅の変化が緩やかになるため、断熱変化の条件が成立しやすくなり、変換効率が高くなることがわかる。
【0182】
図46は、スーパーモード生成素子(前段モード変換部108)のテーパ長L
1(コア部12の長さ)が12μmのときの電界分布を示す。
図46は、コア部1に入力端(下端)からTE
0を入力した場合における、y=0.1μmのE
X成分を示している。波長は1550nmとした。
【0183】
図46より、スーパーモード生成素子では光が結合し、両方のコア部にTE
0が分布する奇モードに変換していることがわかる。また、突合せ結合素子により奇モードがTE
1に変化していることも確認できる。
【0184】
図47は、本実施例の波長依存性(波長と変換効率との関係)をFDTDによってシミュレーションした結果を示すグラフである。スーパーモード生成素子のテーパ長L
1は12μmとした。
図47より、本実施例では、1520nmから1640nmにわたって、−0.27dB以上の高い変換効率を持つことが確認できる。
なお、電界分布は長波長になるにつれコア部の外に広がり、隣接する導波路への結合が大きくなるため、長波長においてスーパーモード生成素子の変換効率が高くなり、それによって全体の変換効率が向上している。
【0185】
次に、本実施例の製造誤差による影響を確認するため、全てのコア部(および出力部)の幅が−30nmだけ変化したときの、波長と変換効率との関係をFDTDによってシミュレーションした。スーパーモード生成素子のテーパ長L
1は12μmとした。
計算結果を
図48に示す。
【0186】
図48を
図47と比較すると、全てのコア部(および出力部)の幅が−30nmだけ変化した場合の変換効率の変動は、各波長において0.15dB以内に収まっており、高い変換効率を維持している。
この図より、本構造は、製造誤差に強いことが確認できる。
【0187】
次に、本実施例における、コア部2のTE
0と、TE
1(コア部1へ入力されたTE
0が変換されたもの)のモード多重が可能であることを示す。
そのために、コア部2に入力側からTE
0(区別のためTE
0’と記載)を入力した時の突合せ結合素子から出力されるTE
0’の透過率(コア部2へ入力したTE
0’のパワーに対する、突合せ結合素子から出力されるTE
0’のパワーの比)をFDTDによりシミュレーションした。
【0188】
図49に、スーパーモード生成素子のテーパ長が12μmのときのFDTDで計算した電界分布を示す。波長は1550nmとした。
図49は、コア部1に入力端(下端)からTE
0を入力した場合における、y=0.1μmのE
X成分を示している。
このとき、透過率は−0.17dBとなり、多くのパワーが透過することがわかる。以上により、本実施例はモード多重が可能である。
【0189】
<従来技術との比較>
本実施例と、従来技術である非対称方向性得結合器の性能と比較する。詳しくは、実施例8と、
図69の構造を有する比較例1とを比較する。まず、比較の妥当性について次の観点から検討する。
本発明に用いられるスーパーモード生成素子と従来技術の非対称方向性結合器は、ともにモード結合の原理を利用している。
モード結合は、隣接導波路への光の浸み出しが大きいほど結合が強くなり効率が上がる。そのためには、コア部の幅を細くし光の閉じ込めを弱くすればよい。
しかしながら、実際に作製することを考慮すると、コア部の幅が狭すぎると再現性が低下したり、リソグラフィの精度に依存しマスク設計通りの導波路が作製できなかったりといった問題があるため、コア部の幅には作製が可能な最小値がある。
そのため、最小のコア部の幅を同じ条件にすることで、実施例8と比較例1との比較が可能となる。なお、コア部の間隔を小さくすることでも結合は強くなるため、実施例8と比較例1とのコア部の間隔も同じにしている。
【0190】
実施例8では、モード結合の原理を利用するスーパーモード生成素子の出力端(最もコアを狭くする必要がある部分)の幅を400nmとして、それ以外のコア部の幅を決定した。コア部の間隔は200nmとした。
比較例1(
図69の非対称方向性結合器)は、結合対象となるTE
0が導波するコア部1(最もコアを狭くする必要がある部分)の幅を400nmとし、これと位相整合するようにコア部2の幅を決定した。
最小のコア部の幅およびコア部の間隔を同じ条件としたため、実施例8と比較例1との比較が可能となる。
【0191】
図50に、実施例8および比較例1について、波長が変換効率に与える影響を比較した結果を示す。なお、実施例8、比較例1の結果をそれぞれ実施例8−1、比較例1−1と記載した。これらの結果は、
図47および
図71に示したものと同じである。
図50より、比較例1(比較例1−1)では、波長1580nm付近では実施例8よりも低損失ではあるが、波長が変化すると大きく変換効率が低下する。そのため、波長による損失変化が大きい。
【0192】
一方、実施例8(実施例8−1)は、1580nm付近では比較例1(比較例1−1)に劣るものの、1520〜1640nm(光通信におけるC+Lバンドをカバーする波長範囲)における、波長に依存する損失変化が小さい。
また、この波長範囲の最小変換効率を比較すると、実施例8(実施例8−1)の方が高いことがわかる。
以上のように、実施例8(実施例8−1)は、比較例1(比較例1−1)よりも広い波長範囲にわたって高効率な変換が可能である。
なお、実施例8(実施例8−1)では、スーパーモード生成素子が断熱変化を利用しているため、テーパ長を長くすることで、さらなる低損失化が可能である。
一方、比較例1(比較例1−1)の非対称方向性結合器は、長さを大幅に変更するのが難しいため、変換効率に関して、これ以上の改善は見込めない。
【0193】
続いて、
図51に、実施例8および比較例1について、製造誤差が変換効率に与える影響を比較した結果を示す。
図51は、コア部(および出力部)の幅が−30nm変化したときの変換効率を示す。なお、実施例8、比較例1の結果をそれぞれ実施例8−2、比較例1−2と記載した。これらの結果は、
図48および
図74に示したものと同じである。
図51より、比較例1(比較例1−2)では、位相整合が成り立たず大きく変換効率を下げているのに対し、実施例8(実施例8−2)では高い変換効率を維持している。
従って、実施例8(実施例8−2)は比較例1(比較例1−2)よりも製造誤差に強い。
【0194】
実施例8の構造の基板型光導波路素子120を実際に製作した。
図52に、波長に対する、TE
0からTE
1に変換したときの損失(変換効率(dB)にマイナスをつけたもの)の測定結果を示す。この図より、TE
0からTE
1への変換を十分に行うことができたことがわかる。
このときの変換損失は、1430〜1630nmの広い波長帯域において、0.4dB以下であり非常に低い。これは、この基板型光導波路素子の波長依存性が小さく、製造誤差にも強いためである。
図50〜
図52の結果より、本発明は従来技術に比べ、広い波長帯域で高い変換効率を持ち、かつ製造誤差に強いことがわかる。
【0195】
(実施例9)
<基板型光導波路素子>
図53は、本発明の実施例9である基板型光導波路素子170(モード変換素子)を示す図であって、リブ導波路構造を採用した基板型光導波路素子の第1の例である。
図53(A)は平面図であり、
図53(B)は、出力部3の断面図であり、
図53(C)は、コア部1,2の断面図である。
基板型光導波路素子170は、コア105に代えてコア175を有すること以外は、
図44に示す基板型光導波路素子120と同様の構成である。
コア175は、互いに並列した一対のコア部1,2と、コア部1,2間にこれらを接続して形成されたスラブ部16(中間領域)と、コア部1,2からそれぞれ幅方向の外方に延出して形成されたスラブ部17,18(外方延出領域)とを備えている。
図53(A)ではスラブ部16〜18に網かけを付した。
スラブ部17,18は、スラブ部16と同様に、コア部1,2に比べて低く形成されている。
【0196】
スラブ部16〜18の下面はコア部1,2の下面と面一である。このため、コア部1,2は、スラブ部16〜18の上面から上方に突出している。
コア175は、コア部1,2の幅方向の一方側(内方側)だけでなく他方側(外方側)にもスラブ部17,18が設けられることによって、いわゆるリブ導波路を形成している。
コア175は、前段モード変換部178と後段モード変換部179とを有する。後段モード変換部179の出力部3にはスラブ部17,18が形成されていない。
【0197】
基板型光導波路素子170では、コア175がスラブ部16〜18を有するため、スラブ部が無い場合に比べて導波路間の光の結合を高め、デバイス長を短くできる。
基板型光導波路素子170は、コア部1,2の外方に延出したスラブ部17,18を有するため、コア部1,2の外方への光の浸み出しが大きくなることから、
図44に示す基板型光導波路素子120に比べて結合係数χが小さくなるが、その半面、ドライエッチングなどのプロセス上で生じる、コア部の側壁の荒れ(粗面化)による悪影響(光散乱による損失増大)を小さくできる点では有利となる。
コア部の側壁の荒れの影響を小さくできるのは、基板型光導波路素子170では、コア部1,2の両側方にスラブ部16〜18を有するため、コア部1,2の側面の面積が小さいためである。
従って、側壁荒れによる損失を低下させる観点からは、本実施例(リブ導波路)は好ましい。
【0198】
(実施例10)
<基板型光導波路素子>
図54は、本発明の実施例10である基板型光導波路素子190(モード変換素子)を示す図であって、リブ導波路構造を採用した基板型光導波路素子の第2の例である。
図54(A)は平面図であり、
図54(B)は、出力部3の断面図であり、
図54(C)は、コア部1,2の断面図である。
基板型光導波路素子190は、コア175に代えてコア195を有すること以外は、
図53に示す基板型光導波路素子170と同様の構成である。
コア195は、前段モード変換部178と後段モード変換部199とを有する。
後段モード変換部199は、出力部3にもスラブ部17,18が形成されている点で、
図53(A)の後段モード変換部179と異なる。
この基板型光導波路素子190では、
図53の基板型光導波路素子170と同様の効果が得られる。
基板型光導波路素子190は、リブ導波路構造を採用した後段モード変換部199を備えているため、上下非対称な構造を有する高次偏波変換素子(
図64参照)を接続する際に、低損失化を図ることができる。
【0199】
(実施例11)
<基板型光導波路素子>
図55は、本発明の実施例11である基板型光導波路素子200(モード変換素子)を示す図であって、リブ導波路構造を採用した基板型光導波路素子の第3の例である。
図55(A)は平面図であり、
図55(B)は、出力部3の断面図であり、
図55(C)は、コア部1,2の断面図である。
基板型光導波路素子200は、コア195に代えてコア205を有すること以外は、
図54に示す基板型光導波路素子190と同様の構成である。
コア205は、前段モード変換部208と後段モード変換部209とを有する。
コア205は、出力部3にはスラブ部17,18(外方延出領域)が形成されているが、コア部1,2にはスラブ部17,18が形成されていない。
この基板型光導波路素子200では、
図53の基板型光導波路素子170と同様の効果が得られる。
基板型光導波路素子200は、リブ導波路構造を採用した後段モード変換部209を備えているため、上下非対称な構造を有する高次偏波変換素子(
図64参照)を接続する際に、低損失化を図ることができる。
【0200】
(実施例12)
<基板型光導波路素子>
図56は、本発明の実施例12である基板型光導波路素子180を示す平面図である。
基板型光導波路素子180(モード変換素子)は、第1コア部1が片側テーパ導波路25を有し、第2コア部2が片側テーパ導波路26を有すること以外は、
図44に示す基板型光導波路素子120と同様の構成である。
片側テーパ導波路25は直線導波路23の入力側に設けられ、片側テーパ導波路26は曲げ導波路24の入力側に設けられている。
【0201】
図57は片側テーパ導波路26の一例を示す図であり、(A)は入力端の断面図、(B)は平面図、(C)は出力端の断面図である。
片側テーパ導波路26は、リブ部181と、リブ部181の一方の側面に、リブ部181から延出して形成されたスラブ部182とを有する。
リブ部181は、長さ方向に幅が一定とされている。
スラブ部182は、リブ部181の長さ方向に、一端181aから他端181bに向けて徐々に幅広となるテーパ状に形成されている。
スラブ部182は、リブ部181の一端181aを始点として形成されているため、片側テーパ導波路26は、入力端26aでは矩形導波路であり、出力端26bでは半リブ導波路である。
片側テーパ導波路25にも同様の構造を採用できる。
このため、片側テーパ導波路25,26を用いることによって、外部の矩形導波路183,184と、半リブ導波路(直線導波路23および曲げ導波路24)との接続箇所における導波路構造の長さ方向の変化を緩やかにし、低損失の接続を実現できる。
【0202】
図56に示す基板型光導波路素子180では、片側にのみスラブ部がある半リブ導波路と、矩形導波路との接続を想定しているが、両側にスラブ部があるリブ導波路と、矩形導波路との接続の場合には、
図58に示す両側テーパ導波路27を使用すればよい。
両側テーパ導波路27は、リブ部181と、リブ部181の両側面にそれぞれ形成されたスラブ部182とを有する。
スラブ部182は、一端181aを始点として形成されているため、両側テーパ導波路27は、入力端では矩形導波路であり、出力端ではリブ導波路である。
このため、両側テーパ導波路27を用いることによって、外部の矩形導波路と、両側にスラブ部があるリブ導波路との接続箇所において低損失の接続を実現できる。
【0203】
(実施例13)
<基板型光導波路素子>
図59は、実施例13である基板型光導波路素子130(モード変換素子)を示す平面図である。この実施例は、前段モード変換部と後段モード変換部との間に中間コア部を設けた構造の第4の例である。
基板型光導波路素子130は、コア部31,32の間にスラブ部16が形成されていること以外は
図23に示す基板型光導波路素子30と同じ構成である。
基板型光導波路素子130においても、基板型光導波路素子30と同様に、テーパ構造を有する中間コア部34を設けることによって、前段モード変換部38と後段モード変換部39とを低損失で接続できる。
【0204】
(実施例14)
<基板型光導波路素子>
図60は、実施例14である基板型光導波路素子140(モード変換素子)を示す平面図である。この実施例は、前段モード変換部と後段モード変換部との間に中間コア部を設けた構造の第5の例である。
基板型光導波路素子140は、コア部41,42の間にスラブ部16が形成されていること以外は
図24に示す基板型光導波路素子40と同じ構成である。
基板型光導波路素子140においても、基板型光導波路素子40と同様に、直線状の中間コア部44を設けたことにより、後段モード変換部49の配置の自由度を高めることができる。
【0205】
(実施例15)
<基板型光導波路素子>
図61は、実施例15である基板型光導波路素子150(モード変換素子)を示す平面図である。この実施例は、前段モード変換部と後段モード変換部との間に中間コア部を設けた構造の第6の例である。
基板型光導波路素子150は、コア部51,52の間にスラブ部16が形成されていること以外は
図25に示す基板型光導波路素子50と同じ構成である。
基板型光導波路素子150においても、基板型光導波路素子50と同様に、湾曲形状の中間コア部54を設けたことにより、後段モード変換部59の配置の自由度を高めることができる。
【0206】
(実施例16)
<基板型光導波路素子>
図62は、実施例16である基板型光導波路素子260(モード変換素子)を示す平面図である。
基板型光導波路素子260は、リブ導波路構造を採用した基板型光導波路素子であって、コア85に代えてコア185を有すること以外は、
図26に示す基板型光導波路素子80と同様の構成である。
コア185は、前段モード変換部178と、後段モード変換部189とを備えており、コア部1,2にスラブ部16〜18が形成されている点で、
図26に示す基板型光導波路素子80と異なる。
後段モード変換部189は、出力部3の入力側に2本のコア部13,14が接続され、出力側(出力部3の後段)に1本の出力側コア部86が接続されているため、1×2MMI(マルチモード干渉計)として利用可能である。
【0207】
(実施例17)
<基板型光導波路素子(偏波変換素子)>
図63は、実施例17である基板型光導波路素子160(偏波変換素子)を示す模式図である。
基板型光導波路素子160は、
図30に示す基板型光導波路素子110(モード変換素子)の出力側に、高次偏波変換素子101(高次偏波変換部)を有する。なお、高次偏波変換とは、TE
1とTM
0との間の変換をいう。
高次偏波変換素子101としては、
図28に例示したものを使用できる。高次偏波変換素子101に代えて、
図29に示す高次偏波変換素子61を用いることもできる。
【0208】
図63の基板型光導波路素子160は、TE
0を基板型光導波路素子110によってTE
1に変換し、TE
1を高次偏波変換素子101によってTM
0に変換することができる。
高次偏波変換素子101では、TE
0は別のモードへの変換が行われないため、コア部2に入力され、出力部3から出力されるTE
0(区別のためTE
0’と記載)は変換されない。
このため、高次偏波変換素子101の出力側から、TM
0とTE
0’とが合波した出力が得られる。よって、基板型光導波路素子160は、偏波多重を行うための素子として用いることが可能である。
【0209】
(実施例18)
<基板型光導波路素子(偏波変換素子)>
図64は、実施例18である基板型光導波路素子210(偏波変換素子)を示す図であって、(A)は全体平面図、(B)は高次偏波変換素子の平面図、(C)は高次偏波変換素子の終了部の断面図、(D)は高次偏波変換素子の開始部の断面図である。
基板型光導波路素子210のコア215は、前段モード変換部178と、後段モード変換部199と、を有する。
基板型光導波路素子210は、後段モード変換部199の出力側に、高次偏波変換素子111(高次偏波変換部)(特願2013−135490を参照)を有する。
図64(A)に示すように、前段モード変換部178および後段モード変換部199は、
図54に示す基板型光導波路素子190に用いられているものと同様とすることができる。
【0210】
図64(B)〜(D)に示すように、高次偏波変換素子111は、コア112が、下部コア114と上部コア113からなり、上部コア113および下部コア114は、幅が光の導波方向に連続的に減少するテーパ状に形成されている。
コア112は、上部コア113の幅と下部コア114の幅とが異なる上下非対称な構造を有する。
下部コア114は、後段モード変換部199のスラブ部17,18に一体的に形成することができる。
【0211】
高次偏波変換素子111は、開始部118のTE
1と終了部119のTM
0との間で偏波変換できる。
基板型光導波路素子210は、TE
0を前段モード変換部178および後段モード変換部199によってTE
1に変換し、TE
1を高次偏波変換素子111によってTM
0に変換することができる。
コア部2に入力され、高次偏波変換素子111に入力されたTE
0(区別のためTE
0’と記載)は変換されない。
このため、高次偏波変換素子111の出力側から、TM
0とTE
0’とが合波した出力が矩形導波路である出力部213に入力される。
よって、基板型光導波路素子210は、偏波多重を行うための素子として用いることが可能である。
基板型光導波路素子210は、リブ導波路構造を採用した後段モード変換部199を備えているため、上下非対称な構造を有する高次偏波変換素子111への接続を低損失化できる。
【0212】
(実施例19)
<基板型光導波路素子(偏波変換素子)>
図65は、実施例19である基板型光導波路素子250(偏波変換素子)を示す平面図である。
基板型光導波路素子250は、コア195に代えてコア255を有すること以外は、
図64の基板型光導波路素子210と同様の構成である。
コア255の後段モード変換部209は、出力部3にはスラブ部17,18(外方延出領域)が形成されているが、コア部1,2にはスラブ部17,18がない点で、前図の後段モード変換部199と異なる。
コア205の前段モード変換部208は、コア部11,12にスラブ部17,18がない点で、前図の前段モード変換部178と異なる。
前段モード変換部208および後段モード変換部209は、
図55に示す基板型光導波路素子200に用いられているものと同様とすることができる。
【0213】
基板型光導波路素子250は、TE
0を前段モード変換部208および後段モード変換部209によってTE
1に変換し、TE
1を高次偏波変換素子111によってTM
0に変換することができる。
コア部2に入力され、高次偏波変換素子111に入力されたTE
0(区別のためTE
0’と記載)は変換されない。
このため、高次偏波変換素子111の出力側から、TM
0とTE
0’とが合波した出力が矩形導波路である出力部213に入力される。
よって、基板型光導波路素子250は、偏波多重を行うための素子として用いることが可能である。
【0214】
(実施例20)
<偏波多重4値位相(DP−QPSK:Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying)変調器>
本発明の基板型導波路素子は、例えば、参考文献[2](P. Dong, C. Xie, L. Chen, L. L. Buhl, and Y.-K. Chen, "112-Gb/s Monolithic PDM-QPSK Modulator in Silicon," in European Conference and Exhibition on Optical Communication (2012), Vol. 1, p. Th.3.B.1)で開示されているようなDP−QPSK変調器に使用することが可能である。
【0215】
図66にDP−QPSK変調器の一例を模式的に示す。
このDP−QPSK変調器220は、通常の光導波路にTE
0とTM
0の2つのが存在できることを利用して、TE
0/TM
0の両モードに独立したQPSK信号を有する、DP−QPSK変調を行う。
具体的には、入力部221からTE
0で入力した光を2つの光導波路222,222に分岐し、QPSK変調器223,223により各々QPSK信号に変調した後、光導波路224,224の片側のTE
0を偏波変換素子225によりTM
0に変換させて、2つのモードを偏波ビームコンバイナで同一の光導波路上に合成し、TE
0とTM
0に独立した信号を出力部226に出力する。
【0216】
(実施例21)
<コヒーレント受信機>
本発明の基板型光導波路素子は、例えば、参考文献[2](C. Doerr, et al., "Packaged Monolithic Silicon 112-Gb/s Coherent Receiver," IEEE Photonics Technology Letters, Vol. 23, p.p. 762, 2011)で開示されているような、TE
0とTM
0を同時に伝送した偏波多重信号のSi光導波路上の偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機に使用することが可能である。
【0217】
図67に、偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機の一例を模式的に示す。
このコヒーレント受信機230は、TE
0とTM
0を同時に伝送した偏波多重信号の光導波路231を、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える偏波変換素子232に接続し、光導波路233,233の一方にはTE0の信号を、また、光導波路233,233の他方にはTM
0から変換したTE
0の信号を分岐させる。局発光234として、一般的に用いられる半導体レーザ光源は片偏波のみ、例えばTE
0(local)の出力を用いる。このような光源を用いる場合、従来では局発光の偏波変換が必要となる。
【0218】
しかし、このコヒーレント受信機230では、信号光は偏波分離後にいずれもTE
0の信号(signal)となるので、局発光の偏波変換が不要になる。信号光と局発光は、光合波部235を経て、結合部236から出力される。
【0219】
偏波変換素子232に光導波路型の構造を用いる場合、結合部236における素子外部との光の結合には、基板側方より結合する逆テーパ型のモードフィールド変換器など、偏波分離機能を持たない結合器を利用することが可能である。結合器には、例えば参考文献[3](Qing Fang, et al., "Suspended optical fiber-to-waveguide mode size converter for Silicon photonics", OPTICS EXPRESS, Vol. 18, No. 8, 7763( 2010))に開示されている、逆テーパ型の構造が開示できる。
【0220】
(実施例22)
<偏波ダイバーシティ>
本発明の基板型光導波路素子は、例えば、参考文献[4](Hiroshi Fukuda, et al., "Silicon photonic circuit with polarization diversity," Optics Express, Vol. 16, No. 7, 2008)で開示されているような、TE
0とTM
0が同時に伝送される偏波多重伝送や、片方の偏波がランダムに伝送されるときに、両モードに対して同様の操作を与えるための素子を利用したい場合、偏波ダイバーシティ方式を実行するために用いることができる。
【0221】
図68に示す偏波ダイバーシティ240では、TE
0とTM
0が同時に伝送される偏波多重信号の光導波路241を、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える偏波変換素子242に接続し、光導波路243,243の一方にはTE
0の信号を、また、光導波路243,243の他方にはTM
0から変換したTE
0の信号を分岐させる。素子244,244で操作されたTE
0の信号光は、光導波路245,245から偏波変換素子246で合成して、TE
0とTM
0が同時に伝送される偏波多重信号の光導波路247に出力する。
【0222】
偏波変換素子242には、偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機と同様に、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える本発明の偏波変換素子を用いることができる。
偏波変換素子246には、DP−QPSK変調器と同様に、偏波変換と偏波ビームコンバイナが同時に行える本発明の偏波変換素子を用いることができる。
【0223】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。