(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る電子機器、及び画像形成装置について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す正面断面図である。本発明に係る電子機器の一実施形態である画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。画像形成装置1は、装置本体11に、画像形成部12、定着部13、給紙部14、原稿給送部6及びスキャナー5等を備えて構成されている。装置本体11は、メイン制御部100(
図2)、不揮発性メモリ101(
図2)、及び設定可能範囲検出部102(
図2)を含み、操作部47が着脱可能に接続される。なお、装置本体11は特許請求の範囲における電子機器本体の一例となる。
【0011】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について操作者から画像形成動作実行指示や原稿読取動作実行指示等の指示を受け付ける。
なお、操作部47は特許請求の範囲における操作モジュールの一例となる。操作部47は、操作者への操作案内等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)473が備えられる。なお、LCD473は、特許請求の範囲における表示モジュールの一例となる。操作部47は、更に、LCD制御部470(
図3)を備える。なお、LCD制御部470の詳細については
図3を参照しつつ後述する。
【0012】
画像形成装置1が原稿読取動作を行う場合、原稿給送部6により給送されてくる原稿又は原稿載置ガラス161に載置された原稿の画像をスキャナー5が光学的に読み取り、画像データを生成する。スキャナー5により生成された画像データは内蔵HDD又はネットワーク接続されたコンピューター等に保存される。
【0013】
画像形成装置1が画像形成動作を行う場合は、原稿読取動作により生成された画像データ又はネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ又は内蔵HDDに記憶されている画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙Pにトナー像を形成する。カラー印刷を行う場合、画像形成部12のマゼンタ用の画像形成ユニット12M、シアン用の画像形成ユニット12C、イエロー用の画像形成ユニット12Y及びブラック用の画像形成ユニット12Bkは、それぞれに、画像データを構成するそれぞれの色成分からなる画像に基づいて、帯電、露光及び現像の工程により感光体ドラム121上にトナー像を形成し、トナー像を一次転写ローラー126により中間転写ベルト125上に転写させる。
【0014】
中間転写ベルト125上に転写される各色のトナー画像は、転写タイミングを調整して中間転写ベルト125上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。二次転写ローラー210は、中間転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像を、中間転写ベルト125を挟んで駆動ローラー125Aとのニップ部Nにおいて、給紙部14から搬送路190を搬送されてきた記録紙Pに転写させる。この後、定着部13が記録紙P上のトナー像を熱圧着により記録紙Pに定着させる。定着処理の完了したカラー画像形成済みの記録紙Pは、排出トレイ151に排出される。
【0015】
給紙部14は、複数の給紙カセットを備える。メイン制御部100(
図2)は、操作者による指示で指定されたサイズの記録紙が収容された給紙カセットのピックアップローラー145を回転駆動させて、各給紙カセットに収容されている記録紙Pをニップ部Nに向けて搬送させる。
【0016】
尚、画像形成装置1において、両面印刷を行う場合は、画像形成部12より一方の面に画像が形成された記録紙Pを、排出ローラー対159にニップされた状態とした後、記録紙Pを排出ローラー対159によりスイッチバックさせて反転搬送路195に送り、搬送ローラー対19により、ニップ部N及び定着部13に対して記録紙Pの搬送方向上流域に再度搬送する。これにより、画像形成部12により記録紙の他方の面に画像が形成される。
【0017】
図2は、画像形成装置1の主要内部構成を示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、スキャナー5、画像形成部12、画像メモリー32、HDD93、定着部13、駆動モーター70、操作部47、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェース部91、及びUSBインターフェース部92等を備える。尚、
図1を用いて説明した構成要素と同じものには同じ番号を付し、説明を省略する。
【0018】
スキャナー5は、制御ユニット10に備えられるメイン制御部100による制御の下、光照射部及びCCDセンサー等を有する読取機構163(
図1)を備える。スキャナー5は、光照射部により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサーで受光することにより、原稿から画像を読み取る。なお、スキャナー5は、特許請求の範囲における他のモジュールの一例となる。
【0019】
画像メモリー32は、スキャナー5による読取で得られた原稿画像のデータを一時的に記憶したり、画像形成部12のプリント対象となるデータを一時的に保存したりする領域である。
【0020】
HDD93は、スキャナー5によって読み取られた原稿画像等を記憶する大容量の記憶装置である。
【0021】
駆動モーター70は、画像形成部12の各回転部材及び搬送ローラー対19等に回転駆動力を付与する駆動源である。
【0022】
ファクシミリ通信部71は、図略の符号化/復号化部、変復調部及びNCU(Network Control Unit)を備え、公衆電話回線網を用いてのファクシミリの送信を行うものである。なお、ファクシミリ通信部71は、特許請求の範囲における他のモジュールの一例となる。
【0023】
ネットワークインターフェース部91は、LANボード等の通信モジュールから構成され、ネットワークインターフェース部91に接続されたLAN等を介して、ローカルエリア内又はインターネット上のパーソナルコンピューター等の外部装置200と種々のデータの送受信を行う。なお、ネットワークインターフェース部91は、特許請求の範囲における他のモジュールの一例となる。
【0024】
USBインターフェース部92は、不図示のUSBケーブル等を通じて、通信端末装置300との間で通信を行うインターフェース回路である。USBインターフェース部92は、当該USBインターフェース部92と通信端末装置300とが接続されたとき、通信端末装置300との間で、USB規格に準拠した相互通信を行う。なお、USBインターフェース部92は、特許請求の範囲における他のモジュールの一例となる。
【0025】
制御ユニット10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM、ROM及び専用のハードウェア回路等から構成される。制御ユニット10は、メイン制御部100、不揮発性メモリ101、及び設定可能範囲検出部102を備える。
【0026】
メイン制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。メイン制御部100は、スキャナー5、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェース部91、及びUSBインターフェース部92に駆動用のパルス信号を送信する。更に、メイン制御部100は、LCD制御部470(
図3)を制御して、LCD473に対してLCDクロック信号を送信する。LCDクロック信号は、特許請求の範囲におけるパルス信号の一例となる。なお、メイン制御部100、及びLCD制御部470(
図3)は、特許請求の範囲における制御部の一例となる。
【0027】
不揮発性メモリ101は、メイン制御部100からLCD473以外の他のモジュール(スキャナー5、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェース部91、及びUSBインターフェース部92)に送信されるパルス信号内のEMIノイズ成分の周波数を当該他のモジュールに対応付けて記憶する。不揮発性メモリ101は、LCD473以外の他のモジュールに対応するEMIノイズ成分の周波数をデータテーブルとして記憶している。なお、不揮発性メモリ101は、特許請求の範囲におけるEMI周波数記憶部の一例となる。
【0028】
設定可能範囲検出部102は、メイン制御部100を介してLCD制御部470からLCD473に用いられるLCDクロック信号の周波数の設定可能範囲を検出する。設定可能範囲検出部102は、操作部47が装置本体11に接続された状態で、LCDクロック信号の周波数の設定可能範囲を不揮発性メモリ472(
図3)から読み出す。
【0029】
制御部100は、LCD473にLCDクロック信号を送信する場合には、駆動している他のモジュール(スキャナー5、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェース部91、及びUSBインターフェース部92)に対応して不揮発性メモリ101に記憶されているEMIノイズ成分の周波数を除いた周波数であって、且つ、設定可能範囲検出部102により不揮発性メモリ472(
図3)から読み出された設定可能範囲内にある周波数を、LCD473へのLCDクロック信号に設定する。
【0030】
メイン制御部100は、制御ユニット10、原稿給送部6、スキャナー5、画像形成部12、画像メモリー32、HDD93、定着部13、駆動モーター70、操作部47、ファクシミリ通信部71及びネットワークインターフェース部91等と接続され、これら各部の制御を行う。
【0031】
制御ユニット10は、画像処理プログラムに従った動作により、メイン制御部100として機能する。但し、当該メイン制御部100は、制御ユニット10による画像処理プログラムに従った動作によらず、それぞれハード回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0032】
図3は、各モジュールからEMIノイズが発生する様子を示した図である。この図は、説明の都合上、画像形成装置1を操作部47と装置本体11とに分けて図示されている。装置本体11には、制御ユニット10の他に、スキャナー5、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェース部91、及びUSBインターフェース部92が搭載されている。これらモジュールには、メイン制御部100から駆動用のパルス信号が送信される。当該パルス信号にはEMIノイズ成分が含まれており、このノイズ成分がEMIノイズを発生させる要因となる。
【0033】
操作部47には、LCD制御部470とLCD473とが搭載されている。
【0034】
LCD制御部470は、メイン制御部100によって制御され、LCDコントローラー471と不揮発性メモリ472とを備える。LCDコントローラー471は、LCD473に対してLCDクロック信号とLCDデータ信号等を送信する。これにより、LCD473に画像が表示される。当該LCDクロック信号にはEMIノイズ成分が含まれており、このノイズ成分がEMIノイズを発生させる要因となる。
【0035】
不揮発性メモリ472は、メイン制御部100を介してLCDコントローラー471からLCD473に用いられるLCDクロック信号の周波数の設定可能範囲(例えば20[MHz]〜40[MHz])を記憶する。なお、LCDクロック信号の周波数は、LCD473の画素数によって設定可能範囲が決まっている。不揮発性メモリ101は、特許請求の範囲における設定可能範囲記憶部の一例となる。
【0036】
図4は、周波数を横軸として、各モジュールに送信されるパルス信号に含まれるEMIノイズ成分のレベルをグラフにした周波数スペクトルの一例である。
【0037】
図中の三角波W1は、メイン制御部100がスキャナー5に送信するパルス信号に含まれるEMIノイズ成分を示し、三角波W2は、メイン制御部100がネットワークインターフェース部91に送信するパルス信号に含まれるEMIノイズ成分を示す。図中の三角波W3は、メイン制御部100がUSBインターフェース部92に送信するパルス信号に含まれるEMIノイズ成分を示し、三角波W4は、メイン制御部100がLCD473に送信するLCDクロック信号に含まれるEMIノイズ成分を示す。
【0038】
三角波W1〜W3が示すように、どのモジュールが駆動中であるかによって、EMIノイズ成分が分布する周波数帯域は異なっている。画像形成装置1全体に発生するEMIノイズ成分のレベルは、EMI規格で定められた規定値以下に抑える必要がある。LCD473はスリープモード以外では常に駆動しているので、仮に、三角波W4に示すEMIノイズ成分のレベルが、三角波W1〜W3に示すEMIノイズ成分のレベルと同じ周波数帯域に重なって分布してしまうと、各EMIノイズ成分のレベルが加算されるので、画像形成装置1全体で規定値を超えてしまう可能性がある。
【0039】
本実施形態では、制御部100は、LCD473にLCDクロック信号を送信する場合に、例えばスキャナー5が駆動中であれば、当該駆動しているスキャナー5に対応して不揮発性メモリ101に記憶されているEMIノイズ成分の周波数を除いた周波数であって、且つ、設定可能範囲検出部102により不揮発性メモリ472(
図3)から読み出された設定可能範囲内にある周波数を、LCD473へのLCDクロック信号に設定する。
【0040】
これにより、
図4に示すように、LCDクロック信号の周波数の設定可能範囲内で、三角波W1(スキャナー5に送信されるパルス信号内のEMIノイズ成分)が分布する周波数帯域と、三角波W4(LCDクロック信号内のEMIノイズ成分)が分布する周波数帯域とを異ならせることができる。なお、LCDクロック信号には、スキャナー5と同様に、ネットワークインターフェース部91やUSBインターフェース部92に送信される各パルス信号内のEMIノイズ成分と異なる周波数が設定されている。
【0041】
そのため、
図4に示すように、三角波W2(ネットワークインターフェース部91に送信されるパルス信号内のEMIノイズ成分)、及び三角波W3(USBインターフェース部92に送信されるパルス信号内のEMIノイズ成分)が分布する各周波数帯域と、三角波W4が分布する周波数帯域も異なっている。つまり、
図4では、三角波W1〜W3が分布する周波数帯域と、三角波W4が分布する周波数帯域とが全く一致していない。そのため、三角波W4に示すEMIノイズ成分のレベルが、三角波W1〜三角波W3に示すEMIノイズ成分のレベルに加算されることはなく、画像形成装置1全体で規定値を超えてしまうことを防止できる。
【0042】
また、本実施形態では、不揮発性メモリ472は、LCDコントローラー471によりLCD473に送信されるLCDクロック信号の周波数の設定可能範囲を記憶するので、メイン制御部100は、駆動中の他のモジュールに応じて、設定可能範囲内で動的にLCDクロック信号の周波数を設定できる。
【0043】
また、本実施形態では、装置本体11に操作部47が着脱可能に接続されるので、装置本体11と操作部47の仕様が適合さえすれば、当該操作部47を他の種類の操作部に交換可能である。この点、本実施形態では、装置本体11に制御部100、不揮発性メモリ101、及び設定可能範囲検出部102が含まれ、操作部47に不揮発性メモリ472が含まれるので、仮に、当該操作部47が他種類の操作部に交換されたとしても、設定可能範囲検出部102は、当該他種類の操作部が装置本体11に接続された状態で、LCDクロック信号の周波数の設定可能範囲を他種類の操作部に搭載された不揮発性メモリから読み出すことができるので、制御部100は、当該設定可能範囲内であって、且つ、駆動中の他のモジュールに対応して不揮発性メモリ101に記憶されているEMIノイズ成分の周波数を除いた周波数を、LCDクロック信号に設定できるので、EMIノイズを規定値以下に抑える制御を支障なく行うことが可能になる。
【0044】
上記では、不揮発性メモリ472がLCDクロック信号の周波数の設定可能範囲を記憶したが、当該記憶の方法はこれに限定されない。
図5は、装置本体11と操作部47とが相互に接続された状態の一例を示す模式図である。画像形成装置1において、装置本体11は、分圧器15を有している。この分圧器15は、操作部47との接続時に、当該操作部47内の装置種別ごとに固有の抵抗値とされた抵抗R1の一端及び他端がそれぞれ接続される接続部P1,P2を有しており、抵抗R1の一端及び他端がそれぞれ接続部P1,P2に接続された状態で、当該抵抗R1と抵抗2とからなる回路を形成することによって、予め定められた電圧値Vを分圧値V1,V2に分圧する。そして、設定可能範囲検出部102は、分圧値V1の各値と対応付けられたLCDクロック信号の周波数の設定可能範囲を持っている。設定可能範囲検出部102は接続部P1,P2に接続され、操作部47が装置本体11に接続された状態で、検出した分圧値V1に対応付けられたLCDクロック信号の周波数の設定可能範囲を検出する。
【0045】
なお、
図1乃至
図5を用いて上記各実施形態に示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の構成及び処理はこれに限定されるものではない。