特許第6047535号(P6047535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047535
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】移動体端末試験装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/24 20060101AFI20161212BHJP
   G06F 3/0482 20130101ALI20161212BHJP
【FI】
   H04M1/24 B
   G06F3/0482
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-193791(P2014-193791)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-66866(P2016-66866A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2016年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079337
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 誠志
(72)【発明者】
【氏名】青木 和典
【審査官】 白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−072686(JP,A)
【文献】 特開2011−128936(JP,A)
【文献】 特開2008−052580(JP,A)
【文献】 特開2001−153686(JP,A)
【文献】 特開2012−175245(JP,A)
【文献】 特開2014−082625(JP,A)
【文献】 "R&S CMW500 プラットフォームのご紹介 (Product Brochure)","R&S CMW500 プラットフォームのご紹介 (Product Brochure)",日本,ローデ・シュワルツ・ジャパン株式会社,2010年 9月30日,Version 01.00,p.1-20,URL,http://www.rohde-schwarz.co.jp/file/CMW500_platform_bro_jp.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B5/00−5/30
G01D7/00−9/42
15/00−21/02
G01R13/00−13/42
G06F3/01
3/048−3/0489
H04M1/00
1/24−1/82
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象の移動体端末との間で信号の授受を行ない、指定された測定項目に関する測定を実行する測定部(21)と、
表示部(30)と、
前記測定部が実行する測定項目を指定させるための操作部(40)と、
前記操作部によって指定された測定項目を前記測定部に指定し、該指定された測定項目について得られた測定結果を前記表示部に表示する制御部(50)とを備えた移動体端末試験装置において、
前記操作部には前記表示部の画面に重ね合わされたタッチパネル式の操作部(41)が含まれており、
前記制御部は、
前記測定部が試験対象の移動体端末に対して実行可能な複数の測定項目にそれぞれ割当てられた複数のタッチ操作領域を前記タッチパネル式の操作部に設定し、該複数のタッチ操作領域の各区画および該区画毎の測定項目名を前記表示部に表示する測定項目一覧表示手段(51)と、
前記測定項目一覧表示手段によって表示された測定項目名が表示された測定項目についてその実行を有効にするか無効にするかを指定するための有効無効指定手段(52)と、
前記有効無効指定手段によって無効指定された測定項目に対応するタッチ操作エリアの区画内に該測定項目を無効指定状態から有効指定状態に切り替えるための切替ボタンを表示することで、該測定項目が無効指定されていることを知らせる切替ボタン表示手段(53)と、
前記有効無効指定手段によって有効指定された測定項目に対応するタッチ操作エリア、および、前記切替ボタン表示手段によって表示されている切替ボタンに対するタッチ操作がなされて無効指定状態から有効指定状態に変更された測定項目に対応するタッチ操作エリアの区画に、該測定項目の測定結果の概略を表示することで、該測定項目が有効指定されていることを知らせる測定結果概略表示手段(54)と、
前記測定結果概略表示手段によって測定結果の概略が表示されているタッチ操作エリアがタッチ操作されたとき、測定結果の詳細を前記測定項目一覧表示手段による表示に代わって表示する測定結果詳細表示手段(55)とを備えていることを特徴する移動体端末試験装置。
【請求項2】
前記測定項目一覧表示手段は、移動体端末の送信信号の品質に関する測定項目についての一覧を表示する第1のモードと、移動体端末との間で授受されるメッセージに関する測定項目についての一覧を表示する第2のモードとを有し、
前記測定結果概略表示手段および前記測定結果詳細表示手段は、前記第1のモードと第2のモードで一覧表示される測定項目のいずれに対しても、概略の測定結果および詳細な測定結果を表示するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の移動体端末試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やスマートフォン等の移動体端末の試験を行なう試験装置に関し、特に、表示器の画面上に透明な操作パネルが重ね合わせられ、操作者が画面上に表示されているボタンや文字等に触れることで装置の操作が可能となる所謂タッチパネル式の操作部を用いた場合に、試験対象の移動体端末に対して指定可能な測定項目の一覧と、その中から操作者が指定した測定項目とが直感的に把握できて、操作の容易性を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体端末は、年々、高速化、高機能化しており、その端末の試験を行なうための測定項目が非常に多くなっている。
【0003】
例えば、LTE方式の端末から送信された信号に対する測定項目には、占有帯域幅(Occupied Bandwidth)、スペクトラム放射マスク(Spectrum Emission Mask)、隣接チャネル漏洩電力(Adjacent Cannel Power)、帯域内放射(In-Band Emission)、スペクトラム平坦度(Spectrum Flatness)、変調のエラーベクトル振幅(Error vector Magnitude)、変調の位相誤差(Phase Error)、変調の振幅誤差(Magnitude Error)、シンボル点位置(Constellation)等がある。また、端末との間で授受されるメッセージが正しく行なわれているかを測定する測定項目(一般にシグナリングテストと呼ばれる)もある。
【0004】
測定項目には上記LTE方式以外についてもその方式特有の測定項目があり、各測定項目についてのパラメータの設定も必要であり、これら非常に多岐にわたる設定操作を、面積が限られた操作パネルに設けたツマミや押しボタンなどによって行なうことは非常に困難になっている。
【0005】
これを解決する技術として、表示部と操作部が一体化したタッチパネルを採用した測定器や通信機器が実現されており(例えば特許文献1)、パラメータ設定処理として、例えば特許文献2のように、その表示面に、設定したい設定項目の一覧を縦一列に表示し、各設定項目の横隣にパラメータの設定を行なうために操作するマーク等を表示し、使用者が所望の設定項目の横に表示されたマークをタッチすることで、その項目についてのパラメータ設定が行なえるようにしたものが実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−291524号公報
【特許文献2】特開2014−72838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなタッチパネルを用いた設定方法で、上記のような測定項目の指定を行なう場合、指定可能な測定項目の名前の一覧を表示させ、その表示された測定項目名のうち所望の測定項目をタッチ操作することが一般的に考えられる。
【0008】
この場合、測定項目名の隣などにその項目を指定したあるいは指定していないことを区別するために、例えば「ON」、「OFF」の文字等を表示する方法が考えられるが、このような文字による識別方法では、多数ある測定項目のうち、現在どういう測定項目が指定されているのかを全体的に把握するが困難である。
【0009】
また、従来装置では、各測定項目についての測定結果をそれぞれ単独に表示部に表示する機能は有していたが、多数の測定項目についての測定結果全体を一画面に表示する機能を有しておらず、現在指定されている測定項目についての測定結果全体の把握が困難であった。
【0010】
本発明は、この問題を解決し、端末に対して行なう多数の測定項目のうち、どの測定項目が指定されていて、それら指定された全体の測定結果がどのように得られているかを一画面上で把握できる移動体端末試験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の移動体端末試験装置は、
試験対象の移動体端末との間で信号の授受を行ない、指定された測定項目に関する測定を実行する測定部(21)と、
表示部(30)と、
前記測定部が実行する測定項目を指定させるための操作部(40)と、
前記操作部によって指定された測定項目を前記測定部に指定し、該指定された測定項目について得られた測定結果を前記表示部に表示する制御部(50)とを備えた移動体端末試験装置において、
前記操作部には前記表示部の画面に重ね合わされたタッチパネル式の操作部(41)が含まれており、
前記制御部は、
前記測定部が試験対象の移動体端末に対して実行可能な複数の測定項目にそれぞれ割当てられた複数のタッチ操作領域を前記タッチパネル式の操作部に設定し、該複数のタッチ操作領域の各区画および該区画毎の測定項目名を前記表示部に表示する測定項目一覧表示手段(51)と、
前記測定項目一覧表示手段によって表示された測定項目名が表示された測定項目についてその実行を有効にするか無効にするかを指定するための有効無効指定手段(52)と、
前記有効無効指定手段によって無効指定された測定項目に対応するタッチ操作エリアの区画内に該測定項目を無効指定状態から有効指定状態に切り替えるための切替ボタンを表示することで、該測定項目が無効指定されていることを知らせる切替ボタン表示手段(53)と、
前記有効無効指定手段によって有効指定された測定項目に対応するタッチ操作エリア、および、前記切替ボタン表示手段によって表示されている切替ボタンに対するタッチ操作がなされて無効指定状態から有効指定状態に変更された測定項目に対応するタッチ操作エリアの区画に、該測定項目の測定結果の概略を表示することで、該測定項目が有効指定されていることを知らせる測定結果概略表示手段(54)と、
前記測定結果概略表示手段によって測定結果の概略が表示されているタッチ操作エリアがタッチ操作されたとき、測定結果の詳細を前記測定項目一覧表示手段による表示に代わって表示する測定結果詳細表示手段(55)とを備えている。
【0012】
また、本発明の請求項2の移動体端末試験装置は、請求項1記載の移動体端末試験装置において、
前記測定項目一覧表示手段は、移動体端末の送信信号の品質に関する測定項目についての一覧を表示する第1のモードと、移動体端末との間で授受されるメッセージに関する測定項目についての一覧を表示する第2のモードとを有し、
前記測定結果概略表示手段および前記測定結果詳細表示手段は、前記第1のモードと第2のモードで一覧表示される測定項目のいずれに対しても、概略の測定結果および詳細な測定結果を表示するように構成されている。
【発明の効果】
【0013】
このように構成したので、本発明の移動体端末試験装置では、試験対象の移動体端末に対して実行可能な複数の測定項目にそれぞれ割当てられた複数のタッチ操作領域がタッチパネル式の操作部に設定され、それら複数のタッチ操作領域の各区画およびその区画毎の測定項目名が表示部の画面上に表示されて測定項目が一覧表示される。そして、それら測定項目のうち、無効指定された測定項目については、それを有効指定状態に切り替えるための切替ボタンが表示されて無効指定状態であることを操作者に認識させ、有効指定された測定項目についてはその測定結果の概略を表示して、有効指定状態であることを操作者に認識させる。また、測定結果の概略が表示されている区画にタッチ操作すればその測定結果の詳細な表示がなされる。
【0014】
したがって、端末に対して行なう多数の測定項目のうち、どの測定項目が指定されていて、それら指定された全体の測定結果がどのように得られているかを一画面上で直感的に把握することができる。
【0015】
また、移動体端末の送信信号の品質に関する測定項目だけでなく、移動体端末との間で授受されるメッセージに関する測定項目についても、概略の測定結果の一覧のいずれかをタッチ操作することで詳細な測定結果の表示が行なえる利便性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態の構成図
図2】実施形態の要部の機能ブロック図
図3】測定項目一覧の初期画面の例を示す図
図4】所望の測定項目を有効指定したときの画面の例を示す図
図5】有効指定した測定項目についての測定結果の概略をタッチ操作したときに表示される詳細な測定結果の例を示す図
図6】詳細な測定結果の画面でボタン3Dをタッチ操作したときに表示される3次元測定結果の例を示す図
図7】移動体端末との間で授受されるメッセージに関する測定項目の一覧の表示例を示す図
図8】メッセージに関する測定項目の一つの詳細な測定結果の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用した移動体端末試験装置20の構成を示している。
【0018】
この移動体端末試験装置20は、測定部21、表示部30、操作部40および制御部50によって構成されている。
【0019】
測定部21は、移動体端末1との間で基地局を模した通信を行う疑似基地局装置の機能を有するものであり、データ生成部22、送信部23、カプラ24、受信部25、データ解析部26によって構成されている。
【0020】
データ生成部22は、移動体端末1との間のリンク接続(呼接続)および試験に必要な各種メッセージを含むベースバンド信号をデータ生成部22で生成して送信部23に与える。送信部23は、入力されたベースバンド信号を予め指定された変調形式による変調処理を行い、その変調処理された信号を、移動体端末1との通信を行なう周波数帯へ変換処理してカプラ24を介して移動体端末1に与える。
【0021】
また、受信部25は、移動体端末1から送信された信号を、カプラ25を介して受け、送信部23と逆の周波数変換処理とベースバンドへの復調処理を行い、得られたベースバンド信号をデータ解析部26に与える。
【0022】
データ解析部26は、得られたベースバンド信号に対して予め指定された測定項目に関する解析処理を行なう。
【0023】
例えば、通信方式がLTEの場合で、指定された測定項目が占有帯域幅(Occupied Bandwidth)であれば、得られたベースバンド信号に対するスペクトラム解析処理(高速フーリエ変換処理)を行い、そのスペクトラム波形を求め、占有帯域幅の値を求める。
【0024】
また、指定された測定項目が、スペクトラム放射マスク(Spectrum Emission Mask)の場合、前記同様にスペクトラム解析を行い、そのスペクトラム波形を求め、所定のスペクトラムマスクの範囲にあるか否かを判定する。
【0025】
また、指定された測定項目が隣接チャネル漏洩電力(Adjacent Cannel Power)の場合には、スペクトラム解析を隣接チャネルまで拡げて行い、そのスペクトラム波形を求め、隣接チャネルへの漏洩電力の値を求める。
【0026】
さらに、指定された測定項目が帯域内放射(In-Band Emission)の場合、前記同様にスペクトラムを求め、その帯域内の総電力の値を求める。
【0027】
また、指定された測定項目がスペクトラム平坦度(Spectrum Flatness)の場合、前記同様にスペクトラム波形を求め、帯域内におけるスペクトラムの平坦度の値を求める。
【0028】
また、変調品質に関する測定項目として、エラーベクトル振幅(Error vector Magnitude)、位相誤差(Phase Error)、振幅誤差(Magnitude Error)、シンボル点位置(Constellation)が指定されている場合には、変調方式に基づいて得られる基準シンボル点に対するベクトル振幅の誤差、位相誤差、振幅誤差を求める。
【0029】
また、上記したような測定対象の移動体端末1の送信信号の品質に関する測定項目の他に、シグナリングテストが指定されたとき、移動体端末1との間で授受される各種メッセージを記憶する。
【0030】
制御部50は、測定部21が移動体端末1に対して行なう測定項目を操作部40の操作にしたがって指定し、測定部21で得られた測定結果を表示部30に表示させる。
【0031】
表示部30は例えば所定の画素数を有する液晶型表示パネルによって構成され、操作部40は、表示部30の画面に重なり合うタッチパネル式の第1操作部41と、数値入力用のテンキーや数値可変用のロータリーエンコーダ等を含み、キーの押し込み操作やノブの回転操作等の機械的な操作が必要な第2操作部42とによって構成されている。
【0032】
第1操作部41は、人の指等の接触を検知(静電方式あるいは圧電方式のいずれでもよい)するための透明電極(図示せず)が微細なピッチで配列されており、タッチされた位置を特定する情報(タッチ位置情報)を制御部50に出力する。制御部50は、タッチ位置情報が、予め設定したタッチ操作領域のいずれに属するかを判定して、そのタッチ操作領域に割当てた項目について必要な処理を行なう。
【0033】
なお、ここでは機械的操作が必要な第2操作部42にテンキーやロータリーエンコーダ等を含めているが、テンキーやロータリーエンコーダの画像を表示部30の画面に表示し、それらに対応する第1操作部41の位置にタッチ操作領域を設定して、タッチ操作させることで、数値入力や数値変更を行なうこともできる。
【0034】
制御部50は、移動体端末1に対して行なう試験について必要な各種のパラメータの設定や測定項目の指定等を、操作部40に対する操作にしたがって行うとともに、測定部21で得られた測定結果の表示に関する制御を行なう。
【0035】
制御部50の処理は多岐に渡っているが、ここでは測定項目の指定や測定結果の表示に関する処理についてのみ説明する。図2に測定項目の指定および測定結果の表示に関する処理を行なう機能ブロック構成を示す。
【0036】
図2において、測定項目一覧表示手段51は、測定部21が試験対象の移動体端末1に対して実行可能な複数の測定項目にそれぞれ割当てられた複数のタッチ操作領域をタッチパネル式の第1操作部41に設定するとともに、それら複数のタッチ操作領域の各区画およびそれら区画毎の測定項目名を表示部30の画面に表示する。
【0037】
図3は、その一例を示すものであり、第1操作部41に、縦横に10のタッチ操作エリアE(1,1) 〜E(3,4) を設定し、表示部30に、それら各操作エリアの区画を示す枠W(1,1) 〜W(3,4) を表示し、各枠の上縁に項目名K(1,1) 〜K(3,4) を表示している(このように決められた領域を縦横に分けして表示する方式をタイル表示と呼んでいる)。
【0038】
なお、LTE方式の移動体端末の送信信号の品質に関する測定項目名を具体的に挙げれば、項目名K(1,1) は各測定項目についての数値結果を示す「Numeric」、項目名K(1,2) は占有帯域幅を示す「OBW」、項目名K(1,3) はスペクトラム放射マスクを示す「Spectrum Emission Mask)、項目名K(2,1) は隣接チャネル漏洩電力を示す「ACLR」、項目名K(2,2) は帯域内放射を示す「In-Band Emission」、項目名K(2,3) はスペクトラム平坦度を示す「Spectrum Flatness」、項目名K(3,1) は変調品質に関する測定項目のエラーベクトル振幅を示す「EVM」、項目名K(3,2) は位相誤差を示す「Phase Error」、項目名K(3,3) は振幅誤差を示す「Magnitude Error」、項目名K(3,4) はシンボル点位置を示す「Constellation」が表示される。
【0039】
有効無効指定手段52は、測定項目一覧表示手段51によって測定項目名が表示された測定項目についてその実行を有効にするか無効にするかを指定させるためのものであり、図3では、項目一覧の左に、測定項目名と有効、無効を示す「ON」、「OFF」を縦方向に並べて表示し、「ON」、「OFF」の表示範囲をそれぞれタッチ操作エリア(図示せず)に設定する。
【0040】
切替ボタン表示手段53は、有効無効指定手段52によって無効指定された測定項目に対応するタッチ操作エリアの区画内に測定項目を無効指定状態から有効指定状態に切り替えるための切替ボタンを表示することで、該測定項目が無効指定されていることを知らせる。
【0041】
図3の例は、すべての測定項目が無効指定されている状態(初期状態)を表すものであり、各測定項目のタッチ操作エリアの中央に「ON」の表示がなされた切替ボタンB(1,1) 〜B(3,4) が表示されている。なお、この切替ボタンの表示エリアおよびタッチ操作エリアは、測定項目のタッチ操作エリア以内であればどの範囲に設定してもよく、両者を一致させてもよい。
【0042】
測定結果概略表示手段54は、有効無効指定手段52によって有効指定された測定項目に対応するタッチ操作エリア、および、切替ボタン表示手段53によって表示されている切替ボタンに対するタッチ操作がなされて無効指定状態から有効指定状態に変更された測定項目に対応するタッチ操作エリアの区画に、その測定項目の測定結果の概略を表示することで、その測定項目が有効指定されていることを知らせる。この測定結果の概略は、測定部21で得られた情報に基づいて、各タッチ操作エリアの表示範囲に入る大きさで生成して表示する。
【0043】
例えば、図3の状態から、項目K(1,3) を除くすべての測定項目の切替ボタンにタッチして、それらの測定項目を有効指定し、測定部21に対して測定を指示すれば、指定された測定項目についての概略の測定結果が所定ドット数で生成されて、例えば図4のように表示される。
【0044】
したがって、例えば図4の表示を見れば、測定項目として、項目K(1,3) を除くすべての測定項目について有効指定されていることが一目瞭然に把握できる。
【0045】
測定結果詳細表示手段55は、測定結果概略表示手段54によって測定結果の概略が表示されているタッチ操作エリアのうち、操作者が任意にタッチ操作した測定項目について詳細な測定結果の表示データを生成して、測定項目の一覧表示に代わって画面の広い範囲に渡って大きく表示する。
【0046】
例えば、図4の状態から、項目K(1,2) (「OBW」)をタッチ操作すると、図5のように、占有帯域幅について、周波数軸とレベル軸の2次元グラフと数値結果を含む詳細な測定結果の表示データが生成されて画面に大きく表示される。
【0047】
これによって、操作者は、有効指定されている測定項目のうち、所望の測定項目についての詳細な測定結果を直ちに確認できる。
【0048】
項目K(1,2) 以外の他の項目に関しても、その概略の測定結果が表示されている部分をタッチ操作すれば、その項目についての詳細な測定結果の表示データが生成されて、項目一覧表示画面に代わって、表示部30の画面に大きく表示されることになる。
【0049】
なお、ここでは、測定項目の有効無効の指定操作がなされたときに測定が済んでいる項目についての概略や詳細を表示するようにしているが、例えば図5に示すようにスタートボタンB(Start) をタッチ操作すると、制御部50は、測定部21に対し、現時点で有効指定されている測定項目についての測定を指示し、それによって得られた最新の測定結果に基づいて表示が更新されることになる。
【0050】
また、図5に示しているように、詳細な測定結果の表示画面には、「3D」と示された3DボタンB(3D) が表示され、この3DボタンB(3D) がタッチ操作されると、図2に示した制御部50に設けられている3次元測定結果表示手段56により、現在表示されている測定結果の項目について、従来の周波数軸やレベル軸からなる2次元のグラフ表示に代わって、時間経過に関する軸(時間軸、測定回数軸等)を加えた3次元(3D)のグラフの表示データが生成されて、表示部30に表示される。
【0051】
図6は、その一例を示すものであり、図5の2次元の詳細な測定結果に代わって、測定回数軸を加えた占有帯域幅の3次元のグラフが表示され、これによって、占有帯域幅の測定項目についての時間経過に伴う特性の変化を直感的に把握することができる。3次元測定結果表示手段56は、上記各測定項目のうち、2次元のグラフを測定結果とする測定項目、即ち、上記項目例で言えば、数値結果のK(1,1)とコンスタレーションのK(3,4)を除いて、K(1,2)、K(1,3)、K(2,1)、K(2,2)、K(2,3)、K(3,1)、K(3,2)、K(3,3)の各項目について、時間経過に関する軸を加えた3次元のグラフを生成して表示する機能を有している。
【0052】
なお、図5図6の右上に表示されているFundamentalボタンB(Fundamental)は、詳細な測定結果の表示画面から図3図4の測定項目一覧の画面(基本画面)に戻すためのものであり、図6の状態からこのボタンがタッチ操作されると、図4の測定項目一覧の画面に戻る。
【0053】
このように、実施形態の移動体端末試験装置20では、複数の測定項目についての概略の測定結果が表示された領域が、その項目の詳細な測定結果を表示画面に移行させるボタンとして作用し、これらの任意のボタンをタッチ操作すれば詳細な測定結果が表示され、その詳細な測定結果の画面から3次元測定結果もワンタッチで移行でき、利便性が非常に高くなる。
【0054】
また、上記した表示例は、移動体端末の信号品質に関する測定結果に着目したものであるが、メッセージのやりとりに関する測定モード(シグナリングテスト)が指定された場合、測定項目一覧表示手段51は、図7に示すように、上段に二つのタッチ操作エリアE′(1,1)、E′(1,2)、下段に一つのタッチ操作エリアE′(2,1) を設定し、表示部30に、それら各操作エリアの区画を示す枠W′(1,1) 〜W′(2,1) を表示し、各枠の上縁に項目名K′(1,1) 〜K′(2,1) を表示する。
【0055】
この場合の項目名の具体例としては、K′(1,1)としてはメッセージのやりとりに関するシーケンス情報のチャートを表す項目名「Sequence Monitor」、K′(1,2)としては、端末からのメッセージに関する各種数値を表す項目名「UE Report」、K′(2,1)としては、試験装置と移動体端末の間で行なわれたメッセージMとそのメッセージの内容Dおよび時刻Tからなるメッセージ情報の一部(例えば所定数の初期の情報のみ)を時系列に並べて示す項目名「Signaling Trace」である。
【0056】
このシグナリングテストの測定項目一覧画面においても、各項目には、測定部21で得られた測定結果に基づいて測定結果概略表示手段54が生成した概略の表示データが表示される。そして、前記同様に有効無効指定手段52によって無効指定された項目については、切替ボタンB(i,j) が表示されることになる。ただし、シグナリングテストにおいて、必須の項目に関しては、有効無効指定の対象外となり、切替ボタンは表示されない。
【0057】
また、測定結果の概略が表示されている項目のタッチ操作エリアをタッチ操作すれば、測定結果詳細表示手段55によってその項目についてのより詳細な測定結果が測定項目一覧画面に代わって大きく表示される。
【0058】
ここで、例えば項目名「Signaling Trace」のタッチ操作エリアE′(2,1)にタッチ操作すれば、図8のように、移動体端末との間でやりとりされたメッセージの全てを時系列に並べた詳細データを生成して表示する。
【0059】
また、項目名「Sequence Monitor」や項目名「UE Report」のタッチ操作エリアにタッチ操作した場合も、それぞれの項目についてより詳細な情報が生成されて測定項目一覧画面に代わって大きく表示される。
【0060】
なお、移動体端末1の送信信号の品質に関する測定のモード(第1のモード)と、メッセージの授受に関する測定のモード(第2のモード)の切替えは、例えば、測定項目一覧表示の画面上にモード切替用のタブキー等を設け、それをタッチ操作させる方法が望ましいが、これに限定されず、例えば第2操作部42を用いて切り替える方法等任意の方法で行なうことができる。
【符号の説明】
【0061】
1……移動体端末、20……移動体端末試験装置、21……測定部、22……データ生成部、23……送信部、25……受信部、26……データ解析部、30……表示部、40……操作部、41……第1操作部、42……第2操作部、50……制御部、51……測定項目一覧表示手段、52……有効無効指定手段、53……切替ボタン表示手段、54……測定結果概略表示手段、55……測定結果詳細表示手段、56……3次元測定結果表示手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8