(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マスフローコントローラと流量制御弁を備える複数のガス供給ラインが並列に配置されたガス集積ユニットについて、前記マスフローコントローラの流量を1個ずつ検定するものであって、圧力計と温度計と遮断弁が直列に配置されており、前記遮断弁を弁閉した状態で前記圧力計が測定する圧力測定値の単位時間当たりの圧力変動値と前記温度計が測定する温度測定値を用いて、前記流量制御弁と前記遮断弁との間の容積を算出し、流量検定を行う流量検定ユニットにおいて、
前記圧力計の上流側に設けられ、前記ガス集積ユニットに着脱自在に接続する接続部を有すること、
検定ガスの入力を制御する検定ガス入力弁と、前記検定ガスの流量を測定する検定側マスフローコントローラと、前記検定側マスフローコントローラが測定する検定ガス流量測定値を設定流量に一致させるように制御する検定側流量制御弁を、直列に接続していること、
前記検定ガス入力弁と前記検定側マスフローコントローラと前記検定側流量制御弁が、前記遮断弁に対して並列に設けられていること、
を特徴とする流量検定ユニット。
【背景技術】
【0002】
ガス集積ユニットは、複数のガス供給ラインを集積したものである。ガス集積ユニットは、例えば、反応容器に接続され、真空状態の反応容器に供給する1又は2以上のガスをガス供給ラインにより制御する。反応容器に供給する作用ガスの流量は、製品品質に影響する。そのため、ガス供給ラインは、流量を測定するマスフローコントローラと、マスフローコントローラの測定値を設定流量に一致させるように動作する流量制御弁を、それぞれ備える。マスフローコントローラは、例えば、作用ガスが細い内部配管を流れる際の上流側と下流側の温度差に基づいて、流量を測定する。内部配管の内壁に作用ガスの生成物が付着し、内部配管の内径が変化すると、マスフローコントローラの測定値に誤差が生じる。そこで、ガス集積ユニットは、流量検定ユニットを用いて、マスフローコントローラの流量が1個ずつ検定される。
【0003】
図8は、従来の流量検定ユニット101とガス集積ユニット110の回路図である。ガス集積ユニット110は、パージガスを制御するパージガスライン111と、第1〜第3ガス供給ライン121A,121B,121Cを備える。パージガスライン111は、パージガスを入力するパージガス入力ポート117を備え、上流側から順番にレギュレータ112と、ブルドン管圧力計113と、圧力計114と、第1パージ弁115と、第2パージ弁116が直列に接続されている。第1ガス供給ライン121Aは、第1ガスを入力するガス入力ポート127Aを備え、上流側から順番に圧力計122Aと、ガス入力弁123Aと、マスフローコントローラ124Aと、流量制御弁125Aが直列に接続されている。また、第1ガス供給ライン121Aは、ガス入力弁123Aとマスフローコントローラ124Aとの間に、パージガスライン111から分流されたパージガスの入力を制御するパージガス入力弁126Aを備える。第2,第3ガス供給ライン121B,121Cも、第1ガス供給ライン121Aと同様に構成されている。パージガスライン111と第1〜第3ガス供給ライン121A〜121Cは、共通出力弁131に対して共通流路130を介して並列に接続する。
【0004】
流量検定ユニット101は、第1遮断弁102と、圧力計103と、温度計104と、第2遮断弁105を備え、第1遮断弁102が共通流路130に接続されている。流量検定ユニット101は、例えば、マスフローコントローラ124Aの流量検定を行う場合には、第2パージ弁116と、流量制御弁125B,125Cと、共通出力弁131と、第2遮断弁105を弁閉状態にし、第1パージ弁115、パージガス入力弁126A、流量制御弁125A、第1遮断弁102を弁開状態にして、マスフローコントローラ124Aにパージガスを流し、第2パージ弁116と流量制御弁125A〜125Cと共通出力弁131と第2遮断弁105との間にパージガスを充填する。そして、流量検定ユニット101は、圧力計103が測定する圧力測定値から測定時間内の圧力上昇値を求め、その圧力上昇値と、温度計104が測定する温度測定値と、測定時間と、第2パージ弁116と流量制御弁125A〜125Cと共通出力弁131と第2遮断弁105との間の容積Vに基づいて、マスフローコントローラ124Aの絶対流量を算出する。そして、流量検定ユニット101は、算出した絶対流量と設定流量との誤差を求め、その誤差が正常範囲と異常範囲との間の許容範囲であれば、設定流量を補正する。また、流量検定ユニット101は、誤差が異常範囲であれば、マスフローコントローラ124Aの交換を指示する表示を行う。
【0005】
ここで、ガス集積ユニット110は、同じ回路構成であっても、構成部品の公差や組立公差等によって、第2パージ弁116と、流量制御弁125A〜125Cと、共通出力弁131と、第1遮断弁102との間の容積V1が、固体間でばらつく(容積V1を「タンク容積V1」ともいう。)。タンク容積V1のばらつきは、容積Vのばらつきとなり、流量検定の精度を低下させる。
【0006】
そこで、従来の流量検定ユニット101は、例えば、第1パージ弁115、パージガス入力弁126A、流量制御弁125A、第1遮断弁102を弁開状態にし、流量制御弁125B,125C、パージガス入力弁126B,126C、共通出力弁131、第2遮断弁105を弁閉した状態で、パージガスライン111にパージガスを供給し、圧力計103が既定の初期圧力を測定してから目標圧力を測定するまでの単位時間当たりの圧力上昇値を求め、圧力上昇値と温度計104が測定する温度測定値に基づいて容積Vを算出していた。流量検定ユニット101は、第1遮断弁102と第2遮断弁105との間の容積V2が予め分かっているので(容積V2を「既知容積V2」ともいう。)、容積Vから既知容積V2を減算することにより、タンク容積V1を算出し、タンク容積V1のばらつきをマスフローコントローラ124A〜124Cの流量検定に反映させるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の流量検定ユニットの第1実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る流量検定ユニット1をガス集積ユニット20に接続した流量検定システム15の回路図である。
図1及び以下の説明では、従来の流量検定ユニット101及びガス集積ユニット110(
図8参照)と共通する構成には、従来の流量検定ユニット101及びガス集積ユニット110(
図8参照)と同じ符号を使用し、適宜説明を省略する。流量検定システム15は、流量検定ユニット1がガス集積ユニット20に対して着脱自在に接続され、1台の流量検定ユニット1を複数のガス集積ユニット20に付け替えて流量検定を行うようにしたものである。
【0019】
流量検定ユニット1は、第1検定側接続部2と第2検定側接続部3とを接続する検定流路4に、第1検定側接続部2側から順番に第1遮断弁102と、圧力計103と、温度計104と、第2遮断弁105が、直列に配置されている。流量検定ユニット1は、検定流路4の第1遮断弁102と圧力計103との間に第3検定側接続部5を接続する合流流路6を備える。合流流路6には、第3検定側接続部5側から順番にレギュレータ7と、ブルドン管圧力計8と、圧力計9と、検定ガス入力弁10と、検定側マスフローコントローラ11と、検定側流量制御弁12が直列に配置されている。そのため、レギュレータ7と、ブルドン管圧力計8と、圧力計9と、検定ガス入力弁10と、検定側マスフローコントローラ11と、検定側流量制御弁12は、圧力計103と、温度計104と、第2遮断弁105に対して、並列に配置され、第2遮断弁105より上流側に検定ガスを充填できるようにしている。
【0020】
一方、ガス集積ユニット20は、共通流路130に終端弁21が配置され、共通流路130の終端部に設けられた第1集積側接続部24の開閉を制御される。ガス集積ユニット20は、検定ガス入力ポート26と第2集積側接続部25を接続する検定ガスライン22が設けられ、検定ガス供給弁23により、第2集積側接続部25の開閉を制御される。ガス集積ユニット20は、これら以外は、従来のガス集積ユニット101(
図8参照)と同様に構成されている。検定ガス入力ポート26は、検定ガス(本実施形態ではN2ガス)を供給する検定ガス供給源に接続される。検定ガス供給源は、パージガス入力ポート26が接続するパージガス供給源であっても良い。
【0021】
図2は、
図1に示す流量検定ユニット1を制御する制御手段40の概略構成図である。制御手段40は、周知のマイクロコンピュータであって、中央演算処理装置(CPU)41と、入出力インターフェース42と、ROM43と、RAM44を備える。ROM43には、各種プログラムやデータが記憶されている。例えば、ROM43には、校正プログラム45や、容積測定プログラム46や、流量検定プログラム47が記憶されている。また、ROM43には、例えば、検定側マスフローコントローラ11とマスフローコントローラ124A〜124Cの設定流量や、容積測定や流量検定を行う場合の測定開始圧力P
0、圧力を測定する測定時間t、予め測定されている第1遮断弁102と第2遮断弁105と検定側マスフローコントローラ11との間の容積(既知容積)V2(
図1参照)等を記憶するデータ記憶部48などを備える。
【0022】
入出力インターフェース42は、
図1に示す第1遮断弁102、圧力計103、温度計104、第2遮断弁105、ブルドン管圧力計8、圧力計9、検定ガス入力弁10、検定側マスフローコントローラ11、検定側流量制御弁12に接続する。また、入出力インターフェース42は、ガス集積ユニット20のコントローラ(図示せず)に接続し、制御手段40は、ガス集積ユニット20のコントローラ(図示せず)を介して、第1及び第2パージ弁115,116、ガス入力弁123A〜123C、流量制御弁125A〜125C、パージガス入力弁126A〜126Cの開閉を制御できる。また、入出力インターフェース42は、排気弁30に接続し、制御手段40が排気弁30の開閉を制御できるようにしている。
【0023】
次に、上記流量検定ユニット1の動作について説明する。流量検定ユニット1は、第1検定側接続部2を第1集積側接続部24に接続し、第3検定側接続部5をガス集積ユニット20の第2集積側接続部25に接続することにより、ガス集積ユニット20に取り付けられる。流量検定ユニット1の第2検定側接続部5は、排気弁30に接続されている。流量検定ユニット1は、例えば、作業者が流量検定開始指示ボタンを押すことにより、流量検定を開始する。
【0024】
流量検定ユニット1の制御手段40は、まず校正プログラム45をROM43から読み出して実行し、検定側マスフローコントローラ11に検定ガスを流して検定側マスフローコントローラ11を校正する。検定側マスフローコントローラ11の校正は、第2パージ弁116と流量制御弁125A〜125Cと共通出力弁131と第2遮断弁105との間の容積Vを測定する精度を向上させるために行われる。
図3は、
図2に示す検定側マスフローコントローラ校正プログラム45のフロー図である。
【0025】
制御手段40は、先ずステップ1(以下「S1」と略記する。)において、設定流量状態で検定ガスを流し、第2遮断弁105を閉じる。具体的には、制御手段40は、検定ガス供給弁23、検定ガス入力弁10、検定側流量制御弁12、第2遮断弁105と、排気弁30を弁開状態にする一方、第1遮断弁102を弁閉状態にする。これにより、検定ガスが、レギュレータ7、ブルドン管圧力計8、圧力計9、検定ガス入力弁10、検定側マスフローコントローラ11、検定側流量制御弁12、圧力計103、温度計104、第2遮断弁105を介して、排気弁30に流れる。制御手段40は、データ記憶部48から設定流量を読み出し、検定側マスフローコントローラ11の流量測定値を設定流量に一致させるように、検定側流量制御弁12を動作させる。検定側マスフローコントローラ11の流量測定値が安定したら、第2遮断弁105を弁閉状態にする。
【0026】
次に、制御手段40は、S2において、圧力変動値ΔP0と、測定時間tと、測定温度RT0を測定し、下記数1に記載する気体の状態方程式を用いて流量確認を行う。
【0028】
具体的には、第2遮断弁105が弁閉すると、検定流路4の内部圧力が上昇する。そこで、制御手段40は、データ記憶部48から圧力測定開始温度P
0と、測定時間tを読み出し、圧力計103が圧力測定開始温度を測定してから測定時間tが経過した後の圧力P
1を圧力計103で測定し、圧力変動値ΔP
0(ΔP
0=P
1−P
0)を算出する。また、制御手段40は、温度計104が測定した測定温度RT
0を入力する。そして、制御手段40は、データ記憶部48から既知容積V2を読み出す。制御手段40は、上記数1に対して、圧力変動値ΔP
0を「圧力変動値」に、既知容積V2を「容積」に、測定時間tを「測定時間」に、測定温度RT
0を「温度」に代入し、検定側マスフローコントローラ11の流量Q0を測定する。
【0029】
そして、制御手段40は、S3において、初期値(出荷前のデータ)との比較を行い、校正を行う。具体的には、制御手段40は、S2で算出した流量Q
0を設定流量と比較する。制御手段40は、流量Q
0と設定流量との誤差が正常範囲と異常範囲との間の許容範囲であれば、その誤差を解消するように設定流量を補正する。尚、制御手段40は、流量Q
0と設定流量の誤差が、異常範囲であれば、検定側マスフローコントローラ11の異常を知らせる表示を行う。これにより、検定側マスフローコントローラ11の校正を終了する。
【0030】
次に、制御手段40は、容積測定プログラム46をROM43から読み出して実行し、第2パージ弁116と流量制御弁125A〜125Cと共通出力弁131と第2遮断弁105との間の容積V[第2パージ弁116と流量制御弁125A〜125Cと共通出力弁131と第1遮断弁102との間のタンク容積V1(
図1参照)に既知容積V2を加えた容積V]を測定する。第1集積側接続部24と第1接続部5との接続具合によって、容積Vがガス集積ユニット20毎にばらつくため、接続されたガス集積ユニット20との関係において容積Vを正確に把握するためである。
図4は、
図2に示す容積測定プログラム46のフロー図である。
【0031】
制御手段40は、S11において、設定流量状態で検定ガスを流す。具体的には、第2パージ弁116、流量制御弁125A〜125C、共通出力弁131を弁閉状態、検定ガス供給弁23、ガス入力弁10、検定側流量制御弁12、第1遮断弁102、第2遮断弁105、排気弁30、終端弁21を弁開状態にし、検定ガスを流す。このとき、検定側流量制御弁12は、検定側マスフローコントローラ11の流量測定値をデータ記憶部48に記憶されている設定流量に一致させるように動作する。
【0032】
制御手段40は、S12において、流量が安定したら、第2遮断弁105を閉じ、配管内の圧力を検定ガスで上昇させる。具体的には、制御手段40は、検定側マスフローコントローラ11の流量測定値が安定したら、第2遮断弁105を弁閉状態にし、検定ガスを排気しないようにする。すると、共通流路130、検定流路4の内圧が上昇する。
【0033】
そして、S13において、制御手段40は、測定時間t内の圧力変動値ΔP
1を測定する。具体的には、制御手段40は、第2遮断弁105を閉じた後に圧力計103が測定開始圧力P
0を測定したら、その時点から測定時間tが経過した後の圧力P
2を圧力計103で計測する。そして、測定時間tが経過したときの圧力P
2から測定開始圧力P
0を減算することにより、圧力変動値ΔP
1を算出する。
【0034】
制御手段40は、S14において、上記数1に記載する気体の状態方程式に基づいて容積Vを算出する。すなわち、制御手段40は、上記数1について、S13で算出した圧力変動値ΔP
1を「圧力変動値」に、データ記憶部48に記憶されている設定流量及び測定時間tを「流量」と「測定時間」に、温度計104が測定した温度測定値TR
1を「温度」に代入し、容積Vを算出する。検定側マスフローコントローラ11は、容積測定前に校正されているので、容積Vは、精度良く算出される。これにより、制御手段40は、容積測定処理を終了する。
【0035】
次に、制御手段40は、流量検定プログラム47をROM43から読み出し、ガス集積ユニット20についてマスフローコントローラ125A〜125Cの流量を1個ずつ検定する。
図5は、
図2に示す流量検定プログラム47のフロー図である。
【0036】
制御手段40は、S21において、検定対象となるマスフローコントローラを介してパージガスを設定流量状態で流す。具体的には、制御手段40は、例えば、マスフローコントローラ124Aの流量検定を行う場合には、第1パージ弁115、パージガス入力弁126A、流量制御弁125A、終端弁21、第1遮断弁102、第2遮断弁105、排気弁30を弁開状態にし、第2パージ弁116、ガス入力弁123A〜123C、流量制御弁125B,125C、パージガス入力弁126B、126C、検定ガス供給弁23、検定ガス入力弁10、検定側流量制御弁12を弁閉状態にして、マスフローコントローラ124Aにパージガスを流す。
【0037】
そして、S22において、制御手段40は、マスフローコントローラ124Aの流量が安定したら、第2遮断弁105を閉じ、配管内の圧力をパージガスで上昇させる。具体的には、制御手段40は、マスフローコントローラ124Aの流量測定値が安定したら、第2遮断弁105を閉じることにより、パージガスを共通流路130と検定流路4に充填し、容積Vにおける圧力を上昇させる。
【0038】
そして、S23において、制御手段40は、測定時間t内の圧力変動値ΔP
2を算出する。具体的には、制御手段40は、圧力計103の圧力測定値がデータ記憶部46に記憶されている測定開始圧力P
0になったら、そこから設定時間t後の圧力P
3を圧力計103により計測する。そして、計測した圧力P
3から測定開始圧力P
0を減算することにより、圧力変動値ΔP
2を算出する。
【0039】
そして、S24において、制御手段40は、上記数1に記載する気体の状態方程式に基づいて絶対流量Q
2を算出する。すなわち、上記数1に対し、
図4に記載の処理により測定した容積Vを「容積」に、S23で算出した圧力変動値ΔP
2を「圧力変動値」に、データ記憶部48に記憶されている測定時間tを「測定時間」に、温度計104の温度測定値RT
2を「温度」に代入し、絶対流量Q
2を算出する。
【0040】
そして、S25において、制御手段40は、S25において、絶対流量Q
2と設定流量を比較して流量検定を行う。具体的には、制御手段40は、現在の設定流量とS24で算出した絶対流量Q
2との誤差を求め、その誤差が正常範囲である場合には、検定が終了した旨を知らせる表示を行う。また、制御手段40は、現在の設定流量と絶対流量Q
2の誤差が正常範囲と異常範囲との間の許容範囲である場合には、マスフローコントローラ124Aの設定流量を補正し、検定が終了した旨を知らせる表示を行う。更に、制御手段40は、現在の設定流量と絶対流量Q
2の誤差が異常範囲である場合には、マスフローコントローラ124Aの交換を指示する表示を行う。これにより、制御手段40は、流量検定を終了する。
【0041】
流量検定が終了した流量検定ユニット1は、ガス集積ユニット20内と流量検定ユニット1内の弁を全て弁閉状態にすると、第1及び第3検定側接続部2,5と第1及び第2集積側接続部24,25との接続を解除し、第2検定側接続部3と排気弁30との接続を解除し、ガス集積ユニット20から取り外される。
【0042】
そして、流量検定ユニット1は、上記と同様に、別のガス集積ユニット20に取り付けられ、検定側マスフローコントローラ11の校正と容積Vの測定を行ってから、流量検定を行う。この場合、第1検定側接続部5の接続具合によって、後のガス集積ユニット20との関係での容積Vが、先のガス集積ユニット20との関係での容積Vと異なることがある。しかし、流量検定ユニット1は、後のガス集積ユニット20の容積Vを検定側マスフローコントローラ11を用いて算出するので、後のガス集積ユニット20についても流量検定を精度良く行える。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の流量検定ユニット1は、マスフローコントローラ124A〜124Cと流量制御弁125A〜125Cを備える第1〜第3ガス供給ライン121A〜121Cが並列に配置されたガス集積ユニット20について、マスフローコントローラ124Aから124Cの流量を1個ずつ検定するものであって、圧力計103と温度計104と第2遮断弁105が直列に配置されており、第2遮断弁105を弁閉した状態で圧力計103が測定する圧力測定値の単位時間当たりの圧力変動値と温度計104が測定する温度測定値を用いて、流量制御弁125A〜125Cと第2遮断弁105との間の容積Vを算出し、流量検定を行う流量検定ユニット1において、圧力計103の上流側に設けられ、ガス集積ユニット20に着脱自在に接続する第1検定側接続部2を有すること、検定ガスの入力を制御する検定ガス入力弁10と、検定ガスの流量を測定する検定側マスフローコントローラ11と、検定側マスフローコントローラ11が測定する検定ガス流量測定値を設定流量に一致させるように制御する検定側流量制御弁12を、直列に接続していること、検定ガス入力弁10と検定側マスフローコントローラ11と検定側流量制御弁12が、第2遮断弁105に対して並列に設けられていること、を特徴とする。
【0044】
このような流量検定ユニット1は、第1検定側接続部2を介してガス集積ユニット20に着脱自在に接続される。この場合、第1検定側接続部2をガス集積ユニット20に接続する具合によって、ガス集積ユニット20の流量制御弁125A〜125Cと第2遮断弁105との間の容積Vがばらつく。しかし、上記流量検定ユニット1は、直列に接続する検定ガス入力弁10と検定側マスフローコントローラ11と検定側流量制御弁12が、第2遮断弁105と並列に設けられている。そのため、流量検定ユニット1は、ガス集積ユニット20のマスフローコントローラ124A〜124Cを使用しなくても、第2遮断弁105を弁閉状態、検定ガス入力弁10を弁開状態にすれば、検定側マスフローコントローラ11と検定側流量制御弁12を介して検定ガスを設定流量に制御して第2遮断弁105より上流側に充填させることが可能である。流量検定ユニット1は、この場合に圧力計103が測定する圧力測定値の単位時間当たりの圧力変動値と、温度計104が測定する温度測定値を用いれば、流量制御弁125A〜125Cから第2遮断弁105までの容積Vを算出し、流量検定を行うことが可能である。よって、上記流量検定ユニット1によれば、複数のガス集積ユニット20に付け替えて流量検定することができる。
【0045】
また、本実施形態の流量検定ユニット1は、検定側マスフローコントローラ11に検定ガスを流して検定側マスフローコントローラ11を校正する校正プログラム(校正手段の一例)を有するので、容積Vを正確に算出でき、流量検定精度を安定させることができる。
【0046】
続いて、本発明の流量検定ユニットの第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る流量検定ユニット1をガス集積ユニット60に接続した流量検定システム65の回路図である。流量検定システム65は、流量検定ユニット60が、第1実施形態の圧力計103に変えて、測定範囲が異なる第1及び第2圧力計61,62を配置する点を除き、第1実施形態の流量検定システム15と同様に構成されている。以下の説明では、第1実施形態と共通する構成には、第1実施形態と同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
【0047】
図7は、
図6に示す流量検定ユニット60を制御する制御手段40が実行する流量検定プログラムのフロー図である。
図7に示す流量検定プログラムの処理は、S31の処理だけが、第1実施形態の流量検定プログラム47の処理(
図5参照)と相違する。制御手段40は、S31において、検定対象となるマスフローコントローラの流量が安定したら、第1圧力計61の圧力測定値を検出し、圧力測定値に合った圧力計61,62を選択する。そして、第2遮断弁105を閉じ、配管内の圧力をパージガスで上昇させる。
【0048】
具体的には、例えば、マスフローコントローラ124Aの流量検定を行う場合、S31において、第1パージ弁115、パージガス入力弁126A、流量制御弁125A、終端弁21、第1遮断弁102、第2遮断弁105、排気弁30を弁開状態にし、第2パージ弁116、ガス入力弁123A〜123C、流量制御弁125B,125C、パージガス入力弁126B、126C、検定ガス供給弁23、検定ガス入力弁10、検定側流量制御弁12を弁閉状態にして、マスフローコントローラ124Aにパージガスを流し、マスフローコントローラ124Aの流量が安定したら、第1圧力計61から圧力測定値を入力する。そして、第1圧力計61の圧力測定値が、第1圧力計61の測定範囲内であれば、第1圧力計61を選択する。一方、第1圧力計61の圧力測定値が、第1圧力計61の測定範囲外であれば、第2圧力計62を選択する。圧力計選択後の処理は、第1実施形態の流量検定と同様なので、説明を省略する。
【0049】
ガス集積ユニット20は、容積Vが同一でも、マスフローコントローラ124A〜124Cの制御流量によって、容積Vにパージガスを充填する時間が異なる。すなわち、例えば、マスフローコントローラ124A〜124Cの制御流量が1sccm以上10sccm未満のガス集積ユニット20は、マスフローコントローラ124A〜124Cの制御流量が10sccm以上1000sccm以下のガス集積ユニット20より、容積Vにパージガスを充填するのに時間がかかる。
【0050】
これに対して、本実施形態の流量検定ユニット60は、例えば、マスフローコントローラ124Aの設定流量が1sccm以上10sccm未満である場合に、第1圧力計61が圧力を測定できない場合には、第1圧力計61より測定範囲が低圧の第2圧力計62を選択し、第2圧力計62の圧力測定値を用いて流量検定を行う。一方、マスフローコントローラ124Aの設定流量が10sccm以上1000sccm以下である場合に、第1圧力計61が圧力を測定できる場合には、第1圧力計61を選択し、第1圧力計61の圧力測定値を用いて流量検定を行う。よって、本実施形態の流量検定ユニット60によれば、検定対象となるマスフローコントローラ124Aの制御流量に合わせて第1及び第2圧力計61,62の何れかを選択できるので、検定精度を落とさずに検定時間を短くできる。
【0051】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、上記実施形態では、ガス集積ユニット20に流量検定ユニット1に検定ガスを供給するための検定ガスライン22を設けた。これに対して、流量検定ユニット1のレギュレータ7、ブルドン管圧力計8、圧力計9を省く一方、パージガスライン111の圧力計114と第1パージ弁115との間に接続する配管とその配管に配置される供給弁を設け、配管の供給弁より下流側の位置に流量検定ユニット1の第3検定側接続部5を接続するようにしても良い。この場合、検定側マスフローコントローラ11の校正や容積測定は、パージガスライン111からパージガスを入力して行うこととなる。この場合、流量検定ユニット1に搭載する機器を減らし、コストダウンを図ることができる。
例えば、上記実施形態では、マスフローコントローラ124A〜124Cの設定流量をデータ記憶部48に記憶させたが、制御手段40がガス集積ユニットのコントローラ(図示せず)から入力するようにしても良い。
例えば、上記第2実施形態では、測定範囲が異なる第1及び第2圧力計41,42を使用したが、測定範囲が同じ圧力計を第1及び第2遮断弁102,105の間に2個並べて配置し、圧力測定値を比較するようにしても良い。
例えば、終端弁21,検定ガス供給弁23,排気弁30を省き、共通流路130と検定ガスライン22と検定流路4の末端を封止栓等で封止しても良い。