(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047551
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】ウェハの汚染測定装置およびウェハの汚染測定方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20161212BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
H01L21/66 L
G01N1/28 X
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-501000(P2014-501000)
(86)(22)【出願日】2012年3月21日
(65)【公表番号】特表2014-514743(P2014-514743A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】KR2012002030
(87)【国際公開番号】WO2012128556
(87)【国際公開日】20120927
【審査請求日】2015年3月16日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0024738
(32)【優先日】2011年3月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511028928
【氏名又は名称】エルジー シルトロン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100123618
【弁理士】
【氏名又は名称】雨宮 康仁
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】イ、スン−ウク
【審査官】
堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0163670(US,A1)
【文献】
特開平10−242228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを整列するウェハ整列装置と、
前記整列されたウェハを移動させローディングするローディングロボットと、
前記ローディングされたウェハを回転させる回転ステージと、
前記ウェハに対する自然酸化膜エッチング液と金属汚染回収液とをホールディング(holding)できるスキャンロボットと、
所定のエッチング液と回収液とを収容できる容器と、
前記スキャンロボットの下端に備えられ、前記エッチング液および前記回収液をホールディングできるチューブと、を含み、
前記スキャンロボットは、前記ウェハのエッジ部に存在する酸化膜を、前記エッチング液を用いて除去できる、ウェハの汚染測定装置。
【請求項2】
前記スキャンロボットは、前記酸化膜が除去されたウェハのエッジ部表面の金属汚染を、前記回収液を利用して採取できる、請求項1に記載のウェハの汚染測定装置。
【請求項3】
前記チューブの下部形状は、斜線方向に切断された形状である、請求項1に記載のウェハの汚染測定装置。
【請求項4】
前記チューブの下端中の切断された領域が、前記ウェハのエッジ部の側面に位置する、請求項3に記載のウェハの汚染測定装置。
【請求項5】
ウェハを整列させた後ローディングロボットによって回転ステージ上に前記ウェハをローディングするステップと、
スキャンロボットの下端に備えられたチューブにホールディング(holding)されるエッチング液を用いて、前記ウェハのエッジ部に存在する酸化膜を除去するステップと、
前記酸化膜が除去されたウェハのエッジ部表面の金属汚染を、前記チューブにホールディングされる回収液を利用して採取するステップと、
抽出された前記回収液を利用して金属汚染を分析するステップと、を含む、ウェハの汚染測定方法。
【請求項6】
前記ウェハのエッジ部に存在する酸化膜を除去するステップは、
前記チューブの下部がエッチング液を採取してホールディングした状態で、前記ウェハのエッジ部に接近するステップと、
前記チューブの下部が前記ウェハのエッジ部に接触せず前記ウェハのエッジ部から所定の距離を維持した状態で、前記ウェハを載置した前記回転ステージを回転させるステップと、を含む、請求項5に記載のウェハの汚染測定方法。
【請求項7】
前記スキャンロボットが採取してホールディングするエッチング液の量V1は、100μL≦V1≦1000μLである、請求項5に記載のウェハの汚染測定方法。
【請求項8】
前記酸化膜が除去されたウェハのエッジ部表面の金属汚染を採取するステップは、
回収液を前記スキャンロボットを利用して供給するステップと、
前記チューブの下部にホールディングされる回収液と前記ウェハのエッジ部を接触させるステップと、
前記ウェハの前記回転ステージを回転させながら前記ウェハのエッジ部の金属汚染を抽出するステップと、を含む、請求項5に記載のウェハの汚染測定方法。
【請求項9】
前記スキャンロボットが採取してホールディングする回収液の量V2は、100μL≦V2≦1000μLである、請求項8に記載のウェハの汚染測定方法。
【請求項10】
前記回収液はフッ化水素酸と過酸化水素の混合溶液である、請求項5に記載のウェハの汚染測定方法。
【請求項11】
前記回収液はX%HFY%H2O2の化学組成(ただし、0.1≦X≦5、1≦Y≦28)である、請求項10に記載のウェハの汚染測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハの汚染測定装置およびウェハの汚染測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェハを利用した半導体素子の高集積化、微細化に伴って、半導体素子の性能を顕著に低下させる原因となるシリコンウェハ上に存在する不純物を減少させることは重要な課題である。したがって、このような不純物、特に金属不純物を分析および管理することが、シリコンウェハの品質を管理するために重要である。
【0003】
従来技術によれば、シリコンウェハのエッジ部に存在する金属汚染を測定する方法として、チャンバ内にウェハを載置し、フッ化水素酸を蒸気にしてチャンバ内に流入させて、シリコンウェハの全体表面に存在する酸化膜を除去する。以後、フッ化水素、過酸化水素、そして塩酸が混合された溶液が注入された容器にウェハの外周部を浸漬させ、ウェハが載置されたステージを回転させることによってウェハの外周部に存在する金属汚染を抽出し、誘導結合プラズマ質量分析装置を利用して金属汚染を定性および定量分析する方法がある。
【0004】
ところが、従来技術によれば、シリコンウェハのエッジ部のみを分析するだけでなく、エッジ部を含む前面と後面の表面を約3mm程まで侵して分析をする。よって、従来技術によれば、正確にシリコンウェハのエッジ部のみを分析するといえない。
【0005】
そして、従来技術の場合、銅(Cu)汚染の回収率を高めるために、フッ化水素酸、過酸化水素酸、そして塩酸の混合溶液を用いるが、回収液として塩酸を用いる場合には、シリコン表面に存在する酸化膜が分解された後表面に残存するシリコン(Si)と塩酸に存在する塩素(Cl)が結合した物質(28Si35Cl)となるため、誘導結合プラズマ質量分析方法で63Cuと質量干渉が発生して、実際にCu汚染がなくてもCu汚染があると分析されるエラーを誘発することがある。
【0006】
また、従来技術の場合、シリコンウェハ外周部の金属汚染を分析するためにウェハ全体に存在する酸化膜を除去することになるので、前面の表面部位にパーティクルが吸着し易い表面状態を提供して、金属汚染分析以外の他の測定サンプルとして当該ウェハを活用できないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、シリコンウェハのエッジ部の金属汚染を選択的に抽出して汚染の定性および定量分析が可能なウェハの汚染測定装置およびウェハの汚染測定方法を提供しようとする。
【0008】
また、本発明は、回収液を最適化できるウェハの汚染測定装置およびウェハの汚染測定方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のウェハの汚染測定装置は、ウェハを整列するウェハ整列装置と、前記整列されたウェハを移動させローディングするローディングロボットと、前記ローディングされたウェハを回転させる回転ステージと、前記ウェハに対する自然酸化膜エッチング液と金属汚染回収液をホールディングできるスキャンロボットと、所定のエッチング液と回収液を収容できる容器と、を含み、前記スキャンロボットは前記ウェハのエッジ部に存在する酸化膜を除去することができる。
【0010】
また、本発明のウェハの汚染測定方法は、ウェハを整列させた後ローディングロボットによって回転ステージ上に前記ウェハをローディングするステップと、前記ウェハのエッジ部に存在する酸化膜を除去するステップと、前記酸化膜が除去されたウェハのエッジ部表面の金属汚染を、回収液を利用して採取するステップと、前記抽出された回収液を利用して金属汚染を分析するステップと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のウェハの汚染測定装置およびウェハの汚染測定方法によれば、シリコンウェハのエッジ部の金属汚染を選択的に抽出して定性および定量分析が可能である。
【0012】
また、本発明によれば、ウェハのエッジ部の自然酸化膜のみを除去し、前面と後面の表面の自然酸化膜に損傷を与えずに汚染を最小化することができるので、測定後の当該ウェハは他の測定サンプルとして活用が可能となる。
【0013】
また、本発明によれば、回収液を最適化して汚染物質の回収率を高めると共に、質量分析装置の質量重畳現象を解消して分析エラーを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例に係るウェハの汚染測定装置の概略図である。
【
図2】実施例に係るウェハの汚染測定方法において、ウェハのエッジ部に存在する酸化膜を除去するステップの例示図である。
【
図3】実施例に係るウェハの汚染測定方法において、ウェハの金属汚染を、回収液を利用して採取するステップの例示図である。
【
図4】実施例に係るウェハの汚染測定方法を適用したときのシリコンウェハのエッジ部の金属汚染回収率の例示図である。
【
図5】実施例に係るウェハの汚染測定方法を適用したときのウェハのエッジ部の汚染測定後ウェハの金属汚染測定結果の例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施例の説明において、各ウェハ、装置、チャック、部材、部、領域または面などが、各ウェハ、装置、チャック、部材、部、領域または面などの「上」または「下」に形成されると記載される場合、「上」と「下」は「直接」または「他の構成要素を介在して」形成されるものも含む。また、各構成要素の「上」または「下」に対する基準は、図面を基準として説明する。なお、図面における各構成要素の大きさは、説明の便宜を図り誇張図示される場合もあるが、実際に適用される大きさを意味するものではない。
【0016】
図1は、実施例に係るウェハの汚染測定装置100の概略図である。
【0017】
実施例に係るウェハの汚染測定装置100は、ウェハWを整列するウェハ整列装置110と、前記整列されたウェハを移動させるローディングロボット120と、前記ローディングされたウェハを回転させる回転ステージ130と、前記ウェハに対する自然酸化膜エッチング液と金属汚染回収液をホールディングできるスキャンロボット140と、所定のエッチング液と回収液を収容できる第1容器151および第2容器152と、を含むことができる。前記スキャンロボット140は、3軸(X-Y-Z)移動が可能である。前記スキャンロボット140は、前記ウェハのエッジ部に存在する酸化膜を除去することができる。
【0018】
また、前記スキャンロボット140は、前記酸化膜が除去されたウェハのエッジ部表面の金属汚染を、前記回収液を利用して採取することができる。
【0019】
例えば、前記スキャンロボット140は、前記スキャンロボットの下端に備えられ、前記エッチング液および前記回収液をホールディングできるチューブ142をさらに含み、前記チューブの下部形状は斜線方向に切断された形状を有することができる。
【0020】
また、前記チューブ142の下端中の切断された領域が前記ウェハのエッジ部の側面に位置することができる。
【0021】
例えば、実施例によれば、ウェハのエッジ部の金属汚染を採取するために、回収液S(
図3参照)とウェハのエッジ部を接触させる。このとき、回収液Sをホールディングしているチューブ142の形状が重要である。
【0022】
実施例によれば、スキャンロボット140がウェハの上側にあるので、チューブ142を斜線方向に切断した形状に製作して上方でホールディングしていると、回収液Sを実質的にウェハのエッジ部のみに接触させることができる。このような状態で回転ステージ130を回転させると、ウェハのエッジ部の金属汚染を採取することができる。このように採取された回収液を用いて誘導結合プラズマ質量分析装置などにより金属汚染を定性および定量分析できるようになる。
【0023】
前記ウェハの汚染測定装置100は、前記スキャンロボット140のチューブ142を洗浄できる第3容器154と第4容器156および試料を入れるバイアルトレイ158を含むことができる。前記第3容器154には純水リンス(DIW Rinse)、および前記第4容器156にはケミカルリンス(Chemical Rinse)が入っているが、これに限定されるものではない。
【0024】
実施例に係るウェハの汚染測定装置およびウェハの汚染測定方法によれば、シリコンウェハのエッジ部の金属汚染を選択的に抽出して定性および定量分析が可能である。
【0025】
また、実施例によれば、ウェハのエッジ部の自然酸化膜のみを除去し、前面と後面の表面の自然酸化膜に損傷を与えずに汚染を最小化することができるので、測定後の当該ウェハは他の測定サンプルとして活用が可能となる。
【0026】
また、実施例によれば、回収液を最適化して汚染物質の回収率を高めると共に、質量分析装置の質量重畳現象を解消して分析エラーを防ぐことができる。
【0027】
以下、
図1〜
図3を参照して、実施例に係るウェハの汚染測定方法を説明する。
【0028】
まず、ウェハWを整列させた後、ローディングロボット120によって回転ステージ130上に前記ウェハWをローディングする。
【0029】
次に、
図2のようにウェハWのエッジ部に存在する自然酸化膜Oを除去する。
【0030】
例えば、前記ウェハWのエッジ部に存在する酸化膜Oを除去するステップは、スキャンロボット140がエッチング液Eを採取してホールディングした状態で、前記ウェハWのエッジ部に接近するステップおよび前記ウェハのエッジ部に接触せず所定の距離dを維持した状態で、前記ウェハWを載置した回転ステージ130を回転させるステップを含むことができる。
【0031】
前記エッチング液Eはフッ化水素酸(HF)からなることができるが、これに限定されるものではない。
【0032】
前記エッチング液Eが常温で揮発する性質を利用して、ウェハのエッジ部の自然酸化膜のみを選択的に除去する場合、前記ウェハのエッジ部とチューブの間の距離dは1mm未満であるが、これに限定されるものではなく、エッチング液が気化した状態で所定の供給装置により圧力が加えられて供給される場合、1mm以上でも可能となる。
【0033】
前記スキャンロボット140が採取してホールディングするエッチング液Eの量V1は、100μL≦V1≦1000μLであることが好ましい。エッチング液Eの量が100μL未満であると十分に酸化膜を除去できず、1000μLを超えるとエッチング液が落下する虞がある。
【0034】
実施例で、前記スキャンロボット140は、前記スキャンロボットの下端に備えられ、エッチング液または回収液をホールディングできるチューブ142を含み、前記チューブ142の下部形状は斜線方向に切断された形状を有することができる。
【0035】
また、前記チューブ142の下端において切断された領域が前記ウェハWのエッジ部の側面に位置することができる。
【0036】
前記ウェハのエッジ部の自然酸化膜Oを除去した後、スキャンロボット140のチューブ142に残ったフッ化水素酸(HF)はドレーンに廃棄され、前記チューブ142は第3容器154内で純水(DIW)等によって洗浄されることになる。
【0037】
次に、
図3のように前記酸化膜Oが除去されたウェハのエッジ部表面の金属汚染を、回収液Sを利用して採取する。
【0038】
例えば、前記ウェハのエッジ部表面の金属汚染を、回収液を利用して採取するステップは、回収液Sを前記スキャンロボット140を利用して供給するステップと、前記回収液Sと前記ウェハのエッジ部を接触させるステップおよび前記回転ステージ130を回転させながら前記ウェハのエッジ部の金属汚染を抽出するステップを含むことができる。
【0039】
前記スキャンロボット140が採取してホールディングする回収液Sの量V2は、100μL≦V2≦1000μLであることが好ましい。前記回収液の量V2が、100μL未満であると測定できる金属元素の個数が小さくなる短所があり、1000μLを超えるとサンプルボリュームが大きくなって低濃度汚染に対する検出力が低下する問題がある。
【0040】
実施例によれば、前記スキャンロボットの下端に備えられるチューブ142でエッチング液をホールディングし、前記チューブ142の下部形状は斜線方向に切断された形状とすることができる。
【0041】
例えば、ウェハのエッジ部の金属汚染を採取するために、回収液Sとウェハのエッジ部を接触させる。このとき、回収液Sをホールディングしているチューブ142の形状が重要である。
【0042】
実施例によれば、スキャンロボット140がウェハの上側にあるので、チューブ142を斜線方向に切断した形状に製作して上方でホールディングすれば、回収液Sを実質的にウェハのエッジ部のみに接触させることができる。
【0043】
このような状態でウェハ回転ステージ130を回転させると、ウェハのエッジ部の金属汚染を採取することができる。このように採取された回収液を誘導結合プラズマ質量分析装置などを利用して金属汚染を定性および定量分析できるようになる。
【0044】
一方、従来技術ではフッ化水素酸、過酸化水素、塩酸の混合溶液を回収液として使用している方に対し、実施例での回収液Sはフッ化水素酸と過酸化水素の混合溶液によってもCuの回収率を改善することができる。
【0045】
回収率を改善するために、回収液はX%HFY%H
2O
2の化学組成(ただし、0.1≦X≦5、1≦Y≦28)を有することができる。
【0046】
前記HFおよびH
2O
2の組成が、上記した組成範囲未満である場合には回収率が悪くなり、上記した組成範囲を超過した場合にはICP/MS(Inductively Coupled Plasma/Mass Spectrometer)測定装備の干渉を誘発し、測定精度を悪化させることがある。
【0047】
実施例で、フッ化水素酸と過酸化水素の混合溶液である回収液Sを利用することで、従来技術の問題点であった28Si35Clと63Cuの質量干渉を避けることができ、分析エラーを防ぐことができる。
【0048】
実施例に係るウェハの汚染測定装置およびウェハの汚染測定方法によれば、シリコンウェハのエッジ部の金属汚染を選択的に抽出して定性および定量分析が可能である。
【0049】
また、実施例によれば、ウェハのエッジ部の自然酸化膜のみを除去し、前面と後面の表面の自然酸化膜に損傷を与えずに汚染を最小化することができるので、測定後の当該ウェハは他の測定サンプルとして活用が可能となる。
【0050】
また、実施例によれば、回収液を最適化して汚染物質の回収率を高めると共に、質量分析装置の質量重畳現象を解消して分析エラーを防ぐことができる。
【0051】
図4は、実施例に係るウェハの汚染測定方法を適用したときのシリコンウェハエッジ部の金属汚染測定回収率の例示図である。
【0052】
ウェハのエッジ部の回収率を測定するためにウェハの表面をスピンコーティング方式で汚染させると、ウェハの表面だけでなく、回転している間ウェハのエッジ部も当然汚染されてしまう。
【0053】
そして、ウェハ前面に存在する金属汚染をVPD/ICP-MS方式で除去すると、ウェハのエッジ部のみを汚染させたウェハを製作できることになる。
【0054】
上記のように製作されたウェハを、1回、2回、3回と反復測定し、[1-(1回測定濃度/2回測定濃度)
]×10
0の式により回収率を計算した。その結果、図
4のような回収率の結果が得られ、金属汚染の回収率は88%以上であることがわかる。この結果から、本発明の測定信頼性は優れていると言える。
【0055】
図5は、実施例に係るウェハの汚染測定方法を適用したときのウェハのエッジ部の汚染測定後ウェハ面の金属汚染測定サンプル結果(Sample-1、Sample-2、Sample-3)の例示図である。
【0056】
本発明によれば、シリコンウェハの前面と後面の自然酸化膜の損傷を防ぐことができるので、分析後他の測定にも使用することができる。例えば、
図5のように、ウェハのエッジ部の金属汚染を測定した後前面の金属汚染を測定した結果、その金属汚染は5E8 atoms/cm
2未満として、表面金属汚染を除いたバルクFe、DSOD(direct surface oxide defect)、熱処理評価などに利用することが可能である。
【0057】
以上の実施例で説明された特徴、構造、効果などは、少なくとも1つの実施例に組合せることができ、必ず1つの実施例に限定されるものではない。また、各実施例に例示した特徴、構造、効果などは、当業者であれば、別の実施例に組合せたり変形して実施可能であり、このような組合と変形も本発明の範囲内に含まれるものであると解釈されるべきである。
【0058】
また、以上では実施例を中心に本発明を説明したが、これは例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で、以上に例示されていない多様な変形と応用が可能であることは自明である。例えば、実施例に具体的に開示された各構成要素は、変形して実施可能であり、このような変形と応用に係る差異点も、添付された特許請求の範囲の範囲内に含まれるものであると解釈されるべきである。
(付記)
(付記1)
ウェハを整列するウェハ整列装置と、
前記整列されたウェハを移動させローディングするローディングロボットと、
前記ローディングされたウェハを回転させる回転ステージと、
前記ウェハに対する自然酸化膜エッチング液と金属汚染回収液をホールディング(holding)できるスキャンロボットと、
所定のエッチング液と回収液を収容できる容器と、を含み、
前記スキャンロボットは、前記ウェハのエッジ部に存在する酸化膜を除去できるウェハの汚染測定装置。
(付記2)
前記スキャンロボットは、前記酸化膜が除去されたウェハのエッジ部表面の金属汚染を、前記回収液を利用して採取できる付記1に記載のウェハの汚染測定装置。
(付記3)
前記スキャンロボットは、前記スキャンロボットの下端に備えられ、前記エッチング液および前記回収液をホールディングできるチューブをさらに含む付記1に記載のウェハの汚染測定装置。
(付記4)
前記チューブの下部形状は、斜線方向に切断された形状である付記3に記載のウェハの汚染測定装置。
(付記5)
前記チューブの下端中の切断された領域が、前記ウェハのエッジ部の側面に位置する付記4に記載のウェハの汚染測定装置。
(付記6)
ウェハを整列させた後ローディングロボットによって回転ステージ上に前記ウェハをローディングするステップと、
前記ウェハのエッジ部に存在する酸化膜を除去するステップと、
前記酸化膜が除去されたウェハのエッジ部表面の金属汚染を、回収液を利用して採取するステップと、
前記抽出された回収液を利用して金属汚染を分析するステップと、を含むウェハの汚染測定方法。
(付記7)
前記ウェハのエッジ部に存在する酸化膜を除去するステップは、
スキャンロボットがエッチング液を採取してホールディングした状態で、前記ウェハのエッジ部に接近するステップと、
前記ウェハのエッジ部に接触せず前記ウェハのエッジ部から所定の距離を維持した状態で、前記ウェハを載置した前記回転ステージを回転させるステップと、を含む付記6に記載のウェハの汚染測定方法。
(付記8)
前記スキャンロボットが採取してホールディングするエッチング液の量V1は、100μL≦V1≦1000μLである付記6に記載のウェハの汚染測定方法。
(付記9)
前記酸化膜が除去されたウェハのエッジ部表面の金属汚染を採取するステップは、
回収液を前記スキャンロボットを利用して供給するステップと、
前記回収液と前記ウェハのエッジ部を接触させるステップと、
前記ウェハの前記回転ステージを回転させながら前記ウェハのエッジ部の金属汚染を抽出するステップと、を含む付記6に記載のウェハの汚染測定方法。
(付記10)
前記スキャンロボットが採取してホールディングする回収液の量V2は、100μL≦V2≦1000μLである付記9に記載のウェハの汚染測定方法。
(付記11)
前記回収液はフッ化水素酸と過酸化水素の混合溶液である付記6に記載のウェハの汚染測定方法。
(付記12)
前記回収液はX%HFY%H2O2の化学組成(ただし、0.1≦X≦5、1≦Y≦28)である付記11に記載のウェハの汚染測定方法。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のウェハの汚染測定装置およびウェハの汚染測定方法によれば、シリコンウェハのエッジ部の金属汚染を選択的に抽出して汚染の定性および定量分析が可能である。前記ウェハは、半導体製造用のウェハとして用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0060】
また、実施例によれば、ウェハのエッジ部の自然酸化膜のみを除去し、前面と後面の表面の自然酸化膜に損傷を与えずに汚染を最小化することができるので、測定後の当該ウェハは他の測定サンプルとして活用が可能となる。
【0061】
また、実施例によれば、回収液を最適化して汚染物質の回収率を高めると共に、質量分析装置の質量重畳現象を解消して分析エラーを防ぐことができる。