特許第6047554号(P6047554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047554
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】人工関節、特に人工膝関節の挿入用装具
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/46 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   A61F2/46
【請求項の数】39
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-505627(P2014-505627)
(86)(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公表番号】特表2014-516629(P2014-516629A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】EP2012057163
(87)【国際公開番号】WO2012143444
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年3月31日
(31)【優先権主張番号】11163566.0
(32)【優先日】2011年4月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591151602
【氏名又は名称】ヴァルデマール・リンク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Waldemar Link GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・ドゥムシェウスキー
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・イレディ
(72)【発明者】
【氏名】バルツァリニ・アモス
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0092951(US,A1)
【文献】 特開2004−267789(JP,A)
【文献】 特開2006−158972(JP,A)
【文献】 特開2007−029657(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/150222(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨、特に大腿骨、の端部での人工関節、特に人工膝関節の大腿骨部品を挿入する一式の装具であって、
a) 案内板(12)及び案内板から横に突出する主ゲージ(11)を有するベースフレーム(1)と、
b) 定位置にて骨にベースフレーム(1)を配置する締結装置(99)と、
c) 本体(70)及び案内片(8)を有する曲線状のミリングゲージ(7)と、ここで案内片(8)は、本体(70)に関して曲線状の案内通路(74)に沿って移動可能であり、研削ツール(85)用の受け口(87)を有し、
d) 曲線状のミリングゲージがベースフレーム(1)へ挿入された状態にて、明確に規定された相対位置に曲線状のミリングゲージ(7)を置く整列装置(17、77)と、
を備え、
案内片(8)は、フォロアー(84)を介して案内通路(74)に装着され、本体においてピボット軸受(81、83)を介して旋回可能に装着される、
ことを特徴とする装具。
【請求項2】
曲線状の案内通路(74)は、一定ではない曲率を有することを特徴とする、請求項1に記載の装具。
【請求項3】
ピボット軸受(81、83)は、フォロアー(84)から離れて配置され、両側で旋回可能に装着されるエルボーレバー(80)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の装具。
【請求項4】
エルボーレバー(80)は、本体(70)のピボット軸受(78)に取り外し可能に装着されることを特徴とする、請求項3に記載の装具。
【請求項5】
案内片(8)は、取り外し可能に設計されることを特徴とする、請求項3又は4のいずれかに記載の装具。
【請求項6】
案内片(8)と本体(70)との間に角度ロックが設けられ、案内通路(74)の伸展部(74’)へ案内片(8)を移動することによって分離可能であることを特徴とする、請求項に記載の装具。
【請求項7】
角度ロックは、ピボット軸受スリーブ(83)、及び案内片(8)の1つの角度位置でのみ開く非円形のピボットピン(81)を備えることを特徴とする、請求項に記載の装具。
【請求項8】
ピボット軸受スリーブ(83)は、圧縮部(83’)を介して側面の方へ開いており、ピボットピン(81)は、最小幅(d)の経路及び最大幅(D)の経路を有し、圧縮部(83’)の幅は、最小幅(d)の経路の通過に十分であるが最大幅(D)の経路の通過には十分ではない、ことを特徴とする請求項に記載の装具。
【請求項9】
受け口(87)は、研削ツール(85)用の軸(87’)を規定し、この軸はフォロアー(84)とピボット軸受(81、83)との間のラインに斜角で配置され、斜角は10〜35度の間の範囲で、さらに15〜30度の間である、ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の装具。
【請求項10】
案内片(8)における研削ツール(85)用の受け口(87)は、深さ止めと協働する、ことを特徴とする請求項に記載の装具。
【請求項11】
深さ止めは、受け口(87)における階段状の座部として形成され、受け口は片側方向に開いている、ことを特徴とする請求項10に記載の装具。
【請求項12】
案内片(8)は、研削ツール(85)用の2つの受け口を有する、ことを特徴とする請求項9,10,11のいずれかに記載の装具。
【請求項13】
2つの受け口は、末広がりの軸(87’)を有し、その結果、研削ツール(85)は挿入された状態において外側を向く、ことを特徴とする請求項12に記載の装具。
【請求項14】
ピボット軸受(81、83)を有する案内片(8)、及びエルボーレバー(80)は、本体(70)の一側面から分解可能であり、他方側面において再組立される、ことを特徴とする請求項3からのいずれかに記載の装具。
【請求項15】
骨に本体(70)を固定する固定穴は、本体(70)及び/又は案内通路(74)に設けられる、ことを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の装具。
【請求項16】
整列用挿入物(3)は、案内板(12)における規定位置で交換可能に配置され、整列本体に相当する骨ブローチング・ツール(92)を受け入れるように設計されている、ことを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の装具。
【請求項17】
整列本体用の受け口(31)は、整列用挿入物(3)に位置し片側面で開いている、ことを特徴とする請求項16に記載の装具。
【請求項18】
互いに関してV字形状で整列された2つの切り溝(41)を有し、相反固定(42、43)を有し、ベースフレーム(1)に取り付け可能な前部ソーイング挿入物(40)を備えた、ことを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の装具。
【請求項19】
案内板(12)の端において両側に配置するために設計され、異なる高さのスペーサー(35)を備えた、ことを特徴とする請求項1から18のいずれかに記載の装具。
【請求項20】
第1ミリング挿入物(4)は、案内板(12)に交換可能に取り付け可能であり、ブローチミリングカッター(49)用の規定の受け口(45)を形成し、この受け口はある位置にミリングカッター(49)を保持し及び深さ止めを形成する、ことを特徴とする請求項1から19のいずれかに記載の装具。
【請求項21】
案内板(12)において正確に角度付けされた状態で(27)に差し込むことができる隙間ゲージ(39)を備える、ことを特徴とする請求項1から20のいずれかに記載の装具。
【請求項22】
第2ミリング挿入物(5)は、案内板(12)に交換可能に取り付け可能であり、カッターがいずれの受け口をふさぐことができる形態でバルク・ミリングカッター(59)を受け入れるための2つの受け口(51)を形成し、2つの受け口(51)は異なる深さ止め及び横方向へのオフセットを有する、ことを特徴とする請求項1から21のいずれかに記載の装具。
【請求項23】
第2の補助のミリング挿入物(5’)は、案内板(12)に交換可能に取り付け可能であり、カッターがいずれの受け口をふさぐことができる形態でバルク・ミリングカッター(59)を受け入れるための2つの受け口(55)を形成し、2つの受け口(55)は同じ深さ止めを有し、及び/又は横方向へのオフセットを有しない、ことを特徴とする請求項22に記載の装具。
【請求項24】
第3のミリング挿入物(6)は、案内板に取り付けることができ、深さミリングカッター(68、69)用の溝付リンクガイド(61)を形成し、深さミリングカッター(68、69)は溝付リンクガイド(61)に配置される溝付リンクスライダ(65)に受け入れられ案内される、ことを特徴とする請求項23に記載の装具。
【請求項25】
溝付リンクスライダ(65)は、ハンドル(64)を有する、ことを特徴とする請求項24に記載の装具。
【請求項26】
異なるミリング深さが達成されるように、深さミリングカッター(68)及び第2の深さミリングカッター(69)と協働する、第3のミリング挿入物(6)に配置された深さ止め(67)を設ける、ことを特徴とする請求項25に記載の装具。
【請求項27】
溝付リンクスライダ(65)を受け入れ可能なで第3のミリング挿入物(6)に配置された溝付リンク窓(61)を設ける、ことを特徴とする請求項24から26のいずれかに記載の装具。
【請求項28】
溝付リンクガイドは、蝶番の形態で互いに接続された2つの案内レバー(60’、61’)を備え、深さミリングカッター(68)用の受け口(67’)は、案内板(12)における挿入物(6’)の一端に配置され他端で旋回可能に配置される、ことを特徴とする請求項24から27のいずれかに記載の装具。
【請求項29】
案内板(12)は、整列用挿入物(3)、第1ミリング挿入物(4)、又は第2ミリング挿入物(5)用の直線ガイド(2)に相当するダブテールガイドを有する、ことを特徴とする請求項16,20,22のいずれかに記載の装具。
【請求項30】
異なるサイズの曲線状のミリングゲージ(7)を備える、ことを特徴とする請求項1から29のいずれかに記載の装具。
【請求項31】
一対の挿入トング(76)は、曲線状のミリングゲージ(7)に設けられ、規定の位置にてフォームフィッティング形態で係合し、曲線状のミリングゲージ(7)が案内板(12)に関して明確な位置で挿入されるように整列突起(77)を介して整列装置(17)と協働する、ことを特徴とする請求項1から30のいずれかに記載の装具。
【請求項32】
互いから離れて配向され、ベースフレーム(1)において横方向に配置される整列ロッド(38)を備える、ことを特徴とする請求項1から31のいずれかに記載の装具。
【請求項33】
人工関節の固定ピンの受け入れを形成するための深さ止めを有するドリル(98)を備える、ことを特徴とする請求項1から32のいずれかに記載の装具。
【請求項34】
骨におけるくぼみ、特に大腿骨の髄腔を大きくする異なる突錐(90、91)を備える、ことを特徴とする請求項1から33のいずれかに記載の装具。
【請求項35】
停止板(97)を受け取るように設計され厚みを減じた凹部(96)をそのシャフトが有するやすり/ブローチング突錐(92)を備える、ことを特徴とする請求項1から34のいずれかに記載の装具。
【請求項36】
やすり/ブローチング突錐(92)は、2つ、3つ、あるいは4つの刃先(93)を有する、ことを特徴とする請求項35に記載の装具。
【請求項37】
相対的な垂直方向のオフセットを有する刃先(93)に歯(94)が配置される、ことを特徴とする請求項36に記載の装具。
【請求項38】
ベースフレーム(1)の位置決め用の整列ゲージ(39’)が設けられ、この整列ゲージは、ベースフレーム(1)の整列装置(17)に接続可能である、ことを特徴とする請求項1から37のいずれかに記載の装具。
【請求項39】
曲線状の案内通路(74)における一定ではない曲率は、案内通路(74)に沿って連続的に変化することを特徴とする、請求項2に記載の装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工関節、特に人工膝関節の大腿骨部品を、骨、特に大腿骨の端に挿入するための装具一式に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の人工関節、特に人工膝関節の埋め込みは、外科医に関してやりがいのある仕事である。この種の人工関節は、非常に自然な方法で生体関節の動きの複雑な生理学的経路を再生しなければならない。このことは、高度に開発された人工関節だけでなく人工関節の正確な埋め込みも要求する。この方法でのみ、生体関節の所望の機能性が正確に回復可能であることが保証される。治療の十分な成功を保証するために、人工関節は正確さだけでなく安全で再現性良く位置決めされねばならないことは言うまでもない。特に、周囲の組織が、多くの場合、支持機能に関して重要な役割を果たすことから、周囲の組織、特に骨物質を囲むものは、ダメージあるいは傷つけてはならない。しかしながら、特に、人工関節の長い耐用年数に鑑みて目標に対立がある。一方では、広い範囲にわたり力が伝わる場合、長い耐用年数にとって好都合である。他方では、広範囲の設計は、概して大きすぎる寸法の人工関節となり、大きな空間を必要とするかもしれず、よって周囲組織の損傷を容易にするかもしれない。よって、人工関節を支持するために特に重要な部分で誤った領域の部材が取り除かれるリスクがある。したがって、正確な位置関係に基づいて埋め込みを実行する必要がある。
【0003】
実際に関して従来技術から知られた装具は、人工関節、特に人工膝関節に試みられテストされた埋め込みを可能にする。しかしながら、その装具は、それ自体、正しい位置決めに関してほとんど支援を提供しないことから、外科医側におけるかなりの経験を前提としたものである。
【発明の概要】
【0004】
誤った位置決めあるいは生体の骨物質の過剰な除去によって引き起こされる患者における悪影響を回避するため、本発明の目的は、より正確な埋め込みを可能にする改善された装具一式を創作することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その目的は、独立請求項の特徴を有する一式の装具による発明に従って達成される。有利な開発が従属請求項にて示されている。
【0006】
人工関節、特に人工膝関節の大腿骨部品を骨の端に、特に大腿骨に挿入する装具一式とともに、案内板及びそこから横に突出する主ゲージを有するベースフレームと、骨における定位置にベースフレームを配置する締結装置と、本体及び案内片を有する曲線状のミリングゲージとが発明に従って提供され、上記案内片は、本体に対して曲線状の案内通路に沿って移動可能でありかつ研削ツール用の受け口を有し、また、整列装置は、曲線状のミリングゲージがベースプレートへ差し込まれるときに、明確に規定された相対位置に曲線状のミリングゲージを置く。
【0007】
本発明は、骨への締結装置においてそれ自体知られた方法にて位置決めされるベースフレームによって、整列装置によって非常に正確に、曲線状のミリングゲージが容易に挿入可能であり、同時に正確な方法にて自動的で安全に整列される、安定したプラットフォームを創作するというコンセプトに基づく。曲線状のミリングゲージは、研削ツールによって骨がそれに沿って円形方法にて成形可能である曲線状の案内通路を有する。これは、人工膝関節の関節丘部品用の受座の準備に特に適している。曲線状のミリングゲージの曲線状の案内通路によって発明に従って達成されるように、これらの部品の複雑な形は容易に作製可能であり、かつ発明の結果、強制的な案内によって外科医により正確に作製可能である。研削ツールの強制的な案内のおかげで、好ましくない手術条件下でさえ、形状のずれはほとんど生じない。したがって、準備した受座が形状に関して非常に正確に作製されるのみならず、ベースフレームの正確な基礎的な整列をも保証し、このことは、整列装置を介して、周囲組織が傷つかずあるいは損傷せず、特に隣接する骨部材が不要に除去されずに、曲線状のミリングゲージの位置決めを明確に決定する。このことは、人工関節を支持するために必要かもしれない。特に、壁状の骨残留物は、人工膝関節の場合には膝蓋骨に残すことができ、人工膝関節の膝蓋骨側の支持用のベースを提供するだけでなく、人工関節の本体を受けるための髄腔の箱形状中空部の正面に作用して、限界設定としての機能もはたす。
【0008】
要するに、巧みな基礎の位置決めに基づいて、発明は、正確に規定された骨物質の除去を可能にする。ここで膝関節の場合、関節丘の変化する曲線のような複雑な形状でさえ、容易にかつ位置的に正確な方法で開発することができる。
【0009】
特に、既に上述したように一定ではない関節丘の曲線への適用において、曲線状のミリングゲージの曲線状の案内通路が、その範囲に沿ったその曲率に関して連続的に変化する場合に好都合である。曲線におけるそのような変化で、膝の動きの生体通路は、機能に関してできるだけ正確に再生される。ここで、それぞれの曲率中心が案内通路に沿った一定ではない曲率にわたり一つの面に留まるように、形状は選択されるのが好ましい。ここでは、前から後へ水平方向において変化する(好ましくは10mmで、最大20mm)。曲率を変化させながらの複雑な曲線進行の生成は、ここでは曲率中心の位置もまた特別な要求を満たすものであり、従前の装具を使用した場合では困難でありほとんどなく、あるいはそれによって少しも援助されるものではない。この場合、従来技術における焦点は、むしろもっぱらあるいは第1に外科医の経験及び技術である。この発明による装具により、仕様に従った曲線進行の正確な形成が常に達成可能であることが保証される。
【0010】
これを達成するために、研削ツールを受ける案内片は、フォロアーを介して案内通路に、及びピボット軸受を介して旋回可能に本体に、両方に好都合に装着される。この2要素の装着により、案内通路に沿った案内片の回転、及び案内通路に対する案内片の整列の両方が制御される。したがって、曲率半径及び曲率中心の位置の両方が正確に制御可能である。ピボット軸受がフォロアーから離れて配置され、エルボーレバーが両側で旋回可能に装着された場合、それは特に有用なことが分かった。この場合、省スペースな運動が生成され、さらに詰まるケースを回避し正確な案内を兼ね備える。異物が侵入(特に組織内残留物あるいは体液)する遍在リスクのため、手術環境において、特に非常にぴったりとして技術的装置を案内する状態では、ブロッキングが容易に発生可能であるので、後者は特に重要な態様である。両側で旋回可能に装着されたエルボーレバーを有するフォロアーの連結は、この点で強固である。
【0011】
エルボーレバーが固定デバイスを介して本体に取り外し可能に装着される場合、それは特に望ましい。このことは、大きな調整幅にわたって可動な案内片によって動作中妨げられることなく、曲線状のミリングゲージをその本体を介してベースプレートへ別々に挿入することを可能にする。このことは、単純な構成を採るだけでなく、改善されたハンドリングを可能にする。またこのことは、低誤差のため、曲線状のミリングゲージの挿入が困難で、この目的のために必要なときにはハンマーを用いて必要な力がかけられるかもしれない場合にも、当てはまる。案内片が除去可能であるという事実のおかげで、本体が駆動されるとき、案内片の案内通路の損傷のリスクは存在しない。このことは、正確な位置決めに関する重要な点である。
【0012】
手術環境において案内片の厄介なアセンブリを回避し、かつ個々の組立部品の損失のリスクも排除するために、急動作用カップリングが案内片と本体との間に便宜的に設けられる。案内通路の伸展部へ案内片を移動させることにより分離可能である、角度ロックのような具体例が特に好都合であることが分かった。この場合、伸展部は研削ツールによる実際の成形加工に必要ではないが、いわば使用しない追加領域を構成する、案内通路の領域を意味すると理解される。案内片をこの伸展部へ移動することによって、角度ロックは、ツールなしで容易に分離可能な位置に到達する。組立工程についても同じことが言え、それは同様にツールなしで容易に実行することができる。この目的のために、案内片は、その後、分離されつまり再装備されるように、伸展部において最も端にある位置へ単に移動される必要がある。伸展部の領域では、案内通路の開口が外形上そこに設けられる点で便宜的に識別される。この開口は、絶対に必要ではないが、この位置で案内片の取り外しを容易にする。この開口が、伸展部に属する、案内通路の残り領域中に設けられないことは言うまでもない。
【0013】
角度ロックは、ピボット軸受スリーブ及び非円形のピボットピンから構成されてもよく、角度ロックが案内片の1つの角度位置でのみ開くように形成される。これは、ピボット軸受スリーブが圧縮部を介して片側面の方へ開くことで達成される。非円形のピボットピンは、位置に依存して異なる幅を有するように作製される。特定の位置におけるこの幅は、特定の経路における幅として参照される。よって、非円形のピボットピンが短い円弧形状側面を有する実質的に長方形に対応する形状を有する場合、最小幅の経路における幅は、長方形の2つの長辺間の距離に等しく、最大幅の経路に対応する幅は、長方形の長い方の側面の長さに、短い方の円弧形状の側面によって提供される凸面曲率を加えた長さに等しい。圧縮部は、それが最小幅の経路におけるピボットピンの通過に十分であるが、最大幅の経路における通過に十分ではないように選択されることから、ピボットピンを有する案内片は、最小幅の経路を有する圧縮部をピボットピンが通過可能な一つの方向において単に取り外し可能である。この発明に従い、これは、案内片が伸展部に属する案内通路の位置に位置する場合にのみである。案内通路における他の位置では、ピボットピンの幅が圧縮部の幅よりも大きいので案内片はロックされ、ピボットピンは圧縮部を通して取り外すことができない。したがって、角度に基づいた方法で制御され、それによって分離が一つの特定位置だけで生じることを保証する、単純で強健な急動作用カップリングが生産される。案内片は、案内通路の伸展部中へ、正確な位置において挿入されねばならないだけなので、案内片は同様に容易に組み立てられる。ここでは、最小幅の経路を有するピボットピンは、ピボット軸受スリーブの中へ圧縮部を通して容易に案内される。よって、単純なロック機構は、ツールなしでその位置に案内片を挿入することによって達成される。
【0014】
エルボーレバーは、好ましくは同様に移動可能に本体に装着される。よって全ての可動部品を取り除くことが可能になる。このことは、装具の洗浄に好都合なだけでなく、既に述べたように、傷つきやすい案内装置を損傷することなく、困難な場合において本体の組み立てにおいても好都合である。エルボーレバーは、固定デバイスを介して好ましくは装着され、その結果、意図した位置からの意図しない分離に対して保護される。特に、ネジが好都合な固定デバイスであることが分かった。
【0015】
その装着によって、案内通路に沿って移動可能な案内片は、研削ツール用の軸を規定する。その軸は、案内片のピボット平面に配置されるように配向可能であるが、斜角にあるのが好ましい。さらにこの軸は、フォロアーとピボット軸受との間のラインに斜角で同様に配置されるのが好ましい。この目的のために、10度と35度との間の範囲、より好ましくは15度と30度との間の範囲が好都合であると分かった。よって、曲がった蓄え部がエルボーレバーに作製され、案内通路のコースに沿った半径の連続的な変化を許可する。
【0016】
案内片における研削ツール用の受け口は、好ましくは深さ止めと協働する。この場合、深さ止めは、ワークピース、つまりこの場合ではこの発明による装具が使用される骨、への研削ツールの貫入深さの範囲を定めるデバイスを意味すると理解される。階段状の座部であるような方法における深さ止めの実施例は、好ましくは片側の方向へ開いているのが好都合であると分かった。目盛付けの結果、深いミリングカッターに配置された肉厚部はその上に置かれ、よって支持ツールの貫入深さに対して停止部を形成する。側面の開口は、厄介な方法で挿入する必要なしに、側面から直接受け口へ研削ツールを挿入可能であることを保証する。
【0017】
原則として、案内片に1つのみの受け口を設けることは実際には十分であるが、2つの関節丘を形成するために案内片に2つの受け口が形成される場合、それは特に人工膝関節に関して有利である。よって、一旦、1つの関節丘が形成されると、他の位置に第2の関節丘を形成するために、研削ツールが変更可能である。したがって、曲線状のミリングゲージの分解あるいは変更は必要ではなく、よって、正確な位置決めが維持される。
【0018】
末広がりの軸が生成されるように2つの受け口が案内片に形成される場合、好都合なことが分かった。この場合、末広がりは、研削ツールの切削ヘッドが挿入された状態で外側を向くことを意味すると理解される。よって関節丘は、生理学的傾斜を提供することができ、これは生体の膝関節に存在する自己センタリング機能を支援する。
【0019】
しかしながら、2つの受け口は絶対に必要ではない。ピボット軸受を有する案内片の分解及び適用が可能な場合、本体の片側からエルボーレバーを有する案内片を他方側に再組立することも可能かもしれない。よって関節丘は、最初に一方側に準備することができ、他方側に案内片における同じ受け口とともに再組立した後、他の関節丘を準備することができる。この場合、その本体とともに曲線状のミリングゲージの位置決めは、本来変更する必要がないことから、正確な位置決めが維持される。
【0020】
固定する穴は、本体及び/又は案内通路に好都合に提供される。それらは、曲線状のミリングゲージの位置決めを確保することを可能にし、さらに、独立してベースプレートへのそれを入れることを可能にする。しっかりと固定すること、及び最終的に位置決め精度の質が向上し、特に、それはベースフレームを除去することを可能にする。
【0021】
発明の具体的な態様に従い、これはまた独立した保護にふさわしいかもしれない、ベースフレームに関する様々な挿入物が提供される。よって整列用挿入物は、ベースフレームに交換可能に設けられてもよい。この整列用挿入物は、規定位置に整列本体を受け入れるように設計される。整列本体は、特に骨ブローチング・ツールであってもよく、髄腔を開けるための、特に突錐あるいはやすりであってもよい。
【0022】
先の段落で述べた案内片は、放射状の配向を有するように研削ツール用の受け口の軸が配向されるように通常形成される。これは、それが曲率中心に実質的に向けられることを意味する。あるいは、その軸はまた曲率によって規定された平面に交差して配向されてもよい。これは、側面から受け口へ研削ツールを挿入することができるという利点を提供する。十分に大きな研削ツールでは、2つの関節丘形状は、このように案内通路に沿った動きを有する大腿骨に形成することができる。しかしながら、ピボット軸受及び、適用可能なところでエルボーレバーを有する案内片が本体の一方側から分解可能であり、他方側で再組立可能である変形例は好ましい。この場合、1つの顆路だけが、特に最も接近しているものが形成されるように、研削ツールが寸法付けされる。このことは、より正確なコントロールという利点を提供し、また、顆路の案内片の受け口におけるあるいはわずかに傾けられた軸により、傾斜を提供することを可能にする。よって、2つの受け口を有する上述の案内片における末広がりの軸で達成可能であるものと比較可能な結果が得られる。
【0023】
機械加工される骨に曲線状のミリングゲージの独立固定を達成するために、固定穴は本体及び/又は案内通路に好都合に設けられてもよい。それらは、骨に固定されるベースフレームへ配向デバイスによって固定するための代替品として主に使用され、その結果、ベースフレームは必要に応じて削除され得る。
【0024】
この発明のさらなる態様に従い、これは独立した保護にふさわしいかもしれず、挿入物のアンサンブルは、ベースフレームに設けられ、また案内板において交換可能に受け入れ可能である。この場合、挿入物は、特に、整列用挿入物、前部切断挿入物、第1ミリング挿入物、第2ミリング挿入物、及び溝付リンクガイドを有する第3ミリング挿入物によって形成されてもよい。
【0025】
整列用挿入物は、案内板の規定位置において交換可能に配置されるように設計されており、整列本体用の受け口を有する。したがって、ベースプレートは、整列本体に対して明確に配置することができる。整列用挿入物は、便宜上、左右依存性がある。つまり、左側人工関節埋め込み用の整列用挿入物「L」、及び右側人工関節埋め込み用の整列用挿入物「R」があるということである。左右対称的な補助の整列用挿入物、したがってこれは左右どちらでも同様に使用することができる、もまた補足としてさらに提供可能であることが注目される。
【0026】
整列用挿入物における整列本体用の受け口は、片側で便宜上開いている。これは、圧縮部によって好ましくは実施される。よって整列本体は、これは一般的にここでは突錐またはミリングカッターのような骨の髄腔に挿入された器具である、側方から受け口へ容易に挿入可能であり、またそこから取り外し可能である。
【0027】
挿入物のアンサンブルは、さらに前部切断挿入物を備える。これは、互いに関してV形状で、相反する固定において整列される切り溝を有する。相反する固定は、2つの別の固定位置を規定する固定を意味するように理解される。これらの固定位置は、切り溝が左側人工関節の埋め込み用の一方のケースに、及び右側人工関節の埋め込み用の他方のケースに配置されるように選択される。このような相反する固定用の好都合な実施形態は、終止点がそれぞれの相反する固定位置を規定する2つの個々の固定穴、あるいは好ましくは溝であってもよい。
【0028】
装具一式は、異なる高さに関するスペーサーをさらに備えるのが好ましく、これは案内板の端にて両側の配置用に設計される。骨からの案内板の特定距離は、スペーサーによって調節することができる。これは、骨物質が先の手術により既に除去されている場合に特に適している。よって、物質の損失を補うことが可能である。異なる寸法を有するスペーサーは、装具一式に含まれるのが好ましい。
【0029】
上記アンサンブルは、第1ミリング挿入物をさらに備える。それは案内板に交換可能に取り付けることができる。それは、ブローチミリングカッター用の規定の受け口を形成し、その受け口は、また、ブローチミリングカッター用の深さ止めを形成する。したがって、ミル処理が正確な方法で行なわれることが保証される。したがって特に、ブローチミリングカッターは、側方にドリフトせず、よって望まない方法において骨物質を横に、前面に、あるいは背部に除去しない。さらに深さ止めは、骨物質が埋め込みに必要な深さだけ除去されることを保証する。受け口と主ゲージとの間の距離は、ブローチミリングカッターが挿入されるとき、膝蓋骨の前面側に残されることになっている壁の厚さに対応した距離が残るように寸法付けされる。これは、具体的に言うとそれほど経験を積んでいない外科医を含む、混乱した手術環境でさえ、強制的な案内例えばブローチミリングカッターの強制的な案内のおかげで達成される。
【0030】
装具一式は、好ましくはさらに隙間ゲージを備える。これは、ベースフレームにおけるプラグ受け口に正確な角度で取り付け可能である。人工関節の旋回中心の位置は、この隙間ゲージによって、より具体的には好ましくは2つの基準平面によって示すことができる。
【0031】
上記アンサンブルは、第2ミリング挿入物をさらに備える。これは、案内板に交換可能に取り付けることができる。これは、カッターがいずれの受け口へも差し込むことができる形態でバルクミリングカッターを受け入れる2重の受け口を有する。この場合、2つの受け口は、異なる深さ止め及び追加の横へのオフセットを有するように、形成されるのが好ましい。この場合、横へのオフセットは、バルクミリングカッターが、横の/中央の方向における2つの受け口の一方の位置において、2つの受け口の他方の位置以外で異なって位置決めされることを意味すると理解される。深さ止めに関しても同じことが言える。具体的には、バルクミリングカッターが、2つの位置のうちの一方において、他方の位置のものよりも大きなミリング深さに達するということである。2重の受け口は、その領域が重なるように形成されるのが好ましい。ミル処理後、関連する中空部が骨の中でこのように生成される。このことは、正確な埋め込み用の規定された形状を生成可能なように、さらなる造成の基礎を形成する。したがって、最大サイズの空間が、周囲の骨壁を傷つけるリスクを同時にもたらすことなくミル可能である。
【0032】
同様に2つの受け口を有する補助のミリング挿入物も第2ミリング挿入物として提供されてもよいことが注目される。しかしながら、この2つの受け口は、好ましくはそれが同一深さの停止部を有し、及び/又は横へのオフセットを有しないという点で単純化される。したがって、中空部用の単純な構造が作製可能である。この補助のミリング挿入物は、特に、比較的小さな中空部のみを形成しなければならない場合に好都合である。
【0033】
上記アンサンブルは、第3ミリング挿入物をさらに備える。これは、案内板に取り付けることができる。これは、深さミリングカッター用の溝付リンクガイドを形成する。これは、溝付リンクスライダに受け取られるのが好ましい。溝付リンクガイドにより、中空部は、深さミリングカッターによって精密に形成することができる。この場合、溝付リンクは、横の/中央の方向において深さミリングカッターの移動の限界を定める。さらに、前部の/背部の方向におけるミリングカッターの動きは、溝付リンク窓によって制限される。スライダは、好ましくはハンドルを有し、それは深さミリングカッターを同軸状に囲む。したがって、深さ切断ミリングカッターは、より正確にガイドされることができる。溝付リンクガイドは、ミル処理を視覚的にチェックするために窓を有してもよい。
【0034】
溝付リンクガイドは、好ましくは深さ止めを有する。よって、第2の深さミリングカッターも設けられてもよく、その結果、2つの異なるミリング深さが形成される。このことは、複雑な中空部でさえ、安全で、より正確な形成を可能にする。
【0035】
別の実施形態に従い、溝付リンクガイドはまた、蝶番の形態で互いに接続された2つの案内レバーを備えてもよい。この場合、深さミリングカッター用の受け口は、一方端に配置されてもよい。一方、案内板における挿入物のピボット装着は、蝶番の形態で相互接続した案内レバーの他端に設けられる。よって、ミリングカッターは、強制的な案内という意味でより正確にガイドされる。さらに、この実施形態は、傾斜のリスクが低下するという利点を有するかもしれない。ミリングツール器具が挿入されない場合、蝶番の形態で接続している案内レバーが単に取り付けられ分離されるように、挿入物への装着が設計されるのが好ましい。
【0036】
挿入ガイドは、好ましくは案内板に設けられ、特に、ありガイド(ダブテールガイド)として形成される。したがって上述したように、アンサンブルの異なる挿入物は、案内板に対して容易に挿入でき、かつ正確に位置決めすることができる。
【0037】
装具の一式は、有利にさらに曲線状のミリングゲージ用の一対の挿入トングを備える。これらのトングは、規定の位置においてはめられた形態を有する曲線状のミリングゲージを把持する。挿入トングが明確な位置を有し、よってその挿入トングによって明確な位置にはめられた形態を有する保持された曲線状のミリングゲージもまた案内板に関して明確に位置決めされるように、一対の挿入トングは、整列突起を介して整列装置と協働する。一般的に、比較的大きな寸法を有する曲線状のミリングゲージは、このように安全にかつ正確に位置決めすることができることから、ハンドリングは相当に単純化される。したがって、誤った位置決めが除外される。
【0038】
装具一式は、互いから離れて向くような方法でベースフレームにおいて横配置用の整列ロッドをさらに好都合に備える。整列する穴は、これらの整列ロッドのアセンブリ用のベースフレームの側面に設けられる。
【0039】
装具一式は、さらに、深さ止めを有するドリルを備える。それは、位置的に正確で単純な方法で骨に受け口を形成することを意図しており、その受け口は体内プロテーゼのピンを固定することを意図している。
【0040】
装具一式は、骨における空胴、特に大腿骨の髄腔、に穴を空けるための様々な突錐をさらに備える。それは、好都合にやすり/ブローチング突錐、シャフトが凹部を有するものをさらに備える。これは停止板を受け入れるように形成され、これは特に深さ止めとして作用する。やすり/ブローチング突錐は、2、3あるいは4つの刃先があるように好都合に設計される。この場合、歯は、互いに関して垂直方向のオフセットを有する刃先に配列される。歯が回転したとき、骨物質は様々なポイントで除去され、その結果、骨表面は平滑化される。
【0041】
装具一式は、さらに方向ゲージを好都合に備え、これはベースプレートの位置決め用に提供され、整列装置において作動する。特に、それは、髄腔に挿入されたやすり/ブローチング突錐において作動し、かつそれに対してベースプレートを正確に位置決めすることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】ベースフレームの図を示す。
図2】リーマーを示す。
図3】ベースフレームを整列するための要素を示す。
図4】大腿骨の終端に中空部を形成するためのソーイング及びミリングゲージを示す。
図5】中空部を微細に機械加工するための溝付リンクミリングゲージを示す。
図6】髄腔を形成するためのツールを示す。
図7】本体を含み曲線状のミリングゲージを示す。
図8図7による曲線状のミリングゲージ用の案内片を示す。
図9図8による案内片に挿入される関節丘ミリングカッターを示す。
図10】ベースプレートに曲線状のミリングゲージを挿入するための一対の挿入トングを示す。
図11】曲線状のミリングゲージの本体に案内片を配置するための個々の図を示す。
図12】本体における案内片の移動の図である。
図13】案内片の別の実施形態を示す。
図14】ベースフレームを整列させるための詳細を示す。
図15図3による補償片の使用の詳細を示す。
図16図3によるミリングカッターの使用の詳細を示す。
図17】スペーサーの別の固定を示す。
図18図4によるソーイングゲージの使用の詳細を示す。
図19】方向ゲージの別の実施形態を示す。
図20図4によるミリングカッターを有する第1ミリングゲージの使用に関する正面図を示す。
図21】第1ミリングカッターの使用に関する別のものを示す。
図22図4による第2ミリングゲージの使用に関する詳細を示す。
図23図5による溝付リンクミリングゲージの使用に関する詳細を示す。
図24】別の溝付リンクミリングゲージを示す。
図25】挿入物用の固定デバイスを示す。
図26】固定デバイスと挿入物との間の協働の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、有利な例示的な実施形態を説明する添付図面に関して非常に詳しく以下に説明されるだろう。
【0044】
膝関節体内プロテーゼを埋め込むための、図1から図11における例示的な実施形態として図示される装具一式は、2つの突錐90、91(図14を参照)及びやすり/ブローチング突錐92(図2を参照)、ベースフレーム1、大腿骨に固定するための締結装置としてのピン99、整列用挿入物3、前部切断挿入物40、スペーサー34、隙間ゲージ39、第1ミリング挿入物4、第2ミリング挿入物5、溝付リンクガイドとしての第3ミリング挿入物6、及び関節丘ミリングカッター85を有する曲線状のミリングゲージ7を備える。
【0045】
ベースフレーム1は、案内板12と、そこから直角に横方向に突出する主ゲージ11とを備える。異なる関節丘の高さを補償するために使用される第1のこ刃ガイド20は、主ゲージ11の上部領域に形成され、また、大腿部分の使用により関節丘を機械加工するために使用される第2のこ刃ガイド21は、主ゲージ11の下部領域に形成される。さらに、ピンを固定するための穴22がのこ刃ガイド間の領域に形成される。案内板12への移行領域では、スペーサー用の受穴26が設けられ、案内板12の拡張方向に整列される。
【0046】
ベースフレーム1は、異なるサイズで提供される。この場合、基準面10とのこ刃ガイド20,21及びスペーサー用の受穴26との間の距離は、異なるサイズに対して同一である。
【0047】
案内板12は、基準面10としてその下面とともに形成される。これは、大腿骨の関節丘用の座面としての機能をはたす。上部側面に平面が形成され、ツール平面14として作用する。これは、案内板12に受け取られる異なる挿入物のための基準面である。この場合、基準面10とツール平面14との間の寸法は、挿入されるインプラントのそれぞれのサイズに一致する。直線ガイド2は、ツール平面14の両側に配置され、ツール平面14と案内板12の上部側面との間に2つのアンダーカット・エッジを備える。これらは、挿入物3、4、5及び6用のダブテールガイドとして働く。
【0048】
ミルにかけられた凹部15は、案内板12の横側面のそれぞれに形成される。これは、ミルにかけられた凹部間に残った幅がそれぞれのベースプレート1に関連したインプラントの巾寸法の幅に対応するような深さの凹部である。よって、ミルにかけられた凹部15は、インプラントサイズを選択するための視覚的補助として作用する。雌ネジを有する整列穴23、これはその中にねじ込まれる整列ロッド38による位置を示す、はそれぞれのミルにかけられた凹部15に設けられる。ピン99を固定するための穴28が、ミルにかけられた凹部15の側面に並べる態様で設けられる。案内板12の中央部では、ほぼ長方形の基礎的な形状の中央開口が形成され、これは、側面を示すその2つの横面が横限界66として作用し、主ゲージから離れて面するその端65’によって、ミルにかけられたほぞ穴凹部の後限界として作用する。曲線状のミリングゲージ7の挿入器具76用の案内溝17は、横側面66に形成される。ピンホールドリル用のドリルガイド18は、上述の案内溝に隣接して案内板12における両側に設けられる。関節丘機械加工用の後部のこ刃ガイド19は、ミルにかけられたほぞ穴凹部用の後部境界65’付近の後方領域に形成される。大きな中央開口の反対端では、対角線の切替ガイド16、16’が主ガイド11の方に向く端部に形成され、それに平行に配向される。そのそれぞれの側面では、上記切替ガイドは、2重の曲線形状を有し、よって、前部切断挿入物40用の相反する受け口を形成する。これは、左側位置用の処理のために参照符号16で示した位置に挿入され、また、右側埋め込みの機械加工のために参照符号16’で示した位置に挿入される。
【0049】
中央の締結部14は、主ゲージ11の上方でベースプレート12の中心に設けられる。この締結部は、個々の挿入物を固定するために使用される。それは、異なるサイズに関するベースフレーム1において同じポイントに常に位置し、その結果、異なるサイズのベースフレーム1による困難さなしに、異なる挿入物を使用可能である。自由空間29がその両側に形成され、大腿骨にそれを固定することに関し、曲線状のミリングゲージ7においてピンを固定するための必要なクリアランスを形成する。
【0050】
その全体に参照符号92で示されたやすり/ブローチング突錐は、その下部領域に複数の刃先93を備え、これはそれぞれ非常に多くの歯94を設けている。減肉した直径を有する歯のない領域95は、歯94を設けた刃先93の上方に隣接する。凹部96は、その上方に形成される。この凹部は、停止板97用の受け口として機能する。刃先93は、好ましくは三角形状で形成され、これは3つの刃先93が設けられることを意味し、120度の角距離で配置される。異なる数の刃先、特に2つの刃先あるいは4つの刃先、もまた提供可能であることは注目される(図2bにおける図示を参照)。図2aに図示された実施形態では、やすり/ブローチング突錐92の先端から測定されるとき、隣接する刃先93’の歯94’に関して垂直方向でオフセットされるように刃先93の歯94が配置されるように、歯94の配置は選択される。このことは、やすり/ブローチング突錐92が回転するとき、骨壁のより均一な成形が得られるという長所を有する。それは、端に近い領域の骨を保存することを特に目指している。この目的のために、それは骨端に関して配向された平らになった部分を有する。髄腔の深さへの導入後、及びやすりがけ後、それはリーマーとして使用される。
【0051】
やすり/ブローチング突錐92は、整列補助として凹部96の上方の上部軸領域を介して作用し、この目的のために整列用挿入物3と協働する。この挿入物は、開口31を有し、これは圧縮部31’によって側方へ開く。やすり/ブローチング突錐92は、圧縮部31’を通して挿入されることによって、その凹部96を経由して開口31へ導入することができる。やすり/ブローチング突錐92と、整列用挿入物3が挿入されるベースプレート1との間の相対的位置決めは、このように達成される。整列ロッド38は、整列穴23にねじ込まれ、そうすることで、外科医にベースフレームの位置を示し、よって整列の補助として働く。図示した例示的な実施形態では、開口31は、基準面10に直角に配向されておらず、それに傾斜した角度で配置されている。直角方向からの偏差は、軸角αとして表示され、人工関節に関して特徴をなす寸法である(実施例では6度)。外科医がこの軸角を視認することを可能にするために、開口30もまた整列用挿入物3に形成され、ベースプレート1の前限界を介して突出する一対のトングに形成される。トレーサーピン30’がこの開口30を通して差し込まれ、機械加工される大腿骨の外部に配置され、よれによって、機械加工される大腿骨の髄腔に挿入されたやすり/ブローチング突錐92の軸角を外科医に示す(図14b及び図14cを参照)。
【0052】
整列用挿入物3は、その側面33にくさびのような形態で、より具体的には少なくとも軸角αによって面取りされる(くさび角γが4〜10度、好ましくは6度である)。一方、直線ガイド2における十分に正確な位置決めがこのように達成され、他方では、実際のダブテールガイドとは異なり、挿入物は上方へ、より具体的には整列プロセスの終わりにて取り除くことができる(図14を参照)。
【0053】
やすり/ブローチング突錐92における凹部96と同様に、恐らく凹部37’を有するかもしれず、また開口31内へ圧縮部31’を介して挿入可能であるブローチミリングカッター37を用いて大腿骨の髄腔にくぼみを予め機械加工することができることは注目される(図16参照)。この場合、ブローチミリングカッター36は、やすり/ブローチング突錐92と同じ軸角αによって傾けられている。よってこれは、人工関節のシャフト用の深い領域をミルにかけることを可能にする。この場合、最大ミリング深さは、シャフトカラーとして形成された深さ止め37”によって制限される。このように所望のエロージョンが、この目的のための外科医には特別な技術の必要なく、骨に均一な深さで、より具体的には正確な角度で生成することができる。
【0054】
一般的にベースフレーム1は、その基準面10を介して大腿骨の端部に直接置かれるであろう。しかしながら、これは必ずしもそうとは限らず、骨物質が既にない(それが以前の手術で除去されたか、欠陥により欠けている場合)、特に再手術の場合及び他の場合には、スペーサー35がベースプレート1の下側10に配置可能である(図3を参照)。これらはペアで形成され、ベースプレート1の主ゲージ11に、受穴26に挿入される固定ピン36を介して保持される(図15aを参照)。これらは異なる厚みで利用可能であり(図15bを参照)、その結果、これとともに細密な調整を行うことが可能である。別のスペーサーが図17に図示されている。最も単純な代替手段は、ベースフレームの端に調節ねじを配置することである(図17aを参照)。ベースを形成するための別のスペーサー35、35’がまた設けられてもよく、フック接続あるいはピン接続を介して側面に取り付けられる形態によって保持される(図17b及び図17cを参照)。これらのスペーサーもまた固定ピン99が挿入されるピン開口によって下部領域に設けられてもよい(図17dを参照)。
【0055】
よって、ベースフレーム1の位置が整列用挿入物3によって規定される場合、ベースフレームは、開口28へ固定ピン99を導入することによって大腿骨に対して固定される。そして整列用挿入物3及びやすり/ブローチング突錐92は、取り外すことができる。位置決め用に使用された補助具、特に整列ロッド38及びトレーサーピン30’もまた同様に取り外される。
【0056】
それ自身知られ詳しくは記述されていない骨のこぎりによって、背側端での関節丘は、後部のこ刃ガイド19の使用によって機械加工可能である(図18c参照)。次のステップでは、前部切断挿入物40は、埋め込みが左側または右側埋め込みか否かに関係なく、対応する対角線の切替ガイド16、16’へ挿入される。2つの円弧状の凹部16,16’によって与えられる配向は、溝42による相反する固定によって規定され、その終端位置43、43’の各々において固定ねじ13が中央固定14へねじ込まれる。その後、前部関節丘側は、それ自身知られた骨のこぎりによってV字形ののこ刃ガイド41,41’に沿って機械加工される(図18a、図18bを参照)。
【0057】
次のステップでは、ベースフレーム1の溝27に差し込まれる隙間ゲージ39によって、回転面が一方向に固定可能であり、そして最初に述べた方向に斜めに伸びて配向されている別の方向における回転面は、ソーイング溝40、40’への挿入によって固定することができる。旋回中心は、回転面の交差点によって決定される。代替器具が図19に図示されている。それは、両側に配置され、インデクシング39”を有する方向ゲージ39’としてのブリッジ支持を備える。ブリッジ支持39’は、ベースフレーム1における受入れ溝17へ挿入される。また、ベースフレーム1の配向は、このように生成されたフォームフィッティング接続によってセットすることができる。インデクシング39”の長さは、それらがその端部を介して旋回中心Zのそれぞれの結果として生じる位置を示すように、寸法付けされる(図19b及び図19cを参照)。このことは、容易にチェック可能な迅速な整列を可能にする。
【0058】
次のステップでは、第1ミリング挿入物4は、ベースフレーム1へ挿入され、開口44を通してアクセス可能である中央固定14によって、及び固定ネジ13によって固定される。挿入物4は、ブローチミリングカッター49用の受け口を形成する、上方へ突出したガイドスリーブ45’を有する大きな中央開口45を有する。そのブローチミリングカッターは、その上部領域にカラー49’を有し、このカラーは、ブローチミリングカッター49用の深さ止めが形成されるのと同じ方法で、ガイドスリーブ45’の上部端と協働する。埋め込みに必要な髄腔におけるくぼみの一部は、このように形成され、また、他方では、リーマーによって残された壁は、その高さに関して規定された、正面領域において低下される(図19を参照)。図20に図示されるように、正面領域における壁の高さの低下もまた、代わりにたがね46によって達成することができる。たがね46は、断面において円弧のセグメントの形状を有し、後端にて、深さ止めとしても作用するインパクトヘッド46’を有する本体を有する。たがね46の横断面形状に相補的な案内溝47は、主ゲージ11におけるベースフレーム1に設けられる。
【0059】
次のステップでは、第1ミリング挿入物4は、第2ミリング挿入物5と交換される。この第2ミリング挿入物は、2重の受け口51を有し、これは横断面において八角形であり、バルクミリングカッター59用の2つの受取位置52、53を形成する。2つの受け口52、53は、中心に配列されておらず、両方とも側面に対して異なるオフセット(横へのオフセット)を有する。2つの受取位置52、53の各々は、上方へ突出するスリーブ52’、53’を有する。バルクミリングカッター59は、その上部領域に同様に突出カラー59’を有し、これは、それぞれの受け口52、53に存するスリーブ52’、53’の上部端と協働し、したがってバルクミリングカッター59用の深さ止めを形成する(図22aを参照)。髄腔の大部分は、このようにインプラントの受け入れのために前もって形成することができる。第1ミリング挿入物4と同様に、第2ミリング挿入物5が、中央固定に一致して開口54によってベースフレーム1に明確に位置決めされることが注目される。
【0060】
2重の受け口51の2つの受け口52、53の異なる深さ止めにより、骨における空洞は効率的に切り出すことができる。これが必要でない場合には、単純化した第2ミリング挿入物5’が提供可能であり、これは横へのオフセットがない2重の受け口55を有する。しかしながらここでは、深さ止めは同じ高さで配置してもよい(図22bを参照)。しかしながら、これは、それらが異なる高さで配置される(図22aの形態の図示に従う)ことを排除すべきではない。
【0061】
第2ミリング挿入物5が2つのバージョンにおける装具一式に含まれることはさらに注目される。1つのバージョンは、左側の埋め込み用であり、また、別のバージョンは、軸方向に対称的であり、右側の埋め込み用に形成される(「L」及び「R」によってマークされた図4におけるミリング挿入物5を参照)。
【0062】
次のステップでは、第2ミリング挿入物5は、溝付リンク挿入物として形成された第3ミリング挿入物6(図5及び図23a〜図23cを参照)によって置き換えられる。これは、T形状に配向された2つの溝付リンク窓60、61、及び2つの検査窓62、63を有する。溝付リンク窓60は、溝として形成され、溝付リンク挿入物がベースフレーム1において案内されることによって、固定ネジ13用の受け口として作用する。したがって、溝付リンク挿入物6は、前部及び背部にあちらこちらに移動可能である。溝付リンクスライダ65は、横に配向された溝付リンク窓61へ置き換え可能に差し込まれ、ミリングツール68、69用の受け口67を有するハンドル64を有する。ミリングツール68、69は、プレミリングカッター及びエンドミリングカッターであり、先端から異なる距離で配置された止カラー68’69’によって異なるミリング深さ用に設計される(図5及び図23c参照)。それらは、溝付リンクスライダ63内へハンドル64における中央開口67を通して挿入可能である。溝付リンクスライダ63をその溝付リンク窓61に沿って移動させることによって、及び溝付リンク挿入物6を溝付リンク窓60に沿って移動させることによって(x/y移動)、長方形の空洞断面を高精度でミルにかけることができる。正確な溝付リンク案内のおかげで、空洞は、高い寸法精度で生成可能であり、よって人工膝関節用の箱状の受入れスペースを大腿骨空洞に準備することができる。
【0063】
溝付リンク挿入物6のための別の実施形態が図24に図示されている。これは蝶番を付けた溝付リンク挿入物6’である。これは互いに蝶番がある2つの案内レバー60’、61’を有する。一端にて、それらは挿入物6’の主面にピボットピン62’を介して回転可能に装着され、他端に、ミリングツール68、69用の受け口67’が形成される。U字型の溝付リンク経路63’は、溝付リンク挿入物6’のベースプレートに切り抜かれ、受け口67に挿入されたミリングツール68、69は、案内レバー60’、61’によって上記経路にて強制的に案内される。ピボットピン62’は、平坦化部分64’が設けられ、その結果、案内レバー60’、61’は、そこにのみはめ込むことができ、規定のアセンブリ位置においてそこから取り外すことができる。平坦化部分64’は、ここでは、アセンブリ位置において、受け口67’が溝付リンク経路63’のわきに配置されるように整列されている。したがって、ミリングツール68、69が取り外されるときに、組み立て及び分解のプロセスのみが実行可能であることが保証される。
【0064】
ベースフレーム1における挿入物3、4、5の追加の固定策が図25に図示されている。2つの固定開口14がベースフレームに形成され、より具体的には左側14’用が1つ、右側14”用が1つである。挿入物3、4、5における固定開口34、44、54は、それぞれの挿入物が左側または右側の埋め込みに提供されるか否かに依存して、端まで延在しかつ互いに関して横にオフセットされた溝34’、34”として形成される。固定レバー66’は、シャフト幹の端にトグル66”を備える。固定レバー66’は、側面から固定開口14’、14”のうちの1つの中へ図25bに図示された配向において挿入可能である。固定レバー66’を移動することによって、トグル66”は直角を通って移動され、それによってロック効果が達成される。固定レバー66’の予期しない作動を回避するため、固定ボルト14’’’が好ましくは設けられ、側面からベースフレーム1へ挿入され、シャフト幹、よって固定レバー66’が回転するのを妨げるような方法で、シャフト幹の平坦化部分66’’’に対して配置する形態で置かれる。その後、固定ボルト14’’’が取り外されたときのみ、固定レバー66’は再び移動可能である。対応する挿入物は、つり上げに対して固定されるべき挿入物5’の場合、それらの下側にアンダーカット穴50’を好都合に設け(図26aを参照)、及び/又は、変位に対して固定されるべき挿入物3’の場合、溝34’、34”及び広げられた端部を好都合に設ける(図26bを参照)。開位置は、2つの小さい図(図26aにおける上側、及び図26bにおける左側)の各々に図示され、閉位置(図26aにおける下側、及び図26bにおける右側)も同様に図示している。
【0065】
一旦、箱形の受入れスペースが大腿骨に形成されれば、その後、関節丘におけるスライディングパスが機械加工される。図7図10が特に参照される。関節丘を機械加工するために、曲線状のミリングゲージ7が使用される。それは一対の挿入トング76によって差し込まれる。一対のトングは、2つのトングハーフ78を備え、これらはそれらの前端で、曲線状のミリングカッター7に装着される形態で協働する2つのグリッパー79を有する。トングハーフの外表面では、互いから離れて向いた整列突起77が形成される。それらは、それらがベースフレーム1における案内溝17の形に一致するように設計されている。よって、ベースフレーム1に対する曲線状のミリングゲージ7の正確な位置決めは、ベースフレーム1に挿入トング76を挿入することによって保証され、整列突起77は、案内溝17にはめられた形態で係合する(図10を参照)。曲線状のミリングゲージ7は、異なるサイズ(好ましくは4つ)で利用可能であり、挿入トング76による位置決めは、使用されるサイズに関係なく、案内溝17におけるフォームフィッティング係合によって同様に達成される。
【0066】
曲線状のミリングゲージ7は本体70を備え、その基本的な形は、ほぼ立方形状の箱に相当する(図7を参照)。上部から底部まで垂直方向に延在する溝71が曲線状のミリングゲージの横側面に形成される。その溝は、大腿骨の空洞において頑丈なもの及び位置維持固定に使用される。本体70の上部側面において、上方へ突き出た円弧セグメント72が一体で形成され、ほぼ100〜120度の角度範囲をカバーし、正面領域では、本体70のおよそ半分の高さまで引き下げられている。端に近い領域では、それはその側面のうちの1つに凹状の案内通路74を有する。この通路は、円弧セグメント72の上端に関するウェブ75によって範囲が定められ、下方向きの正面領域では、案内通路74の伸展部74’が形成されウェブはない。よって、開口が生成され、案内片8のフォロアー84がそこを通り案内通路74へ挿入されるか、あるいはそこから取り外される。これは、フォロアー84が伸展部74の領域に位置するときの位置においてのみ実行可能である。案内通路74は、他方の後端で閉じられており、フォロアー84用の停止部76を形成する。
【0067】
本体70の後側面から、2重スリット77が本体70の上部側面まで延在する。固定ねじ79用の受穴がそこを横切って配置される。それは、エルボーレバー80用のピボット軸受78として作用し、その自由端が本体70から突出し、2重スリット77に沿って旋回可能である(図7を参照)。その自由端では、エルボーレバー80はピボットピン81を保持し、その横断面は、直線で長い側面及び円弧形状で凸状の短い側面を有するほぼ長方形である(図11aを参照)。円弧形状で凸状の短い側面間で、ピボットピン81は、最大幅Dの経路を有し、直線の側面間で最小幅dの経路を有する。
【0068】
案内片8は、一般的に横行のセグメント89及び縦のセグメント88を有するT形状のデザインである(図8を参照)。外側領域の各々において、周囲に肩部を有する階段状穴87が横行のセグメント89に配置される。上記階段状穴は、これらが横行のセグメント89に、75度から85度、好ましくは80度の角度αを形成するように、それらの軸87’とともに配向される。したがって、軸87’は末広がりになっている。階段状の穴87は、側面の通路82を介して階段状穴87へ挿入される関節丘ミリングカッター85用のガイドを形成する。関節丘ミリングカッター85は、ミリングヘッド及びシャフトを備え、このシャフトには、ミリングヘッドから離れた円筒状の増肉部86が形成される。これは、階段状の穴87の周囲の肩部に置かれることから、それはミリング深さの限界を定める。
【0069】
案内片8の縦のセグメント88は、角度がついている。それは、軸87’によって測られた平面に、およそ15度から25度まで、好ましくは20度の角度を形成する。フォロアー84は、縦のセグメント88に横に配置され、案内通路74に沿って案内片8を案内する。自由端では、縦のセグメント88はフォーク状のように形成され、横軸穴を設けており、これはピボット軸受スリーブ83として働く。それは、圧縮部83’を介して自由端の方へ開いている。圧縮部83’の幅は、それが最小幅82の経路よりも大きく、最大幅82’の経路よりも小さいように寸法付けられる。圧縮部83’が最小幅82の経路と接するように、ピボット軸受スリーブ83及びピボットピン81が配向される場合、案内片8は、そのピボット軸受スリーブ83でピボットピン81に押しつけることができ、また、他の配向では、ピボットピン81は、圧縮部83’を通り抜けることが妨げられる。このように角度ロックが提供され、1つの位置でのみ開かれ閉じることができ、それ以外ではロックされる(図11a及び図11bを参照)。
【0070】
案内片8がエルボーレバー80と直線を形成するとき、細長い位置でのみ案内片8を連結し除去することができるように、ピボットピン81はエルボーレバー80において配向される(図11aを参照)。
【0071】
案内片8が連結される場合、それは、伸展部74’の領域において案内通路へフォロアー84を介して挿入され、案内片8は、エルボーレバー80に関してある角度の位置(もはや細長いとは言えない)に配置される。したがって、ピボットピン81は圧縮部83’を通り抜けることが妨げられる。したがって、案内通路74に挿入された案内片8は、エルボーレバー80に安全にロックされる(図11bを参照)。
【0072】
関節丘ミリングカッター85の案内のためにこのように達成される運動は、多相図として図12に図示される。ピボット軸受78は、図の中央の下部に図示されている。それは、案内通路74、案内片8、エルボーレバー80から成る曲線状のガイド用の固定旋回中心を形成する。案内片8は、案内通路74に沿って全旋回範囲にわたりそのフォロアー84によって案内される。案内通路74は、曲率が増加(図における左から右へ)しており、それによってピボット軸受78とフォロアー84との間の半径距離は増加する。その結果、案内片8に挿入された関節丘ミリングカッター85がピボット軸受78から次第に外れていくだけでなく(よってこれは弧が連続的に大きくなると記述する)、その配向も変化する。エルボーレバー80を介した関節のため、案内片は回転する。その結果、ミリングカッター85に関する軸87は、ピボット運動の開始ではピボット軸受78の方に向けられるが、案内通路に沿った案内片8の移動とともにますます背部(図12における右へ)で回転する。よって関節丘の形がミリングカッター85によって骨に形成され、ミリングカッターの回転の現在の中心は、膝関節が曲がるように固定されておらず背部へシフトする。したがって、生体の膝の動きに実際に完全に相当する動作経路は、生理学上非常に好ましく、発明による装具を使用して埋め込まれた人工膝関節に関して可能になる。このように埋め込まれた人工膝関節は、短期間後に修正手術が必要なことはなく、長期の治療成功に関する最良の必須条件を提供する。
【0073】
異なる関節丘ミリングカッター用の案内片の別の実施形態が図13a及び図13bに図示されている。この場合、案内片8’、8”が提供され、水平ミリングカッター85’、85”を受け入れる。図13aに図示された変形例は、水平ミリングカッター85’は、側面から案内片8’へ装着され、片側様式でそこに装着される。動作運動は、図12に図示したものに相当する。図13bに図示された変形例では、エルボーレバー及び案内片8”は、外部に配置され、水平ミリングカッター85”は、案内片8”を通して挿入される。この変形例では、他方側を機械加工するために、エルボーレバー及び案内片8”を再構成することが必要である。




【0074】
装具は、大腿骨に人工関節受け口を作成し準備するための突錐セットをさらに備える。この突錐セット(図6を参照)は、アクセス突錐90を備える。これは大腿骨の髄腔を開くために使用される。好ましくは異なる長さ及び直径でセットに含まれるリーマー91によって、髄腔は連続的に拡大される。停止板97を有する特別のやすり/ブローチング突錐92がさらに提供され、これは既に上述されている。最後に、停止部を有するピンホールドリル98が提供され、膝関節体内プロテーゼの関節丘部分に固定ピン(図示せず)用の受け口を形成するためにドリルガイド18へ挿入される。
図1a)】
図1b)】
図1c)】
図2a)】
図2b)】
図2c)】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a)】
図11b)】
図11c)】
図12
図13a)】
図13b)】
図14a)】
図14b)】
図14c)】
図15a)】
図15b)】
図16
図17a)】
図17b)】
図17c)】
図17d)】
図18a)】
図18b)】
図18c)】
図19a)】
図19b)】
図19c)】
図20
図21
図22a)】
図22b)】
図23a)】
図23b)】
図23c)】
図24
図25a)】
図25b)】
図26a)】
図26b)】