(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047568
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】シリコン光電池上の金属の光誘起めっき
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20161212BHJP
H01L 31/18 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/04 400
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-521704(P2014-521704)
(86)(22)【出願日】2012年7月17日
(65)【公表番号】特表2014-523653(P2014-523653A)
(43)【公表日】2014年9月11日
(86)【国際出願番号】US2012047025
(87)【国際公開番号】WO2013016067
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2014年5月21日
(31)【優先権主張番号】13/188,615
(32)【優先日】2011年7月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502304286
【氏名又は名称】マクダーミッド アキューメン インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド・ダブリュー・ミンスク
(72)【発明者】
【氏名】レブ・タイトサス
【審査官】
森江 健蔵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−057035(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0035489(US,A1)
【文献】
特表平09−503345(JP,A)
【文献】
特開2002−356783(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/025568(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/0224
H01L 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側と裏側とを有する太陽光電池に金属の層を堆積させて前記太陽光電池を金属化する方法であって、前記裏側が、アルミニウム及びアルミニウム合金からなる群から選択される金属の層を含み、前記表側が、その上に金属を含むパターンを含み、
a)前記太陽光電池を、i)可溶性銀イオン源と、ii)裏側の金属の層から溶解したアルミニウム金属イオンの可溶化剤とを含む光誘起めっき組成物(ただし前記光誘起めっき組成物はシアン化物を含まない)と接触させる工程と、その後、
b)光源からの放射エネルギーを前記太陽光電池に照射する工程と、
を含み、前記光誘起めっき組成物からの金属イオンが前記太陽電池の前記表側の金属パターン上にめっきされ、前記太陽電池はめっきの間は外部電源に電気的に接続されておらず、前記裏側の金属層のイオンが前記光誘起めっき組成物中へ溶解することを特徴とする方法。
ここで、前記可溶化剤が、グリオキシル酸、グリコール酸、乳酸、α−又はオルト−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、ヒドロキシポリカルボン酸、又はこれらの任意の組合せからなる群から選択されるものであり、
前記光誘起めっき組成物が、スクシンイミド又は置換スクシンイミド、ヒダントイン又は置換ヒダントイン、ウラシル、アミン、及びこれらの1以上の組合せからなる群から選択される銀イオンの錯化剤を含む。
【請求項2】
可溶性銀イオン源が、酸化銀、硝酸銀、メタンスルホン酸銀、酢酸銀、クエン酸銀、硫酸銀、及びこれらの1以上の組合せからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
可溶性銀イオン源が、酢酸銀である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
可溶性銀イオン源が、メタンスルホン酸銀である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
可溶性銀イオン源が、硫酸銀である請求項2に記載の方法。
【請求項6】
可溶性銀イオンの濃度が、1g/L〜35g/Lである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
可溶化剤が、酒石酸又はその塩を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
可溶化剤が、クエン酸又はその塩を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
可溶化剤の濃度が、1g/L〜150g/Lである請求項1に記載の方法。
【請求項10】
錯化剤が、ヒダントイン又は置換ヒダントインである請求項1に記載の方法。
【請求項11】
錯化剤の濃度が、20g/L〜150g/Lである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
太陽電池の表側の金属を含むパターンが、その上に印刷された電流収集線及び母線を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
金属を含むパターンが、印刷された銀ペーストを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
光源が、ハロゲンランプ、白熱ランプ、蛍光ランプ、発光ダイオード、又は水銀ランプからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項15】
光電池を光誘起めっき組成物と接触させる工程が、前記光誘起めっき組成物中に光電池を浸漬することを含む請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、現在係属中である2009年8月28日に出願された米国特許出願第12/549,547号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、一般的に、シリコン太陽電池を含む光電池上の金属接点の光誘起めっき方法に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽電池は、太陽光を直接電気に変換する光電池又はモジュールである。光起電(PV)電池は、半導体材料、最も一般的にはシリコンから作製される。光(紫外線、可視光線、及び赤外線)が電池に当たると、吸収光のエネルギーが半導体に転送されて電流が生成されるように、光の一定部分が半導体材料内に吸収される。PV電池の上下に金属接点を配置することにより、電流を外部で使用するために引き出すことができる。電流は、電池の電圧と共に、太陽電池が生成することができるワット数を定義する。
【0004】
典型的な半導体光電池は、光の吸収が電子正孔対の生成をもたらす大面積のpn接合部を含む。過剰な負電荷がnドープ側に蓄積して過剰な正電荷がpドープ側に蓄積するように、電子と正孔とが接合部の反対側に移動する。発電のために電流を集めるためには、pn接合部の両側の外部回路への電気的接続がなされなければならない。接点は、典型的には、半導体デバイスとの抵抗接点において各側に1つずつの2つの金属パターンからなる。理想的な接続パターンは、抵抗損失を最小化するための高伝導性、効率的に電流を集めるための基板への良好な電気的接続、及び機械的安定性を確保するための高接着性を有する。入射光に露光される電池の側として定義される電池の表側の金属パターンは、電池の表面上の任意の場所で生成された電流を集めるための低抵抗路を提供すると同時に、金属により遮断される入射放射線の量を最小にして電流発生目的での損失を最小にするように設計されている。
【0005】
シリコンは、特にその結晶形態において、太陽電池を製造するために用いられる一般的な材料である。殆どの太陽電池は、p型/n型接合部を製造するために、ホウ素及びリンでドープされた結晶シリコンから作られている。製造コストを削減するために多結晶シリコンを太陽電池の製造に使用することができるが、得られた電池は、単結晶シリコン電池程には効率的でないことがある。結晶構造を持たないアモルファスシリコンを、製造コストを低減する試みで使用してもよい。製造した太陽電池において使用される他の材料としては、ガリウムヒ素、二セレン化銅インジウム、及びテルル化カドミウムが挙げられる。
【0006】
シリコン太陽電池の典型的な配列は、
(a)アルミニウム又はアルミニウム合金の層と、銀又は銀−アルミニウム合金を含む母線とを通常含む裏側接点、
(b)P型Si、
(c)N型Si、
(d)電池の表側の反射防止コーティング、
(e)フィンガー及び母線の金属グリッドを通常含む表側接点、及び
(f)カバーガラス、
を含む。
【0007】
シリコンは極度に反射性であるため、反射防止コーティングが、典型的には反射損失を低減するために電池の上部に適用される。ガラスのカバープレートが次いで、典型的には素子から電池を保護するために反射防止層上に適用される。
【0008】
従来の太陽電池は、結晶シリコンウエハを用いて作製されることがある。Siウエハは、ホウ素ドーパントを有するp型半導体として出発する。光を良好に捕えるため、光がシリコン中へ斜めに反射するように、ウエハを水酸化物又は硝酸/フッ化水素酸でテクスチャ化してもよい。pn接合部は、蒸着又は拡散を用い、n型ドーパント、典型的にはリンの拡散によって形成される。誘電性の層、典型的にはシリコン窒化物又はシリコン酸化物が表側に適用され、この層が表面パッシベーション層及び反射防止コーティング(ARC)の双方として機能する。
【0009】
シリコン太陽電池の製造における一つの標準的な工程では、シリコンウエハの表側は、典型的にはシリコン窒化物を含む反射防止パッシベーション層で被覆されている。このシリコン窒化物層は、電池により吸収される(反射されない)光の割合を最大化するだけでなく、表面を不動態化し、表面での電子と正孔との再結合を防止して電池の効率を増加させるという二重の目的を提供している。電子と正孔との再結合を最小化するために、電池の裏面には異なる効果が典型的には採用されている。「裏面電界」(BSF)は、裏面に近接したシリコンの所謂p
+型ドープ層を作製することにより実現されれ、ここでp
+型ドープ層は、バルクp型ドープ基板よりも高濃度のp型ドーパントを含む。これが、少数キャリア(電子)の裏面への流出に対する障壁を提供する電界を、界面の近くに生成する。アルミニウム又はホウ素等の任意のp型ドーパントを用いることができる。典型的には、アルミニウム又はアルミニウム合金を裏面に堆積させ、p型ドーパントをシリコン中に拡散させるために高温で焼成する。アルミニウム又はアルミニウム合金は、スクリーン印刷又は蒸着によって堆積させてもよい。典型的には、シリコン太陽電池の標準的な製造工程においては、銀又は銀−アルミニウムのペーストを含むはんだ付け可能な母線が裏面にスクリーン印刷され、次いでアルミニウムペーストが母線により被覆された領域を除いて裏面全体にスクリーン印刷され、次いで、溶剤バインダーを除去し、ペースト層を硬化し、アルミニウムのp型ドーパントをシリコン中に拡散させるために焼成される。
【0010】
上記のp
+型ドープBSFとはんだ付け可能な母線とを含む裏面上に全領域の金属接点が作製され、典型的には、銀ペーストを前記フィンガーと母線とのパターンへとスクリーン印刷し、次いで溶剤バインダーを除去し、パターンを硬化させ、電池との抵抗接点を形成するために高温で焼成することによって形成され、微細な「フィンガー」とより大きい「母線」とから構成されるグリッド状の金属接点が前面上に形成された、太陽電池の接点が形成されなければならない。太陽電池導電体が形成された後、次いで複数の太陽電池が平坦なワイヤ又は金属リボンによって直列(又は並列、或いはその両方)に相互接続され、モジュール又は「太陽電池パネル」へと組み立てられる。完成した太陽電池パネル製品は、典型的には、環境から保護するために、表側の強化ガラスのシート、及び裏側のポリマー封止を有する。
【0011】
シリコンは、太陽電池パネルの製造において最も一般的に使用される材料である。
図1は、典型的なシリコン太陽電池の、表側金属母線12と金属線14とを有する表側10、及び裏側金属母線22を有する裏側20を示す。太陽電池の表側の金属母線12及び金属線14は、好ましくは、本発明のめっき組成物及び方法でその上にめっきされた、印刷された銀ペーストを含む。裏側金属母線22は、好ましくは、シリコンと接触する銀ペースト又はアルミニウム−銀ペーストのいずれかを含む。電池裏側の残りの部分は、好ましくは、焼成アルミニウム層38により覆われている。
【0012】
図2は、反射防止コーティング層32、n型ドープシリコン層34、及びp型ドープシリコン層36を有する典型的なシリコン太陽電池の断面図を示す。シリコンは、単結晶シリコン又は多結晶シリコンであってもよいが、一例でありこれらに限定されるものではない。表側10の金属線14は、光誘起電流を収集する。表側母線12は、複数の金属線14即ち「フィンガー」から電流を収集する。電池の裏側20は、典型的には表側と同様の1組の母線22を有するが、裏側20は、光を透過可能である必要はない。表側母線12及び裏側母線22は、モジュールのための連続した電池の接続を可能とする。裏側母線22は、シリコン基板と接触する。裏側の残りの部分は、アルミニウム又はアルミニウム合金の層38で覆われている。アルミニウム又はアルミニウム合金の層38は、一般的に、太陽電池の裏側にアルミニウム又はアルミニウム合金のペーストを印刷した後、層を焼成することによって適用される。
【0013】
表側金属パターンを設計する際には、競合因子を考慮しなければならない。遮光損失を最小限に抑えるために、金属トレースが可能な限り小さな領域を被覆するよう、デバイスの表面は光の透過を許容しなければならない。一方で、表側のシート抵抗は比較的高いことがあり(約50Ω/□〜100Ω/□)、被覆率が低すぎると抵抗損失に繋がるので、効率的な電流の収集には、可能な限り大きい表面積被覆率が有利である。
【0014】
表側金属パターンを形成するために、導電性ペーストのスクリーン印刷、インクジェット法、及びシード層上への電気めっきを含む種々の方法を使用してもよい。一般的に使用される1つの方法は、ガラスフリットを含む銀ペーストのスクリーン印刷であり、約800℃での焼成工程が続いてこの間にペーストが反射防止コーティングを介して燃焼し、存在する場合には、金属ペーストの線と母線とのグリッドを形成する。この方法は合理的に良好な電気的接続、導電性及び接着性を有する導電性パターンを提供するが、焼成後のペーストは必然的に空隙及び非金属フィラーを含んでいるので、グリッド上への付加的な金属の堆積によって性能が更に向上する可能性がある。
【0015】
表側導電性パターンを形成するために使用される別の方法では、反射防止コーティング中に形成された線と母線とのパターン上に、水溶性金属イオンの溶液から金属が堆積される。パターンを形成するために、エッチング、機械的スクライビング、又はレーザーイメージングが伴うフォトリソグラフィー等の種々の方法が使用されてもよい。そのような方法は、特許文献1に記載されている。
【0016】
可溶性金属イオンの溶液からの金属の堆積は、酸化反応及び還元反応が起こる電気化学的機構により生じる。広く定義すると、溶液から基板上へ金属を堆積させる以下3つの異なる機構がある。
【0017】
(1)ガルバニック堆積としても知られている置換堆積は、卑金属基板上への金属の堆積が、卑金属から貴金属への電子の移動を伴い、貴金属の堆積及び卑金属基板の溶解をもたらすものである。この方法は、卑金属基板が完全に覆われたときに通常は堆積が停止するので、堆積物の厚みが制限され得るという点において制限され得る。また、基板の一部が消費される。また、貴金属の堆積は下層の卑金属の溶解を伴うので、堆積した金属層は非連続となることがあり、導電性及び接着性が乏しくなる。
【0018】
(2)電解めっきは、酸化及び還元が電流の外部供給源によって誘起されるものである。この方法は、速い堆積速度で緻密な高品質の金属層を提供し、厚みは制限されない。しかしながら、電気回路を完成させるために、基板に対して、浴中に存在するアノードと電気的接続をしなければならない。電池との良好な電気的接続の作製は、壊れ易いシリコン基板の破損を生じる可能性があるため、問題となり得る。
【0019】
(3)無電解めっきとしても知られる自己触媒堆積は、溶液中の還元剤の含有によって金属イオンの還元が化学的に行われ、触媒的に活性な表面上でのみ堆積が起こるものである。この方法は、電気的接続及び外部電源の必要性を排除する。しかしながら、実際にはこの方法には幾つかの欠点がある。まず、溶液が本質的に熱力学的に不安定であるため、工程が制御困難となることがあり、システムを最適化するために細心の注意を払わないと、金属の析出と共に自然分解が生じ得る。これが堆積速度を制限して堆積速度が非常に遅くなる可能性がある。具体的には、自己触媒銀めっき液は、非常に不安定であることが当技術分野でよく知られている。
【0020】
これらの問題の幾つかを解決するために、従来技術は、例えば金属堆積をもたらす光誘起電圧を利用した光起電デバイスでの種々の電気めっき方法を示唆している。
【0021】
その主題の全体が本願明細書中に援用される特許文献2は、金属イオンを含む電解質溶液中に電池を浸漬して、デバイスのアノード表面に金属のめっきが生じるように太陽電池の表面を光に露光し、太陽電池の表面上に電気接点をめっきする方法を記載している。デバイスが照射されると銀がアノードの裏側から溶解してカソードの表側に堆積するように、裏(アノード)側は銀の厚い犠牲層によって覆われている。シアン化物含有銀めっき液が記載されている。シアン化物含有銀電解質が優れためっきを生じさせることがよく知られているが、シアン化物の使用は、安全性だけでなく環境への配慮から好ましくない。
【0022】
その主題の全体が参照することにより本願明細書中に援用される特許文献3は、特許文献2記載のものと同様の電解めっきの方法を記載している。加えて、特許文献3は、電池が光に照射されて電流が適切に調節されたときに裏側に堆積及び腐食のいずれも生じないように、デバイスのアノードの裏側がDC電源の負極に取り付けられており、電源の正極がめっき液の銀電極に取り付けられている配置を記載している。この場合も、シアン化物含有銀めっき液が使用される。この配置を
図3に示す。この方法の負の面は、電極の電池への取付けの必要性であり、これが壊れ易いシリコン基板の破損を生じる可能性がある。
【0023】
その主題の全体が参照することにより本願明細書中に援用される特許文献4は、光電池上に印刷された金属の表側パターンが、銅又は銀等の金属の光誘起堆積により補強される方法を記載している。裏(アノード)側は、デバイスが照射されたときに裏側からの金属の溶解と同時に表側の堆積が起こることで電荷的中性が維持されるように、印刷された犠牲金属ペーストを含む。
【0024】
その主題の全体が参照することにより本願明細書中に援用される特許文献5は、デバイスが、銀イオンと、少なくとも1つのニトロ含有化合物と、界面活性剤と、アミノ化合物と、アミノ酸又はスルホン酸のいずれかの少なくとも1つとを含む銀めっき液中に浸漬されながら光に露光される、光起電デバイスに電気接点をめっきする方法を記載している。しかしながら、この光起電デバイスを金属化する電解「光誘起めっき法」は、前述の特許文献3に記載された方法と同一又は同様であり、同じ欠点、即ち電源及びアノードに接続された電極の電池への接続の必要性がある。
【0025】
その主題の全体が参照することにより本願明細書中に援用される特許文献6は、ヒダントイン又は置換ヒダントインとの錯体の形態の銀、電解質、及び2,2’−ジピリジルを含む非シアン化物銀めっき組成物を記載している。
【0026】
その主題の全体が参照することにより本願明細書中に援用される特許文献7は、ヒダントイン又は置換ヒダントインとの錯体の形態の銀を含有する、シアン化物を含まない銀電気めっき浴を記載している。
【0027】
その主題の全体が参照することにより本願明細書中に援用される特許文献8は、スクシンイミド等の有機ジカルボン酸のイミドと錯体化した銀を含有する、シアン化物を含まない銀めっき液を開示している。
【0028】
その主題の全体が参照することにより本願明細書中に援用される特許文献9は、ピロリジン−2,5−ジオン(スクシンイミド)、又は3−ピロリン−2,5−ジオン(マレイミド)と錯体化した銀を含有する、シアン化物を含まない銀めっき液を記載している。
【0029】
その主題の全体が参照することにより本願明細書中に援用される特許文献10は、銀カチオン、チオ硫酸塩、及び亜硫酸塩を含む、シアン化物を含まない無電解銀めっき液を記載している。特許文献10は、従来の銀めっき液よりも優れためっき速度及び溶液安定性を主張している。
【0030】
無電解銀めっきもまた、幾つかの欠点がある。例えば、浴は、直ちに起こる分解に対して非常に不安定であることがよく知られており、沈殿による銀の損失、浴の寿命の制限、及び金属が存在しないままであるべき表面領域への望まない堆積を引き起こす。また、めっき速度は、好適な安定性に必要な条件下では一般的に非常に遅い。
【0031】
外部電源がデバイスに電流を提供する従来技術に記載の光誘起めっき等の電気めっきにより、より高速なめっき速度を得ることができる。しかしながら、電気接点の取付けは、それが壊れ易いシリコン太陽電池の破損を生じ得るという点で問題となり得る。
【0032】
従って、電気接点の取付けからシリコン太陽電池の破損を生じることなく、電気めっきにより実現されるめっき速度の高速化を可能にし、更に無電解銀めっきの上述の欠点を最小限にするめっき方法を提供することが望ましい。
【0033】
本発明は、特定のめっき液及びめっき方法を用いることによって、これらの欠点に対処する。光電池上に金属をめっきするために使用する場合、本発明の改良されためっき液は、光により活性化される。めっき液はシアン化物を含まない。デバイスとの電気的接続は必要ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】国際公開第2005/083799号
【特許文献2】米国特許第4,144,139号明細書(Durkee)
【特許文献3】米国特許第4,251,327号明細書(Grenon)
【特許文献4】米国特許第5,882,435号明細書(Holdermann)
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0035489号明細書(Allardyce)
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0151863号明細書(Morrissey)
【特許文献7】米国特許第5,601,696号明細書(Asakawa)
【特許文献8】米国特許第4,126,524号明細書(Hradil等)
【特許文献9】米国特許第4,246,077号明細書(Hradil等)
【特許文献10】米国特許第5,322,553号明細書(Mandich等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
酸化アルミニウムは酸又は塩基により溶解可能であるため、水溶液中で極めて酸性度又はアルカリ性度の高いpH下を除き、アルミニウムは、非貴金属でありながら、酸化アルミニウムによって不動態化されて通常良好に残存することがよく知られている。更に、酸性又はアルカリ性の溶液中の水との反応により、高速の制御不可能な腐食を受けることがある。従って、ジレンマは、制御されない腐食を回避するためには中性又は中性に近いpHが望ましいが、アルミニウムは通常、中性又は中性に近いpHでは良好に不動態化したままである点にある。本発明者らは、光電池の裏面の金属の溶解を補助する特定の試薬を含有させることが、より中性のpH下で安定した制御可能な溶解をもたらすことができることを見出した。
【0036】
本発明の目的は、非接触の、光誘起型の自己触媒又は置換工程により光起電デバイス上に金属導体をめっきするための方法及び組成物を提供することにある。
【0037】
本発明の別の目的は、光によって活性化される自己触媒又は置換工程により光起電デバイス上に金属導体をめっきするための方法及び組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0038】
この目的のために、一実施形態において、本発明は、一般的に、太陽光電池上の金属接点をめっきするための組成物であって、
【0039】
a)可溶性銀イオン源と、
b)太陽光電池の裏面の金属(通常はアルミニウム又はアルミニウム合金)の溶解補助剤と、
を含む組成物に関する。
【0040】
別の実施形態において、本発明は、一般的に、表側と裏側とを有する太陽光電池に金属の厚い層を堆積させて前記太陽光電池を金属化する方法であって、前記裏側が、アルミニウム及びアルミニウム合金からなる群から選択される金属の層を含み、前記表側が、その上に金属パターンを有し、
a)太陽光電池を、i)可溶性銀イオン源と、ii)裏側の金属から溶解した金属イオンの可溶化剤とを含む光誘起めっき組成物と接触させる工程と、その後、
b)光源からの放射エネルギーを前記太陽光電池に照射する工程と、
を含み、太陽電池の表側と裏側とは逆帯電し、めっき液からの金属イオンが前記太陽電池の表側の金属パターン上にめっきされ、それによって、金属の層がその上に堆積されて裏側の金属層のイオンがめっき液中へ溶解することを特徴とする方法に関する。
【0041】
この方法を使用すると、金属の還元電位が水の還元電位よりも大きいことを条件として、任意の金属をそのイオン溶液から太陽電池の表側に堆積させることができる。好ましい金属としては、その高い導電性により、銅及び銀、特に銀が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、シリコン太陽電池の表側と裏側とを示す。
【
図3】
図3は、従来技術の光誘起電解めっき工程の実施形態を示す。
【
図4】
図4は、本発明の光誘起めっき工程の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、一般的に、光により活性化され、デバイスとの電気的接続を必要としない工程によって光起電デバイス上へ金属接点をめっきする方法及び組成物に関する。
【0044】
一実施形態では、本発明の光誘起めっき組成物は、
a)可溶性銀イオン源と、
b)アルミニウム及びアルミニウムの合金成分を含む金属イオンの溶解補助剤と、
を含む。
【0045】
銀(I)を含む殆ど全ての化合物を、本発明の組成物において使用することができる。可溶性銀イオン源としては、酸化銀、硝酸銀、メタンスルホン酸銀、酢酸銀、硫酸銀、クエン酸銀、又は他の任意の銀塩であってもよいが、一例でありこれらに限定されるものではない。一実施形態では、可溶性銀イオン源は、好ましくは、硫酸銀、酢酸銀、又はメタンスルホン酸銀である。好ましい実施形態では、可溶性銀イオン源は、金属銀として約1g/L〜35g/Lの濃度で本発明の光誘起めっき組成物中に存在する。
【0046】
理論に縛られることは望まないが、本発明者らは、太陽電池の表側上のめっき反応は、負電荷が電池の表(カソード)側に蓄積し、正電荷(「正孔」)が裏(アノード)側に蓄積される、光に対する太陽電池の曝露により引き起こされる電位によって推進される金属カチオンの還元として開始すると考えている。めっき反応が進行すると、光子の吸収がバルクシリコン中の電子−正孔対を生成し続け、pnダイオードにより生じる電圧のため、負電荷は電池の表側に移動し、正電荷は裏側に移動する。アルミニウムイオンの溶解を伴う電池の裏側の金属アルミニウムからの電子の移動によって、正電荷、即ち正孔が中和され、めっき反応の進行を推進する。このようにしてめっき反応を円滑に継続するためには、めっき液が、裏側の他の金属、特に典型的には母線を形成する硬化銀ペーストの形で存在する銀に対して優先的に、太陽電池の裏側からのアルミニウムイオン(及び任意のアルミニウム合金成分のイオン)を可溶化させる作用因子を含むことが重要である。
【0047】
めっき組成物は、太陽電池の裏側から溶解したアルミニウムイオンを(直接又はキレート化を介して)可溶化することができる化合物を含まなければならない。可溶化化合物は、銀よりも優先的にアルミニウムを可溶化することができなければならない。これらの可溶化化合物としては、グリオキシル酸、グリコール酸、乳酸、又は任意のα−又はオルト−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、又は他の任意のヒドロキシポリカルボン酸等のヒドロキシポリカルボン酸を挙げることができる。好ましい可溶化化合物は、クエン酸、酒石酸、及びグリオキシル酸である。めっき組成物中の可溶化化合物の濃度は重要ではないが、好ましくは1g/L〜150g/Lの範囲とすることができ、最も好ましくは10g/L〜30g/Lである。
【0048】
還元剤をめっき組成物に添加してもよいが、必須ではない。理論に縛られることは望まないが、本発明者らは、めっき反応は、還元剤によって、還元剤から電池の表側又は裏側への電子の直接の移動を介して補助され得ると考えている。使用する場合の還元剤としては、ホルムアルデヒド、グルコース、デキストロース、グリオキサール、硝酸により転化された糖、ヒドラジン又はヒドラジン硫酸塩、アルドン酸、アルドン酸ラクトン、酒石酸塩(「ロッシェル塩」としても知られる)、コバルトイオン、硫化物塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、次亜リン酸塩、水素化ホウ素塩、ジメチルアミンボラン又は他のアルキルアミンボラン、ヒドラジンボラン、及びシアノ水素化ホウ素塩が挙げられるが、一例でありこれらに限定されるものではない。当技術分野で公知の他の還元剤も、本発明において使用できるであろう。一実施形態では、還元剤は、グリオキシル酸塩、ロッシェル塩、又はグリオキサールである。好ましい実施形態では、還元剤は、約1g/L〜約60g/Lの濃度で本発明の光誘起めっき組成物中に存在するが、最も好ましくは15g/L〜20g/Lである。
【0049】
銀カチオンを可溶化及び安定化するため、及び存在し得る金属不純物を封鎖するために、随意の錯化剤を添加してもよい。銀錯化剤としては、シアン化物、スクシンイミド又は置換スクシンイミド、ヒダントイン又は置換ヒダントイン、ウラシル、チオ硫酸塩、アンモニア、又は他のアミン類が挙げられるが、一例でありこれらに限定されるものではない。前述のように、シアン化物の使用は、安全性及び環境への配慮から望ましくない。アンモニアの使用もまた、その揮発性、及び乾燥時に爆発性の銀塩を形成するその能力から好ましくない。好ましい実施形態では、錯化剤は、ヒダントイン又は5,5−ジメチルヒダントイン、又は他の置換ヒダントインである。使用する場合、錯化剤は、約20g/L〜約150g/L、より好ましくは約40g/L〜80g/Lの濃度で、光誘起めっき組成物中に存在してもよい。
【0050】
最後に、本発明の組成物は、種々の界面活性剤(surface active agent)、結晶成長抑制剤、光沢剤、又は界面活性剤(surfactant)を含んでもよい。例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール、2,2’−ジピリジル、ヒスチジン、システイン、イミダゾール、又はイミダゾール誘導体を本発明の組成物に添加してもよいが、一例でありこれらに限定されるものではない。銀白色の堆積層の製造に有益であることを本発明者らが見出した好ましい光沢剤は、ヒスチジンである。
【0051】
溶液のpHは、適切なpH調整剤を用いて、好ましくは約7.0〜12.0、より好ましくは約8.8〜9.5に調整される。溶液のpHを調整するために、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、硫酸、又は酢酸を使用してもよいが、一例でありこれらに限定されるものではない。
【0052】
図4に示すように、本発明は、一般的に、表側と裏側とを有する太陽光電池に金属の層を堆積させて金属化する方法であって、前記裏側が、アルミニウム及びアルミニウム合金からなる群から選択される金属の層を含み、前記表側が、その上に金属パターンを有し、
a)太陽光電池を、i)可溶性銀イオン源と、ii)裏側の金属から溶解した金属イオンの可溶化剤とを含む光誘起めっき組成物と接触させる工程と、その後、
b)光源からの放射エネルギーを前記太陽光電池に照射する工程と、
を含み、太陽電池の表側と裏側とは逆帯電し、光誘起めっき液からの金属イオンが前記太陽電池の表側の金属パターン上にめっきされ、それによって、金属の層がその上に堆積されて裏側の金属層のイオンが光誘起めっき液中へ溶解することを特徴とする方法に関する。
【0053】
上述のように、太陽電池の表側の金属パターンは、一般的に、複数の電流収集線及び母線を含む。
【0054】
本発明の光源は、放射エネルギーを太陽光電池に照射するように配置されている。例えば、ハロゲンランプ、白熱ランプ、蛍光ランプ、発光ダイオード、又は水銀ランプを含む種々の光源を、本発明の実施において使用することができる。波長がシリコンのバンドギャップエネルギーに対応する約1150nm以下であることを条件として、任意の強度又は波長の光を使用することができる。
【0055】
光電池を光誘起めっき組成物と接触させる工程は、典型的には、めっき組成物中に光電池を浸漬することを含む。本発明の実施においては、外部電源への電気的接触が必要とされない。
【0056】
理論に縛られることは望まないが、本発明者らは、カソード上の金属イオンの還元による光活性化めっきには、2つの可能な機構が存在すると考えている。まず、電子がカソードから金属カチオンに直接寄与して金属原子の堆積を引き起こす可能性があり、正電荷が反対のアノード側に蓄積するので、めっき液中に存在する化学的還元剤の酸化によるか、又は反対のアノード側からの金属の酸化及び溶解により、電子がこの反対側に供給されるに違いない。或いは、カソードが化学的還元剤から金属への電子の寄与を触媒し、カソード上の金属イオンの堆積を生じる可能性がある。これらの2つの機構の組合せが生じていてもよい。どちらの機構の結果も同じであり、即ち、電池への外部の電気接点の取付けを必要とせずに、金属の光誘起堆積が金属カソード上へ選択的に生じる。
【実施例】
【0057】
実施例1
めっき液を以下のように作製した。
72.6g/Lの5,5−ジメチルヒダントイン
20.2g/Lの酢酸銀
14.0g/Lのメタンスルホン酸カリウム
30.0g/Lの酒石酸ナトリウムカリウム(「ロッシェル塩」)
KOHを添加してpH=9.1にした。
【0058】
実施例2
めっき液を以下のように作製した。
72.6g/Lの5,5−ジメチルヒダントイン
20.2g/Lの酢酸銀
18.2のグリオキシル酸水和物
72.7 g/Lのメタンスルホン酸カリウム
NaOHを添加してpH=9.2にした。
【0059】
実施例3
めっき液を以下のように作製した。
48.0g/Lのヒダントイン
10.3g/Lのメタンスルホン酸
32.0g/Lのホウ酸
28.7g/Lのメタンスルホン酸銀
54.0g/Lのグリオキシル酸水和物
KOHを添加してpH=8.8にした。
【0060】
比較例1
比較のため、以下のように可溶化剤又は還元剤の無いめっき液を作製した。
72.6g/Lの5,5’−ジメチルヒダントイン
20.2g/Lの酢酸銀
NaOHを添加してpH=9.1にした。
【0061】
図1及び
図2に示すような太陽電池を、これらの溶液でめっきした。表側の線は、印刷された銀ペーストからなり、トップダウン型光学顕微鏡で測定して約82μmの平均幅であった。裏側の母線は、印刷された銀ペーストからなり、蛍光X線(XRF)で測定して約4.5μmの厚みであった。
【0062】
めっき液を、透明なガラスビーカー中で45℃に加熱した。太陽電池片を、約5インチの距離から250Wのハロゲンランプを使用して表側を照射しながら、8分間めっき液に浸漬した。次いで電池を脱イオン水ですすぎ、乾燥させた。処理後の線幅をトップダウン型光学顕微鏡により測定し、裏側の母線の厚みをXRFにより測定した。
【0063】
表1は、光顕微鏡及びXRFを用いてそれぞれ測定した、表側の線幅及び裏側の母線の厚みの結果を示す。
【0064】
【表1】
【0065】
実施例1〜実施例3では表側の線幅の大幅な増加が観察された一方で、比較例1は増加を示さなかった。加えて、実施例1〜実施例3では裏側の銀母線の厚みの純増加があった一方で、比較例1は、母線のアノード腐食の発生を示唆する純減少を示した。
【0066】
実施例4
市販の非シアン化物銀めっき液(EPI E−Brite 50/50)から銀でめっきした電池と、本発明との間で比較を行った。
【0067】
本発明の溶液を以下のように作製した。
17.5g/Lの酢酸銀
52.5g/Lのヒダントイン
22.8g/Lのホウ酸
8.7g/Lのメタンスルホン酸
39.5g/Lのロッシェル塩
52.0g/Lのグリオキシル酸水和物
KOHを添加してpHを8.8に調整した。
【0068】
太陽電池片を、これらの溶液でめっきした。表側の線は、印刷された銀ペーストからなり、トップダウン型光学顕微鏡で測定して約82μmの平均幅であった。電池片を、約5インチの距離から250Wのランプを使用して表側を照射しながら、透明なガラスビーカー中で45℃で8分間、この実施例4の溶液中でめっきした。比較のために、銀ワイヤを表側の銀ペーストのグリッドに固定し、これを次いで回路を完成するために不活性アノードで電源に接続し、0.4amps/dm
2と同等の電流を180秒間流すことによって、電池片を市販の銀めっき浴中で電気めっきした。次いで電池片を脱イオン水ですすぎ、乾燥させた。処理後の線幅をトップダウン型光学顕微鏡により測定した。
【0069】
トップダウン型光学顕微鏡で観察されるように、未処理の対照群の平均のフィンガー幅は、約120μmであった。めっき後、電気めっきしたフィンガー及び光誘起めっきしたフィンガーの双方とも、平均のフィンガー幅は約130μmであった。本発明を用いてめっきしたフィンガーの表面形状は、より滑らかで均一であり、緻密な銀の堆積層は本発明の方がより厚い。
【0070】
実施例5
光誘起めっきによりめっきされた裏側銀ペーストの母線について、ロッシェル塩の含有の有無で比較した。
【0071】
溶液5Aを以下のように作製した。
13.5g/Lの硫酸銀
89.6g/Lの5,5−ジメチルヒダントイン
36.3g/Lの酢酸ナトリウム
KOHを添加してpHを9.3に調整した。
【0072】
10.75g/Lのロッシェル塩を含有させた点を除いて、溶液5Aと同様に溶液5Bを作製した。
【0073】
太陽電池片を、これらの溶液でめっきした。電池片を、約5インチの距離から250Wのランプを使用して表側を照射しながら、透明なガラスビーカー中で50℃で7分間、溶液5A及び溶液5Bの中でめっきした。次いで電池片を脱イオン水ですすぎ、乾燥させた。
【0074】
ロッシェル塩を含まない溶液5A中でめっきした場合は、裏側母線を含む銀ペーストの激しい腐食が容易に観察できる一方で、ロッシェル塩を含む溶液5B中でめっきした場合は、目視では腐食を観察できない。母線における銀の厚みを、蛍光X線(XRF)で測定した。溶液5A中でめっきした片については、約0.1μm〜2.7μmの範囲の不均一な厚みが測定された。溶液5B中でめっきした片については、3.5μmの均一な厚みが測定された。
【0075】
実施例6
光誘起めっき後の表側銀ペーストのフィンガー、及び裏側銀ペーストの母線について、クエン酸又はロッシェル塩の含有の有無で比較した。
【0076】
溶液6Aを以下のように作製した。
8.6g/Lの硫酸銀
54.0g/Lの5,5−ジメチルヒダントイン
19.0g/Lの酢酸
KOHを添加してpHを9.2に調整した。
【0077】
表2に示す可溶化剤を含有させた点を除き、溶液6Aと同様に溶液6B〜溶液6Hを作製した。
【0078】
【表2】
【0079】
太陽電池片を、これらの溶液でめっきした。約5×5cm
2の電池片を、約5インチの距離から250Wのランプを使用して表側を照射しながら、透明なガラスビーカー中で50℃で6分間及び16分間、溶液6A〜溶液6Hの中でめっきした。次いで電池片を脱イオン水ですすぎ、乾燥させた。電池を、めっきの前後で秤量して増加した質量を決定した。処理後の線幅をトップダウン型光学顕微鏡により測定し、裏側の母線の厚みをXRFにより測定した。未処理(対照群)の電池は、表側の平均のフィンガー幅が94μmであり、裏側の銀母線の厚みが7.7μmであった。
【0080】
【表3】
【0081】
ロッシェル塩及びクエン酸をそれぞれ含む、光誘起めっき液6B及び6Cは、めっき後の最大の質量増加及びフィンガー幅を与えた。