(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047589
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】テント
(51)【国際特許分類】
E04H 15/62 20060101AFI20161212BHJP
E04H 15/64 20060101ALI20161212BHJP
E04H 15/42 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
E04H15/62 A
E04H15/64
E04H15/42
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-519(P2015-519)
(22)【出願日】2015年1月5日
(65)【公開番号】特開2016-125275(P2016-125275A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2015年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】391008146
【氏名又は名称】株式会社モンベル
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100080953
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 克郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】辰野 勇
(72)【発明者】
【氏名】真崎 文明
(72)【発明者】
【氏名】辰野 岳史
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】千原 岳人
【審査官】
兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭51−044112(JP,U)
【文献】
特開2003−253915(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3001258(JP,U)
【文献】
特開平11−350798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 15/32−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方へ膨出する屋根部を有するシートと、
前記屋根部の外面に沿って形成されたスリーブに通されて前記屋根部を支持して膨出形状に維持するポールと、
前記シートの縁部に設けられて前記ポールの端部を係止するポール係止部と、
を備え、
前記ポール係止部は、
前記シートの縁部に縫い付けた帯状の生地からなる係止帯部と、
帯状の生地の中間部を前記係止帯部に重ね合わせて両端を折り返して前記スリーブの端部近傍に縫い付けた連結帯部と、
前記係止帯部と前記連結帯部との重ね合わせ箇所に加締められ、前記スリーブの端部から突出する前記ポールの端部が挿入される環状のハトメ金具と、
を有するテント。
【請求項2】
前記スリーブの端部には、その外周を覆うように縫い付けられた厚手の生地からなる補強スリーブが設けられ、前記連結帯部は、前記補強スリーブに縫い付けられている請求項1に記載のテント。
【請求項3】
前記ハトメ金具は、前記ポールの端部の挿入側が、外縁側から内縁側へ向かって前記ポールの挿入方向へ次第に傾斜するすり鉢形状に形成されている請求項1または請求項2に記載のテント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーム状の屋根を支持するポールを備えたテントに関する。
【背景技術】
【0002】
ドーム型のテントは、ドーム状の屋根を支持するためのポールを有しており、このポールは、その端部が、テントのシートの角部に設けられた袋とじ部に挿し込まれて係止される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3922496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、袋とじ部に小石、雪あるいは氷などの異物が詰まっていると、その異物がポールと袋とじ部との間に挟まり、設営が困難となることがある。
これに対して、上記特許文献1に記載のテントでは、袋とじ部の一部の隙間から異物を取り除いて詰まりを解消することができる。
しかし、特許文献1に記載のテントであっても、袋とじ部が岩などに接触すると、この袋とじ部に挿し込んだポールと岩との間に袋とじ部の繊維部分が挟まり、特に、風でテントが揺れることで、ポールと岩で挟まれた袋とじ部の繊維部分が摩耗して損傷するおそれがある。
しかも、ポールの末端が袋とじ部で覆われるため、テントの設置面に敷くグランドシートなどのオプション品をポールに連結しづらい。このため、テントの角部にオプション品を連結するための別パーツを設けなければならず、コストアップや重量の増加を招き、また、別パーツが破損してオプション品の装着が困難となるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、損傷等の不具合なくかつ別パーツを設けることによるコストアップ、重量増大あるいはオプション品の装着不良などの不具合を招くことなく容易に設営することができるテントを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のテントは、
上方へ膨出する屋根部を有するシートと、
前記屋根部の外面に沿って形成されたスリーブに通されて前記屋根部を支持して膨出形状に維持するポールと、
前記シートの縁部に設けられて前記ポールの端部を係止するポール係止部と、
を備え、
前記ポール係止部は、
前記シートの縁部に縫い付けた帯状の生地からなる係止帯部と、
帯状の生地の中間部を前記係止帯部に重ね合わせて両端を折り返して前記スリーブの端部近傍に縫い付けた連結帯部と、
前記係止帯部と前記連結帯部との重ね合わせ箇所に加締められ、前記スリーブの端部から突出する前記ポールの端部が挿入される環状のハトメ金具と、
を有する。
【0007】
この構成のテントによれば、係止帯部と連結帯部との重ね合わせ箇所に加締められたハトメ金具にスリーブの端部から突出するポールの端部を挿入して係止させる構造であるので、袋とじ部にポールを挿し込む構造のように、ポールと繊維部分に異物が挟まるような不具合を抑制でき、容易に設営することができる。また、ハトメ金具に挿通されたポールの端部が岩に接触することとなるので、繊維部分がポールと岩との間で挟まって損傷するような不具合も抑制できる。しかも、設置面に敷くグランドシートなどのオプション品をポールの端部に係止させることができるので、オプション品の連結のための別パーツを不要にできる。したがって、別パーツを設けることによるコストアップ、重量増大あるいはオプション品の装着不良などの不具合を招くことなく円滑に設営することができる。
また、係止帯部をシートの縁部に縫い付け、係止帯部と連結帯部との重ね合わせ箇所にハトメ金具を加締め、連結帯部をスリーブに縫い付けることで容易に製造でき、しかも、ハトメ金具を容易に交換できる。
【0008】
また、本発明のテントは、前記スリーブの端部には、その外周を覆うように縫い付けられた厚手の生地からなる補強スリーブが設けられ、前記連結帯部は、前記補強スリーブに縫い付けられていても良い。
【0009】
この構成のテントによれば、スリーブの端部に縫い付けられた厚手の補強スリーブに連結帯部を縫い付けたので、ポールの弾性力が作用するポール係止部の耐久性を高めることができる。
【0010】
また、本発明のテントは、前記ハトメ金具の前記ポールの端部の挿入側が、外縁側から内縁側へ向かって前記ポールの挿入方向へ次第に傾斜するすり鉢形状に形成されていても良い。
【0011】
この構成によれば、ハトメ金具におけるポールの端部の挿入側が、外縁側から内縁側へ向かってポールの挿入方向へ次第に傾斜するすり鉢形状に形成されているので、スリーブへ挿し込んだポールの端部をすり鉢形状部分でハトメ金具の中心へ案内させて円滑に挿入させることができる。これにより、設営のさらなる円滑化が図れる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のテントによれば、損傷等の不具合なくかつ別パーツを設けることによるコストアップ、重量増大あるいはオプション品の装着不良などの不具合を招くことなく容易に設営することができるテントを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るテントを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るテントの実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るテントを示す斜視図である。
図2は、テントのポール係止部の斜視図である。
図3は、テントのポール係止部の側面図である。
図4は、テントのポール係止部の拡大断面図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るテント11は、ドーム状の屋根を有するドーム型テントである。このテント11は、二本のポール12と、シート13とを有している。
【0016】
ポール12は、例えば、ジュラルミン等の軽合金や硬質合成樹脂から形成されている。これらのポール12は、複数に分割されて折りたたみ可能とされている。
【0017】
シート13は、例えば、ナイロン等の合繊生地から形成されている。このシート13は、底面シート部15と、ドーム屋根部(屋根部)16とを有している。シート13は、広げられることで、底面シート部15の上方が上方へ膨出するドーム状に広げられる。これにより、テント11には、底面シート部15の上部にドーム屋根部16で覆われた室内空間Sが形成される。ドーム屋根部16には、その一部に、開閉可能な扉部18が設けられており、この扉部18を開閉することで、室内空間Sに対して出入りが可能とされている。なお、シート13としては、水を通さず空気を通す防水透湿性を備えた生地から形成したものでもよく、この場合、防水性を有するフライシートでシート13を覆わなくても防水性を確保できる。
【0018】
シート13は、平面視矩形状に形成されており、ドーム屋根部16には、その外面側に、対角線に沿うスリーブ21が形成されている。スリーブ21には、一方側の端部から挿し込まれたポール12が挿通されている。シート13は、スリーブ21におけるポール12の挿し込み側と反対側の端部が配置された角部にポール係止部22を有している。また、シート13は、スリーブ21におけるポール12の挿し込み側の端部が配置された角部にポール固定部23を有している。
【0019】
シート13のドーム屋根部16のスリーブ21に挿通されたポール12は、スリーブ21への挿し込み側の端部がポール係止部22に係止され、スリーブ21への挿し込み側と反対側の端部がポール固定部23に固定されている。これにより、ポール12は、上方へ突出する円弧状に湾曲され、よって、シート13のドーム屋根部16は、ポール12によって支持され、ドーム状に維持される。
【0020】
図2から
図4に示すように、ポール係止部22は、係止帯部31と、連結帯部32と、ハトメ金具33とを有している。
【0021】
係止帯部31は、長尺に形成された厚手の繊維からなる生地や厚手の合成樹脂製テープを二つ折りにして重ね合わせたもので、重ね合わせた両端部分からなる基端部がシート13の角部の固定片13aに縫い付けられてシート13に固定されている。この係止帯部31は、表裏に貫通する挿通孔31aを有している。この係止帯部31は、その先端部に固定ループ41を有し、先端部近傍部分に係止ループ42を有している。テント11は、地面に打ち込んだペグ(図示略)を固定ループ41に係止させることで、地面に固定される。また、テント11は、例えば、フライシート(図示略)などのオプション品を係止ループ42に係止させることで、オプション品を装着可能である。
【0022】
連結帯部32は、長尺に形成された厚手の繊維からなる生地や厚手の合成樹脂製テープであり、係止帯部31に対して直交する向きに重ね合わされた中間部が係止帯部31に固定されている。連結帯部32は、その両端側が上方へ折り返されてスリーブ21における端部近傍に縫い付けられている。スリーブ21の端部には、その外周を覆うように縫い付けられた繊維からなる生地や厚手の合成樹脂製テープである補強スリーブ21aが設けられており、連結帯部32は、この補強スリーブ21aに縫着されて固定されている。この連結帯部32は、表裏に貫通する挿通孔32aを有しており、この挿通孔32aは、係止帯部31の挿通孔31aに連通されている。
【0023】
ハトメ金具33は、スペーサ51と、加締めリング52と、下座金53とを有しており、環状に形成されている。
【0024】
スペーサ51は、中心に孔部51aを有した環状に形成されている。スペーサ51は、その孔部51aが係止帯部31及び連結帯部32の挿通孔31a,32aと連通するように、連結帯部32の上部に配置されている。
【0025】
加締めリング52は、環状に形成されたリング部55と、筒状に形成された加締め筒部56とを有している。加締めリング52は、その加締め筒部56を、スペーサ51の孔部51a、係止帯部31及び連結帯部32の挿通孔31a,32aに挿通させるように、スペーサ51の上方側から装着されている。加締めリング52は、そのリング部55の外縁部分に、スペーサ51側へ突出する外筒部55aを有しており、この外筒部55aがスペーサ51に当接されている。リング部55は、外筒部55aを有する外縁側から加締め筒部56を有する内縁側へ向かって次第にスペーサ51側へ傾斜するすり鉢形状に形成されている。
【0026】
下座金53は、孔部53aを有した環状に形成されている。下座金53は、その孔部53aが、スペーサ51の孔部51a、係止帯部31及び連結帯部32の挿通孔31a,32aに連通するように、係止帯部31の下面側に配置されている。この下座金53の孔部53aにも、加締めリング52の加締め筒部56が挿通されている。加締めリング52の加締め筒部56は、その先端部が加締められて下座金53の裏面側に広げられている。これにより、加締めリング52の加締め筒部56が下座金53を係止する。したがって、係止帯部31及び連結帯部32の互いに重ね合わされた部分に、ハトメ金具33が固定されている。
【0027】
上記のハトメ金具33には、ポール12の端部が係止される。ポール12は、加締めリング52の加締め筒部56の内径よりも大きな外径を有している。ポール12は、その端部に、係止ピン部12aを有している。係止ピン部12aは、加締めリング52の加締め筒部56の内径よりも小さな外径を有している。
【0028】
図1に示すように、ポール固定部23は、固定帯部61と、ハトメ金具62とを有している。固定帯部61は、係止帯部31と同様に、長尺に形成された厚手の繊維からなる生地や厚手の合成樹脂製テープを二つ折りにして重ね合わせたもので、重ね合わせた両端部分からなる基端部がシート13の角部の固定片13aに縫い付けられてシート13に固定されている。この固定帯部61も、その先端部に、地面に打ち込んだペグを係止させる固定ループ41を有し、先端部近傍部分に、フライシートなどのオプション品を係止させる係止ループ42を有している。ハトメ金具62は、固定帯部61に加締められて固定されている。なお、ハトメ金具62は、ポール係止部22のハトメ金具33と同一構成であるので、説明を省略する。
【0029】
テント11を組み立てるべく、シート13のスリーブ21の一方側の端部から挿通されたポール12は、その挿入側の端部の係止ピン部12aがポール係止部22におけるハトメ金具33の加締めリング52の加締め筒部56に挿入される。これにより、ポール12は、その端部がポール係止部22に係止される。ここで、ハトメ金具33のリング部55は、外縁側から内縁側へ向かって次第にスペーサ51側へ傾斜するすり鉢形状に形成されている。つまり、ハトメ金具33は、ポール12の端部の挿入側が、外縁側から内縁側へ向かってポール12の挿入方向へ次第に傾斜するすり鉢形状に形成されている。これにより、ポール12は、その係止ピン部12aがすり鉢形状部分でハトメ金具33の中心に案内されて加締め筒部56へ円滑に挿入される。
【0030】
シート13のドーム屋根部16のスリーブ21に挿通されたポール12は、スリーブ21への挿し込み側と反対側の端部の係止ピン部12aがポール固定部23におけるハトメ金具33の加締めリング52の加締め筒部56に挿入される。これにより、ポール12は、その挿し込み側と反対側の端部がポール固定部23に固定される。したがって、ポール12は、上方へ突出する円弧状に湾曲され、よって、シート13のドーム屋根部16が、ポール12によって支持され、上方へ膨出するドーム状に維持される。
【0031】
このように、本実施形態に係るテント11によれば、係止帯部31と連結帯部32との重ね合わせ箇所に加締められたハトメ金具33にスリーブ21の端部から突出するポール12の端部の係止ピン部12aを挿入して係止させる構造であるので、袋とじ部にポール12を挿し込む構造のように、ポール12と繊維部分に異物が挟まるような不具合を抑制でき、容易に設営することができる。また、ハトメ金具33に挿通されたポール12の端部が岩に接触することとなるので、繊維部分がポール12と岩との間で挟まって損傷するような不具合も抑制できる。しかも、設置面に敷くグランドシートなどのオプション品をポール12の端部に係止させることができるので、オプション品の連結のための別パーツを不要にできる。したがって、別パーツを設けることによるコストアップ、重量増大あるいはオプション品の装着不良などの不具合を招くことなく円滑に設営することができる。
【0032】
また、係止帯部31をシート13の縁部に縫い付け、係止帯部31と連結帯部32との重ね合わせ箇所にハトメ金具33を加締め、連結帯部32をスリーブ21に縫い付けることで容易に製造でき、しかも、ハトメ金具33を容易に交換できる。
【0033】
また、スリーブ21の端部に縫い付けられた厚手の補強スリーブ21aに連結帯部32を縫い付けたので、ポール12の弾性力が作用するポール係止部22の耐久性を高めることができる。
【0034】
また、ハトメ金具33におけるポール12の端部の挿入側が、外縁側から内縁側へ向かってポール12の挿入方向へ次第に傾斜するすり鉢形状に形成されているので、スリーブ21へ挿し込んだポール12の端部をすり鉢形状部分でハトメ金具33の中心へ案内させて円滑に挿入させることができる。これにより、設営のさらなる円滑化が図れる。
【0035】
なお、上記実施形態では、ドーム状の屋根を有するドーム型テントを例にとって説明したが、本発明が適用可能なテントとしては、屋根が上方へ膨出する形状であれば、いかなる形状の屋根を有するものでも良く、例えば、変形ドーム状の屋根や箱型の屋根を有するものであっても良い。
【符号の説明】
【0036】
11 テント
12 ポール
13 シート
16 ドーム屋根部(屋根部)
21 スリーブ
22 ポール係止部
31 係止帯部
32 連結帯部
33 ハトメ金具