特許第6047593号(P6047593)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047593
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】移動端末試験装置とその状態表示方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/06 20090101AFI20161212BHJP
   H04B 17/00 20150101ALI20161212BHJP
【FI】
   H04W24/06
   H04B17/00
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-12795(P2015-12795)
(22)【出願日】2015年1月26日
(65)【公開番号】特開2016-139879(P2016-139879A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2015年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 絢也
(72)【発明者】
【氏名】松山 泰之
(72)【発明者】
【氏名】石田 太郎
【審査官】 深津 始
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−048330(JP,A)
【文献】 特開2013−012925(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/181821(WO,A1)
【文献】 特許第5878900(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 −H04B 7/26
H04B 17/00 −H04B 17/40
H04W 4/00 −H04W 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信の基地局を擬似して移動体通信端末(2)を試験する移動端末試験装置(1)であって、
前記移動体通信の基地局を擬似する複数の疑似基地局部(18−1、2、3)と、
画像を表示する表示部(12)と、
前記表示部に状態表示画像を表示させる制御部(14)と、を備え、
前記制御部は、前記複数の疑似基地局部ごとにそれぞれの疑似基地局部が使用するバンドの番号及び報知情報に設定されているMFBIの情報とともに前記移動体通信端末の周波数バンドの情報として接続中の周波数バンド番号と使用可能な周波数バンド番号を前記状態表示画像に表示させる移動端末試験装置。
【請求項2】
移動体通信の基地局を擬似する複数の疑似基地局部(18−1、2、3)を備えて移動体通信端末を試験する移動端末試験装置の状態表示方法であって、
前記複数の疑似基地局部ごとにそれぞれの疑似基地局部が使用するバンドの番号及び報知情報に設定されているMFBIの情報とともに前記移動体通信端末の周波数バンドの情報として接続中の周波数バンド番号と使用可能な周波数バンド番号を表示するステップを備えた状態表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信端末の試験を行なう移動端末試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデータ通信端末等の移動体通信端末を開発した場合、この開発した移動体通信端末が正常に通信を行なえるか否かを試験する必要がある。このため、実際の基地局の機能を擬似する擬似基地局として動作する試験装置に試験対象の移動体通信端末を接続し、試験装置と移動体通信端末との間で通信を行なわせ、この通信の内容を確認する試験を行なっている。
【0003】
この試験装置は、予め生成された試験シナリオ(以下、単にシナリオと記す)に従って動作する。このシナリオには、試験装置の動作の設定や移動体通信端末との通信シーケンスなどが設定されている。シナリオは、実施する試験項目ごとに作成する必要があり、シナリオ作成者がシナリオ生成装置や試験装置を用いて各種のシナリオを作成する。このようなシナリオ生成装置が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−199085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、無線通信方式のLTE(Long Term Evolution)の規格では、通信に使用する周波数帯域である周波数バンド(以下、単に「バンド」とも記す)が複数決められており、それぞれのバンドが通信事業者に割り当てられ、使用されている。基地局は、所属する通信事業者に割り当てられたバンドを使って通信可能になっている。基地局は、通信に使用する1つのバンドを、報知情報に設定して移動体通信端末に常に通知している。
【0006】
この複数のバンドの中には、使用する周波数帯域が重複するバンドが存在する。周波数帯域が重複するバンドの1つを通信に使用する基地局では、重複している周波数帯域であれば、所属する通信事業者に割り当てられていないバンドを使用する移動体通信端末でも通信することができる。このように、重複しているバンドの通信も可能なようにすれば、基地局の使用するバンドを使用できない移動体通信端末でも通信を行なうことができるようになり、利便性が向上する。
【0007】
このような機能を実現させるためには、基地局がどのバンドでの通信が可能かを移動体通信端末が知ることが必要となる。このため、LTEの規格では、報知情報に通信可能なバンド情報としてMFBI(Multi Frequency Band Indicator)を設定するようにしている。
【0008】
このMFBIを使用する試験を行なう場合、報知情報のMFBIの内容や、試験対象の移動体通信端末の使用可能なバンドや、移動体通信端末が接続中のバンドなどが分からないと、目的の試験の実行や目的の試験を実行できたかの確認などが容易に行なえなかった。
【0009】
そこで、本発明は、試験の実行や試験の確認を容易に行なわせることができる移動端末試験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の移動端末試験装置は、移動体通信の基地局を擬似して移動体通信端末を試験する移動端末試験装置であって、移動体通信の基地局を擬似する複数の疑似基地局部と、画像を表示する表示部と、表示部に状態表示画像を表示させる制御部と、を備え、制御部は、複数の疑似基地局部ごとにそれぞれの疑似基地局部が使用するバンドの番号及び報知情報に設定されているMFBIの情報とともに移動体通信端末の周波数バンドの情報として接続中の周波数バンド番号と使用可能な周波数バンド番号を状態表示画像に表示させるものである。
【0011】
この構成により、複数の疑似基地局部ごとにそれぞれの疑似基地局部の情報と移動体通信端末の周波数バンドの情報が表示部に表示される。このため、複数の疑似基地局部ごとにそれぞれの疑似基地局部の情報と移動体通信端末の情報を共に表示することにより、試験の実行や試験の確認を容易に行なわせることができる。
【0018】
また、本発明の状態表示方法は、移動体通信の基地局を擬似する複数の疑似基地局部を備えて移動体通信端末を試験する移動端末試験装置の状態表示方法であって、複数の疑似基地局部ごとにそれぞれの疑似基地局部が使用するバンドの番号及び報知情報に設定されているMFBIの情報とともに移動体通信端末の周波数バンドの情報として接続中の周波数バンド番号と使用可能な周波数バンド番号を表示するステップを備えたものである。
【0019】
この構成により、複数の疑似基地局部ごとにそれぞれの疑似基地局部の情報と移動体通信端末の情報が表示される。このため、複数の疑似基地局部ごとにそれぞれの疑似基地局部の情報と移動体通信端末の情報を共に表示することにより、試験の実行や試験の確認を容易に行なわせることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、試験の実行や試験の確認を容易に行なわせることができる移動端末試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のMFBI情報設定画面を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のLTEバンドの周波数帯域を示す表である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のLTEバンドの重複バンドを示す表である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のLTEバンドのサポートバンド幅を示す表である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の擬似基地局の状態表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1において、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置1は、擬似基地局として同軸ケーブル等を介して有線で移動体通信端末2と無線信号を送受信するようになっている。
【0023】
移動端末試験装置1は、操作部11と、表示部12と、表示制御部13と、制御部14と、シナリオ生成部15と、記憶部16と、シナリオ処理部17と、擬似基地局部18−1〜3と、結合器19とを含んで構成されている。
【0024】
操作部11は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力機器で構成され、操作入力されたシナリオの生成に必要な情報などを表示制御部13に出力する。表示部12は、液晶ディスプレイ等の画像表示機器で構成され、シナリオの生成に必要な情報を入力させる画像や試験中の状態を示す画像などを表示する。
【0025】
表示制御部13は、表示部12に表示させる画像を生成して表示させるものであり、制御部14の指示により画像の生成と表示の制御を行なうようになっている。また、表示制御部13は、操作部11に入力された情報に基づいて表示部12の表示を変更させたり、操作部11に入力された情報を制御部14に送信したりする。
【0026】
制御部14は、操作部11に入力された指示に従って、シナリオの作成画面を表示制御部13により表示部12に表示させてシナリオの生成に必要な情報を入力させたり、シナリオの作成画面で操作部11に入力された情報をシナリオ生成部15に送信してシナリオを生成させたりする。また、制御部14は、操作部11に入力された指示に従って、シナリオ処理部17に指示を送信して記憶部16に記憶されたシナリオに基づいて試験を実行させたり、シナリオ処理部17から送信される擬似基地局部18−1〜3の状態や移動体通信端末2との通信の状態などの情報に基づいて表示制御部13により表示部12に試験中の状態などを表示させたりする。
【0027】
シナリオ生成部15は、制御部14から送信されたシナリオ生成のための情報に基づいて、移動体通信端末2を試験するためのシナリオを生成する。このシナリオには、擬似基地局部18−1〜3の動作の設定や、移動体通信端末2との通信シーケンスが設定される。シナリオ生成部15は、シナリオ生成のための情報に基づいて擬似基地局部18−1〜3から送信する送信情報を生成する送信情報生成部150を備えている。
【0028】
送信情報生成部150は、シナリオ生成のための情報に基づいて擬似基地局部18−1〜3の報知情報や位置登録処理における送信情報などを生成する。送信情報生成部150は、報知情報を生成する報知情報生成部151を備えている。
【0029】
報知情報生成部151は、例えば、個別に設定された擬似基地局部18−1〜3の擬似する基地局の動作の設定の情報に基づいて、報知情報を生成する。また、報知情報生成部151は、擬似基地局部18−1〜3の擬似する基地局のセル配置の情報に基づいて、報知情報の隣接セルの情報などを自動的に生成する。
【0030】
記憶部16は、ハードディスク装置やフラッシュメモリで構成され、シナリオ生成部15で生成された各種のシナリオを記憶する。
【0031】
シナリオ処理部17は、制御部14からの指示により、記憶部16に記憶されているシナリオを読み出して、そのシナリオに基づいて擬似基地局部18−1〜3に、報知情報を送信させたり、移動体通信端末2との間で通信シーケンスを実行させたりする。
【0032】
擬似基地局部18−1〜3は、シナリオ処理部17の指示により、移動体通信端末2との間で無線信号を送受信する。
【0033】
結合器19は、擬似基地局部18−1〜3の送信する無線信号を結合して移動体通信端末2に送信する。また、結合器19は、移動体通信端末2から受信した信号を擬似基地局部18−1〜3それぞれに送信する。
【0034】
ここで、移動端末試験装置1は、移動体通信端末2と通信を行なうための通信モジュールが設けられた図示しないコンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートと、タッチパネルとを有する。
【0035】
このコンピュータ装置のROM及びハードディスク装置には、コンピュータ装置を移動端末試験装置1として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、移動端末試験装置1として機能する。
【0036】
このように、本実施の形態において、記憶部16は、RAM又はハードディスク装置によって構成され、表示制御部13、制御部14、シナリオ生成部15及びシナリオ処理部17は、CPUによって構成され、擬似基地局部18−1〜3は、通信モジュールによって構成される。
【0037】
このような構成の移動端末試験装置1において、移動体通信端末2の試験を行なう場合、まず、ユーザにより試験に使用するシナリオの作成が行なわれる。制御部14は、ユーザによる操作部11の操作によりシナリオの作成の機能が選択されると、例えば、表示部12にシナリオ作成画面を表示させて、擬似基地局部18−1〜3で擬似する基地局の情報や実行させたいシーケンスなどを設定させる。
【0038】
ユーザは、目的の試験に合わせて各種情報を基地局ごとに設定する。制御部14は、設定された情報をシナリオ生成部15に送信して擬似基地局のシナリオを生成させる。シナリオ生成部15は、制御部14から受信した情報に基づいて、報知情報やシーケンス情報などを生成し、擬似基地局のシナリオとして識別情報と関連付けて記憶部16に記憶させる。
【0039】
また、ユーザは、複数の基地局を使った試験を行なう場合、基地局のセルの配置を設定する。制御部14は、設定されたセル配置の情報をシナリオ生成部15に送信してセル配置のシナリオを生成させる。シナリオ生成部15は、制御部14から受信したセル配置の情報に基づいて、使用すると設定された擬似基地局のシナリオの報知情報の隣接セルの情報などを自動的に生成し、セル配置のシナリオとして使用する擬似基地局のシナリオと識別情報と関連付けて記憶部16に記憶させる。
【0040】
このようなシナリオの作成をした後、ユーザは、移動端末試験装置1と移動体通信端末2とを有線で接続し、使用する擬似基地局のシナリオまたはセル配置のシナリオを選択する。
【0041】
制御部14は、選択された擬似基地局のシナリオまたはセル配置のシナリオの識別情報をシナリオ処理部17に通知し、シナリオ処理部17にシナリオを実行させる。
【0042】
シナリオ処理部17は、通知された識別情報に関連付けられたシナリオを記憶部16から読み出し、読み出したシナリオに基づいて擬似基地局部18−1〜3に報知情報の内容や位置登録処理における送信情報などを通知し、擬似基地局としての動作を開始させる。
【0043】
また、シナリオ処理部17は、シナリオの実行を開始すると、シナリオを実行している擬似基地局部18−1〜3の状態を制御部14に通知するようになっている。
【0044】
制御部14は、シナリオ処理部17から擬似基地局部18−1〜3の状態の情報を受信すると、表示制御部13により表示部12に擬似基地局部18−1〜3の状態や移動体通信端末2の接続状態などを表示させる。
【0045】
使用する擬似基地局のシナリオを選択した後、ユーザは、移動体通信端末2の電源を入れるなどして位置登録を行なわせ、移動端末試験装置1側で位置登録が正常に行なわれたかを確認する。
【0046】
制御部14は、位置登録が行なわれた状態で、ユーザによる操作部11の操作により擬似基地局のシナリオに設定されたシーケンスの実行の操作が行なわれると、シナリオ処理部17に指定されたシーケンスの実行を指示する。
【0047】
シナリオ処理部17は、制御部14からシーケンスの実行の指示を受信すると、指定されたシーケンスの情報に基づいて各擬似基地局部18−1〜3から無線信号を送信させたり、移動体通信端末2から受信した無線信号に対する無線信号を各擬似基地局部18−1〜3から送信させたりする。
【0048】
このような移動端末試験装置1において、操作部11の操作によりMFBIの情報の設定が選択された場合、制御部14は、表示制御部13により表示部12に図2に示すような画面を表示させ操作部11の操作によりMFBIの情報を設定させる。
【0049】
図2において、バンドドロップダウンリスト101は、擬似する基地局で使用するバンドを設定させるものである。制御部14は、バンドドロップダウンリスト101で選択されたバンドでMFBIに指定できるバンドをMFBIチェックボックス102−0〜3として表示させる。
【0050】
また、制御部14は、バンドドロップダウンリスト101で選択されたバンドの周波数帯域の周波数上の位置を、例えば、色付きでバンド表示部105に表示させる。さらに、制御部14は、MFBIに指定できるバンドの周波数帯域の周波数上の位置を、バンド表示部105に表示させたバンドの周波数帯域との周波数上の位置関係が分かるようにMFBI表示部106に表示させる。つまり、制御部14は、擬似する基地局で使用すると選択されたバンドと、MFBIに指定できるバンドの周波数の重複している部分が分かるように表示する。
【0051】
図2では、使用するバンドとしてバンド5が選択された場合を示している。バンド5の周波数帯域はLTEの規格で図3のように決められており、バンド5と周波数帯域が重複しているバンドは、図4に示すようにバンド18、19、26がある。制御部14は、このバンド18、19、26をMFBIとして指定できるバンドとしてMFBI表示部106に表示させる。
【0052】
MFBIチェックボックス102−0〜3は、MFBIに指定するバンドを選択させるものである。MFBIチェックボックス102−0がチェックされると、制御部14は、MFBIとしてバンド18、19、26を設定する。MFBIチェックボックス102−1〜3がチェックされると、制御部14は、それぞれバンド18、19、26を個別にMFBIに設定する。
【0053】
制御部14は、MFBIチェックボックス102−0〜3で選択されたバンドについて、MFBI表示部106の周波数帯域を選択されていないバンドと異なる画像で、例えば、色付きで表示させる。これにより、MFBIに選択されたバンドの周波数帯域を視覚的に確認することができる。
【0054】
図2では、MFBIチェックボックス102−1、2がチェックされ、バンド18、19が選択されているので、MFBI表示部106のバンド18、19の周波数帯域は色付きで表示されているが、バンド26の周波数帯域には色がついていない。なお、バンド表示部105の周波数帯域の色と、MFBI表示部106の周波数帯域の色を、異なる色とすると、使用するバンドとMFBIのバンドとの区別がつきやすくなる。
【0055】
バンド幅ドロップダウンリスト103は、擬似する基地局で通信に使用する周波数帯域の幅を設定させるものである。バンド幅は、バンドごとに対応するか否かが図5に示すように決まっている。図2で示したバンド幅「3MHz」は、バンド5では対応しているが、バンド18、19では、対応していない。このように、バンド幅ドロップダウンリスト103で選択されたバンド幅が、MFBIチェックボックス102−0〜3で選択されたバンドで対応していない場合、制御部14は、MFBI表示部106の対応バンドの部分に、バンド幅警告表示111を表示させる。
【0056】
中心周波数スライダー104は、使用する周波数帯域の中心周波数を設定させるものである。制御部14は、中心周波数スライダー104が左に行くほど中心周波数を低くし、中心周波数スライダー104が右に行くほど中心周波数を高くする。
【0057】
制御部14は、中心周波数スライダー104の位置に対応した周波数とチャネル番号を、周波数表示部107及びチャンネル番号表示部108に表示させる。
【0058】
また、制御部14は、バンド表示部105及びMFBI表示部106の周波数帯域を表示している部分の中心周波数スライダー104の位置に対応した周波数の位置に、中心周波数バー109及び周波数帯域枠110を表示させる。
【0059】
制御部14は、中心周波数スライダー104の動きに対応して、中心周波数スライダー104の位置に対応した周波数の位置に中心周波数バー109を移動させ、中心周波数スライダー104と一緒に周波数帯域枠110も移動させる。制御部14は、バンド幅ドロップダウンリスト103で選択されたバンド幅に対応して周波数帯域枠110の幅を変えて表示させる。
【0060】
図2のバンド18のように、中心周波数スライダー104で指定された中心周波数はバンドの周波数帯域内に入っているが、中心周波数からバンド幅ドロップダウンリスト103で選択されたバンド幅の両端のどちらかがバンドの周波数帯域から外れている場合、制御部14は、MFBI表示部106の対応バンドの部分に、バンド幅帯域外警告表示112を表示させる。
【0061】
また、図2のバンド19のように、中心周波数スライダー104で指定された中心周波数がバンドの周波数帯域内に入っていない場合、制御部14は、MFBI表示部106の対応バンドの部分に、中心周波数帯域外警告表示113を表示させる。
【0062】
このように、バンド表示部105及びMFBI表示部106に、使用するバンドの周波数帯域とMFBIとして指定可能なバンドの周波数帯域を表示しているため、視覚的に各バンドの周波数の重複部分を確認させることができ、MFBIの設定を容易に行なわせることができる。
【0063】
また、各バンドの周波数帯域の表示に重ねて、中心周波数バー109と周波数帯域枠110を表示しているため、使用しようとしている中心周波数と周波数帯域幅が各バンドをどのようにカバーしているかを視覚的に確認させることができ、MFBIの設定を容易に行なわせることができる。
【0064】
また、バンド幅ドロップダウンリスト103で選択されたバンド幅に対応して周波数帯域枠110の幅を変えて表示しているため、周波数帯域幅を視覚的に確認させることができ、MFBIの設定を容易に行なわせることができる。
【0065】
また、バンドドロップダウンリスト101で選択された周波数バンドに対応するMFBIで設定可能なバンドをMFBIチェックボックス102−0〜3に表示しているため、MFBIのバンドを調べることなく設定させることができ、MFBIの設定を容易に行なわせることができる。
【0066】
また、バンド幅ドロップダウンリスト103で選択されたバンド幅がMFBIに設定すると選択されたバンドで対応していない場合、バンド幅警告表示111を表示しているため、バンド幅が対応されていないことを容易に確認させることができる。
【0067】
また、中心周波数スライダー104で指定された中心周波数はバンドの周波数帯域内に入っているが、中心周波数からバンド幅ドロップダウンリスト103で選択されたバンド幅の両端のどちらかがバンドの周波数帯域から外れている場合、バンド幅帯域外警告表示112を表示しているため、使用しようとしている周波数帯域がバンドの周波数帯域外になっていることを容易に確認させることができる。
【0068】
また、中心周波数スライダー104で指定された中心周波数がバンドの周波数帯域内に入っていない場合、中心周波数帯域外警告表示113を表示しているため、中心周波数がバンドの周波数帯域外になっていることを容易に確認させることができる。
【0069】
なお、図2では、ダウンリンク(移動端末試験装置1から移動体通信端末2に向かうリンク)の設定の画面を示したが、アップリンク(移動体通信端末2から移動端末試験装置1に向かうリンク)の設定の場合も同様に実施できる。
【0070】
制御部14は、図2に示すような画面により設定されたMFBIの情報、例えば、使用するバンド、中心周波数、バンド幅、MFBIに設定するバンドなどを含む擬似基地局のシナリオ情報をシナリオ生成部15に送信する。
【0071】
シナリオ生成部15の報知情報生成部151は、受信した擬似基地局のシナリオ情報に基づいて、関連する報知情報、例えば、System Information Block Type1、System Information Block Type2などにMFBIの情報などを生成して設定する。
【0072】
シナリオ生成部15は、このようにして生成された擬似基地局のシナリオを、例えば、ユーザに入力された識別情報により識別可能に記憶部16に記憶させる。
【0073】
このようにして作成した擬似基地局のシナリオのセル配置の設定を行なう場合、ユーザは、操作部11の操作により、セル配置の設定を選択する。
【0074】
制御部14は、ユーザの操作部11への操作によりセル配置の設定が選択されると、記憶部16に記憶されている擬似基地局のシナリオの、例えば、識別情報を読み出し、一覧にして表示部12に表示させ、セル配置の設定を行なう擬似基地局のシナリオの選択を行なわせるメッセージを表示させる。
【0075】
制御部14は、ユーザの操作部11への操作によりセル配置の設定を行なう擬似基地局のシナリオが選択されると、例えば、表示部12に選択された擬似基地局のシナリオに対応したセルのアイコンを表示させ、ユーザの操作部11への操作によりアイコンの位置を変えさせてアイコンの位置によりセル配置の設定を行なわせる。
【0076】
制御部14は、ユーザの操作部11への操作によりセル配置の設定の完了が選択されると、表示部12に表示されたアイコンの位置からセルの隣接関係を判定し、セル配置の情報を生成して、セル配置の情報と選択された擬似基地局のシナリオの識別情報をシナリオ生成部15に送信する。また、制御部14は、セル配置の情報と選択された擬似基地局のシナリオの識別情報をセル配置のシナリオとして、例えば、ユーザに入力された識別情報により識別可能に記憶部16に記憶させる。
【0077】
シナリオ生成部15は、制御部14からセル配置の情報と選択された擬似基地局のシナリオの識別情報を受信すると、セル配置の情報に基づいて擬似基地局のシナリオの報知情報を報知情報生成部151により生成させる。
【0078】
報知情報生成部151は、セル配置の情報に基づいて、関連する報知情報、例えば、System Information Block Type5などにMFBIの情報などを生成して設定する。
【0079】
また、報知情報生成部151は、隣接するセルが異なる無線システム(InterRAT(Radio Access Technology))である場合でも、System Information Block Type19(W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access),TD-SCDMA(Time Division-Synchronous Code Division Multiple Access))、System Information 2 quarter(GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)/GPRS(General Packet Radio Service)) 、Alternative Technologies Information Message(CDMA2000 1X)、OtherRATNeighbourList Message(CDMA2000 1x EV-DO)などにMFBIの情報を生成して設定する。
【0080】
シナリオ生成部15は、生成された報知情報により、記憶部16に記憶している擬似基地局シナリオを変更する。
【0081】
このようにして生成したシナリオを使用する場合、ユーザは、操作部11の操作により、例えば、シナリオの設定を選択する。
【0082】
制御部14は、ユーザの操作部11への操作によりシナリオの設定が選択されると、記憶部16に記憶されている擬似基地局のシナリオ及びセル配置のシナリオの、例えば、識別情報を読み出し、一覧にして表示部12に表示させ、設定するシナリオの選択を行なわせるメッセージを表示させる。
【0083】
制御部14は、ユーザの操作部11への操作により擬似基地局のシナリオが選択されると、選択された擬似基地局のシナリオの識別情報をシナリオ処理部17に送信する。
【0084】
シナリオ処理部17は、制御部14から擬似基地局のシナリオの識別情報を受信すると、記憶部16から識別情報に対応する擬似基地局のシナリオを読み出し、擬似基地局部18−1に擬似基地局のシナリオに従った処理を行なわせる。
【0085】
また、制御部14は、ユーザの操作部11への操作によりセル配置のシナリオが選択されると、選択されたセル配置のシナリオの識別情報をシナリオ処理部17に送信する。
【0086】
シナリオ処理部17は、制御部14からセル配置のシナリオの識別情報を受信すると、記憶部16から識別情報に対応するセル配置のシナリオを読み出し、セル配置のシナリオに関連付けられた擬似基地局のシナリオの識別情報から擬似基地局のシナリオを読み出し、擬似基地局のシナリオの数に対応した擬似基地局部18−1〜3に擬似基地局のシナリオに従った処理を行なわせる。
【0087】
このようにシナリオが設定され、擬似基地局部18−1〜3による処理が開始されると、擬似基地局部18−1〜3は、擬似している基地局の情報や接続されている移動体通信端末2の情報をシナリオ処理部17に送信する。
【0088】
擬似基地局部18−1〜3は、送信している報知情報の内容や送受信している無線信号の状態などから擬似している基地局の情報を生成してシナリオ処理部17に送信する。また、擬似基地局部18−1〜3は、移動体通信端末2との間で送受信する制御信号などから移動体通信端末2の情報を生成してシナリオ処理部17に送信する。
【0089】
シナリオ処理部17は、擬似基地局部18−1〜3から受信した擬似基地局の情報や接続されている移動体通信端末2の情報を、それぞれの擬似基地局部18−1〜3を識別する識別情報を付けて制御部14に送信する。
【0090】
制御部14は、シナリオ処理部17から擬似基地局の情報や接続されている移動体通信端末2の情報を受信すると、擬似基地局部18−1〜3ごとに図6に示すような状態表示画面を表示部12に表示させる。
【0091】
図6において、制御部14は、バンド表示部201に、擬似基地局部18−1〜3の使用するバンドの番号を表示させる。制御部14は、MFBI表示部202には、報知情報に設定されているMFBIの情報を表示させる。
【0092】
また、制御部14は、移動体通信端末2の情報として、接続バンド表示部203に、移動体通信端末2が接続中のバンド番号を表示させる。制御部14は、接続チャンネル表示部204に、移動体通信端末2が接続中のチャンネル番号を表示させる。制御部14は、サポートバンド表示部205に、移動体通信端末2が使用可能なバンド番号を表示させる。
【0093】
このように、移動体通信端末2の接続バンドや使用可能なバンドなどを表示部12に表示しているため、移動体通信端末2の状態を容易に把握させることができ、試験の実行を容易に行なわせることができる。
【0094】
例えば、図6に示すように、移動体通信端末2のサポートバンドが4と18であり、擬似基地局のバンドが5でMFBIが18、19であることが分かると、ハンドオーバー先としてバンド18のチャンネルを指定してハンドオーバーが正常に終了することで、ハンドオーバーの正常試験を容易に実行し、確認することができる。
【0095】
また、ハンドオーバー先として移動体通信端末2がサポートしていないバンド5のチャンネルを指定してハンドオーバーができないことで、準正常の試験を容易に実行し、確認することができる。
【0096】
このように、上述の実施形態では、擬似基地局部18−1〜3による処理が開始されると、表示部12に擬似する基地局ごとに接続中の移動体通信端末2の周波数バンドの情報を表示させる制御部14を備える。
【0097】
これにより、擬似する基地局と接続中の移動体通信端末2の情報が表示部12に表示される。このため、擬似する基地局と接続中の移動体通信端末2の情報を容易に確認させることができ、試験の実行や試験の確認を容易に行なわせることができる。
【0098】
また、制御部14は、移動体通信端末2の情報として移動体通信端末2が接続中の周波数バンドを接続バンド表示部203に表示させる。
【0099】
これにより、移動体通信端末2が接続中の周波数バンドが表示部12に表示される。このため、移動体通信端末2が接続中の周波数バンドを容易に確認させることができ、試験の実行や試験の確認を容易に行なわせることができる。
【0100】
また、制御部14は、移動体通信端末2の情報として移動体通信端末2が使用可能な周波数バンドをサポートバンド表示部205に表示させる。
【0101】
これにより、移動体通信端末2が使用可能な周波数バンドが表示部12に表示される。このため、移動体通信端末が使用可能な周波数バンドを容易に確認させることができ、試験の実行や試験の確認を容易に行なわせることができる。
【0102】
また、制御部14は、移動体通信端末2の情報とともに、擬似する基地局のMFBIの情報をMFBI表示部202に表示させる。
【0103】
これにより、擬似する基地局のMFBIの情報が表示部12に表示される。このため、擬似する基地局のMFBIの情報を容易に確認させることができ、試験の実行や試験の確認を容易に行なわせることができる。
【0104】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0105】
1 移動端末試験装置
2 移動体通信端末
11 操作部
12 表示部
13 表示制御部
14 制御部
15 シナリオ生成部
16 記憶部
17 シナリオ処理部
18−1〜3 擬似基地局部
19 結合器
図1
図2
図3
図4
図5
図6