特許第6047595号(P6047595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6047595給紙装置、およびこれを備えた画像読取装置、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047595
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】給紙装置、およびこれを備えた画像読取装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/56 20060101AFI20161212BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   B65H3/56 330S
   B65H3/06 340E
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-16996(P2015-16996)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2016-141504(P2016-141504A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2016年6月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100178582
【弁理士】
【氏名又は名称】行武 孝
(72)【発明者】
【氏名】岡田 誠司
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−234061(JP,A)
【文献】 特開2004−307151(JP,A)
【文献】 特開2003−306234(JP,A)
【文献】 特開2003−040460(JP,A)
【文献】 特開昭62−051521(JP,A)
【文献】 特開平09−124170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00− 3/68
B41J 11/00−13/32
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に配置され、シートが積載されるシート積載部と、
前記筐体に支持され、前記シート積載部に積載される前記シートを所定の搬送方向に給送する給紙ユニットと、
前記筐体に配置されるロック機構と、
連動機構と、
を有し、
前記給紙ユニットは、
第1軸部を備え、前記シート積載部に積載される前記シートに当接する給紙位置と、前記シートから離間する非給紙位置との間で位置変更可能とされ、前記第1軸部回りに回転駆動され、前記シートを前記搬送方向に送り出すピックアップローラーと、
第2軸部を備え、前記ピックアップローラーよりも前記搬送方向下流側に配置され、前記第2軸部回りに回転駆動され、前記シートを前記搬送方向に更に搬送する給紙ローラーと、
側壁と、前記側壁と交差し前記給紙ローラーの上方を覆う上面部と、前記上面部から上方に突設される係合突起とを備え、前記ピックアップローラーを回転可能に支持し、かつ、前記第2軸部回りに回動されることで、前記ピックアップローラーを前記給紙位置に配置させる第1の位置と、前記ピックアップローラーを前記非給紙位置に配置させる第2の位置との間で位置変更可能なホルダーと、
前記ホルダーの前記側壁に揺動可能に支持され、前記ホルダーの前記第2の位置に対応して前記シート積載部に積載される前記シートが前記給紙ローラー側に進入することを規制する規制状態と、前記ホルダーの前記第1の位置に対応して前記シートが前記給紙ローラー側に進入することを許容する許容状態との間で状態変更が可能なストッパーと、
を有し、
前記ロック機構は、前記筐体に回転可能に軸支された係止軸と、前記係止軸から延設される係止片と、を備え、前記係止軸回りに回動可能とされ、非給紙時に前記ホルダーが前記第1の位置から前記第2の位置に移動すると、前記係止片が前記係合突起と係合することで、前記ホルダーを前記第2の位置にロックし、
前記連動機構は、
突起部を備え、前記第2軸部に軸支され回転可能なカム部材と、
前記係止片と軸方向に間隔をおいて前記係止軸から突設され、一端部が前記係止軸に支持され、他端部が前記カム部材に当接し、前記係止軸回りに揺動可能な被押上部と、
を備え、前記給紙ローラーの回転に連動して、前記ロック機構による前記ホルダーのロック状態を解除するとともに、前記ホルダーを前記第2の位置から前記第1の位置に移動させ、
前記第2軸部が回転されると、前記カム部材の前記突起部が前記被押上部を上方に押し上げることで、前記ロック機構が前記係止軸回りに回動され、前記係止片と前記係合突起との係合が解除される給紙装置。
【請求項2】
前記連動機構は、更に、
前記ホルダーに配置された壁部と、
一端が前記カムに固定され、他端が前記壁部に当接可能とされ、前記第2軸部回りに配置されたねじりばねと、
を備え、
前記第2軸部が回転されると、前記ねじりばねの前記他端が前記壁部を押圧することで、前記ホルダーが前記第2軸部回りに回動されながら前記第2の位置から前記第1の位置に移動される請求項に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記第2軸部を回転させる駆動力を発生する駆動部と、
前記駆動部と前記第2軸部との間に配置され、前記駆動力の前記第2軸部への伝達と前記伝達の解除とを切り替えるクラッチと、
を更に有する請求項1または2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記給紙ユニットに向かって突設される被当接部を備え、
前記ストッパーは、
前記ホルダーの前記側壁に回動可能に軸支される支点部と、
前記支点部から下方に延設され、前記シートを規制可能な規制部と、
前記支点部から上方に延設される当接部と、
を備え、
前記ホルダーが前記第2の位置に移動されると、前記当接部が前記被当接部に当接することで、前記ストッパーの前記支点部回りの回動が規制され、前記ストッパーが前記規制状態とされる請求項1乃至の何れか1項に記載の給紙装置。
【請求項5】
原稿としての前記シートを搬送する請求項1乃至の何れか1項に記載の給紙装置と、
前記シートの原稿画像を読み取る読取部と、
を有する画像読取装置。
【請求項6】
請求項に記載の画像読取装置と、
前記読取部によって読み取られた前記原稿画像に応じて、シートに画像を形成する画像形成部と、
を有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置、およびこれを備えた画像読取装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給紙装置として、画像形成装置の画像読取装置に配置される自動原稿給紙装置が知られている。このような自動原稿給紙装置では、積載される複数枚の原稿(原稿束)に対向して、給紙ユニットが配置される。給紙ユニットは、ピックアップローラーと、給紙ローラーと、を備える。ピックアップローラーが原稿を送り出すと、給紙ローラーによって最も上方に位置する1枚の原稿がシート搬送方向下流側に搬送される。
【0003】
特許文献1には、ピックアップローラーと給紙ローラーとの間のシート搬送路に突出され、原稿載置時に、原稿が給紙ローラーの周辺に進入することを防止するストッパー部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−199584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような技術では、原稿が強く押し込まれた場合でもストッパー部材が原稿を規制することができるように、複雑なリンク機構が設けられる。また、給紙ローラーに伝達される回転駆動力によって、ストッパー部材が規制位置と非規制位置との間で移動される。この場合、所定のクラッチによって給紙ローラーへの回転駆動力の伝達が遮断されると、ストッパー部材の位置が不安定となり、原稿の規制機能が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、給紙装置、およびこれを備える画像読取装置、画像形成装置において、シートの進入を規制するストッパーの規制力を安定して維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る給紙装置は、筐体と、前記筐体に配置され、シートが積載されるシート積載部と、前記筐体に支持され、前記シート積載部に積載される前記シートを所定の搬送方向に給送する給紙ユニットと、前記筐体に配置されるロック機構と、連動機構と、を有し、前記給紙ユニットは、第1軸部を備え、前記シート積載部に積載される前記シートに当接する給紙位置と、前記シートから離間する非給紙位置との間で位置変更可能とされ、前記第1軸部回りに回転駆動され、前記シートを前記搬送方向に送り出すピックアップローラーと、第2軸部を備え、前記ピックアップローラーよりも前記搬送方向下流側に配置され、前記第2軸部回りに回転駆動され、前記シートを前記搬送方向に更に搬送する給紙ローラーと、側壁と、前記側壁と交差し前記給紙ローラーの上方を覆う上面部と、前記上面部から上方に突設される係合突起とを備え、前記ピックアップローラーを回転可能に支持し、かつ、前記第2軸部回りに回動されることで、前記ピックアップローラーを前記給紙位置に配置させる第1の位置と、前記ピックアップローラーを前記非給紙位置に配置させる第2の位置との間で位置変更可能なホルダーと、前記ホルダーの前記側壁に揺動可能に支持され、前記ホルダーの前記第2の位置に対応して前記シート積載部に積載される前記シートが前記給紙ローラー側に進入することを規制する規制状態と、前記ホルダーの前記第1の位置に対応して前記シートが前記給紙ローラー側に進入することを許容する許容状態との間で状態変更が可能なストッパーと、を有し、前記ロック機構は、前記筐体に回転可能に軸支された係止軸と、前記係止軸から延設される係止片と、を備え、前記係止軸回りに回動可能とされ、非給紙時に前記ホルダーが前記第1の位置から前記第2の位置に移動すると、前記係止片が前記係合突起と係合することで、前記ホルダーを前記第2の位置にロックし、前記連動機構は、突起部を備え、前記第2軸部に軸支され回転可能なカム部材と、前記係止片と軸方向に間隔をおいて前記係止軸から突設され、一端部が前記係止軸に支持され、他端部が前記カム部材に当接し、前記係止軸回りに揺動可能な被押上部と、を備え、前記給紙ローラーの回転に連動して、前記ロック機構による前記ホルダーのロック状態を解除するとともに、前記ホルダーを前記第2の位置から前記第1の位置に移動させ、前記第2軸部が回転されると、前記カム部材の前記突起部が前記被押上部を上方に押し上げることで、前記ロック機構が前記係止軸回りに回動され、前記係止片と前記係合突起との係合が解除される
【0008】
本構成によれば、ピックアップローラーが給紙位置に配置されると、ピックアップローラーおよび給紙ローラーの回転によって、シート積載部のシートが給紙される。ピックアップローラーはホルダーに支持され、ホルダーの回動によって、給紙位置と非給紙位置との間を移動される。ストッパーは、ホルダーの第2の位置に対応した規制状態において、シート積載部に積載されるシートが給紙ローラー側に進入することを規制する。ホルダーが第2の位置において不安定に配置された場合、ストッパーの規制状態が維持されず、ストッパーの規制力が不充分となりやすい。このような場合であっても、上記の構成によれば、ロック機構が非給紙時にホルダーを第2の位置にロックする。このため、非給紙時にストッパーの規制力が安定して維持され、シートが給紙ローラー側に進入することが防止される。また、給紙時にストッパーが許容状態とされることで、シート積載部のシートがピックアップローラーによって給紙ローラー側に安定して送り出される。また、本構成によれば、係止片が係合突起と係合することで、ホルダーが第2の位置に安定してロックされる。また、本構成によれば、給紙時の給紙ローラーの回転に応じて、ホルダーが第1の位置に移動され、ピックアップローラーを給紙位置に移動させることができる。更に、本構成によれば、カムの突起部が被押上部を押し上げることで、ロック機構によるホルダーのロック状態を解除することができる。
【0015】
上記の構成において、前記連動機構は、更に、前記ホルダーに配置された壁部と、一端が前記カムに固定され、他端が前記壁部に当接可能とされ、前記第2軸部回りに配置されたねじりばねと、を備え、前記第2軸部が回転されると、前記ねじりばねの前記他端が前記壁部を押圧することで、前記ホルダーが前記第2軸部回りに回動されながら前記第2の位置から前記第1の位置に移動されることが望ましい。
【0016】
本構成によれば、ねじりばねの回転によって、ホルダーを第2の位置から第1の位置に移動させることができる。
【0017】
上記の構成において、前記第2軸部を回転させる駆動力を発生する駆動部と、前記駆動部と前記第2軸部との間に配置され、前記駆動力の前記第2軸部への伝達と前記伝達の解除とを切り替えるクラッチと、を更に有することが望ましい。
【0018】
本構成によれば、非給紙時に駆動部の駆動力が第2軸部に伝達されず、ホルダーの位置が不安定となりやすい場合であっても、ロック機構がホルダーを第2の位置にロックする。このため、非給紙時にストッパーの規制力が安定して維持される。
【0019】
上記の構成において、前記筐体は、前記給紙ユニットに向かって突設される被当接部を備え、前記ストッパーは、前記ホルダーの前記側壁に回動可能に軸支される支点部と、前記支点部から下方に延設され、前記シートを規制可能な規制部と、前記支点部から上方に延設される当接部と、を備え、前記ホルダーが前記第2の位置に移動されると、前記当接部が前記被当接部に当接することで、前記ストッパーの前記支点部回りの回動が規制され、前記ストッパーが前記規制状態とされることが望ましい。
【0020】
本構成によれば、ホルダーが第2の位置に配置されると、当接部が被当接部に当接することで、ストッパーが規制状態とされる。この際、振動やホルダーの自重によって、ホルダーが第2の位置から下方にずれやすい場合であっても、ロック機構がホルダーを第2の位置にロックしている。このため、非給紙時に、ストッパーの規制力が安定して維持される。
【0021】
本発明の他の局面に係る画像読取装置は、原稿としての前記シートを搬送する上記の何れか1に記載の給紙装置と、前記シートの原稿画像を読み取る読取部と、を有する。
【0022】
本構成によれば、非給紙時に、ストッパーの規制力が安定して維持される。このため、給紙時に、原稿としてのシートが安定して給送されながら、読取部によって原稿画像が読み取られる。
【0023】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記に記載の画像読取装置と、前記読取部によって読み取られた前記原稿画像に応じて、シートに画像を形成する画像形成部と、
を有する。
【0024】
本構成によれば、読取部にシートを安定して搬送することができる。また、読取部によって読み取られた原稿画像に応じて、シートに画像が安定して形成される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、給紙装置、およびこれを備える画像読取装置、画像形成装置において、シートの進入を規制するストッパーの規制力が安定して維持される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る給紙装置の原稿給送ユニットの周辺の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る給紙装置の原稿給送ユニットの周辺の断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る給紙装置の原稿給送ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図である。
【0028】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有し胴内空間を備えた装置本体2、装置本体2の上面に配置された自動原稿給紙装置3A(給紙装置)、及び装置本体2の下側に組み付けられた増設給紙ユニット4を含む。
【0029】
装置本体2は、シートに対して画像形成処理を行う。装置本体2は、略直方体形状の下部筐体21と、下部筐体21の上方に配設される略直方体形状の上部筐体22と、下部筐体21と上部筐体22とを連結する連結筐体23とを含む。下部筐体21には画像形成のための各種機器が収容されている。特に、本実施形態では、公知の電子写真技術が適用された画像形成部が下部筐体21の内部に配置されている。画像形成部は、給紙カセット211などから送り出されたシートに画像を形成する。なお、画像形成部には、公知のインクジェット技術など、他の画像形成技術が適用されてもよい。また、上部筐体22には原稿画像を光学的に読み取るための画像読取ユニット3B(読取部)が収容されている。自動原稿給紙装置3Aおよび画像読取ユニット3Bによって、画像読取装置3が構成される。画像形成装置1において複写機能が実行される場合、画像読取ユニット3Bによって読み取られた原稿画像に応じて、画像形成部はシートに画像を形成する。下部筐体21、上部筐体22及び連結筐体23で囲まれる胴内空間が、画像形成後のシートを収容可能な胴内排紙部24とされている。連結筐体23は、装置本体2の右側面の側に配置され、胴内排紙部24へシートを排出するための不図示の排出口が設けられている。
【0030】
胴内排紙部24として利用される前記胴内空間は、装置本体2の前面及び左側面において外部に開放されている。ユーザーは、これらの開放部分から手を差し入れ、胴内排紙部24から画像形成後のシートを取り出すことが可能である。前記胴内空間の底面241は、下部筐体21の上面で区画され、排出口から排出されたシートが積載される。
【0031】
上部筐体22の前面には、操作パネルユニット25が突出して設けられている。操作パネルユニット25は、テンキー、スタートキーなどを含む操作キー251及びLCDタッチパネル252などを備え、ユーザーからの各種の操作指示の入力を受け付ける。
【0032】
下部筐体21には、画像形成処理が施される記録シートを収容する給紙カセット211が装着されている。増設給紙ユニット4もまた、画像形成処理が施される記録シートを収容する給紙カセット41、42を含む。これら給紙カセット211、41、42は、自動給紙用に設けられたカセットであり、大量の記録シートをサイズ別に収容することができる。また、給紙カセット211、41、42は、下部筐体21又は増設給紙ユニット4の前面から手前方向に引出可能である。
【0033】
自動原稿給紙装置3Aは、装置本体2の上部筐体22の上面に、その後側において回動自在に取り付けられている。自動原稿給紙装置3Aは上部筐体22の上面に当接された状態で、装置本体2における所定の原稿読取位置に向けて、複写される原稿シートを自動給紙する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置に載置する場合は、自動原稿給紙装置3Aは上方に開けられる。
【0034】
自動原稿給紙装置3A(給紙装置)は、本体ハウジング320(筐体)、原稿給紙トレイ31(シート積載部)、原稿搬送部32、原稿排紙トレイ33を備える。本体ハウジング320は、自動原稿給紙装置3Aに備えられている各種の機構を収容する筐体である。
【0035】
原稿給紙トレイ31は、本体ハウジング320に配置され、画像読取位置へ給送される原稿シート(シート)が積載されるトレイである。原稿給紙トレイ31には、載置された原稿シートの幅合わせを行うための一対のカーソルが備えられている。
【0036】
原稿搬送部32は、原稿給紙トレイ31上の原稿シートを、画像読取位置を経由して原稿排紙トレイ33まで搬送する搬送路及び搬送機構を備える。原稿搬送部32は、本体ハウジング320に嵌め込まれ、原稿搬送部32の上面部を形成する上部カバーユニット32Uを含む。上部カバーユニット32Uは、後記の原稿給紙ユニット5に対向して配置される。
【0037】
原稿排紙トレイ33は、原稿画像が光学的に読み取られた後の原稿シートが排出されるトレイである。原稿排紙トレイ33は、原稿給紙トレイ31の下方に配置され、本体ハウジング320の右側における低層部分の上面が原稿排紙トレイ33とされている。
【0038】
続いて、図2乃至図4を参照して、本実施形態に係る自動原稿給紙装置3Aについて、更に詳述する。図2は、本実施形態に係る自動原稿給紙装置3Aの原稿給紙ユニット5の周辺の斜視図である。図3は、自動原稿給紙装置3Aの原稿給紙ユニット5の周辺の断面図である。また、図4は、自動原稿給紙装置3Aの原稿給紙ユニット5の斜視図である。なお、図4では、原稿給紙ユニット5の内部を説明するために、後記のホルダー50のホルダー前壁501が切り欠かれた状態を示している。自動原稿給紙装置3Aは、原稿給紙ユニット5(給紙ユニット)と、係止部材60(ロック機構)と、駆動部Mと、クラッチ70と、制御部80と、を備える。原稿給紙ユニット5は、本体ハウジング320に支持され、原稿給紙トレイ31に積載される前記シートを所定の搬送方向(図2の左方向)に給送する。原稿給紙ユニット5は、原稿給紙トレイ31の搬送方向下流側の上方に配置されている。原稿給紙ユニット5は、ピックアップローラー51と、給紙ローラー52(図3)と、ホルダー50と、アイドラギア53と、ストッパー54と、カム55(カム部材)(図3図4)と、コイルばね56(ねじりばね)(図4)と、を備える。
【0039】
ピックアップローラー51は、原稿給紙トレイ31のシートを搬送方向に送り出す。ピックアップローラー51は、ピックアップローラー軸510(第1軸部)と、ピックアップローラーギア511と、を備える。ピックアップローラー軸510は、ピックアップローラー51の一対の側面から突設された軸部であり、ピックアップローラー51の回転における回転軸となる。すなわち、ピックアップローラー51は、ピックアップローラー軸510回りに回転駆動される。ピックアップローラー軸510は、ホルダー50に回転可能に軸支されている。ピックアップローラーギア511は、ピックアップローラー軸510の後端部に固定されたギアである。ピックアップローラー51は、原稿給紙トレイ31に積載されるシートに当接する給紙位置と、シートから上方に離間する非給紙位置との間で位置変更可能とされる。当該ピックアップローラー51の位置変更は、ホルダー50の回動によって実現される。なお、図2乃至図4では、いずれもピックアップローラー51は非給紙位置に配置されている。
【0040】
原稿給紙トレイ31は、対向パッド311(図2)を備える。対向パッド311は、ピックアップローラー51に対向して配置される弾性部材である。対向パッド311は、原稿給紙トレイ31に載置されたシートが残り少なくなった際に、シートが重送されることを防止する。
【0041】
給紙ローラー52(図3)は、ピックアップローラー51よりも搬送方向下流側に間隔をおいて配置されている。給紙ローラー52は、給紙ローラー軸520(第2軸部)を備える。給紙ローラー軸520は、給紙ローラー52の一対の側面から突設された軸部であり、給紙ローラー52の回転における回転軸となる。給紙ローラー軸520は、ホルダー50を回動可能に軸支している。なお、図2に示すように、給紙ローラー軸520は、ホルダー50を貫通して、ホルダー50よりも前後方向に延びるように配置されている。そして、給紙ローラー軸520の前後方向の両端部は、本体ハウジング320に回転可能に支持されている。給紙ローラー52は、給紙ローラー軸520回りに回転駆動され、ピックアップローラー51によって送り出されたシートを搬送方向に更に搬送する。
【0042】
自動原稿給紙装置3Aは、分離パッド312(図2)を備える。分離パッド312は、給紙ローラー52に対向して配置される弾性部材である。分離パッド312は給紙ローラー52との間で、シートが通過するニップ部を形成する。分離パッド312は、原稿給紙トレイ31からニップ部に送られた複数枚のシートを捌く機能を備えている。
【0043】
ホルダー50は、図2に示すように、扁平状の略直方体形状からなる。なお、ホルダー50の下面部は開口されている。ホルダー50は、ピックアップローラー51を回転可能に支持する。ホルダー50は、給紙ローラー軸520回りに上下に回動されることで、ピックアップローラー51を給紙位置に配置させる第1の位置と、ピックアップローラー51を非給紙位置に配置させる第2の位置との間で位置変更可能とされている。ホルダー50は、ホルダー前壁501(側壁)と、ホルダー天板502(上面部)と、ホルダー軸部503と、係合突起504と、ホルダー開口部505と、ホルダー当接部506(壁部)(図3図4)と、を備える。
【0044】
ホルダー前壁501は、ホルダー50の前側の側壁である。なお、図2には示されていないが、ホルダー50の後側には、ホルダー前壁501に対向してホルダー後壁が配置されている。ホルダー天板502は、ホルダー50の天板である。ホルダー天板502は、ホルダー前壁501と上記のホルダー後壁とを前後方向で連結している。また、ホルダー天板502は、給紙ローラー52の上方を覆っている(図3)。ホルダー軸部503は、ホルダー前壁501の右側部分から前方に向かって突設された突起部である。ホルダー軸部503は、後記のストッパー54を回転可能に軸支する。なお、上記のホルダー後壁にも、同様にホルダー軸部(不図示)が後方に向かって突設されている。すなわち、ホルダー軸部は、後記のとおり一対のストッパー54に対応して、前後方向に一対配置されている。
【0045】
係合突起504は、ホルダー天板502の左側端部から上方に向かって突設された突片である。係合突起504は、前後方向に所定の長さをもって延設されている。ホルダー開口部505は、ホルダー天板502の前端部かつ左端部に形成された開口部である。ホルダー開口部505には、後記の係止部材60の被押上片63が挿入可能とされている。ホルダー当接部506は、ホルダー天板502から下方に突設された突片である。図4に示すように、ホルダー当接部506は、給紙ローラー軸520の上方に位置している。ホルダー当接部506には、後記のコイルばね56のばね先端部561が当接可能とされる。
【0046】
アイドラギア53(図2図3)は、ホルダー50に回転可能に支持された複数のギアである。アイドラギア53は、給紙ローラー軸520の回転をピックアップローラーギア511に伝達する機能を備える。アイドラギア53によって、給紙ローラー52およびピックアップローラー51が同期して回転される。
【0047】
ストッパー54は、ホルダー50のホルダー前壁501に揺動可能に支持されている。ストッパー54は、原稿シートの先端セット位置を規制する機能を備えている。本実施形態では、ストッパー54は、ホルダー50に軸支されている。詳しくは、ストッパー54は、ストッパー軸穴541(支点部)と、規制部542と、当接部543とを備える。ストッパー軸穴541は、円筒状の部材であって、前述のホルダー前壁501のホルダー軸部503に挿通されることで、ホルダー軸部503に回動可能に軸支されている。規制部542は、ストッパー軸穴541から下方に延設され、原稿給紙トレイ31に積載されたシートを規制可能とされる。当接部543は、ストッパー軸穴541から上方に延設される。
【0048】
ストッパー54は、規制状態と、許容状態との間で状態変更が可能とされている。すなわち、規制状態では、ストッパー54は、ホルダー50の第2の位置に対応して原稿給紙トレイ31に積載されたシートが給紙ローラー52側に進入することを規制する。一方、許容状態では、ストッパー54は、ホルダー50の第1の位置に対応してシートが給紙ローラー52側に進入することを許容する。なお、図2には現れていないが、ホルダー50のホルダー後壁側にも同様のストッパーが配置されている。
【0049】
カム55(図3図4)は、給紙ローラー軸520に軸支され、回転可能な部材である。カム55は、カム押圧部551(突起部)を備える。カム押圧部551は、後記の係止部材60の被押上片63を上方に押し上げる機能を備える。
【0050】
コイルばね56は、給紙ローラー軸520回りに配置されたばね部材である。コイルばね56は、給紙ローラー軸520回りに複数回巻かれている。コイルばね56の一端は、カム55に固定されている。また、コイルばね56の他端であるばね先端部561は、図4に示すように、給紙ローラー軸520の周面から径方向に突設されている。ばね先端部561は、給紙ローラー軸520の回転に伴って、ホルダー50のホルダー当接部506に当接可能である。
【0051】
なお、カム55およびコイルばね56は、公知のトルクリミッタと同様の機能を備えている。すなわち、給紙ローラー軸520が回転されると、所定の回転角度だけカム55が給紙ローラー軸520と一体的に回転する。その後、カム55に所定の値以上の負荷がかかると、コイルばね56が拡径変形することで、カム55は給紙ローラー軸520に対して空転する。
【0052】
係止部材60は、本体ハウジング320(筐体)に支持されている。係止部材60は、原稿給紙ユニット5の給紙動作が行われていない非給紙時に、ホルダー50を第2の位置に固定する機能を備える。係止部材60は、係止軸61と、係止片62と、被押上片63とを備える。係止軸61は、係止部材60の回動における回転軸となる。係止軸61は、本体ハウジング320に配置された後記の係止支持部323に回動可能に支持されている。係止片62は、係止軸61の後端部から右方に向かって突設された突片である。係止片62は、係止爪621を備える。係止爪621は、係止片62の先端部が下方に屈曲されることで形成されている。係止爪621は、ホルダー50の係合突起504と係合可能とされる。被押上片63は、係止軸61の前端部から右方に向かって突設された突片である。すなわち、被押上片63は、係止片62と軸方向に間隔をおいて、かつ、係止片62と略平行に係止軸61から突設されている。被押圧片63の基端部(一端部)は、係止軸61に支持され、被押圧片63の先端部(他端部)は、カム55に当接可能とされる。また、図4を参照して、被押上片63は、カム55の上方に配置されている。被押上片63は、押上突起631を備える。押上突起631は、被押上片63の先端部から更に下方に向かって突設された突片である。押上突起631は、被押上面632を備える。被押上面632は、押上突起631の左方かつ下方部分に配置された傾斜面である。なお、被押上面632は、給紙動作に伴う給紙ローラー52の回転方向(図3では時計回り)に沿って、先下がりとなるように傾斜している。被押上面632に、前述のカム55のカム押圧部551が当接可能とされている。
【0053】
図3を参照して、上部カバーユニット32Uは、本体規制部321(被当接部)と、係止支持部323と、を備える。本体規制部321は、上部カバーユニット32Uの下面部から原稿給紙ユニット5に向かって下方に突設された突起部である。本体規制部321は、規制面322を備える。規制面322は、本体規制部321の左側の側面である。規制面322には、ストッパー54の当接部543が当接可能とされる。係止支持部323は、上部カバーユニット32Uの内部に配置された軸支部である。係止支持部323は、係止部材60の係止軸61を回転可能に支持している支持部である。図3を参照して、係止部材60は、係止支持部323に揺動自在に支持されている。なお、図3に示される位置よりも、押上突起631が、係止軸61回りに更に下方に下がることはない。図3において、係止支持部323よりも右側において上部カバーユニット32U配置され、上方に面する不図示の規制面に、被押上片63の基端部(係止軸61の近傍)が自重によって当接することで、係止部材60が図3の状態から更に時計回りに回動することが規制される。これは、後記のとおり、図3に示す状態から、カム押圧部551が給紙ローラー軸520を中心に時計回りに移動し、カム押圧部551が押上突起631よりも下方に配置された場合に、押上突起631が図3に示す位置よりも下方に落下してしまうと、カム押圧部551の逆回転(反時計回り)時に、カム押圧部551と押上突起631とが強く干渉するためである。一方、係止部材60は、自重によって、係止支持部323近傍の前記規制面に当接している(載っている)ため、図3に示される状態から被押上片63が上方に移動するように、被押上片63を含む係止部材60が係止軸61回りに反時計回りに回動することは可能である。
【0054】
なお、上記の原稿給紙ユニット5および係止部材60の各部材のうち、カム55と、被押上片63と、ホルダー当接部506と、コイルばね56とによって、本実施形態に係る連動機構5S(図4)が構成される。連動機構5Sは、給紙ローラー52の正回転に連動して、係止部材60によるホルダー50のロック状態を解除するとともに、ホルダー50を第2の位置から第1の位置に移動させる。また、連動機構5Sは、給紙ローラー52の逆回転に連動して、係止部材60によるホルダー50のロック機能を実行させるとともに、ホルダー50を第1の位置から第2の位置に移動させる。
【0055】
駆動部Mは、ピックアップローラー51および給紙ローラー52を回転させる駆動力を発生するモーターである。本実施形態では、駆動部Mは、更に、自動原稿給紙装置3Aの他の部材(不図示)を回転駆動させる。駆動部Mは、クラッチ70を介して、給紙ローラー軸520に連結されている。駆動部Mは正逆回転可能である。
【0056】
クラッチ70は、駆動部Mと給紙ローラー軸520との間に配置され、駆動部Mの駆動力の給紙ローラー軸520への伝達と前記伝達の解除とを切り替える。駆動部Mが正回転され、クラッチ70が駆動部Mの駆動力を給紙ローラー軸520に伝達すると、給紙ローラー52およびピックアップローラー51が回転される。この際、前述のように、給紙ローラー軸520からアイドラギア53を介してピックアップローラーギア511に駆動力が伝達される。更に、ホルダー50が給紙ローラー軸520回りに下方に回動され、ピックアップローラー51が給紙位置に移動される。一方、駆動部Mが逆回転され、クラッチ70が駆動部Mの駆動力を給紙ローラー軸520に伝達すると、給紙ローラー52およびピックアップローラー51が逆回転される。この際、ホルダー50が給紙ローラー軸520回りに上方に回動され、ピックアップローラー51が非給紙位置に移動される。なお、駆動部Mの逆回転時に、ピックアップローラー51および給紙ローラー52が逆回転しないように、原稿給紙ユニット5に不図示のワンウェイギアが配置されてもよい。
【0057】
制御部80は、原稿給紙ユニット5の給紙動作に応じて、駆動部Mを正転または逆転させるとともに、クラッチ70の駆動伝達動作を切り替える。クラッチ70が配置されることによって、駆動部Mの駆動力を自動原稿給紙装置3Aの他の部材に伝達させながら、原稿給紙ユニット5への駆動力の伝達を切断することができる。この結果、異なるタイミングで駆動される複数の部材を、駆動部Mによって駆動させることが可能となり、自動原稿給紙装置3Aのコストダウンが実現される。
【0058】
図2乃至図4に示すように、ホルダー50が給紙ローラー軸520回りの第2の位置に配置されると、ピックアップローラー51が非給紙位置に配置される。この際、ユーザーによってシートが給紙ローラー52側に強く押し込まれようとされた場合でも、ストッパー54の規制部542がシートの先端を規制する。そして、シートの先端が規制部542を押圧すると、図3に示すように、ストッパー54の当接部543が上部カバーユニット32Uの規制面322に当接する。したがって、図3に示す状態から、ストッパー54がホルダー軸部503を支点として時計回りに回動することが防止され、ストッパー54の規制状態が維持される。この結果、ストッパー54によるシートの規制力が安定して維持される。
【0059】
一方、前述のように、本実施形態では、駆動部Mの駆動力がクラッチ70によって給紙ローラー軸520に伝達される。そして、非給紙時であって、自動原稿給紙装置3Aの他の部材を駆動させる場合には、制御部80はクラッチ70を制御して、給紙ローラー軸520への駆動力の伝達を切断する。この場合、給紙ローラー軸520の回転が規制されていないため、ホルダー50の自重などによって、ホルダー50が僅かに下方に回動しやすい。そして、当接部543(図3)が規制面322から脱離されると、ストッパー54の回転が可能となってしまう。このように、ホルダー50が第2の位置において不安定に配置された場合、ストッパー54の規制状態が維持されず、ストッパー54の規制力が不充分となりやすい。なお、このようなホルダー50の位置変動は、上部カバーユニット32Uに強い衝撃や振動がもたらされた場合にも生じうる。
【0060】
本実施形態では、上記のような問題を解決するために、ホルダー50が第2の位置に配置されると、係止部材60がホルダー50をロックする。特に、係止爪621が係合突起504(図2)と係合することで、ホルダー50が第2の位置に安定してロックされる。この結果、ホルダー50が下方にずれることが防止され、非給紙時にストッパー54によるシートの規制力が安定して維持される。
【0061】
図3および図4を参照して、自動原稿給紙装置3Aの給紙動作に際して、駆動部Mの駆動力がクラッチ70を介して給紙ローラー軸520に伝達されると、給紙ローラー軸520が図4の矢印D41方向に回転される。この際、カム55のカム押圧部551が被押上片63の被押上面632を上方に押し上げることで、係止部材60が係止軸61回りに上方に回動される。この結果、係止爪621と係合突起504との係合が解除され、ホルダー50のロック状態が解除される。
【0062】
カム押圧部551が被押上面632を押し上げた直後、図4の矢印D41方向に回転されるコイルばね56のばね先端部561がホルダー50のホルダー当接部506を押圧する。この結果、ホルダー50が給紙ローラー軸520回りに回動されながら第2の位置から第1の位置に移動される(図3の矢印D31、図4の矢印D42)。この際、ストッパー54の当接部543が規制面322から下方に離間する。このため、ストッパー54がホルダー軸部503回りに回転可能とされる。ストッパー54は、ピックアップローラー51によって送り出されたシートに押圧されることで、規制部542が搬送方向下流側に移動するように回転する。換言すれば、ストッパー54は、ホルダー50の第1の位置に対応してシートが給紙ローラー52側に進入することを許容する許容状態となる。
【0063】
ホルダー50が第1の位置に配置され、ピックアップローラー51が給紙位置に配置されると、ピックアップローラー51および給紙ローラー52の回転によって、原稿給紙トレイ31のシートが不図示の画像読取位置に向かって給紙される。
【0064】
原稿給紙ユニット5の給紙動作が終了すると、制御部80は駆動部Mを制御して、給紙ローラー軸520を逆回転させる。この結果、ホルダー50が給紙ローラー軸520回りに、図3の矢印D31とは逆方向に回動する。この際、カム55はコイルばね56の弾性力によって、給紙ローラー軸520回りの元の回転位置に復帰する。ホルダー50が再び第2の位置に至ると、自重によって係止支持部323(図3)に当接していた係止部材60をホルダー50が僅かに押し上げる。そして、再び、係合突起504が係止爪621に係合することで、ホルダー50が第2の位置にロックされる。
【0065】
以上、上記の実施形態による自動原稿給紙装置3A、および、これを備えた画像読取装置3並びに画像形成装置1では、非給紙時に、ストッパー54の規制力が安定して維持される。この結果、原稿給紙トレイ31に積載されるシートが整合され、給紙動作が開始されると、画像読取位置にシートを安定して搬送することができる。更に、読取部によって読み取られた原稿画像に応じて、シートに画像が安定して形成される。なお、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
【0066】
(1)上記の実施形態では、係止部材60は自重によって係止軸61回りに回転する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。不図示のコイルばねが係止軸61に配置され、係止片62および被押上片63が下方に向かって付勢される態様でもよい。この場合、ホルダー50が第2の位置に移動される際に、コイルばねの付勢力に抗して被押上片63がカム押圧部551によって上方に押し上げられる。
【0067】
(2)また、上記の実施形態では、給紙装置として、自動原稿給紙装置3Aを用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。給紙カセット211の内部に対向して、上記と同様の構造を備えた給紙ユニットなどが配置されてもよい。この場合、給紙ユニットは、画像形成部に向かってシートを給紙する。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 画像読取装置
31 原稿給紙トレイ(シート積載部)
32 原稿搬送部
320 本体ハウジング(筐体)
321 本体規制部(被当接部)
322 規制面
323 係止支持部
32U 上部カバーユニット(天板)
3A 自動原稿給紙装置(給紙装置)
3B 読取部
33 原稿排紙トレイ
5 原稿給紙ユニット(給紙ユニット)
50 ホルダー
501 ホルダー前壁(側壁)
502 ホルダー天板(上面部)
503 ホルダー軸部
504 係合突起
505 ホルダー開口部
506 ホルダー当接部(壁部)
51 ピックアップローラー
510 ピックアップローラー軸(第1軸部)
52 給紙ローラー
520 給紙ローラー軸(第2軸部)
54 ストッパー
541 ストッパー軸穴(支点部)
542 規制部
543 当接部
55 カム(カム部材)
551 カム押圧部(突起部)
56 コイルばね(ねじりばね)
561 ばね先端部(他端)
5S 連動機構
60 係止部材(ロック機構)
61 係止軸
62 係止片
621 係止爪
63 被押上片
631 押上突起
632 被押上面
70 クラッチ
80 制御部
M 駆動部
図1
図2
図3
図4