(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
ここで、
図1は第1の実施形態にかかる画像読取装置11を用いたPOSシステム1の全体構成を示す斜視図である。なお、図面中の矢印Aは画像読取装置11の幅方向(左右方向)を示し、矢印Bは画像読取装置11の前後方向の前方を示し、矢印Cは画像読取装置11の上下方向の上方を示している。
【0010】
図1に示すように、POS(Point Of Sales)システム1は、縦型スキャナである画像読取装置11と、画像読取装置11で撮像した画像に応じて売上登録処理を実行するPOS端末12とを備えている。画像読取装置11は、買物カゴ等が載置されるサッカー台10上の略中央部に立設している。また、POS端末12は、サッカー台10の一方の端部付近に設けられている。これら画像読取装置11とPOS端末12とは、図示しない伝送路によって相互通信可能に接続されている。なお、画像読取装置11とPOS端末12とによりPOSターミナル部を構成する。
【0011】
画像読取装置11は、撮像装置17、キーボード21、ディスプレイ19等を備えている。撮像装置17は、オペレータに対面する撮像窓16を介して、商品に付されたコードシンボル(バーコードや二次元コード等)の画像や商品の全体または一部のオブジェクト画像を光学的に撮像する。キーボード21は、コードシンボルやオブジェクト画像で登録不能な商品の登録を行うための各種キー等を配設する。ディスプレイ19は、POS端末12による売上登録処理に応じ、オペレータや買物客に対して登録された商品の品名、価格等を表示する。
【0012】
次いで、撮像装置17の構成について詳述する。ここで、
図2は画像読取装置11が備える撮像装置17の概略構成を示す断面図である。
【0013】
図2に示すように、撮像装置17は、開口している撮像窓16を有する筐体15を備えている。撮像装置17は、筐体15内に、撮像部14と、照明装置13とを備えている。ここで、撮像部14の撮像領域Dは、
図2においては線L1と線L2との間の領域である。
【0014】
筐体15は、略直方体形状の箱状に形成されており、その正面壁15aに撮像窓16が形成されている。筐体15は、当該筐体15の正面前方に位置したオペレータ(図示せず)と対面する。撮像窓16は、正面視で略四角形に形成されている。
【0015】
撮像窓16は、撮像部14に対する防塵を目的として、透過性を有する平板状の透過板18によって閉塞されている。透過板18は、例えばガラスや樹脂製である。透過板18は、筐体15に支持されている。具体的には、透過板18は、筐体15の内面における撮像窓16の周縁部に接着などの固定手段によって固定されることで、筐体15に支持されている。
【0016】
照明装置13は、透過板18を透過して撮像部14の撮像領域Dに照明光Iを照射し、撮像領域Dに存在する対象物を照明する。照明装置13は、光源である複数のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を有していて、撮像窓16の一対の側辺部毎に側辺部に沿って設けられている。即ち、照明装置13は、撮像部14を挟んで左右一対設けられている。一対の照明装置13は、左右対称(面対称)の構成となっている。なお、光源は、複数のLEDに限るものではなく、単一のLEDであっても良い。
【0017】
照明装置13からの照明光Iの外郭は、
図2においては線L3と線L4、線L5と線L6で示されている。なお、符号20は、詳細は後述するが、照明装置13からの照明光Iの所定の光線の光路を変更する光路変更部材として機能する遮光部材である。
【0018】
撮像部14は、特に図示しないが、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子14aと、結像レンズ14bとを有する。
図2に示すように、撮像部14(結像レンズ14b)の光軸Fは、画像読取装置11(撮像装置17)の前後方向に沿って延出し、撮像窓16を通過する。
【0019】
より詳細には、撮像部14は、筐体15における撮像窓16の外側に形成される読取領域Eに位置する読取対象を撮像する。ここで、
図2においては、読取領域Eは、概略的に、撮像領域Dのうち線L6と透過板18との間の領域である。
【0020】
ここで、読取領域Eについて説明する。撮像部14の撮像素子14aの撮像可能範囲は、結像レンズ14bの特性により決定される。本実施形態の結像レンズ14bは固定焦点レンズであって、焦点位置(ピントが最も合っている位置)はレンズ先端から一定の距離だけ離れた位置にある。この焦点位置に撮像物である商品が置かれた時の解像度が最も高く、鮮明に撮像でき、焦点位置から撮像素子14aに対して近づく方向および遠ざかる方向に撮像物である商品が置かれるにしたがってピントがぼけて解像度が低くなる。例えば、バーコードをデコードするためには、撮像素子14aが取得した商品の画像データからバーコードを形成する各色(例えば、白黒)のバーの幅を計測する必要があり、ピントがぼけると計測できなくなる。したがって、撮像領域Dのうちある一定の解像度以上の範囲が、画像処理ボード(図示せず)による画像データからのコードシンボルの抽出が可能な読取領域Eとなる。
【0021】
すなわち、撮像部14は、撮像窓16の前方(外側)の読取領域Eに位置した読取対象である対象物からの反射光であって撮像窓16から筐体15内に入射した反射光を受ける位置に配置されている。撮像部14は、撮像窓16から筐体15内に入射した対象物からの反射光を撮像素子14aに結像レンズ14bを介して結像させることにより撮像して、画像データを出力する。
【0022】
次いで、照明装置13の設置位置について詳述する。
【0023】
従来の画像読取装置においては、照明装置から照射された光が撮像窓を閉塞している透過板によって反射されることによる迷光が撮像素子に入射することを防止すべく、透過板の端部近傍に照明装置を配置していた。この点について、
図3を参照して説明する。
図3に示すように、従来の画像読取装置は、迷光を発生させないため、撮像部14の撮像領域dを防塵用の透過板50の出射面を反射面として折り返した光路で定義される領域、もしくは、撮像部14の撮像領域dを透過板50の入射面を反射面として折り返した光路で定義される領域のうち、より広い何れかの領域g(以下、等価撮像領域と呼ぶ)の外側であって透過板50の近傍に照明装置51を設けていた。なお、
図3においては、説明を簡単にするため、照明装置51を片側のみ示している。
【0024】
しかしながら、従来の画像読取装置においては、等価撮像領域gの外側であって透過板50の近傍に位置する照明装置51からの光路長が、透過板50における照明装置51に近い位置(
図3中、L11)と、透過板50における等価撮像領域gの略中央位置(
図3中、L12)とで大きく異なる。このため、光路長の2乗に反比例する照度も、透過板50における照明装置51に近い撮像領域dの周辺付近では明るすぎ、透過板50における読取領域eの透過板50近辺の略中央付近では、複数のLEDからの光を重ね合わせても、暗くなりすぎてしまうという問題があった。
【0025】
ここで、
図4は照明装置13の設置位置を示す模式図である。なお、
図4においては、説明を簡単にするため、照明装置13を片側のみ示している。
図4に示すように、本実施形態の画像読取装置11においては、透過板18の近くに置かれた読取対象である商品を均一に照明するために、撮像領域Dの外側であって等価撮像領域Gの内側に照明装置13を配置している。加えて、照明装置13は、透過板18における撮像領域Dの周辺付近までの距離と、透過板18における等価撮像領域Gの略中央付近までの距離とが略同一となる位置に配置される。
【0026】
この場合は、光源(照明装置13の光を出射する部分)の数をnとすると、それぞれ中央部での照度が異なるため、中央付近が周辺部に比べ約n倍の照度となり、中央部を明るくしたい場合に対応できる。読取領域E全体の照度を均一化しようとすると、それぞれの光源からの照度は、光源からの光路長の2乗に反比例する。すなわち、周辺までの距離をLo、中央までの距離をLcとしたとき、周辺と中央部とでの照度の比は、
1/(Lo)
2:1/(Lc)
2
となる。光源が中央部では重なり合い、周辺部では他の光源の影響をあまり受けないと近似した場合において、n個の光源からの照度の重ね合わせを考えた場合における周辺部の照度/中央部の照度は、
(Lc)
2/(n×(Lo)
2)
となる。これを1にするには、透過板18における撮像領域Dの周辺付近までの距離Loで、透過板18における領域の撮像窓16の近傍での略中央付近までの距離Lcを除した値を、
Lc/Lo=√n
とすれば良いことが解かる。実際には、この両極の間の
1≦Lc/Lo≦√n
で光源を配置することが望ましい。
【0027】
ただし、
図4に示すように等価撮像領域Gの内側に照明装置13を配置した場合には、透過板18からの反射光が撮像部14の結像レンズ14bの入射瞳を通って撮像素子14aに到達する迷光が発生する。
図5は、迷光の一例を示す模式図である。
図5に示すように、照明装置13から出射した光のうち、透過板18の入射面または出射面で反射して結像レンズ14bの入射瞳を通って撮像素子14aに到達する光線L10が、迷光となっている。これらの迷光は、読取対象である商品から反射して撮像素子14aに入射する正規の光に重畳されてしまう。このため、迷光が発生した場合には、画像読み取りに支障をきたしてしまう、という問題がある。
【0028】
そこで、本実施形態の画像読取装置11の撮像装置17は、照明装置13から出射した光のうち、透過板18の入射面または出射面で反射して結像レンズ14bの入射瞳を通って撮像素子14aに到達する迷光となりうる光線L10の光路中に、光線L10を遮光する光路変更部材として機能する遮光部材20を設けている。
【0029】
ここで、
図6は迷光となりうる光線の光路上に対する遮光部材20の配置例を示す模式図である。
図6(b)に示す例は、迷光となりうる光線L10の光路上に、迷光を撮像部14の結像レンズ14bの入射瞳を通って撮像素子14aに到達させないために光線L10を遮光する遮光部材20を設けたものである。
【0030】
図6(b)に示すように、遮光部材20が光線L10上に配置されることにより、遮光部材20よりも撮像部14側の光路は無くなるので、迷光が撮像素子14aに到達することはなくなる。
【0031】
図7は、遮光部材20の一例を示すものであって、(a)は平面図、(b)は横断側面図、(c)は縦断側面図である。
図7に示すように、遮光部材20は、ガラスや樹脂等で形成された平板状の透明基板20aを主体に構成されている。遮光部材20は、高い遮光性を有する黒色塗料などの遮光インクによるスクリーン印刷などにより、透明基板20aの上に遮光パターン20bを備えている。なお、遮光パターン20bの印刷位置は、迷光となりうる光線の光路を遮光部材20の設置位置および照明装置13の設置位置に応じて解析されて決定される。なお、遮光部材20で遮光される読取領域の範囲をできるだけ抑えるために、遮光部材20は、透過板18に対してできるだけ近くに配置されるほうが望ましい。
【0032】
また、遮光部材20の透明基板20aは、撮像部14の撮像領域Dに相当する部分に孔20cを有している。この孔20cのエッジ部は、散乱光を発生させないために、角をとって丸くしてRを付けている。さらに、
図7に示すように、遮光部材20の透明基板20aは、照明装置13から出射した光の角度を極力変えないようにするために、孔20cの内周部分20eや透明基板20aの外周部分20dについては、最近傍の照明装置13からの光線と平行になるような角度で傾斜を持たせている。
【0033】
このように第1の実施形態の画像読取装置11によれば、迷光を発生させることなく、透過板18における読取領域Eにおいて均一な照度分布を得ることができる。
【0034】
なお、本実施の形態においては、迷光となりうる光線L10を遮光する光路変更部材として遮光部材20を適用したが、これに限るものではない。例えば、
図8に示すような遮光部材30を光路変更部材として適用しても良い。
図8は、遮光部材30の一例を示すものであって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図8に示すように、遮光部材30は、板金等で形成されるものであって、平板形状の基体30aの上に円板形状の遮光パターン30bを備えている。基体30aは、迷光となりうる光線L10の方向と平行となっている。一方、遮光パターン30bは、迷光となりうる光線L10の方向と直交する方向を向いている。なお、遮光パターン30bは、光の反射を無くすため、反射コーティングが施されている。
【0035】
また、照明装置13が有しているLEDに対し、光の拡がり角度を抑える光学部材(例えば、レンズ)を設ける場合については、遮光インクによるスクリーン印刷などによって光学部材(例えば、レンズ)に対して遮光パターンを形成するようにしても良い。この場合も、遮光パターンの印刷位置は、迷光となりうる光線の光路を光学部材(例えば、レンズ)の設置位置および照明装置13の設置位置に応じて解析されて決定される。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、前述した第1の実施形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。本実施形態は、遮光部材20,30に代えて、迷光となりうる光線L10の光路を曲げる光路変更部材40を光路変更部材として適用した点で、第1の実施形態にかかる画像読取装置11とは異なるものである。
【0037】
ここで、
図9は第2の実施形態にかかる光路変更部材40の配置例を示す模式図である。
図9(b)に示す例は、迷光となりうる光線L10の光路上に、迷光を撮像部14の結像レンズ14bの入射瞳を通って撮像素子14aに到達させないために光線L10の光路を曲げる光路変更部材40を設けたものである。
【0038】
図9(b)に示すように、光路変更部材40が光線L10上に配置されることにより、光路変更部材40よりも撮像部14側の光線L10の方向が変えられるので、迷光が撮像素子14aに到達することはなくなる。
【0039】
図10は、光路変更部材40の構成を一部拡大して示す模式図である。
図10に示すように、光路変更部材40は、ガラスや樹脂等で形成された平板状の透明基板40aを主体に構成されている。光路変更部材40は、光線L10の光路(角度と位置との少なくとも一方)を変える光路変更部40bを透明基板40aに備えている。なお、光路変更部40bの位置は、迷光となりうる光線の光路を光路変更部材40の設置位置および照明装置13の設置位置に応じて解析されて決定される。なお、特に図示しないが、光路変更部材40の透明基板40aは、遮光部材20の透明基板20aと同様に、撮像部14の撮像領域Dに相当する部分に孔を有している。
【0040】
図10に示すように、光路変更部40bは、透明基板40a上に形成された略円錐形状の窪みである凹部である。凹部の内部は、空気層である。より詳細には、光路変更部40bの形状は、その断面が双曲線となる形状としている。すなわち、光路変更部40bの円錐形状の先端は、なだらかになるように角をとって丸くしてRを付けている。また、光路変更部40bのエッジ部は、光が散乱して迷光の原因となるのを防止するために、角をとって丸くしてRを付けている。
【0041】
なお、光路変更部材40による光線L10の光路の変更先は、読取領域E内が望ましい。こうすることで、透過板18の近くに置かれた読取対象である商品に対する照明の照度を高めることができる。
【0042】
このような光路変更部材40を設けることにより、迷光となりうる光線L10を撮像部14の結像レンズ14bの入射瞳を通って撮像素子14aに到達させないようにすることができる。
【0043】
このように、第2の実施形態の画像読取装置11によれば、迷光を発生させることなく、透過板18における読取領域Eにおいて均一な照度分布を得ることができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、光路変更部材40の光路変更部40bが、断面形状が双曲線となる略円錐形状の凹部としたが、これに限るものではなく、断面形状が双曲線となる略円錐形状の凸部であっても良い。
【0045】
なお、上記各実施形態では、画像読取装置11とPOS端末12とで構成されるPOSターミナル部について説明したが、これに限るものではなく、画像読取装置11およびPOS端末12の機能を備えた1台構成の装置に適用するようにしても良い。画像読取装置11およびPOS端末12の機能を備えた1台構成の装置としては、スーパーマーケット等の店舗に設置されて用いられるセルフチェックアウト装置(以降、単にセルフPOSと称する)が挙げられる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。