特許第6047758号(P6047758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047758
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20161212BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H02M3/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-65373(P2013-65373)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-192991(P2014-192991A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】新井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】狩野 和幸
(72)【発明者】
【氏名】山口 文典
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−170183(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/056735(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0069451(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 3/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リアクトルを通して直流電力を昇圧する昇圧回路と、
前記昇圧回路で昇圧された直流電力をスイッチ素子を用いて交流電力に変換するインバ
ータ回路と、
第2リアクトルを通して前記交流電力の高周波成分を減衰させるフィルタ回路と、
前記昇圧回路、前記インバータ回路、及び前記フィルタ回路を収容する筺体と、を備え
た電力変換装置において、
前記筺体内に、左右に間隔を有して第1リアクトルを収容する第1窪み、及び第2リア
クトルを収容する第2窪みを成形し、
前記スイッチ素子に対応する前記筺体の外側に設ける第1フィンと、第1窪みに対応す
る前記筺体の外側に設ける第2フィンと、第2窪みに対応する筺体の外側に設ける第3フ
ィンとを有し、
前記スイッチ素子を前記間隔の上方側に設け、
第1窪みは第2窪みよりも下方側に設け、
第1フィンは前記筐体の上側から下側へ向かってほぼ垂直かつこの第1フィンの下端は
少なくとも第2窪み付近迄延在し、
第2フィンは第1フィンとほぼ平行に構成され、
第3フィンは第1フィンとほぼ平行に構成され、
第2フィン及び第3フィンの夫々の上端の位置を前記筐体の上側の第1フィンの位置ま
で延在させ、第1フィンの下方側から第1フィンへ送風するファンを前記筺体に配置した
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記昇圧回路を複数設け、
第1窪みには全ての前記昇圧回路の第1リアクトルが配置されることを特徴とする請求
項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
複数の第1リアクトルは第1の窪みに複数列に渡って配置され、前記筐体の最も下側の
列に配置される第1リアクトルに対応する第1の窪みの左右の壁を前記筐体の下方に向か
って先細り形状とすることを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、太陽電池、蓄電池、或いは燃料電池等の直流電力を交流に変換して負荷へ供
給する電力変換装置が提供されている。電力変換装置は、直流リアクトルを有する昇圧回
路を備え、昇圧後の直流電力をスイッチング素子を有するインバータ回路で交流電力に変
換している。この交流電力は高周波成分を含み、この高周波成分は交流リアクトルを有す
るフィルタ回路で減衰させている。
【0003】
これらの直流リアクトル、交流リアクトル、スイッチ素子は発熱部品であり、冷却フィ
ンや送風ファン等を用いて冷却する必要がある。特許文献1にはインバータ回路の複数の
スイッチ素子とインバータ回路の前段に配置されるコンデンサの冷却構造について記載さ
れている。
【0004】
特許文献1では、上下方向に延在する放熱フィンを有するケースに複数のスイッチ素子
を配置し、このケースの複数のスイッチ素子の右隣にコンデンサ配置用の孔を設けている
。コンデンサは複数のコンデンサをバンドでまとめて、この孔に複数のコンデンサを貫通
してバンドに設けられたネジ孔を利用してケースにネジ止めされる。これによりコンデン
サと放熱フィンとが並んで配置される。また、放熱フィン及びコンデンサの下方の少し離
れた位置から放熱フィン及びコンデンサに向かって空気を送風する共通の送風ファンを設
けている。これにより、送風された空気が放熱フィンに沿って放熱フィンの下方から上方
へ流れて放熱フィンが冷やされて複数のスイッチ素子が冷却されると共に、コンデンサに
直接空気が送風されてコンデンサが冷却される。このように、特に発熱の高い複数のスイ
ッチ素子については、冷却フィンと送風ファンとによる冷却が行われ、次いで発熱の高い
発熱部品(コンデンサ)は送風ファンにより冷却が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−295087号公報
【0006】
しかしながら、特許文献1の冷却構造では、複数のスイッチ素子と発熱部品とを左右隣
りに配置しているため、下方は送風ファンからの冷却風により冷やされるが、上方は互い
の熱がケースを通して干渉し合い冷却が不十分になるという問題があった。
また、発熱部品が直流リアクトルや交流リアクトルの場合、発熱するだけでなく振動す
る。このため、特許文献1の冷却構造において、コンデンサの代わりに直流リアクトルや
交流リアクトルをまとめて配置すると、互いの振動により振動が増幅され騒音となること
があった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みて成されたものであり、単一の筐体内で発熱量の異な
る部品の冷却を確保することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1リアクトルを通して直流電力を昇圧する昇圧回路と、
前記昇圧回路で昇圧された直流電力をスイッチ素子を用いて交流電力に変換するインバー
タ回路と、第2リアクトルを通して前記交流電力の高周波成分を減衰させるフィルタ回路
と、前記昇圧回路、前記インバータ回路、及び前記フィルタ回路を収容する筺体と、を備
えた電力変換装置において、前記筺体内に、左右に間隔を有して第1リアクトルを収容す
る第1窪み、及び第2リアクトルを収容する第2窪みを成形し、前記スイッチ素子に対応
する前記筺体の外側に設ける第1フィンと、第1窪みに対応する前記筺体の外側に設ける
第2フィンと、第2窪みに対応する筺体の外側に設ける第3フィンとを有し、前記スイッ
チ素子を前記間隔の上方側に設け、第1窪みは第2窪みよりも下方側に設け、第1フィン
は前記筐体の上側から下側へ向かってほぼ垂直かつこの第1フィンの下端は少なくとも第
2窪み付近迄延在し、第2フィンは第1フィンとほぼ平行に構成され、第3フィンは第1
フィンとほぼ平行に構成され、第2フィン及び第3フィンの夫々の上端の位置を前記筐体
の上側の第1フィンの位置まで延在させ、第1フィンの下方側から第1フィンへ送風する
ファンを前記筺体に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の発熱部品への冷却作用を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の電力変換装置の前面図である。
図2】本実施形態の電力変換装置の背面の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
電力変換装置は、太陽電池の出力を、直流リアクトルDCL(第1リアクトル)を用い
て昇圧する昇圧回路と、昇圧回路で昇圧された直流電力を複数のスイッチ素子IPMを通
して交流電力に変換して出力するインバータ回路と、インバータ回路の出力する交流電力
から高周波成分を交流リアクトルACL(第2リアクトル)を用いて減衰させるフィルタ
回路と、これらの昇圧回路、インバータ回路、及びフィルタ回路とを収容する単一の筺体
10とを備えている。
【0012】
図1に示すように、太陽電池を複数(ここでは5つ)設け、この5つの太陽電池の出力
を夫々昇圧する昇圧回路を設けている。このため、直流リアクトルDCLも5つ必要とな
る。昇圧回路、インバータ回路、及びフィルタ回路の回路構成については既存のDC/D
Cのスイッチング型の昇圧回路、DC/ACのPWMに基づく変換回路や50Hz/60
Hzを境界とするローパスフィルタの構成を用いることができるため詳細については省略
する。太陽電池からの配線L1〜L5は、筺体10の配線蓋15の配線孔(不図示)を経
て内部へ引き回され、夫々開閉器S1〜S5に接続されている。開閉器S1〜S5は、直
流リアクトルDCLの下方側に設けられ、手動により回線の開閉動作を行うことが可能で
ある。開閉器S1〜S5は、電力変換装置のメンテナンス等を行う際に作業者によって開
かれる。
【0013】
筺体10は、アルミ合金をダイカスト加工して成形され、前面部分に開口を有する略直
方体形状を有している。筺体10はグランドに接地されている。筺体10の内側(筺体1
0の内面)には、直流リアクトルDCLと交流リアクトルACLとを夫々配置する第1窪
み11、及び第2窪み12が左右に間隔Hを有して成形され、第1窪み11は、第12窪
みよりも下方側に成形されている。
【0014】
第1窪み11には複数の昇圧回路を成す全ての直流リアクトルDCLが配置される。複
数の直流リアクトルDCLは、第1窪み11の中で3列に分けて配置され、最も下(筐体
10の下側)列には1個の直流リアクトルDCLが配置され、2列目及び3列目には夫々
2個の直流リアクトルDCLは配置されている。これらの直流リアクトルDCLの配置に
合わせて、最も下の列の直流リアクトルDCLに対応する第1窪み11の左右の壁を下方
に向かって先細り形状として空気の流れを良くしている。尚、直流リアクタDCLの数は
5個に限るものではないが、前記同様の窪み形状を用いることができる。
【0015】
直流リアクトルDCL、交流リアクトルACLは夫々第1窪み11、第2窪み12の底
に(内部で)ネジ止め固定された後、熱導電性の高い樹脂が流し込まれている。この樹脂
は冷えて硬化することによってリアクトルの隙間に浸透しリアクトルを成すコイルの振動
を抑制している。また、熱を筐体10へ伝達する作用を有している。
【0016】
筐体10内において、スイッチ素子IPMは第1窪み11と第2窪み12との間隔Hに
設けられると共に、第1窪み11及び第2窪み12よりも上方側に設けられる。また、ス
イッチ素子IPM、直流リアクトルDCL、及び交流リアクトルACLを覆うように、か
つ筺体10の開口側には、昇圧回路、インバータ回路、及びフィルタ回路を構成する基板
17a〜17cが配置される(図1点線参照)。
【0017】
基板17aには、夫々の太陽電池の出力する直流電力のノイズを減衰する第1ノイズフ
ィルタが5つ備えられており、直流リアクトルDCLには第1ノイズフィルタを介して直
流電力が入力されるようになっている。また、基板17cにはフィルタ回路から出力され
る交流電力のノイズを減衰する第2ノイズフィルタが備えられており、第2リアクトルを
通って出力される交流電力は、第2ノイズフィルタを介して交流リアクトルACLの下方
に設けられる端子台16へ供給される。端子台16からは、配線が配線蓋15の配線孔を
介して外部(例えば、商用電力系統、負荷など)に引き回され、端子台16へ供給される
交流電力が端子台を介して外部へ供給される。電力変換装置1は、図示しない蓋により前
面部分の開口を閉じて利用される。
【0018】
図2に示すように、筺体10の外側(筺体10の背面)には、ダイカスト加工の際に、
スイッチ素子IPMの配置箇所に対応して設けられる複数の第1フィンF1と、第1窪み
11に対応して設けられる複数の第2フィンF2と、第2窪み12に対応して設けられる
複数の第3フィンF3とが一体成形されている。第1〜第3フィンF1〜F3は互いに平
行に筺体10の上方側を面一にして上下方向に延在している。第1フィンF1の下端は、
第2窪み12付近迄延在し、第2フィンF2の下端は、第1窪み11を超えて延在してい
る。従って、第1フィンF1、第2フィンF2、第3フィンF3の夫々の下端は、第3フ
ィンF3、第1フィンF1、第2フィンF2の順に筐体10の下側により延在している。
また、第1フィンF1は、第3フィンF3の下端位置と第2フィンF2の下端位置との段
差を減らすようにその下端を斜めに構成している。電力変換装置1は、これらのフィンF
1〜F3側を建屋の壁と対向して取り付けられるように構成されている。
【0019】
筺体10の外側(背面)には、前記第3フィンの下方(第1フィンF1の斜め下)から
第1フィンF1へ送風を行うファンFANが配置されている。また、第2フィンF2の下
端は、ファンFANよりも下方迄延在し、ファンFANからの送風が第2フィンF2に流
れ込まないようになっている。逆に第3フィンF3の下端はファンFANよりも上方であ
るため、ファンFANからの送風の一部が第3フィンF3へ送風されるようになっている
【0020】
以上のように、本実施形態の電力変換装置1によれば、直流リアクトルDCL、及び交
流リアクトルACLを配置する第1窪み11、及び第2窪み12をスイッチ素子IPMの
左右に配置している。すなわちスイッチ素子IPMはリアクトルDCL、ACLとの間に
配置されている。また、スイッチ素子IPMがリアクトルDCL、ACLよりも上方側に
なるように配置し下方からファンFANにより第1フィンF1へ送風している。このため
、最も発熱の高いスイッチ素子IPMの熱が下方側(リアクトル)へ伝わりにくくなると
共に、リアクトルDCL、ACLの熱が第1フィンF1へ伝わったとしても第1フィンF
1は送風されているため冷却作用が確保されている。
【0021】
また、スイッチ素子IPMから側方(リアクトルACL、DCL上部)に伝わった熱に
より第1窪み11、及び第2窪み上部の空気が温められて、第2、第3フィンF2、F3
の間を流れる空気流が促進され冷却効果が向上する。また、この際に、スイッチ素子IP
Mから側方(リアクトルACL、DCL上部)に伝わった熱は第2、第3フィンF2、F
3により放熱される。
【0022】
また、第1窪み11と第2窪み12を設けて筺体10の機械的強度を向上し、これらの
窪み11、12に夫々直流リアクトルDCLと交流リアクトルACLとを配置し熱伝導性
の高い樹脂でモールドしているため、直流リアクトルDCL及び交流リアクトルACLの
コイル振動が抑制される。更に、直流リアクトルDCL、及び交流リアクトルACLとは
、スイッチ素子IPMを間に配置する分距離を置いて配置されるため、互いの振動が互い
に及ぼす影響を小さくすることができる。
【0023】
また、第1窪み11と第2窪み12に設けられた第2フィンF2、と第3フィンF3に
より機械的強度が向上し、直流リアクトルDCL、及び交流リアクトルACLの振動を抑
制することができる。
【0024】
また、本実施形態によれば、複数の昇圧回路を用いることにより、直流リアクトルDC
Lを複数用いている。これにより、共通の昇圧回路を用いて単一の直流リアクトルDCL
を用いる場合に比べて熱源が分散して放熱効果が良くなる。また、筐体10の最も下側の
列に配置される直流リアクトルDCLに対応する第1の窪み11の左右の壁を筐体10の
下方に向かって先細り形状としているため、直流リアクトルDCLと第1窪み11の側壁
との距離が短くなり放熱効果が向上する。
【0025】
また、本実施形態によれば、直流リアクトルDCLには第1ノイズフィルタを介して直
流電力が入力され、交流リアクトルACLを通って出力される交流電力は第2ノイズフィ
ルタを介して外部へ供給される。このような場合、スイッチ素子IPMからのノイズを直
流リアクトルDCLが拾ってしまうと、その後の昇圧回路やインバータ回路の動作に不具
合が生じる惧れがあるが、本実施形態によれば、筺体10を接地し、第1窪み11を第2
窪み12よりも下方に成形して、スイッチ素子IPMから直流リアクトルDCLとの間に
距離がある。このため、スイッチ素子IPMから直流リアクトルDCLへノイズが伝わり
にくくなっている。
【0026】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、以上の説明は本発明の理解を容易にす
るためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱すること
なく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0027】
例えば、ファンFANは第1窪み11の下方側に設けたが、図1図2のAに示すよう
に、第1フィンF1の真下などに配置して、フィンF1の真下からフィンF1の下方へ送
風するようにしても良い。



【符号の説明】
【0028】
1 電力変換装置
10 筐体
11 第1窪み
12 第2窪み
15 配線孔
16 端子台
17 基板
DCL 直流リアクトル(第1リアクトル)
ACL 交流リアクトル(第2リアクトル)
IPM 複数のスイッチ素子
S1〜S5 開閉器
L1〜L5 配線
FAN ファン
F1 第1フィン
F2 第2フィン
F3 第3フィン
図1
図2