特許第6047760号(P6047760)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047760
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】部品実装システムおよび部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20161212BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20161212BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20161212BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   H05K13/04 M
   H05K3/34 505C
   H05K3/34 512A
   H05K13/08 Q
   H05K13/02 W
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-239491(P2013-239491)
(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-99863(P2015-99863A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2015年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健二
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−222828(JP,A)
【文献】 特開2012−038755(JP,A)
【文献】 特開2009−021467(JP,A)
【文献】 特開2003−229699(JP,A)
【文献】 特開2003−086996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30−3/34;13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を半田接合により基板に実装して実装基板を製造する部品実装システムであって、
基板に形成された部品接合用の電極に半田を印刷する印刷装置と、
前記印刷された半田の位置を検査し前記半田の位置と前記電極の位置との位置ずれ量を含む検査データを下流側に配置され前記検査データに基づいて補正した実装位置に電子部品を実装する部品実装装置に出力する検査装置と、
前記部品実装装置と、
前記検査装置と前記部品実装装置の間に設けられ前記基板の抜き取り・投入が可能なコンベア装置とを備え、
前記コンベア装置にて前記基板が投入されたことが検出されたならば、前記部品実装装置は前記検査データに拘わらず当該基板について前記電極の位置を基準とした実装位置に電子部品を実装することを特徴とする部品実装システム。
【請求項2】
前記コンベア装置にて前記基板が抜き取られたことが検出されたならば、前記抜き取られた基板に対応する検査データを消去することを特徴とする請求項1記載の部品実装システム。
【請求項3】
複数の部品実装用装置を連結して構成された部品実装システムによって、電子部品を半田接合により基板に実装して実装基板を製造する部品実装方法であって、
基板に形成された部品接合用の電極に半田を印刷する印刷工程と、
前記印刷された半田の位置を検査し前記半田の位置と前記電極の位置との位置ずれ量を含む検査データを下流側の前記部品実装用装置に出力する検査工程と、
前記検査データに基づいて補正した実装位置に電子部品を実装する部品実装工程と、
前記検査工程の後であって前記部品実装工程の前の前記基板の抜き取り・投入を検出する基板抜き取り・投入検出工程とを含み、
前記基板抜き取り・投入検出工程にて前記基板が投入されたことが検出されたならば、前記部品実装工程において前記検査データに拘わらず当該基板について前記電極の位置を基準とした実装位置に電子部品を実装することを特徴とする部品実装方法。
【請求項4】
前記基板抜き取り・投入検出工程にて前記基板が抜き取られたことが検出されたならば、前記抜き取られた基板に対応する検査データを消去することを特徴とする請求項3記載の部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部品実装用装置を連結した部品実装システムおよびこの部品実装システムによる部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に半田接合により実装して実装基板を製造する部品実装システムは、印刷装置、検査装置、部品実装装置、リフロー装置など複数の部品実装用装置を連結して構成されている。このような部品実装システムにおいて、基板に半田接合用に形成された電極に対する半田の印刷位置ずれに起因して生じる実装不良を防止することを目的として、半田印刷位置を実際に計測して取得された半田位置情報を後工程に対してフィードフォワードする位置補正技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示す例では、印刷装置と部品実装装置との間に検査装置を配置して印刷位置ずれを検出し、後工程の部品実装装置に対して印刷位置ずれの影響を最小限にするための搭載位置の補正情報を伝達するようにしている。これにより、部品搭載後のリフロー過程において溶融半田の表面張力によって電子部品が電極に対して引き寄せられる、いわゆるセルフアライメント効果を利用して印刷位置ずれの影響を緩和することができ、実装基板製造過程における実装品質を確保することができる。
【0004】
上述のように印刷装置と部品実装装置の間に検査装置が介在する構成において、印刷検査にてNG判定がなされた場合には、当該基板を検査装置の下流に配置されたコンベア装置を介して抜き出し、作業者が手作業によってリペアなど必要な処置を行った後にこの基板を再投入することが行われる(特許文献2参照)。特許文献2に示す例では、検査対象基板や検査実行情報を記録した蓄積データに基づき、半田印刷工程における基板の抜き取りや再投入が基板の品質に及ぼす影響を確認できるようにした例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−229699号公報
【特許文献2】特開2011−185638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、印刷検査によって取得された半田位置情報を後工程にフィードフォワードする部品実装システムにおいて、上述のようなNG判定されたNG基板の抜き取りや再投入を適用する場合には、実装対象の基板の精度特性や装置ユーザ固有の生産方式によっては必ずしも全体的な生産効率の向上をもたらすとは限らず、以下に述べるような不都合が生じる場合がある。すなわち、NG判定後に抜き取られてリペアの対象となった場合には、当該基板の検査データはもはや当該基板の正しい半田位置情報を示していないため、再投入に際しては検査装置の上流側にリペア後の基板を投入し、再度印刷検査を実行して検査データを再取得する必要がある。
【0007】
このような場合にはNG基板の取り扱いが煩雑となって作業者の手間が増大するとともに、検査装置の検査負荷が増大して生産性の低下を招く。これに対し実装対象の基板の精度特性によっては、半田位置情報を用いずに設計情報通りに電極位置を目標として部品実装を行っても実装品質に大きな影響を及ぼさない場合もある。ところが従来技術においては、半田位置情報のフィードフォワードが一律に適用される結果、実装対象の基板や生産現場の状況に応じた実装位置補正方式の弾力的な運用が必ずしも確保されていたとは言い難いものであった。
【0008】
そこで本発明は、実装対象の基板や生産現場の状況に応じた実装位置補正方式の弾力的な運用を確保することが可能な部品実装システムおよび部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の部品実装システムは、電子部品を半田接合により基板に実装して実装基板を製造する部品実装システムであって、基板に形成された部品接合用の電極に半田を印刷する印刷装置と、前記印刷された半田の位置を検査し前記半田の位置と前記電極の位置との位置ずれ量を含む検査データを下流側に配置され前記検査データに基づいて補正した実装位置に電子部品を実装する部品実装装置に出力する検査装置と、前記部品実装装置と、前記検査装置と前記部品実装装置の間に設けられ前記基板の抜き取り・投入が可能なコンベア装置とを備え、前記コンベア装置にて前記基板が投入されたことが検出されたならば、前記部品実装装置は前記検査データに拘わらず当該基板について前記電極の位置を基準とした実装位置に電子部品を実装する。
【0010】
本発明の部品実装方法は、複数の部品実装用装置を連結して構成された部品実装システムによって、電子部品を半田接合により基板に実装して実装基板を製造する部品実装方法であって、基板に形成された部品接合用の電極に半田を印刷する印刷工程と、前記印刷された半田の位置を検査し前記半田の位置と前記電極の位置との位置ずれ量を含む検査データを下流側の前記部品実装用装置に出力する検査工程と、前記検査データに基づいて補正した実装位置に電子部品を実装する部品実装工程と、前記検査工程の後であって前記部品実装工程の前の前記基板の抜き取り・投入を検出する基板抜き取り・投入検出工程とを含み、前記基板抜き取り・投入検出工程にて前記基板が投入されたことが検出されたならば、前記部品実装工程において前記検査データに拘わらず当該基板について前記電極の位置を基準とした実装位置に電子部品を実装する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、実装対象の基板や生産現場の状況に応じた実装位置補正方式の弾力的な運用を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの平面図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装システムの制御系の構成を示すブロック図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおける基板移動に伴う検査データのデータ整合処理の説明図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装システムによる部品実装フローの説明図
図5】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおける実装位置補正の説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は基板に半田接合により電子部品を実装して実装基板を製造する機能を有しており、複数の電子部品実装用装置を直列に連結して構成されている。ここでは直列に連結された印刷装置M1、検査装置M2、コンベア装置M3の下流に、部品実装装置M4を直列に接続した構成となっている。
【0014】
以下、各装置の構成を説明する。印刷装置M1は実装対象の基板4に形成された部品接合用の電極6にペースト状の半田5(図5(a)(b)参照)を印刷する機能を有しており、基台2Aの上面には実装対象の基板4を基板搬送方向に搬送する基板搬送機構3および搬送された基板4を位置決めして保持する基板位置決め部8が配置されている。基板位置決め部8の上方にはマスク枠14に展張されたマスクプレート15が配設されており、さらにマスクプレート15の上方には、移動ビーム12に保持されたスキージユニット13をY軸テーブル11によって水平駆動する構成のスクリーン印刷部36(図2参照)が配設されている。
【0015】
上流側から供給され(矢印a)、基板位置決め部8によって位置決めされた基板4をマスクプレート15の下面に当接させ、Y軸テーブル11を駆動して半田が供給されたマスクプレート15の上面でスキージユニット13を摺動させることにより、基板4に形成された部品接続用の電極6にはマスクプレート15に設けられたパターン孔を介して半田5が印刷される。
【0016】
検査装置M2は、印刷装置M1によって印刷作業が実行された後の基板4を受け取り、基板4に印刷された半田5の印刷状態を検査する印刷検査を行う機能を有している。検査装置M2の基台2Bの上面には、印刷装置M1から渡された基板4を搬送して所定位置に位置決めする基板搬送機構9が配置されている。さらに基板搬送機構9の上方には、Y軸テーブル11、X軸移動ビーム16よりなるカメラ移動機構によって水平移動する検査用のカメラ17が配設されている。
【0017】
カメラ移動機構を駆動することにより、カメラ17は基板4の上方で水平方向に移動し、基板4の任意位置を撮像する。そしてこの撮像結果を画像認識部43(図2参照)によって認識処理し、認識処理結果を検査処理部44によって判定処理することにより、印刷検査が実行される。印刷状態の良否判定結果とともに、当該基板における半田5の印刷位置の正規位置からの位置ずれ量の検出結果を含む検査データが、個別の基板4毎に作成され記憶される。これらの検査データは、下流の部品実装装置M4にフィードフォワードデータとして伝達される。
【0018】
すなわち検査装置M2による印刷検査においては、印刷された半田5の位置を検査した半田5の位置と電極6の位置との位置ずれ量を含む検査データを下流側の部品実装用装置に出力する。そして部品実装装置M4においては、これらフィードフォワードされた検査データに基づいて補正した実装位置PMに電子部品7(図5(c)参照)を実装する。
【0019】
検査装置M2と部品実装装置M4の間にはコンベア装置M3が配設されており、印刷検査後の基板4はコンベア装置M3の基板搬送機構18を介して部品実装装置M4に搬送される。基台2Cには、印刷検査後の基板4を作業者によって抜き取り・投入が可能な基板取り出し機構20が設けられている。
【0020】
コンベア装置M3の下流に配置された部品実装装置M4の構成を説明する。基台2Dの中央には、基板搬送方向(X方向)に基板搬送機構19が配設されている。基板搬送機構19はコンベア装置M3を介して検査装置M2から渡された基板4を搬送し、以下に説明する部品搭載機構55(図2参照)によって部品搭載作業を行うための実装ステージに位置決めする。
【0021】
基板搬送機構19の両側にはそれぞれ部品供給部23が設けられており、部品供給部23には複数のテープフィーダ24が並設されている。テープフィーダ24は基板4に実装される電子部品を保持したキャリアテープをピッチ送りすることにより、部品ピックアップ位置に電子部品を供給する。基台2DのX方向側の端部には、Y軸移動テーブル21が配設されており、Y軸移動テーブル21に結合された2つのX軸移動テーブル22には、それぞれ搭載ヘッド25が装着されている。搭載ヘッド25は複数の単位搭載ヘッドを備えており、各単位搭載ヘッドに装着された吸着ノズルによって電子部品を真空吸着により保持する。
【0022】
Y軸移動テーブル21およびX軸移動テーブル22を駆動することにより、搭載ヘッド25はX方向、Y方向に水平移動する。これにより、搭載ヘッド25はそれぞれ部品供給部23のテープフィーダ24から電子部品を吸着して取り出し、半田印刷作業が実行された後に基板搬送機構19の実装ステージに位置決めされた基板4に電子部品を移送搭載する。Y軸移動テーブル21、X軸移動テーブル22、搭載ヘッド25は、部品供給部23から電子部品をピックアップし、検査装置M2から伝達される検査データに基づいて半田が印刷された基板4に搭載する部品搭載機構55(図2参照)を構成する。
【0023】
搭載ヘッド25の移動経路には、部品認識カメラ26が設けられており、電子部品を保持した搭載ヘッド25が、部品認識カメラ26の上方を移動することにより、部品認識カメラ26は、搭載ヘッド25によって保持された電子部品を下方から撮像して認識する。
【0024】
次に図2を参照して、部品実装システム1の制御系の構成を説明する。図2において、印刷装置M1、検査装置M2、コンベア装置M3、部品実装装置M4は、それぞれLAN回線30を介して相互に接続されており、さらにLAN回線30は管理コンピュータ31に接続されている。管理コンピュータ31はLAN回線30を介して部品実装システム1の全体動作を管理する機能を有している。
【0025】
印刷装置M1は、通信部32、印刷制御部33、印刷データ記憶部34、機構駆動部35を備えている。通信部32は管理コンピュータ31および他装置との間で、LAN回線30を介して信号の授受を行う。印刷制御部33は、印刷装置M1による印刷作業を制御する。印刷データ記憶部34は、印刷作業の実行に必要な印刷データを基板種毎に記憶する。機構駆動部35は印刷制御部33に制御されて、基板搬送機構3、基板位置決め部8、スクリーン印刷部36を制御する。
【0026】
検査装置M2は、基板搬送機構9、通信部41、検査制御部42、画像認識部43、検査処理部44、検査データ記憶部45、データ整合処理部46を備えている。通信部41は、管理コンピュータ31および他装置との間で、LAN回線30を介して信号の授受を行う。検査制御部42は、検査装置M2によって実行される印刷検査作業を制御する。
【0027】
画像認識部43はカメラ17によって撮像された印刷後の基板4の画像を認識処理する。検査処理部44は画像認識部43によって認識処理された結果に基づき、個別の基板4毎に印刷検査を実行するための処理を行う。この印刷検査においては、印刷状態の良否判定結果とともに、当該基板4における半田5の印刷位置の正規位置からの位置ずれ状態を示す位置ずれ量を含む検査データが個別の基板4毎に作成される。検査データ記憶部45は、このようにして作成された検査データを記憶する。すなわちこの検査データには、各基板4の印刷状態の良否判定結果を示す良否判定データ45a、位置ずれ量の検出結果を示す位置ずれ量データ45bが含まれる。
【0028】
データ整合処理部46は、上述の検査データと個々の基板4との対応関係を整合させる処理を行う。本実施の形態では、基板4を固有の基板ID情報に基づいて識別する方式を採用しておらず、検査装置M2によって各基板4について取得された検査データを個々の基板4と紐付ける手段を有していない。このため、検査装置M2から搬出された基板4の搬出順序と検査装置M2から順次出力される検査データの転送順序とが正しく対応するように、個々の基板4と当該基板4についての検査データとの対応関係を常に整合させる必要がある。
【0029】
ところが、検査装置M2から搬出された後の基板4については、検査結果によって示された不良のリペアなどの理由により、コンベア装置M3を介して抜き取られ、さらにはリペア後の基板4を再びコンベア装置M3に投入する場合がある。このような場合には、基板4の搬出順序と検査データの出力順序との対応関係が保たれるとは限らず、一般には順序関係が混乱して個々の基板4と検査データとは整合しない。このため本実施の形態においては、コンベア装置M3を介しての基板4の抜き取り・投入をデータ整合処理部46が監視することにより、検査データと個々の基板4との対応関係を整合させるようにしている。
【0030】
具体的には、基板4の抜き取りが検出された場合には、当該基板4について取得された検査データを消去する処理を行う。そして一旦抜き取られた基板4を戻し入れのためにコンベア装置M3に投入する場合には、検査データにおいて電極と半田との位置ずれ量をゼロとしたデータ、すなわち部品実装装置M4の搭載データ記憶部53に予め実装データとして与えられた電極6の位置を基準として電子部品を実装する。
【0031】
コンベア装置M3は、通信部47,基板搬送機構18,基板抜き取り・投入検出部48を備えている。通信部47は、他装置および管理コンピュータ31との間でLAN回線30を介して信号の授受を行う。基板抜き取り・投入検出部48は、基板取り出し機構20を介して基板4が抜き取られたこと、さらに基板4が投入されたことを検出する。
【0032】
部品実装装置M4は、それぞれ通信部51、搭載制御部52、搭載データ記憶部53、機構駆動部54、データ整合処理部56を備えている。通信部51は、他装置および管理コンピュータ31との間でLAN回線30を介して信号の授受を行う。搭載制御部52は、部品実装装置M4による部品搭載作業を制御する。搭載データ記憶部53は、部品搭載作業に必要となる実装データなどのデータを基板種毎に記憶する。機構駆動部54は、搭載制御部52に制御されて基板搬送機構19および部品搭載機構55を駆動する。
【0033】
搭載制御部52は、部品搭載機構55の部品搭載動作の実行に際しては、検査装置M2からフィードフォワードされた検査データの位置ずれ量データ45bに基づいて部品搭載機構55を制御することにより、電子部品の部品搭載位置を補正する。データ整合処理部56は、検査装置M2のデータ整合処理部46と同様の処理を、部品実装装置M4に搬入された基板4を対象として実行し、一旦抜き取られた後に投入された基板4について、基板4と検査データとの対応関係を整合させる処理をおこなう。
【0034】
図3は、データ整合処理部46,56によって実行される基板移動に伴うデータ制御処理を示している。図3に示すように部品実装システム1では、「装置」60aで示される複数の部品実装用装置間で、「基板移動」60に示されるような基板の移動が実行される。例えば印刷装置M1については、複数の「基板1」,「基板2」・・・(基板4(1)、4(2)・・・と記述する)が時系列的に順次搬入・搬出される。そして各基板については、一つの装置での作業が終了する度に下流側の次工程装置へ順次搬送され(矢印a1,a2,a3・・、矢印b1,b2、矢印c1・・等参照)、新たな作業工程の対象となる。
【0035】
ここで検査装置M2では、搬入された各基板4について所定の検査が行われ、検査結果は各基板毎の個別の検査データとして検査装置M2から出力される。出力された個別の検査データは、検査装置M2以降の下流各装置に対応して設定されたデータ保存先の「フォルダ」61aの間で、「データ転送」61で示すようなデータ転送処理が実行される。ここでフォルダF1,F2,F3は、それぞれ検査装置M2,コンベア装置M3,部品実装装置M4に対応しており、基板4(1)、4(2)・・について取得された検査データD1,D2・・・は、当該基板の移動に伴って移動先装置に対応したフォルダに転送される(矢印d1,d2,e1・・等参照)。
【0036】
図3では、「基板移動」60の過程にて、基板4(1)がコンベア装置M3においてリペアなどの理由により一旦抜き取られ、処置後に再投入された例が示されている。本実施の形態ではこのような基板4の抜き取り・投入は基板抜き取り・投入検出部48によって検出され、この検出結果に基づき以下に示すデータ整合処理が実行される。まず基板4の抜き取りが検出された場合には、当該基板4に対応してフォルダF2に格納された検査データD1を消去するデータ処理を行う。すなわちコンベア装置M3から抜き取られてリペア処理の対象となった後の基板4は、もはや検査装置M2で取得された検査データとは一致しないことから、このような不用の検査データをフォルダに残すことは適切ではなく、基板抜き取りタイミングと合わせて消去することが望ましい。
【0037】
さらにこのようにして抜き取られた基板4が、リペア後などにコンベア装置M3を介して再投入された場合には、当該基板4に対応する検査データは既に消去されて存在しない。すなわち通常のデータ転送プロセスでは部品実装装置M4に対応したフォルダF3に転送される(破線で示す矢印d2参照)べき検査データが存在しないため、本実施の形態では、部品実装装置M4の搭載データ記憶部53に予め実装データとして与えられたデータに基づいて、半田と電極との位置ずれ量をゼロとした形態の疑似検査データD1*によって検査データを置換する処理を行う。これにより、検査装置M2にて検出された位置ずれ量を無視して電極位置を基準とした実装動作が実行される(図5(d)参照)。
【0038】
すなわち上述構成の部品実装システム1では、検査装置M2と部品実装装置M4の間に設けられ基板4の抜き取り・投入が可能なコンベア装置M3とを備え、コンベア装置M3にて基板4が抜き取られたことが検出されたならば、当該抜き取られた基板4に対応する検査データを消去し、さらにコンベア装置M3にて基板4が投入されたことが検出されたならば、部品実装装置M4は検査装置M2で取得された検査データに拘わらず、当該基板4について電極6の位置を基準とした実装位置に部品を実装するようになっている。
【0039】
この部品実装システム1は上記の様に構成されており、この部品実装システム1によって部品を半田接合により基板に実装して実装基板を製造する部品実装方法について、図4図5を参照して説明する。図5(a)に示すように、実装対象の基板4には部品接合用の複数の電極6とともに、基板4における位置基準となる認識マーク4aが形成されている。基板4はまず印刷装置M1に搬入され、ここで図5(b)に示すように、部品接合用の各電極6に半田5が印刷される(ST1)(印刷工程)。
【0040】
次いで基板4は検査装置M2に搬入され、ここでカメラ17によって基板4を撮像して画像認識することにより、基板4に形成された電極6が各電極部位ごとに認識される。これにより、各電極部位における1対の電極6の重心位置6*を示す位置データ(電極位置データ)が、基板4の認識マーク4aを基準とした座標値xL(i),yL(i)として求められる(図5(a))とともに、各電極部位ごとに、1対の電極6上に印刷された半田5の重心位置5*を示す位置データ(半田位置データ)が、認識マーク4aを基準とした座標値xS(i),yS(i)として求められる(図5(b))。
【0041】
これらの電極位置データおよび半田位置データは検査処理部44に送られ、ここで印刷結果の良否を示す良否判定データ45aとともに、電極6と半田5との位置ずれを示す位置ずれ量データ45bが求められ、検査データ記憶部45に記憶される。そしてこれら半田5の位置と電極6の位置との位置ずれ量を含む検査データをLAN回線30を介して下流側の部品実装用装置に出力する(ST2)(検査工程)。次いで基板4は部品実装装置M4に搬入され、ここで図5(c)に示すように、検査データに基づいて補正した実装位置PMに、電子部品7を実装する(ST3)(部品実装工程)。ここでは、半田5の重心位置5*を実装位置PMとする例を示している。
【0042】
上述の(ST1)〜(ST3)を反復して実行する過程において、不良判定がなされた場合などには、コンベア装置M3にて検査工程の後であって部品実装工程の前に当該基板4の抜き取り・投入が実行され、基板抜き取り・投入検出部48によって基板4の抜き取り・投入を検出する(ST4)(基板抜き取り・投入検出工程)。
【0043】
そして基板抜き取り・投入検出工程にて、基板4が抜き取られたことが検出されたならば、抜き取られた基板4に対応する検査データ(図3においてフォルダF2に格納された検査データD1参照)を消去する処理を行う。これにより抜き取られてリペア処理の対象となった後の基板4など、不用の検査データをフォルダから排除することができる。
【0044】
さらに、基板抜き取り・投入検出工程にて、抜き取られた後の基板4が投入されたことが検出されたならば、半田5と電極6との位置ずれ量をゼロとした形態の疑似検査データD1*(図3に示すフォルダF3参照)によって検査データを置換する処理を行う。すなわち図5(d)に示すように、部品実装工程において検査データに拘わらず当該基板4について電極6の重心位置6*を基準とした実装位置PMに電子部品7を実装する。
【0045】
上記説明したように、本実施の形態に示す部品実装システム1および部品実装方法では、部品接合用の電極6に印刷された半田5の位置の位置ずれ量を含む検査データを下流側に出力し、検査データに基づいて補正した実装位置に電子部品7を実装する部品実装システム1において、検査工程の後であって部品実装工程の前に基板4が抜き取られて再投入されたことが検出されたならば、部品実装工程において検査データに拘わらず当該基板4について電極6の位置を基準とした実装位置PMに電子部品7を実装するようにしている。
【0046】
このような運用を用いることにより、リペアなどのために抜き出された基板4を再投入する際に必要とされていた再度の印刷検査を省略することが可能となり、検査装置の負荷増大を排して生産性の向上を図ることができる。さらに半田位置情報のフィードフォワードを一律に適用することに起因する不都合、例えば実装対象の基板の精度特性によっては、フィードフォワードに必要とされるデータ運用の煩雑さの割には所期の実装品質の改善効果が期待できない点など、従来技術において指摘されていた課題を解決することが可能となっている。これにより、実装対象の基板や生産現場の状況に応じた実装位置補正方式の弾力的な運用が可能となっている。
【0047】
なお、ここで云う半田位置情報のフィードフォワードには、個々の電極について半田の位置ずれ情報を取得してフィーダバック対象とする方式のみならず、基板認識マーク上に印刷された半田の位置ずれを検出して、便宜的に全ての電極についての半田の位置ずれ情報としてフィードフォワードする方式も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の部品実装システムおよび部品実装方法は、実装対象の基板や生産現場の状況に応じた実装位置補正方式の弾力的な運用を確保することができるという効果を有し、基板に電子部品などの部品を実装して実装基板を製造する分野に有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 部品実装システム
4 基板
5 半田
6 電極
M1 印刷装置
M2 検査装置
M3 コンベア装置
M4 部品実装装置
PM 実装位置
図1
図2
図3
図4
図5