特許第6047811号(P6047811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6047811フィルタ、フィルタを製作する方法、およびレーザ波長監視装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047811
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】フィルタ、フィルタを製作する方法、およびレーザ波長監視装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/04 20060101AFI20161212BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   G02B5/04 B
   H01S3/00 G
   G02B5/04 E
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-515586(P2016-515586)
(86)(22)【出願日】2013年5月27日
(65)【公表番号】特表2016-520218(P2016-520218A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】CN2013076273
(87)【国際公開番号】WO2014190473
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2016年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲敏▼
(72)【発明者】
【氏名】王 磊
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲華▼▲楓▼
(72)【発明者】
【氏名】廖 振▲興▼
【審査官】 植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−130001(JP,A)
【文献】 特開2006−195301(JP,A)
【文献】 特開2005−235276(JP,A)
【文献】 特開平2−307281(JP,A)
【文献】 特開2004−234818(JP,A)
【文献】 特開2003−45063(JP,A)
【文献】 特許第3538987(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00− 5/136
H01S 3/00
G02B 5/20− 5/28
G02B 5/30
G02B27/00−27/64
G01J 1/00− 1/60
G01J11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの半透明体であって、前記2つの半透明体はそれぞれ、第1の面、前記第1の面に対してくさび角を形成する第2の面、ならびに前記第1の面および前記第2の面の両方と交差する第3の面を有し、前記2つの半透明体の第1の面は互いに平行であり、前記2つの半透明体の第2の面は互いに平行である、半透明体と、
ビーム分割膜であって、両側の面がそれぞれ前記2つの半透明体の前記第1の面と結合される、ビーム分割膜と、
2つの反射膜であって、それぞれ前記2つの半透明体の前記第2の面と結合される、反射膜と、
を備えることを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
前記くさび角が45°±λであり、λは設定された許容可能な誤差である、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記2つの半透明体の第3の面が互いに平行または非平行である、請求項1または2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記2つの半透明体において、前記半透明体の一方は少なくとも2つの半透明基板を含み、反射防止被覆が2つの隣接する半透明基板の間に配設される、請求項3に記載のフィルタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルタの製作方法であって、
前記2つの半透明体の第2の面に別々に反射膜をメッキし、一方の前記半透明体の第1の面にビーム分割膜をメッキするステップと、
他方の前記半透明体の第1の面を前記ビーム分割膜と結合するステップと、
を含むことを特徴とする製作方法。
【請求項6】
他方の前記半透明体の第1の面を前記ビーム分割膜と結合する前記ステップは、具体的に、
他方の前記半透明体の前記第1の面を前記ビーム分割膜に接合するステップである、請求項5に記載の製作方法。
【請求項7】
2つの光受信機および請求項1から4のいずれか一項に記載の前記フィルタを備え、
前記フィルタの2つの反射膜はそれぞれレーザの送出ポートおよび伝達ファイバの入射ポートの管オリフィスに対向し、前記フィルタの前記2つの第3の面はそれぞれ前記2つの光受信機の受信ポートに対向することを特徴とするレーザ波長監視装置。
【請求項8】
前記レーザの前記送出ポートと、前記レーザの前記送出ポートに対向する、前記フィルタの前記反射膜との間に配置されるコリメーションレンズをさらに備える、請求項7に記載のレーザ波長監視装置。
【請求項9】
前記コリメーションレンズの一方の側は平面であり、前記コリメーションレンズの前記側に対向する、前記フィルタの反射膜と結合される、請求項8に記載のレーザ波長監視装置。
【請求項10】
前記伝達ファイバの前記入射ポートの前記管オリフィスと、前記伝達ファイバの前記入射ポートの前記管オリフィスに対向する、前記フィルタの前記反射膜との間に配置される第1のフォーカスレンズをさらに備える、請求項7から9のいずれか一項に記載のレーザ波長監視装置。
【請求項11】
前記第1のフォーカスレンズの一方の側は平面であり、前記第1のフォーカスレンズの前記側に対向する、前記フィルタの前記反射膜と結合される、請求項10に記載のレーザ波長監視装置。
【請求項12】
前記フィルタの前記2つの第3の面と、前記フィルタの前記2つの第3の面に対向する、前記光受信機の前記受信ポートとの間にそれぞれ配置される2つの第2のフォーカスレンズをさらに備える、請求項7から11のいずれか一項に記載のレーザ波長監視装置。
【請求項13】
前記フィルタにおいて、少なくとも2つの半透明基板を備える半透明体が、前記伝達ファイバの前記入射ポートの近傍の、ビーム分割膜の一方の側に配置される、請求項7から12のいずれか一項に記載のレーザ波長監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ通信技術の分野に関し、詳細には、フィルタ、フィルタを製作する方法、およびレーザ波長監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
帯域幅に関するユーザの要求が継続して大きくなるにつれ、従来の銅線ブロードバンドアクセスシステムはますます帯域幅に関する障害に直面している。同時に、大きな帯域幅容量を用いる光ファイバ通信技術はますます成熟し、光ファイバアクセスネットワークが、次世代ブロードバンドアクセスネットワークにおける手強い競合技術になっている。特に、PON(passive optical network、受動光ネットワーク)システムがより競争力が高い。
【0003】
PONシステムでは、光学モジュールが、送受信機システムを実装するための物理的な実体として用いられ、光学モジュールの機能は極めて重要である。すなわち、レーザが通信光波の送出装置として用いられ、レーザの機能は最優先事項である。PON分野の多くの応用例の状況では、レーザデバイスの発振波長は特定の値において安定している必要があり、それによって、物理的発振および光通信規格の技術仕様が満足されることが保証される。したがって、多くの応用例の状況では、光学モジュールのレーザは、一般に、波長を調整するために用いられる半導体冷却器または加熱膜を有し、レーザ波長監視装置を用いてフィードバック調整を実施する必要がある。
【0004】
図1に示すように、従来のレーザ波長監視装置は、コリメーションレンズ1、第1のフォーカスレンズ2、F−Pエタロン3、2つのビームスプリッタ4aおよび4b、2つの光受信機5aおよび5b、ならびに2つの第2のフォーカスレンズ6aおよび6bを含み、F−Pエタロン3は櫛形フィルタとして機能し、2つのビームスプリッタ4aおよび4bはそれぞれ固定分割比を有するビームスプリッタである。レーザ7によって放出された光は、コリメーションレンズ1を通過した後でコリメートされた光になる。ビームスプリッタ4aはコリメートされた光を特定の比に従って分割し、光の一部は第2のフォーカスレンズ6aを通過した後で光受信機5aによって受け取られ、光の他の部分はビームスプリッタ4aを通過した後でF−Pエタロン3に入射する。ビームスプリッタ4bは、特定の比に従って、F−Pエタロン3を通過する光を分割し、光の一部は第2のフォーカスレンズ6bを通過した後で光受信機5bによって受け取られ、光の他の部分はビームスプリッタ4bを通過し、次いで、第1のフォーカスレンズ2を通過した後で伝達ファイバの入射ポート8に入射する。
【0005】
PD10およびPD20はそれぞれ2つの光受信機5aおよび5bの最初に較正された光強度であり、PD1およびPD2はそれぞれ2つの光受信機5aおよび5bが実際に受け取る光強度であり、光受信機5bが実際に受け取る光強度と光受信機5aが実際に受け取る光強度との比はA=PD2/PD1であるとする。レーザ波長に赤方偏移が生じると、PD2=PD20+ΔPとなり、レーザ波長に青方偏移が生じると、PD2=PD20−ΔPとなるが、PD1はレーザ波長に応じて変化しない。したがって、波長オフセットは下記のようになる。
ΔA=+ΔP/PD10 (赤方偏移)、およびΔA=−ΔP/PD10 (青方偏移) (1)
【0006】
したがって、レーザ波長の変化状態は波長オフセットΔAに従って定義され得る。
【0007】
従来技術は以下のデメリットを有します:2つのビームスプリッタのために、レーザ波長監視装置の全体的なパッケージングサイズが比較的大きくなること及び、パッケージングコストが比較的高くなり、それが現在の開発傾向である小型化および低コストに合わないこと。さらに、この構造のレーザ波長監視装置の監視精度は十分ではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、フィルタ、フィルタを製作する方法、およびレーザ波長監視装置を提供し、それによって、レーザ波長監視装置の体積およびコストを低減させ、さらに監視精度を向上させる。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、フィルタが提供される。このフィルタは、2つの半透明体であって、半透明体はそれぞれ、第1の面、第1の面に対してくさび角を形成する第2の面、ならびに第1の面および第2の面の両方と交差する第3の面を有し、2つの半透明体の第1の面は互いに平行であり、2つの半透明体の第2の面は互いに平行である、半透明体と、
ビーム分割膜であって、両側の面がそれぞれ2つの半透明体の第1の面と結合される、ビーム分割膜と、
2つの反射膜であって、それぞれ2つの半透明体の第2の面と結合される、反射膜と、を備える。
【0010】
第1の態様の可能な実装形態では、くさび角が45°±λであり、λは設定された許容可能な誤差である。
【0011】
第1の態様の可能な実装形態では、2つの半透明体の第3の面が互いに平行または非平行である。
【0012】
第1の態様の可能な実装形態では、2つの半透明体において、半透明体の一方は少なくとも2つの半透明基板を含み、反射防止被覆が2つの隣接する半透明基板の間に配設される。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、前述の技術的解決策のいずれか1つによるフィルタを製作する方法が提供される。この方法は、2つの半透明体の第2の面に別々に反射膜をメッキし、一方の半透明体の第1の面にビーム分割膜をメッキするステップと、
他方の半透明体の第1の面をビーム分割膜と結合するステップと、を含む。
【0014】
第2の態様の可能な実装形態では、他方の半透明体の第1の面をビーム分割膜と結合するステップは、具体的に、
他方の半透明体の第1の面をビーム分割膜に接合するステップである。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、レーザ波長監視装置が提供される。この装置は、2つの光受信機および前述の技術的解決策のいずれか1つによるフィルタを備え、
フィルタの2つの反射膜はそれぞれレーザの送出ポートおよび伝達ファイバの入射ポートに対向し、フィルタの2つの第3の面はそれぞれ2つの光受信機の受信ポートに対向する。
【0016】
第3の態様の可能な実装形態では、レーザ波長監視装置は、レーザの送出ポートと、レーザの送出ポートに対向する、フィルタの反射膜との間に配置されるコリメーションレンズをさらに含む。
【0017】
第3の態様の可能な実装形態では、コリメーションレンズの一方の側は平面であり、コリメーションレンズのこの側に対向する、フィルタの反射膜と結合される。
【0018】
第3の態様の可能な実装形態では、レーザ波長監視装置は、伝達ファイバの入射ポートと、伝達ファイバの入射ポートに対向する、フィルタの反射膜との間に配置される第1のフォーカスレンズをさらに含む。
【0019】
第3の態様の可能な実装形態では、第1のフォーカスレンズの一方の側は平面であり、第1のフォーカスレンズのこの側に対向する、フィルタの反射膜と結合される。
【0020】
第3の態様の可能な実装形態では、レーザ波長監視装置は、フィルタの2つの第3の面と、フィルタの2つの第3の面に対向する、光受信機の受信ポートとの間にそれぞれ配置される2つの第2のフォーカスレンズをさらに含む。
【0021】
第3の態様の可能な実装形態では、フィルタにおいて、少なくとも2つの半透明基板を含む半透明体が、ビーム分割膜の一方の側で、伝達ファイバの入射ポートの近傍に配置される。
【0022】
本発明の実施形態の技術的解決策では、ビーム分割膜が2つの半透明体の第1の面間に配設され、そのため、レーザ波長監視装置の波長監視光路が従来技術の光路と比較して大幅に短くなり、レーザ波長監視装置の体積が比較的小さくなり、小型パッケージングを実現することができ、それによって製品のパッケージングコストが大幅に低くなる。さらに、フィルタを有するレーザ波長監視装置は、透過強度および反射強度を監視することができ、また、波長オフセットの監視精度が2倍になる。したがって、レーザ波長監視装置は、監視精度が従来技術の精度と比較して高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来のレーザ波長監視装置の概略構造図である。
図2a】本発明の第1の実施形態によるフィルタの第1の実装形態の概略構造図である。
図2b】本発明の第1の実施形態によるフィルタの第2の実装形態の概略構造図である。
図3】本発明の第5の実施形態によるフィルタを製作する方法の概略フローチャートである。
図4】本発明の或る実施形態によるフィルタを製作するプロセスの概略図である。
図5】本発明の第7の実施形態によるレーザ波長監視装置の概略構造図である。
図6】本発明の第8の実施形態によるレーザ波長監視装置の概略構造図である。
図7】本発明の第9の実施形態によるレーザ波長監視装置の概略構造図である。
図8】本発明の第10の実施形態によるレーザ波長監視装置の概略構造図である。
図9】本発明の第11の実施形態によるレーザ波長監視装置の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
レーザ波長監視装置の体積を小さくし、コストを下げ、さらに監視精度を改善するために、本発明の実施形態では、フィルタ、フィルタを製作する方法、およびレーザ波長監視装置が提供される。本発明の実施形態の技術的解決策では、ビーム分割膜が2つの半透明体の第1の面間に配設され、そのため、レーザ波長監視装置の波長監視光路が従来技術の光路と比較して大幅に短くなり、レーザ波長監視装置の体積が比較的小さくなり、小型パッケージングを実現することができ、それによってパッケージングコストが比較的低くなる。さらに、フィルタを有するレーザ波長監視装置は、透過強度および反射強度を監視することができ、また、波長オフセットの監視精度が2倍になる。したがって、レーザ波長監視装置はさらに、監視精度が従来技術の精度と比較して高くなる。本発明のこれらの目的、技術的解決策、および利点をよりわかりやすくするために、以下に具体的な実施形態を列挙することによって本発明をさらに詳細に説明する。
【0025】
図2aに示すように、本発明の第1の実施形態におけるフィルタは、
2つの半透明体9であって、半透明体9はそれぞれ、第1の面10、第1の面10に対してくさび角を形成する第2の面11、ならびに第1の面10および第2の面11の両方と交差する第3の面12を有し、2つの半透明体9の第1の面10は互いに平行であり、2つの半透明体9の第2の面11は互いに平行である、半透明体9と、
ビーム分割膜13であって、両側の面がそれぞれ2つの半透明体9の第1の面10と結合されるビーム分割膜13と、
2つの反射膜14であって、それぞれ2つの半透明体9の第2の面11と結合される反射膜14と、を含む。
【0026】
半透明体9は、半透明基板を1つだけ含むか、または、2つ以上の半透明基板を含み得る。図2bに示す実施形態では、2つの半透明体9において、半透明体9の一方は少なくとも2つの半透明基板16を含み、反射防止被覆17が2つの隣接する半透明基板16の間に配設される。反射防止被覆17を配置することによって、光の損失が低減され得る。半透明基板16の材料は限定されないが、ガラスなどの材料が選択され使用され得、半透明基板の断面形状は三角形、台形などとされ得る。
【0027】
平行干渉共鳴モード(F−P干渉およびG−T干渉を含むが、これらに限定されるものではない)を用いてフィルタリング機能を実現するために、2つの半透明体9の第1の面10は互いに平行であり、2つの半透明体9の第2の面11は互いに平行である。ビーム分割膜13は固定分割比を有し、この比に従って入射レーザ光を分割し得、一方の部分は反射され、他方の部分は透過する。まず一方の半透明体9の第1の面10上にビーム分割膜13がメッキされ、次いで他方の半透明体9の第1の面10がビーム分割膜13に接合され、それによって、安定な平行干渉共鳴がフィルタ内に形成され得ることが保証される。反射膜14は、一般に、異なる厚さの複数の膜の層が交互に配置されている。これらの膜の層は二酸化シリコン膜の層、二酸化タンタル膜の層などとし得る。これらの膜の層の特定の構造の設計は従来技術であり、本明細書では詳細を重ねて説明しない。
【0028】
くさび角は特定の値に限定されない。本発明の第2の実施形態におけるフィルタではくさび角が45°±λであり、ここでλは設定された許容可能な誤差であり、例えば1°である。この値の範囲内でくさび角を選択し用いることによって、フィルタの光路の設計が比較的簡単かつ好都合となり得、それによって、レーザ波長監視装置の内部の機械的な部分のレイアウトが容易になる。
【0029】
本発明の第3の実施形態におけるフィルタでは、2つの半透明体9の第3の面12が互いに平行ではない。本発明の第4の実施形態におけるフィルタでは、2つの半透明体9の第3の面12が互いに平行である。2つの半透明体9の第3の面12を互いに平行に配設することによって、レーザ波長監視装置の2つの光受信機が対称位置に配設され得、それによって、光路の設計ならびに製品の簡潔さおよび小型化がさらに容易になり、製品のパッケージングコストがさらに低減される。
【0030】
図3および図4に示すように、本発明の第5の実施形態におけるフィルタを製作する方法は、下記のステップを含む。
【0031】
ステップ101:2つの半透明体の第2の面に別々に反射膜をメッキし、一方の半透明体の第1の面上にビーム分割膜をメッキする。
【0032】
ステップ102:他方の半透明体の第1の面をビーム分割膜と結合する。
【0033】
本発明の第6の実施形態におけるフィルタを製作する方法では、ステップ102で、具体的には接合技術を用いることによって他方の半透明体の第1の面をビーム分割膜と結合する。好ましくは光学接合剤接合技術が用いられる。光学接合剤接合は、別の結合剤および高圧が必要とされない場合には、一連の表面処理を実施した後で2つの同種または異種材料を緊密に貼り合わせて室温で光学接合剤を形成し、次いで、この光学接合剤に熱処理を施して恒久的な接合を得ることである。レーザ応用例の態様では、この技術は、レーザの温度性能およびビームの質を大幅に改善するだけでなく、レーザシステムの統合を容易にする。
【0034】
図5に示すように、本発明の第7の実施形態におけるレーザ波長監視装置は、2つの光受信機5aおよび5bならびに前述の実施形態のいずれか1つによるフィルタ15を含む。
【0035】
フィルタ15の2つの反射膜14はそれぞれレーザ7の送出ポートおよび伝達ファイバの入射ポート8に対向し、フィルタ15の2つの第3の面12はそれぞれ2つの光受信機5aおよび5bの受信ポートに対向する。
【0036】
光受信機5aおよび5bは、フォトダイオードを用いて、受け取ったレーザ光の強度を検出し得る。
【0037】
図6に示す第8の好ましい実施形態を参照すると、レーザ波長監視装置は、レーザ7の送出ポートと、レーザ7の送出ポートに対向する、フィルタ15の反射膜14との間に配置されるコリメーションレンズ1と、伝達ファイバの入射ポート8と、伝達ファイバの入射ポート8に対向する、フィルタ15の反射膜14との間に配置される第1のフォーカスレンズ2とをさらに含む。コリメーションレンズ1および第1のフォーカスレンズ2は、レーザ7および伝達ファイバの入射ポート8の構造内でそれぞれ設計されてもよい。ただし、この場合、レーザ7および伝達ファイバの入射ポート8のサイズが比較的大きく、レーザ7および伝達ファイバの入射ポート8の構造がやや複雑になり、コリメーションレンズ1および第1のフォーカスレンズ2の位置を調整することも不便である。
【0038】
図6に示す好ましい実施形態をさらに参照すると、レーザ波長監視装置は、フィルタ15の2つの第3の面12と光受信機5aおよび5bの受信ポートとの間にそれぞれ配置され、フィルタ15の2つの第3の面12に対向する2つの第2のフォーカスレンズ6aおよび6bをさらに含む。上記同様、代わりに、第2のフォーカスレンズ6aおよび6bは、光受信機5aおよび5bの構造内でそれぞれ設計され得る。光受信機5aおよび5bの受信面の面積が特定の条件を満たす場合、第2のフォーカスレンズ6aおよび6bの配設が省かれ得ることに留意されたい。
【0039】
図7に示すように、本発明の第9の実施形態におけるレーザ波長監視装置では、コリメーションレンズ1の一方の側は平面であり、コリメーションレンズ1のこの側に対向する、フィルタ15の反射膜14と結合される。この場合、レーザ波長監視装置のパッケージングサイズは比較的小さく、第1のフォーカスレンズ2の位置は自由に調整され得る。
【0040】
図8に示すように、本発明の第10の実施形態におけるレーザ波長監視装置では、第1のフォーカスレンズ2の一方の側は平面であり、第1のフォーカスレンズ2のこの側に対向する、フィルタ15の反射膜14と結合される。この場合、レーザ波長監視装置のパッケージングサイズは比較的小さく、コリメーションレンズの位置は自由に調整され得る。
【0041】
図9に示すように、本発明の第11の実施形態におけるレーザ波長監視装置では、コリメーションレンズ1の一方の側は平面であり、コリメーションレンズ1のこの側に対向する、フィルタ15の反射膜14と結合され、第1のフォーカスレンズ2の一方の側は平面であり、フィルタ15の反射膜14と結合される。この場合、レーザ波長監視装置のパッケージングサイズは第9および第10の実施形態におけるレーザ波長監視装置のパッケージングサイズと比較して最も小さいが、コリメーションレンズおよび第1のフォーカスレンズの位置は自由に調整され得ない。
【0042】
フィルタ15では、半透明体9の一方が少なくとも2つの半透明基板16を含む場合、入射光の損失を低減させるために、少なくとも2つの半透明基板16を含む半透明体9は、好ましくは、伝達ファイバの入射ポート8の近傍の、ビーム分割膜13の一方の側に設計される。
【0043】
図6に示す実施形態を例として用いる。レーザ波長監視装置の作動原理は下記のとおりである。レーザ7によって送出されるレーザ光は、コリメーションレンズ1を通過した後でコリメートされた光になり、コリメートされた光はフィルタ15の一方の側の反射膜14に入射し、ビーム分割膜13は受け取ったレーザ光を比に従って分割し、一部は反射されフィルタ15から放出されて第1の光受信機5aに至り、他の部分はフィルタ15の他方の側の反射膜14を透過し、次いで、一部は反射してビーム分割膜13に戻り、ビーム分割膜13は受け取ったレーザ光を比に従って再度分割し、一部は反射してフィルタから放出されて第2の光受信機5bに至る。
【0044】
ビーム分割膜は2つの半透明体の第1の面間に配設され、そのため、レーザ波長監視装置の波長監視光路は従来技術の光路と比較して大幅に短くなり、レーザ波長監視装置の体積は比較的小さくなり、小型のパッケージングが実現され得、それによって製品のパッケージングコストが大幅に低減される。例えば、従来技術の波長監視装置は一般にXMDパッケージングを用い、パッケージングコストが比較的高い。しかし、この解決策における波長監視装置はTOパッケージングを用い得、それによってパッケージングコストが大幅に低減される。
【0045】
PD1およびPD2はそれぞれ2つの光受信機5aおよび5bが実際に受け取る光強度であり、フィルタ15の全体的な反射光強度はPfであり、フィルタ15の全体的な透過光強度はPtであるとする。レーザ波長に赤方偏移が生じると、フィルタ15の全体的な透過光強度はPt+ΔPになり、レーザ波長に青方偏移が生じると、フィルタ15の全体的な反射光強度はPf−ΔPになり、PD1はレーザ波長に応じて変化しない。したがって、波長オフセットは下記のようになる。
ΔA=+2ΔP/(Pf+Pt) (赤方偏移)、およびΔA=−2ΔP/(Pf+Pt) (青方偏移) (2)
【0046】
フィルタ全体としては、Pf+Pt=P0となり、ここでP0は一定値であり、レーザ波長に応じて変化しない。したがって、レーザ波長の変化状態はやはり波長オフセットΔAに従って定義され得る。
【0047】
式(2)を従来技術の式(1)と比較することによって、レーザ波長監視装置は透過強度および反射強度を監視し得、波長オフセットの監視精度は2倍になることがわかる。したがって、従来技術のレーザ波長監視装置と比較すると、本レーザ波長監視装置は監視精度がより高く、監視能力がより高い。
【0048】
当業者が本発明の範囲を逸脱することなく本発明に様々な改変および変形をなし得ることは明らかである。本発明は、これらの改変および変形を、これらが下記の特許請求の範囲およびこれらに等価な技術によって定義される保護範囲に含まれる限り、包含することを意図している。
【符号の説明】
【0049】
1 コリメーションレンズ
2 第1のフォーカスレンズ
3 F−Pエタロン
4a、4b ビームスプリッタ
5a、5b 光受信機
6a、6b 第2のフォーカスレンズ
7 レーザ
8 入射ポート
9 半透明体
10 第1の面
11 第2の面
12 第3の面
13 ビーム分割膜
14 反射膜
15 フィルタ
16 半透明基板
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9