発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
しかしながら、従来の湿式除染方法及び乾式除染方法は、各々、次のような課題を有するものであった。まず、湿式除染方法は、汚染水が大量に発生し、洗浄後に大掛かりな濁水処理が必要となる。又、濁水処理プラントを設置するにあたり、大掛かりな基礎の構築が必要不可欠となる。しかも、湿式除染方法は、土壌に含まれるミネラル分等の良質な成分まで洗い流してしまうことから、農地の土壌を除染するには適さないものである。
一方、乾式除染方法は、汚染物質が土壌中の細粒に付着しやすいという性質を利用して、土壌を粒径で分別する分級を行い、粒度の細かい土壌のみ回収するものである。しかしながら、水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態によって、分級精度にばらつきが生じ得るものである。
更に、湿式と乾式とを組み合わせた除染方法は、分級後に洗浄を行う工程を含むものであり、湿式と同様の課題に加え、汚染されていない粒度の土壌まで研磨する工程を含むために、効率的な除染が困難なものである。
本発明は、課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、汚染土壌の処理の際に汚水が発生せず、効率的に除染を行うことが可能な汚染土壌処理技術を提供することにある。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)
放射性物質により汚染された土壌を採取する汚染土壌採取工程と、
該汚染土壌採取工程で採取された土壌を乾燥させる乾燥工程と、
該乾燥工程にて乾燥された土壌の凝集を解く解砕工程と、
該解砕工程にて解砕された土壌を粒度に応じて分別する分級工程と、
該分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を隔離
する隔離工程と、該分級工程にて分級された土壌のうち、隔離されない残余の土壌の放射線量を測定する放射能レベル測定工程と、を含み、該放射能レベル測定工程にて線量が所定値以下の残余の土壌を再利用すると共に、該放射能レベル測定工程にて線量が所定値を上回る場合には前記分級工程へと戻し、前記分級工程、前記隔離工程、前記放射能レベル測定工程を繰り返す放射性物質汚染土壌処理方法(請求項1)。
本項に記載の
放射性物質汚染土壌処理方法は、汚染土壌採取工程で採取された
放射性物質により汚染された土壌を乾燥工程にて乾燥させ、更に、乾燥された土壌の凝集を解砕工程にてほぐすことで、乾燥させた土壌の粒度を、続く分級工程における、粒度に応じた土壌の分別に適した状態となるように調整するものである。そして、解砕工程にて解砕された土壌を粒度に応じて分級工程にて分別する際に、採取された土壌の水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態に起因する分級精度のばらつきの発生を回避し、分級精度を高めることとなる。そして、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、続く
隔離工程にて隔離し、残余の土壌を土壌採取地へと戻すことで、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を分別して回収し、粒径の大きな土壌を採取地に戻すものである。
又、放射性物質により汚染された土壌の除染に際して、分級工程にて分級された土壌のうち、隔離されない残余の土壌の放射線量を測定し、線量が所定値を上回る場合には、分級工程へと戻すことで、有害物質を含む土壌の隔離、保管を確実にするものである。
しかも、以上の各工程により乾式除染方法による土壌洗浄がなされるものであることから、全工程にわたり、汚染水等の副産物が発生することがない。又、土壌の必要成分(栄養分等)を洗い流してしまうことがないので、洗浄後の土壌は、土壌採取地に戻して再利用しやすい状態のものとなる。又、乾燥させた土壌を解砕して分級することにより、大量の土壌を粉砕する等の処理時間がかかる作業が不要となり、処理効率を高めるものとなる。
(2)(1)項において、前記分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌の粒度を更に細かく粉砕する微粉砕工程と、
該微粉砕工程にて粉砕された土壌を粒度に応じて分別する二次分級工程と、
該二次分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を隔離
する二次隔離工程と、 該二次分級工程にて分級された土壌のうち、隔離されない残余の土壌の放射線量を測定する二次放射能レベル測定工程と、を更に含み、 該二次放射能レベル測定工程にて線量が所定値以下の残余の土壌を再利用すると共に、該二次放射能レベル測定工程にて線量が所定値を上回る場合には前記二次分級工程へと戻し、前記二次分級工程、前記二次隔離工程、前記二次放射能レベル測定工程を繰り返す放射性物質汚染土壌処理方法(請求項2)。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌の粒度を、微粉砕工程において更に細かく粉砕し、微粉砕工程にて粉砕された土壌を、それに続く二次分級工程にて、粒度に応じて更に分別する。そして、二次分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、続く二次
隔離工程にて隔離し、残余の土壌を土壌採取地へと戻すことで、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を、より精密に分別して回収して、隔離、保管する土壌を減容し、可能な限り多くの土壌を採取地に戻すものであるから、再利用することのできる土壌の歩留まり向上が期待できる。
しかも、放射性物質により汚染された土壌の除染に際して、二次分級工程にて分級された土壌のうち、隔離されない残余の土壌の放射線量を測定し、線量が所定値を上回る場合には、二次分級工程へと戻すことで、有害物質を含む土壌の隔離、保管を確実にするものである。又、本項の発明においても、全工程にわたり、乾式除染方法による土壌洗浄がなされるものであり、汚染水等の副産物が発生することがない。
(3)(2)項において、前記微粉砕工程において、土壌粒子の表面部分を剥離させて土壌
を研磨するとともに、前記二次分級工程で該剥離した土壌粒子の表面部分を細粒として分別する汚染土壌処理方法(請求項3)。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、微粉砕工程において、土壌粒子の表面部分を剥離させて土壌
を研磨するとともに、前記二次分級工程で該剥離した土壌粒子の表面部分を細粒として分別することで、(2)項の所定の作用を、より効果的に奏するものである。すなわち、土壌の細粒子は、その表面部分に多くの汚染物質が付着していることから、土壌を強力な力で一挙に微粉砕するのではなく、研磨するような形で徐々に表面から微粉砕し、剥離した表面部分を、二次分級工程により細粒子として分別して分離すれば、極めて効率的に汚染物質が付着した細粒子を分離して隔離できることとなる。
(4)(1)から(3)項において、
前記乾燥工程にて、熱した空気を供給することで土壌を所定の乾燥度まで乾燥させる放射性物質汚染土壌処理方法(請求項4)。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、
乾燥工程において、熱した空気を供給することで土壌を所定の乾燥度まで乾燥させることで、全工程にわたり、乾式除染方法による土壌洗浄がなされるものであり、汚染水等の副産物が発生することがない。
(5)
採取された、放射性物質により汚染された土壌を乾燥させる
、乾燥工程を行う攪拌乾燥装置と、
該攪拌乾燥装置で乾燥させた土壌を解砕する
、解砕工程を行う衝撃式破砕装置と、
該衝撃式破砕装置で破砕した土壌を粒度に応じて分別する
、分級工程を行う気流式分級装置と
、該気流式分球装置により分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を隔離する隔離工程を経た後の、隔離されない残余の土壌の放射線量を測定する、放射能レベル測定工程を行う放射線測定器とを含
み、該放射線測定器を用いた放射能レベル測定工程で検出された、線量が所定値以下の残余の土壌を再利用すると共に、線量が所定値を上回る土壌を、前記気流式分球装置へと戻し、前記分球工程と、前記隔離工程と、前記放射能レベル測定工程とを繰り返す放射性物質汚染土壌処理システム(請求項5)。
本項に記載の
放射性物質汚染土壌処理システムは、
放射性物質により汚染された土壌を採取し攪拌乾燥装置に投入して乾燥させ(乾燥工程)、更に、乾燥された土壌の凝集を衝撃式破砕装置にてほぐすものである(解砕工程)。そして、乾燥され凝集が解かれた土壌を、気流式分級装置によって、粒度に応じた土壌の分別に適した状態となるように、調整するものである(分級工程)。これにより、衝撃式破砕装置にて解砕された土壌を気流式分級装置によって粒度に応じて分別する際に、採取された土壌の水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態に起因する分級精度のばらつきの発生を回避し、分級精度を高めるものである。そして、気流式分級装置にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌、すなわち、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を、続く
隔離工程にて隔離し、残余の、粒径の大きな土壌を採取地に戻すこと
で、乾式除染方法による土壌洗浄を行うものである。
又、放射線測定器を用いた放射能レベル測定工程で検出された、線量が所定値以下の残余の土壌を再利用すると共に、線量が所定値を上回る土壌を、気流式分球装置へと戻し、分球工程と、隔離工程と、放射能レベル測定工程とを繰り返すことで、有害物質を含む土壌の隔離、保管を確実にするものである。
よって、本システムにより実施される全工程にわたり、汚染水等の副産物が発生することがない。又、土壌の必要成分(栄養分等)を洗い流してしまうことがないので、洗浄後の土壌は、土壌採取地に戻して再利用するに適した状態を維持するものとなる。又、乾燥させた土壌を解砕して分級することにより、大量の土壌を粉砕する等の処理時間がかかる作業が不要となり、処理効率を高めるものとなる。
(6)(5)項において、前記気流式分級装置で分級した土壌のうち、粒度の細かい土壌の粒度を更に細かく粉砕する
、微粉砕工程を行う遠心流動粉砕装置
と、該遠心流動粉砕装置で微粉砕した土壌を粒度に応じて分別する、二次分級工程を行う気流式分級装置と、前記気流式分球装置により分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を隔離する二次隔離工程を経た後の、隔離されない残余の土壌の放射線量を測定する、二次放射能レベル測定工程を行う放射線測定器とを含
み、 該放射線測定器を用いた二次放射能レベル測定工程で検出された、線量が所定値以下の残余の土壌を再利用すると共に、線量が所定値を上回る土壌を、前記二次分級工程を行う気流式分球装置へと戻し、前記二次分級工程と、前記二次隔離工程と、前記二次放射能レベル測定工程とを繰り返す放射性物質汚染土壌処理システム(請求項6)。
本項に記載の
放射性物質汚染土壌処理システムは、気流式分級装置(分級工程)にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌の粒度を、遠心流動粉砕装置よって更に細かく粉砕し(微粉砕工程)、粉砕された土壌を、再度、気流式分級装置によって、粒度に応じて更に分別するものである(二次分級工程)。そして、二次分級された土壌のうち、粒度の細かい土壌を隔離し、残余の土壌を土壌採取地へと戻すことで、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を、より精密に分別して回収し、隔離、保管する土壌を減容し、可能な限り多くの土壌を採取地に戻すものである(二次
隔離工程)。本項の発明においても、本システムにより実施される全工程にわたり、乾式除染方法による土壌洗浄がなされるものであり、汚染水等の副産物が発生することがない。しかも、二次分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、続く二次
隔離工程にて隔離し、残余の土壌を土壌採取地へと戻すことで、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を、より精密に分別して回収するので、隔離、保管する土壌を減容でき、可能な限り多くの土壌を採取地に戻すことができるものであるから、再利用することのできる土壌の歩留まり向上が期待できる
。しかも、放射線測定器を用いた二次放射能レベル測定工程で検出された、線量が所定値以下の残余の土壌を再利用すると共に、線量が所定値を上回る土壌を、二次分級工程を行う気流式分球装置へと戻し、二次分級工程と、二次隔離工程と、二次放射能レベル測定工程とを繰り返すことで、有害物質を含む土壌の隔離、保管を確実にするものである。
(7)(5)(6)項において、前記各装置が移動可能に構成され
ている放射性物質汚染土壌処理システム(請求項7)。
本項に記載の
放射性物質汚染土壌処理システムは、(5)(6)項記載の各装置が移動可能に構成されることで、土壌採取地にて各装置を稼動させて、乾式除染方法による土壌の採取、乾燥、解砕、分級の各工程を行い、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を分別して回収し、残余の土壌を採取地に戻すものである。又、(5)(6)項記載の各装置が移動可能となるように、例えば、各装置をトレーラの荷台に搭載し、あるいは、各装置を搭載する特殊車両を構成するものである。これらのトレーラや特殊車両には、各装置の大きさに応じて、各々別々に載置され、又は、一台の車両に複数種類(或いは全て)が載置され、土壌採取地にて、所定の作業工程が円滑に実施されるように配置されるものである。しかも、本システムを土壌採取地に設置する際に、基礎工事等が不要であり、設置に要する工期も短く、又、異なる土壌採取地に移動して稼動することが容易なものである。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
【発明の効果】
本発明はこのように構成したので、汚染土壌の処理の際に汚水が発生せず、効率的に除染を行うことが可能となる。
1:汚染土壌処理システム、2:攪拌乾燥装置、4:衝撃式破砕装置、6:気流式分級装置、8:遠心流動粉砕装置、S100:汚染土壌採取工程、S110:乾燥工程、S120:解砕工程、S130:分級工程、S140:管理工程、 S150、S250:二次隔離工程、 S160、S260:放射能レベル測定工程、S220:微粉砕工程、S230:二次分級工程、S240:二次管理工程
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