(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の湿式除染方法及び乾式除染方法は、各々、次のような課題を有するものであった。まず、湿式除染方法は、汚染水が大量に発生し、洗浄後に大掛かりな濁水処理が必要となる。又、濁水処理プラントを設置するにあたり、大掛かりな基礎の構築が必要不可欠となる。しかも、湿式除染方法は、土壌に含まれるミネラル分等の良質な成分まで洗い流してしまうことから、農地の土壌を除染するには適さないものである。
一方、乾式除染方法は、汚染物質が土壌中の細粒に付着しやすいという性質を利用して、土壌を粒径で分別する分級を行い、粒度の細かい土壌のみ回収するものである。しかしながら、水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態によって、分級精度にばらつきが生じ得るものである。
【0005】
更に、湿式と乾式とを組み合わせた除染方法は、分級後に洗浄を行う工程を含むものであり、湿式と同様の課題に加え、汚染されていない粒度の土壌まで研磨する工程を含むために、効率的な除染が困難なものである。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、汚染土壌の処理の際に汚水が発生せず、効率的に除染を行うことが可能な汚染土壌処理技術を提供することにある。
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)
放射性物質により汚染された土壌を採取する汚染土壌採取工程と、
該汚染土壌採取工程で採取された土壌を乾燥させる乾燥工程と、
該乾燥工程にて乾燥された土壌の凝集を解く解砕工程と、
該解砕工程にて解砕された土壌を粒度に応じて分別する分級工程と、
該分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を隔離
する隔離工程と、
該分級工程にて分級された土壌のうち、隔離されない残余の土壌の放射線量を測定する放射能レベル測定工程と、を含み、
該放射能レベル測定工程にて線量が所定値以下の残余の土壌を再利用すると共に、該放射能レベル測定工程にて線量が所定値を上回る場合には前記分級工程へと戻し、前記分級工程、前記隔離工程、前記放射能レベル測定工程を繰り返す放射性物質汚染土壌処理方法(請求項1)。
本項に記載の
放射性物質汚染土壌処理方法は、汚染土壌採取工程で採取された
放射性物質により汚染された土壌を乾燥工程にて乾燥させ、更に、乾燥された土壌の凝集を解砕工程にてほぐすことで、乾燥させた土壌の粒度を、続く分級工程における、粒度に応じた土壌の分別に適した状態となるように調整するものである。そして、解砕工程にて解砕された土壌を粒度に応じて分級工程にて分別する際に、採取された土壌の水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態に起因する分級精度のばらつきの発生を回避し、分級精度を高めることとなる。そして、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、続く
隔離工程にて隔離し、残余の土壌を土壌採取地へと戻すことで、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を分別して回収し、粒径の大きな土壌を採取地に戻すものである。
又、放射性物質により汚染された土壌の除染に際して、分級工程にて分級された土壌のうち、隔離されない残余の土壌の放射線量を測定し、線量が所定値を上回る場合には、分級工程へと戻すことで、有害物質を含む土壌の隔離、保管を確実にするものである。
しかも、以上の各工程により乾式除染方法による土壌洗浄がなされるものであることから、全工程にわたり、汚染水等の副産物が発生することがない。又、土壌の必要成分(栄養分等)を洗い流してしまうことがないので、洗浄後の土壌は、土壌採取地に戻して再利用しやすい状態のものとなる。又、乾燥させた土壌を解砕して分級することにより、大量の土壌を粉砕する等の処理時間がかかる作業が不要となり、処理効率を高めるものとなる。
【0008】
(2)上記(1)項において、前記分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌の粒度を更に細かく粉砕する微粉砕工程と、
該微粉砕工程にて粉砕された土壌を粒度に応じて分別する二次分級工程と、
該二次分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を隔離
する二次隔離工程と、
該二次分級工程にて分級された土壌のうち、隔離されない残余の土壌の放射線量を測定する二次放射能レベル測定工程と、を更に含み、
該二次放射能レベル測定工程にて線量が所定値以下の残余の土壌を再利用すると共に、該二次放射能レベル測定工程にて線量が所定値を上回る場合には前記二次分級工程へと戻し、前記二次分級工程、前記二次隔離工程、前記二次放射能レベル測定工程を繰り返す放射性物質汚染土壌処理方法(請求項2)。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌の粒度を、微粉砕工程において更に細かく粉砕し、微粉砕工程にて粉砕された土壌を、それに続く二次分級工程にて、粒度に応じて更に分別する。そして、二次分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、続く二次
隔離工程にて隔離し、残余の土壌を土壌採取地へと戻すことで、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を、より精密に分別して回収して、隔離、保管する土壌を減容し、可能な限り多くの土壌を採取地に戻すものであるから、再利用することのできる土壌の歩留まり向上が期待できる。
しかも、放射性物質により汚染された土壌の除染に際して、二次分級工程にて分級された土壌のうち、隔離されない残余の土壌の放射線量を測定し、線量が所定値を上回る場合には、二次分級工程へと戻すことで、有害物質を含む土壌の隔離、保管を確実にするものである。又、本項の発明においても、全工程にわたり、乾式除染方法による土壌洗浄がなされるものであり、汚染水等の副産物が発生することがない。
【0009】
(3)上記(2)項において、前記微粉砕工程において、土壌粒子の表面部分を剥離させて土壌
を研磨するとともに、前記二次分級工程で該剥離した土壌粒子の表面部分を細粒として分別する汚染土壌処理方法(請求項3)。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、微粉砕工程において、土壌粒子の表面部分を剥離させて土壌
を研磨するとともに、前記二次分級工程で該剥離した土壌粒子の表面部分を細粒として分別することで、上記(2)項の所定の作用を、より効果的に奏するものである。すなわち、土壌の細粒子は、その表面部分に多くの汚染物質が付着していることから、土壌を強力な力で一挙に微粉砕するのではなく、研磨するような形で徐々に表面から微粉砕し、剥離した表面部分を、二次分級工程により細粒子として分別して分離すれば、極めて効率的に汚染物質が付着した細粒子を分離して隔離できることとなる。
【0010】
(4)上記(1)から(3)項において、
前記乾燥工程にて、熱した空気を供給することで土壌を所定の乾燥度まで乾燥させる放射性物質汚染土壌処理方法(請求項4)。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、
乾燥工程において、熱した空気を供給することで土壌を所定の乾燥度まで乾燥させることで、全工程にわたり、乾式除染方法による土壌洗浄がなされるものであり、汚染水等の副産物が発生することがない。
【0011】
(5)
採取された、放射性物質により汚染された土壌を乾燥させる
、乾燥工程を行う攪拌乾燥装置と、
該攪拌乾燥装置で乾燥させた土壌を解砕する
、解砕工程を行う衝撃式破砕装置と、
該衝撃式破砕装置で破砕した土壌を粒度に応じて分別する
、分級工程を行う気流式分級装置と
、
該気流式分球装置により分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を隔離する隔離工程を経た後の、隔離されない残余の土壌の放射線量を測定する、放射能レベル測定工程を行う放射線測定器とを含
み、
該放射線測定器を用いた放射能レベル測定工程で検出された、線量が所定値以下の残余の土壌を再利用すると共に、線量が所定値を上回る土壌を、前記気流式分球装置へと戻し、前記分球工程と、前記隔離工程と、前記放射能レベル測定工程とを繰り返す放射性物質汚染土壌処理システム(請求項5)。
本項に記載の
放射性物質汚染土壌処理システムは、
放射性物質により汚染された土壌を採取し攪拌乾燥装置に投入して乾燥させ(乾燥工程)、更に、乾燥された土壌の凝集を衝撃式破砕装置にてほぐすものである(解砕工程)。そして、乾燥され凝集が解かれた土壌を、気流式分級装置によって、粒度に応じた土壌の分別に適した状態となるように、調整するものである(分級工程)。これにより、衝撃式破砕装置にて解砕された土壌を気流式分級装置によって粒度に応じて分別する際に、採取された土壌の水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態に起因する分級精度のばらつきの発生を回避し、分級精度を高めるものである。そして、気流式分級装置にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌、すなわち、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を、続く
隔離工程にて隔離し、残余の、粒径の大きな土壌を採取地に戻すこと
で、乾式除染方法による土壌洗浄を行うものである。
又、放射線測定器を用いた放射能レベル測定工程で検出された、線量が所定値以下の残余の土壌を再利用すると共に、線量が所定値を上回る土壌を、気流式分球装置へと戻し、分球工程と、隔離工程と、放射能レベル測定工程とを繰り返すことで、有害物質を含む土壌の隔離、保管を確実にするものである。
よって、本システムにより実施される全工程にわたり、汚染水等の副産物が発生することがない。又、土壌の必要成分(栄養分等)を洗い流してしまうことがないので、洗浄後の土壌は、土壌採取地に戻して再利用するに適した状態を維持するものとなる。又、乾燥させた土壌を解砕して分級することにより、大量の土壌を粉砕する等の処理時間がかかる作業が不要となり、処理効率を高めるものとなる。
【0012】
(6)上記(5)項において、前記気流式分級装置で分級した土壌のうち、粒度の細かい土壌の粒度を更に細かく粉砕する
、微粉砕工程を行う遠心流動粉砕装置
と、
該遠心流動粉砕装置で微粉砕した土壌を粒度に応じて分別する、二次分級工程を行う気流式分級装置と、
前記気流式分球装置により分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を隔離する二次隔離工程を経た後の、隔離されない残余の土壌の放射線量を測定する、二次放射能レベル測定工程を行う放射線測定器とを含
み、
該放射線測定器を用いた二次放射能レベル測定工程で検出された、線量が所定値以下の残余の土壌を再利用すると共に、線量が所定値を上回る土壌を、前記二次分級工程を行う気流式分球装置へと戻し、前記二次分級工程と、前記二次隔離工程と、前記二次放射能レベル測定工程とを繰り返す放射性物質汚染土壌処理システム(請求項6)。
本項に記載の
放射性物質汚染土壌処理システムは、気流式分級装置(分級工程)にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌の粒度を、遠心流動粉砕装置よって更に細かく粉砕し(微粉砕工程)、粉砕された土壌を、再度、気流式分級装置によって、粒度に応じて更に分別するものである(二次分級工程)。そして、二次分級された土壌のうち、粒度の細かい土壌を隔離し、残余の土壌を土壌採取地へと戻すことで、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を、より精密に分別して回収し、隔離、保管する土壌を減容し、可能な限り多くの土壌を採取地に戻すものである(二次
隔離工程)。本項の発明においても、本システムにより実施される全工程にわたり、乾式除染方法による土壌洗浄がなされるものであり、汚染水等の副産物が発生することがない。しかも、二次分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、続く二次
隔離工程にて隔離し、残余の土壌を土壌採取地へと戻すことで、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を、より精密に分別して回収するので、隔離、保管する土壌を減容でき、可能な限り多くの土壌を採取地に戻すことができるものであるから、再利用することのできる土壌の歩留まり向上が期待できる
。しかも、放射線測定器を用いた二次放射能レベル測定工程で検出された、線量が所定値以下の残余の土壌を再利用すると共に、線量が所定値を上回る土壌を、二次分級工程を行う気流式分球装置へと戻し、二次分級工程と、二次隔離工程と、二次放射能レベル測定工程とを繰り返すことで、有害物質を含む土壌の隔離、保管を確実にするものである。
【0013】
(7)上記(5)(6)項において、前記各装置が移動可能に構成され
ている放射性物質汚染土壌処理システム(請求項7)。
本項に記載の
放射性物質汚染土壌処理システムは、上記(5)(6)項記載の各装置が移動可能に構成されることで、土壌採取地にて各装置を稼動させて、乾式除染方法による土壌の採取、乾燥、解砕、分級の各工程を行い、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を分別して回収し、残余の土壌を採取地に戻すものである。又、上記(5)(6)項記載の各装置が移動可能となるように、例えば、各装置をトレーラの荷台に搭載し、あるいは、各装置を搭載する特殊車両を構成するものである。これらのトレーラや特殊車両には、各装置の大きさに応じて、各々別々に載置され、又は、一台の車両に複数種類(或いは全て)が載置され、土壌採取地にて、上記所定の作業工程が円滑に実施されるように配置されるものである。しかも、本システムを土壌採取地に設置する際に、基礎工事等が不要であり、設置に要する工期も短く、又、異なる土壌採取地に移動して稼動することが容易なものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明はこのように構成したので、汚染土壌の処理の際に汚水が発生せず、効率的に除染を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
本発明の実施の形態に係る汚染土壌処理方法は、
図1(a)に示される各工程からなるものであり、以下に順を追って説明する。又、本方法は、
図1(b)に示される汚染土壌処理システム1により実施されるものである。
なお、汚染土壌は、例えば、セシウム137等の放射性物質により汚染された
土壌を対象としている。
【0017】
S100(汚染土壌採取工程):汚染された土壌を採取するものであり、土壌に応じて、バックホウ等適切な土木機械を用いて、又は、必要に応じ人手により、地表面から適切な深さまでの土壌を採取する工程である。
S110(乾燥工程):汚染土壌採取工程(S100)で採取された土壌を、攪拌乾燥装置2(
図1(b)、
図3参照)を用いて乾燥させる工程である。
S120(解砕工程):乾燥工程(S110)にて乾燥された土壌の凝集を、衝撃式破砕装置4(
図1(b)、
図4参照)を用いてほぐす工程である。
S130(分級工程):解砕工程(S120)にて解砕された土壌を、気流式分級装置6(
図1(b)、
図5参照)を用いて、粒度に応じて分別する工程である。
S140(管理工程):分級工程(S130)にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を隔離し、残余の土壌を土壌採取地へと戻す工程であり、以下の各工程を含むものである。
【0018】
S150(隔離工程):分級工程(S130)にて分別された細粒子は、汚染物質が土壌中の細粒に付着しやすいという性質から、放射能レベル(放射線量)が高くなる。よって、細粒子については、適切な方法によって隔離、保管する。なお、ここで分別される細粒子の粒度については、土壌の種類によって異なるため、予め放射能レベルが高い細粒子の粒度を調査して、その範囲を決めることが好ましい。
S160(放射能レベル測定工程):汚染物質が土壌中の細粒に付着しやすいという性質から、分級工程(S130)にて分別された粗粒子は、放射能レベル(放射線量)が低くなる。しかしながら、念のために粗粒子についても放射線測定器を用いて放射能レベルを測定する。そして、素粒子の放射能レベル予め適切に定められた基準値よりも高い場合には、粗粒子を分級工程(S130)へと戻す。
S170:放射能レベル測定工程(S160)において、素粒子の放射能レベルが予め適切に定められた基準値よりも低い場合には、粗粒子を土壌採取地に戻す。
【0019】
更に、
図2には、本発明の実施の形態に係る汚染土壌処理方法の応用例が示されている
図2のフローにおけるS100〜S140、S160及びS170の各ステップについては、
図1(a)に示される対応する工程と同一又は相当する内容であることから、詳しい説明を省略する。
S220(微粉砕工程):分級工程(S130)にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌(細粒子)の粒度を、遠心流動粉砕装置8(
図1(b)、
図6参照)を用いて、更に細かく粉砕する工程である。
なお、前述の微粉砕工程においては、土壌を強力な力で一挙に微粉砕するのではなく、研磨するような形で徐々に表面から微粉砕していくことが好ましい。というのは、遠心流動装置8に投入される土壌の細粒子は、その表面部分に多くの汚染物質が付着しているから、表面部分が剥離するよう研磨するようにして微粉砕することにより、剥離した表面部分を二次分級工程により細粒子として分別して分離すれば、極めて効率的に汚染物質が付着した細粒子を分離して隔離できる。
S230(二次分級工程):微粉砕工程(S220)にて細かく解砕された土壌を、分級工程(S130)と同様の気流式分級装置6(
図1(b)、
図5参照)を用いて、粒度に応じて分別する工程である。
S240(二次管理工程):二次分級工程(S230)にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を隔離し、残余の土壌を土壌採取地へと戻す工程であり、以下の各工程を含むものである。
【0020】
S250(
二次隔離工程):二次分級工程(S230)にてより精密に分別された細粒子は、放射能レベル(放射線量)が高くなる。よって、細粒子については、適切な方法によって隔離、保管する。
S260(放射能レベル測定工程):二次分級工程(S230)にて分別された粗粒子は、放射能レベル(放射線量)が低くなる。しかしながら、念のために粗粒子についても放射線測定器を用いて放射能レベルを測定する。そして、粗粒子の放射能レベルが予め適切に定められた基準値よりも高い場合には、粗粒子を二次分級工程(S230)へと戻す。
S270:放射能レベル測定工程(S260)において、粗粒子の放射能レベルが予め適切に定められた基準値よりも低い場合には、粗粒子を土壌採取地に戻す。
【0021】
続いて、上記各工程に用いられる各装置の具体的構成について、以下に説明する。なお、以下の各装置は、本実施の形態に適した装置例を示したものであり、各々、同様の機能を奏する装置に適宜置換して、汚染土壌処理システム1を構成することが可能なものである。
攪拌乾燥装置2は、
図3に例示されるように、ガス分散板102を高さ方向略中央部に備えており、この上部には攪拌室103を、下部には送風室104を備えている。そして、攪拌室103の底板130は、断面が部分半円形の樋状に形成されており、この中央円弧部分にガス分散板102が配されている。
又、底板130の裏面を含む送風室104の内壁面には耐火物143が内張りされており、高温熱風に対して保護されている。なお、この耐火物143はガス分散板102にも施されており、そのガス孔としての開口部であるスリット120、又はスリット121の一部は耐火物143で形成されている。なお、本実施形態においては、内張りに耐火物143を使用したが、使用するガスの温度等により、耐火物を使用しなくても良い場合もあることは勿論である。
【0022】
攪拌室103内にはパドル軸105が攪拌室103の両外側壁にブラケットを介して取付けられた軸受150に軸承されて回転自在に設けられており、このパドル軸105に軸方向に複数個(本実施形態では6個)の攪拌用のパドル151が略等間隔で取付けられている。この各々のパドル151は、例えば、その腕151aがパドル軸105に貫通され、腕151aの螺子部にパドル軸105を挟んで両則からナット151bを螺合させて締付けることにより、パドル軸105に対して着脱自在に取付けられている。そして、パドル151は、その回転によって被乾燥物としての土壌を掻き上げるべく平板状に形成され、その先端部はパドル151の回転方向へ折曲されて土壌の掻き上げをより確実にするように形成されている。
又、パドル151の先端は底板130に近接させた位置に設定されている。更に、パドル151はパドル軸105方向に隣接し合うパドル151の軸方向視の取付角度を互いに異ならせて取付けられている。なお、本実施形態では軸方向に隣接し合うパドル151は円周方向の取付角度を順次120度ずつ位相をずらして取付けられている
【0023】
又、本実施形態においては、パドル軸105の一端側で攪拌室103の上方部分に供給口131が設けられ、さらに、パドル軸105の他端側の攪拌室103の側壁に、乾燥された土壌の取出口132が設けられている。この取出口132の攪拌室103の側壁への取付開口132aの下端部132bは、部分半円形の底板130の起端部とほぼ一致させて形成されている。さらに、土壌の供給口131の下方に位置する送風室104の側壁にはガス導入口141が設けられ、攪拌室3の取出口132が位置する側の上壁に、乾燥を終えた熱風の排出口142が設けられている。
なお、本実施形態において、パドル151の供給口131側の4個は、パドル軸105の軸線に対して傾斜されて取付けられ、取出口132の側壁に臨んだ2個はパドル軸105の軸線と平行に設定されて取付けられている。さらに、パドル151は、パドル軸105の軸線に対して傾けられて取付けられており、本実施形態では約10度に設定されている。パドル151は、この傾斜により、被乾燥物である土壌をパドル軸方向へ移動させる効果を有する。
【0024】
ここで、本実施形態では、取出口132の下方に位置する送風室104の空間部分と、送風室104のガス導入口141を配した側の空間部分との間に、流量調整板125を配している。流量調整板125は、その上端がガス分散板102に固設されて、送風室104を概ね2つに仕切るよう配設された平板状の部材である。そして、その下部は、送風室104の下部に達することなく隙間が設けられ、連通部を残して部分的に仕切る態様になっている。そのため、送風室104の空気導入口141側と、送風室104の取出口132下方側との間は、流量調整板125と送風室104底部との間の隙間を介して、ガスが流れる構成となっている。
【0025】
ガス分散板102の、図中符号Xで示される第1ゾーンにある部分は、その円弧に沿う方向に、ガス孔として細長く形成されたスリット状の開口部(スリット120と称する)が、
又、ガス分散板102の、図中符号Yで示される第2ゾーンにある部分は、ガス孔として細長く形成されたスリット状の開口部(スリット121と称する)が、並置させて形成されている。なお、本実施形態において、第1ゾーンX及び第2ゾーンYに設けたスリット状の開口部の長さ、及び幅は同一であるが、第2ゾーンYに設けたスリット121の本数は、第1ゾーンXに設けたスリット120と比較して、単位面積あたり2倍の本数を加工した。従って、第2ゾーンYにおけるガス分散板102の単位面積あたりの開口面積は、第1ゾーンXにおけるガス分散板102の単位面積あたりの開口面積の略2倍となっている。
【0026】
上記構成を有する攪拌乾燥装置2を運転し、採取土壌を乾燥させる手順は以下の通りである。まず、採取土壌を、攪拌乾燥装置2の供給口131から攪拌室103内に供給し、ガス分散板102の第1ゾーンX上に載せるとともに、下方のガス導入口141から熱した空気(熱風と称することもある)を送風室104内に供給する。空気導入口141から送風室104内に供給された熱風は、ガス分散板102を通して攪拌室103内に流れ込む。ここで、図示していない駆動電流機を駆動してパドル軸105を回転させてパドル151を回転させると、第1ゾーンXにある採取土壌は、ガス分散板102のスリット120から高速で噴射する高温の熱風により流動化され、取出口132側へ移動されつつ、乾燥される。そして、凝集した土壌は、回転するパドル軸105に取付けた平板状のパドル151によって、たたかれて、塊がほぐされつつパドル軸方向の取出口132側へ移動され、この間に少しづつほぐされ、乾燥される。
【0027】
ここで、熱風が、送風室104の第1ゾーンXから第2ゾーンYに達するためには、流量調整板125の下方に形成した連通部である隙間を通る必要があるが、この部分で熱風の流路が絞られているため、必然的に送風室104の第2ゾーンYに流れ込む熱風の量が減少する。従って、第2ゾーンのスリット121から吹き出す熱風の流速は、熱風の流量の低下に伴い低下する。換言すれば、この隙間の大きさにより第2ゾーンYに流れ込む熱風の量が調整される。一例として、流量調整板
125により、この隙間の大きさが、本来の流路面積の約10%程度になるよう流量調整板125の大きさを調整する。なお、この隙間の大きさは、本実施形態に用いた隙間の大きさに限らないことは勿論であって、実際の各々運転においては、採取土壌のほぐされる度合いを見て、この隙間の大きさを調整すれば良い。
又、必要に応じ、第2ゾーンYに形成したスリット121の単位面積あたり本数を、第1ゾーンXに形成したスリット120の単位面積あたり本数より、多く形成することによって、スリット121から吹き出す熱風の流速をさらに低減させることとしてもよい。
【0028】
本発明の実施形態においては、前述した構成によって、攪拌室103の第2ゾーンY上において、吹き上げる熱風の流量、及び流速が減少することによって、流動化が抑制され、採取土壌が、強くパドル151で攪拌される。従って、例え、第1ゾーンXで充分にほぐされていない凝集土壌があったとしても、第2ゾーンY上にあるパドル151により、強く掻きほぐされながら、少しずつに軸方向へ移動し、充分に解砕もしくは破砕できる。そして、攪拌室103内で乾燥解砕されて、取出口132側に至った
採取土壌は、最終的にパドル151により上方の開口132aまで掻き上げられて開口132aから取出口132を通って排出される。なお、採取土壌を乾燥させた熱風は、排出口142から排出される。
ここで、採取土壌の乾燥度は、パドル151の軸方向視の傾斜角度、回転数、又は熱風の温度等を、調整することによって、制御可能であり、解砕の度合いは、第1ゾーンX及び第2ゾーンYのガス分散板102に形成した開口面積、流量調整板125により残した連通部の面積等を調整することによって、調整可能である。従って、本実施形態においては、攪拌乾燥装置2により、採取土壌を所定の乾燥度にすることのみならず、採取土壌を充分に攪拌することができ、解砕(予備解砕)することができる。
【0029】
衝撃式破砕装置4は、
図4に例示されるように、ケーシング401と、ケーシング401内に配置されたロータ402、調整板403、404と、チェーンカーテン405とを備えている。ケーシング401は、上方に攪拌乾燥装置2により乾燥された採取土壌を投入するための供給口401aを有し、チェーンカーテン405は供給口401aを緩やかに塞ぐ態様で設けられている。又、ケーシング401の下方には、本装置にて解砕された採取土壌を排出するための排出口401bが開口している。ロータ402は高速回転するものであり、その周方向に複数の打撃板402aが設けられている。調整板403、404は、ロータ402に対する距離を調整可能に、ケーシング401に取付けられている。
そして、供給口401aに投入された採取土壌は、チェーンカーテン405を押し上げるようにして落下し、回転するロータ402の打撃板402aに衝突して、強力な打撃を受けて打撃板402aの接線方向へと投げつけられる。そして、適切な距離に調整された調整板403、404に衝突して破砕され、同時に再び跳ね返って、順次投入される採取土壌と空中で衝突して更なる解砕が進行する。このようにして連続して解砕された土壌は、ケーシング401内を落下して、最終的には排出口401bから排出される。
【0030】
気流式分級装置6は、衝撃式破砕装置4(
図4)によって粉砕された採取土壌を、気流によって所要の粒度の粉体へと選別するものであり、その分級原理としては重力分級、慣性力分級および遠心力分級に大別される。粉体の大量分級に好適な遠心力分級には、分級室の形状を渦巻状にすることで気流を旋回させる自由渦式のものと、分級室内に設けられた回転羽根によって気流を強制的に旋回させる強制渦のものと、これらふたつの合成である自由渦と強制渦の共用式のものとがある。
図5に例示されるものは、円筒状の分級室601と下方縮径の分散室602の内部に構成されたもので、分級室601の中心に、回転可能に支持された垂直な駆動軸607とその周囲に一体的に回転する多数の分級羽根608を取付けた回転羽根車608Aを有し、羽根車608Aの上方には回転羽根608Aの内部と連通する微粉排出口609を配している。回転羽根車608Aの外周には、分級用空気に旋回を与えるための多数のスリット状開孔を具備する固定翼606を同心円状に適当間隔離間して固設し,固定翼606に連結して下方縮径のガイドコーン610を備えている。
【0031】
分散室602の内部には、回転羽根車608Aの下方部分の駆動軸607に分散板604を設け,供給口603から供給される、衝撃式破砕装置4によって破砕された採取土壌が,分級室601で分級される。そして、固定翼606およびガイドコーン610の内壁を沿って落下してくる粒子とともに、分級用空気取込口605からスリット605Aを経由して侵入してくる分級用空気の中に投入され分散する構造としたものである。
【0032】
一方、回転羽根車608Aは、中間径の位置で外側が高い段差を有する円錐形状の円板とされ、段差部には複数個の透孔608Bが円周上等ピッチで配列されており、透孔608Bのより内側の円錐円板へ落下した粗粉
又は粗粒を下方へ落下できるようになっている。透孔608Bの直径は5〜10mm程度とするが、できるだけ閉塞しない程度に小さくする。回転羽根車608Aを段差のある円錐円板としたのは、円錐円板上に落下した粗粉が確実に透孔608Bから排出されるようにし、透孔608Bを通り越して回転羽根間を内側から外側へ通り抜けることを防止するためである。
分級は、最初1次旋回気流で行なわれ、さらに、2次旋回気流において、遠心力と内向きに流れる空気の抗力とのバランスで行なわれ、所要粒度の微粒子は微粉排出口609を経由して微粉として系外へ取り出される。一方、所要粒度より大きい粗粒子は2次旋回気流による遠心力を受け回転羽根車608の外周方向へ跳ね飛ばされて固定翼606の内側に沿って下降する間に、固定翼606を経由して内側へ侵入してくる分級用空気に晒されて、分散作用を受けるが、粗粒子はさらに粗粉排出口611に向かって落下を続ける。そして、分散した微粒子は再び分級用空気とともに2次旋回気流中に運ばれ分級されるものである。かかる分級原理から、気流式分級装置6は、分級工程(S130)、二次分級工程(S230)のいずれにも使用可能なものである。
【0033】
遠心流動粉砕装置8は、
図6に例示されるように、本体部分を覆うケーシング808の内側に、連結部材809を介して外周環807が取付けられている。符号810は脚柱であり、ベアリング811を介して回転皿806を枢支している。回転軸802は、減速機構等を介して電動モータ等の動力源に駆動される。ケーシング808の天井中央部分には、土壌の投入管812が設置され、この投入管12の周囲を囲むように開口813が設けられ、この開口813にダクト814が接続されている。ダクト814は気流式分級装置6(
図5)に接続されている。
又、外周環807には、本実施形態では、ライナが内張りされると共に、その壁面を貫通するように多数のスリット又は小孔815が穿孔されている。外周環807外面の底部とケーシング808内面との間には、側部カバー816が環状に設けられており、側部カバー816とケーシング808及び外周環807外面との間に空気導入室817が区画形成され、空気導入管818から空気が導入可能となっている。なお、側部カバー816の上端は、外周環807の側部外面に密着固定されている。
【0034】
回転皿806の外周縁と外周環807の底部内周面との間には、鋼球等のボール823の、最小ボール径の10〜30%のクリアランス819が確保され、底部カバー820がクリアランス819の下側を覆うように環状に配置されている。本実施形態では、側部下バー816に穿孔を施し、あるいは空気導入管を接続するなどして、底部カバー820内への空気導入を可能としている。
底部カバー820及び空気導入室817には、気流式分級装置6によって分級された、採取土壌のうちの細粒子の、抜出し及び搬送用の管路821が接続され、管路821は投入管812へ細粒子を返送可能となっている。
又、回転皿806の外周縁下側には、スクレーパ822が設置され、底部カバー820内に落下した細粒子を抜出し用の管路821の接続部へ向けて寄せ集めるように構成されている。
【0035】
上記構成を有する遠心流動粉砕装置8の投入管812から、気流式分級装置6によって分級された、採取土壌のうちの細粒子が投入されると、回転皿806の回転に伴い、ボール823は外周環807の内壁面と皿面とを循環する円運動と、回転皿806の中心軸周りの回転運動との合成による、縄を結うがごとき螺旋運動を生じることで、細粒子の更なる粉砕を行うものである。
そして、空気導入管818から空気導入室817及び底部カバー820内に導入された空気は、クリアランス819、スリット又は小孔815を通って粉砕室内に流入し、粉砕によって生じた粉末を伴ってダクト814内に入り、気流式分級装置6へと送られることとなる。
【0036】
さて、上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、
図1(a)に示されるように、汚染土壌採取工程(S100)で採取された土壌を乾燥工程(S110)にて乾燥させ、更に、乾燥された土壌の凝集を解砕工程(S120)にてほぐすことで、乾燥させた土壌の粒度を、続く分級工程(S130)における、粒度に応じた土壌の分別に適した粒度となるように調整することが可能となる。よって、解砕工程(S120)にて解砕された土壌を粒度に応じて分級工程(S130)にて分別することで、採取された土壌の水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態に起因する分級精度のばらつきの発生を回避し、分級精度を高めることが可能となる。そして、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、続く管理工程(S140)にて隔離し(S150)、残余の土壌を土壌採取地へと戻すことで(S170)、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を分別して回収し、粒径の大きな土壌を採取地に戻すものである。
しかも、以上の各工程により乾式除染方法による土壌洗浄がなされるものである。よって、全工程にわたり、汚染水等の副産物が発生することがない。又、土壌の必要成分(栄養分等)を洗い流してしまうことがないので、洗浄後の土壌は、土壌採取地に戻して再利用するに適したものとなる。又、乾燥させた土壌を解砕して分級することにより、大量の土壌を粉砕する等の処理時間がかかる作業が不要となり、処理効率を高めるものとなる。
【0037】
又、必要に応じ、
図2に示されるように、分級工程(S130)にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌の粒度を、微粉砕工程(S220)において更に細かく粉砕し、微粉砕工程(S220)にて粉砕された土壌を、それに続く二次分級工程(S230)にて、粒度に応じて更に分別する。そして、二次分級工程(S230)にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、続く二次管理工程(S240)にて隔離(S250)し、残余の土壌を土壌採取地へと戻すことで(S270)、有害物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を、より精密に分別して回収し、粒径の大きな土壌を採取地に戻すものである。
本応用例においても、全工程にわたり、乾式除染方法による土壌洗浄がなされるものであり、汚染水等の副産物が発生することがない。しかも、分級工程(S130)にて分級された、汚染土壌を含む細粒に対して微粉砕を行うことで(S220)、全工程での分級効率が高まることとなる。又、汚染土壌が除かれた残余の細粒土壌については、微粉砕を行うものではないので、土壌採取地に戻して再利用するに適した粒度を維持することとなる。
【0038】
又、土壌の細粒子は、その表面部分に多くの汚染物質が付着していることから、微粉砕工程(S220)において、土壌を強力な力で一挙に微粉砕するのではなく、研磨するような形で徐々に表面から微粉砕し、剥離した表面部分を、二次分級工程により細粒子として分別して分離すれば、極めて効率的に放射性汚染物質が付着した細粒子を、分離して隔離できることとなる。
【0039】
しかも、分級工程(S130)又は二次分級工程(S230)にて分級された土壌のうち、隔離されない残余の土壌の放射線量を測定し(S160、S260)、線量が所定値を上回る場合には、分級工程(S130)又は二次分級工程(S230)へと戻すことで、放射性物質により汚染された土壌を含む土壌の隔離、保管を確実にすることが可能となる。
【0040】
なお、本発明の実施の形態に係る汚染土壌処理システム1は、土壌を乾燥させる攪拌乾燥装置2(
図3)と、攪拌乾燥装置2で乾燥させた土壌を解砕する衝撃式破砕装置4(
図4)と、衝撃式破砕装置4で破砕した土壌を粒度に応じて分別する気流式分級装置6(
図5)とを含むものである。又、必要に応じて、気流式分級装置6で分級した土壌のうち、粒度の細かい土壌の粒度を更に細かく粉砕する遠心流動粉砕装置8(
図6)を更に含むものである。そして、これらの各装置を用いることで、上記各工程における所定の作業を効率的に行うことを可能とするものである。
【0041】
更には、
図7(a)、(b)にイメージされるように、汚染土壌処理システム1を構成する上記各装置が移動可能となるように、各装置2〜8をトレーラの荷台に搭載し、又は、各装置を搭載する特殊車両を構成することとしてもよい。これらの特殊車両等10には、各装置の大きさに応じて、各々の装置が別々に載置され、又は、一台の車両に複数種類(或いは全て)が載置され、土壌採取地にて、上記所定の作業工程が円滑に実施されるように配置されるものである。しかも、汚染土壌処理システム1を土壌採取地に設置する際に、基礎工事等が不要であり、設置に要する工期も短く、異なる土壌採取地に移動して稼動することが容易なものとなる。
加えて、汚染土壌処理システム1の設置認可が不要であり、設置にあたって地元の承諾も得やすいといった、副次的効果も期待できるものとなる。
本発明の実施の形態では、以上のごとく、土壌が放射性物質により汚染された場合の、汚染土壌処理方法及び汚染土壌処理システムを例示して説明したが、他の汚染源に対する土壌処理技術にも対応可能であることは、理解されるであろう。