(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、金型交換装置を備えたパンチプレスが、例えば特開2011−78997号公報に開示されている(同公報の
図1)。
【0003】
この場合、同公報に開示されているのは、パンチプレスの一例であるタレットパンチプレスであり、該タレットパンチプレス5の例えば上部タレット5Uには、装着部5Uh下部に(同公報の
図6)回転防止用キーKが設けられ、パンチ金型Pを装着する場合には、該パンチ金型P側のキー溝Mに前記キーKが挿入されることにより、パンチ金型Pの回転が防止されるようになっている(同公報の〔0038〕の1行〜3行)。
【0004】
そして、金型交換時には、例えばタレットパンチプレス5(同公報の
図1)の側方に配置された金型交換装置9のストレージ3に保管されたパンチ金型Pが、把持手段11により把持されたまま回転しないように、該タレットパンチプレス5側の上部タレット5Uの前記装着部5Uh(同公報の
図6)に向かって移動する。
【0005】
従って、予めストレージ3(同公報の
図1)にはパンチ金型Pを所定の角度(前記キーKとキー溝Mの角度が一致する角度)に保管しておけば、把持手段11に把持されたパンチ金型Pは、そのキー溝Mに(同公報の
図6)装着部5Uh側のキーKが挿入されることにより(以上は、同公報の〔0040〕)、パンチ金型Pは、ストレージ3側(同公報の
図1)からタレットパンチプレス5側へ円滑に装着可能となる。
【0006】
一方、パンチ金型Pには、刃先が円形であって方向性が無いタイプと、刃先が角形(例えば矩形)であって方向性が有るタイプに大別され、例えば後述する非特許文献である「NCT加工の手引」によれば、前者をラウンドタイプ(同書の48頁)、後者をシェープタイプと称する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記非特許文献である「NCT加工の手引」の51頁に記載されているように、刃先が角形(例えば矩形)であって方向性が有るタイプ、即ち、シェープタイプの場合には、図から明らかなように(例えば右図)、パンチボディとパンチガイドとの間にはキー、キー溝が設けられている。
【0010】
従って、既述したように、金型交換時に、把持手段11(特開2011−78997号公報の
図1)により把持されたパンチ金型Pが、ストレージ3からタレットパンチプレス5へ移動する間にも、前記キー、キー溝が設けられているために、パンチ金型Pのパンチガイドはパンチボディに対して回転しない。
【0011】
即ち、刃先が角形であって方向性が有るタイプであるシェープタイプのパンチ金型Pの場合には、キー、キー溝が設けられているために、パンチガイドは、パンチボディに対して円周方向にズレを発生しない、換言すれば、位相がズレない。
【0012】
しかし、刃先が円形であって方向性が無いタイプであるラウンドタイプの場合には、同様に、上記非特許文献である「NCT加工の手引」の51頁に記載されていますように、図から明らかなように(例えば左図)、パンチボディとパンチガイドとの間にはキー、キー溝が設けられていない。
【0013】
このため、金型交換時に、把持手段11(特開2011−78997号公報の
図1)により把持されたパンチ金型Pが、ストレージ3からタレットパンチプレス5へ移動する間には、パンチ金型Pのパンチガイドはパンチボディに対して回転する場合がある。
【0014】
即ち、刃先が円形であって方向性が無いタイプであるラウンドタイプのパンチ金型Pの場合には、キー、キー溝が設けられていないために、パンチガイドは、パンチボディに対して円周方向にズレを発生し、換言すれば、位相がズレることがある。
【0015】
この結果、かかるパンチ金型P(同公報の
図6)をタレットパンチプレス5の上部タレット5Uに装着しようとすると、前記したようにパンチガイドの位相がズレているので、そのキー溝Mに装着部5Uh側のキーKが挿入されない。
【0016】
よって、パンチ金型Pは、タレットパンチプレス5の上部タレット5Uに装着できず、やむなく加工を中断せざるを得ない等多大の不利益が発生する。
【0017】
本発明の目的は、円形の刃先を有するパンチ金型において、パンチボディに対するパンチガイドの円周方向へのズレを無くすことにより、金型交換を円滑に行うと共に加工を続行可能にするパンチ金型を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明は、
図1〜
図11に示すように、
パンチプレスに適用され、方向性が無い円形の刃先55を有するパンチ金型Pにおいて、
上記パンチ金型Pを構成するパンチボディ30のリテーナカラー35に設けた穴56又はピン62と、パンチガイド31のフランジ4に設けたピン62又は穴56により構成された円周方向ズレ防止手段2を有することを特徴とするパンチ金型Pという技術的手段を講じている。
【0019】
従って、本発明の構成によれば、上記円周方向へのズレを防止する手段2を例えばパンチボディ30側の穴56(
図6)とパンチガイド31側のピン62により構成すれば、ツールチェンジャー81(
図1)を用いた金型交換時において、ツールマガジン83からパンチプレスの一例であるタレットパンチプレス1へ所定のパンチ金型Pを移動する間にも、該パンチ金型Pを構成するパンチガイド31は、パンチボディ30に対して円周方向へズレなくなり、このため、該パンチ金型Pのキー溝36(
図2)に上部タレット11側の回転防止用キー(図示省略)が挿入されるようになって、該パンチ金型Pの上部タレット11への装着が可能となり、金型交換を円滑に行うと共に加工を続行可能にすることができるようになった。
【発明の効果】
【0020】
上記のとおり、本発明によれば、円形の刃先を有するパンチ金型において、パンチボディに対するパンチガイドの円周方向へのズレを無くすことにより、金型交換を円滑に行うと共に加工を続行可能にするパンチ金型を提供するという作用・効果を奏する。
更に、本発明によれば、本発明に係るパンチ金型Pのようなラウンドタイプに対して、シェープタイプのようなキー、キー溝加工を施すことなく、安価な状態でパンチボディ30に対するパンチガイド31の円周方向ズレ防止手段を実現するという作用・効果もある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を、実施の形態により添付図面を参照して、説明する。
図1は本発明が適用されるパンチプレスを示す図であり、同図には、パンチプレスの一例であるタレットパンチプレス1が記載されている。
【0023】
図1に示すタレットパンチプレス1は、上部フレーム9と下部フレーム3を有し、上部フレーム9の下面には、上部タレット11が回転軸13を介して、下部フレーム3の上面には、下部タレット15が回転軸17を介してそれぞれ回転自在に支持されている。
【0024】
上記上部タレット11と下部タレット15には、本発明に係るパンチ金型P(
図2〜
図11)とそれに対応するダイ金型Dから成る金型がそれぞれ複数個づつ設けられ、上部タレット11の径よりも下部タレット15の径の方が大きく、各回転軸13と17は互いに偏芯している。
【0025】
そして、タレットパンチプレス1には、上部タレット11と下部タレット15とを同期回転することにより、所望のパンチ金型Pとダイ金型Dを選択すると共にラム21(電動式)によりパンチ金型Pを打圧しダイ金型Dと協働してワークWにパンチ加工(例えば打ち抜き加工(
図2〜
図6)や下向きバーリング加工(
図7〜
図11)を施す加工位置K1が設けられている。
【0026】
また、タレットパンチプレス1には、後述する金型交換装置79との関係において、上部タレット11にはパンチ交換位置K2が、下部タレット15にはダイ交換位置K3がそれぞれ設けられている。
【0027】
このうち、本発明に係るパンチ金型P(
図2等)と直接関連があるのは、後述するように、上記パンチ交換位置K2である。
【0028】
そして、本発明に係るパンチ金型Pを用いて、既述したように、打ち抜き加工(
図2〜
図6)や下向きバーリング加工(
図7〜
図11)等のパンチ加工が、前記加工位置K1(
図1)において施されるわけであるが、その場合の加工対象であるワークWを位置決めする手段について略述する。
【0029】
即ち、上記下部フレーム3の上面には、センタテーブル23が固定されていると共に、その両側(X軸方向)には、キャリッジべース29と共にY軸方向に移動するサイドテーブル(図示省略)が設けられている。
【0030】
上記キャリッジべース29には、Y軸モータ25により回転駆動するY軸ボールねじ27が螺合し、これにより、該キャリッジべース29は前記サイドテーブル(図示省略)を伴ってY軸方向へ移動する。
【0031】
前記キャリッジべース29には、ワークWを把持するクランプ33が設けられたキャリッジ31が滑り結合すると共にX軸モータ(図示省略)により回転駆動するX軸ボールねじ(図示省略)が螺合し、これにより、キャリッジ31はX軸方向へ移動する。
【0032】
従って、上記キャリッジ31とキャリッジべース29は、クランプ33で把持されたワークWの位置決め手段を構成している。
【0033】
以下、本発明に係るパンチ金型Pを、
図2〜
図11に基づき、詳細に説明する。
【0034】
この場合、
図2〜
図6では、打ち抜き加工用のパンチ金型Pが、
図7〜
図11では、他の実施形態である下向きバーリング加工用のパンチ金型Pがそれぞれ説明されている。
【0035】
更に、打ち抜き加工用のパンチ金型Pにおいて、
図2〜
図4では、本発明の特徴である円周方向ズレ防止手段2の構成を理解し易いように、パンチボディ30側のリテーナカラー35がパンチガイド31側のフランジ4から離れ、係合しない状態で記載されており、
図5〜
図6では、反対に、パンチボディ30側のリテーナカラー35がパンチガイド31側のフランジ4に係合し、実際に金型交換可能な状態で記載されている。
【0036】
このことは、下向きバーリング加工用のパンチ金型Pにおいても同様であり、
図7〜
図11のうち、
図7〜
図9が前者の場合に、
図10〜
図11が後者の場合にそれぞれ相当する。
【0037】
先ず、
図2〜
図6の打ち抜き加工用パンチ金型Pについて説明する。
打ち抜き加工とは、一般にはワークW(
図1)に所定の大きさの穴を打ち抜くことをいい、打ち抜いた後に発生した抜きカスは、よく知られているように、パンチ金型Pの下方に位置するダイ金型Dの排出孔を介して外部に排出される。
【0038】
図2から明らかなように、本発明に係るパンチ金型Pは、全体として円筒状を有し、後述するストリッパスプリング6(
図4)の部分がハウジング34で覆われており、該ハウジング34の上方からはパンチヘッド32とヘッドカラー37が露出し、該ハウジング34の下方からは前記ストリッパスプリング6とリテーナカラー35が露出している。
【0039】
そして、このリテーナカラー35には、穴56が上下方向(Z軸方向)に形成され、その下方のパンチガイド31のフランジ4には、該穴56に対抗するピン62が設けられている。
【0040】
この構成により、後述するように(
図5、
図6)、リテーナカラー35をパンチガイド31のフランジ4に係合させることにより、前記穴56にピン62を挿入すれば、円周方向ズレ防止手段2が形成される。
【0041】
従って、本発明によれば、ツールチェンジャー81(
図1)を用いた金型交換時において、ツールマガジン83からタレットパンチプレス1へ該パンチ金型Pを移動する間にも、パンチガイド31(
図6)は、パンチボディ30に対して円周方向へズレなくなり、このため、該パンチ金型Pのキー溝36(
図5)に上部タレット11側の回転防止用キー(図示省略)が挿入されるようになって、該パンチ金型Pの上部タレット11への装着が可能となり、金型交換を円滑に行うと共に加工を続行可能にすることができるようになった。
【0042】
尚、上記穴56(
図6)は、パンチボディ30側のリテーナカラー35ではなくてパンチガイド31側のフランジ4に設けてもよく、その場合には、対応するピン62は、リテーナカラー35に設けられる。
【0043】
この構成によっても、円周方向ズレ防止手段2が形成され、同様の作用・効果を奏する。
【0044】
この場合、上記円周方向ズレ防止手段2を構成する穴56とピン62の嵌合精度は、パンチガイド31に設けたキー溝36とタレット11に設けた回転防止用キーの嵌合精度より高精度である。
【0045】
即ち、円周方向ズレ防止手段2(
図5、
図6)を構成する穴56とピン62との間、また、パンチガイド31側のキー溝36とタレット11(例えば上部タレット11(
図1))の回転防止用キー(図示省略)との間には、よく知られているように、それぞれ一定のクリアランスがある。
【0046】
しかし、円周方向ズレ防止手段2の穴56とピン62とのクリアランスに基づき、パンチボディ30に対してパンチガイド31が円周方向に多少ズレたとしても、その事自体は、前記パンチガイド31のキー溝36とタレット11の回転防止用キーとのクリアランスに悪影響を与えるものではなく、該キー溝36に回転防止用キーが挿入されることにより、本発明に係るパンチ金型Pはタレット11に装着可能となる。
【0047】
よって、既述したように、上記円周方向ズレ防止手段2を構成する穴56とピン62の嵌合精度は、パンチガイド31に設けたキー溝36とタレット11に設けた回転防止用キーの嵌合精度より高精度である。
【0048】
図5と
図6は、既述したように、パンチボディ30側のリテーナカラー35がパンチガイド31側のフランジ4に係合し、実際に金型交換可能な状態で記載されている。
【0049】
以下、
図5と
図6を用いて、本発明に係るパンチ金型Pの内部構造を説明する。
【0050】
この場合、パンチ金型Pを構成するパンチガイド31(
図5)は、タレットパンチプレス1(
図1)の上部タレット11において、よく知られているように、リフタスプリング(図示省略)を介して昇降自在に装着されている。
【0051】
そして、前記パンチガイド31(
図5)の上端部は、開放されていて外周にはフランジ4が形成されており、フランジ4には既述したピン62が設けられている。
【0052】
また、パンチガイド31の下端部中央には、刃先挿通孔7が形成され、後述するパンチボディ30を構成する大径部30Aの先端部に設けられた刃先55が挿入されている。
【0053】
そして、この刃先55は、断面が円形であり、方向性が無い。
【0054】
上記パンチガイド31内には、パンチボディ30の大径部30Aが貫通し、その先端部には既述した刃先55が設けられている。
【0055】
上記パンチボディ30を構成するもう一方の小径部30Bの上端部には、既述したラム21(
図1)で打圧するためのパンチヘッド32が螺合している。
【0056】
そして、上記パンチヘッド32の下側に設けられたヘッドカラー(スプリング座)37と、前記パンチボディ30を構成する大径部30Aの上方に設置されたリテーナカラー35との間には、ストリッパスプリング6が嵌装され、これにより、パンチボディ30がパンチガイド31に対して昇降自在となっている。
【0057】
更に、上記リテーナカラー35(
図6)は、Oリング5を介してパンチガイド31側のフランジ4に係合していると共に、該リテーナカラー35に形成された穴56に、フランジ4に設けられたピン62が挿入されている。
【0058】
これにより、円周方向ズレ防止手段2が形成され、従って、本発明によれば、円形の刃先を有するパンチ金型において、パンチボディに対するパンチガイドの円周方向へのズレを無くすことにより、金型交換を円滑に行うと共に加工を続行可能にするパンチ金型を提供するという作用・効果を奏する。
【0059】
ここで、本発明に係るパンチ金型P(
図2)を外部から見た場合に、上記円周方向ズレ防止手段2を構成する穴56とピン62及びパンチガイド31に設けたキー溝36は、一直線上に配置されている。
【0060】
これは、パンチボディ30(
図5)をパンチガイド31から引き抜く場合に、引き抜き用の工具(例えばマイナスドライバー)との関係において前記ピン62を損傷させないためである。
【0061】
即ち、通常は
図5に示すように、パンチボディ30をパンチガイド31から引き抜こうとする場合には、リテーナカラー35がパンチガイド31のフランジ4に係合した状態にある。
【0062】
従って、この状態で例えばマイナスドライバーを、リテーナカラー35とフランジ4の間に入れて該マイナスドライバーを斜め上に傾ければ、梃子の原理により、リテーナカラー35がフランジ4から離れるので、パンチボディ30をパンチガイド31から引き抜くことができる。
【0063】
しかしながら、パンチ金型Pの外部からはピン62が何処にあるかが不明である場合が多く、このため、マイナスドライバーをリテーナカラー35とフランジ4の間に入れたときに、ピン62に当たってしまい該ピン62を損傷することがある。
【0064】
このため、パンチ金型P(
図2)を外部から見た場合に、予めピン62が何処にあるかの見当をつけるために、最も見やすいキー溝36を基準とし、この延長上にピン62があるように構成した。
【0065】
この構成が、既述したような、本発明に係るパンチ金型P(
図2)を外部から見た場合に、上記円周方向ズレ防止手段2を構成する穴56とピン62及びパンチガイド31に設けたキー溝36は、一直線上に配置されているということである。
【0066】
次に、
図7〜
図11の下向きバーリング加工用パンチ金型Pについて説明する。
下向きバーリング加工とは、一般にはワークW(
図1)の下穴を下向き突出成形することをいい、よく知られているように、下穴の下方にフランジを形成し、その後、タッピング金型によりねじ加工を行う。
【0067】
この場合、本発明に係るパンチ金型Pの刃先55(
図10)の形状から明らかなように、図示する実施形態においては、下穴を形成すると共に下向きバーリング加工が行われる。
【0068】
そして、既述した
図2〜
図6の打ち抜き加工用パンチ金型Pと、これから述べる
図7〜
図11の下向きバーリング加工用パンチ金型Pとを比較すれば分るように、両者の大きさは異なる(例えば前者の径が1/2インチとすれば、後者の径は1・1/4インチである)。
【0069】
しかし、下向きバーリング加工用パンチ金型Pも(
図10)、穴56とピン62から成る円周方向ズレ防止手段2を有するように、全体としての機能は、既述した打ち抜き加工用パンチ金型Pと全く同じである。
例えば、刃先55に関しても、断面が円形であり、同様に方向性が無い。
従って、各構成要件の参照符号は、両者共に同じにしてある。
【0070】
ただし、構造上の相違点としては、例えば下向きバーリング加工用パンチ金型Pにおいては、外観上(
図7)ハウジング34がリテーナカラー35の直前まで延びているので、上方から見ただけでは(
図8(A))、円周方向ズレ防止手段2を構成する穴56は監察できず、下方から見て(
図8(B))はじめて観察できる(
図3との相違点)。
【0071】
また、例えば下向きバーリング加工用パンチ金型Pにおいては、パンチボディ30の先端部に(
図10)、刃先55がプレート57とボルト58を介して着脱自在に設けられている(
図5との相違点)。
【0072】
このように、
図2〜
図6の打ち抜き加工用パンチ金型Pと、
図7〜
図11の下向きバーリング加工用パンチ金型Pとは、細かい相違点はあるものの、本発明の目的乃至は作用・効果という観点からすれば、両者は全く同じといってよい。
【0073】
一方、タレットパンチプレス1(
図1)に隣接して金型交換装置79が設置され、該金型交換装置79は、ツールチェンジャー81とツールマガジン83により構成されている。
【0074】
上記ツールチェンジャー81のパンチ交換アーム85は、上部タレット11のパンチ交換位置K2において、パンチグリッパ84によりパンチ金型Pの装着又は離脱を行い、ダイ交換アーム87は、下部タレット15のダイ交換位置K3において、ダイグリッパ86によりダイ金型Dの装着又は離脱を行う。
【0075】
パンチ交換アーム85とダイ交換アーム87は、モータM1によりギアG1、G2を介して回転自在な支柱89に取り付けられ、それぞれ上下、回転するようになっている。
【0076】
ツールマガジン83は、パンチ用ストレ−ジタレット93とダイ用ストレ−ジタレット95を有し、前者はパンチ金型Pを後者はダイ金型Dをそれぞれ多数貯蔵可能であり、両タレット93、95は、モータM2によりギアG3、G4を介して回転自在な支柱91に取り付けられている。
【0077】
以下、上記タレットパンチプレス1に適用された場合の本発明に係るパンチ金型Pの動作を説明する。
【0078】
先ず、上部タレット11(
図1)と下部タレット15を同期回転させることにより、加工位置K1において、所望の打ち抜き加工用パンチ金型P(
図2〜
図6)とそれに対応するダイ金型Dが選択されると、次に、該加工位置K1において、打ち抜き加工が行われた後、パンチ交換位置K2とダイ交換位置K3において、ツールチェンジャー81のパンチ交換アーム85とダイ交換アーム87を用いて、不要になった前記打ち抜き加工用パンチ金型P(
図2〜
図6)とそれに対応するダイ金型Dの離脱を行うことにより、ツールマガジン83側に戻す。
【0079】
そして、今度は、上記とは逆の動作に基づき、ツールマガジン83側に貯蔵されていた所望の下向きバーリング加工用パンチ金型P(
図7〜
図11)とそれに対応するダイ金型Dを離脱させ、タレットパンチプレス1側に装着する。
【0080】
しかし、既述したように、この場合、本発明に係るパンチ金型Pにおいては、例えばパンチボディ30側の穴56(
図10、
図11)とパンチガイド31側のピン62により円周方向ズレ防止手段2を設けたことにより、ツールチェンジャー81(
図1)を用いた金型交換時において、ツールマガジン83からタレットパンチプレス1へ該パンチ金型Pを移動する間にも、パンチガイド31は、パンチボディ30に対して円周方向へズレなくなり、このため、該パンチ金型Pのキー溝36(
図10)に上部タレット11側の回転防止用キー(図示省略)が挿入されるようになって、該パンチ金型Pの上部タレット11への装着が可能となり、金型交換を円滑に行うと共に加工を続行可能にすることができるようになった。
【0081】
また、本発明に係るパンチ金型Pのようなラウンドタイプに対して、シェープタイプのようなキー、キー溝加工を施すことなく、安価な状態でパンチボディ30に対するパンチガイド31の円周方向ズレ防止手段を実現した。