(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
発明の背景
肥満症は、欧州、米国、日本にとってのみならず、世界全般にとっても主な公衆衛生問題である。肥満症は、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、心血管及び脳血管疾患を含めた多くの重病と関係がある。発症機序はまだ完全には分かっていないが、一般的に過剰脂質の蓄積による標的組織におけるインスリン作用の障害が肥満症を二次病態に結び付ける重要な機序とみなされている(G. Wolf, Nutrition Reviews Vol. 66(10):597-600; DB Savage, KF Petersen, GI Shulman, Physiol Rev. 2007;87:507-520)。従って、インスリン標的組織内の細胞脂質代謝を理解することは、肥満症と関連する疾患の発症を解明するために極めて重要である。
脂質代謝における中心的イベントは、2つの哺乳類ACCイソ型ACC1(ACCα、ACCAとも称する)及びACC2(ACCβ、ACCBとも称する)によるアセチルCoAのカルボキシル化を介したマロニルCoAの生成である(Saggerson D. Annu Rev Nutr. 2008;28:253-72)。生成されたマロニルCoAは、デノボ脂肪酸合成のために用いられ、CPT-1のインヒビターとして作用し、それによってミトコンドリアの脂肪酸酸化を調節する。さらに、マロニルCoAは、食物摂取を制御するために中心的に作用するとも記載され、膵臓からのインスリン分泌を制御し(GD Lopaschuk, JR Ussher, JS Jaswal. Pharmacol Rev. 2010;62(2):237-64; D Saggerson Annu Rev Nutr. 2008;28:253-72)、さらに中間代謝の調節をコーディネートする際に重要な役割を果たし得る。
従って、ACC1及びACC2は脂肪酸代謝の主要なレギュレーターであることが示され、現在では肥満症、糖尿病及び心血管合併症のヒト疾患を調節するための魅力的な標的とみなされている(SJ Wakil and LA Abu-Elheiga, J. Lipid Res. 2009. 50: S138-S143; L. Tong, HJ Harwood Jr. Journal of Cellular Biochemistry 99:1476-1488, 2006)。
中間代謝におけるその独特な位置の結果として、ACCの阻害は、脂質合成組織(肝臓及び脂肪組織)におけるデノボ脂肪酸産生を阻害する能力を提供しながら、同時に酸化的組織(肝臓、心臓、及び骨格筋)における脂肪酸酸化を刺激し、ひいては協奏的様式で、肥満症、糖尿病、インスリン抵抗性、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及び代謝症候群と関連する多数の心血管危険因子に有利に影響を与える魅力的モダリティーを提供する(L. Tong, HJ Harwood Jr. Journal of Cellular Biochemistry 99:1476-1488, 2006; Corbett JW, Harwood JH Jr., Recent Pat Cardiovasc Drug Discov. 2007 Nov;2(3):162-80)。
さらに最近のデータは、脂質によって媒介される細胞毒性(脂肪毒性)が糖尿病関連腎症に対する感受性に関与することを示している(レビューのためにはM Murea, BI Freedmann, JS Parks, PA Antinozzi, SC Elbein, LM Ma; Clin J Am Soc Nephrol. 2010; 5:2373-9を参照されたい)。日本の患者の大規模な全ゲノム関連解析は、糖尿病性腎症リスクと関連するACC2遺伝子(ACACB)における単一ヌクレオチド多型を同定し、これは9つの独立コホートで複製された。腎臓では、脂肪酸レベル上昇につながる脂肪酸代謝の調節異常が糸球体及び尿細管の機能不全をもたらすと考えられている(M Murea, BI Freedmann, JS Parks, PA Antinozzi, SC Elbein, LM Ma; Clin J Am Soc Nephrol. 2010; 5:2373-9)。従って脂質酸化に関与する重要な分子としてACCを標的にする阻害薬は、糖尿病性腎症に有利に影響を及ぼすために有益である可能性を有する。
【0003】
さらに、1型糖尿病ではインスリン抵抗性、調節解除された脂質代謝、脂肪毒性及び筋肉内脂質上昇が役割を果たすことも記載されている(IE Schauer, JK Snell-Bergeon, BC Bergman, DM Maahs, A Kretowski, RH Eckel, M Rewers Diabetes 2011;60:306-14; P Ebeling, B Essen-Gustavsson, JA Tuominen and VA Koivisto Diabetologia 41: 111-115; KJ Nadeau, JG Regensteiner, TA Bauer, MS Brown,JL Dorosz, A Hull, P Zeitler, B Draznin, JEB. Reusch J Clin Endocrinol Metab, 2010, 95:513-521)。従ってACC阻害薬は、1型糖尿病の治療用の興味のある薬物とも考えられる。
さらにACC阻害薬は、悪性細胞又は侵入生物の急速な増殖を持続するための内因性脂質合成に依存するそれらの急速な成長に起因する疾患の進行に介入する可能性をも有する。デノボ脂肪生成は、多くの腫瘍細胞の成長に必要とされることが知られており、ACCの上方制御は、多発性ヒト癌において、急速な成長及び増殖のための癌細胞の要求を満たすために脂質生成を促進することが認められている(C Wang, S Rajput, K Watabe, DF Liao, D Cao Front Biosci 2010; 2:515-26)。このことは、癌細胞に成長静止及び選択的細胞毒性を誘発するACC阻害薬を用いた研究において、また種々のタイプの癌細胞の成長を阻害し、アポトーシスを誘発する、ACCのRNA干渉媒介ノックダウンによってさらに実証されている。さらに、ACC1は、乳癌感受性遺伝子1(BRCA1)と関係があり、該遺伝子によって調節される。普通に存在するBRCA1変異がACC1活性化及び乳癌感受性をもたらす(C Wang, S Rajput, K Watabe, DF Liao, D Cao Front Biosci 2010; 2:515-26)。
さらに、限定するものではないが、アルツハイマー病、パーキンソン病及びてんかんを含めた中枢神経系障害においては、ニューロンのエネルギー代謝の機能障害が記載されている(Ogawa M, Fukuyama H, Ouchi Y, Yamauchi H, Kimura J, J Neurol Sci. 1996;139(1):78-82)。この代謝欠陥を標的にする治療介入は患者に有効であると立証し得る。従って、1つの有望な治療介入は、グルコース低下ニューロン大脳性(neuronscerebral)脳ニューロンに代替基質としてケトン体を与えることである(ST Henderson Neurotherapeutics, 2008, 5:470-480; LC Costantini, LJ Barr, JL Vogel, ST Henderson BMC Neurosci. 2008, 9 Suppl 2:S16; KW Baranano, AL Hartman. Curr Treat Options Neurol. 2008;10:410-9)。その結果、脂肪酸酸化の増加につながるACC阻害はケトン体の血中レベル上昇をもたらし、それによって脳に代替エネルギー基質を与え得る。
前臨床及び臨床証拠は、ケトン体がパーキンソン病、AD、低酸素症、虚血、筋萎縮性側索硬化症及び神経膠腫のモデルに神経保護作用をもたらし(LC Costantini, LJ Barr, JL Vogel, ST Henderson BMC Neurosci. 2008, 9 Suppl 2:S16)、アルツハイマー病患者の認知スコアを改善できることを示している(MA Reger, ST Henderson, C Hale, B Cholerton, LD Baker, GS Watson, K Hydea, D Chapmana, S Craft Neurobiology of Aging 25 (2004) 311-314)。ケトンレベル上昇の最終結果はミトコンドリア効率の改善及び反応性酸素種生成の減少である(レビューのためにはLC Costantini, LJ Barr, JL Vogel, ST Henderson BMC Neurosci. 2008, 9 Suppl 2:S16; KW Baranano, AL Hartman. Curr Treat Options Neurol. 2008;10:410-9を参照されたい)。
【0004】
さらに、抗真菌薬及び抗細菌薬としてのACC阻害薬の可能性は十分に立証されている(L. Tong, HJ Harwood Jr. Journal of Cellular Biochemistry 99:1476-1488, 2006)。さらに、ACC阻害薬を用いてウイルス感染症と闘うことができる。最近、ウイルスはそれらの細胞宿主の代謝ネットワークに頼ってウイルス複製のエネルギー及び構成要素(building block)をもたらすことが発見された(Munger J, BD Bennett, A Parikh, XJ Feng, J McArdle, HA Rabitz, T Shenk, JD Rabinowitz.
Nat Biotechnol. 2008;26:1179-86)。ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)によって誘導された代謝活性の変化を定量するためのフラックス測定手法は、HCMVによる感染が解糖、トリカルボン酸回路及び脂肪酸生合成を含めた中央炭素代謝の多くを介してフラックスを著しく変えることを明らかにした。脂肪酸生合成の薬理学的阻害は、2つの異なるエンベロープウイルス(HCMV及びA型インフルエンザ)の複製を抑制した。これは脂肪酸合成が複製に必須であることを示唆している。これらの例は、アセチルCoAフラックス及びデノボ脂肪酸生合成が、新たに合成された脂肪酸としてのウイルスの生存及び増殖にとって重大な意味を持ち、リン脂質がウイルスエンベロープの形成に重要であることを示している。利用できるリン脂質の絶対量に影響を与える代謝フラックスを変えると、エンベロープの化学組成及び物理的性質はウイルスの成長及び複製に悪影響を与える。従って、脂肪酸代謝に重要な酵素に作用するACC阻害薬は、抗ウイルス薬である可能性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
特に指定のない限り、基、残基、及び置換基、特にAr、R
1、R
2、R
3、R
4、L、T及びnは、上記及び後記定義どおりである。残基、置換基、又は基が、例えばR
1のように化合物中に数回現れる場合、それらは同一又は異なる意味を有し得る。本発明の化合物の個々の基及び置換基のいくつかの好ましい意味を以下に与える。これらの定義のいずれも全て互いに組み合わせてよい。
Ar:
Ar-G1:
基Arは、好ましくは前述及び後述の定義どおりの群Ar-G1から選択される。
Ar-G2:
別の実施形態では、基Arは、Fで一置換されていてもよいフェニレンから成る群Ar-G2より選択される。
Ar-G3:
別の実施形態では、基Arは、フェニレンから成る群Ar-G3より選択される。
Ar-G4:
別の実施形態では、基Arは下記:
【0014】
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
【0015】
(前述の基はFで一置換されていてもよい)
から成る群Ar-G4より選択される。
Ar-G5:
別の実施形態では、基Arは下記:
【0016】
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
【0017】
から成る群Ar-G5より選択される。
R1:
R
1-G1:
基R
1は、好ましくは前述及び後述の定義どおりの群R
1-G1から選択される。
R
1-G2:
別の実施形態では、基R
1は下記:
F、Cl、Br、CN、C
1-6-アルキル、C
3-6-シクロアルキル、-O-(C
1-6-アルキル)、-O-(C
3-6-シクロアルキル)、-O-(C
5-6-シクロアルケニル)、 -O-(CH
2)
1-2-(C
3-6-シクロアルキル)、-O-(C
1-2-アルキル)-フェニル、-O-CH
2-(C
2-4-アルケニル)、-O-CH
2-テトラヒドロフラニル、-O-CH
2-ピリジニル、-O-ヘテロシクリル、-O-フェニル、-O-ピリジニル、-NR
N1R
N2及び
【0018】
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
【0019】
(ここで、R
N1はH又はC
1-3-アルキルであり、かつ
R
N2はC
1-4-アルキル、C
3-6-シクロアルキル、-CH
2-(C
3-6-シクロアルキル)、ヘテロシクリル又は-CH
2-ヘテロシクリルであり、
或いはR
N1とR
N2が連結して、それらが結合しているN原子と一緒にアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、2,5-ジヒドロ-1H-ピロリル、モルホリニル又は[1,4]オキサゼパニル環を形成し、前記環はそれぞれ1又は2個のF、OH、C
1-3-アルキル又は-O-C
1-3-アルキルで置換されていてもよく、前記置換基は同一又は異なり、
ヘテロシクリルはテトラヒドロフラニル又はテトラヒドロピラニルであり、
各アルキルは直鎖又は分岐状であり、1〜4個のF又は1個の-OH若しくは-O-(C
1-2-アルキル)で置換されていてもよく、
各シクロアルキルは1〜3個のF又は1個のCN、OH、CH
3若しくは-SO
2-CH
3で置換されていてもよく、かつ
各フェニルは1個のF又はClで置換されていてもよい)
から成る群R
1-G2より互いに独立に選択される。
R
1-G3:
別の実施形態では、基R
1は下記:
F、Cl、CN、C
1-4-アルキル、C
3-5-シクロアルキル、-O-(C
1-5-アルキル)、-O-(C
3-6-シクロアルキル)、-O-シクロペンテニル、-O-テトラヒドロフラニル、-O-CH
2-(C
2-4-アルケニル)、-O-CH
2-(C
3-4-シクロアルキル)、-O-CH
2-フェニル、-NR
N1R
N2及び
【0020】
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
【0021】
(ここで、R
N1はH又はC
1-2-アルキルであり、かつ
R
N2はC
1-4-アルキル又は-CH
2-(C
3-6-シクロアルキル)であり、
或いはR
N1とR
N2が連結して、それらが結合しているN原子と一緒にアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル又はモルホリン環を形成し、前記環はそれぞれ1又は2個のF、OH又はCH
3で置換されていてもよく、前記置換基は同一又は異なり、
各アルキルは直鎖又は分岐状であり、1〜3個のF又は1個の-O-CH
3若しくはOHで置換されていてもよく、かつ
各C
3-6-シクロアルキルは1〜2個のF又は1個のCN、OH若しくはCH
3で置換されていてもよく、
各フェニルは1個のFで置換されていてもよい)
から成る群R
1-G3より選択される。
R
1-G4:
別の実施形態では、基R
1は下記:
F、Cl、CN、CF
3、C
1-4-アルキル、C
3-5-シクロアルキル、-O-(C
1-5-アルキル)、-O-(C
3-6-シクロアルキル)、-NH-(C
1-3-アルキル)、-N(C
1-3-アルキル)
2、
【0022】
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
【0023】
から成る群R
1-G4より選択される。
R
1-G4a:
別の実施形態では、基R
1は下記:
CF
3、C
1-4-アルキル、C
3-5-シクロアルキル、-O-(C
1-5-アルキル)、-O-(C
3-6-シクロアルキル)、-NH-(C
1-3-アルキル)、-N(C
1-3-アルキル)
2、
【0024】
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
【0025】
から成る群R
1-G4aより選択され;
又は、nが2の場合、第2のR
1基は、F、Cl、CN、CH
3、-O-CH
3及び-O-CH
2-CHF
2から成る群より選択され;
又は、nが3の場合、第3のR
1基はFである。
R
1-G4b:
別の実施形態では、基R
1は下記:
CF
3、C
1-4-アルキル、C
3-5-シクロアルキル、-O-(C
1-5-アルキル)、-O-(C
3-6-シクロアルキル)、-NH-(C
1-3-アルキル)、-N(C
1-3-アルキル)
2、
【0026】
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
【0027】
から成る群R
1-G4bより選択され;
又は、nが2の場合、第2のR
1基は、F、Cl、CH
3及び-O-CH
3から成る群より選択され;
又は、nが3の場合、第3のR
1基はFである。
R
1-G5:
別の実施形態では、基R
1は下記:
CF
3、-O-(C
1-5-アルキル)、-O-(C
3-6-シクロアルキル)、-NH-(C
1-3-アルキル)、-N(C
1-3-アルキル)
2、
【0028】
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
【0029】
から成る群R
1-G5より選択され;
一方で、nが2の場合、第2のR
1基はF、OCH
3又はCH
3である。
R
1-G5a:
別の実施形態では、基R
1は下記:
CF
3、-O-(C
1-5-アルキル)、
【0030】
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
【0031】
から成る群R
1-G5aより選択され;
一方で、nが2の場合、第2のR
1基はF、又はOCH
3である。
R
1-G6:
別の実施形態では、基R
1は下記:
-O-(C
1-5-アルキル)、-O-(C
3-6-シクロアルキル)、-NH-(C
1-3-アルキル)、-N(C
1-3-アルキル)
2、
【0032】
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
【0033】
から成る群R
1-G6より選択され;
又は、nが2の場合、第2のR
1基は、F、Cl、CH
3及び-O-CH
3から成る群より選択され;
又は、nが3の場合、第3のR
1基はFである。
R
1-G6a:
別の実施形態では、基R
1は下記:
-O-(C
1-5-アルキル)、-O-(C
3-6-シクロアルキル)、-N(C
1-3-アルキル)
2、-NH(C
2-3-アルキル)、
【0034】
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【0035】
から成る群R
1-G6aより選択され;
又は、nが2の場合、第2のR
1基は、F、CH
3及び-O-CH
3から成る群より選択される。
R
1-G6b:
別の実施形態では、基R
1は下記:
-O-(C
1-5-アルキル)、
【0036】
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【0037】
から成る群R
1-G6bより選択され;
又は、nが2の場合、第2のR
1基は、F、Cl、OCH
3及びCH
3から成る群より選択される。
R
1-G7:
別の実施形態では、基R
1は下記:
CF
3、C
1-4-アルキル、C
3-5-シクロアルキル、-O-(C
1-5-アルキル)、-O-(C
3-6-シクロアルキル)、
【0038】
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【0039】
から成る群R
1-G7より選択され;
又は、nが2の場合、第2のR
1基は、F及びClから成る群より選択され;
又は、nが3の場合、第3のR
1基はFである。
R
1-G7a:
別の実施形態では、基R
1は下記:
CF
3及び
【0040】
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【0041】
から成る群R
1-G7aより選択され;
又は、nが2の場合、第2のR
1基は、F及びClから成る群より選択される。
R
1-G7b:
別の実施形態では、基R
1は下記:
【0042】
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
【0043】
から成る群R
1-G7bより選択され;
又は、nが2の場合、第2のR
1基はFである。
n
nは1、2又は3である。
好ましくは、nは1又は2ある。
一実施形態では、nは2である。
最も好ましくは、nは1である。
R2
R
2-G1:
基R
2は、好ましくは前述及び後述の定義どおりの群R
2-G1から選択される。
R
2-G2:
別の実施形態では、基R
2は下記:
H、F及び-O-CH
3
から成る群R
2-G2より選択される。
R
2-G3:
別の実施形態では、基R
2は、Hから成る群R
2-G3より選択される。
R3:
R
3-G1:
基R
3は、好ましくは前述及び後述の定義どおりの群R
3-G1から選択される。
R
3-G2:
別の実施形態では、基R
3は下記:
H及びCH
3
から成る群R
3-G2より選択される。
R
3-G3:
別の実施形態では、基R
3は、Hから成る群R
3-G3より選択される。
L:
L-G1:
基Lは、好ましくは前述及び後述の定義どおりの群L-G1から選択される。
L-G2:
一実施形態では、基Lは下記:
1又は2個のCH
3基で置換されていてもよい直鎖C
1-3-アルキレン基
から成る群L-G2より選択される。
L-G3:
別の実施形態では、基Lは下記:
1個のメチル基で置換されていてもよい直鎖C
1-2-アルキレン
から成る群L-G3より選択される。
L-G4:
別の実施形態では、基Lは下記:
【0044】
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【0045】
(式中、mは0又は1であり、かつ
左側のアスタリスクは、式(I)に示すArに連結され、右側のアスタリスクは、式(I)に示すN原子に連結される)
から成る群L-G4より選択される。
L-G5:
別の実施形態では、基Lは下記:
-CH(CH
3)-
から成る群L-G5より選択される。
L-G5a:
別の実施形態では、基Lは下記:
【0046】
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
【0047】
(式中、左側のアスタリスクは、式(I)に示すArに連結され、右側のアスタリスクは、式(I)に示すN原子に連結される)
から成る群L-G5aより選択される。
L-G5b:
別の実施形態では、基Lは下記:
【0048】
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
【0049】
(式中、左側のアスタリスクは、式(I)に示すArに連結され、右側のアスタリスクはN原子に連結される)
から成る群L-G5bより選択される。
T:
T-G1:
基Tは、好ましくは前述及び後述の定義どおりの群T-G1から選択される。
T-G2:
一実施形態では、基Tは下記:
H;
直鎖又は分岐C
1-4-アルキル(1〜6個のF、又は1個のCN、-O-CH
3若しくはOH又は好ましくはオキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、イソオキサゾリル、ピリミジニル及びピラジニルから成る群より選択されるヘテロアリール基で置換されていてもよく、
前記ヘテロアリール基はそれぞれ、C
1-3-アルキル、-(C
1-3-アルキル)-O-CH
3及び-NH-(C=O)-(C
1-3-アルキル)から成る群より互いに独立に選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよい);
(C
2-4-アルケニル)-(C
3-7-シクロアルキル);
1又は2個のF、CN、CH
3又はCF
3で置換されていてもよいC
3-6-シクロアルキル(該置換基は同一又は異なる);
-O-(C
1-2-アルキル);
テトラヒドロフラニル;
-NR
4R
5(R
4はH又はC
1-3-アルキルであり、かつR
5はH、C
1-3-アルキル、-(C
1-3-アルキル)-O-CH
3又はO、S、N及びNHから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5員ヘテロアリール基であり;或いはR
4とR
5が連結して、それらが結合しているNと一緒にアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル又はモルホリニル環(1若しくは2個のC
1-3-アルキル又は1個の-NH-(C=O)-CH
3で置換されていてもよい)を形成している);
O、S、N及びNHから独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5員ヘテロアリール基(Cl、C
1-3-アルキル、-O-(C
1-2-アルキル)、-NH-C(=O)-(C
1-3-アルキル)-O-CH
3、NH
2及び-NH-C(=O)-C
1-3-アルキルから成る群より独立に選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよい);及び
1又は2個のNを含有する6員ヘテロアリール基(F、CN、-CH
3、-C(=O)-NH-(CH
3)又は-NH-C(=O)-(CH
3)で置換されていてもよい)
から成る群T-G2より選択される。
【0050】
T-G3:
一実施形態では、基Tは下記:
1〜6個のF、又は1個のCN、OH若しくは-O-CH
3、又は好ましくはチアゾリル、イソオキサゾリル及びピリミジニルから成る群より選択されるヘテロアリール基で置換されていてもよい直鎖又は分岐C
1-3-アルキル
(前記ヘテロアリール基はそれぞれ、C
1-3-アルキル、-(C
1-3-アルキル)-O-CH
3及び-NH-(C=O)-CH
3から成る群より互いに独立に選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよい);
1若しくは2個のF又は1個のCN、CH
3若しくはCF
3で置換されていてもよいC
3-6-シクロアルキル;
-O-CH
3;
テトラヒドロフラニル;
-NR
4R
5(R
4はH又はC
1-3-アルキルであり、かつR
5はH、C
1-3-アルキル、-(C
1-3-アルキル)-O-CH
3又はイソオキサゾリルであり;或いはR
4とR
5が連結して、それらが結合しているNと一緒にアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル又はモルホリニル環(1若しくは2個のC
1-3-アルキル又は1個の-NH-(C=O)-CH
3で置換されていてもよい)を形成している);
フラニル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル又はチアジアゾリル基(それぞれ、Cl、C
1-3-アルキル、-NH-C(=O)-(C
1-3-アルキル)-O-CH
3、NH
2及び-NH-C(=O)-C
1-3-アルキルから成る群より独立に選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよい);及び
ピリジニル、ピリダジニル又はピリミジニル基(それぞれF、CN、-CH
3、-C(=O)-NH-(CH
3)又は-NH-C(=O)-(CH
3)で置換されていてもよい)
から成る群T-G3より選択される。
T-G4:
一実施形態では、基Tは下記:
1〜3個のFで置換されていてもよい直鎖又は分岐C
1-3-アルキル;
1個のCN又はCH
3で置換されていてもよいシクロプロピル;
-O-CH
3;
-NR
4R
5(R
4はH又はC
1-3-アルキルであり、かつR
5はC
1-3-アルキルである);及び
チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル又はイソチアゾリル基(それぞれ、CH
3、-NH-C(=O)-CH
2-O-CH
3及び-NH-C(=O)-CH
3から成る群より独立に選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよい)
から成る群T-G4より選択される。
T-G5:
一実施形態では、基Tは下記:
H;
1〜5個のF又は1個のCN若しくはOHで置換されていてもよい直鎖又は分岐C
1-4-アルキル;
【0051】
【化21】
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【0052】
-NH
2(各Hは、互いに独立にメチル、エチル又は-CH
2-CH
2-O-CH
3と置き換わっていてもよい);
【0053】
【化22】
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【0055】
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
【0056】
から選択される5員ヘテロアリール基;
下記:
【0057】
【化24】
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【0058】
から選択される6員ヘテロアリール基;
から成る群T-G5より選択される。
T-G6:
一実施形態では、基Tは下記:
-CH
3、-CHF
2、-CF
3、-CH
2CH
3、-OCH
3、-NH(CH
3)、-N(CH
3)
2、-NH(CH
2CH
3)、
-N(CH
3)(CH
2CH
3)、
【0059】
【化25】
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【0060】
から成る群T-G6より選択される。
T-G6a:
一実施形態では、基Tは下記:
-CH
3、-CHF
2、-CF
3、-CH
2CH
3、-OCH
3、-N(CH
3)
2、
【0061】
【化26】
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【0062】
から成る群T-G6aより選択される。
T-G7:
一実施形態では、基TはCH
3から成る群T-G7より選択される。
本発明の好ましい下位概念の例を下表に示す。表中、各実施形態の各置換基群は前述の定義に従って規定され、式(I)の全ての他の置換基は前述の定義に従って規定される。
【0064】
式(I)の以下の好ましい実施形態を一般式(I.1a)〜(I.4c)を用いて記述する。これらには、そのいずれの互変異性体及び立体異性体、溶媒和物、水和物及び塩、特にその医薬的に許容できる塩も含まれる。
【0065】
【化27】
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【0066】
上記各式(I.1a)〜(I.4c)中、基Ar、R
1、R
2、R
3、L、T及びnは、前記及び後記定義どおりである。
本発明の好ましい下位概念の実施形態の例を下表に示す。各実施形態の各置換基群は前述の定義に従って規定され、式Iの全ての他の置換基は前述の定義に従って規定される。
【0068】
本発明の好ましい実施形態は下記一般式
【0069】
【化28】
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(I.2)
【0070】
(式中、
nは1、2又は3であり;
R
1は、F、Cl、CN、CF
3、C
1-4-アルキル、C
3-5-シクロアルキル、-O-(C
1-5-アルキル)、-O-(C
3-6-シクロアルキル)、-NH-(C
1-3-アルキル)、-N(C
1-3-アルキル)
2、
【0071】
【化29】
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【0072】
から成る群より選択され;
R
2はH、F又は-O-CH
3であり;かつ
Tは下記:
直鎖又は分岐C
1-3-アルキル(1〜6個のF、又は1個のCN、OH若しくは-O-CH
3、又は好ましくはチアゾリル、イソオキサゾリル及びピリミジニルから成る群より選択されるヘテロアリール基で置換されていてもよく、
前記ヘテロアリール基はそれぞれ、C
1-3-アルキル、-(C
1-3-アルキル)-O-CH
3及び-NH-(C=O)-CH
3から成る群より互いに独立に選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよい);
1若しくは2個のF又は1個のCN、CH
3若しくはCF
3で置換されていてもよいC
3-6-シクロアルキル;
-O-CH
3;
テトラヒドロフラニル;
-NR
4R
5(R
4はH又はC
1-3-アルキルであり、かつR
5はH、C
1-3-アルキル、-(C
1-3-アルキル)-O-CH
3又はイソオキサゾリルであり;或いはR
4とR
5が連結して、それらが結合しているNと一緒にアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル又はモルホリニル環(1若しくは2個のC
1-3-アルキル又は1個の-NH-(C=O)-CH
3で置換されていてもよい)を形成している);
フラニル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル又はチアジアゾリル基(それぞれ、Cl、C
1-3-アルキル、-NH-C(=O)-(C
1-3-アルキル)-O-CH
3、NH
2及び-NH-C(=O)-C
1-3-アルキルから成る群より独立に選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよい);及び
ピリジニル、ピリダジニル又はピリミジニル基(それぞれF、CN、-CH
3、-C(=O)-NH-(CH
3)又は-NH-C(=O)-(CH
3)で置換されていてもよい)
から成る群より選択される)
の化合物、
又はその塩に関する。
本発明の好ましい実施形態は、一般式(I.2)
(式中、
nは1、2又は3であり;
R
1は、CF
3、C
1-4-アルキル、C
3-5-シクロアルキル、-O-(C
1-5-アルキル)、-O-(C
3-6-シクロアルキル)、-NH-(C
1-3-アルキル)、-N(C
1-3-アルキル)
2、
【0073】
【化30】
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【0074】
から成る群より選択され;
又は、nが2の場合、第2のR
1基は、F、Cl、CH
3及び-O-CH
3から成る群より選択され;
又は、nが3の場合、第3のR
1基はFであり;
R
2はH、F又は-O-CH
3であり;かつ
Tは下記:
1〜3個のFで置換されていてもよい直鎖又は分岐C
1-3-アルキル;
1個のCN又はCH
3で置換されていてもよいシクロプロピル;
-O-CH
3;
-NR
4R
5(R
4はH又はC
1-3-アルキルであり、かつR
5はC
1-3-アルキルである);及び
チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル又はイソチアゾリル基(それぞれ、CH
3、-NH-C(=O)-CH
2-O-CH
3及び-NH-C(=O)-CH
3から成る群より独立に選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよい)
から成る群より選択される)
の化合物、
又はその医薬的に許容できる塩に関する。
本発明の別の好ましい実施形態は、下記一般式
【0075】
【化31】
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(I.2a)
【0076】
(式中、
nは1、2又は3であり;
R
1は、CF
3、C
1-4-アルキル、C
3-5-シクロアルキル、-O-(C
1-5-アルキル)、-O-(C
3-6-シクロアルキル)、
【0077】
【化32】
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【0078】
から成る群より選択され;
又は、nが2の場合、第2のR
1基は、F及びClから成る群より選択され;
又は、nが3の場合、第3のR
1基はFであり;
R
2はH、F又は-O-CH
3であり;かつ
Tは下記:
1〜3個のFで置換されていてもよい直鎖又は分岐C
1-3-アルキル;
1個のCN又はCH
3で置換されていてもよいシクロプロピル;
-O-CH
3;
-NR
4R
5(R
4はH又はC
1-3-アルキルであり、かつR
5はC
1-3-アルキルである);及び
チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル又はイソチアゾリル基(それぞれ、CH
3、-NH-C(=O)-CH
2-O-CH
3及び-NH-C(=O)-CH
3から成る群より独立に選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよい)
から成る群より選択される)
の化合物
又はその医薬的に許容できる塩に関する。
本発明の第3の好ましい実施形態は、下記一般式
【0079】
【化33】
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(I.2c)
【0080】
(式中、
nは1、2又は3であり;
R
1は、-O-(C
1-5-アルキル)、-O-(C
3-6-シクロアルキル)、-NH-(C
1-3-アルキル)、-N(C
1-3-アルキル)
2、
【0081】
【化34】
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【0082】
から成る群より選択され;
又は、nが2の場合、第2のR
1基は、F、Cl、CH
3及び-O-CH
3から成る群より選択され;
又は、nが3の場合、第3のR
1基はFであり;
R
2はH、F又は-O-CH
3であり;かつ
Tは下記:
1〜3個のFで置換されていてもよい直鎖又は分岐C
1-3-アルキル;
1個のCN又はCH
3で置換されていてもよいシクロプロピル;
-O-CH
3;
-NR
4R
5(R
4はH又はC
1-3-アルキルであり、かつR
5はC
1-3-アルキルである);及び
チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル又はイソチアゾリル基(それぞれ、CH
3、NH-C(=O)-CH
2-O-CH
3及び-NH-C(=O)-CH
3から成る群より独立に選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよい)
から成る群より選択される)
の化合物、
又はその医薬的に許容できる塩に関する。
本発明の好ましい化合物としては、下記化合物:
【0083】
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
【0084】
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
【0085】
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
【0086】
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
【0087】
及びその医薬的に許容できる塩が挙げられる。
特に好ましい化合物について、それらの互変異性体及び立体異性体、その塩、又はそのいずれの溶媒和物又は水和物をも含めて以下の実験セクションで述べる。
本発明の化合物は、当業者に知られ、有機合成の文献に記載されている合成方法を利用して得られる。以下、特に実験セクションで述べるように、さらに詳細に説明する調製方法に類似して化合物を得るのが好ましい。
【0088】
用語と定義
ここで具体的に定義しない用語には、当業者が本開示及び文脈に照らしてそれらに与えるであろう意味を与えるものとする。しかしながら、本明細書で使用する場合、反対に指定していない限り、下記用語は示した意味を有し、下記慣例を順守する。
用語「本発明に従う化合物」、「式(I)の化合物」、「本発明の化合物」等は、本発明の式(I)の化合物を、それらの互変異性体、立体異性体及びその混合物並びにその塩、特にその医薬的に許容できる塩を含めて意味し、並びに該化合物の溶媒和物及び水和物を、該互変異性体、立体異性体及びその塩の溶媒和物及び水和物を含めて意味する。
用語「治療」及び「治療する」は、防止的、すなわち予防的、或いは療法的、すなわち根治的及び/又は対症的治療の両方を包含する。従って、用語「治療」及び「治療する」は、前記状態を特に顕性形態で既に発症している患者の療法的治療を含む。療法的治療は、特定適応症の症状を軽減するための対症療法或いは適応症の状態を逆転又は部分的に逆転させるため又は疾患の進行を停止若しくは減速させるための原因療法であってよい。従って本発明の組成物及び方法は、例えば長期間にわたる療法的治療としてのみならず慢性療法にも使用可能である。さらに用語「治療」及び「治療する」は、予防的治療、すなわち前述の状態を発症するリスクがある患者の治療を含み、それによって前記リスクを低減する。
本発明が、治療を要する患者に言及するとき、それは主に哺乳動物、特にヒトの治療に関する。
用語「治療的に有効な量」は、(i)本明細書に記載の特定の疾患又は状態を治療又は予防する、(ii)特定の疾患又は状態の1つ以上の症状を減弱、改善、又は排除する、或いは(iii)特定の疾患又は状態の1つ以上の症状の発生を予防するか又は遅延させる、本発明の化合物の量を意味する。
本明細書では、用語「調節される」又は「調節すること」、又は「調節する」は、特に指定のない限り、本発明の1種以上の化合物によるアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)の阻害を意味する。
本明細書では、用語「媒介される」又は「媒介すること」又は「媒介する」は、特に指定のない限り、(i)本明細書に記載の特定の疾患又は状態の予防を含めた治療、(ii)特定の疾患又は状態の1つ以上の症状の減弱、改善、又は排除、或いは(iii)特定の疾患又は状態の1つ以上の症状の発生の予防又は遅延を意味する。
【0089】
本明細書では、用語「置換される」は、指定原子、基又は部分上の任意の1個以上の水素が、指示群からの選択肢と置き換わることを意味する。但し、原子の普通の原子価を超えず、該置換の結果、許容できる安定な化合物となることを条件とする。
以下に定義する基(group)、基(radical)、又は部分では、基に先行して炭素原子数を指定することが多く、例えば、C
1-6-アルキルは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。一般に、2個以上のサブ基を含む基では、最後に命名したサブ基が該基の付着点であり、例えば、置換基「アリール-C
1-3-アルキル-」は、C
1-3-アルキル-基に結合しているアリール基を意味し、C
1-3-アルキル-基が、該置換基が付着しているコア又は基に結合している。
本発明の化合物を化学名の形でも式としても示している場合、いずれの矛盾が生じても式が優先するものとする。
サブ式ではアスタリスクを用いて、定義どおりにコア分子に連結される結合を示すことができる。
置換基の原子の数え方は、該置換基が付着しているコア又は基に最も近い原子から始める。
例えば、用語「3-カルボキシプロピル-基」は下記置換基を表す。
【0090】
【化39】
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【0091】
この場合、カルボキシ基はプロピル基の3番目の炭素原子に付着している。用語「1-メチルプロピル-」、「2,2-ジメチルプロピル-」又は「シクロプロピルメチル-」基は下記基を表す。
【0092】
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
【0093】
サブ式ではアスタリスクを用いて、定義どおりにコア分子に連結される結合を示すことができる。
基の定義において、「各X、Y及びZ基は〜で置換されていてもよい」等の表現は、各基X、各基Y及び各基Zが、それぞれ別々の基として又は複合基のそれぞれ一部として定義どおりに置換され得ることを意味する。例えば定義「R
exはH、C
1-3-アルキル、C
3-6-シクロアルキル、C
3-6-シクロアルキル-C
1-3-アルキル又はC
1-3-アルキル-O-を表し、各アルキル基は1個以上のL
exで置換されていてもよい」等は、用語アルキルを含む前述の各基、すなわちC
1-3-アルキル、C
3-6-シクロアルキル-C
1-3-アルキル及びC
1-3-アルキル-O-中、アルキル部分はL
exで定義どおりに置換され得ることを意味する。
以下、用語二環式にはスピロ環式が含まれる。
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体を通じて、特に指定のない限り、所与の化学式又は化学名は、互変異性体及び全ての立体異性体、光学異性体及び幾何異性体(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、E/Z異性体等…)並びにそのラセミ体のみならず別個のエナンチオマーの異なる比率の混合物、ジアステレオマーの混合物、又は該異性体及びエナンチオマーが存在する場合の前記形態のいずれもの混合物、並びにその医薬的に許容できる塩を含めた塩、及び例えば水和物等のその溶媒和物(遊離化合物の溶媒和物又は化合物の塩の溶媒和物を含めて)を包含する。
本明細書では「医薬的に許容できる」というフレーズを用いて、堅実な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応その他の問題又は合併症なしでヒト及び動物の組織と接触して用いるのに適し、妥当な利益/危険比で釣り合っている当該化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を表す。
本明細書では、「医薬的に許容できる塩」は、親化合物が、その酸塩又は塩基塩を作ることによって修飾されている開示化合物の誘導体を意味する。医薬的に許容できる塩の例としては、限定するものではないが、アミン等の塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩;カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩又は有機塩等が挙げられる。
本発明の医薬的に許容できる塩は、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から従来の化学的方法によって合成可能である。一般的に、水中又はエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、若しくはアセトニトリル等の有機希釈剤、又はその混合物中でこれらの化合物の遊離酸形又は遊離塩基形を十分な量の適切な塩基又は酸と反応させることによって該塩を調製することができる。
上述した酸以外の酸の塩、例えば本発明の化合物を精製又は単離するために有用な塩も本発明の一部を構成する。
【0094】
用語ハロゲンは一般的にフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を表す。
単独又は別の基と組み合わせた用語「C
1-n-アルキル」(nは1〜nの整数である)は、1〜n個のC原子を有する非環式飽和分岐又は直鎖炭化水素基を表す。例えば用語C
1-5-アルキルは、基H
3C-、H
3C-CH
2-、H
3C-CH
2-CH
2-、H
3C-CH(CH
3)-、H
3C-CH
2-CH
2-CH
2-、H
3C-CH
2-CH(CH
3)-、H
3C-CH(CH
3)-CH
2-、H
3C-C(CH
3)
2-、H
3C-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-、H
3C-CH
2-CH
2-CH(CH
3)-、H
3C-CH
2-CH(CH
3)-CH
2-、H
3C-CH(CH
3)-CH
2-CH
2-、H
3C-CH
2-C(CH
3)
2-、H
3C-C(CH
3)
2-CH
2-、H
3C-CH(CH
3)-CH(CH
3)-及びH
3C-CH
2-CH(CH
2CH
3)-を包含する。
単独又は別の基と組み合わせた用語「C
1-n-アルキレン」(nは整数1〜nである)は、1〜n個のC原子を含有する非環式直鎖又は分岐鎖二価アルキル基を表す。例えば、用語C
1-4-アルキレンには、-(CH
2)-、-(CH
2-CH
2)-、-(CH(CH
3))-、-(CH
2-CH
2-CH
2)-、-(C(CH
3)
2)-、-(CH(CH
2CH
3))-、-(CH(CH
3)-CH
2)-、-(CH
2-CH(CH
3))-、-(CH
2-CH
2-CH
2-CH
2)-、-(CH
2-CH
2-CH(CH
3))-、-(CH(CH
3)-CH
2-CH
2)-、-(CH
2-CH(CH
3)-CH
2)-、-(CH
2-C(CH
3)
2)-、-(C (CH
3)
2-CH
2)-、-(CH(CH
3)-CH(CH
3))-、-(CH
2-CH(CH
2CH
3))-、-(CH(CH
2CH
3)-CH
2)-、-(CH(CH
2CH
2CH
3))-、-(CHCH(CH
3)
2)-及び-C(CH
3)(CH
2CH
3)-が含まれる。
少なくとも2個の炭素原子を有する「C
1-n-アルキル」の定義において、前記基の当該炭素原子の少なくとも2個が互いに二重結合によって結合している場合に規定する基には、用語「C
2-n-アルケニル」を用いる。例えば用語C
2-3-アルケニルには、-CH=CH
2、-CH=CH-CH
3、-CH
2-CH=CH
2が含まれる。
少なくとも2個の炭素原子を有する「C
1-n-アルキレン」の定義において、前記基の当該炭素原子の少なくとも2個が互いに二重結合によって結合している場合に規定する基には、用語「C
2-n-アルケニレン」を用いる。例えば用語C
2-3-アルケニレンには、-CH=CH-、-CH=CH-CH
2-、-CH
2-CH=CH-が含まれる。
少なくとも2個の炭素原子を有する「C
1-n-アルキル」の定義において、前記基の当該炭素原子の少なくとも2個が互いに三重結合によって結合している場合に規定する基には、用語「C
2-n-アルキニル」を用いる。例えば用語C
2-3-アルキニルには-C≡CH、-C≡C-CH
3、-CH
2-C≡CHが含まれる。
少なくとも2個の炭素原子を有する「C
1-n-アルキレン」の定義において、前記基の当該炭素原子の少なくとも2個が互いに三重結合によって結合している場合に規定する基には、用語「C
2-n-アルキニレン」を用いる。例えば用語C
2-3-アルキニレンには-C≡C-、-C≡C-CH
2-、-CH
2-C≡C-が含まれる。
【0095】
単独又は別の基と組み合わせて使用する用語「C
3-n-カルボシクリル」は、3〜n個のC原子を有する単環式、二環式又は三環式飽和又は不飽和炭化水素基を表す。炭化水素基は、好ましくは非芳香族である。好ましくは3〜n個のC原子が1又は2個の環を形成する。二環式又は三環式環系の場合、環は互いに単結合によって付着するか又は縮合するか又はスピロ環系若しくは架橋環系を形成してもよい。例えば用語C
3-10-カルボシクリルとしては、C
3-10-シクロアルキル、C
3-10-シクロアルケニル、オクタヒドロ-ペンタレニル、オクタヒドロインデニル、デカヒドロナフチル、インダニル、テトラヒドロナフチルが挙げられる。最も好ましくは、用語C
3-n-カルボシクリルはC
3-n-シクロアルキル、特にC
3-7-シクロアルキルを表す。
単独又は別の基と組み合わせた用語「C
3-n-シクロアルキル」(nは整数4〜nである)は、3〜n個のC原子を有する環式飽和非分岐炭化水素基を表す。環式基は単環式、二環式、三環式又はスピロ環式であってよく、最も好ましくは単環式である。該シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロドデシル、ビシクロ[3.2.1.]オクチル、スピロ[4.5]デシル、ノルピニル、ノルボニル、ノルカリル、アダマンチル等が挙げられる。
単独又は別の基と組み合わせた用語「C
3-n-シクロアルケニル」(nは整数3〜nである)は、3〜n個のC原子を有し、その少なくとも2個が互いに二重結合で結合している環式の不飽和であるが非芳香族の非分岐炭化水素基を表す。例えば用語C
3-7-シクロアルケニルには、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル及びシクロヘプタトリエニルが含まれる。
本明細書で単独又は別の基と組み合わせて使用する用語「アリール」は、6個の炭素原子を含有する炭素環式芳香族単環式基を表し、さらに芳香族、飽和又は不飽和であってよい第2の5又は6員炭素環式基に縮合していてもよい。アリールとしては、限定するものではないが、フェニル、インダニル、インデニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、テトラヒドロナフチル及びジヒドロナフチルが挙げられる。さらに好ましくは、本明細書で単独又は別の基と組み合わせて使用する用語「アリール」は、フェニル又はナフチル、最も好ましくはフェニルを意味する。
用語「ヘテロシクリル」は、N、O又はS(O)
r(r=0、1又は2)から選択される1個以上のヘテロ原子を含有し、さらにカルボニル基を有してよい飽和又は不飽和単環式、二環式、三環式又はスピロ環式、好ましくは単環式、二環式又はスピロ環式環系を意味する。さらに好ましくは、本明細書で単独又は別の基と組み合わせて使用する用語「ヘテロシクリル」は、N、O又はS(O)
r(r=0、1又は2)から選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有し、さらにカルボニル基を有してよい飽和又は不飽和、なおさらに好ましくは、飽和単環式、二環式又はスピロ環式環系を意味する。用語「ヘテロシクリル」は、全ての可能な異性形を含めることを意図している。該基の例としては、アジリジニル、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、アゼパニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラノニル、テトラヒドロピラノニル、ピロリジノニル、ピペリジノニル、ピペラジノニル、モルホリノニルが挙げられる。
従って、用語「ヘテロシクリル」には下記典型的構造が含まれる。なお、適切な原子価が維持される限り、各形態は共有結合を介していずれの原子にも付着し得るので、ラジカルとしては描写していない。
【0096】
【化41】
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【0097】
【化42】
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【0098】
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
【0099】
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0100】
用語「ヘテロアリール」は、N、O又はS(O)
r(r=0、1又は2)から選択される1個以上のヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子の少なくとも1個が芳香環の一部である単環式又は多環式、好ましくは単環式又は二環式環系を意味し、前記環系はカルボニル基を有し得る。さらに好ましくは、本明細書で単独又は別の基と組み合わせて使用する用語「ヘテロアリール」は、N、O又はS(O)
r(r=0、1又は2)から選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子の少なくとも1個が芳香環の一部である単環式又は二環式環系を意味し、前記環系はカルボニル基を有し得る。用語「ヘテロアリール」は、全ての可能な異性形を含めることを意図している。
従って、用語「ヘテロアリール」には下記典型的構造が含まれる。なお、適切な原子価が維持される限り、各形態は共有結合を介していずれの原子にも付着し得るので、ラジカルとしては描写していない。
【0101】
【化45】
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【0102】
上で与えた用語の多くは、式又は基の定義に繰り返し使用されることがあり、いずれの場合も互いに独立に上記意味の1つを有する。
薬理学的活性
下記ACC2アッセイを用いて本発明の化合物の活性を実証することができる。
分光光度的384ウェルアッセイ
アセチルCoAカルボキシラーゼによるマロニルCoA形成は、ATPの消費と化学量論的に関係がある。共役乳酸デヒドロゲナーゼ/ピルビン酸キナーゼ反応を用いるACC反応中に産生されるADPを測定するNADH連鎖速度論法でACC2活性を測定する。
生物学的試験では、溶解度を高めるためにN末端の128個のアミノ酸を欠くヒトACC2構築物(GenbankエントリーAJ575592のnt 385-6966)をクローン化する。次にバキュロウイルス発現系を用いて昆虫細胞内でタンパク質を発現させる。アニオン交換によってタンパク質精製を行なう。
全ての化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かして10mMの濃度にする。
次に、384ウェルプレート内で適切な希釈度のhACC2を用いて、100mMのTris(pH7.5)、10mMのクエン酸三ナトリウム、25mMのKHCO
3、10mMのMgCl
2、0.5mg/mlのBSA、3.75mMの還元型L-グルタチオン、15U/mlの乳酸デヒドロゲナーゼ、0.5mMのホスホエノールピルビン酸、15U/mlのピルビン酸キナーゼ、1%の最終DMSO濃度で異なる濃度の化合物の最終アッセイ濃度(f.c.)でアッセイ反応を行なう。
次にNADH、アセチルコエンザイムA(両方とも200μM f.c.)及びATP(500uM f.c.)の混合物を添加して酵素反応を開始する。次に光学密度の減少(勾配S)を25℃で340nmの波長にて15分にわたって分光光度計で測定する。
各アッセイマイクロタイタープレートは、非阻害酵素用のコントロールとして化合物の代わりにビヒクルを含むウェル(100%CTL;'HIGH')及び非特異的NADH分解用のコントロールとしてアセチルCoAを含まないウェル(0%CTL;'LOW')を含有する。
%CTL=(S(化合物)-S(‘LOW’))/(S(‘HIGH’)-S(‘LOW’))
*100の計算に勾配Sを使用する。化合物は100%CTL(非阻害)と0%CTL(完全阻害)との間の値を与えるであろう。
IC
50値決定のため、低コントロールの減算後の試験化合物の存在下のサンプル勾配(S(化合物)-S(‘LOW’))を用いる。
IC
50値は、低コントロールの減算後の種々の用量の化合物勾配(S(化合物)-S(‘LOW’))から非線形回帰曲線フィッティングによって導かれる(方程式y=(A+((B-A)/(1+((C/x)^D)))))。
本発明の一般式(I)の化合物は、例えば、10000nM未満、特に1000nM、好ましくは300nMのIC
50値を有する。
下表には、本発明の化合物のIC
50(μM)として表される活性を示す。IC
50値は、上述したようにACC2アッセイで決定される。用語「実施例」は、下記実験セクションの実施例番号を表す。
【0108】
本発明の一般式(I)の化合物及びその対応塩は、アセチルCoAカルボキシラーゼを阻害するそれらの能力を考慮すると、理論的に、アセチルCoAカルボキシラーゼ、特にACC2活性の阻害によって影響され得るか又は媒介される全ての当該疾患又は状態の予防的治療を含めた治療に適している。
従って、本発明は薬物としての一般式(I)の化合物に関する。
さらに、本発明は、患者、特にヒトのアセチルCoAカルボキシラーゼ、特にACC2の阻害によって媒介される疾患又は状態の治療及び/又は予防のための一般式(I)の化合物の使用に関する。
さらに別の態様では、本発明は、哺乳動物のアセチルCoAカルボキシラーゼの阻害によって媒介される疾患又は状態の予防を含めた治療方法であって、該治療が必要な患者、特にヒトに治療的に有効な量の本発明の化合物、又はその医薬組成物を投与する工程を含む方法に関する。
アセチルCoAカルボキシラーゼの阻害によって媒介される疾患及び状態は、代謝性及び/又は心血管性及び/又は神経変性疾患又は状態を包含する。
一態様によれば、本発明の化合物は、糖尿病、特に2型糖尿病、1型糖尿病、及び糖尿病関連疾患、例えば高血糖症、代謝症候群、耐糖能障害、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、脂質異常症、高血圧症、高インスリン血症、及びインスリン抵抗性症候群、肝性インスリン抵抗性(大血管及び微小血管障害等の合併症、例えば血栓症、凝固性亢進状態及び血栓形成促進状態(動脈及び静脈)、高血圧、冠動脈疾患及び心不全、腹囲増大、凝固性亢進、高尿酸血症、微量アルブミン尿症等を含めて)の治療に特に適している。
別の態様によれば、本発明の化合物は、過体重、肥満(内臓(腹部)肥満を含めて)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)及び肥満関連障害、例えば体重増加又は体重維持等の治療に特に適している。
肥満及び過体重は一般的に、総体脂肪と相関性があり、疾患の相対的リスクを評価する肥満度指数(BMI)によって定義される。BMIは、キログラムの体重をメートルの身長の二乗で割ることによって計算される(kg/m
2)。過体重は典型的に25〜29.9kg/m
2のBMIと定義され、肥満は典型的に30kg/m
2以上のBMIと定義される。
【0109】
別の態様によれば、本発明の化合物は、1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病、「IDDM」とも呼ばれる)及び2型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病、「NIDDM」とも呼ばれる)、耐糖能障害、インスリン抵抗性、高血糖症、膵臓β細胞変性及び糖尿病合併症(例えば大血管及び微小血管障害、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、脳卒中、末梢血管疾患、腎症、高血圧症、神経障害、及び網膜症)を含めた糖尿病又は糖尿病関連障害の予防を含めた治療、又はその進行若しくは発症の遅延に特に適している。
さらに本発明の化合物は、一般的に脂質異常症、さらに詳しくは血液中及び組織中で上昇した脂質濃度、LDL、HDL及びVLDL、特に高血漿トリグリセリド濃度、高い食後血漿トリグリセリド濃度、低HDLコレステロール濃度、低アポAリポタンパク質濃度、高LDLコレステロール濃度、高アポB脂質タンパク質濃度の調節不全(アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、脳血管障害、糖尿病、代謝症候群、肥満症、インスリン抵抗性及び/又は心血管障害を含めて)の治療に適している。
ACC阻害は、食物摂取に対して中枢性刺激作用をもたらし得る。従って本発明の化合物は神経性食欲不振症等の摂食障害の治療に適し得る。
さらに本発明の化合物は、パーキンソン病、アルツハイマー病、低酸素症、虚血、筋萎縮性側索硬化症又は神経膠腫の患者に神経保護作用を与えることができ、アルツハイマー病患者の認知スコアを改善することができる。
【0110】
アセチルCoAカルボキシラーゼの阻害によって媒介されるさらなる疾患及び状態は、限定するものではないが、以下のものを包含する。
A. 脂肪酸代謝障害及びグルコース利用障害;インスリン抵抗性に関与する障害;
B. 肝障害及びそれに関連する状態(下記:
脂肪肝、肝臓脂肪症、非アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性肝炎、急性脂肪肝、妊娠脂肪肝、薬剤性肝炎、鉄蓄積症、肝線維症、肝硬変、肝細胞腫、ウイルス肝炎を含めて);
C. 皮膚障害及び状態並びに多価不飽和脂肪酸と関連する皮膚障害及び状態、例えば
−湿疹、ざ瘡、皮脂腺疾患、乾癬、ケロイド瘢痕形成又は阻止、粘膜脂肪酸組成物に関連する他の疾患等;
D. 原発性高トリグリセリド血症又は家族性組織球性細網症(familial histiocytic reticulosis)、リポタンパク質リパーゼ欠乏症、高リポタンパク血症、アポリポタンパク質欠乏症(例えばアポCll又はアポE欠乏症)後の続発性高トリグリセリド血症;
E. 新生物細胞増殖に関連する疾患又は状態、例えば良性又は悪性腫瘍、癌、腫瘍症、腫瘍転移、発癌;
F. 神経、精神又は免疫障害又は状態に関連する疾患又は状態;
G. 例えば炎症反応、細胞増殖及び/又は他のACC媒介態様が関与し得る他の疾患又は状態は以下のとおり:
−アテローム性動脈硬化症、例えば(限定するものではないが)、冠動脈硬化症(狭心症又は心筋梗塞、脳卒中、虚血、脳卒中及び一過性脳虚血発作(TIA)を含めて)等、
−末梢閉塞性疾患、
−血管再狭窄又は再閉塞、
−慢性炎症性腸疾患、例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎等、
−膵炎、
−副鼻腔炎、
−網膜症、虚血性網膜症、
−脂肪細胞腫瘍、
−脂質性癌、例えば、脂肪肉腫等、
−固形腫瘍及び新生物、例えば(限定するものではないが)、胃腸管癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、内分泌腫瘍、肺癌、腎臓癌、尿管癌、生殖器癌、前立腺癌、乳癌(特にBRCA1変異を伴う乳癌)等、
−ACCが上方制御される腫瘍、
−急性及び慢性骨髄増殖性障害及びリンパ腫、血管新生
−神経変性障害(アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病、てんかんを含めて)、
−紅斑性扁平上皮皮膚疾患、例えば、乾癬等、
−尋常性ざ瘡、
−PPARにより調節される他の皮膚障害及び皮膚科学的状態、
−湿疹及び神経皮膚炎、
−皮膚炎、例えば、脂漏性皮膚炎又は紫外皮膚炎等、
−角膜炎及び角化症、例えば、脂漏性角化症、老年性角化症、光線性角化症、光誘発性角化症又は毛包性角化症等、
−ケロイド及びケロイド予防、
−細菌感染症、
−真菌感染症、
−疣贅(コンジローマ又は尖圭コンジローマを含めて)
−ウイルス感染症、例えば、ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ウエストナイルウイルス(WNV)又はデングウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ポックスウイルス及びワクシニアウイルス(VV)、HCMV、A型インフルエンザ、ヒトパピローマウイルス(HPV)、性病性パピローマ感染症、ウイルス性疣贅、例えば、伝染性軟属腫、白板症等、
−丘疹皮膚疾患、例えば、扁平苔癬等、
−皮膚癌、例えば、基底細胞癌、メラノーマ又は皮膚T細胞リンパ腫等、
−局在型良性表皮性腫瘍、例えば、角皮症、表皮性母斑等、
−凍瘡;
−高血圧、
−多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、
−喘息、
−嚢胞性線維症、
−変形性関節症、
−エリテマトーデス(LE)又は炎症性リウマチ障害、例えば関節リウマチ等、
−血管炎、
−消耗性(悪液質)、
−痛風、
−虚血/再灌流症候群、
−急性呼吸促迫症候群(ARDS)、
−ウイルス疾患及び感染症、
−リポジストロフィー及びリポジストロフィー状態、また薬物副作用を治療するため;
−ミオパシー及び脂質ミオパシー(例えばカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI又はII欠乏症);
H. 筋肉の形成及び除脂肪体重又は筋肉量形成。
【0111】
1日に適用できる一般式(I)の化合物の用量範囲は一般的に患者の体重1kg当たり0.001〜10mg、好ましくは患者の体重1kg当たり0.01〜8mgである。各薬用量単位は好都合には0.1〜1000mgの活性物質を含有し得る。好ましくは各薬用量単位は0.5〜500mgの活性物質を含有する。
実際の治療的に有効な量又は治療薬用量は当然に当業者に既知の因子、例えば患者の年齢及び体重、投与経路及び疾患の重症度等によって決まるであろう。いずれの場合も患者独特の状態に基づいて治療的に有効な量を送達できる薬用量及び様式で組み合わせを投与するであろう。
【0112】
医薬組成物
式(I)の化合物を投与するのに適した製剤は当業者には明白であろう。それには例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、座剤、ローゼンジ剤、トローチ剤、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、サシェ剤、注射剤、注入剤及び散剤等がある。医薬的に活性な化合物の含量は有利には全体として組成物の0.1〜90wt.-%、例えば1〜70wt.-%の範囲にある。
例えば、式(I)の1種以上の化合物を既知の賦形剤、例えば不活性な希釈剤、担体、崩壊剤、アジュバント、界面活性剤、結合剤及び/又は潤沢剤と混合することによって適切な錠剤を得ることができる。錠剤が数層から成ってもよい。
【0113】
併用療法
本発明の化合物は、1種以上、好ましくは1種の追加治療薬とさらに併用してよい。一実施形態によれば、追加治療薬は、例えば糖尿病、肥満症、糖尿病合併症、高血圧症、高脂血症等の代謝疾患又は状態と関連する疾患又は状態の治療に役立つ治療薬の群から選択される。
従って、本発明の化合物は、抗肥満薬(食欲抑制薬を含めて)、血糖を下げる薬剤、抗糖尿病薬、脂質異常症の治療薬、例えば脂質低減薬等、降圧薬、抗アテローム硬化症薬、抗炎症活性成分、悪性腫瘍の治療薬、抗血栓薬、心不全の治療薬並びに糖尿病に起因するか又は糖尿病と関連する合併症の治療薬から成る群より選択される1種以上の追加治療薬と併用し得る。
適切な抗肥満薬としては、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ-1(11β-HSD1型)阻害薬、ステアロイル-CoAデサチュラーゼ-1(SCD-1)阻害薬、MCR-4作動薬、コレシストキニン-A(CCK-A)作動薬、モノアミン再取り込み阻害薬、交感神経刺激薬、β3アドレナリン作動薬、ドーパミン作動薬、メラニン細胞刺激ホルモン類似体、5HT2c作動薬、メラニン濃縮ホルモン拮抗薬、レプチン(OBタンパク質)、レプチン類似体、レプチン作動薬、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害薬、摂食障害薬、ニューロペプチドY拮抗薬(例えば、NPY Y5拮抗薬)、PY
Y3-36(その類似体を含めて)、甲状腺ホルモン様作用(thyromimetic)薬、デヒドロエピアンドロステロン又はその類似体、グルココルチコイド作動薬又は拮抗薬、オレキシン拮抗薬、グルカゴン様ペプチド-1作動薬、毛様体神経栄養因子、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)阻害薬、グレリン拮抗薬、GOAT(グレリンO-アシルトランスフェラーゼ)阻害薬、ヒスタミン3拮抗薬又は逆作動薬、ニューロメジンU作動薬、MTP/アポB阻害薬(例えば、腸選択性MTP阻害薬)、オピオイド拮抗薬、オレキシン拮抗薬等が挙げられる。
【0114】
本発明の併用態様で用いる好ましい抗肥満薬としては、腸選択性MTP阻害薬、CCKa作動薬、5HT2c作動薬、MCR4作動薬、リパーゼ阻害薬、オピオイド拮抗薬、オレオイル-エストロン、オビネピチド、プラムリンチド(Symlin(登録商標))、テソフェンシン(NS2330)、レプチン、リラグルチド、ブロモクリプチン、オルリスタット、エクセナチド(Byetta(登録商標))、AOD-9604(CAS番号221231-10-3)及びシブトラミンが挙げられる。
適切な抗糖尿病薬としては、ナトリウム-グルコース共輸送体(SGLT)阻害薬、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ-1(11β-HSD1型)阻害薬、ホスホジエステラーゼ(PDE)10阻害薬、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)1又は2阻害薬、スルホニル尿素(例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド(chiorpropamide)、ダイヤビニーズ(diabinese)、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリクラジド、グリペンチド、グリキドン、グリソールアミド、トラザミド、及びトルブタミド)、メグリチニド、α-アミラーゼ阻害薬(例えば、テンダミスタット、トレスタチン及びAL-3688)、α-グルコシドヒドロラーゼ阻害薬(例えば、アカルボース)、α-グルコシダーゼ阻害薬(例えば、アジポシン、カミグリボース、エミグリタート、ミグリトール、ボグリボース、プラジマイシン-Q、及びサルボスタチン)、PPARγ作動薬(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン及びトログリタゾン)、PPARα/γ作動薬(例えば、CLX-0940、GW-1536、GW-20 1929、GW-2433、KRP-297、L-796449、LR-90、MK-0767及びSB-219994)、ビグアナイド薬(例えば、メトホルミン)、GLP-1誘導体、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)作動薬(例えば、Byetta
TM、エキセンディン-3及びエキセンディン-4)、GLP-1受容体及びグルカゴン受容体共作動薬、グルカゴン受容体拮抗薬、GIP受容体拮抗薬、タンパク質チロシンホスファターゼ-1B(PTP-1B)阻害薬(例えば、トロズスクェミン、ヒルチオサール抽出物)、SIRT-1活性化薬(例えばレセルバトロール)、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)阻害薬(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン及びサキサグリプチン)、インスリン分泌促進薬、GPR119作動薬、GPR40作動薬、TGR5作動薬、MNK2阻害薬、GOAT(グレリンO-アシルトランスフェラーゼ)阻害薬、脂肪酸酸化阻害薬、A2拮抗薬、c-junアミノ末端キナーゼ(JNK)阻害薬、インスリン、インスリン誘導体、速効性インスリン、吸入可能インスリン、経口インスリン、インスリン模倣薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害薬、VPAC2受容体作動薬及びグルコキナーゼ活性化薬が挙げられる。
好ましい抗糖尿病薬は、メトホルミン、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)作動薬(例えば
、Byetta
TM)、GLP-1受容体及びグルカゴン受容体共作動薬、ナトリウム-グルコース共輸送体(SGLT)阻害薬、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ-1(11β-HSD1型)阻害薬及びDPP-IV阻害薬(例えばシタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン及びサキサグリプチン)である。
【0115】
好ましくは、本発明の化合物及び/又は場合により1種以上の追加治療薬と組み合わせて本発明の化合物を含む医薬組成物を運動及び/又は食事制限と併せて投与する。
従って、別の態様では、本発明は、アセチルCoAカルボキシラーゼ、特にACC2の阻害によって影響され得るか又は媒介される疾患又は状態、特に前述及び後述の疾患又は状態の治療又は予防のための、前述及び後述の1種以上の追加治療薬と組み合わせた本発明の化合物の使用に関する。
さらに別の態様では、本発明は、患者のアセチルCoAカルボキシラーゼの阻害によって媒介される疾患又は状態の予防を含めた治療方法であって、該治療が必要な患者、好ましくはヒトに治療的に有効な量の本発明の化合物を治療的に有効な量の前述及び後述の1種以上の追加治療薬と組み合わせて投与する工程を含む方法に関する。
追加治療薬と組み合わせた本発明の化合物の使用は同時又は時間差で行なってよい。
本発明の化合物及び1種以上の追加治療薬は両方とも1つの製剤、例えば錠剤又はカプセル剤に一緒に存在してよく、或いは同一又は異なる製剤に別々に、例えばいわゆるキットの一部として存在してよい。
結果として、別の態様では、本発明は、本発明の化合物及び前述及び後述の1種以上の追加治療薬を、場合により1種以上の不活性な担体及び/又は希釈剤と共に含む医薬組成物に関する。
本発明のさらなる態様には、真菌の外寄生と闘うため及び/又は真菌の外寄生を阻止するため、或いは作物に有害な雑草、昆虫、又はコナダニ等の他の有害生物を防除するための作物保護薬としての本発明の化合物又はその塩の使用がある。本発明の別の態様は、植物病原性微生物、例えば植物病原性真菌を防除及び/又は阻止するための本発明の化合物又はその塩の使用に関する。従って本発明の一態様は、殺真菌剤、殺虫剤、殺コナダニ剤及び/又は除草剤として使用するための式(I)の化合物又はその塩である。本発明の別の態様は、本発明の化合物を1種以上の適切な担体と一緒に含む農業用組成物に関する。本発明の別の態様は、本発明の化合物を少なくとも1種の追加殺真菌剤及び/又は全身獲得抵抗性誘発因子と組み合わせて1種以上の適切な担体と共に含む農業用組成物に関する。
【0116】
合成スキーム
一般式(I)の化合物は、さらに1〜3個の置換基R
1で置換されていてもよいピリジン(Py-Z,II)とピロリジン(III)(Zは脱離基であり、例えばCl、Br又はIを表す)のパラジウム媒介ブッフバルト反応又は銅媒介ウルマン反応によって調製可能である。
【0117】
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
【0118】
一般式(I)の化合物は、例えば2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)、2-クロロ-1,3-ジメチル-2-イミダゾリニウムヘキサフルオロホスファート(CIP)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBop)、及び1-クロロ-N,N-2-トリメチルプロペニルアミン等のカップリング試薬によって媒介されるアミン(IV)とカルボン酸(V)のアミドカップリング反応によって調製可能である。
【0119】
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
【0120】
これとは別に、一般式(I)の化合物は、アミン(IV)とカルボン酸クロリド(VI)又はカルボン酸無水物(VII)のアミドカップリング反応によって調製可能である。
【0121】
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
【0122】
一般式(VIII)の化合物は、芳香族アルコール(IX)と求電子試薬(X)(Zは脱離基であり、例えばCl、Br、I、メシラート、トシラート又はトリフラートを表す)のアルキル化反応によって調製可能である。
【0123】
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
【0124】
一般式(XI)の化合物は、N,N-カルボニルジトリアゾール(CDT)又はN,N-カルボニルジイミダゾール(CDI)等の試薬との反応後のアミン(IV)とアミン(XII)の反応等の尿素形成反応によって調製可能である。
【0125】
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
【0126】
これとは別に、一般式(XI)の化合物は、アミン(IV)とカルバモイルクロリド(XIII)又はイソシアナート(XIV)の反応等の尿素形成反応によって調製可能である。
【0127】
【化51】
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【0128】
一般式(XV)の化合物は、CDT又はCDI等の試薬との反応後のアミン(IV)とアルコール(XVI)の反応等のウレタン形成反応によって調製可能である。アルコールはそれらの脱プロトン化形で使用し得る。
【0129】
【化52】
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【0130】
これとは別に、一般式(XV)の化合物は、アミン(IV)とクロロホルマート(XVII)の反応等のウレタン形成反応によって調製可能である。
【0131】
【化53】
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【0132】
或いは一般式(I)の化合物は、ピリジルハライド、ピリジルトリフラート(XVIII)(Zは脱離基であり、例えばF、Clを表す)とピロリジン(III)の求核芳香族置換反応(S
NAr)によって調製可能である。
【0133】
【化54】
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【0134】
一般式(XIX)の化合物は、ピリジルハライド(XX)(Zは脱離基であり、例えばF、Clを表す)とアミン(XII)の芳香族置換によって調製可能である。
【0135】
【化55】
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【0136】
一般式(XXI)の化合物は、ピリジルハライド(XX)(Zは脱離基であり、例えばF又はClを表す)とアルコール(XXII)の芳香族置換によって調製可能である。アルコールはそれらの脱プロトン化形で使用する。
【0137】
【化56】
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【0138】
一般式(XXIII)の化合物は、アミン(IV)とホルマート(XXIV)の反応によって調製可能である。
【0139】
【化57】
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【0140】
実験パート
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明することを目的としている。用語「周囲温度」及び「室温」を互換的に用いて約20℃の温度を示す。
序文:
原則として、調製した化合物については1H-NMR及び/又は質量スペクトルを得た。シリカゲルプレート及び254nmのUV光を用いてR
f値を決定する。
不斉中心の相対配置を描写するためストレートバーを使用する。相対及び絶対配置を描写するためには、バーはくさび形を有する。
【0141】
【化58】
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【0143】
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【0144】
出発化合物の調製
実施例I
(S)-N-(1-(4-ブロモフェニル)エチル)アセトアミド
【0145】
【化59】
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【0146】
800mLのDCM中の200g(1.00mol)の(S)-1-(4-ブロモフェニル)エチルアミンを94.5mL(1.00mol)の無水酢酸にゆっくり加えながら混合物を20〜30℃に冷却する。次に冷却を止めて反応混合物を室温で一晩撹拌する。その後混合物を連続して水、NaHCO
3飽和水溶液、水、希クエン酸水溶液及び再び水で洗浄する。有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
10H
12BrNO(M=242.1g/mol)
ESI-MS: 242/244 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.67分(方法A)
実施例II
(S)-tert-ブチル 1-(4-ブロモフェニル)エチルカルバマート
【0147】
【化60】
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【0148】
2LのDCM中の150g(735mmol)の(S)-1-(4-ブロモフェニル)エチルアミンに459mL(918mmol)のNa
2CO
3水溶液(c=2mol/L)を加える。この混合物に350mLのTHF中の164g(749mmol)のBOC
2Oの溶液を室温で滴加し、撹拌を1時間続ける。次に混合物を水上に注ぎ、さらに20分間撹拌する。層を分け、有機層を水(2×)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
13H
18BrNO
2(M=300.2g/mol)
ESI-MS: 300/302 [M+H]
+
R
f(TLC):0.90(シリカゲル,DCM/MeOH 9/1)
実施例III
実施例III.1(一般経路)
(S)-N-(1-(4-ヒドロキシフェニル)エチル)アセトアミド
【0149】
【化61】
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【0150】
a)アルゴン雰囲気内で60.0g(248mmol)の実施例I、73.0g(743mmol)のKOAc、94.4g(372mmol)のビス(ピナコラト)二ホウ素及び3.62g(4.96mmol)のPdCl
2(dppf)の混合物に450mLのDMSOを加え、結果として生じる混合物を2回脱気し、80℃で3時間撹拌する。次に反応混合物を室温に冷まし、水及びEtOAcで希釈し、層を分ける。水層をEtOAc(2×)で抽出する。有機層を混ぜ合わせ、水(3×)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、Celite(登録商標)のプラグを通してろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
16H
24BrNO
3(M=289.2g/mol)
ESI-MS: 290 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.19分(方法B)
b)80.0g(180mmol)の上記生成物を500mLのTHFに加え、0℃に冷却する。31.8mL(360mmol)のH
2O
2(水中35%)、引き続き51.7mL(155mmol)の4N NaOH水溶液を加え、結果として生じる混合物を一定温度で2時間撹拌する。EtOAcを加えて混合物を1N NaOH水溶液(2×)で抽出する。水層をEtOAcで洗浄し、クエン酸で酸性にし、EtOAc(3×)で抽出する。有機層を混ぜ合わせ、Na
2S
2O
3溶液(水中10%)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。結果として生じる生成物をTBMEと摩砕する。
C
10H
13NO
2(M=179.2g/mol)
ESI-MS: 180 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.30分(方法C)
実施例III.1に類似して下記化合物を調製する。
【0151】
【化62】
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【0152】
実施例IV
実施例IV.1(一般経路)
(4-ブロモ-3-メトキシ-ピリジン-2-イル)-メチル-プロピル-アミン
【0153】
【化63】
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【0154】
a)10mLのNMP中の1.00g(5.32mmol)の2-ブロモ-3-メトキシピリジンに0.86mg(11.7mmol)のN-メチル-N-プロピルアミンを加えて反応混合物を100℃で一晩撹拌する。その後、反応混合物を氷水上に注ぎ、さらに10分間撹拌する。次に混合物をDCMで抽出する。MgSO
4上で有機層を乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をHPLC(MeOH/H
2O/NH
4OH)で精製する。
C
10H
16N
2O(M=180.3g/mol)
ESI-MS:181 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.73(方法M)
b)50mLのTHF中の770mg(4.27mmol)の上記生成物に-70℃で5.87mL(9.40mmol)のn-BuLi(c=THF中1.6mol/L)を滴加し、混合物を0℃に温めて0℃で1時間撹拌を続ける。次に混合物を-70℃に冷却した後、1.13g(10.7mmol)の臭化シアン(5mLのTHF中)を加える。次に冷却を止め、結果として生じる混合物を一晩撹拌しながら温度を室温に上げる。その後、真空中で溶媒を除去し、結果として生じる混合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,CyH/EtOAc)で精製する。
C
10H
15BrN
2O(M=259.1g/mol)
ESI-MS:259/261 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.81(方法M)
実施例IV.1に類似して下記化合物を調製する。
【0155】
【化64】
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【0156】
実施例V
実施例V.1(一般経路)
3-ブロモ-6-エトキシ-2-メトキシ-ピリジン
【0157】
【化65】
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【0158】
a)50mLのDCM中の5.00g(24.7mmol)の5-ブロモ-2-エトキシ-ピリジンに4.66g(49.5mmol)の尿素・過酸化水素を加える。次に混合物を0℃に冷却した後6.88mL(49.5mmol)のTFA無水物を加える。その後、冷却を止め、結果として生じる混合物を一晩撹拌しながら温度を室温に上げる。真空中で溶媒を除去し、水を加え、結果として生じる混合物をDCMで抽出する。混ぜ合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をカムクロマトグラフィー(シリカゲル,DCM/MeOH)で精製する。
C
7H
8BrNO
2(M=218.1g/mol)
ESI-MS: 218/220 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.55(方法E)
b)4.50g(20.6mml)の上記生成物と14.3mLの(103mmol)のTEAを50mLのTHFに加え、氷水浴で0℃に冷却する。3.59mLの(25.8mmol)のTFA無水物を加えて反応混合物を室温で2時間撹拌する。その後反応混合物を水中に注ぎ、有機層を分離し、NaCl飽和水溶液で洗浄する。次に有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をHPLC(ACN/H
2O/FA)で精製する。
C
7H
8BrNO
2(M=218.1g/mol)
ESI-MS: 218/220 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.74(方法M)
c)4.20g(19.3mmol)の上記生成物、13.7g(96.3mmol)のメチルヨージド及び7.97g(28.9mmol)のAg
2CO
3を50mLのDCMに加えて室温で一晩撹拌する。結果として生じる沈殿物をろ別し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をHPLC(ACN/H
2O/FA)で精製する。
C
8H
10BrNO
2(M=232.1g/mol)
ESI-MS: 232/234 [M+H]
+
R
f(HPLC):1.14(方法M)
実施例V.1に類似して下記化合物を調製する。
【0159】
【化66】
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【0160】
実施例VI
実施例VI.1(一般経路)
6-ブロモ-N-(2,2-ジフルオロエチル)-N-メチルピリジン-2-アミン
【0161】
【化67】
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【0162】
88.0mg(0.50mmol)の2-ブロモ-2-フルオロピリジン、78.9mg(0.60mmol)の(2,2-ジフルオロ-エチル)-メチル-アミン塩酸塩及び0.17mL(1.00mmol)のDIPEAを90℃で一晩撹拌する。水を添加して反応をクエンチし、DCMで抽出する。混ぜ合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
8H
9BrF
2N
2(M=251.1g/mol)
ESI-MS: 250/252 [M+H]
+
R
f(HPLC):0.93(方法K)
実施例VI.1に類似して下記化合物を調製する。
【0163】
【化68】
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【0164】
実施例VII
(S)-ベンジル 1-(4-ヒドロキシフェニル)エチルカルバマート
【0165】
【化69】
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【0166】
a)10.0g(66.1mmol)の(S)-4-メトキシ-α-メチルベンジルアミンを30mLのHBr(AcOH中30%)に加えて100℃で4時間撹拌する。反応混合物を室温に冷まし、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をさらに精製せずに使用する。
b)5.00g(22.9mmol)の4-(1-アミノ-エチル)-フェノール臭化水素酸塩を10mLのTHFと10mLのH
2Oに加えた後13.5g(160mmol)のNaHCO
3を加える。次に3.60mL(25.2mmol)のクロロギ酸ベンジルを滴加して反応混合物を室温で3時間撹拌する。その後、水を添加して反応混合物をクエンチし、クエン酸(水中10%)を用いて弱酸性pH値に整える。次に生成物をEtOAcで抽出し、混ぜ合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,PE/EtOAc)で精製する。
C
16H
17NO
3(M=271.3g/mol)
ESI-MS: 272 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.65分(方法A)
実施例VIII
(R)-tert-ブチル 3-(4-((S)-1-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)フェノキシ)ピロリジン-1-カルボキシラート
【0167】
【化70】
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【0168】
6.00g(22.6mmol)の3-メタンスルホニルオキシ-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
*、6.14g(22.6mmol)の実施例VII及び14.7g(45.2mmol)のCs
2CO
3を80mLのDMFに加えて80℃で一晩撹拌する。反応混合物をろ過し、MeOHで洗浄し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をHPLC(MeOH/H
2O/NH
4OH)で精製する。
C
25H
32N
2O
5(M=440.5g/mol)
ESI-MS: 439 [M-H]
-
R
t(HPLC):1.22分(方法C)
*N保護3-メチルスルホニルオキシピロリジン調製の代表的手順はZersh et al. Synthesis 2011, 22, 3669-3674で見つけられる。
実施例IX
実施例IX.1(一般経路)
(R)-tert-ブチル 3-(4-((S)-1-アセトアミドエチル)フェノキシ)ピロリジン-1-カルボキシラート
【0169】
【化71】
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【0170】
20.0g(75.4mmol)の(S)-tert-ブチル3-(メチルスルホニルオキシ)-ピロリジン-1-カルボキシラート
*、13.5g(75.4mmol)の実施例III.1及び49.1g(151mmol)のCs
2CO
3を150mLのDMFに加えて80℃で16時間撹拌する。次に反応混合物を室温に冷まし、水で希釈し、EtOAc(2×)で抽出する。有機層を混ぜ合わせ、NaHCO
3水溶液(3×)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させる。ろ過後、真空中で溶媒を除去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,DCM/MeOH 93/7)で精製する。
C
19H
28N
2O
4(M=348.4g/mol)
ESI-MS: 349 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.02分(方法C)
実施例IX.1に類似して下記化合物を調製する。
【0171】
【化72】
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*N保護3-メチルスルホニルオキシピロリジン調製の代表的手順はZersh et al. Synthesis 2011, 22, 3669-3674で見つけられる。
【0172】
実施例X
(trans)-tert-ブチル-3-(4-((1S)-1-アセトアミドエチル)フェノキシ)-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボキシラート
【0173】
【化73】
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【0174】
1.00g(5.58mmol)の実施例III.1、1.14g(6.14mmol)のtert-ブチル 6-オキサ-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキシラート及び2.73g(8.37mmol)のCs
2CO
3を14mLのDMFに加えて80℃で一晩撹拌する。水を添加して反応をクエンチし、EtOAcで抽出する。有機層を混ぜ合わせ、NaOH水溶液(c=1mol/L)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させる。ろ過後、真空中で溶媒を除去する。
C
19H
28N
2O
5(M=364.4g/mol)
ESI-MS: 365 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.94分(方法C)
実施例XI
(cis)-tert-ブチル-3-(4-((1S)-1-アセトアミドエチル)フェノキシ)-4-メトキシピロリジン-1-カルボキシラート
【0175】
【化74】
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【0176】
a)0.50g(1.37mmol)の実施例Xを4mLのTHFに加えた後、0.23mL(1.65mmol)のTEAと0.14mL(1.65mmol)のMsClを加え、結果として生じる混合物を室温で一晩撹拌する。水を添加して反応をクエンチし、EtOAcで抽出する。有機層を混ぜ合わせ、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。
b)200mg(0.45mmol)の上記生成物を1mLのDMFに加えてから21.7mg(0.68mmol)のメタノールと16.3mg(0.68mmol)のNaHを加えて室温で3時間撹拌する。水を添加して反応をクエンチし、EtOAcで抽出する。有機層を混ぜ合わせ、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をHPLC(MeOH/H
2O/NH
4OH)で精製する。
C
20H
30N
2O
5(M=378.5g/mol)
ESI-MS: 379 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.10分(方法L)
実施例XII
(cis)-tert-ブチル 3-(4-((S)-1-アセトアミドエチル)フェノキシ)-4-フルオロピロリジン-1-カルボキシラート
【0177】
【化75】
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【0178】
0.15mL(0.41mmol)のDeoxo-Fluor(登録商標)溶液(トルエン中50%)と15.0μLのMeOHを密閉容器中の3mLのDCMに加える。次に100mg(0.27mmol)の実施例Xを加えて室温で一晩撹拌する。その後、NaHCO
3飽和水溶液を添加して反応をクエンチし、EtOAcで抽出する。有機層を混ぜ合わせ、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
19H
27FN
2O
5(M=366.4g/mol)
R
t(HPLC):1.43分(方法M)
実施例XIII
実施例XIII.1(一般経路)
N-((S)-1-(4-((R)-ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)アセトアミド塩酸塩
【0179】
【化76】
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【0180】
200mLのジオキサン中の20.5g(58.8mmol)の実施例IX.1に29.4mL(118mmol)のHCl(ジオキサン中,c=4mol/L)を加え、結果として生じる混合物を室温で一晩撹拌する。15mL(60mmol)のHCl(ジオキサン中,c=4mol/L)をさらに加えて1日撹拌を続ける。次に反応混合物をTBMEで処理し、沈殿物をろ別し、TBMEで洗浄し、真空中40℃で乾燥させる。
C
14H
20N
2O
2*HCl(M=284.8g/mol)
ESI-MS: 249 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.63分(方法C)
実施例XIII.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例XIII.3では、結果として生じる生成物を、NaOH水溶液(c=1mol/L)を用いて遊離塩基に変える。
【0181】
【化77】
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【0182】
実施例XIV
(R)-ベンジル 3-(4-((S)-1-アミノエチル)フェノキシ)ピロリジン-1-カルボキシラート塩酸塩
【0183】
【化78】
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【0184】
25mLのジオキサン中の4.70g(10.7mmol)の実施例IX.3に5.33mL(21.3mmol)のHCl溶液(ジオキサン中,c=4mol/L)を入れて室温で一晩撹拌する。真空中で溶媒を除去し、残渣をエタノールに取り、再び溶媒を除去する。結果として生じる生成物をDIPEと摩砕し、50℃で乾燥させる。
C
20H
24N
2O
3*HCl(M=376.9g/mol)
ESI-MS: 324 [M+H-NH
3]
+
R
t(HPLC):1.07分(方法C)
実施例XV
実施例XV.1(一般経路)
(R)-ベンジル 3-(4-((S)-1-(チアゾール-5-カルボキサミド)エチル)フェノキシ)ピロリジン-1-カルボキシラート
【0185】
【化79】
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【0186】
20mLのDMF中の3.80g(10.1mmol)の実施例XIVに5.15mL(29.9mmol)のDIPEA、3.80g(11.5mmol)のTBTU及び1.29g(9.99mmol)のチアゾール-5-カルボン酸を入れ、結果として生じる混合物を室温で一晩撹拌する。水を加えて混合物をEtOAc(3×)で抽出する。有機層を混ぜ合わせ、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,EtOAc)で精製する。生成物をEtOAcに加えてNaHCO
3飽和水溶液(3×)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
24H
25N
3O
4S(M=451.5g/mol)
ESI-MS: 452 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.92分(方法D)
実施例XV.1に類似して下記化合物を調製する。
【0187】
【化80】
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【0188】
実施例XVI
(R)-ベンジル 3-(4-((S)-1-(シクロプロパンカルボキサミド)エチル)フェノキシ)ピロリジン-1-カルボキシラート
【0189】
【化81】
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【0190】
50mLのDCM中の3.79g(10.1mmol)の実施例XIVと5.00mL(35.9mmol)のTEAに、10mLのDCMに溶かした1.10mL(11.9mmol)のシクロプロパンカルボニルクロリドをゆっくり加える。混合物を室温で3時間撹拌した後、混合物を水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。結果として生じる生成物をDIPEと摩砕して50℃で乾燥させる。
C
24H
28N
2O
4(M=408.5g/mol)
ESI-MS: 409 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.25分(方法E)
実施例XVII
(R)-ベンジル 3-(4-((S)-1-(3,3-ジメチルウレイド)エチル)フェノキシ)ピロリジン-1-カルボキシラート
【0191】
【化82】
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【0192】
40mLのDCM中の2.00g(5.31mmol)の実施例XIVと1.86mL(13.3mmol)のTEAに0.91g(5.57mmol)のCDTを加え、結果として生じる混合物を室温で15分間撹拌する。次に0.72g(15.9mmol)のジメチルアミンを加えて撹拌を一晩続ける。真空中で溶媒を除去し、粗生成物をHPLC(MeOH/H
2O/NH
3)で精製する。
C
23H
29N
3O
4(M=411.5g/mol)
ESI-MS: 412 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.05分(方法C)
実施例XVIII
実施例XVIII.1(一般経路)
tert-ブチル (S)-1-(4-((R)-ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)カルバマート
【0193】
【化83】
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【0194】
200mLのメタノール中の15.0g(34.1mmol)の実施例IX.3を室温で1.50gのPd/C(10%)と3バールの水素圧を用いて水素化する。完了後、反応混合物をろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
17H
26N
2O
3(M=306.4g/mol)
ESI-MS: 307 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.01分(方法C)
実施例XVIII.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例XVIII.2では、結果として生じる生成物を、メタノールHCl溶液(c=1.25mol/L)を用いて塩酸塩に変える。
【0195】
【化84】
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【0196】
実施例XIX
実施例XIX.1(一般経路)
2-アセトアミド-4-メチル-N-((S)-1-(4-((R)-ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)チアゾール-5-カルボキサミド
【0197】
【化85】
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【0198】
50mLのACN中の2.00g(3.83mmol)の実施例XV.2を氷水浴で冷却し、2.60mL(19.1mmol)のTMSIを入れる。冷却を止めて混合物を室温で1時間撹拌する。いくらかの水を添加して反応をクエンチする。真空中で溶媒を除去し、粗生成物をHPLC(MeOH/H
2O/NH
3)で精製する。
C
19H
24N
4O
3S(M=388.5g/mol)
ESI-MS: 389 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.77分(方法C)
実施例XIX.1に類似して下記化合物を調製する。
【0199】
【化86】
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【0200】
実施例XX
実施例XX.1(一般経路)
N-((S)-1-(4-((R)-1-(2-クロロ-3-フルオロピリジン-4-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)アセトアミド
【0201】
【化87】
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【0202】
0.95g(3.34mmol)の実施例XIII.1、0.59g(3.52mmol)の2,4-ジクロロ-3-フルオロ-ピリジン及び1.90g(13.7mmol)のK
2CO
3を6mLのNMPに加えて80℃で一晩撹拌する。水を添加して反応をクエンチし、EtOAc(3×)で抽出する。混ぜ合わせた有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をHPLC(ACN/H
2O/FA)で精製する。
C
19H
21ClFN
3O
2(M=377.8g/mol)
ESI-MS: 378 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.93分(方法D)
実施例XX.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例XX.7、XX.10及びXX.13では、塩基としてTEAを用いてTHF/DMF(10/1)中で反応を行ない、反応温度は5時間0℃及び一晩室温である。
実施例XX.8では、塩基としてDIPEAを用いてTHF/DMF(10/1)中で反応を行ない、一晩還流させる。
実施例XX.11では、塩基としてTEAを用いてTHF中で反応を行ない、反応条件は5時間70℃である。
【0203】
【化88】
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【0204】
実施例XXI
実施例XXI.1(一般経路)
N-((S)-1-(4-((R)-1-(2-クロロ-3-メチルピリジン-4-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)アセトアミド
【0205】
【化89】
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【0206】
不活性ガス雰囲気下で0.80g(2.53mmol)の実施例XIII.1、0.65g(2.53mmol)の2-クロロ-4-ヨード-3-メチル-ピリジン、1.00g(10.4mmol)のNaOtBu及び100mg(0.14mmol)のクロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル)(2-(2-アミノエチル)-フェニル)-パラジウム(II)を50mLのジオキサンに加えて45℃で一晩撹拌する。その後、溶媒を除去し、水を加えて生成物をEtOAcで抽出する。有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をHPLC(ACN/H
2O/TFA)で精製する。
C
20H
24ClN
3O
2(M=373.9g/mol)
ESI-MS: 374 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.77分(方法M)
実施例XXI.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例XXI.3及びXXI.10では、反応温度は3〜4時間70〜80℃である。
実施例XXI.5では、反応時間は3時間である。
実施例XXI.6では、反応条件は一晩80℃である。
【0207】
【化90】
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【0208】
実施例XXII
実施例XXII.1(一般経路)
(1S)-1-(4-((3R)-1-(5-((2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)ピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エタンアミン
【0209】
【化91】
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【0210】
2.0mLのジオキサン中の0.80g(1.63mmol)の実施例XXI.5を1.23mL(4.90mmol)のHCl(ジオキサン中,c=4mol/L)に加え、結果として生じる混合物を室温で一晩撹拌する。次に反応混合物をNaHCO
3半飽和水溶液で処理し、沈殿物をろ別し、H
2Oで洗浄して真空中40℃で乾燥させる。
C
21H
25F
2N
3O
2(M=389.4g/mol)
ESI-MS: 390 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.16分(方法C)
実施例XXII.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例XXII.3では、反応後に真空中で溶媒を除去し、粗生成物をHPLC(ACN/H
2O/NH
3)で精製する。
実施例XXII.5では、反応混合物の溶媒を真空中で除去する。
【0211】
【化92】
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【0212】
実施例XXIII
(S)-1-(4-((R)-1-(2-イソプロポキシピリジン-4-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エタンアミン
【0213】
【化93】
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【0214】
50mLのACN中の2.50g(5.26mmol)の実施例XXI.4を氷水浴で冷却し、3.58mL(26.3mmol)のTMSIを入れる。冷却を止めて混合物を室温で20分間撹拌する。次に真空中で溶媒を除去し、粗生成物をHPLC(MeOH/H
2O/NH
3)で精製する。
C
20H
27N
3O
2(M=341.5g/mol)
ESI-MS: 342 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.11分(方法C)
実施例XXIV
実施例XXIV.1(一般経路)
2-ブロモ-5-プロポキシ-ピリジン
【0215】
【化94】
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【0216】
10.0g(57.5mmol)の2-ブロモ-5-ヒドロキシピリジン、28.3g(230mmol)の1-ブロモプロパン及び19.9g(143.7mmol)のK
2CO
3を1LのACNに加え、撹拌して一晩還流させる。その後、水を添加して反応をクエンチし、TBMEで抽出する。有機層を混ぜ合わせ、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,PE/EtOAc)で精製する。
C
8H
10BrNO(M=216.1g/mol)
ESI-MS: 216/218 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.88分(方法C)
実施例XXIV.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例XXIV.10〜XXIV.14、XXIV.16〜XXIV.18及びXXIV.23では、DMF中で反応を行なう。
実施例XXIV.17〜XXIV.18では、塩基としてCs
2CO
3を使用する。
実施例XXIV.27及びXXIV.28では、エナンチオマー(実施例XXIV.3)の分離は、キラルSFC:カラム:Daicel ADH(200mm×25mm;5μm);流速:55mL/分;溶媒:CO
2/MeOH(95/5)とジエチルアミン(0.2%)を用いて行なう。
【0217】
【化95】
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【0220】
実施例XXV
実施例XXV.1(一般経路)
5-ブロモ-2-シクロプロピルメトキシ-ピリジン
【0221】
【化96】
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【0222】
10mLのTHF中の0.49g(6.82mmol)のシクロプロパンメタノールに0.42g(11.4mmol)のNaHを入れて反応混合物を室温で20分間撹拌する。次に1.00g(5.68mmol)の5-ブロモ-2-フルオロピリジンを加えて混合物を室温で一晩撹拌する。水を添加して反応をクエンチし、EtOAcで抽出する。有機層を混ぜ合わせ、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をHPLC(MeOH/H
2O/FA)で精製する。
C
9H
10BrNO(M=228.1g/mol)
ESI-MS: 228/229 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.14分(方法C)
実施例XXV.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例XXV.4では、反応条件は4時間50℃である。
実施例XXV.10〜XXV.13及びXXV.19〜XXV.21では、反応時間は2時間である。
実施例XXV.9では、溶媒を使用せず、反応温度は95℃である。
実施例XXV.4、XXV.10〜XXV.12、XXV.15〜XXV.16及びXXV.19〜XXV.21では、反応をDMF中で行なう。
実施例XXV.18では、反応をDMSO中で100℃にて行なう。
実施例XXV.21では、溶媒としてトルエンを用い、反応条件は1時間50℃である。
実施例XXV.22では、脱保護のためには0℃及び置換のためには50℃で溶媒としてメチルテトラヒドロフランを用いる。
【0223】
【化97】
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【0224】
実施例XXVI
実施例XXVI.1(一般経路)
2-ブロモ-5-(3,3,3-トリフルオロ-プロポキシ)-ピリジン
【0225】
【化98】
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【0226】
1.00g(5.75mmol)の2-ブロモ-5-ヒドロキシピリジン、0.66g(5.75mmol)の3,3,3-トリフルオロ-1-プロパノール及び1.51g(5.75mmol)のトリフェニルホスフィンを50mLのTHFに加える。次に1.32g(5.75mmol)のアゾジカルボン酸ジ-tert-ブチルを加えて反応混合物を60℃で3時間撹拌する。真空中で溶媒を除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,PE/EtOAc)で精製する。
C
8H
7BrF
3NO(M=270.1g/mol)
ESI-MS: 270/272 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.94分(方法C)
実施例XXVI.1に類似して下記化合物を調製する。
【0227】
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
【0228】
実施例XXVII
実施例XXVII.1(一般経路)
4-ブロモ-2-エトキシ-5-フルオロ-ピリジン
【0229】
【化100】
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【0230】
0.20g(1.04mmol)の4-ブロモ-5-フルオロ-ピリジン-2-オール、0.83mL(10.4mmol)のエチルヨージド及び0.43g(1.56mmol)のAg
2CO
3を5mLのDCMに加えて室温で一晩撹拌する。水を添加して反応をクエンチする。DCMを加え、結果として生じる混合物をろ過し、有機層を分離し、MgSO
4上で乾燥させ、再びろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
7H
7BrFNO(M=220.0g/mol)
ESI-MS: 220/222 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.27分(方法B)
実施例XXVII.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例XXVII.6では、K
2CO
3及びKIをさらに加え、反応を40℃で行なう。
【0231】
【化101】
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【0232】
実施例XXVIII
実施例XXVIII.1(一般経路)
3-ブロモ-6-プロポキシ-ピリジン-2-カルボニトリル
【0233】
【化102】
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【0234】
a)100mLのDCM中の2.70g(12.5mmol)の4-ブロモ-2-プロポキシピリジンに5.75g(25.0mmol)の3-クロロペルオキシ安息香酸を加え、結果として生じる混合物を室温で一晩撹拌する。MgSO
4を加え、酸化アルミニウム(塩基性,活性化)のプラグを通して混合物をろ過する。ろ液の溶媒を真空中で除去し、残渣をHPLC(acetone/H
2O/NH
3)で精製する。
C
8H
10BrN
2O(M=232.1g/mol)
ESI-MS: 232/234 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.69(方法M)
b)15mLのACN中の1.00g(4.31mmol)の5-ブロモ-2-プロポキシ-ピリジン-1-オキシド、2.31mL(17.2mmol)のTMSシアニド及び1.80mL(12.9mmol)のTEAを密閉容器内で100℃にて一晩撹拌する。次に真空中で溶媒を除去し、DCMを加え、結果として生じる混合物をNaHCO
3水溶液で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
9H
9BrN
2O(M=241.1g/mol)
ESI-MS: 241/243 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.09(方法C)
実施例XXVIII.1に類似して下記化合物を調製する。
【0235】
【化103】
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【0236】
実施例XXIX
2-ブロモ-6-(1-メタンスルホニル-シクロプロピル)-ピリジン
【0237】
【化104】
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【0238】
a)不活性ガス雰囲気下で28.4mL(56.8mmol)のナトリウム-ビス-(トリメチルシリル)アミド溶液(THF中,c=2mol/L)を-17℃に冷却し、2.00g(11.3mmol)の2-ブロモ-6-フルオロピリジンを滴加する。その後、2.14g(22.7mmol)のジメチルスルホンを加えて反応混合物を-17℃で1時間撹拌する。NaCl飽和水溶液を添加して反応をクエンチし、EtOAcで抽出する。有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
7H
8BrN
2O
2S(M=250.1g/mol)
ESI-MS: 250/252 [M+H]
+
b)35mLのNaOH水溶液(50%)を35mLのDCMと混合する。次に0.45g(1.4mmol)のテトラブチルアンモニウムブロミド、3.46g(13.8mmol)の2-ブロモ-6-メタン-スルホニルメチル-ピリジン及び5.96g(69.2mmol)の1,2-ジブロモエタンを加えて室温で撹拌する。その後、反応混合物の層を分け、水層をDCM(2×)で抽出する。混ぜ合わせた有機層をNaCl飽和水溶液で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
9H
10BrN
2S(M= 276.2g/mol)
ESI-MS: 276/278 [M+H]
+
実施例XXX
2-ブロモ-5-(3,3-ジフルオロ-プロポキシ)-ピリジン
【0239】
【化105】
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【0240】
a)不活性ガス雰囲気下で0.40g(17.2mmol)のナトリウムを10mLのEtOHに加え、ナトリウムが溶解するまで撹拌する。次に3.00g(17.2mmol)の2-ブロモ-5-ヒドロキシピリジンを加えて10分間撹拌する。最後に1.63g(17.2mmol)の3-クロロ-1-プロパノールを加え、結果として生じる混合物を還流下で2時間撹拌してから60℃で72時間撹拌する。水を加えて反応をクエンチし、EtOAcで希釈する。有機層を分け、NaOH水溶液(c=1mol/L)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
8H
10BrNO
2(M=232.1g/mol)
ESI-MS: 232/234 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.64(方法K)
b)40mLのDCM中の3.00g(12.9mmol)の3-(6-ブロモ-ピリジン-3-イルオキシ)-プロパン-1-オールに5.67g(12.9mmol)のデス・マーチン・ペルヨージナンを加え、結果として生じる混合物を室温で一晩撹拌する。反応混合物をDCMで希釈し、100mLのNaHCO
3半飽和水溶液を加え、混合物をCelite(登録商標)のプラグでろ過する。ろ液をEtOAcで抽出し、有機層を混ぜ合わせ、水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
8H
8BrNO
2(M=230.1g/mol)
ESI-MS: 230/232 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.64(方法K)
c)20mLのDCM中の3.50g(12.9mmol)の3-(6-ブロモ-ピリジン-3-イルオキシ)-プロピオンアルデヒドに2.39g(18.3mmol)のジエチルアミノ硫黄トリフルオリドを加え、結果として生じる混合物を室温で一晩撹拌する。次に反応混合物をDCMで希釈した後、NaHCO
3半飽和水溶液を加える。層を分け、水層をEtOAcで抽出する。有機層を混ぜ合わせ、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をHPLC(ACN/H
2O/NH
3)で精製する。
C
8H
8BrF
2NO(M=252.1g/mol)
ESI-MS: 252/254 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.82(方法K)
実施例XXXI
実施例XXXI.1(一般経路)
(S)-1-(4-((R)-1-(2-(2,2-ジフルオロエトキシ)ピリジン-4-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エタンアミン
【0241】
【化106】
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【0242】
a)100mLのジオキサン中の3.15mL(49.8mmol)の2,2-ジフルオロエタノールに1.26g(49.8mmol)のNaHを入れて反応混合物を室温で5分間撹拌する。次に4.00g(9.96mmol)の実施例XX.13を加え、結果として生じる混合物を120℃で一晩撹拌する。真空中で溶媒を除去し、DCMとH
2Oを加え、層を分け、水層をもう一度DCMで抽出する。有機層を混ぜ合わせ、MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
24H
31F
2N
3O
4(M=463.5g/mol)
ESI-MS: 464 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.02分(方法D)
b)70mLのジオキサン中の上記中間体に20.0mL(80.0mmol)のHCl(ジオキサン中,c=4mol/L)を加え、結果として生じる混合物を室温で5時間撹拌する。沈殿物をろ別し、ジエチルエーテルで洗浄する。粗生成物をHPLC(ACN/H
2O/TFA)で精製する。有機溶媒を真空中で除去し、水層をNH
3(水溶液)で塩基性にし、DCMで抽出する。有機層をMgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で溶媒を除去する。
C
19H
23F
2N
3O
2(M=363.4g/mol)
ESI-MS: 364 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.88分(方法D)
実施例XXXI.1に類似して下記化合物を調製する。
【0243】
【化107】
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【0244】
実施例XXXII
実施例XXXII.1(一般経路)
(S)-1-(4-((R)-1-(2-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-3-フルオロピリジン-4-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エタンアミン
【0245】
【化108】
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【0246】
不活性ガス雰囲気下で1.00g(2.07mmol)の実施例XX.9、0.30g(2.09mmol)の3,3-ジフルオロピロリジン塩酸塩、0.60g(6.24mmol)のNaOtBu及び100mg(0.14mmol)のクロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル)(2-(2-アミノエチル)-フェニル)-パラジウム(II)を15mLのジオキサンに加えて100℃で1.5時間撹拌する。その後、反応混合物を室温に冷ましてろ過する。1.00mL(13.0mmol)のTFAを加え、結果として生じる混合物を45℃で4時間撹拌する。真空中で溶媒を除去し、残渣にEtOAcを加える。混合物を半飽和HCl溶液で洗浄する。水層を4N NaOH溶液で塩基性にしてDCMで抽出する。有機層をMgSO
4上で乾燥させ、1ろ過し、真空中で溶媒を除去する。粗生成物をHPLC(ACN/H
2O/NH
3)で精製する。
C
21H
25F
3N
4O(M=406.4g/mol)
ESI-MS: 407 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.76分(方法M)
実施例XXXII.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例XXXII.2では、反応を100℃で3時間行なう。その後、混合物を水で処理し、EtOAcで抽出する。溶媒の除去後に粗生成物をHPLCで精製する。
【0247】
【化109】
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【0248】
実施例XXXIII
実施例XXXIII.1(一般経路)
4-ブロモ-3-メトキシ-2-プロポキシ-ピリジン
【0249】
【化110】
[この文献は図面を表示できません]
【0250】
a)10mLのトルエン中の384mg(6.38mmol)のn-プロパノールに255mg(6.38mmol)のNaHを入れて反応混合物を60℃で10分間撹拌する。次に1.00g(5.32mmol)の2-ブロモ-3-メトキシピリジンを加えて撹拌を110℃で一晩続ける。その後反応混合物をろ過し、粗生成物をHPLC(ACN/H
2O/FA)で精製する。
C
9H
13NO
2(M=167.2g/mol)
ESI-MS:168 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.03(方法M)
b)50mLのTHF中の830mg(4.96mmol)の上記生成物に-70℃で6.83mL(10.9mmol)のn-BuLi(c=1.6mol/L,THF中)を滴加する。温度を0℃に上昇させて撹拌を0℃で1時間続ける。次に混合物を再び-70℃に冷却した後1.31g(12.4mmol)の臭化シアン(2mLのTHF中)を加える。冷却を止め、結果として生じる混合物を一晩撹拌する。真空中で溶媒を除去し、結果として生じる混合物をH
2O中に注ぎ、TBMEで抽出する。真空中で溶媒を除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,CyH/EtOAc)で精製する。
C
9H
12BrNO
2(M=246.1g/mol)
ESI-MS:246/248 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.14(方法M)
実施例XXXIII.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例XXXIII.8では、工程a)後の中間生成物を、DCM中のTBS-トリフラートとTEAを用いることによってTBS保護する。
【0251】
【化111】
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【0252】
最終化合物の調製
一般的合成手順:
ブッフバルトカップリング
方法A)
15mLのジオキサン中の1.76mmolの適切なアミンに1.76mmolのピリジルハライド、7.02mmolのNaOtBu及び0.18mmolのクロロ(2-ジシクロヘキシル-ホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル)(2-(2-アミノエチル)-フェニル)-パラジウム(II)を加える。混合物を完全に脱気し、45℃で3時間撹拌する。少量の水とMeOHを加え、混合物をろ過した後HPLCで精製する。
方法B)
10mLのジオキサン中1.76mmolの適切なアミンに1.76mmolのピリジルハライド、7.02mmolのNaOtBu、0.70mmolの2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル及び0.18mmolのPd
2(dba)
3を加える。混合物を完全に脱気し、45℃で一晩撹拌する。反応混合物をろ過し、真空中で溶媒を除去し、残渣をHPLCで精製する。
方法C)
1.5mLのトルエンと0.5mLのtert-ブタノール中0.28mmolの適切なアミンに0.28mmolのピリジルハライド、0.70mmolのCs
2CO
3、14μmolのX-Phos及び14μmolのPd(OAc)
2を加える。混合物を完全に脱気して120℃で一晩撹拌する。少量の水とMeOHを加え、混合物をろ過した後HPLCで精製する。
方法D)
2.5mLのジオキサン中0.40mmolの適切なアミンに0.40mmolのピリジルハライド、1.61mmolのNaOtBu、0.70mmolの2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル及び0.04mmolのPd
2(dba)
3を加える。混合物を完全に脱気し、マイクロ波オーブン内で81℃にて45分間撹拌する。少量の水とMeOHを加え、混合物をろ過した後HPLCで精製する。
実施例1
実施例1.1(一般経路)
N-((1S)-1-(4-((3R)-1-(5-((2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)ピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)アセトアミド
【0253】
【化112】
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【0254】
表題化合物は、方法Aに記載の一般手順に従って75℃の反応温度で調製可能である。
C
23H
27F
2N
3O
3(M=431.5g/mol)
ESI-MS: 432 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.05分(方法C)
上記一般手順A〜Dに従って下記化合物を調製する。
実施例1.1、1.3〜1.16、1.66、1.72、1.78〜1.82、1.85、1.87〜1.89、1.94〜1.95、1.99〜1.100、1.110〜1.120、1.123、1.128、1.129、1.132、1.134〜1.151では、反応条件は、1〜16時間80〜100℃である。
実施例1.23、1.70、1.71、1.73 1.77、1.83及び1.86では、反応を一晩撹拌する。
実施例1.105〜1.109では、塩基としてCs
2CO
3を使用する。
実施例1.124〜1.127、1.129〜1.131及び1.133では、反応を60℃で一晩撹拌する。
実施例1.151では、反応を70℃で一晩行なう。HPLCによる精製後、DCM中でTFAを用いることよって中間生成物を脱保護し、再びHPLCで精製する。
【0255】
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
【0271】
実施例2
実施例2.1(一般経路)
2-アセトアミド-N-((1S)-1-(4-((3R)-1-(5-((2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)ピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)-4-メチルチアゾール-5-カルボキサミド
【0272】
【化114】
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【0273】
25.7mg(0.13mmol)の2-アセチルアミノ-4-メチル-チアゾール-5-カルボン酸、43.9μl(0.26mmol)のDIPEA及び45.3mg(0.14mmol)のTBTUを3mLのDMFに加えて10分間撹拌する。次いで50.0mg(0.13mmol)のアミンXXII.1を加え、結果として生じる混合物を室温で一晩撹拌する。その後、混合物を直接HPLC(MeOH/H
2O/TFA)で精製する。
C
28H
31F
2N
5O
4S(M=571.6g/mol)
ESI-MS: 572 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.11分(方法C)
実施例2.1に類似して下記化合物を調製する。
これらの実施例ではカップリング試薬としてCIPを使用し、溶媒としてACNを用いる。実施例2.3〜2.8、2.122及び2.125では、反応時間は2時間である。
実施例2.69〜2.93及び2.99-2.121では、塩基としてTEAを使用する。
実施例2.55では、生成物をTFA/H
2O(95/5)に加えて室温で3時間撹拌してtert-ブチル基を切断する。
実施例2.64では、生成物をメタノールに加えてHCl水溶液(c=1mol/L)で処理してTHP保護基を切断する。
1-クロロ-N,N-2-トリメチルプロペニルアミンを使用する実施例では、この試薬をDCM中の適切な酸の混合物に加えて室温で30分間撹拌する。次に適切なアミンとDIPEAを加え、結果として生じる混合物を室温で1時間撹拌する。水によるワークアップ作業後、粗生成物をHPLCで精製する。
【0274】
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
【0288】
実施例3
実施例3.1(一般経路)
1-((1S)-1-(4-((3R)-1-(5-((2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)ピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)-3-(イソオキサゾール-3-イル)尿素
【0289】
【化116】
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【0290】
方法A)
3mLのTHF中45.0mg(0.12mmol)のアミンXXII.1と39.0μL(0.23mmol)のDIPEAに38.8mg(0.23mmol)のCDTを加え、結果として生じる混合物を室温で15分間撹拌する。次に19.0mg(0.23mmol)の3-アミノイソオキサゾールを加え、結果として生じる混合物を室温で一晩撹拌する。その後、いくらかのDMFを加えて混合物を直接HPLC(MeOH/H
2O/NH
4OH)で精製する。
方法B)
3mLのジオキサン中45.0mg(0.12mmol)のアミンXXII.1に38.8mg(0.23mmol)のCDTと35.05mg(0.23mmol)のDBUを加え、結果として生じる混合物を室温で30分間撹拌する。次に19.0mg(0.23mmol)の3-アミノイソオキサゾールを加えて撹拌を一晩続ける。混合物をHPLC(ACN/H
2O/NH
4OH)で精製する。
C
25H
27F
2N
5O
4(M= 499.5g/mol)
ESI-MS: 500 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.89分(方法M)
実施例3.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例3.3では塩基としてTEAを用い、溶媒としてDCMを用いて反応を35℃で一晩行なう。
実施例3.4〜3.21では塩基としてTEAを使用する。
実施例3.19、3.20及び3.24〜3.25では、反応条件は一晩45℃である。
実施例3.21では、反応条件は2時間40℃である。
【0291】
【化117】
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【0294】
実施例4
実施例4.1(一般経路)
(S)-1-(4-((R)-1-(5-(((R)-2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)ピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチルカルバミン酸メチル
【0295】
【化118】
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【0296】
方法A)
0.5mLのACN中の25.0mg(0.06mmol)のアミンXXII.2を氷水浴で5℃に冷却する。次に35.0μL(0.26mmol)のTEA及び5.5μL(0.07mmol)のクロロギ酸メチルを加え、結果として生じる混合物を5℃で2時間撹し、室温で一晩撹拌する。粗混合物を直接HPLC(MeOH/H
2O/NH
4OH)で精製する。
方法B)
2mLのDCM中の50.0mg(0.13mmol)のアミンXXII.2に25.3mg(0.15mmol)のCDT及び21.6μL(0.15mmol)のTEAを加えて室温で1時間撹拌する。次に7.81μL(0.19mmol)のメタノールを加えて35℃で一晩撹拌する。粗混合物を直接HPLC(MeOH/H
2O/NH
4OH)で精製する。
C
23H
27F
2N
3O
4(M=447.5g/mol)
ESI-MS: 448 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.93分(方法K)
実施例4.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例4.2では、反応温度は室温である。
実施例4.4では、溶媒としてTHFを用いる。
実施例4.6及び4.9では、溶媒としてTHF及び塩基としてDIPEAを用いる。
実施例4.7では、反応条件は一晩70℃である。
【0297】
【化119】
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【0298】
実施例5
実施例5.1(一般経路)
N-((S)-1-(4-((R)-1-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)ピバルアミド
【0299】
【化120】
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【0300】
2mLのDCM中の35.1mg(0.10mmol)のアミンXXII.3及び51.6μL(0.30mmol)のDIPEAに14.5mg(0.12mmol)のトリメチルアセチルクロリドを加えて混合物を室温で一晩撹拌する。真空中で溶媒を除去し、いくらかのDMFを加えて混合物をHPLC(MeOH/H
2O/TFA)で精製する。
C
23H
28F
3N
3O
2(M=435.5g/mol)
ESI-MS: 436 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.65分(方法P)
実施例5.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例5.3〜5.8では、溶媒としてTHFを用いる。
実施例5.3では、反応条件は30分間室温である。
【0301】
【化121】
[この文献は図面を表示できません]
【0302】
実施例6
実施例6.1(一般経路)
2-ヒドロキシ-N-((S)-1-(4-((R)-1-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)プロパンアミド
【0303】
【化122】
[この文献は図面を表示できません]
【0304】
13.2mg(0.10mmol)の2-アセトキシ-プロピオン酸、51.6μl(0.30mmol)のDIPEA及び32.1mg(0.10mmol)のTBTUを2mLのDMFに加えて10分間撹拌する。次いで35.1mg(0.10mmol)のアミンXXII.3を加え、結果として生じる混合物を室温で一晩撹拌する。溶媒を除去し、結果として生じる生成物を2mLのメタノールに加え、500mgのNaOH水溶液(c=1mol/L)で処理して室温で2時間撹拌する。HCl水溶液(c=1mol/lL)で反応混合物を弱酸性pH値に整えて直接HPLC(MeOH/H
2O/TFA)で精製する。
C
21H
24F
3N
3O
3(M=423.4g/mol)
ESI-MS: 424 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.52分(方法P)
実施例6.1に類似して下記化合物を調製する。
【0305】
【化123】
[この文献は図面を表示できません]
【0306】
実施例7
実施例7.1(一般経路)
2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-N-((S)-1-(4-((R)-1-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)プロパンアミド
【0307】
【化124】
[この文献は図面を表示できません]
【0308】
2mLのDCM中の35.1mg(0.10mmol)のアミンXXII.3及び40.1μL(0.30mmol)のTEAに29.6μL(0.15mmol)のペンタフルオロプロピオン酸無水物を加えて混合物を室温で一晩撹拌する。溶媒を除去し、いくらかのDMFを加えて混合物をHPLC(MeOH/H
2O/TFA)で精製する。
C
21H
19F
8N
3O
2(M=497.4g/mol)
ESI-MS: 498 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.61分(方法R)
実施例7.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例7.3では、反応時間は1時間である。
【0309】
【化125】
[この文献は図面を表示できません]
【0310】
実施例8
実施例8.1(一般経路)
N-((S)-1-(4-((R)-1-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)アセトアミド
【0311】
【化126】
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【0312】
1mLのDMSO中の50.0mg(0.20mmol)のアミンXIII.3、36.5mg(0.20mmol)の2-クロロ-6-(トリフルオロ-メチル)ピリジン及び51.8μL(0.30mmol)のDIPEAを35℃で一晩撹拌する。反応混合物を直接HPLC(MeOH/H
2O/NH
4OH)で精製する。
C
20H
22F
3N
3O
2(M=393.4g/mol)
ESI-MS: 394 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.13分(方法C)
実施例8.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例8.2〜8.7、8.9〜8.11及び8.14〜8.15では、反応をNMP中130℃で72時間行なう。
実施例8.8では、反応をNMP中130℃で3時間行なう。
実施例8.12では、反応をTHF中70℃で一晩行なう。
実施例8.13では、反応条件は2週間100℃である。
【0313】
【化127】
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【0314】
実施例9
実施例9.1(一般経路)
N-((S)-1-(4-((R)-1-(2-シクロブトキシピリジン-4-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチルアセトアミド
【0315】
【化128】
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【0316】
25.0mg(0.07mmol)の実施例XX.7及び26.8μL(0.07mmol)のシクロブタノールを2mLのジオキサンに加える。次に14.6mg(0.36mmol)のNaH(鉱油中60%の懸濁液)を加えて反応混合物を130℃で一晩撹拌する。真空中で溶媒を除去する。少量のDMFを加えて混合物をHPLC(MeOH/H
2O/TFA)で精製する。
C
23H
29N
3O
3(M=395.5g/mol)
ESI-MS: 396 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.43分(方法J)
実施例9.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例9.2では、反応時間は3時間である。
実施例9.39では、反応条件は、溶媒としてDMSO及び一晩50℃である。
実施例9.52及び9.54では、反応時間は3日である。
実施例9.68〜9.70では、反応条件は、溶媒としてTHF及び一晩70℃である。
実施例9.71〜9.82及び9.84〜9.88では、反応条件は3〜16時間80〜100℃である。
実施例9.83では、溶媒としてプロパノールを使用する。
【0317】
【化129】
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【0326】
実施例10
実施例10.1(一般経路)
N-((S)-1-(4-((R)-1-(6-(ジメチルアミノ)ピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)アセトアミド
【0327】
【化130】
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【0328】
35.0mg(0.19mmol)の実施例XX.3と27.1mg(0.60mmol)のジメタンアミンを1mLのNMPに加えてマイクロ波オーブン内で220℃にて3時間撹拌する。その後反応混合物を直接HPLC(MeOH/H
2O/TFA)で精製する。
C
21H
28N
4O
2(M=368.5g/mol)
ESI-MS: 369 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.90分(方法E)
実施例10.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例10.2、10.12、10.14〜10.17及び10.19では、3当量のDIPEAを加える。
実施例10.13では、反応条件は2日間190℃である。
実施例10.18及び10.20では、反応条件は一晩150℃である。
実施例10.22〜10.24、10.27、10.51、10.53及び10.55では、反応を溶媒なしで110℃〜150℃にて行なう。
実施例10.26では、反応を一晩撹拌する。
実施例10.28〜10.50では、塩基としてDIPEA(4当量)を加え、反応条件は72時間220℃である。
実施例10.52及び10.54では、反応をジオキサン中120℃で一晩行なう。
【0329】
【化131】
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【0335】
実施例11
実施例11.1(一般経路)
N-((S)-1-(4-((R)-1-(5-(2,2-ジフルオロエトキシ)ピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)アセトアミド
【0336】
【化132】
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【0337】
2mLのACN中の60.0mg(0.18mmol)の実施例XXI.2、50.6mg(0.26mmol)の2-ヨード-1,1-ジフルオロエタン及び72.9mg(0.53mmol)のK
2CO
3を80℃で一晩撹拌する。少量の水を加え、反応混合物をろ過し、ろ液を直接HPLC(MeOH/H
2O/NH
4OH)で精製する。
C
21H
25F
2N
3O
3(M=405.4g/mol)
ESI-MS: 406 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.46分(方法J)
実施例11.1に類似して下記化合物を調製する。
【0338】
【化133】
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【0339】
実施例12
N-((S)-1-(4-((R)-1-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)ホルムアミド
【0340】
【化134】
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【0341】
2mL(24.8mmol)のギ酸エチル中の35.1mg(0.10mmol)の実施例XXII.3を室温で一晩撹拌する。次に真空中で溶媒を除去し、粗生成物をHPLC(MeOH/H
2O/TFA)で精製する。
C
19H
20F
3N
3O
2(M=379.4g/mol)
ESI-MS: 380 [M+H]
+
R
t(HPLC):1.50分(方法P)
実施例13
2-アミノ-N-((1S)-1-(4-((3R)-1-(5-((2,2-ジフルオロシクロプロピル)メトキシ)ピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)-4-メチルチアゾール-5-カルボキサミド
【0342】
【化135】
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【0343】
a)2mLのDCM中の113mg(0.42mmol)のN-Boc-アミノ-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸に55.6μL(0.42mmol)の1-クロロ-N,N,2-トリメチルプロペニルアミンを加え、結果として生じる混合物を室温で30分間撹拌する。2mLのDCM中の150mg(0.39mmol)の生成物XXII.1と137μL(0.80mmol)のDIPEAを加えて撹拌を1時間続ける。真空中で溶媒を除去し、粗生成物をHPLC(ACN/H
2O/TFA)で精製する。
C
31H
37F
2N
5O
5S(M=629.7g/mol)
ESI-MS: 630 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.99分(方法M)
b)10mLのDCM中の340mg(0.54mmol)の上記生成物に0.42mL(5.40mmol)のTFAを加えて混合物を撹拌して4時間還流させる。真空中で溶媒を除去し、残渣に水と4N NaOH水溶液を加える。沈殿物をろ過し、水で洗浄する。粗生成物をDMFに溶かし、HPLC(ACN/H
2O/TFA)で精製する。
C
26H
29F
2N
5O
3S(M=529.6g/mol)
ESI-MS: 530 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.81分(方法M)
実施例14
実施例14.1(一般経路)
N-((S)-1-(4-((R)-1-(2-(2,2-ジフルオロエトキシ)-3-メトキシピリジン-4-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)エチル)アセトアミド
【0344】
【化136】
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【0345】
1mLのジオキサン中の100mg(0.25mmol)の実施例XXI.10に23.5mg(0.28mmol)の2,2-ジフルオロエタノール、101mg(1.03mmol)のNaOtBu及び9.47mg(0.01mmol)のクロロ(2-ジシクロヘキシル-ホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル)(2-(2-アミノエチル)-フェニル)-パラジウム(II)を加える。混合物を完全に脱気し、70℃で一晩撹拌する。水を加え、結果として生じる混合物をDCMで抽出する。溶媒を除去し、残渣をHPLC(ACN/H
2O/NH
3)で精製する。
C
22H
27F
2N
3O
4 (M=435.5g/mol)
ESI-MS: 436 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.87分(方法M)
実施例14.1に類似して下記化合物を調製する。
実施例14.2では、溶媒はNMPである。
【0346】
【化137】
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【0347】
実施例15
N-((S)-1-(4-((R)-1-(2-シクロプロピル-フルオロピリジン-4-イル)ピロリジン-3-イルオキシ)フェニル)-エチル)-アセトアミド
【0348】
【化138】
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【0349】
5mLのジオキサン中の70.0mg(0.19mmol)の実施例XXIに20.0mg(0.23mmol)のシクロプロピルボロン酸、8mg(0.01mmol)の1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)-フェロセン-ジクロロパラジウム(II)及び85.0mg(0.39mmol)のK
3PO
4を加える。混合物を110℃で一晩撹拌する。室温に冷ました後、EtOAcをCelite(登録商標)及び活性炭と一緒に加える。短時間の撹拌後に混合物をろ過し、真空中で溶媒を除去し、残渣をHPLCで精製する。
C
22H
26FN
3O
2(M=383.5g/mol)
ESI-MS: 384 [M+H]
+
R
t(HPLC):0.51分(方法AD)
分析方法