特許第6047858号(P6047858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047858
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】撮影制御装置及び撮影制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20161212BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   H04N5/232 B
   H04N5/225 F
【請求項の数】22
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-120433(P2013-120433)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-239318(P2014-239318A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2015年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100088100
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 千明
(72)【発明者】
【氏名】中野 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】山本 一人
(72)【発明者】
【氏名】坂本 昇平
(72)【発明者】
【氏名】村木 淳
(72)【発明者】
【氏名】吉田 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 光喜
(72)【発明者】
【氏名】川原 和真
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩良
(72)【発明者】
【氏名】松田 英明
【審査官】 ▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−235783(JP,A)
【文献】 特開2003−324649(JP,A)
【文献】 特開2009−147885(JP,A)
【文献】 特開2007−266781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を決定する仮条件決定手段と、
前記仮条件を前記複数のカメラの各々に送信する仮条件送信手段と、
前記仮条件の送信に応答して前記複数のカメラの各々から送信されてくる前記複数のカメラによる撮影に参加可能か否かを示す参加可否情報に基づいて、前記仮条件での前記複数のカメラによる撮影に前記複数のカメラの各々が参加可能か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて前記複数のカメラによる撮影を行う際の実際の条件である実条件を決定する実条件決定手段と、
前記実条件を前記複数のカメラに設定する制御を行う制御手段と
を備えることを特徴とする撮影制御装置。
【請求項2】
複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件であって、前記複数のカメラによる撮影への参加候補となる複数の候補カメラの条件と、各候補カメラが実行すべき撮影の実行条件とを含む仮条件を決定する仮条件決定手段と、
前記複数の候補カメラの全てが前記実行条件での前記複数のカメラによる撮影に参加可能であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により全ての候補カメラが前記実行条件で前記複数のカメラによる撮影に参加可能でないと判定された場合に、前記複数のカメラによる撮影に参加するカメラの台数と各カメラが実行する実行条件の両方が所望の状態を維持する範囲内で前記仮条件を変更して実条件を決定する実条件決定手段と、
前記実条件を前記複数のカメラに設定する制御を行う制御手段と
を備えることを特徴とする撮影制御装置。
【請求項3】
複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を決定する仮条件決定手段と、
前記仮条件で前記複数のカメラによる撮影が可能か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて、前記複数のカメラによる撮影を行う際の実際の条件である実条件を決定する実条件決定手段と、
前記実条件を前記複数のカメラに設定する制御を行う制御手段と
を備え、
前記仮条件とは、全てのカメラが予め定められた同一の時間長で動画を撮影することのできる性能であって、前記動画の撮影が可能な電池残量、又は撮影した動画を記録する記録手段の残存容量を有することである
ことを特徴とする撮影制御装置。
【請求項4】
複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を決定する仮条件決定手段と、
前記仮条件で前記複数のカメラによる撮影が可能か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて、前記複数のカメラによる撮影を行う際の実際の条件である実条件を決定する実条件決定手段と、
前記実条件を前記複数のカメラに設定する制御を行う制御手段と
を備え、
前記仮条件とは、全てのカメラが同一の被写体を撮影することのできる状態であることであり、
前記被写体とこれを撮影するカメラとの位置及び撮影方向との関係を検出する検出手段を備え、
前記判定手段は、各カメラの前記検出手段による検出結果に基づき、前記全てのカメラが同一の被写体を撮影することのできる状態であるか否かを判定する
ことを特徴とする撮影制御装置。
【請求項5】
前記実条件決定手段は、前記判定手段により前記仮条件で前記複数のカメラによる撮影が可能であると判定された場合は、前記仮条件を前記実条件として決定し、前記判定手段により前記仮条件で前記複数のカメラによる撮影が可能でないと判定された場合は、前記判定結果に応じて前記仮条件を変更して前記実条件を決定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の撮影制御装置。
【請求項6】
前記複数のカメラによる撮影を行う際の仮または実際の条件は、前記複数のカメラにより同じ被写体を同じ時間帯に撮影する同期撮影を行う際に、前記複数のカメラに共通して設定すべき条件であり、
前記制御手段は、前記実条件で前記複数のカメラが同期撮影を行うように制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の撮影制御装置。
【請求項7】
前記仮条件には、前記複数のカメラによる撮影において、この撮影に参加するカメラの台数に関する条件、各々のカメラが実行すべき撮影の実行条件、撮影を行うタイミングに関する条件のうちのいずれか複数の条件を含み、
前記実条件決定手段は、前記判定手段により前記仮条件での同期撮影が可能でないと判定された場合は、前記仮条件に含まれる複数の条件のうちのいずれかを変更して実条件を決定することを特徴とする請求項6記載の撮影制御装置。
【請求項8】
前記複数のカメラによる撮影への参加候補となる複数の候補カメラから前記複数のカメラによる撮影の条件に係る性能又は状態を所定情報として取得する取得手段を更に備え、
前記判定手段は、前記取得手段により取得された所定情報に基づいて、前記複数の候補カメラの各々について、前記仮条件による前記複数のカメラによる撮影に参加可能な性能又は状態にあるか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の撮影制御装置。
【請求項9】
前記実条件決定手段は、前記仮条件を変更して前記実条件を決定する場合に、前記実行条件を変更せずに前記複数のカメラによる撮影に参加できないと判断された候補カメラを除外する方法と、前記複数のカメラによる撮影に参加できないと判断された候補カメラを除外せずに前記実行条件を変更する方法のいずれかの方法を選択して前記仮条件を変更することを特徴とする請求項2記載の撮影制御装置。
【請求項10】
前記仮条件の変更範囲を制限する制限条件を指定する変更制限手段を更に備え、
前記実条件決定手段は、前記変更制限手段により指定された制限条件の範囲内で前記仮条件を変更して前記実条件を決定することを特徴とする請求項2記載の撮影制御装置。
【請求項11】
前記制限条件は、同期撮影に参加するカメラの台数変更の制限条件、又は前記実行条件の変更範囲の制限条件を含むことを特徴とする請求項10記載の撮影制御装置。
【請求項12】
前記仮条件には、更に前記複数のカメラによる撮影を行うタイミングに関する条件を含み、
前記判定手段は、前記複数の候補カメラの全てが前記実行条件で前記複数のカメラによる撮影に直ちに参加可能であるか否かを判定し、
前記実条件決定手段は、前記判定手段により全ての候補カメラが前記実行条件で前記複数のカメラによる撮影に直ちに参加可能でないと判定された場合に、前記複数のカメラによる撮影に参加するカメラの台数と各カメラが実行する実行条件と前記複数のカメラによる撮影が行われるまでの待機時間の全てが所望の状態を維持する範囲内で前記仮条件を変更して前記実条件を決定することを特徴とする請求項2記載の撮影制御装置。
【請求項13】
前記実条件決定手段は、前記仮条件を変更して前記実条件を決定する場合に、前記実行条件を変更せずに前記複数のカメラによる撮影に参加できないと判断された候補カメラを除外する方法と、前記複数のカメラによる撮影に参加できないと判断された候補カメラを除外せずに前記実行条件を変更する方法と、全てのカメラが前記複数のカメラによる撮影に参加できる状態になるまで待機する方法のいずれかの方法を選択して前記仮条件を変更することを特徴とする請求項12記載の撮影制御装置。
【請求項14】
前記仮条件とは、カメラが撮影時に発生する機能及びその程度である撮影条件を同一にすることであり、
前記制御手段は、前記判定手段による判定結果に基づき、前記複数のカメラによる撮影に参加するカメラの撮影条件が同一となるように、前記複数のカメラによる撮影の実行を制御することを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の撮影制御装置。
【請求項15】
複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を決定する仮条件決定手段と、
前記複数のカメラによる撮影への参加候補となる全てのカメラが前記仮条件で前記複数のカメラによる撮影に参加可能であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により全てのカメラが参加可能であると判定された場合に、前記仮条件を実条件として前記複数のカメラによる撮影を実行する制御手段と、
前記判定手段が参加可能でないと判定した場合において、その旨を他のカメラに通知する通知手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記複数のカメラによる撮影に参加可能でないと判定されたカメラが参加できる状態となるまで待機する
ことを特徴とする撮影制御装置。
【請求項16】
カメラとしての機能を備え、
複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を他のカメラから受信する仮条件受信手段と、
前記仮条件受信手段により受信した仮条件で自己のカメラが前記複数のカメラによる撮影に参加可能か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づく所定情報を他のカメラに送信する所定情報送信手段と、
前記所定情報送信手段による所定情報の送信に応答して他のカメラから送信されてくる実条件で自己のカメラが前記複数のカメラによる撮影を実行するように制御する制御手段と
を備えることを特徴とする撮影制御装置。
【請求項17】
カメラの撮影制御方法であって、
複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を決定し、
前記仮条件を前記複数のカメラの各々に送信し、
前記仮条件の送信に応答して前記複数のカメラの各々から送信されてくる前記複数のカメラによる撮影に参加可能か否かを示す参加可否情報に基づいて、前記仮条件での前記複数のカメラによる撮影に前記複数のカメラの各々が参加可能か否かを判定し、
前記仮条件で前記複数のカメラによる撮影が可能でないと判定された場合は、前記判定の結果に応じて前記複数のカメラによる撮影を行う際の実際の条件である実条件を決定し、
前記決定した実条件を前記複数のカメラに設定する
処理を含むことを特徴とする撮影制御方法。
【請求項18】
カメラの撮影制御方法であって、
複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件であって、前記複数のカメラによる撮影への参加候補となる複数の候補カメラの条件と、各候補カメラが実行すべき撮影の実行条件とを含む仮条件を決定し、
前記複数の候補カメラの全てが前記実行条件での前記複数のカメラによる撮影に参加可能であるか否かを判定し、
全ての候補カメラが前記実行条件で前記複数のカメラによる撮影に参加可能でないと判定された場合に、前記複数のカメラによる撮影に参加するカメラの台数と各カメラが実行する実行条件の両方が所望の状態を維持する範囲内で前記仮条件を変更して実条件を決定し、
前記決定した実条件を前記複数のカメラに設定する
処理を含むことを特徴とする撮影制御方法。
【請求項19】
カメラの撮影制御方法であって、
複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を決定し、
前記仮条件で前記複数のカメラによる撮影が可能か否かを判定し、
前記判定の結果に応じて、前記複数のカメラによる撮影を行う際の実際の条件である実条件を決定し、
前記決定した実条件を前記複数のカメラに設定する
処理を含み、
前記仮条件は、全てのカメラが予め定められた同一の時間長で動画を撮影することのできる性能であって、前記動画の撮影が可能な電池残量、又は撮影した動画を記録する記録手段の残存容量を有する条件である
ことを特徴とする撮影制御方法。
【請求項20】
カメラの撮影制御方法であって、
予め決められた全てのカメラが同一の被写体を撮影することのできる状態であることを、複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件として決定する仮条件決定手段と、
前記複数のカメラの各々について、前記同一の被写体との位置及び撮影方向との関係を検出し、
この検出結果に基づき、前記複数のカメラの全てが前記同一の被写体を撮影することのできる状態であるか否かを判定し、
前記複数のカメラのいずれかが前記同一の被写体を撮影することのできる状態でないと判定された場合は、前記判定の結果に応じて、前記仮条件を変更して前記複数のカメラによる撮影を行う際の実際の条件である実条件を決定し、
前記決定した実条件を前記複数のカメラに設定する
処理を含むことを特徴とする撮影制御方法。
【請求項21】
カメラの撮影制御方法であって、
複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を決定し、
前記複数のカメラによる撮影への参加候補となる全てのカメラが前記仮条件で前記複数のカメラによる撮影に参加可能であるか否かを判定し、
前記全てのカメラが参加可能であると判定された場合に、前記仮条件を実条件として前記複数のカメラによる撮影を実行し、
前記複数のカメラのいずれかが参加可能でないと判定した場合において、その旨を他のカメラに通知し、
前記複数のカメラによる撮影に参加可能でないと判定されたカメラが参加できる状態となるまで待機する
処理を含むことを特徴とする撮影制御方法。
【請求項22】
カメラの撮影制御方法であって、
複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を他のカメラから受信し、
前記受信した仮条件で自己のカメラが前記複数のカメラによる撮影に参加可能か否かを判定し、
前記判定の結果に基づく所定情報を他のカメラに送信し、
前記所定情報の送信に応答して他のカメラから送信されてくる実条件で自己のカメラが前記複数のカメラによる撮影を実行する
処理を含むことを特徴とする撮影制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影制御装置及び撮影制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のカメラを用いて同一の被写体を異方向から同時に動画撮影し、これら撮影した複数の動画を同期再生するカメラシステムにおける撮影方法がある(例えば、特許文献1参照)。この撮影方法に用いられるカメラは、親機および子機機能を有し、親機として選択された場合には、子機とされた他のカメラの登録情報や撮影直前の状況及び能力情報を集め、これらを基に統合的な撮影条件を生成する。しかる後に、この生成した統合的な撮影条件を各子機に供給し、親機のレリーズシャッタボタンの操作に連動して各子機で撮影を行う。これにより、同一の被写体を異方向から同時撮影した動画画像を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−324649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、従来の発明において親機は、子機とされた他のカメラの登録情報や撮影直前の状況及び能力情報を集め、これらを基に全カメラが同時撮影に参加可能な統合的な撮影条件を生成する。
しかし、親機は生成した撮影条件を事前にチェックすることなく、そのまま用いて同時撮影制御を行う。つまり、最初に生成(設定)した撮影条件のレベルが適正であるか否か、全カメラが同時撮影に参加可能であるか否かの事前判断(再確認)を行うことなく、同時撮影を開始する。したがって、撮影条件が低レベルであると、同時撮影に参加できるカメラの数は多くなるが高品質の同時撮影画像を得ることはできず、逆に撮影条件が高レベルであると、高品質の同時撮影画像を得ることができるが、同時撮影に参加できるカメラの数が減少してしまうことになる。よって、複数のカメラを用いた同時撮影において撮影結果が安定的ではなく、ユーザが期待した撮影結果を得ることができない。
【0005】
本発明は、係る従来の課題に鑑みてなされたものであり、複数のカメラを用いた同時撮影において、ユーザの期待に応じた撮影結果を得ることのできる撮影制御装置及び撮影制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明に係る撮影制御装置は、複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を決定する仮条件決定手段と、前記仮条件を前記複数のカメラの各々に送信する仮条件送信手段と、前記仮条件の送信に応答して前記複数のカメラの各々から送信されてくる前記複数のカメラによる撮影に参加可能か否かを示す参加可否情報に基づいて、前記仮条件での前記複数のカメラによる撮影に前記複数のカメラの各々が参加可能か否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じて前記複数のカメラによる撮影が可能でないと判定された場合は、前記判定結果に応じて前記複数のカメラによる撮影を行う際の実際の条件である実条件を決定する実条件決定手段と、前記実条件を前記複数のカメラに設定する制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他の態様の撮像制御装置は、複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件であって、前記複数のカメラによる撮影への参加候補となる複数の候補カメラの条件と、各候補カメラが実行すべき撮影の実行条件とを含む仮条件を決定する仮条件決定手段と、前記複数の候補カメラの全てが前記実行条件での前記複数のカメラによる撮影に参加可能であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により全ての候補カメラが前記実行条件で前記複数のカメラによる撮影に参加可能でないと判定された場合に、前記複数のカメラによる撮影に参加するカメラの台数と各カメラが実行する実行条件の両方が所望の状態を維持する範囲内で前記仮条件を変更して実条件を決定する実条件決定手段と、前記実条件を前記複数のカメラに設定する制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他の態様の撮像制御装置は、複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を決定する仮条件決定手段と、前記仮条件で前記複数のカメラによる撮影が可能か否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じて、前記複数のカメラによる撮影を行う際の実際の条件である実条件を決定する実条件決定手段と、前記実条件を前記複数のカメラに設定する制御を行う制御手段とを備え、前記仮条件とは、全てのカメラが予め定められた同一の時間長で動画を撮影することのできる性能であって、前記動画の撮影が可能な電池残量、又は撮影した動画を記録する記録手段の残存容量を有することであることを特徴とする。
また、本発明に係る他の態様の撮像制御装置は、複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を決定する仮条件決定手段と、前記仮条件で前記複数のカメラによる撮影が可能か否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じて、前記複数のカメラによる撮影を行う際の実際の条件である実条件を決定する実条件決定手段と、前記実条件を前記複数のカメラに設定する制御を行う制御手段とを備え、前記仮条件とは、全てのカメラが同一の被写体を撮影することのできる状態であることであり、前記被写体とこれを撮影するカメラとの位置及び撮影方向との関係を検出する検出手段を備え、前記判定手段は、各カメラの前記検出手段による検出結果に基づき、前記全てのカメラが同一の被写体を撮影することのできる状態であるか否かを判定することを特徴とする。
また、本発明に係る他の態様の撮像制御装置は、複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を決定する仮条件決定手段と、前記複数のカメラによる撮影への参加候補となる全てのカメラが前記仮条件で前記複数のカメラによる撮影に参加可能であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により全てのカメラが参加可能であると判定された場合に、前記仮条件を実条件として前記複数のカメラによる撮影を実行する制御手段と、前記判定手段が参加可能でないと判定した場合において、その旨を他のカメラに通知する通知手段と、を備え、前記制御手段は、前記複数のカメラによる撮影に参加可能でないと判定されたカメラが参加できる状態となるまで待機することを特徴とする。
また、本発明に係る他の態様の撮像制御装置は、カメラとしての機能を備え、複数のカメラによる撮影を行う際の仮の条件である仮条件を他のカメラから受信する仮条件受信手段と、前記仮条件受信手段により受信した仮条件で自己のカメラが前記複数のカメラによる撮影に参加可能か否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づく所定情報を他のカメラに送信する所定情報送信手段と、前記所定情報送信手段による所定情報の送信に応答して他のカメラから送信されてくる実条件で自己のカメラが前記複数のカメラによる撮影を実行するように制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、最初に仮条件での同時撮影が可能か否かを判定し、その判定結果に応じて設定される実条件で同時撮影を実行するように制御するので、必要に応じて最初に設定した仮条件を修正して実条件を柔軟かつ確実に設定することが可能になる。よって、複数のカメラを用いた同時撮影において、ユーザが所望する撮影結果をより確実に得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は本発明の一実施の形態に係るカメラシステムの撮影時における配置例を示す図、(b)はカメラ1Bがマスターカメラである場合の動作説明図である。
図2】本実施の一実施の形態に係るカメラのブロック構成図である。
図3】同期撮影時における全カメラの処理手順示すフローチャートである。
図4】本発明の第1の実施の形態におけるマスターカメラの処理手順を示すフローチャートである。
図5】実行条件の設定処理手順を示すフローチャートである。
図6】参加可否の判定処理手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の第1の実施の形態におけるスレーブカメラの処理手順を示すフローチャートである。
図8】本発明の第2の実施の形態におけるマスターカメラの処理手順を示すフローチャートである。
図9】同実施の形態におけるスレーブカメラの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1(a)は、本実施の各実施の形態に共通するカメラシステムを示す説明図である。このカメラシステムは、第1カメラ1Aから第6カメラ1Fまでの6台カメラ(以下、第1カメラ1A〜第6カメラ1Fを総称して、カメラ1と表記する)で構成されている。これらカメラ1は、被写体30(例えば、ゴルフスウィングを行うゴルファー)を囲繞するように略等間隔に配置され、当該被写体30を周囲から動画撮影しようとするものである。
【0013】
図2は、カメラ1の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態において、第1カメラ1A〜第6カメラ1Fは、同図に示す共通する構成を備えている。すなわち、カメラ1は、バスライン20を介して各部に接続された制御部3を有しており、この制御部3は、カメラ1の各部を制御するワンチップマイコンである。撮像部4は、CMOSイメージセンサからなりフォーカスレンズ、ズームレンズ等で構成される撮像レンズ5の光軸上に配置され、露光タイミングがライン毎に異なるライン露光順次読み出し方式(ローリングシャッター )により、被写体の光学像に応じたアナログの撮像信号をライン毎に出力する。
【0014】
ユニット回路6は、撮像部4から出力される被写体の光学像に応じたアナログの撮像信号が入力される回路であって、入力した撮像信号を保持するCDSと、その撮像信号を増幅するゲイン調整アンプ(AGC)、増幅された撮像信号をデジタルの撮像信号に変換するA/D変換器(ADC)等から構成されている。撮像部4の出力信号はユニット回路6を経て、各々デジタル信号として信号処理部7に送られる。
【0015】
この送られたデジタル信号は、信号処理部7にて各種信号処理された後、画像処理部8に送られて、各種画像処理が施されるとともに、表示部9に供給されることにより、スルー画像として表示される。また、画像記録時において、画像処理部8で処理された信号は、さらに符号化されて画像記録部(外部記録媒体を含む)10に記録され、画像再生時において、画像記録部10から読み出された画像データは画像処理部8で復号化されて表示部9に表示される。
【0016】
また、バスライン20には、TG(Timing Generator)11、ROM12及びバッファメモリ13が接続されている。TG11は、制御部3が設定するタイミング及びフレーム周期のフレーム同期信号(センサV同期信号)を生成し、このフレーム同期信号に従ったタイミングで、撮像部4、ユニット回路6及びLED17を駆動する。ROM12には静止画撮影時、動画撮影時等の各撮影時における適正な露出値(EV)に対応する絞り値(F)とシャッタースピードとの組み合わせを示すプログラム線図を構成するプログラムAEデータや、EV値表も格納されている。そして、制御部3がプログラム線図により設定されるシャッタースピードに基づき設定した電荷蓄積時間はシャッターパルスとして、TG11を介して撮像部4に供給され、これに従い撮像部4が動作することにより露光期間、露光タイミングが制御される。さらに、ROM12には、後述するフローチャートに示すプログラム及びデジタルカメラとして機能するに必要な各種プログラムが格納されている。
【0017】
バッファメモリ13は、画像データ等を一時保存するバッファであるとともに、制御部3のワーキングメモリ等としても使用される。すなわち、前記画像処理部8は、信号処理部7から送られてきたベイヤーデータに、ペデスタルクランプ等の処理を施した後、RGBデータに変換し、更にRGBデータを輝度(Y)信号及び色差(UV)信号に変換する。この画像処理部8で変換されたYUVデータは、1フレーム分のデータがバッファメモリ13に格納される。バッファメモリ13に格納された1フレーム分のYUVデータは表示部9へ送られ、そこでビデオ信号に変換された後、スルー画像として表示される。
【0018】
なお、静止画撮影モードにおいて使用者によるシャッターキー操作が検出されると、撮像部4及びユニット回路6をスルー画像撮像時とは異なる静止画撮影用の駆動方式や駆動タイミングに切り替えることにより静止画撮影処理を実行し、この静止画撮影処理によりバッファメモリ13に格納された1フレーム分のYUVデータは、画像処理部8でJPEG方式等によるデータ圧縮後コード化され、バッファメモリ13内でファイル化された後、バスライン20を介して画像記録部10に静止画データとして記録される。
【0019】
また、動画撮影モードにおいて撮影開始指示が検出されると、撮影処理を開始し、撮影終了指示が検出されるまでの複数フレーム分のYUVデータをバッファメモリ13に格納する。このバッファメモリ13に格納された複数フレーム分のYUVデータは、動画終了指示後において制御部3へ送られ、JPEG方式等(動画撮影の場合は所定のMPEGのコーデック)によりデータ圧縮後コード化されて、バッファメモリ13及びバスライン20を介してフレームデータとしファイル名を付されて画像記録部10に書き込まれる。また、制御部3は、静止画又は動画の再生時には画像記録部10から読み出された静止画や動画のデータを伸張し、静止画データや動画像のフレームデータとしてバッファメモリ13の画像データ作業領域に展開する。
【0020】
さらに、バスライン20には、キー入力部14、無線I/F21、ID番号記憶部22、GPS(Global Positioning System)23、方位センサ24、及び測距センサ25が接続されている。キー入力部14は、シャッターキー、モード設定キー、電源キー等の複数の操作キーを含み、使用者によるキー操作に応じたキー入力信号を検出して制御部3に出力する。
【0021】
無線I/F21は、他のカメラとの間で、ブルートゥース(登録商標)等の近接無線でリンクを行うインタフェースである。ID番号記憶部22は、各カメラ1A〜1F毎に異なる自機のID番号(本実施の形態においては、相互に異なる自然数)を記憶しているとともに、他機から取得したID番号を記憶するリストエリアを有している。GPS23は、複数の測位衛星(GPS衛星)から送られてくる電波をGPS受信アンテナにより受信することによって、現在位置を示す緯度・経度からなる位置データを取得し、取得した位置データを、当該カメラの現在位置を示す位置情報として制御部3に供給する。方位センサ24は、当該カメラにおいて前記撮像レンズ5の光軸が向いている方向を検出し、これを撮影方向として制御部3に供給する。測距センサ25は、被写体までの距離、特に後述する特定被写体までの距離を検出して、制御部3に供給する。
なお、電源部26はバッテリーを備え、バッテリーから各部に電力を供給する。
【0022】
(第1の実施の形態)
以上の構成にかかる本実施の形態において、ユーザのキー入力部14での操作により各カメラ1に同期撮影モードが設定されていると、制御部3は、ROM12に記憶されたプログラムに従って、全カメラに共通する処理である図3のフローチャートに示すマスター/スレーブ決定処理を実行する。すなわち、制御部3は、自機のID番号記憶部22に記憶されている各カメラ固有のID番号を、無線I/F21から外部に送信して他機に近接無線により通知する(ステップSA1)。
【0023】
引き続き、自機のリスト(ID番号記憶部22)に未だ記憶されていないID番号の通知が他機からあったか否かを判断する(ステップSA2)。自機のリストに未記憶のID番号の通知が他機からあった場合には、通知のあったID番号をリストに追加して(ステップSA3)、ステップS2に戻る。したがって、本実施の形態においては、第1カメラ1Aから第6カメラ1Fまでの6台カメラのID番号が、各カメラ1のリストに記憶されるまで、ステップSA2→SA3→SA2のループ処理が繰り返される。また、このループ処理が繰り返されることにより、各カメラ1のID番号記憶部22には、第1カメラ1Aから第6カメラ1Fまでの6台カメラのID番号を記憶した同一のリストが形成されることとなる。
【0024】
そこで、各カメラ1は、同一のリスト(6台カメラのID番号を記憶)内において、最も若いID番号は、自機のものであるか否かを判断する(ステップSA4)。最も若いID番号が自機のものでない場合には、自機をスレーブカメラに設定して(ステップSA7)、このマスター/スレーブ決定処理を終了する。
【0025】
また、最も若いID番号は自機のものである場合には、自機をマスターカメラに設定する(ステップSA5)。したがって、このステップSA5までの処理が図1に示したカメラシステムにおいて実行されることにより、第1カメラ1Aから第6カメラ1Fまでの6台カメラの内の1台のカメラがマスターカメラに決定され、残る5台のカメラがスレーブカメラに決定される。例えば、図1(b)に示すように、カメラ1Bがマスターカメラに決定され、カメラ1A,1C,1D,1E,1Fスレーブカメラに決定される。
【0026】
このように本実施の形態においては、最も若いID番号のカメラをマスターカメラに決定するようにしたので、マスターカメラの決定処理が単純にして、迅速な撮影開始が可能となる。無論、これに限ることなく、各カメラの制御能力(制御部3の能力)を比較して、制御能力の最も高いカメラ1をマスターカメラにするようにしてもよい。このようにすれば、高性能のカメラを有効利用して、システム全体を精度よく制御することができる。
【0027】
しかる後に、自機を含むスト内のID番号に対応する複数のカメラを同時撮影への参加候補と決定して(ステップSA6)、マスター/スレーブ決定処理を終了する。したがって、以上のマスター/スレーブ決定処理が図1に示したカメラシステムにおいて実行されることにより、前述のようにマスターカメラとスレーブカメラとが決定されるとともに、第1カメラ1Aから第6カメラ1Fが同時撮影への参加候補として決定されることとなる。
【0028】
したがって、本実施の形態によれば、カメラシステムを構成するカメラ、及び当該カメラシステムにおけるマスター/スレーブの決定をユーザの手動による指定操作を伴うことなく、自動的に行うことができ、同時撮影に際しての事前操作の簡略することできる。
【0029】
無論、キー入力部14にてのユーザの操作により、カメラシステムを構成するカメラ、及び当該カメラシステムにおけるマスター/スレーブの決定を行うようにしてもよい。このようにすれば、ユーザの意思をカメラシステムを構成するカメラ、及びマスター/スレーブの決定に反映させることができ、任意のカメラでカメラシステムを構成し、いずれか任意のカメラをマスターとすることができる。
【0030】
図4は、前述のステップSA5の処理でマスターカメラに設定されたカメラ(以下、単にマスターカメラという)が有する制御部3が実行するマスターカメラ処理の処理手順を示すフローチャートである。マスターカメラの制御部3は、前述のステップSA7の処理でスレーブカメラに設定された各カメラ(以下、単にスレーブカメラという)に問い合わせて、各スレーブカメラの性能及び状態を取得する(ステップSB1)。具体的には、マスターカメラが無線I/F21から外部にスレーブカメラの性能及び状態送信要求を発信すると(図1(b)参照)、スレーブカメラがこれに応答して各自機の性能及び状態を示す情報を送信する。すると、マスターカメラの制御部3は、各スレーブカメラから送信されてくる性能及び状態を示す情報を無線I/F21で受信させて記憶する。
【0031】
なお、ステップSB1で取り扱われる各自機の性能及び状態を示す情報については、後述する図6に示すフローチャートで実行される処理を説明する際に詳述する。
【0032】
しかる後に、マスターカメラの制御部3は、実行条件の設定処理を行い、同期した動画撮影(以下、同期動画撮影という)の実行条件を設定する(ステップSB2)。このステップSB2で設定される実行条件が、複数のカメラによる同時撮影を行う際の仮の条件として設定された仮条件である。
【0033】
引き続き、参加可否の判定処理を行い、取得したスレーブカメラの性能及び状態に基づいて、各カメラが、設定した実行条件による同期動画撮影に参加可能であるか否かを判定する(ステップSB3)。
【0034】
この判定に用いられる実行条件は、前記ステップSB1で取得した各スレーブカメラの性能及び状態に基づくものであるから、全てのカメラがこの実行条件を満たす可能性は高い。つまり、この判定に際しては、取得したスレーブカメラの性能及び状態が考慮されているので、同期動画撮影に参加可能と判断されるカメラの数を可及的に多くすることができる。
【0035】
なお、これらステップSB2及びステップSB3の詳細な処理手順については、図5及び図6に基づき後述する。
【0036】
そして、ステップSB3での判定結果に基づき、設定した実行条件による同期動画撮影に全てのカメラが参加可能であるか否かを判断する(ステップSB
4)。全てのカメラが設定され実行条件で参加可能であれば問題はないことから、リストに書き込まれているID番号に対応する全てのカメラを選択する(ステップSB5)。引き続き、選択したカメラ(全てのカメラ)に対して、設定した実行条件による同期動画撮影の実行を指示する(ステップSB11)。また、マスターカメラ自身も設定した実行条件による同期動画撮影を実行する(ステップSB12)。
【0037】
したがって、マスターカメラが設定した比較的高レベル実行条件(撮影条件)であって、当該システムにおける最大カメラ数である全てのカメラ1を用いて同期動画撮影を行うことができる。
【0038】
また、このように設定した実行条件による同期動画撮影に全てのカメラが参加可能であれば、実行条件の修正(後述するステップSB10)は行わず、参加不可能であった場合にのみ、実行条件の修正(後述するステップSB10)を行う。よって、実行条件の無用な低下を回避しつつ、カメラの同時参加撮影数を最大数とすることができる。
【0039】
しかし、ステップSB4で、全てのカメラが設定した実行条件による同期動画撮影に参加可能ではない、つまり設定した実行条件による同期動画撮影に参加不可能なカメラがあると判断された場合には、マスターカメラにおいて予め設定されている同期撮影モードが「変更非許可モード」、「カメラ変更許可モード」、「条件変更許可モード」のいずれであるかを判断する(ステップSB6)。
【0040】
ここで「変更非許可モード」における「変更非許可」とは、設定した実行条件の変更を許可しないこと、つまり実行条件の変更非許可と、システムを構成するカメラの数を変更を許可しないこと、つまりカメラの変更非許可により第1カメラ1Aから第6カメラ1Fの全てを使用して同期動画撮影を行うことの両者を意味する。そして、このような意味を有する「変更非許可モード」が設定されている場合には、参加可能な状態にないカメラがあることを本カメラシステムを構成する全てのカメラに近接無線により通知する(ステップSB7)。すると後述するように、参加可能な状態にないカメラは設定変更を行い、設定変更後の性能及び状態を送信するので、マスターカメラはこれを受信して取得する(ステップSB8)。
【0041】
したがって、本カメラシステムを構成する全てのカメラは、他のカメラにおける最新の性能及び状態に関する情報を恒常的に共有することができ、本カメラシステムの円滑な動作を期待することができる。
【0042】
しかる後に、ステップSB3に戻る。したがって、「変更非許可モード」が設定されている状態において、同期動画撮影に参加不可能なカメラが存在すると、ステップSB3→SB4→SB6→SB7→SB8→SB3のループ処理が繰り返されることとなる。
なお、ステップSB7において、参加可能な状態にないカメラがあることを全てのカメラに通知するに際しては、いずれが参加可能な状態にないカメラであるかをも例えばID番号で通知する。したがって、ステップSB7の処理が実行されることにより、全スレーブカメラはシステム内に参加可能な状態にないカメラがあること、及びそれがどのカメラであるか(自機であるか否か)を識別することができる。
【0043】
また、前記ループ処理において、ID番号等によりいずれのスレーブカメラが参加不可能なカメラであるかを通知して、ステップSB3に戻る。すると、図7のフローチャートで後述するように、参加不可能なカメラであると通知されたカメラは、参加可能となるように設定変更を行って、その結果をマスターカメラに通知する。したがって、ステップSB3→SB4→SB6→SB7→SB8→SB3のループ処理が繰り返されている最中に、全てのカメラが参加可能な状態に移行する場合がある。その結果、前記ループのステップSB4からステップSB5→SB11→SB12と処理が進められる。
【0044】
よって、「変更非許可モード」が設定されている場合にも、マスターカメラが設定した比較的高レベルの実行条件(撮影条件)であって、当該システムにおける最大カメラ数である全てのカメラ1を用いて同期動画撮影が行われることになる。よって、撮影条件が比較的高レベルであることにより、高品質の同時撮影画像を得ることができ、かつ、同時撮影に参加できるカメラの数を最大にして多角的な同時撮影を行うことができる。
【0045】
他方、「カメラ変更許可モード」が設定されている場合、制御部3はステップSB6からステップSB9に処理を進める。そして、参加不可能な状態にないスレーブカメラを排除し、参加不可能な状態にあるスレーブカメラを選択する(ステップSB9)。しかる後に、前述のステップSB11、SB12の処理を実行する。
【0046】
したがって、「カメラ変更許可モード」が設定されている場合には、同期動画撮影に参加するカメラの数は減少するものの、実行条件(撮影条件)はマスターカメラが設定した比較的高度なレベルに維持されることになる。よって、撮影条件が比較的高レベルに維持されることにより、高品質の同時撮影画像を得ることができる。
【0047】
また、「条件変更許可モード」が設定されている場合、制御部3はステップSB6からステップSB10に処理を進める。そして、全てのカメラが同期動画撮影に参加可能となるように、実行条件を修正する(ステップSB10)。このステップSB10で修正された条件が同期動画撮影を行う際の実際の条件である実条件である。
【0048】
しかる後に、前述のステップSB11、SB12の処理を実行する。したがって、以上のように処理が実行された場合には、撮影条件のレベルは低下するにしても、同時撮影に参加できるカメラの数は多くなる。よって、「条件変更許可モード」を設定しておけば、画像の明瞭さは要求されないが、多方向からから撮影されることが要求される被写体を動画撮影する場合に適する。また、撮影条件が高レベルであると、高品質の同時撮影画像を得ることができるが、同時撮影に参加できるカメラの数が減少してしまうという従来の問題点も解消されることになる。
【0049】
このとき、マスターカメラは、前述のステップSB4で全てのカメラが参加可能であるか否かを確認した上で、参加不可能なカメラがある場合にのみ実行条件を修正(変更)する。したがって、実行条件を修正(変更)するのは、参加不可能なカメラがある場合に限定されることから、実行条件の修正(変更)による緩和は限定的なものとなる。したがって、実行条件のレベル低下を極力回避しつつ、多くのカメラ(全てのカメラ)による同期動画撮影を行うことができる。よって、撮影条件のレベル低下を極力回避されることにより、高品質の同時撮影画像を得ることができ、かつ、同時撮影に参加できるカメラの数を最大にして多角的な同時撮影を行うことができる。
【0050】
しかも、以上の各モードはユーザのキー入力部14での操作により設定されたものであるから、複数のカメラ1を用いた同時撮影において、ユーザの期待に応じた撮影結果を得ることができる。
【0051】
また、図4に示したフローチャートに従って処理を実行すれば、仮条件を変更して実条件を設定する場合に、実行条件を変更せずに同期撮影に参加できないと判断された候補カメラを除外する方法と、同期撮影に参加できないと判断された候補カメラを除外せずに前記実行条件を変更する方法のいずれかの方法を選択して仮条件を変更することになる。したがって、ユーザは被写体の特性に応じてモードを選択して設定しておけば、撮影画像の品質は犠牲にして同時撮影に参加できるカメラの数を優先したり、同時撮影に参加できるカメラの数を犠牲にして高品質の同時撮影画像を優先する等の自在な形態での同時動画撮影が可能となる。
なお、複数のカメラ1に予め優先度が設定しておき、複数のカメラの撮影状態が同一となる撮影条件を設定することができない場合において、前記優先度の高いカメラの撮影状態又は個別撮影条件を優先して、実行条件を修正するようにしてもよい。このようにすれば、異なる同時撮影毎にカメラの優先度を設定変更したり、優先度の高いカメラを重要な撮影位置に配置する等を行うことができ、目的に応じた付加価値のある同期動画撮影結果を得ることができる。
【0052】
図5は、前記実行条件の設定処理(ステップSB2)の詳細を示すフローチャートである。マスターカメラの制御部3は、撮影画像内つまり現在撮影中であり表示部9にスルー画像として表示されている画像内から、特定被写体を選択する(ステップSC1)。この特定被写体の選択により、同期動画撮影の対象をピンポイント的に設定することが可能となる。なお、この特定被写体の選択は、例えば表示部9のする画像上に表示されるフォーカス枠内の被写体を制御部3が自動的に選択するようにしてもよいし、キー入力部14でのユーザによる手動操作に応応答して、スルー画像内の任意の被写体を特定被写体として選択するようにしてもよい。
【0053】
次に、測距センサ25を起動させることにより検出した特定被写体までの距離、GPS23からの位置情報により得られる自機の位置、及び方位センサ24から供給される撮影方向に基づいて、特定被写体の位置を算出し、つまり特定被写体の絶対座標を算出して決定する(ステップSC2)。また、同期動画撮影の長さを決定する(ステップSC3)。この同期動画撮影の長さの決定は、キー入力部14でのユーザによる操作により入力された任意の時間、例えば「5分」と決定してもよいし、固定的に「5分」と自動決定してもよい。
【0054】
さらに、特定被写体を撮影した際の画像の明るさを決定する(ステップSC4)。ステップSC7で後述するように、この決定した画像の明るさが動画撮影の実行条件となる。したがって、このステップSC4で撮影時における画像の明るさを決定すれば、全てのカメラ1が同一の明るさで動画撮影することになる。したがって、各カメラ1が撮影した同一時点のフレーム画像を結合してパノラマ画像を作成した際に、各フレーム画像間に明るさの相違が生ずることがなく、違和感のない自然な品質の高いパノラマ画像を得ることができる。
【0055】
引き続き、特定被写体を撮影した画像のフォーカスを決定する(ステップSC5)。ステップSC5における画像のフォーカスの決定は、特定被写体にピントが合うようにフォーカスを決定することが基本的な手法であるが、これに限らず特定被写体からピントがずれるようにフォーカスを決定する手法であってもよい。
【0056】
また、同特定被写体を撮影した画像のブレを決定する(ステップSC6)。すなわち、全カメラ1のシャッタ速度を決定することにより、特定被写体がゴルフスウィングを行うゴルファーのように動的な被写体である場合の画像のブレを決定する。これにより、各カメラ1が同一のブレを伴って特定被写体を撮影することとなり、これら各カメラ1で撮影した動画を同期再生した際に、同一のブレを伴って再生される複数の動画により、立体感のある画像を表示することができる。
【0057】
そして、以上の処理により決定した特定被写体の位置、動画撮影の長さ、動画画像の明るさ、フォーカス、ブレを同期動画撮影の実行条件(撮影条件)とし(ステップSC7)、この実行条件が前述の図4のフローチャートにおけるステップSB2で設定されることとなる。
【0058】
図6は、前記ステップSB3で実行される参加可否の決定処理の詳細を示すフローチャートである。マスターカメラの制御部3は、各スレーブカメラから送信されて受信した当該スレーブカメラの性能及び状態に含まれる各カメラの位置と撮影方向で、決定した特定被写体を撮影可能であるか否かを判断する(ステップSD1)。撮影可能である場合にはステップSD2に処理を進め、撮影可能でない場合にはステップSD4に処理を進める。そして、ステップSD4に処理を進めた場合は、当該スレーブカメラは設定した実行条件では同期動画撮影に参加可能ではない(参加不可能)と判定する。
【0059】
ステップSD2では、各カメラが有する電源部26のバッテリー残量、画像記録部10のメモリ残量は決定した長さの動画を撮影可能な量であるか否かを判断する。このステップSD2の判断がNOであるならば、前述のステップSD4に処理を進め、YESであればステップSD3に処理を進める。
【0060】
したがって、ステップSD2での判断により、同一の時間長で撮影するという同期動画撮影において重要な条件の一つを満たすことができる。
【0061】
次にマスターカメラは、ステップSD3で、各カメラの性能と、各カメラが撮影する特定被写体の状態で、決定した明るさ、フォーカス、ブレで特定被写体を撮影可能か否かを判断する(ステップSD3)。そして、このステップSD3で判断がNOであるならば、前述のステップSD4に処理を進め、同期動画撮影に参加可能でないと判定し、当該スレーブカメラに対する参加可否の判定処理を終了する。
【0062】
また、ステップSD3で判断がYESであるならば、ステップSD5に処理を進め、設定した実行条件で同期動画撮影に参加可能であると判定して、参加可否の判定処理を終了する。
【0063】
したがって、ステップSD3での判断により、全てのカメラが同一の状態で撮影するという同期動画撮影において重要な条件の一つを満たすことができる。
なお、撮影状態の判断要素は、被写体の明るさ、ぶれ、フォーカス、色合いのいずれを単独で構成要素とし、前記撮影条件は、露光時間、絞り、感度、手振れ補正機能のいずれかを単独で構成要素とするのみならず、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。これにより、被写体の動き等の特徴を考慮して、同期動画撮影の条件設定を行うことができる。
【0064】
以上のSD1〜SD5のステップで構成される図6の参加可否の判定処理を、性能及び状態を取得した当該スレーブカメラ毎に行う。このとき、図6の参加可否の判定処理においては、スレーブカメラから送信される各カメラの位置と撮影方向(ステップSD1)、電源部26のバッテリー残量、画像記録部10のメモリ残量(ステップSD2)、各カメラの性能と、各カメラが撮影する特定被写体の状態に基づき決定した画像明るさ、フォーカス、ブレで特定被写体をできるか(ステップSD3)に基づき、実行条件で同期動画撮影が可能であるか否かを判定する。したがって、ステップSB1で取り扱われる各自機の性能及び状態を示す情報は、少なくとも、スレーブカメラの位置と撮影方向、電源部26のバッテリー残量、画像記録部10のメモリ残量、各カメラの性能と、各カメラが撮影する特定被写体の状態に基づき決定した画像明るさ、フォーカス、ブレを含むものである。
【0065】
図7は、スレーブカメラの制御部3が実行するスレーブカメラ処理の手順を示すフローチャートである。各スレーブカメラの制御部3は、マスターカメラからの性能及び問い合わせ(送信要求)があるまで待機する(ステップSE1)。無線I/F21によりマスターカメラからの性能及び状態の送信要求があったならば、スレーブカメラの制御部3は、具体的事項に関しては前述した自機の性能及び現在の状態を取得し(ステップSE2)、この取得した自機の性能及び現在の状態をマスターカメラに送信する(ステップSE3)。
【0066】
また、参加可能な状態にないカメラに対しては、前述のようにステップSB7の処理でマスターカメラからその旨が通知されるので、各スレーブカメラの制御部3は、この通知を受けたか否かを判断する(ステップSE4)。この通知を受けた場合には、参加可能となるように実行条件を設定変更し、設定変更後の性能及び状態をマスターカメラに送信する(ステップSE5)。
【0067】
そして、マスターカメラから同期動画撮影の実行指示があるまで(ステップSE6)、ステップSE1〜SE6のループを繰り返し実行する。このループ実行中に、前述したステップSB11での処理によりマスターカメラから、同期動画撮影の実行指示があると、スレーブカメラの制御部3は、指定された実行条件により同期動画撮影を実行する(ステップSE7)。
【0068】
無論、前述した実行条件やモードによっては、マスターカメラからの同期動画撮影の実行指示がないスレーブカメラもある。実行指示がないスレーブカメラに関しては、ステップSE1〜SE6のループの時間を計測し、当該時間が所定値を超えた時点で、図7に示すフローチャートに示す処理を終了することとする。
【0069】
あるいは、前記ステップSB11で、選択したスレーブカメラに対して設定(修正)した実行条件による動画撮影の実行を指示すると同時に、選択しないスレーブカメラに対して動画撮影の実行中止(禁止)を指示する。一方、スレーブカメラは、前記ステップSE6でマスターカメラからの同期動画撮影の実行指示があったか否かを判断するのみならず、実行禁止指示があったか否かも判断する。実行中止(禁止)指示があった場合には、図7に示すフローチャートに示す処理を終了することとする。
【0070】
しかして、第1の形態にかかるカメラシステムにおいては、下記のパターンのいずれかで同期動画撮影が行われることになる。
【0071】
(1)マスターカメラが最初に設定された実行条件で、全てのカメラが同期動画撮影に参加可能である場合には、当該実行条件で全てのカメラが同期動画撮影を実行する。したがって、この場合、マスターカメラが最初に設定した実行条件は緩和されないで、システムを構成する全てのカメラで同期動画撮影が行われる。
【0072】
(2)前記最初に設定された実行条件では、同期動画撮影に参加可能でないスレーブカメラがある場合であって、「変更非許可モード」が設定されている場合には、マスターカメラは最初に設定した実行条件を変更することなく維持し、スレーブカメラがマスターカメラからの実行条件を満たすように設定変更を行う。そして、全スレーブカメラがマスターカメラにより最初に設定された実行条件を満たす性能及び状態となった時点で、マスターカメラと全スレーブカメラとで同期動画撮影を行う。したがって、この場合も、マスターカメラが最初に設定した実行条件は緩和されないで、システムを構成する全てのカメラで同期動画撮影が行われる。
【0073】
(3)前記最初に設定された実行条件で、同期動画撮影に参加可能でないスレーブカメラがある場合であって、「カメラ変更許可モード」が設定されている場合には、同期動画撮影に参加可能なスレーブカメラが選択されて期動画撮影が行われる。したがって、この場合、システムを構成する一部のカメラで同期動画撮影が行われることなるが、マスターカメラが最初に設定した実行条件は緩和されないで動画撮影が行われる。
【0074】
(4)前記最初に設定された実行条件では、同期動画撮影に参加可能でないスレーブカメラがある場合であって、「条件変更許可モード」が設定されている場合には、全てのカメラが参加可能となるように、実行条件が修正されて同期動画撮影が実行される。したがって、この場合は、マスターカメラが最初に設定した実行条件は緩和されるが、システムを構成する全てのカメラで同期動画撮影が行われる。
【0075】
(第2の実施の形態)
【0076】
図8は、本発明第2の実施の形態におけるマスターカメラ処理の手順を示すフローチャートである。マスターカメラの制御部3は、実行条件の設定処理を行って、同期した動画撮影の実行条件(仮条件)を設定する(ステップSF1)。この実行条件(仮条件)の設定処理は、第1の実施の形態と同様に、図5のフローチャートに示す手順で行う。したがって、第1の実施の形態においては、スレーブカメラというに問い合わせて、各スレーブカメラの性能及び状態を取得する処理(ステップSB1)行った後に、実行条件の設定処理を行うが、第2の実施の形態では、各スレーブカメラの性能及び状態を取得する処理は行わずに、即時に実行条件の設定処理を行って、同期動画撮影の実行条件を設定する。
【0077】
よって、実行条件の設定が迅速に行われることとなり、同期動画撮影の早期開始、さらには早期終了が可能となる。
【0078】
また、以上の処理で設定される仮条件としての実行条件には、同時撮影への参加候補となる複数の候補カメラの条件と、各候補カメラが実行すべき同期撮影の実行条件の両者を含むことが好しい。そして、前記複数の候補カメラの全てが前記実行条件での同期撮影に参加可能であるか否かを判定し、この判定により全ての候補カメラが前記実行条件での同期撮影に参加可能でないと判定された場合に、同期撮影に参加するカメラの台数と各カメラが実行する実行条件の両方が所望の状態を維持する範囲内で前記仮条件を変更して前記実条件を設定する。このようにすれば、実行条件のレベル低下を極力回避しつつ、多くのカメラによる同期動画撮影を行うことができる。
【0079】
しかる後に、マスターカメラの制御部3は、設定した実行条件を送信して通知する(ステップSF2)。すると、図9のフローチャートにおいて後述するように、スレーブカメラから参加可能か否かの判定結果を示す情報が送信により通知されてくるので、この設定した実行条件による同期動画撮影に参加可能か否の情報を各スレーブカメラから受信する(ステップSF3)。
【0080】
そして、ステップSF3での受信内容に基づき、全てのカメラが設定した実行条件による同期動画撮影に参加可能であるか否かを判断する(ステップSF4)。全てのカメラが設定され実行条件で参加可能であれば問題はないことから、ID番号記憶部22のリストエリアに書き込まれているID番号に対応する全てのカメラを選択する(ステップSF5)。引き続き、選択したカメラ(全てのカメラ)に対して、設定した実行条件による同期動画撮影の実行を指示する(ステップSF10)。また、マスターカメラ自身も設定した実行条件による同期動画撮影を実行する(ステップSF11)。
【0081】
したがって、マスターカメラが設定した比較的高レベル実行条件(撮影条件)であって、当該システムにおける最大カメラ数である全てのカメラ1を用いて同期動画撮影が行われることになる。
【0082】
しかし、ステップSF4で、全てのカメラが設定した実行条件による同期動画撮影に参加可能ではない、つまり設定した実行条件による同期動画撮影に参加不可能なカメラがあると判断された場合には、第1の実施の形態におけるステップSB6での処理と同様に、マスターカメラにおいて予め設定されている同期撮影モードが「変更非許可モード」、「カメラ変更許可モード」、「条件変更許可モード」のいずれであるかを判断する(ステップSF6)。
【0083】
ここで「変更非許可モード」における「変更非許可」とは、設定した実行条件の変更を許可しないこと、つまり実行条件の変更非許可と、システムを構成するカメラの数を変更を許可しないこと、つまりカメラの変更非許可により第1カメラ1Aから第6カメラ1Fの全てを使用して同期動画撮影を行うことの両者を意味することは第1の実施の形態と同様である。
【0084】
そして、このような意味を有する「変更非許可モード」が設定されている場合には、当該モードを実現すべく、全てのカメラに通知する(ステップSF7)。したがって、本カメラシステムを構成する全てのカメラは、他のカメラにおける最新の性能及び状態に関する情報を恒常的に共有することができ、本カメラシステムの円滑な動作を期待することができる。
引き続き、設定した実行条件による同期動画撮影の実行を指示し(ステップSF10)、マスターカメラ自身も設定した実行条件による同期動画撮影を実行する(ステップSF11)。このとき、設定した実行条件による同期動画撮影に参加することができないスレーブカメラは、マスターカメラが設定した実行条件により近い実行条件で同期動画撮影を実行するものとする。
【0085】
よって、「変更非許可モード」が設定されている場合には、一部のスレーブカメラに低レベルの実行条件(撮影条件)で参加するものがあるが、マスターカメラが設定した比較的高レベルの実行条件(撮影条件)であって、当該システムにおける最大カメラ数である全てのカメラ1を用いて同期動画撮影が行われることになる。よって、撮影条件が比較的高レベルであることにより、高品質の同時撮影画像を得ることができ、かつ、同時撮影に参加できるカメラの数を最大にして多角的な同時撮影を行うことができる。
【0086】
他方、「カメラ変更許可モード」が設定されている場合、制御部3はステップSF6からステップSF8に処理を進める。そして、参加不可能な状態にないスレーブカメラを排除し、参加不可能な状態にあるスレーブカメラを選択する(ステップSF10)。しかる後に、前述のステップSF11、SF12の処理を実行する。
【0087】
したがって、「カメラ変更許可モード」が設定されている場合には、同期動画撮影に参加するカメラの数は減少するものの、実行条件(撮影条件)はマスターカメラが設定した比較的高度なレベルに維持されることになる。よって、撮影条件が比較的高レベルに維持されることにより、高品質の同時撮影画像を得ることができる。
【0088】
また、「条件変更許可モード」が設定されている場合、制御部3はステップSF6からステップSF9に処理を進める。そして、実行条件が緩和するように修正した後(ステップSF9)、ステップSF2に戻り、この修正した実行条件(実条件)を各スレーブカメラに通知する。したがって、「条件変更許可モード」が設定されている場合には、全てのカメラが参加可能となるまでは、ステップSF2→SF3→SF4→SF6→SF9→SF2のループが繰り返される。
【0089】
また、このループが繰り返されるとステップSF9での処理が複数回繰り返されることともなり、実行条件(実条件)が漸次緩和されることにもなる。その結果、複数のスレーブカメラが設定条件の変更による性能及び状態の変更を行わずとも、単一のマスターカメラが実行条件を緩和して変更するだけで、全てのカメラが参加可能となる。このとき、マスターカメラは、前述のステップSF4で全てのカメラが参加可能であるか否かを確認した上で、参加不可能なカメラがある場合にのみ実行条件(実条件)を修正する。したがって、実行条件を修正するのは、参加不可能なカメラがある場合に限定されることから、実行条件の修正による緩和は限定的なものとなる。よって、実行条件のレベル低下を極力回避しつつ、多くのカメラ(全てのカメラ)による同期動画撮影を行うことができる。よって、撮影条件のレベル低下を極力回避されることにより、高品質の同時撮影画像を得ることができ、かつ、同時撮影に参加できるカメラの数を最大にして多角的な同時撮影を行うことができる。
【0090】
なお、ステップSF9で実行条件が緩和するように修正するに際しては、予め行われたキー入力部14での操作に応じて、仮条件の変更範囲を制限する制限条件を指定し、指定された制限条件の範囲内で前記仮条件を変更して前記実条件を設定するようにすることが好ましい。このようにすれば、過剰に低レベルの実条件が設定されてしまう事態の発生を未然に防止することができる。
【0091】
更には、前記制限条件は、同時撮影に参加するカメラの台数変更の制限条件、又は前記実行条件の変更範囲の制限条件を含むことが好ましい。同時撮影に参加するカメラの台数変更の制限条件であることにより、同時動画撮影するカメラの数をユーザが所望する数に維持することができ、実行条件の変更範囲の制限条件を含むことにより、同時撮影された複数の動画をユーザが所望する画質とすることができる。
【0092】
また、仮条件には、更に同時撮影を行うタイミングに関する条件を含み、複数の候補カメラの全てが前記実行条件での同期撮影に直ちに参加可能であるか否かを判定し、判定により全ての候補カメラが前記実行条件での同期撮影に直ちに参加可能でないと判定された場合に、同期撮影に参加するカメラの台数と各カメラが実行する実行条件と同期撮影が行われるまでの待機時間の全てが所望の状態を維持する範囲内で仮条件を変更して実条件を設定するようにするようにすることも好ましい。
【0093】
つまり、同時撮影の条件には、同時撮影が行われるまでの速さに関する条件であって、参加可能でないカメラがある場合に待機するか否かの条件を含むこととする。これより、カメラの同時撮影参加台数、個々のカメラの実行条件、タイミング条件の3つを変化させて柔軟な対応が可能になる。その結果、前述の同時動画撮影するカメラの数をユーザが所望する数に維持することができ、同時撮影された複数の動画をユーザが所望する画質とすることができるのみならず、所望のタイミングで撮影を開始することができる。
【0094】
よって、ユーザ所望の同時撮影カメラ数であって、所望の画質であり、被写体の動きに応じた所望の時点から撮影された理想的な同時撮影動画を得ることができる。
【0095】
以上に説明した図8のフローチャートに示したマスターカメラ処理が実行されれば、仮条件を変更して実条件を設定する場合に、実行条件を変更せずに同期撮影に参加できないと判断された候補カメラを除外する方法と、同期撮影に参加できないと判断された候補カメラを除外せずに実行条件を変更する方法と、全てのカメラが同期撮影に参加できる状態になるまで待機する方法のいずれかの方法を選択して仮条件を変更することになる。
【0096】
したがって、この第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様に、ユーザは被写体の特性に応じてモードを選択して設定しておけば、撮影画像の品質は犠牲にして同時撮影に参加できるカメラの数を優先したり、同時撮影に参加できるカメラの数を犠牲にして高品質の同時撮影画像を優先する等の自在な形態での同画撮影が可能となる。
【0097】
図9は、第2の実施の形態においてスレーブカメラの制御部3が実行するスレーブカメラ処理の手順を示すフローチャートである。各スレーブカメラの制御部3は、マスターカメラから実行条件(ステップSF1で設定された実行条件、及びステップSF9で修正された実行条件)の通知があったか否かを判断する(ステップSG1)。マスターカメラからの実行条件の通知があったならば、スレーブカメラの制御部3は、前述した自機の性能及び現在の状態を取得する(ステップSG2)。
【0098】
そして、この取得した自機の性能及び現在の状態とマスターカメラから通知された実行条件とを比較することにより、通知された実行条件による同期動画撮影に参加可能であるか否かを判定する(ステップSG3)。また、この参加可能か否かの判定結果をマスターカメラに送信して通知する(ステップSG4)。
【0099】
したがって、マスターカメラは、自機が独自に設定した実行条件で同期動画撮影に参加可能なスレーブカメラの数を把握して、設定条件を緩和すべきか否かを適正に判断することができる。
【0100】
そして、マスターカメラから同期動画撮影の実行指示があるまで(ステップSG5)、ステップSG1〜SG6のループを繰り返し実行する。このループが繰り返し実行されていると、前記「変更非許可モード」、「カメラ変更許可モード」、「条件変更許可モード」のモード種別に応じた異なる時点で、マスターカメラから選択したスレーブカメラに対して設定(修正)した実行条件による実行の指示がなされる(前記ステップSF10参照)。前記ステップSF11での処理によりマスターカメラから、同期動画撮影の実行指示があると、スレーブカメラの制御部3は、指定された実行条件により同期動画撮影を実行する(ステップSG6)。
【0101】
無論、前述した実行条件やモードによっては、マスターカメラからの同期動画撮影の実行指示がないスレーブカメラもある。実行指示がないスレーブカメラに関しては、第1の実施の形態と同様の処理を実行させるようにすればよい。すなわち、ステップSG1〜SG5のループを時間を計測し、当該時間が所定値を超えた時点で、図9に示すフローチャートに示す処理を終了することとする。
【0102】
あるいは、前記ステップSF11で、選択したスレーブカメラに対して設定(修正)した実行条件による動画撮影の実行を指示すると同時に、選択しないスレーブカメラに対して動画撮影の実行禁止を指示する。一方、スレーブカメラは、前記ステップSG5でマスターカメラからの同期動画撮影の実行指示があったか否かを判断するのみならず、実行禁止指示があったか否かも判断する。実行禁止指示があった場合には、図9に示すフローチャートに示す処理を終了することとする。
【0103】
しかして、第2の実施の形態においては、下記のパターンのいずれかで同期動画撮影が行われることになる。
【0104】
(1)マスターカメラが最初に設定された条件で、全てのカメラが同期動画撮影に参加可能である場合には、当該実行条件で全てのカメラが同期動画撮影を実行する。したがって、この場合、マスターカメラが最初に設定した実行条件は緩和されないで、システムを構成する全てのカメラで同期動画撮影が行われることになる。
【0105】
(2)前記最初に設定された実行条件では、同期動画撮影に参加可能でないスレーブカメラがある場合であっても、「変更非許可モード」が設定されている場合には、マスターカメラは最初に設定した実行条件を変更することなく維持し、スレーブカメラはマスターカメラは最初に設定した実行条件で同期動画撮影を行うが、それが不可能なスレーブカメラは、マスターカメラが設定した実行条件により近い実行条件で同期動画撮影を実行するものとする。したがって、この場合も、マスターカメラが最初に設定した実行条件は緩和されないで、システムを構成する全てのカメラで同期動画撮影が行われることになる。
【0106】
(3)前記最初に設定された実行条件で、同期動画撮影に参加可能でないスレーブカメラがある場合であって、「カメラ変更許可モード」が設定されている場合には、同期動画撮影に参加可能なスレーブカメラが選択されて期動画撮影が行われる。したがって、この場合、システムを構成する一部のカメラで同期動画撮影が行われることなるが、マスターカメラが最初に設定した実行条件は緩和されないで動画撮影が行われることになる。
【0107】
(4)前記最初に設定された実行条件では、同期動画撮影に参加可能でないスレーブカメラがある場合であって、「条件変更許可モード」が設定されている場合には、マスターカメラは全てのカメラが参加可能となるまで、実行条件を緩和する修正を行う。その結果全てのスレーブカメラが参加可能になると、マスターカメラは修正した実行条件での同期動画撮影の実行を指示する。したがって、この場合は、マスターカメラが最初に設定した実行条件は緩和されるが、システムを構成する全てのカメラで同期動画撮影が行われることになる。
【0108】
(変形形態)
以上、この発明の実施形態について説明したが、更に下記の変形形態を挙げることができる。
[1]実施の形態にでは、動画を撮影するシステムを示したが静止画を撮影するシステムに適用するようにしてもよい。この場合であっても、前述の動画を撮影するシステムと同様に、より多くのカメラを同時撮影に参加させ、あるいは、より高レベルの撮影条件で同時撮影することができる。
[2]実施の形態においては、図5のフローチャートに示したように、実行条件の設定処理において、特定被写体や画像の明るさ等、複数の要素を実行条件として設定するようにした。しかし、同期動画撮影の長さのみを実行条件とし、図6の参加可否の判定処理では、バッテリー残量とメモリ残量のみを判定対象とするようにしてもよい。これにより、バッテリー不足やメモリ不足で撮影不可能となる事態を防ぐことができ、各カメラが共通する長さで動画撮影することができる。よって、複数のカメラが少なくとも同一の長さで動画撮影を行うという同期動画撮影における基本的な目的を確実に達成することができる。
[3]実施の形態においては、同期動画撮影を開始する前において性能及び状態に関する情報の送受信を行うようにしたが、撮影を開始した後も性能及び状態に関する情報の送受信を行うようにしてよい。例えば、バッテリー容量の閾値を設定しておき、この閾値を下回ったスレーブカメラはマスターカメラにその旨通知する。これを受けたマスターカメラが、各スレーブカメラに撮影中止の通知を行うことにより、同様に同一の長さで動画撮影を行うという同期動画撮影における基本的な目的を確実に達成することができる。
[4]位置と方向のみを実行条件とするようにしてもよい。この場合、マスターカメラが、自分の位置と撮影方向とに基づいて被写体の位置を特定するとともに、各スレーブカメラから送信される位置及び撮影方向に基づいて、当該被写体を撮影するのに適した位置関係にある複数のスレーブカメラを選択する。このようにすれば、被写体の形状や特性に応じた適切な角度から撮影した複数の画像を得ることができる。
[5]実施の形態においては、マスターカメラはスレーブカメラの撮影の開始及び終了を制御するようにしたが、その間の動画撮影における露光時間をも制御するようにしてもよい。これにより、各カメラにおいて動画を構成する各フレーム画像の撮影タイミングを可変的に制御することもできる。
【0109】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願時の特許請求の範囲を付記する。
【0110】
<請求項1>
複数のカメラによる同時撮影を行う際の仮の条件として設定された仮条件での同時撮影が可能か否かを判定する判定手段と、
この判定手段による判定結果に応じて設定された同時撮影を行う際の実際の条件である実条件で同時撮影を実行するように制御する制御手段と
を備えることを特徴とするカメラ。
【0111】
<請求項2>
前記制御手段は、前記判定手段により前記仮条件での同時撮影が可能であると判定された場合は、この仮条件を実条件として同時撮影を実行し、前記判定手段により前記仮条件での同時撮影が可能でないと判定された場合は、この仮条件を変更して設定された実条件で同時撮影を実行するように制御することを特徴とする請求項1記載のカメラ。
【0112】
<請求項3>
前記仮条件には、同時撮影に参加するカメラの台数に関する条件、各々のカメラが実行すべき同期撮影の実行条件、同時撮影を行うタイミングに関する条件のうちのいずれか複数の条件を含み、
前記制御手段は、前記判定手段により前記仮条件での同時撮影が可能でないと判定された場合は、前記仮条件に含まれる複数の条件のうちのいずれかを変更して設定された実条件で同時撮影を実行するように制御することを特徴とする請求項2記載のカメラ。
【0113】
<請求項4>
前記仮条件を設定する仮条件設定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて、前記実条件を設定する実条件設定手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカメラ。
【0114】
<請求項5>
前記実設定手段は、前記判定手段により前記仮条件での同時撮影が可能であると判定された場合は、この仮条件を実条件として設定し、前記判定手段により前記仮条件での同時撮影が可能でないと判定された場合は、この仮条件を変更して実条件を設定することを特徴とする請求項4記載のカメラ。
【0115】
<請求項6>
前記判定手段は、他のカメラから送信されてくる所定情報に基づいて、前記仮条件設定手段により設定された仮条件での同時撮影に他のカメラが参加可能か否かを判定し、
前記制御手段は、前記実条件設定手段により設定された実条件で他のカメラが同時撮影を実行するように制御することを特徴とする請求項4又は5に記載のカメラ。
【0116】
<請求項7>
前記仮条件設定手段により設定された仮条件を他のカメラに送信する仮条件送信手段を更に備え、
前記判定手段は、前記仮条件送信手段による仮条件の送信に応答して他のカメラから送信されてくる所定情報に基づいて、前記仮条件での同時撮影に他のカメラが参加可能か否かを判定し、
前記制御手段は、前記実条件設定手段により設定された実条件を他のカメラに送信することにより、他のカメラによる同時撮影の実行を制御することを特徴とする請求項6記載のカメラ。
【0117】
<請求項8>
前記仮条件には、同時撮影への参加候補となる複数の候補カメラの条件と、各候補カメラが実行すべき同期撮影の実行条件とを含み、
前記判定手段は、前記複数の候補カメラの全てが前記実行条件での同期撮影に参加可能であるか否かを判定し、
前記制御手段は、前記判定手段により全ての候補カメラが前記実行条件での同期撮影に参加可能でないと判定された場合に、同期撮影に参加するカメラの台数と各カメラが実行する実行条件の両方が所望の状態を維持する範囲内で前記仮条件を変更して前記実条件を設定することを特徴とする請求項3記載のカメラ。
【0118】
<請求項9>
前記制御手段は、前記仮条件を変更して前記実条件を設定する場合に、前記実行条件を変更せずに同期撮影に参加できないと判断された候補カメラを除外する方法と、同期撮影に参加できないと判断された候補カメラを除外せずに前記実行条件を変更する方法のいずれかの方法を選択して前記仮条件を変更することを特徴とする請求項8記載のカメラ。
【0119】
<請求項10>
前記仮条件の変更範囲を制限する制限条件を指定する変更制限手段を更に備え、
前記制御手段は、前記変更制限手段により指定された制限条件の範囲内で前記仮条件を変更して前記実条件を設定することを特徴とする請求項8記載のカメラ。
【0120】
<請求項11>
前記制限条件は、同時撮影に参加するカメラの台数変更の制限条件、又は前記実行条件の変更範囲の制限条件を含むことを特徴とする請求項10記載のカメラ。
【0121】
<請求項12>
前記仮条件には、更に同時撮影を行うタイミングに関する条件を含み、
前記判定手段は、前記複数の候補カメラの全てが前記実行条件での同期撮影に直ちに参加可能であるか否かを判定し、
前記制御手段は、前記判定手段により全ての候補カメラが前記実行条件での同期撮影に直ちに参加可能でないと判定された場合に、同期撮影に参加するカメラの台数と各カメラが実行する実行条件と同期撮影が行われるまでの待機時間の全てが所望の状態を維持する範囲内で前記仮条件を変更して前記実条件を設定することを特徴とする請求項8記載のカメラ。
【0122】
<請求項13>
前記制御手段は、前記仮条件を変更して前記実条件を設定する場合に、前記実行条件を変更せずに同期撮影に参加できないと判断された候補カメラを除外する方法と、同期撮影に参加できないと判断された候補カメラを除外せずに前記実行条件を変更する方法と、全てのカメラが同期撮影に参加できる状態になるまで待機する方法のいずれかの方法を選択して前記仮条件を変更することを特徴とする請求項12記載のカメラ。
【0123】
<請求項14>
同期撮影への参加候補となる複数の候補カメラから同時撮影の条件に係る性能又は状態を前記所定情報として取得する取得手段と、
前記判定手段は、前記取得手段により取得した性能又は状態に基づいて、前記複数の候補カメラの各々について、前記仮条件による同時撮影に参加可能な性能又は状態にあるか否かを判定することを特徴とする請求項6記載のカメラ。
【0124】
<請求項15>
前記仮条件設定手段により設定された仮条件を他のカメラに送信する仮条件送信手段を更に備え、
前記判定手段は、前記仮条件送信手段による仮条件の送信に応答して他のカメラから送信されてくる所定情報であって、前記仮条件による同時撮影に参加可能か否かを示す参加可否情報に基づいて、前記仮条件での同時撮影に他のカメラが参加可能か否かを判定することを特徴とする請求項7記載のカメラ。
【0125】
<請求項16>
前記同時撮影への参加候補となる複数の候補カメラを状況に応じて選択する選択手段を更に備えることを特徴とする請求項14記載のカメラ。
【0126】
<請求項17>
前記判定手段は、前記仮条件で自己のカメラが同時撮影に参加可能か否かを判定し、
前記制御手段は、前記実条件で自己のカメラが同時撮影を実行するように制御することを特徴とする請求項1記載のカメラ。
【0127】
<請求項18>
他のカメラから送信されてくる前記仮条件を受信する仮条件受信手段を更に備え、
前記判定手段は、前記仮条件受信手段により受信した仮条件で自己のカメラが同時撮影に参加可能か否かを判定し、
前記判定手段による判定結果に基づく所定情報を他のカメラに送信する所定情報送信手段と、
前記制御手段は、前記所定情報送信手段による所定情報の送信に応答して他のカメラから送信されてくる実条件で自己のカメラが同時撮影を実行するように制御することを特徴とする請求項17記載のカメラ。
【0128】
<請求項19>
前記同時撮影は、同期した動画撮影であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載のカメラ。
【0129】
<請求項20>
前記判定手段は、前記同時撮影への参加候補となる全てのカメラが前記仮条件での同時撮影に参加可能であるか否かを判定し、
前記制御手段は、前記判定手段により全てのカメラが参加可能であると判定された場合に、前記仮条件を前記実条件として同時撮影を実行することを特徴とする請求項1記載のカメラ。
【0130】
<請求項21>
前記判定手段は、前記同時撮影への参加候補となる他のカメラが前記仮条件での同時撮影に参加可能であるか否かを判定し、
前記制御手段は、前記判定手段により参加可能であると判定された他のカメラを選択し、前記所仮条件を前記実条件として同時撮影を実行することを特徴とする請求項1記載のカメラ。
【0131】
<請求項22>
前記判定手段が参加可能でないと判定した場合において、その旨を外部に通知する通知手段を備えることを特徴とする請求項20又は21記載のカメラ。
【0132】
<請求項23>
前記通知手段は、前記同時撮影に参加可能でないと判定されたカメラに対して通知を行い、
前記制御手段は、前記同時撮影に参加可能でないと判定されたカメラが参加できる状態となるまで待機することを特徴とする請求項22記載のカメラ。
【0133】
<請求項24>
前記通知手段は、参加可能でないカメラが存在する旨を参加候補となる全てのカメラに通知することを特徴とする請求項22記載のカメラ。
【0134】
<請求項25>
前記仮条件とは、全てのカメラが予め定められた同一の時間長で動画を撮影することのできる性能であることを特徴とする請求項20乃至24にいずれか記載のカメラ。
【0135】
<請求項26>
前記性能とは、前記動画の撮影が可能な電池残量、又は撮影した動画を記録する記録手段の残存容量であることを特徴とする請求項25記載のカメラ。
【0136】
<請求項27>
前記判定手段による判定に先立って、前記仮条件を任意に指定する条件指定手段を備えることを特徴とする請求項20乃至24にいずれか記載のカメラ。
【0137】
<請求項28>
前記仮条件とは、全てのカメラが同一の被写体を撮影することのできる状態であることであり、
前記判定手段は、前記状態にあるか否かを判断することを特徴とする請求項20乃至24にいずれか記載のカメラ。
【0138】
<請求項29>
前記被写体とこれを撮影するカメラとの位置及び撮影方向との関係を検出する検出手段を備え、
前記判定手段は、各カメラの前記検出手段による検出結果に基づき、前記全てのカメラが同一の被写体を撮影することのできる状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項28記載のカメラ。
【0139】
<請求項30>
前記仮条件とは、前記同時撮影への参加候補となる複数のカメラで同一の被写体を撮影した場合における撮影された被写体の視覚上の状態である撮影状態を同一にすることであることを特徴とする請求項20乃至24にいずれか記載のカメラ。
【0140】
<請求項31>
前記仮条件とは、カメラが撮影時に発生する機能及びその程度である撮影条件を同一にすることであることを特徴とする請求項20乃至24にいずれか記載のカメラ。
【0141】
<請求項32>
他のカメラの前記撮影条件を確認する確認手段を備え、
前記制御手段は、前記確認手段による確認結果に基づき、同時撮影に参加するカメラの撮影条件が同一となるように、同時撮影の実行を制御することを特徴とする請求項31記載のカメラ。
【0142】
<請求項33>
前記確認手段は、前記同時撮影を実行する前における撮影である仮撮影に基づき前記撮影状態を取得する取得手段を備え、
前記制御手段は、各カメラが前記取得手段により取得された撮影状態となるように、同時撮影の実行を制御することを特徴とする請求項32記載のカメラ。
【0143】
<請求項34>
前記撮影状態は、前記被写体の明るさ、ぶれ、フォーカス、色合いのいずれを構成要素とし、前記撮影条件は、露光時間、絞り、感度、手振れ補正機能のいずれかを構成要素とすることを特徴とする請求項30乃至33記載のカメラ。
【0144】
<請求項35>
前記撮影条件を設定する設定手段を備え、
前記判定手段は、前記設定手段により設定された撮影条件にての同時撮影への参加可能性を判定することを特徴とする請求項30乃至33にいずれか記載のカメラ。
【0145】
<請求項36>
前記設定手段は、同時撮影への参加候補となる複数のカメラの撮影条件である個別撮影条件に左右されることなく自立的に、前記撮影条件を設定することを特徴とする請求項35記載のカメラ。
【0146】
<請求項37>
前記設定手段は、同時撮影への参加候補となる複数のカメラの撮影条件である個別撮影条件を予め取得し、この取得した複数の個別撮影条件に基づき、前記撮影条件を設定することを特徴とする請求項35記載のカメラ。
【0147】
<請求項38>
前記設定手段は、前記複数のカメラの撮影状態が同一となるように、前記撮影条件を設定することを特徴とする請求項37記載のカメラ。
【0148】
<請求項39>
前記同時撮影への参加候補となる複数のカメラには優先度が設定され、
前記設定手段は、前記複数のカメラの撮影状態が同一となる撮影条件を設定することができない場合において、前記優先度の高いカメラの撮影状態又は個別撮影条件を優先して、前記撮影条件を設定することを特徴とする請求項38記載のカメラ。
【0149】
<請求項40>
同時撮影への参加候補となる複数のカメラを構成するカメラが有するコンピュータを、
複数のカメラによる同時撮影を行う際の仮の条件として設定された仮条件での同時撮影が可能か否かを判定する判定手段と、
この判定手段による判定結果に応じて設定された同時撮影を行う際の実際の条件である実条件で同時撮影を実行するように制御する制御手段と
して機能させることを特徴とする撮影制御プログラム。
【0150】
<請求項41>
同時撮影への参加候補となる複数のカメラを構成するカメラの撮影制御方法であって、
前記複数のカメラによる同時撮影を行う際の仮の条件として設定された仮条件での同時撮影が可能か否かを判定する判定ステップと、
この判定ステップによる判定結果に応じて設定された同時撮影を行う際の実際の条件である実条件で同時撮影を実行するように制御する制御ステップと
を含むことを特徴とする撮影制御方法。
【0151】
<請求項42>
同時撮影への参加候補となる複数の候補カメラで構成されるカメラシステムであって、
前記複数の候補カメラのうち一つのカメラが請求項4乃至16のいずれかに記載のカメラの機能を実行し、他のカメラが請求項17乃至18のいずれかに記載のカメラの機能を実行することを特徴とするカメラシステム。
【0152】
<請求項43>
前記複数の候補カメラのうち少なくとも一つのカメラは、請求項4乃至16のいずれかに記載のカメラの機能と、請求項17乃至18のいずれかに記載のカメラの機能の両方を実行可能であることを特徴とする請求項42記載のカメラシステム。
【0153】
<請求項44>
前記複数の候補カメラのうち少なくとも一つのカメラは、請求項4乃至16のいずれかに記載のカメラの機能を実行するか、請求項17乃至18のいずれかに記載のカメラの機能を実行するかを選択可能であることを特徴とする請求項43記載のカメラシステム。
【符号の説明】
【0154】
1 カメラ
3 制御部
4 撮像部
5 撮像レンズ
6 ユニット回路
7 信号処理部
8 画像処理部
9 表示部
10 画像記録部
11 TG
12 ROM
13 バッファメモリ
14 キー入力部
21 無線I/F
22 ID番号記憶部
23 GPS
24 方位センサ
25 測距センサ
26 電源部
30 被写体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9