【実施例】
【0062】
非水電解質二次電池1及びその製造方法についての実施例について説明する。なお、以下の実施例1〜15は、いずれも、上述した実施の形態に係る非水電解質二次電池1及びその製造方法に関するものである。また、以下で説明する実施例1〜15及び比較例1〜37では、非水電解液6に添加する添加剤の種類及び添加量以外は、全て同じ条件下で行ったものである。
【0063】
具体的には、以下のようにして、実施例1における非水電解質二次電池の作製を行った。
【0064】
(1)正極板の作製
結着剤であるポリフッ化ビニリデン5質量%と、導電剤であるアセチレンブラック5質量%と、正極活物質としてLiNi
0.17Co
0.66Mn
0.17O
2を90質量%とを混合したものに、N−メチル−2−ピロリドンを加えてペースト状に調製した後、これを、厚さが20μmのアルミニウム箔製の正極集電体の両面に塗布し、乾燥することによって正極板を作製し、正極リードを備え付けた。
【0065】
(2)負極板の作製
負極活物質として島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD2200を用いてレーザ回折法により測定したd50が9μmの難黒鉛化性炭素を92質量%と、結着剤のポリフッ化ビニリデン8質量%とを、N−メチル−2−ピロリドンに加えてペースト状に調製した後、これを、厚さが10μmの銅箔製の負極集電体の両面に塗布し、乾燥することによって負極板を製作し、負極リードを備え付けた。
【0066】
(3)電池の作製
セパレータとしては、ポリエチレン微多孔膜を用いた。また、非水電解質としては、以下の方法で調製した非水電解液を用いた。つまり、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)=3:3:4(体積比)の混合溶媒に、LiPF
6を調製後に1mol/Lとなるように溶解し、さらに、非水電解液の総質量に対して、化学式(5)で表わされる第1の添加剤を0.30質量%と、化学式(6)で表わされる第2の添加剤を0.02質量%とを添加して非水電解液を調製した。
【0067】
以上により、これらの材料を用いて、
図2に示す順に従って、公称容量が450mAhの実施例1の非水電解質二次電池を作製した。
【0068】
また、以下のようにして、比較例1における非水電解質二次電池の作製を行った。
【0069】
非水電解液として、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)=3:3:4(体積比)の混合溶媒に、LiPF
6を調製後に1mol/Lとなるように溶解したものを適用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1における非水電解質二次電池を作製した。
【0070】
また、以下のようにして、実施例2〜15、比較例2〜19における非水電解質二次電池の作製を行った。
【0071】
非水電解液として、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)=3:3:4(体積比)の混合溶媒に、LiPF
6を調製後に1mol/Lとなるように溶解し、さらに、非水電解液の総質量に対して、化学式(5)で表わされる第1の添加剤及び化学式(6)で表わされる第2の添加剤を、表1に示す濃度で添加したものを適用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜15、比較例2〜19における非水電解質二次電池を作製した。
【0072】
また、以下のようにして、比較例20〜37における非水電解質二次電池の作製を行った。
【0073】
非水電解液として、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)=3:3:4(体積比)の混合溶媒に、LiPF
6を調製後に1mol/Lとなるように溶解し、さらに、非水電解液の総質量に対して、化学式(5)で表わされる第1の添加剤、化学式(6)で表わされる第2の添加剤、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiBF
2(Ox))、及び、リチウムビスオキサレートボレート(LiB(Ox)
2)からなる群から選ばれる2種類の添加剤を、表2に示す濃度で添加したものを適用したこと以外は実施例1と同様にして、比較例20〜37における非水電解質二次電池を作製した。
【0074】
(4)評価試験
次に、以下のようにして、評価試験(高温保存後の電池性能試験)を行った。
【0075】
実施例1〜15及び比較例1〜37の各電池を用いて、以下の方法により初期放電容量確認試験を行った。各電池を、25℃において450mA定電流で4.2Vまで、さらに4.2V定電圧で、合計3時間充電した後、450mA定電流で終止電圧2.5Vの条件で放電を行うことにより初期放電容量を測定した。
【0076】
初期放電容量測定後の各電池について、60℃での放置試験を以下の方法により行った。450mA定電流で4.03Vまで、さらに4.03V定電圧で、合計3時間充電して電池のSOC(State Of Charge)を80%に設定し、60℃の恒温槽中において30日間(1ヶ月間)保管した。25℃に冷却した後、各電池を、450mA定電流、終止電圧2.5Vの条件で放電した後、上記初期放電容量確認試験と同様の条件で充放電を行った。この60℃での保存試験を6ヶ月間繰り返した。ここで、「SOCを80%に」とは、電池の容量に対して、充電電気量が80%であることを表す。
【0077】
そして、60℃での保存試験を6ヶ月間繰り返した後に、各電池について初期に実施した放電容量の測定と同じ条件で保存後の放電容量を測定した。これにより得られた保存後の放電容量の初期に対する比率を保存後容量保持率とした。
【0078】
次に、以下の方法により保存後直流抵抗の測定を行った。各電池を、25℃において450mA定電流で3.73Vまで、さらに3.73V定電圧で、合計3時間充電することにより電池のSOCを50%に設定し、−20℃で5時間保持した後、90mA(I1)で10秒間放電したときの電圧(E1)、225mA(I2)で10秒間放電したときの電圧(E2)をそれぞれ測定した。
【0079】
上記の測定値を用いて、−20℃における直流抵抗値Rxを、Rx=|(E1−E2)/放電電流(I1−I2)|により算出した。
【0080】
以上のようにして算出した容量保持率及び直流抵抗の値を、以下の表1に示す。
【0081】
つまり、以下の表1では、実施例1〜15及び比較例1〜19について、第1の添加剤(LiPF
2(Ox)
2)と第2の添加剤(LiPF
4(Ox))の添加量を変化させた場合の非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を比較している。
【0082】
【表1】
【0083】
ここで、実施例1〜4は、第1の添加剤(LiPF
2(Ox)
2)の添加量が非水電解液の総重量の0.3重量%である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。具体的には、実施例1は、第2の添加剤(LiPF
4(Ox))の添加量が第1の添加剤の添加量の0.05倍であり、実施例2は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.17倍であり、実施例3は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.23倍であり、実施例4は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.30倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0084】
また、実施例5〜7は、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.6重量%である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。具体的には、実施例5は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.05倍であり、実施例6は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.17倍であり、実施例7は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.30倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0085】
また、実施例8〜11は、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.9重量%である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。具体的には、実施例8は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.05倍であり、実施例9は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.11倍であり、実施例10は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.22倍であり、実施例11は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.30倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0086】
また、実施例12〜15は、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の1.0重量%である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。具体的には、実施例12は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.05倍であり、実施例13は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.10倍であり、実施例14は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.20倍であり、実施例15は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.30倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0087】
また、比較例1は、第1の添加剤及び第2の添加剤を添加しない場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0088】
また、比較例2〜4は、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.2重量%である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。具体的には、比較例2は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0倍であり、比較例3は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.05倍であり、比較例4は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.30倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0089】
また、比較例5〜7は、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.3重量%である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。具体的には、比較例5は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0倍であり、比較例6は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.03倍であり、比較例7は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.33倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0090】
また、比較例8〜10は、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.6重量%である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。具体的には、比較例8は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0倍であり、比較例9は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.03倍であり、比較例10は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.33倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0091】
また、比較例11〜13は、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.9重量%である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。具体的には、比較例11は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0倍であり、比較例12は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.03倍であり、比較例13は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.33倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0092】
また、比較例14〜16は、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の1.0重量%である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。具体的には、比較例14は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0倍であり、比較例15は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.04倍であり、比較例16は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.35倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0093】
また、比較例17〜19は、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の1.1重量%である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。具体的には、比較例17は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0倍であり、比較例18は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.05倍であり、比較例19は、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.30倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0094】
図3は、第1の添加剤及び第2の添加剤の添加量を変化させた場合の非水電解質二次電池の容量保持率を示す図である。具体的には、同図は、非水電解質二次電池の容量保持率を比較するために、実施例1〜15及び比較例1〜19における容量保持率の値をグラフ化したものである。
【0095】
ここで、同図に示すグラフの横軸は、第1の添加剤(LiPF
2(Ox)
2)の添加量に対する第2の添加剤(LiPF
4(Ox))の添加量の比率を示しており、縦軸は、容量保持率を示している。
【0096】
上記の表1と同図に示すように、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.3重量%以上1.0重量%以下であり、かつ、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.05倍以上0.3倍以下である場合に、容量保持率が顕著に高い値になっている。これにより、非水電解質二次電池の蓄電容量の低下抑制を図ることができる。
【0097】
図4は、第1の添加剤及び第2の添加剤の添加量を変化させた場合の非水電解質二次電池の直流抵抗を示す図である。具体的には、同図は、非水電解質二次電池の直流抵抗を比較するために、実施例1〜15及び比較例1〜19における直流抵抗の値をグラフ化したものである。
【0098】
ここで、同図に示すグラフの横軸は、第1の添加剤(LiPF
2(Ox)
2)の添加量に対する第2の添加剤(LiPF
4(Ox))の添加量の比率を示しており、縦軸は、直流抵抗を示している。
【0099】
上記の表1と同図に示すように、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.3重量%以上1.0重量%以下であり、かつ、第2の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.05倍以上0.3倍以下である場合に、直流抵抗が顕著に低い値になっている。これにより、非水電解質二次電池の高出力化を図ることができる。
【0100】
次に、以下の表2では、上記で説明した実施例1〜15及び以下に説明する比較例20〜37について、添加剤の種類を変更した場合の非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を比較している。
【0101】
【表2】
【0102】
ここで、比較例20、21、24、26、27、30、32、33、36は、第4の添加剤であるLiBF
2(Ox)を添加した場合の非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。つまり、第4の添加剤は、上記の第1または第2の添加剤の代替として添加されている。
【0103】
具体的には、比較例20は、第4の添加剤のみ非水電解液の総重量の0.3重量%添加した場合であり、比較例21は、第4の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.3重量%であり、第2の添加剤(LiPF
4(Ox))の添加量が第4の添加剤の添加量の0.23倍であり、比較例24は、第1の添加剤(LiPF
2(Ox)
2)の添加量が非水電解液の総重量の0.3重量%であり、第4の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.23倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0104】
また、比較例26は、第4の添加剤のみ非水電解液の総重量の0.6重量%添加した場合であり、比較例27は、第4の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.6重量%であり、第2の添加剤の添加量が第4の添加剤の添加量の0.17倍であり、比較例30は、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.6重量%であり、第4の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.17倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0105】
また、比較例32は、第4の添加剤のみ非水電解液の総重量の1.0重量%添加した場合であり、比較例33は、第4の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の1.0重量%であり、第2の添加剤の添加量が第4の添加剤の添加量の0.10倍であり、比較例36は、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の1.0重量%であり、第4の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.10倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0106】
また、比較例22、23、25、28、29、31、34、35、37は、第5の添加剤であるLiB(Ox)
2を添加した場合の非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。つまり、第5の添加剤は、上記の第1または第2の添加剤の代替として添加されている。
【0107】
具体的には、比較例22は、第5の添加剤のみ非水電解液の総重量の0.3重量%添加した場合であり、比較例23は、第5の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.3重量%であり、第2の添加剤(LiPF
4(Ox))の添加量が第5の添加剤の添加量の0.23倍であり、比較例25は、第1の添加剤(LiPF
2(Ox)
2)の添加量が非水電解液の総重量の0.3重量%であり、第5の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.23倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0108】
また、比較例28は、第5の添加剤のみ非水電解液の総重量の0.6重量%添加した場合であり、比較例29は、第5の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.6重量%であり、第2の添加剤の添加量が第5の添加剤の添加量の0.17倍であり、比較例31は、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の0.6重量%であり、第5の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.17倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0109】
また、比較例34は、第5の添加剤のみ非水電解液の総重量の1.0重量%添加した場合であり、比較例35は、第5の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の1.0重量%であり、第2の添加剤の添加量が第5の添加剤の添加量の0.10倍であり、比較例37は、第1の添加剤の添加量が非水電解液の総重量の1.0重量%であり、第5の添加剤の添加量が第1の添加剤の添加量の0.10倍である場合の、非水電解質二次電池の容量保持率及び直流抵抗の値を示している。
【0110】
なお、表2の実施例1〜15は、表1に示した実施例1〜15と同じデータである。
【0111】
そして、比較例20〜37においては、容量保持率が68〜83%であるのに対して、実施例1〜15においては、容量保持率が82〜91%と高い値を示している。つまり、実施例1〜15のように第1の添加剤及び第2の添加剤を添加する場合の方が、比較例20〜37のように第4の添加剤や第5の添加剤を添加する場合よりも、容量保持率が顕著に高い値になっている。これにより、非水電解質二次電池の蓄電容量の低下抑制を図ることができる。
【0112】
また、比較例20〜37においては、直流抵抗が528〜671mΩであるのに対して、実施例1〜15においては、直流抵抗が387〜498mΩと低い値を示している。つまり、実施例1〜15のように第1の添加剤及び第2の添加剤を添加する場合の方が、比較例20〜37のように第4の添加剤や第5の添加剤を添加する場合よりも、直流抵抗が顕著に低い値になっている。これにより、非水電解質二次電池の高出力化を図ることができる。
【0113】
このように、添加剤として第1の添加剤と第2の添加剤とを組み合わせたことで、容量保持率を向上させ、直流抵抗を低下させることができ、電池性能を向上させる顕著な効果を奏する。
【0114】
以上のように、本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池1によれば、非水電解液6は、化学式(5)で表される第1の添加剤と、化学式(6)で表される第2の添加剤とを含み、第1の添加剤の添加量は、非水電解液6の総重量の0.3重量%以上1.0重量%以下であり、かつ、第2の添加剤の添加量は、第1の添加剤の添加量の0.05倍以上0.3倍以下である。ここで、本願発明者らは、鋭意研究と検討の結果、上記の第1の添加剤と第2の添加剤とを、上記の所定の量、非水電解液6に添加することで、高温保存特性などの電池性能を効果的に向上させることができることを見出した。このため、非水電解質二次電池1は、上記の第1の添加剤と第2の添加剤とを、上記の所定の量、非水電解液6に添加することで、高温保存特性などの電池性能を効果的に向上させることができる。
【0115】
また、本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池1の製造方法によれば、非水電解液6に第1の添加剤及び第2の添加剤を添加する添加工程と、添加剤が添加された非水電解液6を非水電解質二次電池1に注入する電解液注入工程とを含み、添加工程では、非水電解液6の総重量の0.3重量%以上1.0重量%以下の第1の添加剤と、第1の添加剤の添加量の0.05倍以上0.3倍以下の第2の添加剤とを添加する。このように、非水電解質二次電池1の製造方法によれば、上記の第1の添加剤と第2の添加剤とを、上記の所定の量、非水電解液6に添加することで、高温保存特性などの電池性能を効果的に向上させることができる非水電解質二次電池を製造することができる。
【0116】
また、非水電解質二次電池1の製造方法は、第1の添加剤及び第2の添加剤が添加された非水電解液6を有する非水電解質二次電池1に対して、封止前に1回以上の予備充電を行う予備充電工程を含む。ここで、本願発明者らは、第1の添加剤及び第2の添加剤を非水電解液6に添加した状態で、電解液注入孔31を封止する前に1回以上の予備充電を行うことにより、第1の添加剤及び第2の添加剤を添加することで発生するガスを電池外部へ放出することができるため、高温保存特性などの電池性能を効果的に向上させることができることを見出した。このため、非水電解質二次電池1の製造方法によれば、封止前に1回以上の予備充電を行うことで、高温保存特性などの電池性能を効果的に向上させることができる非水電解質二次電池1を製造することができる。
【0117】
なお、本発明は、このような非水電解質二次電池1または非水電解質二次電池1の製造方法として実現することができるだけでなく、当該第1の添加剤及び第2の添加剤が添加された非水電解液6としても実現することができる。
【0118】
以上、本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池1及びその製造方法について説明したが、本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されるものではない。
【0119】
つまり、今回開示された実施の形態及び実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。