(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記記録部は、上記第2フレームに摺接して上記軸方向に往復動しながら、搬送されるシートにインク滴を噴射することで画像を記録することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような画像記録装置では、搬送ローラがフレームの両端で支持され、フレームの当該両端間にモータが収容されることが多い。そのような構成では、シートが搬送される領域に加えて、モータの収容スペース分だけフレームを軸方向に広くしなければならない。そうすると、フレームが搬送ローラを支持する2点間の中央と、シートの軸方向の中央とが一致しない。つまり、シートを搬送する力が軸方向の一方に偏ってしまうことになる。その結果、シートの送り精度が低下し、場合によってはシートが搬送向きに対して傾いてしまうことがある。
【0007】
たとえば、特許文献1に記載された発明では、搬送ローラ14の一端側を支持する左側板11よりも内側に搬送モータM2が収容されている。さらに、搬送モータM2が収容される空間よりも内側をシートが搬送される構成であるため、上述したような問題が発生することがある。
【0008】
また、搬送ローラを支持するフレームと異なるフレームにモータを収容することで、上述したような問題を解決したものがある。たとえば、特許文献2に記載された発明では、搬送ローラ4がメインフレーム1の両端に支持され、モータ7がサブフレーム10に収容されている。サブフレーム10は、メインフレーム1の背面側に取り付けられている。
【0009】
しかしながら、引用文献2のような構成では、モータ7と搬送ローラ4とが独立したフレームによってそれぞれ支持されているため、モータ出力軸18と搬送ローラ軸16との間のピッチ間距離を高精度に維持することが困難である。たとえば、メインフレーム1とサブフレーム10との取り付け部分の僅かなぐらつきによっても、両者の間のピッチ間距離が変化する。これにより、シートの送り精度が低下してしまう。
【0010】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像記録時におけるシートの送り精度を高めることが可能な画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1) 本発明に係る画像記録装置は、モータと、上記モータから駆動力が伝達されて、搬送向きへシートを搬送する搬送ローラと、上記搬送ローラよりも搬送向きの下流側において、シートに画像を記録する記録部と、上記搬送ローラを回転可能に支持する一対の第1軸受け部を有する第1フレームと、上記第1フレームに取り付けられており、上記軸方向において上記第1軸受け部より一方側に延出された延出部を有する第2フレームと、上記延出部に取り付けられた第3フレームと、を備え、上記第3フレームは、ベース部と、当該ベース部と連続する第1側壁と、前記ベース部と連続し、前記第1側壁と対向する第2側壁と、を有し、当該第1側壁及び第2側壁が上記軸方向と直交するように配置された状態で当該第1側壁及び第2側壁が上記延出部に取り付けられており、上記一対の第1側壁及び第2側壁のうち、上記軸方向の上記一方側に位置する第1側壁に、上記モータの回転軸を支持するモータ軸受部が設けられ、上記第1側壁に、上記搬送ローラを回転可能に支持する第2軸受け部が設けられたことを特徴とする。
【0012】
本構成では、第1軸受け部の内側にモータが収容されないため、第1軸受け部間の中央と、シートの軸方向の中央とを一致させることができる。また、第3フレームの第1側壁によって、モータの回転軸と搬送ローラとの間のピッチ間距離を高精度に維持することができる。
【0013】
(2) 上記第1側壁及び上記第2側壁は、上記ベース部から上記搬送向きと上記軸方向とに直交する立設方向に立設されたものであり、上記第2フレームは、上記搬送ローラを介してシートが搬送される領域と対向配置され、且つ上記立設方向に立設する立設部を有し、上記第1側壁は、上記立設部に、上記軸方向で当接する第1当接部を有し、上記第2側壁は、上記搬送ローラと対向する上記延出部の面に当接する第2当接部を有していてもよい。
【0014】
本構成では、第1側壁の第1当接部が、上記立設部に上記軸方向で当接し、第2側壁の第2当接部が上記搬送ローラと対向する上記延出部の面に当接しているため、2つの当接部によって第3フレームが第2フレームに確実に固定される。
【0015】
(3) 上記第2フレームの上記立設部は、さらに取り付け部を有しており、上記第1側壁は、上記軸方向に挿入される第1固定部材によって上記取り付け部に固定される第1被取り付け部を有し、上記第2側壁は、上記軸方向に立設されており、上記立設方向に挿入される第2固定部材によって上記面に固定される第2被取り付け部を有し、上記第1被取り付け部及び上記第2被取り付け部は、上記第2軸受け部よりも搬送向きの上流側又は下流側に位置していてもよい。
【0016】
本構成では、第1被取り付け部と取り付け部とを固定する第1固定部材は、軸方向に挿入され、第2被取り付け部と延出部の面とを固定する第1固定部材は、立設方向に挿入される。また、いずれの固定部材も第2軸受け部よりも搬送向きの上流側又は下流側に位置している。つまり、固定部材の力が、モータの回転軸と搬送ローラとの間のピッチ間距離を変化させる向きに作用することがない。
【0017】
(4) 上記第2側壁は、上記第2当接部よりも上記立設方向へ突出された突部を有し、
上記延出部は、上記突部が挿入される貫通孔が形成されていてもよい。
【0018】
本構成では、突部が貫通孔に挿入されることで、第2側壁が第2フレームに対して軸方向にずれることがない。
【0019】
(5) 上記第1側壁において、上記第1被取り付け部と当該第1被取り付け部以外の部分との境界に第1くびれ部が形成されており、上記第2側壁において、上記第2被取り付け部と当該第2被取り付け部以外の部分との境界に第2くびれ部が形成されていてもよい。
【0020】
本構成では、第1くびれ部によって、第1側壁における第1被取り付け部と当該第1被取り付け部以外の部分とが相対的に湾曲しやすくされている。同様に、第2くびれ部によって、第2側壁における第2被取り付け部と当該第2被取り付け部以外の部分とが相対的に湾曲しやすくされている。そのため、固定部材による固定の力が大きい場合にも、第1側壁又は第2側壁全体が湾曲してしまうことがない。
【0021】
(6) 上記第3フレームは、一枚の金属板が湾曲されたものであり、上記第3フレームが上記延出部に取り付けられた状態において、上記軸方向における上記ベース部の寸法が、上記軸方向における上記第1被取り付け部と第2被取り付け部との間の幅よりも長くてもよい。
【0022】
本構成では、一枚の金属板が湾曲されて第3フレームが構成されているため、元の形状に復帰しようとする力が第3フレームに作用する。上記軸方向におけるベース部の寸法を、上記軸方向における第1被取り付け部と第2被取り付け部との間の寸法よりも長くとることで、上記の力によって第3フレームの形状を維持しやすくすることができる。
【0023】
(7) 一対の上記第1軸受け部の上記軸方向の中央が、上記搬送ローラの下方を搬送されるシートの上記軸方向の中央に位置した状態で、一対の上記第1軸受
け部が上記搬送ローラを支持してもよい。
【0024】
(8) 上記モータの回転軸に取り付けられたピニオンギアと、上記第1側壁よりも上記軸方向の上記一方側において、上記搬送ローラに取り付けられたプーリと、上記ピニオンギアと上記プーリとの間に掛け渡されたベルトと、を備えていてもよい。
【0025】
モータから搬送ローラへの駆動伝達のために、このような機構が用いられてもよい。
【0026】
(9) 上記記録部は、上記第2フレームに摺接して上記軸方向に往復動しながら、搬送されるシートにインク滴を噴射することで画像を記録するものであってもよい。
【0027】
本発明に係る画像記録装置は、このようなインクジェット方式によって実現されてもよい。
【0028】
(10) 本発明に係る画像記録装置は、モータと、上記モータから駆動力が伝達されて、搬送向きへシートを搬送する搬送ローラと、上記搬送ローラよりも搬送向きの下流側において、シートに画像を記録する記録部と、上記搬送ローラを回転可能に支持する一対の第1軸受け部を有する第1フレームと、上記第1フレームに取り付けられており、上記軸方向において上記第1軸受け部より一方側に延出された延出部を有する第2フレームと、上記延出部に取り付けられた第3フレームと、を備え、上記第3フレームは、ベース部と、当該ベース部と連続する第1側壁と、前記ベース部と連続し、前記第1側壁と対向する第2側壁と、を有し、当該第1側壁及び第2側壁が上記軸方向と直交するように配置された状態で当該第1側壁及び第2側壁が上記延出部に取り付けられており、上記一対の第1側壁及び第2側壁のうち、上記軸方向の上記一方側に位置する第1側壁に、上記モータの回転軸を支持するモータ軸受部が設けられ、上記第1側壁に、上記搬送ローラを回転可能に支持する第2軸受け部が設けられ、上記第2フレームは、上記搬送ローラを介してシートが搬送される領域と対向配置され、且つ上記延出部において上記軸方向の上記一方側の端部に、上記立設方向に立設された取り付け部を有し、上記第1側壁は、上記搬送向きに離間され、上記延出部の上記端部と当接する2つの第1当接部と、上記第1当接部の間に設けられており、上記軸方向に挿入される第1固定部材によって上
記取り付け部に固定される第1被取り付け部と、を有し、上記第2側壁は、上記搬送向きに離間され、上記延出部における上記搬送ローラがある側の面と当接する2つの第2当接部と、上記第2当接部の間において上記軸方向に立設されており、上記立設方向に挿入される第2固定部材によって上記延出部の上記面に固定される第2被取り付け部と、を有し、上記第1被取り付け部及び上記第2被取り付け部は、上記第2軸受け部よりも搬送向きの上流側又は下流側に位置していることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る画像記録装置は、第3フレームが上記のような第1当接部及び第2当接部を有したものであってもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る画像記録装置によると、画像記録時におけるシートの送り精度を高めることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。複合機10は、
図1に示す状態で設定されて使用される。本実施形態において、
図1に矢印を付して示す3つの方向が、上下方向7、前後方向8、および左右方向9である。また、以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0033】
図1に示されるように、複合機10(本発明の画像記録装置の一例)は、薄型の直方体に概ね形成されており、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部11が設けられている。複合機10は、記録用紙21(
図2、本発明のシートの一例)に画像を記録するプリント機能を有している。プリンタ部11は、正面に開口13が形成された筐体14を有し、各種サイズの記録用紙21を載置可能なトレイ20(
図2)が、開口13から前後方向8に挿抜可能である。
【0034】
[プリンタ部11の構成]
図2に示されるように、プリンタ部11は、給紙部15と、記録部24などを備えている。給紙部15は、トレイ20から記録用紙21をピックアップして給紙する。記録部24は、給紙部15によって給紙された記録用紙21にインク滴を吐出して、記録用紙21に画像を記録する。
【0035】
[給紙部15]
図2に示されるように、給紙部15は、給紙ローラ25、給紙アーム26及び駆動伝達機構27を備えている。給紙ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給紙用モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。なお、駆動伝達機構27は、給紙アーム26内に配置されている。給紙ローラ25は、記録用紙21を以下で説明する湾曲路42Aに供給する。
【0036】
[搬送路42]
図2に示されるように、プリンタ部11の内部には、トレイ20の先端(後方側の端部)から記録部24を経て排紙保持部43に至る搬送路42が形成されている。搬送路42は、湾曲路42Aと、排紙路42Bとに区分される。湾曲路42Aは、トレイ20の先端から記録部24に至る間に形成される。排紙路42Bは、記録部24から排紙保持部43に至る間に形成される。
【0037】
湾曲路42Aは、トレイ20に設けられた傾斜部22の上端付近から記録部24に亘って延設された湾曲状の通路である。トレイ20から給紙される記録用紙21は、湾曲路42Aを搬送向き(
図2において一点鎖線に付された矢印の向き)に沿って湾曲されて、前方へとUターンされる。Uターンされた記録用紙21は、記録部24の直下へ案内される。湾曲路42Aは、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって形成されている。なお、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19、更に後述する各ガイド部材40,41は、いずれも、左右方向9(
図2の紙面垂直方向)へ延出されている。
【0038】
排紙路42Bは、記録部24の直下から排紙保持部43に亘って延設された直線状の通路である。記録用紙21は、排紙路42Bを搬送向きに案内される。排紙路42Bは、記録部24が設けられている箇所においては、それぞれが所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24及びプラテン30によって形成されている。一方で、排紙路42Bは、記録部24が設けられていない箇所においては、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材40と下側ガイド部材41とによって形成されている。
【0039】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、キャリッジ28、及びキャリッジ28に搭載された記録ヘッド29を有している。また、
図3に示されるように、キャリッジ28は、第1キャリッジフレーム60(本発明の第2フレームの一例)と第2キャリッジフレーム90とに支持されている。第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90は、左右方向9を長手方向とする略平板形状であり、それぞれが前後方向8に離間されて設けられている。キャリッジ28は、記録ヘッド29と共に、第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90に沿って左右方向9に往復動する。つまり、第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90は、キャリッジ28が往復動するためのレールとして機能する。
【0040】
記録部24の下方であって搬送路42を挟んで記録部24と対向する位置には、記録用紙21を水平に保持、つまり支持するためのプラテン30が設けられている。記録ヘッド29は、左右方向9への往復動過程において、インクカートリッジ(不図示)から供給されたインクを、プラテン30上を搬送される記録用紙21に吐出する。これにより、搬送路42を搬送される記録用紙21に画像が記録される。
【0041】
[搬送ローラ31、34、37]
図2に示されるように、記録部24の搬送向きの上流側には、第1搬送ローラ31(本発明の搬送ローラの一例)及びピンチローラ32を備える第1ローラ対33が設けられている。ピンチローラ32は、図示しないバネなどの弾性部材によって第1搬送ローラ31のローラ面に圧接されている。第1ローラ対33は、湾曲路42Aを給紙されてきた記録用紙21を挟持してプラテン30上へ送る。
【0042】
プラテン30よりも搬送向きの下流側には、第2搬送ローラ34及び拍車35を備える第2ローラ対36が設けられている。拍車35は、図示しないバネなどの弾性部材によって第2搬送ローラ34のローラ面に圧接されている。第2ローラ対36は、記録部24で画像を記録された記録用紙21を挟持して搬送向きの下流側へ搬送する。
【0043】
第2ローラ対36よりも搬送向きの下流側に、第3搬送ローラ37と拍車38を備える第3ローラ対39が設けられている。拍車38は、図示しないバネなどの弾性部材によって第3搬送ローラ37のローラ面に圧接されている。第3ローラ対39は、第2搬送ローラ対36によって搬送された記録用紙21を挟持して、排紙保持部43に向けて搬送する。
【0044】
第1搬送ローラ31は、搬送用モータ92(
図4(B),(C)、本発明のモータの一例)からピニオンギア93、ベルト98、及びプーリ97(共に
図3に図示)を介して回転駆動力が伝達されて回転される。詳細については後述される。
【0045】
また、第2搬送ローラ34及び第3搬送ローラ37は、搬送用モータ92、又はこれとは異なる搬送用モータ(不図示)から駆動伝達機構(不図示)を介して回転駆動力が伝達されて回転される。
【0046】
[ベースフレーム50]
図3に示されるように、ベースフレーム50(本発明の第1フレームの一例)は、薄平な金属板が湾曲されることで形成される。ベースフレーム50は、左右方向9の両端が上下方向7に沿って上向きへ湾曲されて、側板51が形成される。つまり、ベースフレーム50は、前後方向8から見て略凹形状である。左右方向9の両端に形成される両側板51の内側に、プラテン30が収容される。両側板51の間の領域が記録用紙21が搬送される領域である。
【0047】
両側板51の後端側の部分は、少なくとも前端側よりも上下方向7の高い位置まで延出している。この後端側の部分が概ね円弧状に刳り抜かれて第1軸受け部52が形成される。刳り抜かれた内側の領域が前方側に開かれており、第1軸受け部52の周縁部が鉤爪形状とされる(
図4(C)を参照)。第1軸受け部52は、ベアリングなどを介して第1搬送ローラ31を回転可能に支持する。こうして、第1搬送ローラ31の軸方向が左右方向9と一致する。
【0048】
前後方向8における側板51の両端には、それぞれ上方へ突出された突起53が設けられる。突起53は、第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90をベースフレーム50に取り付けるためのものである。突起53は、両側板51において、左右方向9の対向する位置にそれぞれ設けられる。突起53が挿入されるための複数のスリット91が、第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90に形成される。第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90は、両側板51を左右方向9に跨いで、ベースフレーム50に取り付けられる。第1キャリッジフレーム60は、後方側の突起53に取り付けられ、第2キャリッジフレーム90は、前方側の突起53に取り付けられる。突起53がスリット91から抜けることを防止するため、当該スリット91に挿入された突起53にピン54が取り付けられる。
【0049】
[第1キャリッジフレーム60,第2キャリッジフレーム90]
第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90は、薄平な金属板が湾曲されることで形成される。なお、以下では、第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90は、左右方向9を長手方向、上下方向7を厚み方向とする。第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90は、プラテン30よりも上方に位置している。プラテン30が記録用紙21を支持する面に対して、第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90の表裏面が概ね平行とされる。左右方向9における第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90の寸法は、ベースフレーム50の寸法よりも長い。そのため、第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90は、長手方向(左右方向9)の両端が、左右方向9において側板51よりも外側へと延出している。なお、第1キャリッジフレーム60のうち、左側の側板51よりも外側の部分が延出部65と称される。
【0050】
第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90は、前端及び後端が上下方向7に沿って上向きへ突出される。つまり、第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90は、左右方向9から見て略凹形状である。この突出された部分は、キャリッジ28を左右方向9へ移動可能な状態に固定するものである。
【0051】
第1キャリッジフレーム60は、第1軸受け部52に支持される第1搬送ローラ31よりも上方に位置している。また、第1搬送ローラ31は、前後方向8において、第1キャリッジフレーム60の前端部に位置している。第1キャリッジフレーム60の左端には、下方へ向けて突出され、且つ上下方向7及び前後方向8に沿った板状である立設部63(
図4(A),(B))が形成される。立設部63の中央にはネジ穴62(
図4(B))が形成される。また、延出部65には、第1キャリッジフレーム60を上下に貫通するスリット61(本発明の貫通孔の一例)及びネジ穴62が形成される。スリット61及びネジ穴62は前後方向8に沿って配置され、ネジ穴62はスリット61よりも前方に位置している。ここで、立設部63が突出される方向である上下方向7が本発明の立設方向の一例である。
【0052】
[サブフレーム70]
図3〜
図6に示されるサブフレーム70(本発明の第3フレームの一例)は、薄平な金属板が湾曲されることで形成される。サブフレーム70は、ベース部71と、ベース部71から同一の向きへと連続して立設された第1側壁72及び第2側壁73を備える。第1側壁72及び第2側壁73はベース部71を挟んで対向している。第1側壁72及び第2側壁73は、延出部65に取り付けられる。その状態において、第1側壁72及び第2側壁73は、表裏面が左右方向9とそれぞれ直行する(
図3,
図4の状態)。なお、以下の説明で参照される向きや方向、及び各部材の配置は、サブフレーム70が第1キャリッジフレーム60に取り付けられた状態を基準としている。
【0053】
ベース部71は、第1側壁72及び第2側壁73下端部に位置しており、表裏面が、第1キャリッジフレーム60及び第2キャリッジフレーム90の表裏面と概ね平行である。
【0054】
第1側壁72は、第2側壁73よりも左側(つまり、左右方向9においてベースフレーム50よりも外側)となるように配置される。第1側壁72の中央よりもやや後方且つ下方の位置に、第1モータ孔74(
図5,
図6)が形成される。第1モータ孔74は、サブフレーム70が、搬送用モータ92を支持するためのものである。搬送用モータ92は、第1搬送ローラ31に駆動力を与える回転式のモータである。搬送用モータ92は、回転軸が第1モータ孔74を貫通して左側へ出るように、第1側壁72と第2側壁73とによって支持される。第1モータ孔74の周縁部(本発明のモータ軸受部の一例)が、搬送用モータ92のハウジング先端部を囲繞している(
図4(A)の状態)。つまり、モータの回転軸が、ハウジングを介して第1モータ孔74の周縁部に支持される。第1モータ孔74の左側へ出された搬送用モータ92の回転軸に、ピニオンギア93(
図4(A))が取り付けられる。第1モータ孔74の周辺には2つのネジ穴75が形成される。ネジ穴75にネジ94(
図4(A))が挿入されて、搬送用モータ92と第1側壁72とが締結されている。こうして、搬送用モータ92がサブフレーム70に取り付けられている。
【0055】
第1側壁72の上方の部分は、前方側へ延出される。この部分が概ね円弧状に刳り抜かれて、第2軸受け部76が形成される。刳り抜かれた内側の領域が前方のやや下方に向けて開かれており、これにより、第2軸受け部76の周辺部が鉤爪形状とされる。第2軸受け部76は、左右方向9において、第1軸受け部52と重なる位置にある。第2軸受け部73は、ベアリングなどを介して第1搬送ローラ31を回転可能に支持する。つまり、第1搬送ローラ31は、左右方向9に沿った2箇所において第1軸受け部52によって支持され、これよりも左側(つまり、左右方向9においてベースフレーム50よりも外側)の1箇所において第2軸受け部76によって支持されている。
【0056】
第1搬送ローラ31は、第1側壁72から左側へ1cm程度突出している(
図4(A)の状態)。第1搬送ローラ31は、第1側壁72から突出した部分にプーリ97(
図3,
図4(C))が取り付けられている。プーリ97は、左右方向9においてピニオンギア93と対応する位置にある。また、プーリ97は、ピニオンギア93よりも前方且つ上方に位置している。ピニオンギア93とプーリ97との間にベルト98(
図3,
図4(B),(C))が巻き掛けられている。このとき、ベルト98の周方向は、左右方向9に垂直である。搬送用モータ92の回転軸の回転は、ピニオンギア93、ベルト98、及びプーリ97を介して、第1搬送ローラ31へと伝達される。
【0057】
前後方向8における第1側壁72の中央且つ上端には、第1被取り付け部77が形成されている。また、第1被取り付け部77の周囲の領域E1(
図5(A)、本発明の境界の一例)が、第1側壁72に隙間を形成するように円弧状に肉抜きされる。これにより、第1被取り付け部77は、周囲が隔絶された概ね円形状とされる。第1被取り付け部77は下側に位置する幅狭の第1くびれ部86(
図5(A))のみによって、第1側壁72の当該第1被取り付け部77以外の部分と繋がっている。第1被取り付け部77の中央にはネジ穴78が形成される。第1被取り付け部77及び立設部63のネジ穴62及び78にネジ95(本発明の第1固定部材の一例)が挿入されて、第1被取り付け部77と立設部63とが締結される。こうして、第1被取り付け部77は、右側の面が、第1キャリッジフレーム60の立設部63と当接した状態に固定される(
図4(A),(B)の状態)。以上より、立設部63におけるネジ穴62の周縁部が、本発明の取り付け部の一例である。
【0058】
第1くびれ部86によって、領域E1が肉抜きされているため、第1被取り付け部77は、第1側壁72の当該第1被取り付け部77以外の部分に対して湾曲されやすい。図には表現されないが、第1被取り付け部77は、ネジ95による締結の力によって、上端側が立設部63側へ向くようにわずかに湾曲している。
【0059】
第1被取り付け部77の前後方向8の両外側には、それぞれ第1当接部79(
図5(B),(C))が設けられる。第1当接部79は、第1側壁72の右側の面の上端付近において、前後方向8に沿って2箇所に設けられる。第1当接部79は、第1キャリッジフレーム60の左側端部のうち、立設部63の前後方向8における両外側の2箇所とそれぞれ当接する。第1被取り付け部77及び第1当接部79によって、第1キャリッジフレーム60に対してサブフレーム70が位置決めされる。
【0060】
第2側壁73は、第1側壁72よりも右側(つまり、左右方向9においてベースフレーム50よりも外側と第1側壁72との間)に配置されている。第2側壁73の上端部は、第1キャリッジフレーム60の下側の面(つまり、裏面)に取り付けられる。第2側壁73には、第1モータ孔74よりも大きい第2モータ孔80が形成される。左右方向9から見て、第2モータ孔80及び第1モータ孔74の中央の位置が概ね一致している。第2モータ孔80からは、搬送用モータ92の基端側(つまり、回転軸が突出された側と反対側)が、第2側壁73の右側へと突出される。搬送用モータ92は、基端側の1/3程度が第2モータ孔80から第2側壁73の右側へと突出される。
【0061】
第2側壁73の上端部の一部が左右方向9に沿って右側へ湾曲されて、第2被取り付け部81(
図4(B),
図5,
図6)が形成される。第2被取り付け部81は、表裏面がベース部71と概ね平行な板状である。第2被取り付け部81の先端(右端)は、概ね半円状とされている。第2被取り付け部81の基端側、すなわち、第2被取り付け部81と第2側壁73の他の部分との境界である領域E2(
図5(A)、本発明の境界の一例)が肉抜きされている。この領域E2によって第2側壁72に隙間が形成される。これにより、第2被取り付け部81は、領域E2よりも前後方向8の両外側に位置する幅狭の第2くびれ部87(
図5(A))のみによって、第2側壁73の当該第2被取り付け部81以外の部分と繋がっている。第2被取り付け部81の中央にはネジ穴85が開けられている。第2被取り付け部81及び第1キャリッジフレーム60のネジ穴62及び85にネジ96(本発明の第2固定部材の一例)が挿入されて、第2被取り付け部81と第1キャリッジフレーム60とが締結されている。こうして、第2被取り付け部81は、上側の面が、第1キャリッジフレーム60の下側の面(つまり、裏面)に固定されている(
図4(B)の状態)。
【0062】
領域E2が肉抜きされているため、第2被取り付け部81は、第2側壁73の当該第2被取り付け部81以外の部分に対して湾曲されやすい。図には表現されないが、第2被取り付け部81は、ネジ96による締結の力によって、先端側が上方へ向かってわずかに湾曲している。
【0063】
第2被取り付け部81よりも後方側には、第2被取り付け部81よりも上方へ5mm程度突出された突起82(本発明の突部の一例)が設けられている。突起82は、第1キャリッジフレーム60のスリット61に下側(つまり、裏面側)から挿入されている。スリット61に挿入された突起82は、第1キャリッジフレーム60上側の面(つまり、表面)から上方へ突出している(
図3,
図4(A),(C)の状態)。スリット61及び突起82によって、第2側壁73が、第1キャリッジフレーム60に取り付けられる際の左右方向9の位置が決定される。
【0064】
第2被取り付け部81及び突起82よりも前後方向8の両外側に、第2当接部83(
図5,6)が設けられる。つまり、第2当接部83は、前後方向8に沿って2箇所に設けられる。第2当接部83は、突起82と同様に、第2側壁73の一部が上方へ突出されたものである。第2当接部83の上端は、上下方向7において、第2被取り付け部81の上側の面よりもわずかに上方に位置しており、突起82の上端よりも下方に位置している。第2被取り付け部81と第1キャリッジフレーム60とが締結されることで、第2当接部83の上端が第1キャリッジフレーム60の下側の面とそれぞれ当接する(
図4(B)の状態)。第2被取り付け部81及び第2当接部83によって、第1キャリッジフレーム60に対してサブフレーム70が位置決めされる。
【0065】
左右方向9におけるベース部71の寸法は、第1キャリッジフレーム60におけるスリット61から左側端部までの距離よりもわずかに長い。すなわち、第1側壁72及び第2側壁73は、サブフレーム70に取り付けられた状態において、上端側がわずかに内側へ傾斜されている。サブフレーム70は、金属板が湾曲されることで形成されているため、元の形状へ復帰、つまり第1側壁72及び第2側壁73が離間しようとする力が弾性的に作用する。この力によって、前後方向8から見たサブフレーム70の凹形状が維持される。
【0066】
[実施形態の作用効果]
上述された実施形態では、左右方向9におけるプラテン30の中央に対して左右対称な位置に、2つの第1軸受け部52が設けられている。つまり、第1搬送ローラ31のローラ面が記録用紙21を押圧する力が、プラテン30の中央に対して左右対称となる。これにより、記録用紙21が搬送中に傾くことを抑制することができ、記録用紙21の搬送が安定する。
【0067】
また、第2側壁73によって、搬送用モータ92の回転軸と第1搬送ローラ31とが支持されることで、両者の間のピッチ間距離が高精度に維持されている。その周辺においてピニオンギア93、ベルト98、及びプーリ97を介した駆動伝達が行われているため、搬送用モータ92の回転量と第1搬送ローラ31の回転量との間に誤差が生じにくい。これにより、記録用紙21の送り精度を高めることができる。
【0068】
また、第1キャリッジフレーム60に第1側壁72を取り付けるためのネジ95は、左右方向9に沿って挿入されている。また、第1キャリッジフレーム60に第2側壁73を取り付けるためのネジ96は、上下方向7に沿って挿入されている。このようなネジ95,96の向きによると、ネジ95,96の締結の力が、第1側壁72を上下方向7又は前後方向8にずらしたり傾ける向きに作用することがない。これにより、第1軸受け部52と第2軸受け部76とが左右方向9に重なった状態に維持される。つまり、第1搬送ローラ31に負荷がかかるのを抑制することができる。また、左右方向9から見て、第1モータ孔74と第1軸受け部52との距離が変化することがないため、搬送用モータ92の軸と第1搬送ローラ31との間のピッチ間距離がより高精度に維持される。
【0069】
また、第1被取り付け部77が第1側壁72の他の部分に対して湾曲しやすくされている。これにより、ネジ95による締結の力によって、第1側壁72全体が本来の位置に対して湾曲してしまうことを抑制することができる。また、2つの第1当接部79が前後方向8に沿って第1キャリッジフレーム60の左側端部と当接しているため、第1側壁72及び第2側壁73の表裏面が前後方向8に沿った状態に維持される。つまりサブフレーム70が、
図6(D)に示される方向D1にぐらつくことを抑制することができる。
【0070】
また、第2被取り付け部81が第2側壁73の他の部分に対して湾曲しやすくされている。これにより、ネジ96による締結の力によって、第2側壁73全体が本来の位置に対して湾曲してしまうことを抑制することができる。また、2つの第2当接部83が前後方向8に沿って第1キャリッジフレーム60の下側の面と当接しているため、ベース部71の表裏面が前後方向8に沿った状態に維持される。つまりサブフレーム70が、
図6(A)に示される方向D2にぐらつくことを抑制することができる。
【0071】
また、突起82がスリット61に挿入されているため、第2側壁73の上端が第1キャリッジフレーム60に対して左右方向9にずれることを抑制することができる。また、第2側壁73の上端が第1キャリッジフレーム60に対して容易に位置決めされるため、複合機10の製造時においてネジ96による締結が容易となる。
【0072】
また、左右方向9におけるベース部71の寸法は、第1キャリッジフレーム60におけるスリット61から左側端部までの距離よりもわずかに長い。したがって、サブフレーム70には、第1側壁72及び第2側壁73が離間しようとする向きの力が弾性的に作用する。この力によって、前後方向8から見たサブフレーム70の凹形状が維持される。
【0073】
また、第1キャリッジフレーム60は、ベースフレーム50の第1軸受け部52に設けられる突起53に取り付けられているため、第1キャリッジフレーム60をレールとするキャリッジ28の移動方向と第1搬送ローラ31の軸方向とを高精度に一致させることができる。これにより、高品質の画像記録が行われる。
【0074】
また、ベースフレーム50、第1キャリッジフレーム60、及びサブフレーム70は、低コストで製造され、組み立ても容易である。
【0075】
[変形例]
第1キャリッジフレーム60は、第1軸受け部52よりも延出されていればよく、上述された実施形態のものとは形状が異なっていてもよい。たとえば、第1キャリッジフレーム60は、必ずしもキャリッジ28を支持するレールとして機能しているものでなくともよい。
【0076】
また、サブフレーム70は、第1側壁72及び第2側壁73とそれぞれ連続し、前後方向8に対向する面を有していてもよい。つまり、サブフレーム70は、上面が開放された箱形状であってもよい。また、サブフレーム70は、第1キャリッジフレーム60の左側ではなく右側端部に取り付けられてもよい。その場合の第1キャリッジフレーム60及びサブフレーム70の形状は、上述された実施形態に係る第1キャリッジフレーム60及びサブフレーム70を、左右方向9に反転した鏡像となる。
【0077】
また、第2軸受け部73は、第1側壁72の前方側に設けられていたが、前後方向8において中央や後方側に設けられていてもよい。それに対応して、第1軸受け部52の位置も前後方向8にずらされてもよい。
【0078】
また、搬送用モータ92の回転軸と第1搬送ローラ31との間の駆動伝達には、上述された実施形態の方法と異なる方法が用いられてもよい。たとえば、ベルト98に代わって、第1側壁72又は第2側壁73に回転可能に取り付けられた複数のギアが使用されてもよい。
【0079】
また、第2キャリッジフレーム90は、薄平な金属板が湾曲されることで形成されていたが、たとえば、左右方向9が長手方向となる円柱や角柱をしたシャフトであってもよい。
【0080】
また、各フレームは必ずしも金属で製造される必要はなく、少なくとも一部が樹脂によって成型されたものであってもよい。
【0081】
また、プリンタ部11は、片面に画像が記録された記録用紙21を再度記録部24へと送る追加の搬送路を備えており、記録用紙21の両面に画像記録を行うことができるように構成されていてもよい。
【0082】
また、記録部24による画像記録の方式は、必ずしもインクジェット方式である必要はなく、たとえば、電子写真方式が用いられてもよい。
【0083】
また、上述された変形例の他にも、本発明の要旨を変更しない範囲で、各フレームの細部の形状、及びネジ穴・突起・スリットなどの配置が適宜変更されてもよい。