(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本願の開示する技術の一実施形態を説明する。
【0010】
なお、各図面において示される矢印X、矢印Y、矢印Zは、電子機器10に向かって左側、電子機器10の手前側(操作者側)、電子機器10の上側をそれぞれ示している。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態に係る電子機器10は、一例として、ノート型のパーソナルコンピュータとされている。この電子機器10は、モニタ12を有する表示部14と、後述するキーボードユニット62を有する本体部16とを備えている。
【0012】
表示部14は、本体部16の後壁部18に図示しないヒンジを介して回動可能に取り付けられている。そして、この表示部は、本体部16に対して起立された展開状態と、本体部16に重ね合わされるように倒伏された収納状態とを取り得るようになっている。
図1では、表示部14が展開状態で示されている。
【0013】
本体部16は、アッパーカバーアッセンブリ20と、ロアカバー22とを備えている。このアッパーカバーアッセンブリ20とロアカバー22との間に形成された空間部には、上述のモニタ12を駆動させるための電子回路や、バッテリ、記憶装置(いずれも不図示)などの機器が収容されている。
【0014】
アッパーカバーアッセンブリ20は、
図2,
図3に示されるように、金属製のアッパーカバー30と、樹脂製の複数の内部構造部品40,50,61と、キーボードユニット62とを備えている。
【0015】
アッパーカバー30は、筐体の一例であり、プレス成形により形成されている。このアッパーカバー30には、
図3,
図4に示されるように、後述する複数のキー63を露出させるための複数の開口31や、図示しないタッチパッド等を露出させるための開口32等が形成されている。複数の開口31は、複数のキー63の各々に対応する大きさで形成されている。また、このアッパーカバー30は、平面視にて長方形に形成されており、その周囲には、側壁部33が形成されている。
【0016】
さらに、このアッパーカバー30の横方向両側の縦縁部には、位置決め穴34がそれぞれ形成されている。この位置決め穴34は、アッパーカバー30の縦方向に延びる長穴状に形成されている。また、この位置決め穴34は、アッパーカバー30のプレス成形時に形成されたものであり、その周囲には、
図5に示されるように、バーリング加工によりアッパーカバー30の内側に突出する立ち壁36が形成されている。
【0017】
内部構造部品61は、
図6に示されるように、複数のキー63を有するキーボードユニット62に例えば溶着等により一体に組み付けられている。この内部構造部品61は、キーボードユニット62と共にキーボードアッセンブリ60を形成している。キーボードアッセンブリ60は、第一組付体の一例である。
【0018】
このキーボードアッセンブリ60には、
図6,
図7に示されるように、上述の位置決め穴34と対応する位置に位置決め突起64が形成されている。この位置決め突起64は、内部構造部品61に一体に形成されており、キーボードアッセンブリ60における複数のキー63よりも横方向両側の部位にそれぞれ設けられている。この位置決め突起64は、
図8に示されるように、上述の位置決め穴34に係合されるものであり、この位置決め穴34と同様に、キーボードアッセンブリ60の縦方向を長手方向として形成されている。
【0019】
また、
図2,
図3に示されるように、このキーボードアッセンブリ60は、後述する内部構造部品40,50に対してアッパーカバー30の縦方向にずれて配置されている。つまり、このキーボードアッセンブリ60は、アッパーカバー30の縦方向における内部構造部品40と内部構造部品50との間に配置されている。内部構造部品40及び内部構造部品50は、それぞれ第二組付体の一例である。
【0020】
そして、このキーボードアッセンブリ60における内部構造部品40側の縁部には、内部構造部品40側に延出する一対の延出部65A,65B(
図9参照)が形成されている。この
図9に示されるように、この一対の延出部65A,65Bは、内部構造部品61に一体に形成されており、キーボードアッセンブリ60における横方向の両側の部位にそれぞれ設けられている。この一対の延出部65A,65Bの先端には、断面円形状の係合突起66A,66Bがそれぞれ形成されている。この係合突起66A,66Bは、被係合部の一例である。
【0021】
図10に示されるように、内部構造部品40は、図示しないスイッチや、スピーカ等の機能部品を保持するための複数の保持部42を有している。また、この内部構造部品40には、上述の係合突起66A,66Bと対応する位置に係合穴46A,46Bがそれぞれ形成されている。つまり、この係合穴46A,46Bは、内部構造部品40における横方向の両側の部位に設けられている。この一対の係合穴46A,46Bは、それぞれ係合部の一例である。
【0022】
図11に示されるように、一方の係合穴46Aは、断面円形状に形成されており、係合突起66Aと係合される。一方、他方の係合穴46Bは、内部構造部品40の横方向に延びる長穴状に形成されており、係合突起66Bと係合される。
【0023】
また、
図12,
図15に示されるように、上述のキーボードアッセンブリ60における内部構造部品50側の縁部には、内部構造部品50側に延出する一対の延出部67A,67Bが形成されている。この一対の延出部67A,67Bは、内部構造部品61に一体に形成されており、キーボードアッセンブリ60における横方向の両側の部位にそれぞれ設けられている。この一対の延出部67A,67Bの先端には、断面円形状の係合突起68A,68Bがそれぞれ形成されている。この係合突起68A,68Bは、被係合部の一例である。
【0024】
図13〜
図15に示される内部構造部品50は、例えばタッチパッド等の機能部品を保持するための複数の保持部(いずれも不図示)を有している。この内部構造部品50には、上述の係合突起68A,68Bと対応する位置に係合穴58A,58Bがそれぞれ形成されている。つまり、この係合穴58A,58Bは、内部構造部品50における横方向の両側の部位に設けられている。この一対の係合穴58A,58Bは、それぞれ係合部の一例である。
【0025】
図13,
図14に示されるように、一方の係合穴58Aは、断面円形状に形成されており、係合突起68Aと係合される。一方、
図15に示されるように、他方の係合穴58Bは、内部構造部品50の横方向に延びる長穴状に形成されており、係合突起68Bと係合される。
【0026】
そして、このアッパーカバーアッセンブリ20では、
図8に示されるように、位置決め突起64が位置決め穴34に挿入されることにより、キーボードアッセンブリ60は、アッパーカバー30に位置決めされている。また、このキーボードアッセンブリ60は、このようにアッパーカバー30に位置決めされた状態で、図示しない固定部材等によりアッパーカバー30の内側に組み付けられている。
【0027】
また、内部構造部品40は、
図11に示されるように、一対の係合穴46A,46Bに係合突起66A,66Bがそれぞれ係合されることにより、キーボードアッセンブリ60に位置決めされている。また、この内部構造部品40は、このようにキーボードアッセンブリ60に位置決めされた状態で、図示しない固定部材等によりアッパーカバー30の内側に組み付けられている。
【0028】
同様に、内部構造部品50は、
図14,
図15に示されるように、一対の係合穴58A,58Bに係合突起68A,68Bがそれぞれ係合されることにより、キーボードアッセンブリ60に位置決めされている。また、この内部構造部品50は、このようにキーボードアッセンブリ60に位置決めされた状態で、図示しない固定部材等によりアッパーカバー30の内側に組み付けられている。
【0029】
さらに、
図8に示されるように、位置決め突起64の先端には、例えばゴム等の弾性材で形成された緩衝部69が取り付けられている。この緩衝部69は、位置決め穴34からアッパーカバー30の表側に突出されている。そして、この緩衝部69は、上述の表示部14が本体部16に重ね合わされるように倒伏された収納状態とされた場合に、この表示部14に押圧される。この緩衝部69は、上述の位置決め穴34と略同じ大きさ及び形状で形成されている。
【0030】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0031】
以上詳述したように、本実施形態では、プレス成形により形成されたアッパーカバー30に位置決め穴34が形成されており、キーボードアッセンブリ60には、位置決め突起64が形成されている。そして、この位置決め穴34に位置決め突起64が挿入されることにより、キーボードアッセンブリ60は、アッパーカバー30の内側に位置決めされた状態で組み付けられている。
【0032】
また、キーボードアッセンブリ60には、係合突起66A,66B及び係合突起68A,68Bが形成されており、内部構造部品40,50には、係合穴46A,46B及び係合穴58A,58Bがそれぞれ形成されている。そして、係合突起66A,66Bが係合穴46A,46Bに係合されることにより、内部構造部品40は、キーボードアッセンブリ60に位置決めされた状態でアッパーカバー30の内側に組み付けられている。同様に、係合突起68A,68Bが係合穴58A,58Bに係合されることにより、内部構造部品50は、キーボードアッセンブリ60に位置決めされた状態でアッパーカバー30の内側に組み付けられている。
【0033】
このように、本実施形態によれば、治具を用いずに、キーボードアッセンブリ60及び内部構造部品40,50をアッパーカバー30に位置決めした状態で組み付けることができる。これにより、治具の費用を抑えることができるので、コストダウンすることができる。また、治具をセットする工数も削減することができるので、このことによっても、コストダウンすることができる。
【0034】
また、キーボードアッセンブリ60とアッパーカバー30との位置決めのために用いる位置決め穴34として、緩衝部69を取り付けるための取付穴を利用している。これにより、アッパーカバー30の構造を簡素化することができると共に、アッパーカバー30の見栄えを確保することができる。
【0035】
また、位置決め穴34の周囲には、バーリング加工によりアッパーカバー30の内側に突出する立ち壁36が形成されている。従って、位置決め穴34の高さ方向の寸法を確保することができるので、位置決め穴34と位置決め突起64との位置決め精度を向上させることができる。
【0036】
また、係合突起66A,66B及び係合穴46A,46Bは、キーボードアッセンブリ60及び内部構造部品40における横方向の両側の部位に設けられている。また、一対の係合穴46A,46Bのうち係合穴46Bは、内部構造部品40の横方向に延びる長穴状に形成されている。従って、一対の係合突起66A,66B間の寸法誤差を吸収しつつ、係合突起66A,66Bと係合穴46A,46Bとを係合させることができる。
【0037】
同様に、係合突起68A,68B及び係合穴58A,58Bは、キーボードアッセンブリ60及び内部構造部品50における横方向の両側の部位に設けられている。また、一対の係合穴58A,58Bのうち係合穴58Bは、内部構造部品50の横方向に延びる長穴状に形成されている。従って、一対の係合突起68A,68B間の寸法誤差を吸収しつつ、係合突起68A,68Bと係合穴58A,58Bとを係合させることができる。
【0038】
また、位置決め突起64及び位置決め穴34により、キーボードアッセンブリ60が内部構造部品40,50よりも先にアッパーカバー30に位置決めされる。従って、キーボードアッセンブリ60とアッパーカバー30との位置精度、ひいては、複数のキー63と複数の開口31との位置精度を確保することができる。
【0039】
特に、位置決め突起64は、キーボードアッセンブリ60における複数のキー63よりも横方向両側の部位にそれぞれ設けられているので、複数のキー63と複数の開口31との位置精度を向上させることができる。
【0040】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0041】
上記実施形態において、電子機器10は、ノート型のパーソナルコンピュータとされていたが、その他の電子機器とされていても良い。
【0042】
また、上記実施形態では、キーボードアッセンブリ60が先ずアッパーカバー30の内側に位置決めされた状態で組み付けられ、その後、内部構造部品40,50がキーボードアッセンブリ60に位置決めされた状態でアッパーカバー30の内側に組み付けていた。ところが、内部構造部品40,50が先ずアッパーカバー30の内側に位置決めされた状態で組み付けられ、その後、キーボードアッセンブリ60が内部構造部品40,50に位置決めされた状態でアッパーカバー30の内側に組み付けられても良い。
【0043】
なお、この場合には、内部構造部品40,50が第一組付体の一例とされ、キーボードアッセンブリ60が第二組付体の一例とされる。また、この場合には、内部構造部品40及び内部構造部品50の少なくとも一方に位置決め突起64が形成される。さらに、この場合には、内部構造部品40,50に形成された係合穴46A,46B,58A,58Bが被係合部の一例とされ、キーボードアッセンブリ60に形成された係合突起66A,66B,68A,68Bが係合部の一例とされる。
【0044】
また、上記実施形態において、電子機器10は、3つの内部構造部品40,50,61を備えていたが、内部構造部品の数がその他とされていても良い。
【0045】
また、この電子機器10においては、アッパーカバー30が筐体の一例とされ、キーボードアッセンブリ60が第一組付体の一例とされ、内部構造部品40,50が第二組付体の一例とされていた。ところが、その他の部材が筐体、第一組付体、及び、第二組付体とされていても良い。
【0046】
また、緩衝部69は、位置決め突起64と別体とされた上で位置決め突起64の先端に取り付けられていたが、
図16に示されるように、位置決め突起64の先端が位置決め穴34から突出する緩衝部69として形成されていても良い。つまり、緩衝部69は、位置決め突起64に一体に形成されていても良い。
【0047】
また、上記実施形態では、キーボードアッセンブリ60に被係合部の一例として係合突起66A,66B,68A,68Bが形成され、内部構造部品40,50に係合部の一例として係合穴46A,46B,58A,58Bが形成されていた。ところが、その他にも、例えば、キーボードアッセンブリ60に被係合部の一例として係合穴が形成され、内部構造部品40,50に係合部の一例として係合突起が形成されていても良い。また、この場合に、キーボードアッセンブリ60に形成された一対の係合穴のいずれかがキーボードアッセンブリ60の横方向に延びる長穴状に形成されていても良い。
【0048】
なお、上記複数の変形例は、適宜、組み合わされて実施可能である。
【0049】
次に、上述の本願の開示する技術の一態様に関し、更に以下の付記を開示する。
【0050】
(付記1)
プレス成形により形成され、位置決め穴を有する筐体と、
前記位置決め穴に挿入されると共に先端に前記位置決め穴から突出する緩衝部を備えた位置決め突起を有し、前記位置決め突起が前記位置決め穴に挿入されることにより前記筐体の内側に位置決めされた状態で組み付けられた第一組付体と、
係合部を有し、前記係合部が前記第一組付体に形成された被係合部と係合されることにより前記第一組付体に位置決めされた状態で前記筐体の内側に組み付けられた第二組付体と、
を備えた電子機器。
【0051】
(付記2)
前記位置決め穴の周囲には、バーリング加工により前記筐体の内側に突出する立ち壁が形成されている、
付記1に記載の電子機器。
【0052】
(付記3)
前記被係合部及び前記係合部は、それぞれ前記第一組付体及び前記第二組付体における横方向の両側の部位に設けられ、
一対の前記被係合部のいずれか、又は、一対の前記係合部のいずれかは、前記横方向に延びる長穴状に形成されている、
付記1又は付記2に記載の電子機器。
【0053】
(付記4)
前記第一組付体は、キーボードユニットを有するキーボードアッセンブリとされている、
付記1〜付記3のいずれか一つに記載の電子機器。
【0054】
(付記5)
前記位置決め突起は、前記キーボードアッセンブリにおける複数のキーよりも横方向両側の部位にそれぞれ設けられている、
付記4に記載の電子機器。
【0055】
(付記6)
前記緩衝部は、前記位置決め突起と別体とされて前記位置決め突起の先端に取り付けられている、
付記1〜付記5のいずれか一つに記載の電子機器。
【0056】
(付記7)
前記電子機器は、モニタを備えた表示部と、キーボードを備えた本体部とを備えたノード型のパーソナルコンピュータとされ、
前記筐体は、前記本体部に設けられたアッパーカバーとされている、
付記1〜付記6のいずれか一つに記載の電子機器。
【0057】
(付記8)
前記アッパーカバーには、前記キーボードに設けられた複数のキーの各々に対応する大きさで形成され前記複数のキーを露出させる複数の開口が形成されている、
付記7に記載の電子機器。