特許第6047912号(P6047912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6047912電子レンジ用紙カップおよびそれを用いた紙容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6047912
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】電子レンジ用紙カップおよびそれを用いた紙容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20161212BHJP
   B65D 3/28 20060101ALI20161212BHJP
   B65D 3/06 20060101ALI20161212BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   B65D81/34 W
   B65D3/28 Z
   B65D3/06 B
   A47J27/00 107
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-98612(P2012-98612)
(22)【出願日】2012年4月24日
(65)【公開番号】特開2013-227023(P2013-227023A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】荒木 淳
【審査官】 秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−177139(JP,A)
【文献】 実開平06−007568(JP,U)
【文献】 特開2002−080026(JP,A)
【文献】 特表2009−543738(JP,A)
【文献】 特開2004−217271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
A47J 27/00
B65D 3/06
B65D 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部材と、底部材とからなる電子レンジ用紙カップであって、
前記胴部材が、胴部と、前記胴部の上端部を外側にカールしたトップカール部と、を有し、
前記底部材が、底面部と、前記底面部の外周縁部を下方へ略直角に屈曲した屈曲部と、を有し、
前記胴部の下端部が内側に折り込まれており、前記屈曲部を挟んだ状態で接合されている接合部が形成されており、
前記接合部に少なくとも一箇所以上の切込み線または切欠け部が形成されており、
前記切欠け部の形状が、半円状または円状であることを特徴とする電子レンジ用紙カップ。
【請求項2】
前記切込み線の形状が、直線状であることを特徴とする請求項1記載の電子レンジ用紙カップ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子レンジ用紙カップを用いたことを特徴とする紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジで使用する電子レンジ用紙カップおよびそれを用いた紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、即席食品、飲料、惣菜などの内容物を収納する容器としては、紙カップが広く使用されている。特に電子レンジ加熱用に用いられる紙カップは、まだ一般的ではないものの、例えばポップコーンの調理用に用いられたり、また即席食品、飲料、惣菜などの内容物を加熱するのに使用されている。
【0003】
一般的な紙カップは、図13図14に示すように、胴部材1と底部材5とからなり、胴部材1は、主に胴部2を形成し、上端を外側にカールしてトップカール部9とし、下端を内側に折り返して折り返し部4を形成している。また底部材5は、主に底面部6を形成し、外周縁部を下方へ略直角に屈曲して屈曲部7を形成している。胴部材1と底部材5の接合は、該屈曲部7を、胴部材の折り返し部4と胴部の下端面3とで挟んで加熱接着している。該屈曲部7を挟み込んで接合した接合部8を糸尻部10と称し、底面部6を上げ底にして形成されている。
【0004】
しかしながら、紙カップに内容物を収納して電子レンジで加熱する場合、紙カップの糸尻部に焦げが発生する問題がある。その原因は、次のように考えられる。
【0005】
紙のパルプセルロースは、電子レンジのマイクロ波を吸収し発熱する。従って紙の重なる糸尻部では総厚が厚くなり、発熱量が大きくなる。また糸尻部には、底部の内外からマイクロ波が照射され、発熱量が大きくなる。一方、糸尻部の表面積は変わらないため熱の放出量が同じで、発生した熱を蓄積することになり、温度が上昇し、焦げが発生する原因となっている。また、糸尻部は、内容物に接しておらず、発熱量に対し十分な放熱量が得られないためである。
【0006】
これらを改善するために、次の提案がある。一般的な紙カップの底面部の下面部と、胴部の下端により形成される下端面との距離が、該下端面から上方に8mm未満、および該下端面から下方に2mm未満の範囲を特徴とする提案である(特許文献1)。
【0007】
この提案は、底面部の下面部を下方に凹ませ、糸尻部へのマイクロ波照射を出来るだけ低減する提案である。しかし焦げが発生する場合がある。これは、糸尻部での紙の総厚が変わらないために発熱し焦げが発生する場合がある。よって電子レンジのマイクロ波の照射を低減しても問題がある。
【0008】
また紙カップ本体の外周に保護カバーを備えた紙カップで、該保護カバーに金属テープを貼着し、糸尻部をマイクロ波から遮蔽する提案がある(特許文献2)。
【0009】
マイクロ波を金属テープで遮蔽することは可能であるが、例えば、金属テープの貼着がずれたりした場合は、電子レンジ内でスパークする危険性があり問題がある。
【0010】
また、カップの底面部の下面部を下方に凹ませ、かつ胴部材と底部材の外面を低密度ポリエチレンにてラミネートして、該低密度ポリエチレンを発泡させることにより、糸尻部の焦げを防ぐ提案がある(特許文献3)。
【0011】
しかし、糸尻部の紙の総厚が変わらないために、発熱し焦げが発生する問題がある。
【0012】
内容物を収納した紙カップを電子レンジで加熱しても、糸尻部に焦げが発生し難い電子レンジ用紙カップおよびそれを用いた紙容器の要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4770047号公報
【特許文献2】特開2001−145563号公報
【特許文献3】特開2002−80071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
背景技術の問題に鑑みて、即席食品、飲料、惣菜などの食品を収納した紙カップを電子レンジで加熱しても、糸尻部に焦げが発生し難い電子レンジ用紙カップおよびそれを用いた紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明を完成した。
【0016】
本発明の請求項1に係る発明は、胴部材と、底部材とからなる電子レンジ用紙カップであって、
前記胴部材が、胴部と、前記胴部の上端部を外側にカールしたトップカール部と、を有し、
前記底部材が、底面部と、前記底面部の外周縁部を下方へ略直角に屈曲した屈曲部と、を有し、
前記胴部の下端部が内側に折り込まれており、前記屈曲部を挟んだ状態で接合されている接合部が形成されており、
前記接合部に少なくとも一箇所以上の切込み線または切欠け部が形成されており、
前記切欠け部の形状が、半円状または円状であることを特徴とする電子レンジ用紙カップである。
【0017】
本発明の請求項2に係る発明は、前記切込み線の形状が、直線状であることを特徴とする請求項1記載の電子レンジ用紙カップである。
【0019】
本発明の請求項に係る発明は、請求項1または2に記載の電子レンジ用紙カップを用いたことを特徴とする紙容器である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電子レンジ用紙カップは、即席食品、飲料、惣菜などの内容物を収納し電子レンジで加熱しても、接合部に焦げが発生し難い紙カップである。特に接合部に、少なくとも1箇所以上の切り込み線または切欠け部を設けることで、該切り込み線または切欠け部の端面から熱を放出し易くしたものである。即ち、接合部の端面からの熱の放出を高めることにより、焦げの発生を抑制しているのである。
【0021】
本発明の請求項1によれば、接合部に少なくとも一箇所以上の切込み線または切欠け部が形成されていることにより、接合部に焦げが発生し難い紙カップを提供することができる。接合部(以下、糸尻部という)に少なくとも一箇所以上の切込み線または切欠部が形成されていることで、該切り込み線または切欠け部の端面から、熱の放出を高めることができる。
また、本発明の請求項1によれば、切欠け部の形状が、半円状または円状であることにより、さらに発熱した熱の放出を高めることができる。また糸尻部の立脚性を維持し、安定した脚を形成することができる。
【0022】
本発明の請求項2によれば、切込み線の形状が、直線状であることにより、発熱した熱の放出を高めることができる。また糸尻部の立脚性を維持し、安定した脚を形成することができる。
【0024】
本発明の請求項によれば、本発明の電子レンジ用紙カップを用いた紙容器は、即席食品、飲料、惣菜などの内容物を収納した状態で加熱することができる。糸尻部に焦げが発生し難くしているために、安全に内容物を加熱することができる。利便性を有する電子レンジ用紙容器である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の電子レンジ用紙カップの一例を示す説明図である。
図2図1の電子レンジ用紙カップの一例を示す斜視図である。
図3】本発明の電子レンジ用紙カップの一例を示す説明図である。
図4図3の電子レンジ用紙カップの一例を示す斜視図である。
図5】本発明の電子レンジ用紙カップの一例を示す説明図である。
図6図5の電子レンジ用紙カップの一例を示す斜視図である。
図7】本発明の電子レンジ用紙カップの一例を示す説明図である。
図8図7の電子レンジ用紙カップの一例を示す斜視図である。
図9図7の電子レンジ用カップを用いた紙容器の一例を示す説明図である。
図10図9の紙容器の一例を示す斜視図である。
図11】胴部材および底材の構成の一例を示す説明図である。
図12】胴部材および底材の構成の一例を示す説明図である。
図13】従来の紙カップの製造方法の一例を示す説明図である。
図14】従来の紙カップの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態につき説明する。
【0027】
図1は、本発明の電子レンジ用紙カップの一例を示す説明図である。胴部材1が、胴部2と、該胴部の上端部を外側にカールしたトップカール部9とを有し、底部材5が、底面部6と、該底面部の外周縁部を下方へ略直角に屈曲した屈曲部7とを有している。胴部材1と底部材5の接合は、該屈曲部7を、胴部材の折り返し部4と胴部の下端面3とで挟んで加熱接着している。即ち、屈曲部7を挟んで胴部の下端部を内側に折り込み、加熱加圧して接合部8、即ち糸尻部10を形成している。糸尻部10の下端には、縦状の切込み線20が、該糸尻部の下端から上方に少なくとも1箇所以上形成されている。縦状の切込み線20は、糸尻部の熱の放出を高め、放熱効果を発現させることができる。
【0028】
図2は、図1の電子レンジ用紙カップの一例を示す斜視図である。糸尻部10には、少なくとも一箇所以上の縦状の切込み線20が、糸尻部の下端より上方に形成されていても、糸尻部10が安定した脚となっている。
【0029】
図3は、本発明の電子レンジ用紙カップの一例を示す説明図である。糸尻部10の下端には、半円状の切欠け部22が少なくとも1箇所以上形成されている一例を示している。糸尻部の熱の放出を高めたカップである。
【0030】
図4は、図3の電子レンジ用紙カップの一例を示す斜視図である。糸尻部10の下端に
は、半円状の切欠け部22が少なくとも1箇所以上形成されていても、糸尻部10が安定した脚となっている。
【0031】
図5は、本発明の電子レンジ用紙カップの一例を示す説明図である。糸尻部10には、円状の切欠け部23が少なくとも1箇所以上形成されている一例を示している。糸尻部の熱の放出を高めたカップである。
【0032】
図6は、図5の電子レンジ用紙カップの一例を示す斜視図である。糸尻部10には、円状の切欠け部23が少なくとも1箇所以上形成されていても、糸尻部10が安定した脚となっている。
【0033】
図7は、本発明の電子レンジ用紙カップの一例を示す説明図である。糸尻部10には、横状の切込み線21が、少なくとも1箇所以上形成されている一例を示している。糸尻部の熱の放出を高めたカップである。
【0034】
図8は、図7の電子レンジ用紙カップの一例を示す斜視図である。糸尻部10には、切横状の切込み線21が、少なくとも1箇所以上形成されていても、糸尻部が安定した脚となっている。
【0035】
図9は、図7の電子レンジ用カップを用いた紙容器の一例を示す説明図である。図7に示す電子レンジ用紙カップ50のトップカール部9に蓋材30がシールされた状態の電子レンジ用紙容器60を示している。
【0036】
図10は、図9の紙容器の一例を示す斜視図である。蓋材30に密封された状態の電子レンジ用紙容器60を示している。蓋材30には、剥がし易くするためのタブ31が形成されている。
【0037】
図11は、本発明の電子レンジ用カップの胴部材および底部材の構成の一例を示す説明図である。紙40の内面または両面には、熱可塑性樹脂層41が積層されている。またこの熱可塑性樹脂層41は、胴部材、底部材を接合する以外に、紙の耐水性、耐湿性、耐油性、また紙の剛性を出すために積層する。
【0038】
図12は、本発明の電子レンジ用カップの胴部材および底部材の構成の一例を示す説明図である。酸素ガス、水蒸気などのガスバリア性を有する構成の一例を示している。無機酸化物を蒸着した蒸着フィルム42を、紙40と内面の熱可塑性樹脂層41との間に積層したものである。ガスバリア性を有する蓋材にて密封することにより、内容物の保存期間を長くすることができる。
【0039】
さらに、本発明を実施するための形態につき説明する。
【0040】
胴部材を形成する紙40としては、一般的に使用されているカップ原紙、ミルクカートン紙、クラフト紙などが使用できる。坪量は、特に限定されないが、胴部材の成形適正から、150〜300g/mの範囲のカップ原紙が好ましい。150g/m未満の場合には、成形時にひび割れやピンホールが発生し易く、また300g/mを超えた場合には、紙の剛性が強くなり、成形性が悪くなる。
【0041】
また底部材を形成する紙40としては、一般的に使用されるカップ原紙、ミルクカートン紙、クラフト紙などが使用できる。坪量は、特に限定されないが、底部材の成形適正から、150〜250g/mの範囲のカップ原紙が好ましい。坪量が150g/m未満の場合では、ひび割れやピンホールが生じやすく、250g/mを超える場合には、紙
の剛性が強くなり成形し難くなる。強度的に安定した紙カップとするために、胴部材の用いるカップ原紙の坪量は、底部材に用いるカップ原紙の坪量より高いものを用いることが好ましい。
【0042】
胴部材、底部材の内面には熱可塑性樹脂層41が積層されている。この熱可塑性樹脂層41は、胴部材、底部材を接合する以外に、紙の耐水性、耐湿性、耐油性、また紙の剛性を発現するために積層する。紙カップを成形するには、胴部の内面と屈曲部の内面を加熱加圧して接合し接合部を形成して一体化させる。熱可塑性樹脂層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、エチレンビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの樹脂を使用することができる。熱により融解して接合する樹脂であれば特に限定されない。これらの樹脂を用いて溶融押出しラミネート法またはフィルムラミネート法により積層することができる。熱可塑性樹脂層の厚みとしては、15〜60μmの範囲が好ましい。内容物の要求品質から適宜決めればよい。また熱可塑性樹脂層を胴部材、底部材の両面に積層してもかまわない。紙カップの外面にも、耐水性、耐湿性、耐油性などを付加することができる。
【0043】
また、ガスバリア性の要求があれば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムなどの無機酸化物を20〜100nm程度の厚さに蒸着した蒸着フィルムを、紙と内面の熱可塑性樹脂層の間に積層することができる。この蒸着フィルムに用いる基材は、延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが使用される。
【0044】
紙と蒸着フィルムとの貼り合わせは、ポリエチレンを介して溶融押出しラミネート法により可能である。また蒸着フィルムと熱可塑性樹脂層の貼り合わせは、例えば、二液反応型のポリウレタン樹脂系接着剤を使用してドライラミネート法またはポリエチレンを介して溶融押出しラミネート法などの公知の方法で行うことができる。
【0045】
胴部材および底部材の積層構成としては、例えば、表面側から、紙/ポリエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂/紙/ポリエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂/紙/無機酸化物蒸着フィルム/ポリエチレン樹脂、発泡ポリエチレン樹脂/紙/ポリエチレン樹脂、紙/ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン樹脂/紙/無機酸化物蒸着フィルム/ポリプロピレン樹脂、紙/ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂/紙/ポリエチレンテレフタレート樹脂、紙/ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂/紙/ポリアミド樹脂などが挙げられる。これらの積層構成は、内容物からくる要求品質で適宜表裏の樹脂を選定すればよい。
【0046】
また必要に応じて、紙の表面に印刷を行い、絵柄、文字表現を行うことができる。印刷する方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、インクジェット印刷など、通常使用される公知の方式で可能である。
【0047】
本発明の電子レンジ用カップに、即席食品、飲料、お酒、惣菜などの内容物を充填し、蓋材にてシールして密封された紙容器を形成することができる。ガスバリア性を有する蓋材を用いて密封した紙容器は、内容物の保存期間を長くすることができる。さらに密封された紙容器の状態で加熱しても、糸尻部に焦げが発生を発生し難い紙容器である。利便性を有した紙容器である。
【0048】
しかし、電子レンジで加熱されると、内容物の温度上昇、内圧上昇により蒸気抜きをする必要がある。よって、シール強度を有し、蒸気による内圧上昇時にはシール部が剥離して蒸気抜きが可能で、かつ、加熱後にイージーピールできる蓋材を使用する必要がある。そのためには、イージーピール可能なシーラント層を選定する必要がある。
【0049】
例えば、シーラント層の剥離のタイプとしては、特に限定されないが、凝集剥離タイプまたは界面剥離タイプを用いることができる。
【0050】
凝集剥離タイプは、シーラント層自体が凝集破壊するタイプで、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどの樹脂を混合した樹脂を用いて、フィルム化して使用することができる。またこれらの混合樹脂を塗布液にして塗布して形成してもよい。
【0051】
界面剥離タイプは、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の酢酸ビニルの混合比率を上げた樹脂を用いて、フィルム化したものである。
【0052】
シーラント層の材質としては、例えば、胴部材の内面の熱可塑性樹脂がポリエチレン樹脂の場合は、ベース樹脂/ブレンド用の熱可塑性樹脂の混合組合せとしては、ポリエチレン樹脂/エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂/エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン樹脂/エチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂/エチレン−アクリル酸エチル共重合体の組合せが好ましい。
【0053】
胴部材の内面の熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂の場合は、ベース樹脂/ブレンド用の熱可塑性樹脂の混合組合せとしては、ポリプロピレン樹脂/ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂/ポリエチレン樹脂の組合せが好ましい。
【0054】
シーラント層は、トップカール部との接着強度、またイージーピール性、即ち、剥離強度、剥離性などから適宜決めればよい。
【0055】
よって、このような蓋材で密封された紙容器は、電子レンジで加熱されても糸尻部に焦げが発生し難く、かつ蒸気抜きができるなど利便性の高い紙容器が形成される。
【0056】
次に本発明の電子レンジ用紙カップの製造方法を説明する。
【0057】
図13に本発明の電子レンジ用紙カップの製造方法の一例を示す説明図である。図1に示す電子レンジ用紙カップの製造方法の一例を説明する。胴部材1は、予め前工程で打抜かれたものであり、また底部材5は、紙カップ成形機上で打抜かれる。紙カップ成形機上で、胴部材1を筒状の胴部2に成形し、上端を外側にカールしてトップカール部9とし、下端を内側に折り返して折り返し部4を形成している。底部材5は、該底部材5の外周縁部を下方に略直角に屈曲した屈曲部7が形成され、該屈曲部7を、胴部材の折り返し部4と胴部の下端面3とで挟んで加熱接着し糸尻部10を形成する。底面部6を上げ底にして形成する。次に紙カップ成形機上または別途設備にで、糸尻部に少なくとも1箇所以上の縦状の切込み線20を該糸尻部10の下端より上方へ形成する。このようにして、糸尻部に焦げが発生し難くい紙カップを作成することができる。
【0058】
糸尻部に形成する切込み線としては、直線状、曲線状でもよい。縦状、横状、斜め状、S字状など特に限定されない。加工性などから縦状、横状が好ましい。
【0059】
糸尻部に形成する切欠け部としては、半円状、円状、三角状、四角状など特に限定されない。加工性などから半円状、円状が好ましい。また切欠け部と切込み線を併用しても構わない。
【0060】
切込み線、切欠け部を形成する方法としては、金型を用いたプレス加工、レーザー加工など公知の方法で可能である。
【0061】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
【実施例1】
【0062】
胴部材として、坪量250g/mのカップ原紙の内面に押出し機を用いポリエチレン樹脂を25μmラミネートした。次に底部材として、坪量220g/mのカップ原紙の内面に押出し機を用い、ポリエチレン樹脂を25μm積層した。次に胴部ブランクを形成するために、トムソン型打抜き機を用い、胴部材を所定の形状に打抜き、胴部ブランクを形成した。
【0063】
次に一般的な紙カップの成形機を使用し、胴部ブランクをマンドレルに巻きつけ、筒状の胴部を形成した。胴部の下端を内側に折り返して折り返し部を形成した。また底部材は、同成形機上で底部ブランクが形成され、該底部ブランクの外周縁部を下方へ略直角に屈曲した屈曲部を形成しながら、該屈曲部を胴部の下端の折り返し部と胴部の下端面に挟んで加熱接着し、ポリエチレン樹脂を溶融させ、加圧して接合し接合部、即ち糸尻部を形成した。その後胴部の上端部をカールさせトップカール部を形成して、紙カップを作成した。
【0064】
この際、糸尻部の長さを10mmとし、かつ内容物の内容量を200ccの紙カップを作成した。
【0065】
この紙カップの糸尻部に、糸尻部の下端より3mmの長さの縦状の切込み線を1箇所形成して電子レンジ用紙カップを作成した。
【実施例2】
【0066】
糸尻部に切込み線を等間隔で3箇所形成したこと以外は、実施例1と同様に行い、電子レンジ用カップを作成した。
【実施例3】
【0067】
糸尻部に半径1mmの円の切欠け部を1箇所形成した以外は、実施例1と同様に行い、電子レンジ用カップを作成した。
【実施例4】
【0068】
糸尻部の下端に半径1mmの半円の切欠け部を1箇所形成した以外は、実施例1と同様に行い、電子レンジ用カップを作成した。
【実施例5】
【0069】
糸尻部に長さ3mmの横状の切込み線を1箇所形成した以外は、実施例1と同様に行い、電子レンジ用カップを作成した。
【実施例6】
【0070】
無機酸化物である酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム(蒸着厚み30nm)の蒸着面と紙の内面とを貼り合わせた。貼り合わせは、二液反応型のウレタン接着剤を用いてドライラミネートした。次にポリエチレンテレフタレートの面に、上記接着剤をアンカ―剤として使用し、押出し機を用いポリエチレン樹脂25μmを積層し胴部材を作成した。この胴部材を用い実施例1と同様に行い電子レンジ用紙カップを形成した。
【0071】
蓋材として、ポリカーボネートフィルム15μmに、ガスバリア層としてエチレンビニルアルコールフィルム15μm、順にナイロンフィルム12μm、シーラント層としてポリエチレン樹脂/エチレン−酢酸ビニル共重合体からなるフィルム60μmを積層し蓋材を作成した。構成は、ポリカーボネートフィルム15μm/エチレンビニルアルコールフ
ィルム15μm/ナイロンフィルム12μm/(ポリエチレン樹脂/エチレン−酢酸ビニル共重合体からなるフィルム)60μmである。
【0072】
以下、本発明の具体的比較例について説明する。
【0073】
<比較例1>
糸尻部に切込み線を形成しない以外は、実施例1と同様に行った。
【0074】
<比較例2>
糸尻部に切込み線を形成しない以外は、実施例6と同様に行った。
【0075】
<評価方法>
実施例1〜6、および比較例1〜2で作成した電子レンジ用紙カップに水200mlを充填した。また実施例6、比較例2の電子レンジ用紙カップは、充填した後に、蓋材にてシールし紙容器を作成した。シール幅1.5mmで行った。
【0076】
それぞれ水を充填した実施例1〜6および比較例1〜2の電子レンジ用紙カップまたは紙容器を、電子レンジ{シャープ(株)製、電子レンジRE―F598H、1000W}にて、2.0分間加熱を行った。糸尻部の焦げる状態を観察した。評価結果は、○:焦げが観られない、×:焦げが観られる、で行った。
【0077】
表1に実施例、比較例の評価結果を示す。
【0078】
【表1】
実施例1〜6では、糸尻部に焦げの発生は観られなかった。一方、比較例1〜2については、糸尻部がやや茶色に変色し焦げの発生が観られた。糸尻部に切込み線または切欠け部を設けたことにより、焦げが発生し難いのが判った。また実施例6、比較例2は、カップと蓋材とのシール部の一部が剥がれ蒸気が抜け、加熱された状態の紙容器であった。本発明の電子レンジ用紙カップおよびそれを用いた紙容器は、電子レンジで加熱されても、糸尻部に焦げが発生し難く、利便性の高いことが判った。
【0079】
本発明の電子レンジ用紙カップは、コーヒー、紅茶、スープなどの飲料、日本酒、焼酎などのお酒、インスタントラーメン、焼きそばなどの即席食品、惣菜類などの内容物に使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の紙容器は、内容物が密封された状態でも電子レンジで加熱できる利便性の高い容器である。
【符号の説明】
【0081】
1・・・胴部材
2・・・胴部
3・・・胴部の下端面
4・・・折り返し部
5・・・底部材
6・・・底面部
7・・・屈曲部
8・・・接合部
9・・・トップカール部
10・・糸尻部
20・・切込み線(縦状)
21・・切込み線(横状)
22・・切欠け部(半円状)
23・・切欠け部(円状)
30・・蓋材
31・・タブ
40・・紙
41・・熱可塑性樹脂層(ポリエチレン樹脂層)
42・・無機酸化物蒸着フィルム
43・・シーラント層
50・・本発明の電子レンジ用紙カップ
60・・本発明の電子レンジ用紙容器
70・・従来の紙カップ
図1
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