(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記低反射率反射防止膜は、波長が550nmの光に対して、屈折率が2.0以上の高屈折率材料と、屈折率が1.4以下の低屈折率材料と、屈折率が1.6以上1.8以下の中間屈折率材料から構成されている、請求項1に記載の色分解合成プリズム。
前記低反射率反射防止膜は、対向する前記反射型表示素子に出射される光のピーク波長を中心とするほうらく線の半値全幅での平均反射率が2.0%以下である、請求項1に記載の色分解合成プリズム。
前記低反射率反射防止膜は、対向する前記反射型表示素子に入射される光のピーク波長での最大反射率が、入射角度が0度から50度の範囲で0.5%以下である、請求項1に記載の色分解合成プリズム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
投射型表示装置に用いられる反射型表示素子では、反射型表示素子に入射する照明光と、反射型表示素子で形成された画像を射出する投影光との他に、投影画像に使われないOFF光と呼ばれる不要光が発生する。
【0007】
このOFF光は、照明光および投影光に比べ色分解合成プリズムへの入射角度が大きくなるため、色分解合成プリズムを構成するプリズムブロックの反射型表示素子に対向するプリズム端面に設けられる反射防止膜の角度依存性により反射率が高くなる傾向がある。
【0008】
これは、従来の反射防止膜は連続したスペクトルを持つ光源に対応できるように可視域全体で反射率を低減する特性を有していたため、不要光となるOFF光の入射角度では、反射率が高くなる。ここで、入射角度とは、プリズム端面の法線との間の角度をいう。
【0009】
投射型表示装置に対向するプリズムブロックの入射出面(プリズム端面)で反射されたOFF光の一部は、再び反射型表示素子に照射される。従来の投射型表示装置では大きな問題にならないがレーザー光のような高輝度の投射型表示装置においては、この反射型表示素子への戻り光が反射型表示素子の温度上昇を引き起こし、反射型表示素子にダメージを与える要因となる。
【0010】
したがって、本発明は上記課題を解決することにあり、色分解合成プリズムにおいて、反射型表示素子の対向するプリズム面が、照明光および投影光のみでなくOFF光のような入射角度が大きい光に対しても優れた低反射率特性を備える色分解合成プリズムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に基づいた色分解合成プリズムにおいては、
外部に設けられレーザー光が用いられた光照射手段から照射された波長が互いに異なる複数の光を有する照明光を色分解するプリズムブロックを複数有し、上記プリズムブロックで色分解された上記光を対応する反射型表示素子に出射するとともに、上記反射型表示素子から反射された光を上記プリズムブロックにより合成して投影光を形成する色分解合成プリズムであって、複数の上記プリズムブロックの上記反射型表示素子が対向するプリズム端面には、それぞれ反射防止膜が設けられ、少なくともいずれかの上記反射防止膜は、対向する上記反射型表示素子に入射される上記光のピーク波長での最大反射率が、入射角度が0度から60度の範囲で2%以下の低反射率反射防止膜である。
複数の上記プリズムブロックの上記反射型表示素子が対向する上記プリズム端面において、それぞれ透過する上記光の波長は異なり、少なくともいずれかの上記反射防止膜は、上記光のピーク波長が620nm以上の波長に対する膜である。
【0012】
他の形態においては、上記低反射率反射防止膜は、波長が550nmの光に対して、屈折率が2.0以上の高屈折率材料と、屈折率が1.4以下の低屈折率材料と、屈折率が1.6以上1.8以下の中間屈折率材料から構成されている。
【0013】
他の形態においては、上記低反射率反射防止膜は、対向する上記反射型表示素
子に出射される光のピーク波長を中心とするほうらく線の半値全幅での平均反射率が2.0%以下である。
【0014】
他の形態においては、上記低反射率反射防止膜は、対向する上記反射型表示素
子に入射される光のピーク波長での最大反射率が、入射角度が0度から50度の範囲で0.5%以下である。
【0015】
他の形態においては、複数の上記プリズムブロックのそれぞれに、上記低反射率反射防止膜が設けられ、それぞれの上記低反射率反射防止膜は同じ材料構成を有し、それぞれの上記プリズムブロックを通過する上記光の波長に対応して上記低反射率反射防止膜の膜厚さを異ならせている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、色分解合成プリズムにおいて、反射型表示素子の対向するプリズム面が、照明光および投影光のみでなくOFF光のような入射角度が大きい光に対しても優れた低反射率特性を備える色分解合成プリズムを提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態における投射型表示装置に用いられるプリズムユニットの平面図である。
【
図2】実施の形態における投射型表示装置に用いられるプリズムユニットの正面図である。
【
図3】実施の形態における投射型表示装置に用いられるプリズムユニットの斜視図である。
【
図4】実施の形態における投射型表示装置の機能ブロック図である。
【
図5】実施の形態における投射型表示装置に用いられるプリズムユニットの詳細平面図である。
【
図6】実施の形態における投射型表示装置に用いられるプリズムユニットの詳細側面図である。
【
図7】照明光、投影光、およびOFF光の関係を示す模式図である。
【
図8】各プリズム端面に形成される反射防止膜の膜構成を示す図である。
【
図9】反射防止膜の膜構成材料の各波長に対する屈折率を示す図である。
【
図10】レーザスペクトルにおける半値幅を示す図である。
【
図11】
図8に示す光のピーク波長が465nmの青色光に対する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した結果を示す図である。
【
図12】
図8に示す光のピーク波長が532nmの緑色光に対する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した結果を示す図である。
【
図13】
図8に示す光のピーク波長が640nmの赤色光に対する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した結果を示す図である。
【
図14】従来の可視域全体で反射率を低減する特性を有する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した結果を示す図である。
【
図15】各プリズム端面に形成される反射防止膜の他の膜構成を示す図である。
【
図16】反射防止膜の膜構成材料の各波長に対する屈折率を示す図である。
【
図17】
図15に示す光のピーク波長が465nmの青色光に対する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した結果を示す図である。
【
図18】
図15に示す光のピーク波長が532nmの緑色光に対する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した結果を示す図である。
【
図19】
図15に示す光のピーク波長が640nmの赤色光に対する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に基づいた実施の形態における投射型表示装置について、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0019】
(実施の形態1)
まず、
図1から
図3を参照して本実施の形態における投射型表示装置に用いられるプリズムユニット100の基本的構成について説明する。
図1は、プリズムユニット100の平面図、
図2は、プリズムユニットの正面図、
図3は、プリズムユニットの斜視図である。なお、本明細書においては、説明の便宜上、
図1から
図3において、紙面に平行な平面を水平方向とし、紙面に垂直な方向を鉛直方向として説明する。
【0020】
(プリズムユニット100)
このプリズムユニット100は、照明光ILを、第1反射型表示素子14、第2反射型表示素子15、および第3反射型表示素子16に導くための、内部全反射プリズム(TIRプリズム)7および色分解合成プリズム8を有する。本実施の形態におけるプリズムユニット100は5ピースプリズムユニットである。
【0021】
色分解合成プリズム8は、3個のプリズムブロック(第1プリズム81、第2プリズム82、および第3プリズム83)を有し、TIRプリズム7は、2個のプリズムブロック(第4プリズム7Aおよび第5プリズム7B)を有している。
【0022】
TIRプリズム7は、略三角柱状の第4プリズム7Aと略三角柱状の第5プリズム7Bを有している。各プリズムの斜面間にはエアギャップ層が設けられている。TIRプリズム7によって、第1反射型表示素子14、第2反射型表示素子15、および第3反射型表示素子16に対する入力光と出力光との分離が行われる。第4プリズム7Aは、後述する光照射手段300の反射ミラー370から出射された照明光を、全反射面71で全反射させ、プリズム端面72から色分解合成プリズム8に向けて出射する。
【0023】
色分解合成プリズム8は、TIRプリズム7に隣接して(
図1において上側)配置されており、略三角柱状の第1プリズム81、略三角柱状の第2プリズム82、および略台形柱状の第3プリズム83が組み合わされている。
【0024】
第1プリズム81は、TIRプリズム7のプリズム端面72に対向する全反射面811、第2プリズム82に対向する第1ダイクロイックコート面812、および、第1反射型表示素子14が対向するプリズム端面813を有する。プリズム端面813には、後述する反射防止膜が形成されている。
【0025】
第2プリズム82は、第1ダイクロイックコート面812に対向する全反射面821、第3プリズム83に対向する第2ダイクロイックコート面822、および、第2反射型表示素子15が対向するプリズム端面823を有する。プリズム端面823には、後述する反射防止膜が形成されている。
【0026】
第3プリズム83は、第2ダイクロイックコート面822に対向するプリズム端面831と、第3反射型表示素子16に対向するプリズム端面832とを有する。プリズム端面832には、後述する反射防止膜が形成されている。
【0027】
第1プリズム81の全反射面811および第2プリズム82の全反射面821のうち第1プリズム81の全反射面811と、TIRプリズム7のプリズム端面72との間にはエアギャップ層AGが設けられている。
【0028】
第1反射型表示素子14、第2反射型表示素子15、および第3反射型表示素子16は、それぞれが1画素に対応する多数のマイクロミラー(図示せず)を備える。個々のマイクロミラーの傾斜角度ないし姿勢は2つの状態に切換可能である。2つの状態のうちの一方の状態(オン状態)のマイクロミラーは、TIRプリズム7を介して、後述する投影光学系200に向かう投影光となるように照明光を反射する。他方の状態(オフ状態)のマイクロミラーは、TIRプリズム7から外れた方向に向かう非投影光となるように照明光を反射する。
【0029】
(投射型表示装置1)
図4を参照して、上記プリズムユニット100を備える投射型表示装置1について説明する。なお、
図4は、本実施の形態における投射型表示装置1の機能ブロック図である。
【0030】
本実施の形態における投射型表示装置1は、上記プリズムユニット100に照明光を照射する光照射手段300と、上記プリズムユニット100から出射される投影光を被投影対象物(スクリーン等)に投影するための投影光学系200と、光照射手段300の照明光の照射タイミングに同期して、第1反射型表示素子14、第2反射型表示素子15、および第3反射型表示素子16の制御を行なう同期制御手段380とを備えている。
【0031】
(光照射手段300)
本実施の形態における光照射手段300は、620nm以上の波長を有する第1光、470nm以下の波長を有する第2光、470nmを越え620nm未満の波長を有する第3光を有する照明光を照射する。
【0032】
具体的には、第1光として波長が620nm〜660nmの赤色光を照射する赤色レーザー光照射装置301、第2光として波長が430nm〜470nmの青色光を照射する青色レーザー光照射装置302、および、第3光として波長が520nm〜560nmの緑色光を照射する緑色レーザー光照射装置303を有する。
【0033】
本実施の形態では、赤色レーザー光照射装置301は、主波長が640nmの赤色レーザー光を照射し、青色レーザー光照射装置302は、主波長が450nmの青色レーザー光を照射し、緑色レーザー光照射装置303は、主波長が532nmの緑色レーザー光を照射する。
【0034】
それぞれのレーザー光は、ダイクロイックフィルター320により合成され、3色のレーザー光が合成された照明光が形成される。
【0035】
3色のレーザー光が合成された照明光は、集光レンズ330、ファイバー340およびロッドインテグレータ350を通過し、所定の矩形に成形される。その後、所定の矩形に成形された照明光は、リレー光学系360を順次通過し、反射ミラー370により反射された照明光が、TIRプリズム7に出射される。なお、照明光は、ファイバー340を通過した後は無偏光となる。
【0036】
次に、
図5および
図6を参照して、TIRプリズム7に出射された照明光について説明する。
図5は、プリズムユニット100の詳細平面図であり、
図6は、プリズムユニット100の詳細側面図である。
【0037】
第1プリズム81の全反射面811から入光した照射光は、第1ダイクロイックコート面812において、波長が450nmの青色レーザー光のみが反射する。青色レーザー光は、全反射面811で全反射し、第1反射型表示素子14に出射される。
【0038】
青色レーザー光が分離され、第1ダイクロイックコート面812を通過した照明光は、第2プリズム82の全反射面821から入光し、第2ダイクロイックコート面822において、波長が640nmの赤色レーザー光のみが反射する。赤色レーザー光は、全反射面821で全反射し、第2反射型表示素子15に出射される。
【0039】
青色レーザー光および赤色レーザー光が分離され第2ダイクロイックコート面822を通過した照明光(波長が530nmの緑色レーザー光)は、第3プリズム83の内部を通過し、第3反射型表示素子16に出射される。
【0040】
ここで、
図7を参照して、反射型表示素子への戻り光について説明する。
図7は、照明光、投影光、およびOFF光の関係を示す模式図である。色分解合成プリズムのプリズム面で反射されたOFF光の一部は、再び反射型表示素子に入射するために、照明光と投影光の入射角度において反射率が低いだけでなく、OFF光の入射角度においても低い反射率が求められる。
【0041】
次に、
図8および
図9を参照して、各プリズム端面813,823,832に形成される反射防止膜AR1,AR2,AR3について説明する。なお、
図8は、各プリズム端面に形成される反射防止膜の膜構成を示す図、
図9は、反射防止膜の膜構成材料の各波長に対する屈折率を示す図である。
【0042】
上記したように、プリズム端面に形成される反射防止膜には、照明光と投影光の入射角度において反射率が低いだけでなく、OFF光の入射角度においても低い反射率が求められる。そこで、第1プリズム81のプリズム端面813、第2プリズム82のプリズム端面823、および、第3プリズム83のプリズム端面832には、それぞれ、
図8および
図9に示す構成の反射防止膜AR1,AR2,AR3が形成されている。
【0043】
第1プリズム81のプリズム端面813には、低反射率の反射防止膜AR1が形成され、第2プリズム82のプリズム端面823には、低反射率の反射防止膜AR2が形成され、第3プリズム83のプリズム端面833には、低反射率の反射防止膜AR3が形成されている。
【0044】
それぞれの反射防止膜AR1,AR2,AR3は、
図8に示すように、AL2O3(酸化アルミニウム)、H4(La2Ti2O7(ランタンチタン酸塩))、および、MgF2(フッ化マグネシウム)を用いた同じ膜の材料構成を有しているが、反射防止膜AR1を通過する青色光、反射防止膜AR2を通過する赤色光、および反射防止膜AR3を通過する緑色光の波長に対応して各反射防止膜AR1,AR2,AR3の膜厚さを異ならせている。
【0045】
図9に示すように、
図8に示す各反射防止膜は、光の波長が550nmでの屈折率が2.0以上の高屈折材料(H4)と、1.4以下の低屈折材料(MgF2)に加え、1.6以上1.8以下の中間屈折率材料(AL2O3)を用いることで入射角度による性能の劣化を抑制している。また、各反射型表示素子に入射する光(スペクトル)に合わせて、反射防止膜の特性を特定波長区間に限定することで、膜の厚み(層数)が大幅に増えることを抑制できる。
【0046】
また、
図10に示すように、各反射防止膜は、対向する反射型表示素子に出射される光のピーク波長を中心とするほうらく線の半値全幅での平均反射率が2.0%以下であるとよい。
図7に示すように、OFF光の入射角度は主光線が50度であり、照明光からの広がりが10度くらいの光線(Fナンバー3.0)を想定した時に40.4度から59.6度の光線が存在する。ようするにOFF光の半分は入射角度50度以下であり、反射率が大きく劣化する入射角度60度近くの光線はOFF光の一部のみである。よってピーク波長の反射率、もしくはピーク波長を中心とするほうらく線の半値半幅での平均反射率が2.0%以下であれば、OFF光全体での反射率は1%以下であり不必要に反射防止膜の層数を増やすことなく十分な効果が期待できる
次に、本実施の形態における反射防止膜をプリズム端面に設けた場合に反射率が抑制される点について、
図11から
図14を参照して説明する。なお、
図11は、
図8に示す光のピーク波長が465nmの青色光に対する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した図、
図12は、
図8に示す光のピーク波長が532nmの緑色光に対する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した図、
図13は、
図8に示す光のピーク波長が640nmの赤色光に対する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した図、
図14は、従来の可視域全体で反射率を低減する特性を有する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した図である。
【0047】
図11から
図13から明らかなように、各反射型表示素子に入射するピーク波長に対して、入射角度0度から60度の範囲で最大反射率が1%程度、
少なくとも2%以下であり、入射角度0度から50度の範囲においては最大反射率が0.5%以下に抑制されており、
図14に示す従来の反射防止膜に比べ、反射型表示素子への戻り光を大幅に低減することを可能としている。
【0048】
(他の実施の形態)
次に、
図15から
図19を参照して、他の反射防止膜を用いた場合について説明する。
図15は、各プリズム端面に形成される反射防止膜の他の膜構成を示す図、
図16は、反射防止膜の膜構成材料の各波長に対する屈折率を示す図である。
【0049】
また、
図17は、
図15に示す光のピーク波長が465nmの青色光に対する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した結果を示す図、
図18は、
図15に示す光のピーク波長が532nmの緑色光に対する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した結果を示す図、
図19は、
図15に示す光のピーク波長が640nmの赤色光に対する反射防止膜を用いた場合の、入射角度(AOI)が0度から60度の範囲での反射率を測定した結果を示す図である。
【0050】
図8に示す反射防止膜AR1,AR2,AR3はいずれも19層構造であったが、
図15に示す反射防止膜AR11,AR12,AR13はいずれも15層構造である。また、反射防止膜AR1,AR2,AR3は、AL2O3、H4、および、MgF2を用いた材料構成であったが、反射防止膜AR11,AR12,AR13は、AL2O3、TIO2(二酸化チタン)、およびMgF2を用いた材料構成である。
【0051】
図16に示すように、
図15に示す各反射防止膜は、光の波長が550nmでの屈折率が2.0以上の高屈折材料(TIO2)と、1.4以下の低屈折材料(MgF2)に加え、1.6以上1.8以下の中間屈折率材料(AL2O3)を用いることで入射角度による性能の劣化を抑制している。また、各反射型表示素子に入射する光(スペクトル)に合わせて、反射防止膜の特性を特定波長区間に限定することで、膜の厚み(層数)が大幅に増えることを抑制できる。
【0052】
また、
図17から
図19から明らかなように、各反射型表示素子に入射するピーク波長の中心波長に対して、入射角度0度から60度の範囲で最大反射率が1%程度、
少なくとも2%以下であり、入射角度0度から50度の範囲においては最大反射率が0.5%以下に抑制されており、
図14に示した従来の反射防止膜に比べ、反射型表示素子への戻り光を大幅に低減することを可能としている。
【0053】
以上、本実施の形態における色分解合成プリズムによれば、色分解合成プリズム8を用いる投射型表示装置1において、反射型表示素子の対向面に対して、照明光および投影光のみでなくOFF光のような入射角度が大きい光に対しても優れた低反射率特性を有する色分解合成プリズムを用いることで、戻り光による反射型表示素子の温度上昇やコントラストの低下を抑制した高輝度の投射型表示装置を提供することが可能となる。
【0054】
なお、上記実施の形態では、色分解合成プリズム8を構成する第1プリズム81のプリズム端面813、第2プリズム82のプリズム端面823、および、第3プリズム83のプリズム端面832に低反射率の反射防止膜AR1,AR2,AR3を形成する場合について説明しているが、少なくともいずれか一つのプリズム端面に低反射率の反射防止膜を設けることによっても、そのプリズム端面が対向する反射型表示素子対しては、照明光および投影光のみでなくOFF光のような入射角度が大きい光に対しても優れた低反射率特性を備える色分解合成プリズムを提供することを可能とする。
【0055】
また、上記実施の形態では、色分解合成プリズム8は、3個のプリズムブロック(第1プリズム81、第2プリズム82、および第3プリズム83)を有している場合について説明しているが、3個のプリズムブロックに限定されず、4個のプリズムブロックまたはそれ以上のプリズムブロックを用いる場合であっても、同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。