(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記報知制御部は、前記土壌状態判定部により判定された前記土壌の状態と、当該状態の土壌への適切な対応をユーザに促す旨とを表す情報を含む土壌状態情報を前記報知部に報知させる制御を行う、
ことを特徴とする請求項8に記載の水分浸透状態測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る水分浸透状態測定装置1の使用例を表す図である。
図1に示す使用例において、水分浸透状態測定装置1は、本体部100と、配線200により本体部100と通信可能に接続されている排水センサ120と、から構成される。本体部100は、土壌21中に差し込まれた電極111を有する水分量センサ110(
図2参照)と、排水センサ120との出力値に基づいて、土壌21への水分の浸透時間を測定し、測定結果を通信端末装置3に送信する。なお、水分浸透状態測定装置1の詳細な構成及び動作については、後述する。
【0011】
鉢2は、植物22が育成されている土壌21を収容する容器である。具体的には、鉢2は、側壁と底面とを有し、上方が開放された形状に構成されている。また、鉢2は、その底面に複数の排水孔23を有する。土壌21の上方から注がれた水分は、土壌21を通過し、排水孔23から外部に排出される。
【0012】
また、鉢2の下方には、受け皿24が設けられている。受け皿24は、その側壁の高さを超えない範囲で、鉢2の排水孔23から排出された水分を溜めることができる。
【0013】
通信端末装置3は、水分浸透状態測定装置1と通信可能な端末装置であって、例えば、携帯電話等の端末装置から構成される。通信端末装置3は、表示部31を備え、水分浸透状態測定装置1から受信した測定結果を表示する。また、通信端末装置3は、タッチパネルやボタン、キー等の入力部(図示せず)を備え、ユーザからの入力を受け付け、受け付けた情報を水分浸透状態測定装置1に送信する。
【0014】
次に、本実施形態に係る水分浸透状態測定装置1のハードウェア構成について説明する。
【0015】
図2は、本実施形態に係る水分浸透状態測定装置1のハードウェア構成例を概略的に示すブロック図である。
図2に示すように、水分浸透状態測定装置1は、水分量センサ110と、排水センサ120と、制御部130と、ROM(Read Only Memory)140と、RAM(Random Access Memory)150と、通信部160と、操作部170と、計時部180と、を備えている。また、水分量センサ110と、制御部130と、ROM140と、RAM150と、通信部160と、操作部170、計時部180とは、本体部100を構成する。
【0016】
水分量センサ110は、土壌21に含まれる水分量に応じた出力値を出力するセンサである。水分量センサ110としては、例えば、ADR法(Amplitude Domain Reflectometry Method)を用いた一般的な水分量センサを用いることができる。水分量センサ110は、土壌21中に差し込まれる電極111(
図1参照)を有する。そして、水分量センサ110は、出力値として、土壌21中の水分量に応じた電圧値を検出し、制御部130に入力する。
【0017】
排水センサ120は、排水孔23から排出された水分量に応じた出力値を出力するセンサである。排水センサ120は、例えば、一般的な漏水センサから構成される。具体的には、排水センサ120は、電極(図示せず)を有し、出力値として、受け皿24内の水分量に応じた電圧値を検出し、制御部130に出力する。なお、排水センサ120は、漏水センサにかぎられず、受け皿24内の水分量を検出できれば、任意のセンサを適用可能である。
【0018】
制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)から構成されており、水分浸透状態測定装置1の全体の制御を行う。
【0019】
ROM140は、制御部130が水分浸透状態測定装置1全体を制御するためのプログラムやデータを格納する不揮発性メモリである。例えば、ROM140は、制御部130が後述する水分浸透状態測定処理を実行するためのプログラムや、後述する種別浸透時間テーブル141(
図3参照)を格納している。
【0020】
RAM150は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリから構成される。制御部130は、ROM140に記憶されているプログラムをRAM150にロードし、作業領域として用いる。
【0021】
通信部160は、例えば、無線通信ユニット等から構成され、必要に応じて所定のネットワークに接続し、通信端末装置3との通信を行う。
【0022】
操作部170は、水分浸透状態測定装置1を操作するためのボタン等の入力装置から構成される。操作部170は、ユーザから、例えば、水分状態の測定を開始する旨の入力操作を受け付け、制御部130に入力する。
【0023】
計時部180は、現在時刻を計時するものであり、例えば、タイマから構成される。
【0024】
次に、水分浸透状態測定装置1の制御部130の機能的構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る水分浸透状態測定装置1の制御部130の機能的構成を表すブロック図である。
図4に示すように、制御部130は、水やり時刻取得部131、排水時刻取得部132、浸透時間取得部133、土壌状態判定部134、報知制御部135、として機能する。
【0025】
水やり時刻取得部131は、水分量センサ110により出力された出力値に基づいて、土壌21への水やりが開始された時刻(以下、「水やり時刻」という)を取得する。具体的には、水やり時刻取得部131は、所定時間毎に水分量センサ110が検出した電圧値を取得する。そして、水やり時刻取得部131は、検出した電圧値が、所定値を超えたとき、土壌21中の水分量が所定量よりも大きくなった、すなわち水やりが開始されたと判定する。そして、水やり時刻取得部131は、水やり時刻として、水分量センサ110が検出した電圧値が所定値を超えたときの時刻を計時部180から取得する。
【0026】
排水時刻取得部132は、排水センサ120により出力された出力値に基づいて、水やりによる水分が排水孔23から排出された時刻(以下、「排水時刻」という)を取得する。具体的には、排水時刻取得部132は、所定時間毎に排水センサ120が検出した電圧値を取得する。そして、排水時刻取得部132は、検出した電圧値が、所定値を超えたとき、受け皿24に水分が溜まった、すなわち水やりによる水分が排水孔23から排出されたと判定する。そして、排水時刻取得部132は、排水時刻として、排水センサ120が検出した電圧値が所定値を超えたときの時刻を計時部180から取得する。
【0027】
浸透時間取得部133は、水やり時刻取得部131により取得された水やり時刻と、排水時刻取得部132により取得された排水時刻とに基づいて、土壌21中へ水分が浸透する浸透時間を取得する。具体的には、浸透時間取得部133は、浸透時間として、水やり時刻と排水時刻との時間差を取得する。
【0028】
土壌状態判定部134は、操作部170により受け付けられたユーザからの操作入力が表す植物の種類に対応する種別浸透時間を種別浸透時間テーブル141から特定し、特定した種別浸透時間と、浸透時間取得部133により取得された浸透時間と、に基づいて、土壌21の状態を判定する。
【0029】
ここで、種別浸透時間テーブル141について説明する。
図4は、種別浸透時間テーブルの一例を表す図である。
図4に示す種別浸透時間テーブル141は、植物の種類毎に、その種類の植物を育成する土壌中への水分の最適な浸透時間である種別浸透時間を記憶する。例えば、植物の種類が「モンステラ」である場合、「モンステラ」を育成する土壌中へ水分の最適な浸透時間である種別浸透時間として「Tth−m」が、「モンステラ」と対応付けて格納されている。なお、種別浸透時間は、ある特定の値であってもよいし、所定の幅を有する範囲で表されてもよい。本実施形態では、種別浸透時間は所定の幅を有するものとし、最適な浸透時間の内、最も長い時間を最長種別浸透時間、最も短い時間を最短種別浸透時間とする。
【0030】
具体的には、土壌状態判定部134は、操作部170により受け付けられたユーザからの操作入力が表す植物の種類に対応する種別浸透時間を種別浸透時間テーブル141から特定する。そして、特定した種別浸透時間と、浸透時間取得部133により取得された浸透時間とを比較し、浸透時間取得部133により取得された浸透時間が、種別浸透時間よりも長いか否かを判定する。そして、土壌状態判定部134は、取得された浸透時間が種別浸透時間よりも長い場合、土壌21の状態は固いと判定する。また、土壌状態判定部134は、取得された浸透時間が種別浸透時間よりも短い場合、土壌21は柔らかい状態である、または土壌21内に空洞がある状態であると判定する。
【0031】
報知制御部135は、土壌状態判定部134により判定された土壌21の状態を表す土壌状態情報を、通信部160により、通信端末装置3(
図1参照)に送信する。さらに、報知制御部135は、土壌状態判定部134により判定された土壌21の状態とともに、その状態の土壌への適切な対応をユーザに促すアドバイスを表す情報を含む土壌状態情報を、通信端末装置3に送信してもよい。例えば、土壌状態判定部134が、土壌21が柔らかい状態であると判定した場合、報知制御部135は、土壌21が柔らかい状態である旨とともに、土の入れ替えを促す旨を含む土壌状態情報を通信端末装置3に送信する。なお、土壌の状態と、その状態の土壌への適切な対応をユーザに促すアドバイスとは、対応付けられて予めROM140に記憶されているものとする。そして、送信された土壌状態情報は、表示部31に表示される。
【0032】
次に、本実施形態に係る水分浸透状態測定装置1の動作について、図面を参照して説明する。
図5は、本実施形態に係る水分浸透状態測定装置1の制御部130が実行する水分浸透状態測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
なお、この水分浸透状態測定処理は、上述したROM140内にプログラムとして予め記憶されており、制御部130がプログラムを読み出して実行することで、実際の処理が行われるものとする。
【0033】
水分浸透状態測定装置1の制御部130は、例えば、ユーザによる操作部170への操作を契機として
図5に示す水分浸透状態測定処理を開始する。なお、本処理において、予め、土壌21において育成する植物の種類が、ユーザにより操作部170を介して入力され、ROM140に記憶されているものとする。
【0034】
まず、水やり時刻取得部131は、水分量センサ110から、所定時間毎に電圧値を取得する(ステップS11)。
【0035】
次に、水やり時刻取得部131は、水分量センサ110から取得した電圧値に基づいて、水やりが開始されたか否かを判別する(ステップS12)。具体的には、水やり時刻取得部131は、水分量センサ110から取得した電圧値が、所定値を超えたとき、水やりが開始されたと判定する。水やり時刻取得部131は、水やりが開始されていないと判別した場合(ステップS12;No)、水やりが開始されたと判別されるまで待ち状態となる。
【0036】
水やり時刻取得部131は、水やりが開始されたと判別した場合(ステップS12;Yes)、水やり時刻として、水分量センサ110が検出した電圧値が所定値を超えたときの時刻を計時部180から取得する(ステップS13)。
【0037】
次に、排水時刻取得部132は、排水センサ120から、所定時間毎に電圧値を取得する(ステップS14)。
【0038】
そして、排水時刻取得部132は、排水センサ120から取得した電圧値に基づいて、ステップS12で開始されたと判別された水やりによる水分が排水孔23から排出されたか否かを判別する(ステップS15)。具体的には、排水時刻取得部132は、排水センサ120から取得した電圧値が、所定値を超えたとき、排水孔23から水分が排出されたと判定する。排水時刻取得部132は、水分が排出されていないと判別した場合(ステップS15;No)、水分が排出されたと判別されるまで待ち状態となる。
【0039】
排水時刻取得部132は、水分が排出されたと判別した場合(ステップS15;Yes)、排水時刻として、排水センサ120が検出した電圧値が所定値を超えたときの時刻を計時部180から取得する(ステップS16)。
【0040】
次に、浸透時間取得部133は、浸透時間として、ステップS13において取得された水やり時刻と、ステップS16において取得された排水時刻との時間差を取得する(ステップS17)。
【0041】
そして、土壌状態判定部134は、操作部170により受け付けられたユーザからの操作入力が表す植物の種類に対応する最長種別浸透時間と最短種別浸透時間を種別浸透時間テーブル141から特定する(ステップS18)。
【0042】
そして、土壌状態判定部134は、ステップS17において取得された浸透時間が、ステップS18において特定した最長種別浸透時間よりも長いか否かを判別する(ステップS19)。土壌状態判定部134は、取得された浸透時間が最長種別浸透時間よりも長いと判別した場合(ステップS19;Yes)、土壌21の状態は固いと判定し、処理をステップS21に進める。
【0043】
土壌状態判定部134は、取得された浸透時間が最長種別浸透時間よりも長くないと判別した場合(ステップS19;No)、ステップS17において取得された浸透時間が、ステップS18において特定した最短種別浸透時間よりも短いか否かを判別する(ステップS20)。土壌状態判定部134は、取得された浸透時間が最短種別浸透時間よりも短いと判別した場合(ステップS20;Yes)、土壌21は柔らかい状態である、または土壌21内に空洞がある状態であると判定し、処理をステップS21に進める。また、土壌状態判定部134は、取得された浸透時間が最短種別浸透時間よりも短くないと判別した場合(ステップS20;No)、土壌21の状態は適切であると判定し、処理をステップS11に進める。
【0044】
次に、報知制御部135は、土壌状態判定部134により判定された土壌21の状態と、その状態の土壌への適切な対応をユーザに促すアドバイスを表す情報を含む土壌状態情報を生成する(ステップS21)。
【0045】
例えば、ステップS19において、土壌状態判定部134は、取得された浸透時間が最長種別浸透時間よりも長いと判別した場合、報知制御部135は、「土が固すぎます。土の入れ替えを行って下さい」というメッセージを表す土壌状態情報を生成する。また、例えば、ステップS20において、土壌状態判定部134は、取得された浸透時間が最短種別浸透時間よりも短いと判別した場合、報知制御部135は、「土が柔らか過ぎか、鉢内に空洞があります。土の入れ替えを行って下さい」というメッセージを表す土壌状態情報を生成する。
【0046】
そして、報知制御部135は、ステップS21において生成した土壌状態情報を通信部160を介して通信端末装置3に送信する(ステップS22)。そして、ステップS11に処理を戻す。
【0047】
制御部130は、以上のステップS11〜S22の処理を繰り返し実行する。また、制御部130は、例えばユーザから操作部170を介して水分浸透状態測定処理の終了を示す入力を受け付けた場合、水分浸透状態測定処理を終了する。
【0048】
以上のように構成される水分浸透状態測定装置1によれば、水やりが開始されてから排水孔23からの排水を検出するまでの時間を、土壌21中への水分の浸透時間として測定することができる。従って、ユーザは、取得された浸透時間から、土壌21が自身が育成している植物22の育成環境に適した状態であるかを判断することができる。
【0049】
また、上記の水分浸透状態測定装置1によれば、土壌状態判定部134により土壌21の状態が植物22の育成に適切か否か判定され、報知制御部135により、その状態が通信端末装置3に表示されるため、ユーザは容易に土壌21の状態を認識することができる。また、報知制御部135は、判定された土壌21の状態とともに、ユーザに対しその状態の土壌への適切な対応を促すアドバイスを含む土壌状態情報を通信端末装置3に送信し、表示させるため、ユーザは容易に土壌21への適切な対応を把握することができる。
【0050】
(実施形態2)
実施形態2に係る水分浸透状態測定装置1は、測定した浸透時間を履歴として記憶し、現時点における浸透時間と、過去の浸透時間との比較に基づいて、土壌状態情報を生成する。
図6は、本実施形態に係る水分浸透状態測定装置1の制御部130の機能的構成を表すブロック図である。
図6に示すように、制御部130は、水やり時刻取得部131、排水時刻取得部132、浸透時間取得部133a、土壌状態判定部134a、報知制御部135、として機能する。なお、実施形態1と同様の機能構成については、同様の符号を用い、その詳細な説明を省略する。
【0051】
浸透時間取得部133aは、実施形態1の浸透時間取得部133と同様にして土壌21中へ水分が浸透する浸透時間を取得するとともに、取得した浸透時間を、土壌21の水やり毎に浸透時間履歴テーブル142に記憶させる。
【0052】
ここで、浸透時間履歴テーブル142について説明する。浸透時間履歴テーブル142は、浸透時間取得部133aにより取得された浸透時間を、土壌21への水やり毎に対応付けて記憶する。
図7は、浸透時間履歴テーブル142の一例を表す図である。
図7に示す浸透時間履歴テーブル142は、土壌21への水やりを開始した日時を表す水やり開始日時と、その日時に開始した水やりにおいて取得された浸透時間とを対応付けて記憶する。例えば、水やり時刻取得部131により水やり開始日時として「2012/9/1 8:10」を取得し、その水やりにおいて浸透時間取得部133aが浸透時間として「T1」を取得した場合、浸透時間取得部133aは、浸透時間履歴テーブル142に、水やり開始日時「2012/9/1 8:10」と、浸透時間「T1」とを対応付けて格納する。
【0053】
土壌状態判定部134aは、浸透時間履歴テーブル142から、最新の水やりに対応する浸透時間と、過去の水やりに対応する浸透時間を特定し、特定した、最新の水やりに対応する浸透時間と、過去の水やりに対応する浸透時間との間の変化量に基づいて、土壌の状態を判定する。
【0054】
以下、土壌の状態の判定方法について具体的に説明する。例えば、土壌状態判定部134aは、浸透時間履歴テーブル142から、最新の水やり開始日時として「2012/9/3 8:00」を特定した場合、最新の水やりに対応する浸透時間として「T3」を特定する。また、土壌状態判定部134aは、浸透時間履歴テーブル142から、過去の水やりに対応する浸透時間として、最新の水やりの直前の水やりである水やり開始日時「2012/9/2 9:00」に対応する浸透時間「T2」を特定する。
【0055】
そして、土壌状態判定部134aは、特定した浸透時間の変化量ΔT=T3−T2<−ΔTth1(ΔTthは、正の所定値)であると判定した場合、すなわち、最新の取得した浸透時間が、前回取得した浸透時間よりも所定時間短くなったと判定した場合、土壌21の状態が植物22の育成に適切な状態ではないと判定する。この場合、報知制御部135は、例えば「前回から水の浸透時間が極端に早くなっています。土を確認して下さい。」というメッセージを表す土壌状態情報を生成する。
【0056】
さらに、土壌状態判定部134aは、特定した浸透時間の変化量ΔT>ΔTth2(ΔTth2は、正の所定値)であると判定した場合、すなわち、最新の取得した浸透時間が、前回取得した浸透時間よりも所定時間長くなったと判定した場合、土壌21の状態が植物22の育成に適切な状態ではないと判定する。この場合、報知制御部135は、例えば「前回から水の浸透時間が極端に遅くなっています。土を確認して下さい。」というメッセージを表す土壌状態情報を生成する。
【0057】
また、土壌の状態の判定方法の別の一例として、例えば、土壌状態判定部134aは、浸透時間履歴テーブル142から、最新の水やりに対応する浸透時間として「T3」を特定したとする。そして、土壌状態判定部134aは、過去の水やりに対応する浸透時間として、最新の水やりの過去複数回、例えば過去2回の水やりである水やり開始日時「2012/9/2 9:00」に対応する浸透時間「T2」、及び水やり開始日時「2012/9/1 8:10」に対応する浸透時間「T1」を特定する。
【0058】
そして、土壌状態判定部134aは、特定した浸透時間の変化量ΔT1=T3−T2、ΔT2=T2−T1から、浸透時間が徐々に早くなってきていると判定した場合、土壌21が偏った状態、または減った状態であると判定する。この場合、報知制御部135は、例えば「土が偏ってきているか、減ってきています。早めの土の入れ替えをお奨めします。」というメッセージを表す土壌状態情報を生成する。
【0059】
さらに、土壌状態判定部134aは、特定した浸透時間の変化量ΔT1、ΔT2から、浸透時間が徐々に遅くなってきていると判定した場合、土壌21が固くなってきたと判定する。この場合、報知制御部135は、例えば「土が固くなってきています。早めの土の入れ替えをお奨めします。」というメッセージを表す土壌状態情報を生成する。
【0060】
以上のように構成される水分浸透状態測定装置1によれば、取得された浸透時間の履歴に基づいて、土壌21が植物22の育成環境に適した状態であるかを判別することができる。また、実施形態1と同様に、報知制御部135により、判別された土壌21の状態と、その状態の土壌への適切な対応を促すアドバイスを含む土壌状態情報を通信端末装置3に送信し、表示させるため、ユーザは容易に土壌21への適切な対応を把握することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態によって限定されるものではない。
【0062】
例えば、上記の実施形態に係る水分浸透状態測定装置1において、制御部130の機能の一部または全部が、通信端末装置3により実現されてもよい。例えば、通信端末装置3の制御部が、水やり時刻取得部、排水時刻取得部、浸透時間取得部、土壌状態判定部、報知制御部として機能してもよい。この場合、水分量センサ110及び排水センサ120により出力された出力値を表す情報が、通信部160により通信端末装置3に送信されることにより、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、例えば、排水センサ120は、受け皿24内に設けられ、受け皿24に溜まった水分を検出することにより、排水孔23から排出された水分を検出するが、排水センサ120が設けられる位置はこれに限られない。例えば、鉢2の下方に受け皿24を設けない場合には、排水センサ120は、排水孔23の縁部に設けられてもよく、排水孔23から排出された水分を検出できるならば、排水センサ120が設けられる位置は任意である。
【0064】
また、上記の実施形態1において、種別浸透時間テーブル141は、植物の種類毎に、種別浸透時間を記憶するが、さらに鉢2の大きさや深さを対応付けて記憶してもよい。これは、鉢2の大きさや深さによって種別浸透時間も異なるためである。この場合、ユーザは、育成する植物22の種類とともに、鉢2の大きさや深さを操作部170を介して予め設定する。そして、土壌状態判定部134は、種別浸透時間テーブル141から、植物22の種類及び鉢2の大きさや深さに対応する種別浸透時間を用いて、土壌21の状態を判定する。そのため、水分浸透状態測定装置1は、土壌21が、実際に育成する植物22に適した状態であるか否かをより精度よく判定することができる。
【0065】
また、上記の実施形態1において、浸透時間を測定したが、予め鉢が決められていた場合等、水分量センサ110及び排水センサ120に基づいて浸透速度を測定してもよく、また、更に上記のような鉢の大きさや深さ等に基づいて浸透速度を測定しても良い。また、上記の実施形態1において、浸透時間の代わりに浸透速度を測定する場合、種別浸透時間テーブル141の代わりに、植物の種別毎に種別浸透速度を記憶する種別浸透速度テーブルを備えてもよい。これにより、測定した浸透速度に基づいて、土壌の状態を判定し、報知することができる。
【0066】
また、土壌21の水分の浸透状態の一例として、土壌21中への水分の浸透時間及び浸透速度を測定する例について説明したが、水分浸透状態測定装置1が測定する浸透状態はこれらに限られない。
【0067】
また、本発明に係る水分浸透状態測定装置1は、専用の装置によらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体(CD−ROM、MO等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する水分浸透状態測定装置1を構成してもよい。
【0068】
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線の掲示板(BBS)にアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。また、プログラムは、プログラムを表す信号により搬送波を変調した変調波により伝送され、この変調波を受信した装置が変調波を復調してプログラムを復元するようにしてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OSの制御のもと、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する水分浸透状態測定装置1として機能する。
【0069】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0070】
(付記1)
排水孔を有する容器に給水されたことを検出する水分量センサと、
前記排水孔から排出されたことを検出する排水センサと、
前記水分量センサにより給水が検出されたことに基づいて、土壌への水やりが開始された時刻を取得する水やり時刻取得部と、
前記排水センサにより排水が検出されたことに基づいて、前記水やりによる水分が前記排水孔から排出された時刻を取得する排水時刻取得部と、
前記水やり時刻取得部により取得された時刻と、前記排水時刻取得部により取得された時刻とに基づいて、前記土壌中へ水分が浸透する浸透時間を浸透状態として取得する浸透状態取得部と、
を備える水分浸透状態測定装置。
【0071】
(付記2)
前記浸透時間取得部は、前記水やり開始時刻取得部により取得された時刻と、前記排水時刻取得部により取得された時刻に基づいて、前記土壌中へ水分が浸透する浸透速度を浸透状態として取得する、
ことを特徴とする付記1に記載の水分浸透状態測定装置。
【0072】
(付記3)
前記浸透状態取得部に取得された浸透状態に基づいて、前記土壌の状態を判定する土壌状態判定部をさらに備える、
ことを特徴とする付記1または2に記載の水分浸透状態測定装置。
【0073】
(付記4)
植物の種類毎に、その種類の植物を育成する土壌中への水分の最適な浸透状態時間である種別浸透状態を記憶する種別浸透状態記憶部と、
ユーザから、前記土壌で育成されている植物の種類を表す操作入力を受け付ける操作部と、をさらに備え、
前記土壌状態判定部は、前記操作部により選択された植物の種類に対応する種別浸透状態を前記種別浸透状態記憶部から特定し、特定した種別浸透状態と、前記浸透状態取得部により取得された浸透状態と、に基づいて、前記土壌の状態を判定する、
ことを特徴とする付記3に記載の水分浸透状態測定装置。
【0074】
(付記5)
前記土壌状態判定部により判定された前記土壌の状態を表す情報を含む土壌状態情報を報知部に報知させる制御を行う報知制御部をさらに備える、
ことを特徴とする付記3または4に記載の水分浸透状態測定装置。
【0075】
(付記6)
前記浸透状態取得部により取得された浸透状態を、前記土壌への水やり毎に対応付けて記憶する浸透状態履歴記憶部と、
前記浸透状態履歴記憶部から、最新の水やりに対応する前記浸透状態と、過去の水やりに対応する前記浸透状態を特定し、特定した、最新の水やりに対応する前記浸透状態と、過去の水やりに対応する前記浸透状態との間の変化量に基づいて、前記土壌の状態を判定する土壌状態判定部と、
前記土壌状態判定部により判定された前記土壌の状態を表す情報を含む土壌状態情報を報知部に報知させる制御を行う報知制御部と、をさらに備える、
ことを特徴とする付記1または2に記載の水分浸透状態測定装置。
【0076】
(付記7)
前記報知制御部は、前記土壌状態判定部により判定された前記土壌の状態と、当該状態の土壌への適切な対応をユーザに促す旨とを表す情報を含む土壌状態情報を前記報知部に報知させる制御を行う、
ことを特徴とする付記5または6に記載の水分浸透状態測定装置。
【0077】
(付記8)
水分量センサにより給水が検出されたことに基づいて、土壌への水やりが開始された時刻を取得する水やり時刻取得ステップと、
排水センサにより排水が検出されたことに基づいて、前記水やりによる水分が前記排水孔から排出された時刻を取得する排水時刻取得ステップと、
前記水やり時刻取得ステップにおいて取得された時刻と、前記排水時刻取得ステップにおいて取得された時刻とに基づいて、前記土壌中へ水分が浸透する浸透時間を浸透状態として取得する浸透状態取得ステップと、
を備える水分浸透状態測定方法。
【0078】
(付記9)
コンピュータを
水分量センサにより給水が検出されたことに基づいて、土壌への水やりが開始された時刻を取得する水やり時刻取得手段、
排水センサにより排水が検出されたことに基づいて、前記水やりによる水分が前記排水孔から排出された時刻を取得する排水時刻取得手段、
前記水やり時刻取得手段により取得された時刻と、前記排水時刻取得手段により取得された時刻とに基づいて、前記土壌中へ水分が浸透する浸透時間を浸透状態として取得する浸透状態取得手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。