特許第6048034号(P6048034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048034
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】無線局
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/00 20090101AFI20161212BHJP
   H04W 36/04 20090101ALI20161212BHJP
   H04W 36/14 20090101ALI20161212BHJP
【FI】
   H04W36/00 110
   H04W36/04
   H04W36/14
【請求項の数】6
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2012-212387(P2012-212387)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-68209(P2014-68209A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年5月27日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100135976
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 正
【審査官】 廣川 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−304841(JP,A)
【文献】 特開2012−060288(JP,A)
【文献】 特開2006−303733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1サービスエリアを有する第1セルの第1無線通信システムにより通信を行う第1無線通信回路と、
前記第1サービスエリアよりも狭い第2サービスエリアを有する第2セルの第2無線通信システムにより通信を行う第2無線通信回路と、
通信システムを前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムの間で切り替えて通信を制御する制御回路と、を有し、
前記制御回路は、通信システムを前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムの間で切り替える時に、前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御して、切り替え後の通信システムがアクティブに設定されている間は、切り替え前の通信システムを、その切断処理を行うことなく、アイドルに維持し、
前記制御回路は、
前記無線局が前記第1無線通信システムに接続されている時、
前記第1無線通信システムの他の無線局からの第1周辺セル情報に、現在接続している前記第1無線通信システムの第1セル内に前記第2無線通信システムの第2セルが存在することが含まれる場合、前記第2無線通信システムのサービス範囲外または前記アイドルの処理において周辺セルサーチを実施するように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする無線局。
【請求項2】
第1サービスエリアを有する第1セルの第1無線通信システムにより通信を行う第1無線通信回路と、
前記第1サービスエリアよりも狭い第2サービスエリアを有する第2セルの第2無線通信システムにより通信を行う第2無線通信回路と、
通信システムを前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムの間で切り替えて通信を制御する制御回路と、を有し、
前記制御回路は、通信システムを前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムの間で切り替える時に、前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御して、切り替え後の通信システムがアクティブに設定されている間は、切り替え前の通信システムを、その切断処理を行うことなく、アイドルに維持し、
前記制御回路は、
前記無線局が前記第2無線通信システムに接続されている時、
前記第2無線通信システムの他の無線局からの第2周辺セル情報に、現在接続している前記第2無線通信システムの第2セルに対して,直接接している隣接セル,または,直接接してはいないが近くの近接セルが存在することが判別可能な情報として含まれる場合、
接続している前記第2無線通信システムの第2セルに対して,ハンドオーバ可能な前記隣接セルがなく、且つ、前記近隣セルが存在する場合には接続している前記第2無線通信システムをアイドルに設定して前記第1無線通信システムに切り替え、前記近隣セルが存在しない場合には接続している前記第2無線通信システムをアイドルに設定せずに切断処理を行うように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする無線局。
【請求項3】
前記制御回路は、
通信システムを前記第1無線通信システムから前記第2無線通信システムに切り替える時、
前記第1無線通信システムをアイドルに設定すると共に、前記第2無線通信システムをアクティブに設定して当該第2無線通信システムにより通信を行い、
前記第1無線通信システムの周辺セルサーチを停止するように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線局。
【請求項4】
前記制御回路は、
通信システムを前記第2無線通信システムから前記第1無線通信システムに切り替える時、
前記第2無線通信システムをアイドルに設定すると共に、前記第1無線通信システムをアクティブに設定して当該第1無線通信システムにより通信を行い、
前記第2無線通信システムによる第1のタイマ期間内において、前記第2無線通信システムの新たな第2セルが見つからない場合にはサービス範囲外の処理を行うように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線局。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記無線局が前記第1無線通信システムに接続されている時、
前記第1無線通信システムの他の無線局からの第1周辺セル情報に、現在接続している前記第1無線通信システムの第1セルの他の無線局と同じ場所に前記第2無線通信システムの第2セルの他の無線局が存在することが含まれる場合、
接続している前記第1無線通信システムの第1セルの受信信号強度または搬送波レベル対干渉・雑音比が第1の基準を満足した場合、前記第2無線通信システムのサービス範囲外または前記アイドルの処理において周辺セルサーチを実施するように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする請求項に記載の無線局。
【請求項6】
前記制御回路は、
通信システムを前記第2無線通信システムから前記第1無線通信システムに切り替える時、
前記第1無線通信システムの他の無線局からの第1周辺セル情報に、現在接続している前記第1無線通信システムの第1セル内に前記第2無線通信システムの第2セルが存在することが含まれる場合、前記第2無線通信システムのサービス範囲外または前記アイドルの処理において周辺セルサーチを実施するように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする請求項に記載の無線局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願で言及する実施例は、無線局、半導体装置、無線通信システムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、LTE(Long Term Evolution)のような狭域通信システム(小セル)と、WCDMA(Wideband Code Division Multiplexing Access)のような広域通信システム(大セル)を切り替えてデータ通信(通信)を継続する移動端末が実用化されて来ている。
【0003】
ここで、サービスエリアの狭い狭域通信システムは、LTEに限定されるものではなく、例えば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の様々な通信システムを含む。
【0004】
また、サービスエリアの広い広域通信システムも、WCDMAに限定されず、例えば、CDMA2000やGPRS(General Packet Radio Service)、或いは、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)等の様々な通信システムを含む。
【0005】
ところで、スマートフォンを始めとする移動端末(携帯移動端末)は、例えば、その移動端末が位置するサービスエリアでの使用可能な無線通信システムを切り替えて、通信を行うものが主流になって来ている。
【0006】
なお、本明細書において、移動端末とは、スマートフォンや携帯電話だけでなく、PDA(Personal Digital Assistants)やゲーム機、並びに、ノートパソコンやタブレット等の無線通信が可能な様々な機器を含む。
【0007】
また、本明細書において、広域通信システムおよび狭域通信システムは、相対的なサービスエリア(セル)の広狭を示しており、LTEやWiMAXでも、例えば、よりサービスエリアの小さいフェムトセル(femtocell)による通信システムに対しては、広域通信システムと見做される。
【0008】
従来、例えば、圏内復帰処理にかかる時間を短縮し、省電力化に寄与することのできる無線通信端末装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−278050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、移動端末の通信は、例えば、その移動端末が位置するサービスエリアでの使用可能な無線通信システムを切り替えて行うようになっている。例えば、その移動端末が位置するサービスエリアにおける最も安価で高速な無線通信システムに切り替えて通信を行うようになっている。
【0011】
そして、移動端末が無線通信システムの切り替えを行う場合、各無線通信システムの接続および切断を実施するが、その時に使用する無線リソースが非常に大きくなり、収容ユーザ数およびスループットに大きな影響を与える。さらに、複数の無線通信システムを使用することにより、移動端末の消費電力が大きくなる。
【0012】
すなわち、移動端末が通信を行う無線通信システム間の切り替えを行うと、その処理に要するネットワーク負荷が大きくなって、接続率やユーザに提供できるスループットの低下を招くといった問題がある。さらに、移動端末は、例えば、サービス範囲外での周辺セルをサーチするため、消費電力の増大を招くといった問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態によれば、第1無線通信回路と、第2無線通信回路と、前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムを切り替えて通信を制御する制御回路と、を有する無線局が提供される。
【0014】
前記第1無線通信回路は、第1サービスエリアを有する第1セルの第1無線通信システムにより通信を行い、前記第2無線通信回路は、前記第1サービスエリアよりも狭い第2サービスエリアを有する第2セルの第2無線通信システムにより通信を行う。
【0015】
前記制御回路は、通信システムを前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムの間で切り替える時に、前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御して、切り替え後の通信システムがアクティブに設定されている間は、切り替え前の通信システムを、その切断処理を行うことなく、アイドルに維持する。前記制御回路は、
前記無線局が前記第1無線通信システムに接続されている時、前記第1無線通信システムの他の無線局からの第1周辺セル情報に、現在接続している前記第1無線通信システムの第1セル内に前記第2無線通信システムの第2セルが存在することが含まれる場合、前記第2無線通信システムのサービス範囲外または前記アイドルの処理において周辺セルサーチを実施するように、前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する。
【発明の効果】
【0016】
開示の無線局、半導体装置、無線通信システムおよびその制御方法は、データ通信を行う無線通信システム間の切り替えで発生する、再接続および切断処理による無線リソースおよび消費電力を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、移動端末が複数の通信システム間を移動する場合における無線通信システムの制御方法の一例を説明するための図である。
図2図2は、図1における課題を説明するため図である。
図3図3は、本実施例の一例を示す機能ブロック図である。
図4図4は、本実施例に係る半導体装置の一例を示すブロック図である。
図5図5は、本実施例に係る無線局の一例を示すブロック図である。
図6図6は、無線通信システムの制御方法の第1実施例を説明するための図である。
図7図7は、無線通信システムの制御方法の第2実施例を説明するための図である。
図8図8は、図6および図7に示す無線通信システムの制御方法の第1および第2実施例の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、図7に示す無線通信システムの制御方法のプロトコルの流れを説明するための図である。
図10図10は、無線通信システムの制御方法の第3実施例を説明するための図(その1)である。
図11図11は、無線通信システムの制御方法の第3実施例を説明するための図(その2)である。
図12図12は、図10および図11に示す無線通信システムの制御方法の第3実施例の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図13図13は、無線通信システムの制御方法の第4実施例を説明するための図(その1)である。
図14図14は、無線通信システムの制御方法の第4実施例を説明するための図(その2)である。
図15図15は、図13および図14に示す無線通信システムの制御方法の第4実施例の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図16図16は、無線通信システムの制御方法の第5実施例を説明するための図(その1)である。
図17図17は、無線通信システムの制御方法の第5実施例を説明するための図(その2)である。
図18図18は、無線通信システムの制御方法の第5実施例を説明するための図(その3)である。
図19図19は、無線通信システムの制御方法の第5実施例を説明するための図(その4)である。
図20図20は、図16図19に示す無線通信システムの制御方法の第5実施例の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図21図21は、無線通信システムの制御方法の第6実施例を説明するための図(その1)である。
図22図22は、無線通信システムの制御方法の第6実施例を説明するための図(その2)である。
図23図23は、無線通信システムの制御方法の第6実施例を説明するための図(その3)である。
図24図24は、無線通信システムの制御方法の第6実施例を説明するための図(その4)である。
図25図25は、図21図24に示す無線通信システムの制御方法の第6実施例の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図26図26は、無線通信システムの制御方法の第7実施例を説明するための図(その1)である。
図27図27は、無線通信システムの制御方法の第7実施例を説明するための図(その2)である。
図28図28は、無線通信システムの制御方法の第7実施例を説明するための図(その3)である。
図29図29は、無線通信システムの制御方法の第7実施例を説明するための図(その4)である。
図30図30は、図26図29に示す無線通信システムの制御方法の第7実施例の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、無線局、半導体装置、無線通信システムおよびその制御方法の実施例を詳述する前に、移動端末が無線通信システムの切り替えを行う場合、並びに、そのときの問題点を図1および図2を参照して説明する。
【0019】
ところで、移動端末(MS)のデータ通信(通信)は、例えば、その移動端末MSが位置するサービスエリアにおける使用可能な無線通信システムを切り替えて行う。すなわち、その移動端末MSが位置するサービスエリアにおいて、例えば、最も安価で高速な無線通信システムに切り替えて通信を行うようになっている。
【0020】
なお、本明細書では、LTEおよびWiMAXを狭域通信システム(小セル)の例とし、WCDMA,CDMA2000,GPRSおよびGSM(登録商標)を広域通信システム(大セル)の例として説明するが、それらに限定されるものではない。
【0021】
また、LTE等のサービスエリアの狭い狭域通信システムは、WCDMA等のサービスエリアの広い広域通信システムよりも安価で高速な無線通信システムであるとして説明する。ただし、無線通信システムを選択するための条件は、安価で高速であることに限定されるものではない。
【0022】
さらに、広域通信システムおよび狭域通信システムは、例えば、相対的なサービスエリアの広狭(セル半径の大小)を示すだけのものである。そして、携帯移動端末は、スマートフォンや携帯電話だけでなく、PDAやゲーム機、並びに、ノートパソコンやタブレット等の無線通信が可能な様々な機器を含むのは前述した通りである。
【0023】
図1は、移動端末が複数の通信システム間を移動する様子を説明するための図である。図1において、参照符号BS1およびBS3は狭域通信システムおよび広域通信システムの両方を含むマルチシステムの基地局(Base Station)を示し、BS2は狭域通信システムだけの基地局を示し、MSは移動端末を示す。
【0024】
参照符号LC1,LC3は、基地局BS1,BS3における広域通信システムによる広いサービスエリアを有するセル(大セル)を示す。また、参照符号SC1,SC3は、基地局BS1,BS3における狭域通信システムによる狭い(大セルLC1,LC3のサービスエリアよりも狭い)サービスエリアを有するセル(小セル)を示す。さらに、参照符号SC2は、基地局BS2の狭域通信システムによる狭いサービスエリアを有する小セルを示す。
【0025】
図1は、移動端末MSが、図中の左側から右側に移動する場合、すなわち、位置P1から位置P16に向かって移動する場合を説明するものである。なお、選択システムにおけるWCDMAは、広域通信システム(大セル)が選択されたことを代表して示し、選択システムにおけるLTEは、狭域通信システム(小セル)が選択されたことを代表して示す。
【0026】
従って、選択システムがWCDMAということは、CDMA2000,GPRSおよびGSM(登録商標)等の広域通信システムが選択されていることを意味する。また、選択システムがLTEということは、WiMAX等の狭域通信システムが選択されていることを意味する。
【0027】
具体的に、図1に示されるように、移動端末MSが位置P1のとき、移動端末MSは、基地局BS1の広域通信システム(WCDMA)による大セルLC1の圏内であるが、いずれの基地局の狭域通信システム(LTE)によるセル(小セル)の圏内ではない。
【0028】
そのため、移動端末MSが位置P1のとき、WCDMAがアクティブになり、LTEはサービス範囲外(Out of Service)になる。これにより、位置P1の移動端末MSは、基地局BS1のWCDMAにより通信を行い、選択システムはWCDMAになる。
【0029】
次に、移動端末MSが位置P2に進むと、移動端末MSは、基地局BS1のWCDMAによる大セルLC1および基地局BS1のLTEによる小セルSC1の両方の圏内になる。このとき、移動端末MSは、LTEの接続処理(NE:Network Entry)を行う。
【0030】
さらに、移動端末MSが位置P3に移動すると、移動端末MSは、LTEをアクティブにして基地局BS1のLTEによる通信を開始し、基地局BS1のWCDMAによる通信の切断処理(切断)を行う。
【0031】
これにより、移動端末MSは、位置P2から位置P3に移動する間に、基地局BS1のWCDMAによる通信から、基地局BS1のLTEによる通信に切り替わる。すなわち、選択システムは、WCDMAからLTEに切り替わる。なお、移動端末MSが位置P4に移動したとき、移動端末MSは、基地局BS1のLTEにより通信を行うが、同時に、WCDMAのセルサーチも行う。
【0032】
さらに、移動端末MSが位置P5に来ると、移動端末MSは、基地局BS1のLTEによる小セルSC1と基地局BS2のLTEによる小セルSC2の両方の圏内になる。そして、移動端末MSは、基地局BS1のLTEによる小セルSC1から、基地局BS2のLTEによる小セルSC2へのハンドオーバ処理(HO:Hand Over)を行う。
【0033】
なお、移動端末MSが位置P6に移動したとき、移動端末MSは、基地局BS2のLTEにより通信を行うが、同時に、WCDMAのセルサーチも継続して行う。
【0034】
そして、移動端末MSが位置P7に来ると、すなわち、移動端末MSが基地局BS2のLTEによる小セルSC2のサービス範囲から逸脱するような位置に近づくと、移動端末MSは、WCDMAへの接続処理(NE)を行う。
【0035】
さらに、移動端末MSが位置P8に移動すると、移動端末MSは、WCDMAをアクティブにして基地局BS1のWCDMAによる通信を開始し、基地局BS2のLTEによる通信を切断する。
【0036】
また、移動端末MSが位置P9に来ると、移動端末MSは、基地局BS1のWCDMAによる大セルLC1と基地局BS3のWCDMAによる大セルLC3の両方の圏内になる。そして、移動端末MSは、基地局BS1のWCDMAによる大セルLC1から、基地局BS3のWCDMAによる大セルLC3へのハンドオーバ処理(HO)を行う。
【0037】
なお、位置P10における移動端末MSは、基地局BS3のWCDMAによる通信を行うが、位置P8でLTEを切断してから位置P10まで(位置P11でNE処理するまで)、LTEのサービス範囲外になっている。
【0038】
そして、移動端末MSが位置P11に進むと、移動端末MSは、基地局BS3のWCDMAによる大セルLC3および基地局BS3のLTEによる小セルSC3の両方の圏内になり、LTEの接続処理(NE)を行う。
【0039】
さらに、移動端末MSが位置P12に移動すると、移動端末MSは、LTEをアクティブにして基地局BS3のLTEによる通信を開始し、基地局BS3のWCDMAによる通信を切断する。
【0040】
なお、位置P11およびP12における処理は、実質的に前述した位置P2およびP3における処理と同様である。さらに、位置P13〜P15の処理は、実質的に前述した位置P6〜P8の処理と同様であり、また、位置P16の処理は、実質的に前述した位置P10の処理と同様である。
【0041】
ここで、LTE(狭域通信システム)およびWCDMA(広域通信システム)において、NE(接続処理)、切断(切断処理)、および、HO(ハンドオーバ処理)は、各基地局BS1〜BS3におけるネットワークの負荷になる。また、LTEのサービス範囲外の処理、および、WCDMAのセルサーチの処理は、移動端末MSにおける電力を消費することになる。
【0042】
図2は、図1における課題を説明するため図であり、上述したLTEのサービス範囲外の処理、および、WCDMAのセルサーチの処理を詳細に示すものである。
【0043】
図2に示されるように、WCDMAがアクティブになって、移動端末MSがWCDMAにより通信を行っている間、移動端末MSは、LTEのサービス範囲外の処理を行うことになる。このLTEのサービス範囲外の処理は、例えば、周期的にLTEによるセルのサーチを行うため消費電力の増大を招く。
【0044】
また、LTEがアクティブになって、移動端末MSがLTEにより通信を行っている間、移動端末MSは、WCDMAのセルサーチ処理を行うことになる。ここで、WCDMAのセルサーチ処理は、WCDMAのサービス範囲内で行うが、LTEのサービス範囲外で行うLTEのセルサーチ処理と同様に、周期的にWCDMAによるセルのサーチを行うため消費電力の増大を招く。
【0045】
このように、移動端末MSは、例えば、その移動端末が位置するサービスエリアにおける最も安価で高速な無線通信システムに切り替えて通信を行うが、無線通信システムの切り替えを行う場合、周期的セルサーチにより消費電力の増大を招くことになる。この消費電力の増大は、対応可能な無線通信システムの種類が増加するほど大きな問題となる。
【0046】
さらに、移動端末MSが無線通信システムの切り替えを行う場合、各無線通信システムの接続および切断処理を実施するが、その処理に要するネットワーク負荷が大きくなって接続率やユーザに提供できるスループットの低下を招くことにもなる。
【0047】
以下、無線局、半導体装置、無線通信システムおよびその制御方法の実施例を、添付図面を参照して詳述する。図3は、本実施例の一例を示す機能ブロック図である。
【0048】
図3に示されるように、本実施例の一例は、CPU(Central Processing Unit)1、LTE(Long Term Evolution:狭域通信システム)部2、および、WCDMA(Wideband Code Division Multiplexing Access:広域通信システム)部3を含む。
【0049】
CPU(アプリケーションプロセッサ)1は、移動端末(MS:無線局)が基地局(BS:無線局)との間で通信を行う無線通信システムの切り替えを管理するシステム切り替え管理装置10を含む。システム切り替え管理装置10は、周辺セル情報処理部10a,受信電界強度/CINR判定処理部10b,周辺セルサーチ結果情報処理部10cおよびシステム選択処理部10dを含む。
【0050】
周辺セル情報処理部10aは、移動端末MSの周辺セルの情報を処理する。受信電界強度/CINR判定処理部10bは、移動端末MSが受信する各基地局BSからの受信電界強およびCINR(Carrier to Interference and Noise Ratio)を判定処理する。
【0051】
周辺セルサーチ結果情報処理部10cは、周辺セルのサーチ結果の情報を処理し、システム選択処理部10dは、周辺セル情報処理部10a,受信電界強度/CINR判定処理部10bおよび周辺セルサーチ結果情報処理部10cの出力に従って、選択する無線通信システムを選択処理する。
【0052】
ここで、図3の例では、CPU1がLTEプロトコル処理部21およびWCDMAプロトコル処理部31の機能を実行するようになっているが、これらは、専用のプロセッサにより実行するようにしてもよい。
【0053】
LTE部2は、LTEベースバンド処理部22,高周波(RF:Radio Frequency)モジュール23,パワーアンプ(PA:Power Amplifier)24およびローノイズアンプ(LNA:Low Noise Amplifier)25を含む。さらに、LTE部2は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)計算ユニット26およびCINR計算ユニット27を含む。
【0054】
同様に、WCDMA部3は、WCDMAベースバンド処理部32,RFモジュール33,PA34,LNA35,RSSI計算ユニット36およびCINR計算ユニット37を含む。
【0055】
ここで、PA24および34は、それぞれRFモジュール23および33の高周波出力を増幅してアンテナ28および38に出力する。また、LNA25および35は、それぞれアンテナ28および38を介して入力する高周波信号を増幅してRFモジュール23および33に出力する。
【0056】
図3において、後に詳述するように、参照符号BKaおよびBKcは、アイドル(待ち受け)処理時に消費電力の低減を行うブロックを示し、BKbは、アイドル処理時に周辺セルサーチのために動作するブロックを示す。また、参照符号BKdは、アイドル処理時に位置登録を行うために動作するブロックを示す。
【0057】
図4は、本実施例に係る半導体装置の一例を示すブロック図である。図4に示されるように、本実施例の半導体装置の一例は、アプリケーションプロセッサ101、LTEベースバンドプロセッサ102、WCDMAベースバンドプロセッサ103、WiMAXベースバンドプロセッサ104およびRFインターフェース105を含む。
【0058】
ここで、アプリケーションプロセッサ101、各ベースバンドプロセッサ102,103,104、および、RFインターフェース105は、例えば、1つの半導体装置(SoC:System-on-a-Chip)100として形成することができる。なお、図4は単なる例であり、1つのSoC100とせずに、複数の半導体チップとして形成することもできる。
【0059】
アプリケーションプロセッサ101は、図3を参照して説明したシステム切り替え管理装置110、アプリケーション処理部120および周辺回路130を含む。システム切り替え管理装置110は、周辺セル情報処理部110a,受信電界強度/CINR判定処理部110b,周辺セルサーチ結果情報処理部110cおよびシステム選択処理部110dを含む。
【0060】
LTEベースバンドプロセッサ102は、LTEプロトコル処理部121およびLTEベースバンド処理部122を含み、WCDMAベースバンドプロセッサ103は、WCDMAプロトコル処理部131およびWCDMAベースバンド処理部132を含む。また、WiMAXベースバンドプロセッサ104は、WiMAXプロトコル処理部141およびWiMAXベースバンド処理部142を含む。
【0061】
すなわち、図4の例では、各プロトコル処理部121,131,141および各ベースバンド処理部122,132,142を専用のベースバンドプロセッサ102,103,104に設けるようになっている。
【0062】
図5は、本実施例に係る無線局(移動端末MS)300の一例を示すブロック図である。図5に示されるように、移動端末300は、アプリケーションプロセッサ301、第1無線通信部302、第2無線通信部303、第3無線通信部304、フラッシュメモリ351、マイク352、スピーカ353およびディスプレイ354を含む。
【0063】
さらに、移動端末300は、SDRAM(メモリ)355、パワー管理装置306、バッテリ307、RFモジュール391,394、PA392,395、LNA393,396、および、アンテナ381〜384を含む。
【0064】
第1無線通信部302は、例えば、WiFi(Wireless Fidelity)によりアクセスポイントとの間で通信を行うためのものであり、WiFiプロトコルプロセッサ321、WiFiベースバンドプロセッサ322およびRFモジュール323を含む。さらに、第1無線通信部302は、PA324およびLNA325を含む。
【0065】
すなわち、第1無線通信部302は、アクセスポイントとの間でWiFi通信を行うために、アンテナ381以外を1チップのIC(Integrated Circuit)として提供されたものに対応する。
【0066】
第2無線通信部303は、LTE,WCDMAおよびWiMAXを切り替えて基地局(BS)との間で通信を行うためのものであり、LTEプロトコルプロセッサ331、LTEベースバンドプロセッサ332およびRFセレクタ337を含む。
【0067】
さらに、第2無線通信部303は、WCDMAプロトコルプロセッサ333、WCDMAベースバンドプロセッサ334、WiMAXプロトコルプロセッサ335およびWiMAXベースバンドプロセッサ336を含む。
【0068】
そして、RFセレクタ337により、LTE,WCDMAおよびWiMAXの無線通信システムのいずれかを選択してRFモジュール391,394に出力するようになっている。ここで、RFモジュール391と394は、例えば、使用する周波数帯域が異なっている。
【0069】
なお、RFモジュール391は、PA392およびLNA393を介してアンテナ382に接続され、また、RFモジュール394は、PA395およびLNA396を介してアンテナ383に接続されている。
【0070】
第3無線通信部304は、例えば、Bluetooth(登録商標)により近距離通信を行うためのものであり、Bluetooth(登録商標)プロトコルプロセッサ341、および、Bluetooth(登録商標)ベースバンドプロセッサ342を含む。さらに、第3無線通信部304は、RFモジュール343、PA344およびLNA345を含む。
【0071】
すなわち、第3無線通信部304は、Bluetooth(登録商標)通信を行うために、アンテナ384以外を1チップのICとして提供されたものに対応する。
【0072】
なお、図5に示す移動端末300は、WiFi,LTE,WCDMA,WiMAXおよびBluetooth(登録商標)の各無線通信方式に対応可能となっているが、本実施例の移動端末は、これらに限定されず、他の様々な無線通信方式も対応可能とすることができる。
【0073】
図6は、無線通信システムの制御方法の第1実施例を説明するための図である。図6において、参照符号BS1およびBS3は広域通信システム(第1無線通信システム)および狭域通信システム(第2無線通信システム)の両方を含むマルチシステムの基地局(BS)を示す。また、BS2は狭域通信システムだけの基地局を示し、MSは移動端末を示す。
【0074】
参照符号LC1,LC3は、基地局BS1,BS3における広域通信システムによる広いサービスエリアを有するセル(大セル:第1セル)を示す。また、参照符号SC1,SC3は、基地局BS1,BS3における狭域通信システムによる狭い(大セルLC1,LC3のサービスエリアよりも狭い)サービスエリアを有するセル(小セル:第2セル)を示す。
【0075】
さらに、参照符号SC2は、基地局BS2の狭域通信システムによる狭いサービスエリアを有する小セルを示し、LC0は、図示しない基地局における広域通信システムによる広いサービスエリアを有する大セルを示す。
【0076】
図6は、前述した図1と同様に、移動端末(無線局)MSが、図中の左側から右側に移動する場合、すなわち、位置P20から位置P30に向かって移動する場合を説明するものである。なお、選択システムにおけるWCDMAは、広域通信システム(大セル)が選択されたことを代表して示し、選択システムにおけるLTEは、狭域通信システム(小セル)が選択されたことを代表して示す。
【0077】
従って、選択システムがWCDMAということは、CDMA2000おおびGPRS等の広域通信システムが選択されていることを意味し、選択システムがLTEということは、WiMAX等の狭域通信システムが選択されていることを意味する。
【0078】
前述したように、移動端末MSの通信は、例えば、その移動端末MSが位置するサービスエリアにおける使用可能な無線通信システムを切り替えて行う。すなわち、その移動端末MSが位置するサービスエリアにおいて、例えば、最も安価で高速な無線通信システムに切り替えて通信を行うようになっている。
【0079】
ここで、LTE等のサービスエリアの狭い狭域通信システムは、WCDMA等のサービスエリアの広い広域通信システムよりも安価で高速な無線通信システムであるとして説明する。ただし、無線通信システムを選択するための条件は、安価で高速であることに限定されるものではない。また、広域通信システムおよび狭域通信システムは、例えば、相対的なサービスエリア(セル)の広狭を示すだけのものである。
【0080】
具体的に、図6に示されるように、移動端末MSが位置P20のとき、移動端末MSは、図示しない基地局の広域通信システム(WCDMA)による大セルLC0と基地局BS1の広域通信システム(WCDMA)による大セルLC1の両方の圏内になる。そのため、移動端末MSは、大セルLC0から大セルLC1へのハンドオーバ処理(HO)を行う。
【0081】
次に、移動端末MSが位置P21に進むと、移動端末MSは、基地局BS1のWCDMAによる通信を行い、選択システムはWCDMAになる。このとき、LTEはサービス範囲外(Out of Service)になるため、図1および図2を参照して説明したのと同様の周期的セルサーチを行う。
【0082】
さらに、移動端末MSが位置P22に進むと、移動端末MSは、基地局BS1のWCDMAによる大セルLC1および基地局BS1のLTEによる小セルSC1の両方の圏内になり、LTEの接続処理(NE)を行う。
【0083】
そして、NE処理の完了後、LTEがアクティブになり(例えば、位置P23)、基地局BS1のLTEによる通信が可能になる。
【0084】
このとき、本第1実施例(他の実施例も同様)では、図1および図2を参照して説明したような、基地局BS1のWCDMAによる通信の切断処理を行ってWCDMAのセルサーチを行うのではなく、WCDMAを待ち受け(アイドル)に設定する。
【0085】
さらに、移動端末MSが位置P24に来ると、移動端末MSは、基地局BS1のLTEによる小セルSC1と基地局BS2のLTEによる小セルSC2の両方の圏内になる。そのため、移動端末MSは、基地局BS1のLTEによる小セルSC1から、基地局BS2のLTEによる小セルSC2へのハンドオーバ処理(HO)を行う。
【0086】
なお、移動端末MSが位置P25に移動すると、移動端末MSは、基地局BS2のLTEにより通信を行うが、このとき、WCDMAのアイドル(アイドル処理)は、維持されることになる。
【0087】
そして、移動端末MSが位置P26に来ると、すなわち、移動端末MSが基地局BS2のLTEによる小セルSC2のサービス範囲から逸脱すると、移動端末MSは、WCDMAをアクティブにして基地局BS1のWCDMAによる通信を開始する。
【0088】
ここで、移動端末MSが位置P26で基地局BS1のWCDMAによる通信を開始するとき、基地局BS2のLTEによる通信の切断処理を行ってLTEのセルサーチを行うのではなく、LTEをアイドルに設定する。
【0089】
さらに、移動端末MSが位置P27に来ると、移動端末MSは、基地局BS1のWCDMAによる大セルLC1と基地局BS3のWCDMAによる大セルLC3の両方の圏内になる。そして、移動端末MSは、基地局BS1のWCDMAによる大セルLC1から、基地局BS3のWCDMAによる大セルLC3へのハンドオーバ(HO)処理を行う。
【0090】
なお、位置P28における移動端末MSは、基地局BS3のWCDMAによる通信を行うが、選択システムがWCDMAになっている間、すなわち、次にLTEがアクティブになるまで、LTEはアイドルを維持する。
【0091】
そして、移動端末MSが位置P29に進むと、移動端末MSは、基地局BS3のWCDMAによる大セルLC3および基地局BS3のLTEによる小セルSC3の両方の圏内になり、WCDMAからLTEに切り替えて通信を行う。
【0092】
このとき、移動端末MSは、基地局BS3のLTEによる通信を行うが、選択システムがLTEになっている間、すなわち、次にWCDMAがアクティブになるまで、WCDMAはアイドルを維持する。
【0093】
そして、移動端末MSが位置P30に移動すると、移動端末MSは、WCDMAをアクティブにして基地局BS3のWCDMAによる通信を開始し、LTEをアイドルに設定する。
【0094】
このように、本第1実施例によれば、例えば、WCDMAからLTEに切り替えた後、切り替え前のWCDMAをアイドルに設定することで、切断処理および接続(再接続)処理を低減して、無線リソースの低減を行うことが可能になる。
【0095】
ここで、例えば、大セルLC1のWCDMAから小セルSC1のLTEに切り替える場合、LTEに切り替えた後にアイドルになるWCDMAは、アクティブのLTEによりデータの送受信が可能なため、待ち受け受信(ページング)は不要になる。
【0096】
さらに、例えば、小セルSC1のLTEが接続されている場所は、大セルLC1のWCDMAも圏内になるため、周辺セルサーチも低減することが可能になる。ただし、アイドルを維持するために、何らかのキープアライブ(Keep Alive)送信を行う。
【0097】
本第1実施例によれば、例えば、位置P29におけるWCDMAのアイドルにおいて、待ち受け受信を削除してキープアライブ送信だけにすることで、より一層消費電力の低減を図ることが可能になる。
【0098】
換言すると、通常のアイドル処理(オリジナル)は、例えば、複数の待ち受け受信とキープアライブ送信を行うが、本第1実施例によるWCDMAのアイドル処理は、例えば、待ち受け受信を削除して、キープアライブ送信だけを行えばよい。すなわち、WCDMAのアイドル処理は、キープアライブ送信として、例えば、位置登録(位置登録更新:Location Update)のみを実施してアイドルを維持する。
【0099】
このように、WCDMAのアイドルの処理は、例えば、待ち受け受信を行わずに、キープアライブ送信(位置登録)のみを行えばよいため、大幅な消費電力の低減を図ることができる。
【0100】
図7は、無線通信システムの制御方法の第2実施例を説明するための図である。図6に示す第1実施例では、移動端末MSが異なる通信システム(LTE,WCDMA)間を移動するときの処理を、WCDMAのアイドルの処理に注目して説明したが、図7に示す第2実施例では、主としてLTEのアイドルの処理を説明する。なお、図7において、移動端末MSは、位置P31でLTEのアイドルの処理を行っているものとする。
【0101】
すなわち、図7に示されるように、移動端末MSが位置P31のとき、移動端末MSは、WCDMAによる大セルLC0およびLC1の両方の圏内になるため、大セルLC0から大セルLC1へのハンドオーバ処理(HO)を行う。
【0102】
この移動端末MSが位置P31のとき、移動端末MSは、LTEのアイドル処理を行っている。図7に示されるように、LTEのアイドル処理は、周期的セルサーチを繰り返し、位置登録タイマが満了すると、位置P32でサービス範囲外になる。
【0103】
ここで、位置登録タイマが満了するとは、例えば、予め定められた位置登録タイマ期間に、LTEの基地局と同期を取ってキープアライブ送信ができないことに相当する。なお、LTEのサービス範囲外の処理は、例えば、図2を参照して説明したように、周期的にLTEによるセルのサーチを行うため消費電力の増大を招く。
【0104】
これに対して、移動端末MSが位置P33のとき、移動端末MSは、WCDMAにより通信を行うが、同時に、LTEのアイドル処理を行う。この位置P33における移動端末MSによるLTEのアイドル処理は、位置P31と同様に、周期的セルサーチを繰り返すが、予め定められた位置登録タイマ期間内に次の小セル(LTEによる小セルSC3)に到達した場合のものである。
【0105】
すなわち、移動端末MSが位置P33からP34へ移動するとき、移動端末MSは、LTEのアイドル処理により、新たなLTE(基地局BS3のLTEによる小セルSC3)を検出すると、LTEの接続処理(NE)を行うことなく、そのままアクティブにする。
【0106】
これにより、移動端末MSが位置P34まで進むと、LTEがアクティブになって、小セルSC3の基地局BS3によるLTEで通信を行うようになる。ここで、移動端末MSが位置P34のとき、移動端末MSは、WCDMAのアイドル処理を行うが、このWCDMAのアイドル処理は、図6を参照して説明したのと同様に、例えば、キープアライブ送信だけを行えばよい。
【0107】
ところで、例えば、小セルSC1のLTEから大セルLC1のWCDMAに切り替える場合、WCDMAに切り替えた後にアイドルになるLTEは、圏外になることが多い。
【0108】
そこで、予め定められた期間(位置登録タイマ期間)だけ、圏外状態で周辺セルサーチを実施し、キープアライブ送信を行う前に(位置登録タイマ期間が満了する前に)、新たな小セルのシステム(LTE)が見つかった場合(位置P33)には、アイドルを継続する。なお、キープアライブ送信できない場合(位置登録タイマ期間が満了した場合)には、例えば、図7における位置P31,P32のように、そのまま圏外処理を行う。
【0109】
図8は、図6および図7に示す無線通信システムの制御方法の第1および第2実施例の処理の一例を説明するためのフローチャートである。まず、無線通信システムの制御処理が開始すると、ステップST1において、LTE受信電界強度を測定して、ステップST2に進む。
【0110】
ステップST2では、測定したLTE受信電界強度はHO基準(ハンドオーバ処理の基準)を満足するか否かを判定する。このLTE受信電界強度がHO基準を満足するとは、例えば、LTE受信電界強度が所定のレベルよりも低くなった場合に相当する。
【0111】
ステップST2において、LTE受信電界強度がHO基準を満足していると判定すると、ステップST3に進んで、LTE隣接セルは存在するか否かを判定する。ここで、ステップST3において判定するLTE隣接セルは、現に通信を行っているセルに直接接し(隣接し)、ハンドオーバ処理が可能なセルを意味する。
【0112】
ステップST3において、LTE隣接セルが存在すると判定すると、ステップST7に進んで、LTEをアクティブ、すなわち、ハンドオーバ処理(HO)を行って隣接セルのLTEによる通信を行ってステップST1に戻る。ここで、ステップST7の処理は、例えば、図6における位置P24のLTEの処理に対応する。
【0113】
一方、ステップST3において、LTE隣接セルが存在しないと判定すると、ステップST4に進んで、WCDMAをアイドルからアクティブに切り替えて、WCDMAによる通信を行ってステップST5に進む。
【0114】
ここで、ステップST4の処理は、例えば、図6における位置P26のWCDMAの処理に対応する。なお、ステップST2において、LTE受信電界強度がHO基準を満足していないと判定すると、そのままステップST1に戻る。
【0115】
ステップST5では、LTE近隣セルは存在するか否かを判定する。ここで、ステップST5において判定するLTE近隣セルは、現に通信を行っているセルに直接接していない(隣接していない)が近くに存在すれば、その近くに存在するセルを意味する。
【0116】
ステップST5において、LTE近隣セルが存在すると判定すると、ステップST6に進んで、LTEをアクティブからアイドルに切り替えてステップST9に進む。すなわち、LTEの切断処理を行わずにアイドルに切り替える。
【0117】
一方、ステップST5において、LTE近隣セルが存在しないと判定すると、ステップST8に進んで、アクティブのLTEを切断処理(切断)してステップST9に進む。ステップST9では、LTE周辺セルサーチを行って、ステップST10に進み、LTE受信電界強度は基準を満足するか否かを判定する。
【0118】
なお。LTE受信電界強度が基準を満足するとは、例えば、LTE受信電界強度が所定のレベルよりも高くなった場合に相当する。ここで、ステップST10の処理は、例えば、図6における位置P29のLTEの処理に対応する。
【0119】
ステップST10において、LTE受信電界強度が基準を満足していると判定すると、ステップST11に進んで、LTEはアイドルか否かを判定する。ステップST11において、LTEがアイドルであると判定すると、ステップST12に進んで、LTEをアイドルからアクティブに切り替えてステップST13に進む。これにより、LTEに対する接続処理を行わずにアクティブに切り替えることができる。
【0120】
一方、ステップST11において、LTEがアイドルではないと判定すると、ステップST14に進んで、LTEを切断から接続処理(NE)を行って、ステップST13に進む。なお、ステップST14におけるLTEの接続処理は、LTEのアクティブ処理も含む。
【0121】
一方、ステップST10において、LTE受信電界強度が基準を満足していないと判定すると、ステップST15に進んで、LTEはアイドルか否かを判定する。ステップST15において、LTEがアイドルであると判定すると、ステップST16に進んで、位置登録タイマは満了か否かを判定する。
【0122】
ステップST16において、位置登録タイマが満了した、すなわち、例えば、予め定められた位置登録タイマ期間が経過したと判定すると、ステップST17に進んで、アクティブのLTEを切断処理してステップST9に戻る。
【0123】
従って、位置登録タイマ期間内に新たなLTEが見つからなければ、図1および図2を参照して説明したのと同様な切断処理を行う。ここで、ステップST16の処理は、例えば、図7における位置P31のLTEの処理に対応し、図7では、サービス範囲外と判定している。
【0124】
なお、ステップST16において、位置登録タイマ期間が経過していない判定すると、そのままステップST9に戻る。また、ステップST15において、LTEがアイドルではないと判定すると、そのままステップST9に戻る。
【0125】
図9は、図7に示す無線通信システムの制御方法のプロトコルの流れを説明するための図であり、例えば、前述した図3におけるシステム切り替え管理装置10と、LTE部2およびWCDMA部3の間のプロトコルの流れを時間に従って示すものである。
【0126】
図9に示されるように、例えば、システム切り替え管理装置10は、LTE部2に対して接続/位置登録を行うように指示する(ST21)と、LTEがアクティブ(SS11)になって、LTEの基地局との間で通信(データ通信)を行う。
【0127】
ここで、WCDMAは、アイドルになっている(SS21)。なお、アイドルのWCDMAは、例えば、待ち受け受信を行わずに、キープアライブ送信(位置登録)のみを行うことになる。
【0128】
そして、LTEの通信により端末情報がシステム切り替え管理装置10に与えられ(ST22)、それに従って、システム切り替え管理装置10は、WCDMAによる接続に切り替える(ST23)と共に、LTEをアイドルに設定する(ST24)。
【0129】
これにより、WCDMAはアクティブ(SS22)になってWCDMAによる通信を行い、LTEはアイドルになる(SS12)。ここで、端末情報は、WCDMAの通信によりシステム切り替え管理装置10に与えられる(ST25)。なお、アイドルのLTEは、例えば、位置登録タイマが満了するまで、待ち受け受信を行うことになる。
【0130】
そして、LTE部2が新しいセル情報をシステム切り替え管理装置10に出力する(ST26)と、システム切り替え管理装置10は、LTE部2に対して位置登録を行い(ST27)、LTEを再びアクティブにする(SS13)。
【0131】
さらに、システム切り替え管理装置10は、WCDMAをアイドルに設定する(ST28)。これにより、WCDMAは、再びアイドルになる(SS23)。
【0132】
図10および図11は、無線通信システムの制御方法の第3実施例を説明するための図である。ここで、図10および図11における基地局30は、例えば、前述した図6および図7における狭域通信システムおよび広域通信システムの両方を含む基地局3とは異なり、広域通信システムだけの基地局となっている。従って、図10および図11では、図6および図7におけるLTEによる小セルSC3は含まれていない。
【0133】
本第3実施例は、例えば、LTEの待受け受信中(アイドル)またはサービス範囲圏外での周期的セルサーチによって、WCDMAにより同報送信されている周辺セル情報を受信し、その周辺セル情報を利用して周期的セルサーチの実施頻度を最適化するものである。
【0134】
すなわち、図10および図11に示されるように、移動端末MSが位置P35のとき、移動端末MSは、WCDMAの同報送信により周辺セル情報を受信する。具体的に、例えば、位置P35で受信した周辺セル情報により、WCDMAによる大セルLC1内に、LTEによる小セルSC1,SC2が存在することが判明した場合には、位置P36のLTEのサービス範囲外の処理において、周期的セルサーチを開始する。
【0135】
また、移動端末MSが位置P37のとき、移動端末MSは、WCDMAの同報送信により周辺セル情報を受信する。具体的に、例えば、位置P37で受信した周辺セル情報により、位置登録タイマの満了前に、大セルLC3内に、LTEによる小セルが存在しないことが判明した場合には、位置P38のLTEのサービス範囲外の処理において、周期的セルサーチを停止する。
【0136】
このように、本第3実施例によれば、例えば、WCDMAで同報送信された周辺セル情報を利用して、LTEのアイドルまたはサービス範囲圏外での周期的セルサーチの実施頻度を最適化することで、無駄な消費電力の増加を抑えることが可能になる。
【0137】
ここで、図11に示されるように、大セルLC1用の基地局BS1からの周辺セル情報には、例えば、大セルLC3の情報、大セルLC0の情報、小セルSC1の情報および小セルSC2の情報が含まれる。また、大セルLC3用の基地局BS30からの周辺セル情報には、例えば、大セルLC1の情報および大セルLC4の情報が含まれる。
【0138】
すなわち、例えば、移動端末MSが位置P36のとき、移動端末MSは、WCDMAによる大セルLC1の基地局BS1から、基地局BS3のWCDMAによる大セルLC3の情報、および、図示しない基地局のWCDMAによる大セルLC0の情報を受け取る。
【0139】
また、例えば、移動端末MSが位置P36のとき、移動端末MSは、WCDMAによる大セルLC1の基地局BS1から、基地局BS1のLTEによる小セルSC1の情報、および、基地局BS2のLTEによる小セルSC2の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0140】
さらに、例えば、移動端末MSが位置P38のとき、移動端末MSは、WCDMAによる大セルLC3の基地局BS30から、基地局BS1のWCDMAによる大セルLC1の情報、および、WCDMAによる大セルLC0の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0141】
また、図11に示されるように、小セルSC1用の基地局BS1からの周辺セル情報には、例えば、小セルSC2の情報が含まれ、さらに、小セルSC2用の基地局BS2からの周辺セル情報には、例えば、小セルSC1の情報が含まれる。
【0142】
すなわち、例えば、移動端末MSが位置P23のとき、移動端末MSは、LTEによる小セルSC1の基地局BS1から、基地局BS2のLTEによる小セルSC2の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0143】
さらに、例えば、移動端末MSが位置P25のとき、移動端末MSは、LTEによる小セルSC2の基地局BS2から、基地局BS1のLTEによる小セルSC1の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0144】
図12は、図10および図11に示す無線通信システムの制御方法の第3実施例の処理の一例を説明するためのフローチャートである。ここで、図12におけるステップST1〜ST4,ST7およびST9〜ST17は、前に図8を参照して詳述したので、その説明は省略する。
【0145】
図12に示されるように、ステップST3でLTE隣接セルが存在しないと判定すると、ステップST4でWCDMAをアイドルからアクティブに切り替えると共に、ステップST31でLTEをアクティブからアイドルに切り替えて、ステップST15に進む。
【0146】
さらに、図12では、図8を参照して説明したステップST9の前にステップST32が設けられている。すなわち、ステップST15でLTEがアイドルではない、または、ステップST16で位置登録タイマ期間が経過していない、或いは、ステップST17でLTEをアイドルから切断状態にした後、ステップST32に進む。
【0147】
ステップST32では、WCDMAからの周辺セル情報にLTEが存在するか否かを判定する。すなわち、ステップST32において、WCDMAからの周辺セル情報にLTEが存在すると判定すると、前述した図8の処理と同様に、ステップST9に進む。
【0148】
一方、ステップST32において、WCDMAからの周辺セル情報にLTEが存在しないと判定すると、ステップST17に進んで、LTEをアイドルから切断状態にする。すなわち、WCDMAからの周辺セル情報によって、LTEが存在しないことが判明するため、例えば、ステップST9のLTE周辺セルサーチを行うことなく、LTEを切断状態にする。これにより、消費電力のより一層の低減を図ることができる。
【0149】
図13および図14は、無線通信システムの制御方法の第4実施例を説明するための図であり、図15は、図13および図14に示す無線通信システムの制御方法の第4実施例の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0150】
ここで、本第4実施例は、上述した第3実施例において、WCDMAで同報送信された周辺セル情報の利用の仕方が異なっている。すなわち、本第4実施例では、接続している大セルの基地局と同じ場所に小セルの基地局が存在することが同報されている場合、例えば、1つの基地局BS1が大セルLC1のWCDMAと小セルSC1のLTEを兼用する場合を想定している。
【0151】
ただし、大セルの基地局と小セルの基地局が同じ場所に存在するとは、1つの基地局が大セル用および小セル用の無線通信システムの基地局を兼用する場合に限定されるものではなく、同じ場所(ほぼ同じ場合を含む)に両方の基地局が別々に存在してもよい。
【0152】
なお、図13および図14は、図10および図11と同様に、基地局30は、大セルLC3のWCDMAだけの基地局となっている。また、図15の第4実施例のフローチャートでは、前述した図12の第3実施例におけるステップST32とステップST9の間に、ステップST41が挿入されている。
【0153】
すなわち、図13および図14に示されるように、移動端末MSが位置P35のとき、移動端末MSは、WCDMAの同報送信により周辺セル情報を受信する。この周辺セル情報により、同じ基地局BS1のLTEによる小セルSC1がWCDMAによる大セルLC1内にあることを認識する。
【0154】
さらに、移動端末MSが位置P40に進んで、接続セルLC1の電界強度(WCDMAの電界強度)が一定レベルを上回ると、すなわち、WCDMAと同じ基地局BS1に近づいた場合には、LTEの周期的なセルサーチを開始する。
【0155】
換言すると、基地局BS1のWCDMAによる大セルLC1のRSSI(受信信号強度)またはCINR(搬送波レベル対干渉・雑音比)が基準を満足したら、LTEの周期的なセルサーチを開始する。これにより、常に周期的なセルサーチを行っているものに比較して消費電力の低減を図ることが可能になる。
【0156】
そして、基地局BS1のLTEによる小セルSC1の圏内になると、LTEの接続処理(NE)が発生し、WCDMAからLTEに切り替わる。なお、他の処理は、前述した各実施例と同様なので、その説明は省略する。
【0157】
なお、図13では、例えば、移動端末MSが位置P41に来ると、位置登録タイマ期間の満了前に、新たな大セル(LC3)内に小セルのシステム(LTE)が無いことが判明したため、周辺セルサーチを停止してサービス範囲外の処理に移行する。
【0158】
ここで、図14に示されるように、例えば、移動端末MSが位置P42のとき、移動端末MSは、LTEによる小セルSC1の基地局BS1から、基地局BS2のLTEによる小セルSC2の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0159】
また、例えば、移動端末MSが位置P43のとき、移動端末MSは、LTEによる小セルSC2の基地局BS2から、基地局BS1のLTEによる小セルSC1の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0160】
さらに、例えば、移動端末MSが位置P36のとき、移動端末MSは、基地局BS1から、大セルLC0の情報,大セルLC3の情報,位置情報を含む小セルSC1の情報(LC1,BS1)および小セルSC2の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0161】
そして、例えば、移動端末MSが位置P38のとき、移動端末MSは、基地局BS30から、大セルLC1の情報および大セルLC4の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0162】
このように、本第4実施例は、前述した第3実施例において、接続している大セルの基地局と同じ場所に小セルの基地局が存在することが同報されている場合、接続セル受信電界強度が一定レベルを上回った場合に周辺セルサーチを実施する。すなわち、アイドル中または圏外中の小セルのLTEシステムでの周辺セルサーチを実施する。
【0163】
前述したように、図15のフローチャートでは、図12におけるステップST32とステップST9の間に、ステップST41が挿入されている。すなわち、図15に示されるように、ステップST32において、WCDMAからの周辺セル情報にLTEが存在すると判定すると、ステップST41に進む。
【0164】
ステップST41では、LTEに隣接セルが存在し、且つ、WCDMAの受信品質が閾値よりも低いか否かを判定する。ステップST41において、LTEに隣接セルが存在するが、WCDMAの受信品質が閾値よりも低いと判定すると、ステップST32に戻って前述した処理を繰り返す。
【0165】
一方、ステップST41において、LTEに隣接セルが存在してWCDMAの受信品質が閾値よりも低くない(高い)、すなわち、移動端末MSがLTEとWCDMAの共通の基地局BS1の近くに来ていると判定すると、ステップST9に進む。
【0166】
そして、ステップST9において、LTEの周辺セルサーチを行ってステップST10に進み、前述したステップST10以降の処理を行う。このように、移動端末MSがLTE(およびWCDMA)の基地局BS1に近い場合だけLTEの周辺セルサーチを行うことにより、消費電力をより一層低減することができる。
【0167】
図16図19は、無線通信システムの制御方法の第5実施例を説明するための図であり、小セルのシステム(LTE)で同報送信されている周辺セル情報に、隣接セルと近隣セルが判別可能な情報を送信する場合を示す。
【0168】
ここで、図16および図17は、LTEで同報送信される周辺セル情報に隣接セルおよび近隣セルがある場合の例を示し、図18および図19は、LTEで同報送信される周辺セル情報に隣接セルおよび近隣セルがない場合の例を示す。
【0169】
従って、図16および図17は、例えば、前述した第1実施例の図6と同様に、基地局BS1,BS2,BS3、小セルSC1,SC2,SC3、並びに、大セルLC0,LC1,LC3を含む。
【0170】
まず、図16および図17に示されるように、移動端末MSが位置P51のとき、移動端末MSは、LTEの同報送信により周辺セル情報(同報情報)を受信し、この同報情報に隣接セル・近接セルが存在するため、アイドル処理を実施する。
【0171】
また、移動端末MSが位置P52に来ると、位置登録タイマ期間の満了前に、近隣の基地局を見つけたため、アクティブにしてWCDMAからLTEへの切り替えを行う。さらに、移動端末MSが位置P53まで進むと、LTEの同報情報に近隣セルが存在するため、アイドル処理を実施する。
【0172】
ここで、図17に示されるように、例えば、移動端末MSが位置P21のとき、移動端末MSは、WCDMAによる大セルLC1の基地局BS1から、大セルLC0の情報および大セルLC3の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0173】
また、例えば、移動端末MSが位置P28のとき、移動端末MSは、WCDMAによる大セルLC3の基地局BS3から、大セルLC1の情報および大セルLC4の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0174】
さらに、図17に示されるように、例えば、移動端末MSが位置P23のとき、移動端末MSは、LTEによる小セルSC1の基地局BS1から、小セルSC2の情報(隣接)および小セルSC3(近接)の情報を周辺セル情報として受け取る。なお、この周辺セル情報には、実際に通信を行っているセルSC1に接している隣接セルSC2だけでなく、接してはいないが近くにある近接セルSC3の情報も含まれている。
【0175】
また、例えば、移動端末MSが位置P25のとき、移動端末MSは、LTEによる小セルSC2の基地局BS2から、小セルSC1の情報(隣接)および小セルSC3の情報(近接)を周辺セル情報として受け取る。
【0176】
次に、図18および図19は、例えば、前述した第4実施例の図13および図14からさらに基地局BS2を除いたものに対応し、基地局BS1,BS30、小セルSC1、並びに、大セルLC0,LC1,LC3を含む。
【0177】
図18および図19の場合、大セルは、図16および図17と同様に、LC0,LC1,LC3の3つ存在するが、小セルは、SC1の1つだけである。このとき、図18および図19に示されるように、移動端末MSが位置P54のとき、移動端末MSは、LTEの同報送信で隣接/近接するLTEによる小セルがない(情報なし)ことを認識する。
【0178】
これにより、移動端末MSが位置P54に来ると、LTEからWCDMAへの切り替え、すなわち、基地局BS1のLTEによる小セルSC1から基地局BS1のWCDMAによる大セルLC1への切り替えが行われ、また、LTEは切断処理される。従って、例えば、位置P54の移動端末MSは、LTEのサービス範囲外の処理、すなわち、周期的なセルサーチを行うことになる。
【0179】
ここで、図19に示されるように、例えば、移動端末MSが位置P21のとき、移動端末MSは、WCDMAによる大セルLC1の基地局BS1から、大セルLC0の情報および大セルLC3の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0180】
また、例えば、移動端末MSが位置P56のとき、移動端末MSは、WCDMAによる大セルLC3の基地局BS30から、大セルLC1の情報および大セルLC4の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0181】
さらに、図19に示されるように、例えば、移動端末MSが位置P23のとき、移動端末MSは、LTEによる小セルSC1の基地局BS1から、LTEによる小セルがないという情報(情報なし)を周辺セル情報として受け取る。
【0182】
このように、本第5実施例は、ハンドオーバを行うことが可能な隣接セルが無く、近隣セルが周辺セル情報に存在した場合は、現在接続している基地局でアイドル(アイドルモード)になり、他のシステムに切り替える。なお、近隣セルが設定されていない場合には、アイドルにはならず、切断処理を実施することになる。
【0183】
図20は、図16図19に示す無線通信システムの制御方法の第5実施例の処理の一例を説明するためのフローチャートである。図20と前述した図12との比較から明らかなように、図20の第5実施例のフローチャートでは、図12の第3実施例におけるステップST31とステップST15の間に、ステップST51およびST52が挿入されている。
【0184】
なお、ステップST10でLTE受信電界強度が基準を満足していないと判定した場合には、直ちにステップST15に進むのではなく、ステップST51に進むようになっている。
【0185】
すなわち、図20に示されるように、ステップST31でLTEをアクティブからアイドルに切り替えた後、並びに、ステップST10でLTE受信電界強度が基準を満足していないと判定すると、ステップST51に進む。このステップST51でLTE周辺セル情報に隣接セルまたは近接セルが存在するか否かを判定する。
【0186】
ステップST51において、LTE周辺セル情報に隣接セルまたは近接セルが存在すると判定すると、そのまま、ステップST15に進んで、LTEがアイドルか否かを判定し、前述したのと同様の処理を行う。
【0187】
一方、ステップST51において、LTE周辺セル情報に隣接セルまたは近接セルが存在しないと判定すると、ステップST52に進んで、アイドル中のLTEを切断する。この切断処理は、例えば、図18および図19における位置P54の処理に対応する。これにより、LTEはサービス範囲外の処理、すなわち、周期的なセルサーチを繰り返すことになる。
【0188】
図21図24は、無線通信システムの制御方法の第6実施例を説明するための図である。本第6実施例は、例えば、大セルのWCDMAの基地局から同報送信される周辺セル情報に、大セルの圏内に存在する小セルのLTEの情報も同時に送信するようになっている。
【0189】
ここで、図21および図22は、LTEで同報送信される周辺セル情報に隣接セルおよび近隣セルがある場合の例を示し、図23および図24は、LTEで同報送信される周辺セル情報に隣接セルおよび近隣セルがない場合の例を示す。
【0190】
図22と前述した図17との比較から明らかなように、本第6実施例では、例えば、移動端末MSが位置P21のとき、移動端末MSは、大セルLC1の基地局BS1から、大セルの情報だけでなく、小セルの情報も周辺セル情報として受け取る。
【0191】
すなわち、図22に示されるように、例えば、移動端末MSが位置P21のとき、移動端末MSは、大セルLC1の基地局BS1から、大セルLC3の情報,大セルLC0の情報,小セルSC1の情報および小セルSC2の情報を周辺セル情報として受け取る。さらに、移動端末MSは、小セルSC1と小セルSC2が隣接しているという情報も周辺セル情報として受け取る。
【0192】
また、例えば、移動端末MSが位置P28のとき、移動端末MSは、WCDMAによる大セルLC3の基地局BS3から、大セルLC1の情報,大セルLC4の情報および小セルSC3の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0193】
これにより、図21図16との比較から明らかなように、例えば、LTEがサービス範囲外(P21)で行う周期的なセルサーチを短い期間とし、すなわち、周期的なセルサーチを開始するタイミングを遅らせて、消費電力をより一層低減することができる。
【0194】
さらに、図24と前述した図19との比較から明らかなように、本第6実施例では、例えば、移動端末MSが位置P21のとき、移動端末MSは、移動端末MSは、大セルLC1の基地局BS1から、大セルの情報だけでなく、小セルの情報も周辺セル情報として受け取る。
【0195】
すなわち、図24に示されるように、例えば、移動端末MSが位置P21のとき、移動端末MSは、大セルLC1の基地局BS1から、大セルLC3の情報,大セルLC0の情報および小セルSC1の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0196】
ただし、例えば、移動端末MSが位置P56のとき、前述した図19と同様に、移動端末MSは、WCDMAによる大セルLC3の基地局BS30から、大セルLC1の情報および大セルLC4の情報を周辺セル情報として受け取る。
【0197】
さらに、図24に示されるように、例えば、移動端末MSが位置P23のとき、前述した図19と同様に、移動端末MSは、LTEによる小セルSC1の基地局BS1から、LTEによる小セルがないという情報(情報なし)を周辺セル情報として受け取る。
【0198】
これにより、図23図18との比較から明らかなように、例えば、LTEがサービス範囲外で行う周期的なセルサーチ(P56)を短い期間とし、すなわち、周期的なセルサーチを終了するタイミングを早めて、消費電力をより一層低減することができる。
【0199】
すなわち、本第6実施例は、大セルのWCDMAの基地局から同報送信される周辺セル情報に、大セルの圏内にある小セルの情報も同時に送信することによって、小セルのLTEのアイドルおよび圏外でのセルサーチを最適化して消費電力を低減することができる。
【0200】
図25は、図21図24に示す無線通信システムの制御方法の第6実施例の処理の一例を説明するためのフローチャートである。図25と前述した図20との比較から明らかなように、図25の第6実施例のフローチャートでは、図20の第5実施例におけるステップST51,ST52とステップST15の間に、ステップST61〜ST64が挿入されている。
【0201】
すなわち、図25に示されるように、ステップST51において、LTE周辺セル情報に隣接セルまたは近接セルが存在すると判定すると、ステップST61に進み、WCDMAの周辺セル情報にLTEが存在するか否かを判定する。
【0202】
ステップST61において、WCDMAの周辺セル情報にLTEが存在しないと判定すると、ステップST62に進んで、LTEのアイドルおよび周辺セルサーチを停止して、ステップST15に進む。また、ステップST61において、WCDMAの周辺セル情報にLTEが存在すると判定すると、そのままステップST15に進む。
【0203】
一方、ステップST51において、LTE周辺セル情報に隣接セルまたは近接セルが存在しないと判定すると、ステップST52に進んで、アイドル中のLTEを切断した後、ステップST63に進んで、WCDMAの周辺セル情報にLTEが存在するか否かを判定する。
【0204】
ステップST63において、WCDMAの周辺セル情報にLTEが存在しないと判定すると、ステップST64に進んで、LTEの周辺セルサーチを停止して、ステップST15に進む。また、ステップST63において、WCDMAの周辺セル情報にLTEが存在すると判定すると、そのままステップST15に進む。
【0205】
このように、本第6実施例において、大セルのWCDMAの基地局から同報送信される周辺セル情報には、大セルの圏内にある小セルの情報も含まれるが、ステップST61およびST63により、この周辺セル情報におけるLTEによる小セルの存在を判定する。
【0206】
そして、ステップST61およびST63において、WCDMAの周辺セル情報にLTEが存在しないと判定すると、ステップST62およびST64でLTEの周辺セルサーチを停止することにより、消費電力をより一層低減することが可能になる。
【0207】
なお、ステップST64における周辺セルサーチの停止(周期的なセルサーチの停止)処理は、例えば、図23および図25における位置P56の処理に対応する。このように、LTEのサービス範囲外の処理において、不要なセルサーチを停止することにより、より一層の消費電力の低減を図ることができる。
【0208】
図26図28は、無線通信システムの制御方法の第7実施例を説明するための図である。本第7実施例は、上述した第6実施例と同様に、例えば、大セルのWCDMAの基地局から同報送信される周辺セル情報に、大セルの圏内に存在する小セルのLTEの情報も同時に送信するようになっている。
【0209】
さらに、本第7実施例では、現に通信を行っている大セルの基地局と同じ場所に小セルの基地局が存在することが同報されている場合、例えば、接続しているWCDMAの基地局がLTEの基地局でもある場合に関するものである。
【0210】
すなわち、本第7実施例は、接続セルの受信電界強度が一定レベルを上回った場合のみ、アイドル中または圏外中の小セルのLTEシステムでの周辺セルサーチを実施するようになっている。
【0211】
ここで、図26および図27は、LTEで同報送信される周辺セル情報に隣接セルおよび近隣セルがある場合の例を示し、図28および図29は、LTEで同報送信される周辺セル情報に隣接セルおよび近隣セルがない場合の例を示す。
【0212】
まず、本第7実施例では、大セルLC1のWCDMAの基地局BS1から同報送信される周辺セル情報に、大セルLC1の圏内に存在する小セルSC1のLTEの情報も同時に送信される。ここで、本第7実施例において、周辺セル情報には、小セルSC1の位置情報が含まれている。
【0213】
すなわち、図27および図29と前述した図22および図24との比較から明らかなように、本第7実施例では、例えば、大セルLC1のWCDMAと小セルSC1のLTEが同じ基地局BS1であることが分かるようになっている。
【0214】
これにより、図26および図28に示されるように、大セルLC1におけるWCDMAの電界強度が基準値よりも強くなるまで、周辺セルサーチを停止して消費電力をより一層低減することが可能になる。
【0215】
図30は、図26図29に示す無線通信システムの制御方法の第7実施例の処理の一例を説明するためのフローチャートである。図30と前述した図25との比較から明らかなように、図30の第7実施例のフローチャートでは、図25の第6実施例におけるステップST15〜ST17とステップST9の間に、ステップST71が挿入されている。
【0216】
すなわち、図25を参照して説明した第6実施例における各ステップST61〜ST64の処理を行ってステップST15に進み、LTEはアイドルか否かを判定する。ステップST15において、LTEはアイドルではないと判定するとステップST71に進む。
【0217】
また、ステップST15において、LTEはアイドル状態であると判定すると、ステップST16に進んで、位置登録タイマは満了しているか否かを判定する。ステップST16において、位置登録タイマは満了していない、すなわち、位置登録タイマ期間が経過していないと判定すると、ステップST71に進む。
【0218】
さらに、ステップST16において、位置登録タイマ期間が経過している判定すると、ステップST17に進んで、LTEをアイドルから切断状態にした後、ステップST71に進む。
【0219】
ステップST71では、LTEに隣接セルが存在し、且つ、WCDMAの受信品質が閾値よりも低いか否かを判定する。ステップST71において、LTEに隣接セルが存在するが、WCDMAの受信品質が閾値よりも低いと判定すると、ステップST51に戻って前述した処理を繰り返す。
【0220】
一方、ステップST71において、LTEに隣接セルが存在してWCDMAの受信品質が閾値よりも低くない(高い)、すなわち、移動端末MSがLTEとWCDMAの共通の基地局BS1の近くに来ていると判定すると、ステップST9に進む。
【0221】
そして、ステップST9において、LTEの周辺セルサーチを行ってステップST10に進み、前述したステップST10以降の処理を行う。このように、移動端末MSがLTE(およびWCDMA)の基地局BS1に近い場合だけLTEの周辺セルサーチを行うことにより、消費電力をより一層低減することができる。
【0222】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではない。また、明細書のそのような記載は、発明の利点および欠点を示すものでもない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【0223】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに、以下の付記を開示する。
(付記1)
第1サービスエリアを有する第1セルの第1無線通信システムにより通信を行う第1無線通信回路と、
前記第1サービスエリアよりも狭い第2サービスエリアを有する第2セルの第2無線通信システムにより通信を行う第2無線通信回路と、
通信システムを前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムの間で切り替えて通信を制御する制御回路と、を有し、
前記制御回路は、通信システムを前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムの間で切り替える時に、前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御して、切り替え前の通信システムをアイドルに設定する、
ことを特徴とする無線局。
【0224】
(付記2)
前記制御回路は、
通信システムを前記第1無線通信システムから前記第2無線通信システムに切り替える時、
前記第1無線通信システムをアイドルに設定すると共に、前記第2無線通信システムをアクティブに設定して当該第2無線通信システムにより通信を行い、
前記第1無線通信システムの周辺セルサーチを停止するように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする付記1に記載の無線局。
【0225】
(付記3)
前記制御回路は、
前記無線局が前記第2無線通信システムに接続されている時、
前記第1無線通信システムのキープアライブ送信を行って、前記アイドルを維持するように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする付記2に記載の無線局。
【0226】
(付記4)
前記制御回路は、
通信システムを前記第2無線通信システムから前記第1無線通信システムに切り替える時、
前記第2無線通信システムをアイドルに設定すると共に、前記第1無線通信システムをアクティブに設定して当該第1無線通信システムにより通信を行い、
前記第2無線通信システムによる第1のタイマ期間内において、前記第2無線通信システムの新たな第2セルが見つかった場合には前記アイドルを継続し、前記第2無線通信システムの新たな第2セルが見つからない場合にはサービス範囲外の処理を行うように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする付記1に記載の無線局。
【0227】
(付記5)
前記制御回路は、
前記無線局が前記第1無線通信システムに接続されている時、
前記第1無線通信システムの他の無線局からの第1周辺セル情報に、現在接続している前記第1無線通信システムの第1セル内に前記第2無線通信システムの第2セルが存在することが含まれる場合、前記第2無線通信システムのサービス範囲外または前記アイドルの処理において周辺セルサーチを実施するように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする付記1に記載の無線局。
【0228】
(付記6)
前記制御回路は、
前記無線局が前記第1無線通信システムに接続されている時、
前記第1無線通信システムの他の無線局からの第1周辺セル情報に、現在接続している前記第1無線通信システムの第1セルの他の無線局と同じ場所に前記第2無線通信システムの第2セルの他の無線局が存在することが含まれる場合、
接続している前記第1無線通信システムの第1セルの受信信号強度または搬送波レベル対干渉・雑音比が第1の基準を満足した場合、前記第2無線通信システムのサービス範囲外または前記アイドルの処理において周辺セルサーチを実施するように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする付記5に記載の無線局。
【0229】
(付記7)
前記制御回路は、
前記無線局が前記第2無線通信システムに接続されている時、
前記第2無線通信システムの他の無線局からの第2周辺セル情報に、現在接続している前記第2無線通信システムの第2セルに対して,直接接している隣接セル,または,直接接してはいないが近くの近接セルが存在することが判別可能な情報として含まれる場合、
接続している前記第2無線通信システムの第2セルに対して,ハンドオーバ可能な前記隣接セルがなく、且つ、前記近隣セルが存在する場合には接続している前記第2無線通信システムをアイドルに設定して前記第1無線通信システムに切り替え、前記近隣セルが存在しない場合には接続している前記第2無線通信システムをアイドルに設定せずに切断処理を行うように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする付記1に記載の無線局。
【0230】
(付記8)
前記制御回路は、
通信システムを前記第2無線通信システムから前記第1無線通信システムに切り替える時、
前記第1無線通信システムの他の無線局からの第1周辺セル情報に、現在接続している前記第1無線通信システムの第1セル内に前記第2無線通信システムの第2セルが存在することが含まれる場合、前記第2無線通信システムのサービス範囲外または前記アイドルの処理において周辺セルサーチを実施するように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする付記7に記載の無線局。
【0231】
(付記9)
前記制御回路は、
前記無線局が前記第1無線通信システムに接続されている時、
前記第1無線通信システムの他の無線局からの第1周辺セル情報に、現在接続している前記第1無線通信システムの第1セルの他の無線局と同じ場所に前記第2無線通信システムの第2セルの他の無線局が存在することが含まれる場合、
接続している前記第1無線通信システムの第1セルの受信信号強度または搬送波レベル対干渉・雑音比が第1の基準を満足した場合、前記第2無線通信システムのサービス範囲外または前記アイドルの処理において周辺セルサーチを実施するように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする付記8に記載の無線局。
【0232】
(付記10)
第1サービスエリアを有する第1セルの第1無線通信システムにより通信を行う第1無線通信回路と、
前記第1サービスエリアよりも狭い第2サービスエリアを有する第2セルの第2無線通信システムにより通信を行う第2無線通信回路と、
通信システムを前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムの間で切り替えて通信を制御する制御回路と、を有し、
前記制御回路は、通信システムを前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムの間で切り替える時に、前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御して切り替え前の通信システムをアイドルに設定する、
ことを特徴とする半導体装置。
【0233】
(付記11)
前記制御回路は、
通信システムを前記第1無線通信システムから前記第2無線通信システムに切り替える時、
前記第1無線通信システムをアイドルに設定すると共に、前記第2無線通信システムをアクティブに設定して当該第2無線通信システムにより通信を行い、
前記第1無線通信システムの周辺セルサーチを停止するように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする付記10に記載の半導体装置。
【0234】
(付記12)
前記制御回路は、
通信システムを前記第2無線通信システムから前記第1無線通信システムに切り替える時、
前記第2無線通信システムをアイドルに設定すると共に、前記第1無線通信システムをアクティブに設定して当該第1無線通信システムにより通信を行い、
前記第2無線通信システムによる第1のタイマ期間内において、前記第2無線通信システムの新たな第2セルが見つかった場合には前記アイドルを継続し、前記第2無線通信システムの新たな第2セルが見つからない場合にはサービス範囲外の処理を行うように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする付記10に記載の半導体装置。
【0235】
(付記13)
前記制御回路は、
前記無線局が前記第1無線通信システムに接続されている時、
前記第1無線通信システムの他の無線局からの第1周辺セル情報に、現在接続している前記第1無線通信システムの第1セル内に前記第2無線通信システムの第2セルが存在することが含まれる場合、前記第2無線通信システムのサービス範囲外または前記アイドルの処理において周辺セルサーチを実施するように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする付記10に記載の半導体装置。
【0236】
(付記14)
前記制御回路は、
前記無線局が前記第2無線通信システムに接続されている時、
前記第2無線通信システムの他の無線局からの第2周辺セル情報に、現在接続している前記第2無線通信システムの第2セルに対して,直接接している隣接セル,または,直接接してはいないが近くの近接セルが存在することが判別可能な情報として含まれる場合、
接続している前記第2無線通信システムの第2セルに対して,ハンドオーバ可能な前記隣接セルがなく、且つ、前記近隣セルが存在する場合には接続している前記第2無線通信システムをアイドルに設定して前記第1無線通信システムに切り替え、前記近隣セルが存在しない場合には接続している前記第2無線通信システムをアイドルに設定せずに切断処理を行うように、
前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御する、
ことを特徴とする付記10に記載の半導体装置。
【0237】
(付記15)
第1サービスエリアを有する第1セルの第1無線通信システムにより通信を行う第1無線局と、
前記第1サービスエリアよりも狭い第2サービスエリアを有する第2セルの第2無線通信システムにより通信を行う第2無線局と、
前記第1無線局または前記第2無線局と通信を行う第3無線局と、を含む無線通信システムであって、
前記第3無線局は、
前記第1無線通信システムにより通信を行う第1無線通信回路と、
前記第2無線通信システムにより通信を行う第2無線通信回路と、
通信システムを前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムの間で切り替えて通信を制御する制御回路と、を有し、
前記制御回路は、通信システムを前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムの間で切り替える時に、前記第1無線通信回路および前記第2無線通信回路を制御して、切り替え前の通信システムをアイドルに設定する
ことを特徴とする無線通信システム。
【0238】
(付記16)
第1サービスエリアを有する第1セルの第1無線通信システムにより通信を行う第1無線局と、
前記第1サービスエリアよりも狭い第2サービスエリアを有する第2セルの第2無線通信システムにより通信を行う第2無線局と、
前記第1無線局または前記第2無線局と通信を行う第3無線局と、を含む無線通信システムの制御方法であって、
前記第3無線局によって、前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムのいずれか一方により、前記第1無線局および前記第2無線局のいずれか一方との間で通信を行い、
前記第3無線局において、通信システムを前記第1無線通信システムおよび前記第2無線通信システムの間で切り替える時に、切り替え前の通信システムをアイドルに設定する、
ことを特徴とする無線通信システムの制御方法。
【0239】
(付記17)
前記第3無線局において、通信システムを前記第1無線通信システムから前記第2無線通信システムに切り替える時、
前記第3無線局において、前記第1無線通信システムをアイドルに設定すると共に、前記第2無線通信システムをアクティブに設定して当該第2無線通信システムにより前記第2無線局と通信を行い、
前記第1無線通信システムの周辺セルサーチを停止する、
ことを特徴とする付記16に記載の無線通信システムの制御方法。
【0240】
(付記18)
前記第3無線局において、通信システムを前記第2無線通信システムから前記第1無線通信システムに切り替える時、
前記第3無線局において、前記第2無線通信システムをアイドルに設定すると共に、前記第1無線通信システムをアクティブに設定して当該第1無線通信システムにより前記第1無線局と通信を行い、
前記第2無線通信システムによる第1のタイマ期間内において、前記第2無線通信システムの新たな第2セルが見つかった場合には前記アイドルを継続し、前記第2無線通信システムの新たな第2セルが見つからない場合にはサービス範囲外の処理を行う、
ことを特徴とする付記16に記載の無線通信システムの制御方法。
【0241】
(付記19)
前記第3無線局が前記第1無線通信システムにより前記第1無線局と通信を行っている時、
前記第3無線局において、前記第1無線通信システムの前記第1無線局からの第1周辺セル情報に、現在接続している前記第1無線通信システムの第1セル内に前記第2無線通信システムの第2セルが存在することが含まれる場合、前記第2無線通信システムのサービス範囲外または前記アイドルの処理において周辺セルサーチを実施する、
ことを特徴とする付記16に記載の無線通信システムの制御方法。
【0242】
(付記20)
前記第3無線局が前記第2無線通信システムにより前記第2無線局と通信を行っている時、
前記第3無線局において、前記第2無線通信システムの前記第2無線局からの第2周辺セル情報に、現在接続している前記第2無線通信システムの第2セルに対して,直接接している隣接セル,または,直接接してはいないが近くの近接セルが存在することが判別可能な情報として含まれる場合、
接続している前記第2無線通信システムの第2セルに対して,ハンドオーバ可能な前記隣接セルがなく、且つ、前記近隣セルが存在する場合には接続している前記第2無線通信システムをアイドルに設定して前記第1無線通信システムに切り替え、前記近隣セルが存在しない場合には接続している前記第2無線通信システムをアイドルに設定せずに切断処理を行う、
ことを特徴とする付記16に記載の無線通信システムの制御方法。
【符号の説明】
【0243】
1,101 CPU(アプリケーションプロセッサ)
2 LTE(狭域通信システム)部
3 WCDMA(広域通信システム)部
10,110 システム切り替え管理装置
10a,110a 周辺セル情報処理部
10b,110b 受信電界強度/CINR判定処理部
10c,110c 周辺セルサーチ結果情報処理部
10d,110d システム選択処理部
21,121 LTEプロトコル処理部
22 LTEベースバンド処理部
23,33 高周波(RF)モジュール
24,34 パワーアンプ(PA)
25,35 ローノイズアンプ(LNA)
26,36 RSSI計算ユニット
27,37 CINR計算ユニット
28,38,381〜384 アンテナ
31,131 WCDMAプロトコル処理部
32 WCDMAベースバンド処理部
100 半導体装置(SoC)
102 LTEベースバンドプロセッサ
103 WCDMAベースバンドプロセッサ
104 WiMAXベースバンドプロセッサ
105 RFインターフェース
141 WiMAXプロトコル処理部
142 WiMAXベースバンド処理部
200 SDRAM
300 無線局(移動端末,MS)
301 アプリケーションプロセッサ
302 第1無線通信部
303 第2無線通信部
304 第3無線通信部
306 パワー管理装置
307 バッテリ
351 フラッシュメモリ
352 マイク
353 スピーカ
354 ディスプレイ
355 SDRAM(メモリ)
BS1,BS2,BS3,BS30 基地局
LC0,LC1,LC3,LC4 大セル(WCDMAのセル)
MS 移動端末
SC1,SC2,SC3 小セル(LTEのセル)
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