(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<分散構成多機能周辺装置の構成>
図1に、本願に係る第1実施形態として例示される分散構成多機能周辺装置1のブロック図を示す。分散構成多機能周辺装置1は、多機能周辺装置(以下「MFP」と称す)10と、回線制御装置(以下「BOX」と称す)31とを備える。BOX31は、電話回線47を使用した通信の制御を行う通信装置である。MFP10は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などを備える。また、MFP10とBOX31とは、アドホックモードの無線LAN接続方式により、直接に無線通信202を行うことが可能とされる。
【0013】
MFP10の構成について説明する。MFP10は、CPU11、ROM12、RAM13、EEPROM14、無線LAN送受信部15、無線LANアンテナ部16、ボタン入力部17、パネル18、プリンタ19、スキャナ20、NFCリーダ24、を主に備えている。これらの構成要素は、入出力ポート22を介して互いに通信可能に接続されている。
【0014】
CPU11は、ROM12等に記憶されるプログラムや、無線LAN送受信部15を介して送受信される各種信号などに従って、各機能の制御を行う。ROM12は、MFP10で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリであり、後述する無線LAN簡単設定処理などを実行する各プログラムが格納されている。RAM13は、書換可能な揮発性のメモリである。RAM13には、後述する発呼情報や着呼情報が記憶される。EEPROM14は、書換可能な不揮発性のメモリである。
【0015】
無線LAN送受信部15は、無線LANアンテナ部16を介して、アドホックモードの無線通信202を行う。そして、無線LAN送受信部15により、各種のデータを構成するデジタル信号が送受信される。なお、無線LAN方式の例としては、例えばIEEE802.11a/b/g/nの規格で定められる通信方式が挙げられる。ボタン入力部17は、MFP10の各機能を実行するためのキーである。パネル18は、MFP10の各種機能情報を表示する。プリンタ19は、印刷を実行する部位である。スキャナ20は、読み取りを実行する部位である。スキャナ20は、原稿台23およびセンサ21を備える。原稿台23は、スキャナ20で読み込むための原稿を載置する部位である。原稿台23は、ADF(Auto Document Feederの略)を備えていても良い。また原稿台23は、FB(Flat Bedの略)でもよい。原稿台23に載置される原稿の一例としては、FAX送信用の原稿が挙げられる。センサ21は、原稿台23に載置された原稿の有無や、原稿のサイズを検出するためのセンサである。
【0016】
NFCリーダ24は、NFCタグ74との間でNFC通信204を行う。NFC通信204は、NFCインターフェースプロトコルの通信方式による近接場型の無線通信であり、通信エリアがおよそ1メートル以内の極短距離である通信である。NFC通信の種類には、赤外線通信や、ブルートゥース(登録商標)が含まれる。
【0017】
BOX31の構成について説明する。BOX31は、CPU32、ROM33、RAM34、EEPROM35、無線LAN送受信部36、無線LANアンテナ部37、操作キー38、パネル39、モデム40、通信回線接続部41、DCL送受信部45、DCLアンテナ部46を主に備えている。
【0018】
モデム40は、通信回線接続部41および電話回線47を介して、通信回線網100に接続されている。モデム40は、ファクシミリ機能によって送信する原稿データを、通信回線網100に伝送可能な信号に変調して通信回線接続部41を介して送信したり、通信回線網100から通信回線接続部41を介して入力された信号を受信し、原稿データへ復調するものである。
【0019】
無線LANアンテナ部37は、2.4(GHz)帯を使用する装置である。無線LAN送受信部36は、無線LANアンテナ部37を介して、アドホックモードの無線通信202を行う。そして、無線LAN送受信部36により、各種のデータを構成するデジタル信号が送受信される。また、DCLアンテナ部46は、1.9(GHz)帯を使用する装置である。DCL送受信部45は、DCLアンテナ部46を介して、子機60と無線通信203を行う。そして、DCL送受信部45により、音声通話信号が送受信される。無線通信203は、NFC通信204よりも通信可能距離が大きい通信である。また、無線通信203の通信速度は、NFC通信204の通信速度よりも高速である。
【0020】
RAM34には、発呼情報、着呼情報、通話先電話番号、などが記憶される。EEPROM35には、送信データ、FAX電話番号、などが記憶される。これらの情報の内容については、後述する。なお、BOX31のその他の構成は、上述したMFP10の構成と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0021】
子機60の構成について説明する。子機60は、CPU62、ROM63、RAM75、EEPROM76、ボタン入力部68、パネル69、DCL送受信部65、DCLアンテナ部66、マイク70、レシーバ71、スピーカ72、振動部73、NFCタグ74、入出力ポート64、を主に備えている。マイク70は、通話時のユーザの音声を取得する送話部である。レシーバ71は、通話時に相手方の音声を再生する受話部である。スピーカ72は、着信音などを鳴動させる部位である。振動部73は、子機60を振動させる部位である。NFCタグ74は、NFCリーダ24との間でNFC通信204を行う。なお、子機60のその他の構成は、上述したMFP10およびBOX31の構成と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。また子機60は、子機の各々を一意に識別するための情報である子機IDが割り当てられている。子機IDはROM63に記憶される。子機IDを用いることにより、子機60が複数備えられる場合においても、各々の子機を区別することが可能となる。
【0022】
また、子機60とMFP51とは、NFC通信204を行うことが可能とされている。よって、子機60をMFP51に近接させる(例:かざす)ことにより、NFC通信204を行える状態になることで、子機60とMFP51との間で各種の情報を通信することが可能になる。
【0023】
分散構成多機能周辺装置1について説明する。分散構成多機能周辺装置1は、BOX31およびMFP10を備えることによって、物理的に分離した構成とされる。これにより、電話回線47のコネクタ部にMFP10を直接に接続する必要がないため、MFP10のレイアウト性を高めることができ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0024】
また例えば、分散構成多機能周辺装置1でファクシミリ機能を実行する場合には、MFP10のスキャナ20で生成されたデータが、BOX31を介して通信回線網100へ送信される。また、BOX31が通信回線網100から受信したデータが、MFP10で受信され、プリンタ19で印刷される。
【0025】
<BOXの動作>
図2〜
図4を用いて、BOX31の動作を説明する。S110においてCPU32は、子機60から発呼情報および通話先電話番号を受信したか否かを判断する。発呼情報は、通話先電話番号によって特定される通話先へ、子機60から電話をかけたことを示す情報である。受信した場合(S110:YES)にはS120へ進む。S120においてCPU32は、発呼情報および通話先電話番号をRAM34に記憶させるとともに、MFP10へ送信する。またCPU32は、ロック開始通知をMFP10へ送信する。ロック開始通知は、MFP10にロック制御を開始させるための命令である。ロック制御は、送信データをスキャナ20に生成させない制御である。ロック制御は、子機60で音声通話が行われている期間中に行われる制御である。そしてS122へ進む。
【0026】
一方、S110において発呼情報を受信していない場合(S110:NO)には、S112へ進む。S112においてCPU32は、通信回線網100から、呼出信号およびナンバーディスプレイ情報を受信したか否かを判断する。ナンバーディスプレイ情報は、発呼元の通話先電話番号を示す情報である。受信していない場合(S112:NO)にはS126へ進み、受信した場合(S112:YES)にはS114へ進む。S114においてCPU32は、ナンバーディスプレイ情報に基づいて、発呼元の通話先電話番号を取得する。そして、子機60へ呼出音鳴動指示を送信する。
【0027】
S116においてCPU32は、子機60から外線接続指示を受信したか否かを判断する。外線接続指示は、例えば、子機60に備えられる通話開始ボタンをユーザが押下することで、子機60からBOX31へ送信される。外線接続指示を受信していない場合(S116:NO)にはS126へ進み、受信した場合(S116:YES)にはS118へ進む。
【0028】
S118においてCPU32は、着呼情報および通話先電話番号をRAM34に記憶させるとともに、MFP10へ送信する。着呼情報は、通話先電話番号によって特定される通話先から、電話がかかってきたことを示す情報である。またCPU32は、ロック開始通知をMFP10へ送信する。S122においてCPU32は、子機60を外線接続状態にする。これにより、子機60を用いた通話処理を実行することが可能となる。
【0029】
S126においてCPU32は、子機60から通話終了指示を受信したか否かを判断する。通話終了指示は、子機60を用いた通話処理を終了させることを指示する情報である。通話終了指示を受信していない場合(S126:NO)にはS133へ進み、受信した場合(S126:YES)にはS128へ進む。S128においてCPU32は、通信回線網100との接続を切断し、通話処理を終了させる。S130においてCPU32は、ロック終了通知をMFP10へ送信する。ロック終了通知は、MFP10にロック制御を終了させるための命令である。ロック終了通知により、子機60の通話期間外において、送信データの生成をスキャナ20に実行させることが可能となる。そしてS133へ進む。
【0030】
S133においてCPU32は、子機60から第1送信受付情報を受信したか否かを判断する。第1送信受付情報は、スキャナ20で原稿を読み込んで送信データを生成し、生成した送信データを通信回線網100を介してデータ送信先へ送信する処理の実行命令である。
【0031】
S135においてCPU32は、MFP10へ第2送信受付報知情報を送信する。第2送信受付報知情報は、原稿を読み込んで送信データを生成する処理を、スキャナ20に実行させるための命令である。S137においてCPU32は、MFP10から原稿セットタイミング回答を受信したか否かを判断する。原稿セットタイミング回答は、原稿が原稿台23にセットされた原稿セットタイミングと、子機60での音声通話が開始された通話開始タイミングとの前後関係を示す情報である。原稿セットタイミング回答を受信していない場合(S137:NO)にはS141へ進み、受信した場合(S137:YES)にはS138へ進む。
【0032】
S138においてCPU32は、原稿セットタイミングが通話開始タイミングの前であるか否かを、原稿セットタイミング回答に基づいて判断する。原稿セットタイミングが通話開始タイミングの後であると判断された場合(S138:NO)には、S142へ進む。S142においてCPU32は、原稿セットタイミングが通話開始タイミングの後であることを回答する原稿セットタイミング回答を、子機60へ送信する。そしてS143へ進む。
【0033】
一方、S138において、原稿セットタイミングが通話開始タイミングの前であると判断された場合(S138:YES)には、S139へ進む。S139においてCPU32は、原稿セットタイミングが通話開始タイミングの前であることを回答する原稿セットタイミング回答を、子機60へ送信する。そしてS141へ進む。
【0034】
S141においてCPU32は、子機60からFAX送信指示を受信したか否かを判断する。FAX送信指示は、FAX送信処理の実行命令である。FAX送信指示を受信していない場合(S141:NO)にはS145へ進み、受信した場合(S141:YES)にはS143へ進む。S143においてCPU32は、FAX送信指示をMFP10へ送信する。
【0035】
S145においてCPU32は、送信データおよびFAX電話番号をMFP10から受信したか否かを判断する。送信データおよびFAX電話番号を受信した場合(S145:YES)には、FAX電話番号で指定された送信先へ送信データを送信する場合であると判断される。すなわち、子機60の通話期間外に、FAX送信が開始された場合であると判断される。この場合、S146へ進み、CPU32は、FAX電話番号で特定される送信先へ、送信データを送信する。そしてS110へ戻る。
【0036】
一方、S145において、送信データおよびFAX電話番号をMFP10から受信していない場合には、S147へ進む。S147においてCPU32は、送信データをMFP10から受信したか否かを判断する。送信データのみを受信した場合(S147:YES)には、子機60で通話中の通話先へ送信データを送信する場合であるため、FAX電話番号が不要な場合であると判断される。すなわち、子機60の通話期間中に、FAX送信が開始された場合であると判断される。そしてS148へ進む。一方、S147において送信データを受信していない場合(S147:NO)には、S110へ戻る。
【0037】
S148においてCPU32は、子機60へFAX送信中の報知命令を送信する。FAX送信中の報知命令は、通話先の相手にFAX送信を実行中であることをユーザに報知する動作を、子機60に実行させるための命令である。
【0038】
S162においてCPU32は、CNG信号を音声通話先の機器へ送出する。CNG信号は、通信先の機器に対し自機がFAXであることを通知するため用いられる、FAX識別信号である。これにより、子機60で音声通話を行っている音声通話先を、送信データ(S256)のデータ送信先とすることができる。
【0039】
S164においてCPU32は、音声通話先の機器から、CED信号およびDIS信号を受信したか否かを判断する。CED信号は、FAX通信における最初の回線確立シーケンス段階で、発信側より送信されたCNG信号に対し、被呼側が送信する応答信号である。DIS信号は、受信側の機器の機能を、送信側FAX機へ伝えるための信号である。CED信号およびDIS信号を受信していない場合(S164:NO)にはS164へ戻る。一方、受信した場合(S164:YES)には、BOX31と音声通話先の機器との間でFAX送信用の回線が確立される。これにより、送信データの送受信を行うことが可能となる。そして、S182へ進む。
【0040】
S182においてCPU32は、MFP10へFAX送信報知命令を送信する。FAX送信報知命令は、送信データをデータ送信先へ送信することを報知する動作を、MFP10に実行させるための命令である。S184においてCPU32は、FAX送信処理を実行する。これにより、EEPROM35に記憶されている送信データが、データ送信先へ送信される。
【0041】
S186においてCPU32は、FAX送信が完了したか否かを判断する。完了していない場合(S186:NO)にはS186へ戻り、完了した場合(S186:YES)にはS188へ進む。S188においてCPU32は、回線を開放する。S190においてCPU32は、FAX終了報知命令をMFP10および子機60へ送信する。FAX終了報知命令は、送信データの送信が完了したことを報知する動作を、MFP10および子機60に実行させるための命令である。そしてS110へ戻る。
【0042】
<MFPの動作>
図5および
図6を用いて、MFP10の動作を説明する。S210においてCPU11は、発呼情報または着呼情報、通話先電話番号、およびロック開始通知を、BOX31から受信したか否かを判断する。受信していない場合(S210:NO)にはS216へ進み、受信した場合(S210:YES)にはS212へ進む。S212においてCPU11は、受信した発呼情報または着呼情報、通話先電話番号、およびロック開始通知を、RAM13に記憶させる。S214においてCPU11は、ロック中情報をパネル18に表示させる。ロック中情報は、子機60を用いた音声通話の実行中期間であるため、スキャナ20がロックされ、原稿を読み込んで送信データを生成することができない状態であることを示す情報である。
【0043】
S216においてCPU11は、ロック終了通知をBOX31から受信したか否かを判断する。受信していない場合(S216:NO)にはS220へ進み、受信した場合(S216:YES)にはS218へ進む。S218においてCPU11は、RAM13に記憶されている、発呼情報または着呼情報、通話先電話番号、およびロック開始通知を削除する。S219においてCPU11は、ロック中情報のパネル18への表示を終了させる。
【0044】
S220においてCPU11は、ボタン入力部17に備えられている、本体送信ボタンが押下されたか否かを判断する。本体送信ボタンは、MFP10の原稿台23にセットされた原稿をFAX送信する指示を入力するためのボタンである。本体送信ボタンが押下された場合(S220:YES)にはS222へ進み、押下されていない場合(S220:NO)にはS221へ進む。
【0045】
S221においてCPU11は、BOX31から第2送信受付報知情報を受信したか否かを判断する。受信していない場合(S221:NO)にはS210へ戻り、受信した場合(S221:YES)にはS222へ進む。
【0046】
S222においてCPU11は、ロック制御の期間中(すなわち、子機60の通話期間中)であるか否かを判断する。ロック制御の期間中ではない場合(S222:NO)には、子機60の通話先へ送信データが送信されてしまう事態が発生しない場合であると判断され、S224へ進む。S224においてCPU11は、スキャナ20を動作させ、送信データを生成する。S226においてCPU11は、送信データおよびFAX電話番号をBOX31へ送信する。そしてS260へ進む。
【0047】
一方、S222においてロック制御の期間中である場合(S222:YES)には、送信データを送信してよいか否かを判断する必要がある場合であると判断され、S231へ進む。S231においてCPU11は、NFC信号を子機60から受信中であるか否かを判断する。受信中である場合(S231:YES)には、MFP51の所定距離(例:10cm)以内に子機60が存在していることにより、NFC通信204を行える状態になっている場合であると判断できる。よって、S256へ進む。一方、NFC信号を子機60から受信中ではない場合(S231:NO)には、S232へ進む。
【0048】
S232においてCPU11は、原稿セットタイミングが、通話開始タイミングの前であるか否かを判断する。この判断は、例えば、原稿台23に原稿が載置されたことをセンサ21が検出したタイミングが、BOX31から発呼情報、着呼情報、通話先電話番号などを受信した前であるか否かを判断することよって行うことができる。
【0049】
原稿セットタイミングが、通話開始タイミングの前である場合(S232:YES)には、S236へ進む。S236においてCPU11は、通話開始前に原稿をセットしたことを示す原稿セットタイミング回答を生成する。S240においてCPU11は、生成した原稿セットタイミング回答をBOX31へ送信する。S242においてCPU11は、FAX送信指示をBOX31から受信したか否かを判断する。受信していない場合(S242:NO)にはS242へ戻り、受信した場合(S242:YES)にはS256へ進む。
【0050】
一方、S232において、原稿セットタイミングが、通話開始タイミングの後である場合(S232:NO)には、S246へ進む。S246においてCPU11は、通話開始後に原稿をセットしたことを示す原稿セットタイミング回答を生成する。S248においてCPU11は、生成した原稿セットタイミング回答をBOX31へ送信する。そしてS256へ進む。
【0051】
S256においてCPU11は、スキャナ20を動作させ、送信データを生成する。S258においてCPU11は、送信データをBOX31へ送信する。S260においてCPU11は、BOX31からFAX送信報知命令を受信したか否かを判断する。受信していない場合(S260:NO)にはS260へ戻り、受信した場合(S260:YES)にはS262へ進む。S262においてCPU11は、送信中情報をパネル18に表示させる。送信中情報は、送信データを送信中であることを示す情報である。送信中情報によって、送信データの送信先が子機60の通話先と同一であることを、パネル18に表示させてもよい。
【0052】
S264においてCPU11は、BOX31からFAX終了報知命令を受信したか否かを判断する。受信していない場合(S264:NO)にはS264へ戻り、受信した場合(S264:YES)にはS266へ進む。S266においてCPU11は、送信完了情報をパネル18に所定時間の間表示させる。送信完了情報は、送信データの送信が完了したことを示す情報である。そしてS210へ戻る。
【0053】
<子機の動作>
図7および
図8を用いて、子機60の通話動作を説明する。S310においてCPU62は、発呼操作の入力を受け付けたか否かを判断する。発呼操作の入力は、例えば、ユーザがボタン入力部68を操作して、通話先電話番号を入力して通話開始ボタンを押下することによって、受け付けられる。発呼操作の入力が受け付けられた場合(S310:YES)には、S312へ進み、CPU62は、発呼情報および通話先電話番号をBOX31へ送信する。そしてS318へ進む。
【0054】
一方、S310において発呼操作の入力が受け付けられていない場合(S310:NO)には、S314へ進む。S314においてCPU62は、呼出音鳴動指示をBOX31から受信したか否かを判断する。受信していない場合(S314:NO)にはS310へ戻り、受信した場合(S314:YES)にはS316へ進む。S316においてCPU62は、通話開始操作の入力を受け付けたか否かを判断する。通話開始操作の入力は、例えば、ユーザがボタン入力部68の通話開始ボタンを押下することによって、受け付けられる。通話開始操作の入力が受け付けられていない場合(S316:NO)にはS310へ戻り、受け付けられた場合(S316:YES)にはS317へ進む。S317においてCPU62は、外線接続指示をBOX31へ送信する。そしてS318へ進む。
【0055】
S318においてCPU62は、通話処理を実行する。また、S322においてCPU62は、通話中であることを示す通話中情報を、パネル69に表示させる。
【0056】
S325においてCPU62は、手動送信ボタンが押下されたか否かを判断する。手動送信ボタンは、MFP10の原稿台23にセットされた原稿をFAX送信する指示を入力するためのボタンである。手動送信ボタンは、ボタン入力部68に備えられているとしてもよい。手動送信ボタンが押下されていない場合(S325:NO)にはS327へ進む。S327においてCPU62は、原稿セットタイミング回答をBOX31から受信したか否かを判断する。受信した場合(S327:YES)にはS360へ進み、受信していない場合(S327:NO)にはS338へ進む。S338においてCPU62は、通話終了操作の入力を受け付けたか否かを判断する。通話開始操作の入力は、例えば、ユーザがボタン入力部68の通話終了ボタンを押下することによって、受け付けられる。通話終了操作の入力が受け付けられていない場合(S338:NO)にはS325へ戻り、受け付けられた場合(S338:YES)にはS340へ進む。S340においてCPU62は、BOX31へ通話終了指示を送信する。S342においてCPU62は、通話中情報をパネル69から消去する。そしてS310へ戻る。
【0057】
一方、S325において、手動送信ボタンが押下された場合(S325:YES)には、S352へ進む。S352においてCPU62は、第1送信受付情報をBOX31へ送信する。S356においてCPU62は、原稿セットタイミング回答をBOX31から受信したか否かを判断する。受信していない場合(S356:NO)にはS356へ戻り、受信した場合(S356:YES)にはS360へ進む。
【0058】
S360においてCPU62は、原稿セットタイミングが通話開始タイミングの前であるか否かを、原稿セットタイミング回答に基づいて判断する。原稿セットタイミングが通話開始タイミングの後であると判断された場合(S360:NO)には、S376へ進む。一方、原稿セットタイミングが通話開始タイミングの前であると判断された場合(S360:YES)には、S364へ進む。S364においてCPU62は、「通話前から原稿がセットしてあります。FAX原稿がこの原稿でよろしければ、子機の手動送信ボタンを再度押下して下さい」という内容のメッセージを、パネル69に表示させる。S368においてCPU62は、手動送信ボタンが押下されたか否かを判断する。押下されていない場合(S368:NO)にはS368へ戻り、押下された場合(S368:YES)にはS372へ進む。S372においてCPU62は、BOX31へFAX送信指示を送信する。
【0059】
S376においてCPU62は、FAX送信中の報知命令をBOX31から受信したか否かを判断する。受信していない場合(S376:NO)にはS376へ戻り、受信した場合(S376:YES)にはS380へ進む。S380においてCPU62は、「FAX送信中」のメッセージを、パネル69に表示させる。S384においてCPU62は、FAX終了報知命令をBOX31から受信したか否かを判断する。受信していない場合(S384:NO)にはS380へ戻り、受信した場合(S384:YES)にはS388へ進む。S388においてCPU62は、「FAX送信完了」のメッセージを、パネル69に所定時間表示させる。そしてS310へ戻る。
【0060】
<効果>
あるユーザが子機60を用いて音声通話を行っている期間中に、別のユーザがMFP10を操作して送信データを送信する場合には、通信回線の接続先である音声通話先へ送信データが送信されてしまう。本明細書に記載の分散構成多機能周辺装置1では、あるユーザが子機60を用いて音声通話を行っている期間中(S222:YES)に、別のユーザがMFP10を用いて送信データを送信しようとした場合(S220:YES)には、子機60を使用中のユーザが子機60の手動送信ボタンを押下してデータ送信を許可することを条件として(S368:YES⇒S141:YES⇒S242:YES)、送信データを音声通話先へ送信することが可能となる(S258、S184)。これにより、別のユーザが意図しない相手先(音声通話先)に送信データが送信されてしまう、という事態が発生することを防止できる。
【0061】
原稿セットタイミングが通話開始タイミングの後であると判断される場合(S232:NO)には、子機60を用いて音声通話を実行しているユーザが原稿をセットした場合であると判断することができる。すなわち、音声通話を実行しているユーザと送信データを送信するユーザとが一致する場合であると判断することができる。これは、FAXを送信する前に電話で相手に一報を入れる場合や、音声通話中にFAXの送信依頼を通話先から受けた場合には、通話開始後に原稿をセットする場合が多いためである。そして、音声通話を実行しているユーザと送信データを送信するユーザとが一致する場合には、ユーザが意図しない相手先(音声通話先)に送信データが送信されてしまう、という事態が発生しない。よって、子機60を使用中のユーザがデータ送信を許可することを条件とせずに(S242を経由せずに)、送信データをMFP10に生成させることができる(S256)。これにより、子機60を使用中のユーザが子機60の手動送信ボタンを押下する、という操作を省略することができるため、ユーザの利便性を高めることが可能となる。
【0062】
ユーザが子機60を用いて音声通話を行っている期間中(S222:YES)に子機60からFAX送信の実行命令が入力された場合(S221:YES)において、MFP10がNFC信号を子機60から受信中である場合(S231:YES)には、子機60を用いて音声通話を実行しているユーザが原稿をセットした場合であると判断することができる。すなわち、音声通話を実行しているユーザと送信データを送信するユーザとが一致する場合であると判断することができる。これは、MFP10が子機60からNFC信号を受信中である場合には、子機60を使用しているユーザがMFP10のごく近傍にいる状態であるため、原稿台23に載置されている原稿が、自身の原稿であるか否かを把握しているとみなすことができるためである。そして、音声通話を実行しているユーザと送信データを送信するユーザとが一致する場合には、ユーザが意図しない相手先(音声通話先)に送信データが送信されてしまう、という事態が発生しない。よって、原稿セットタイミングを判断することなく(S232〜S248を経由することなく)、送信データを送信(S258、S184)することが可能となる。
【0063】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0064】
<変形例>
子機60が手動送信ボタンを備えるとともに、MFP10が本体送信ボタンを備える形態を説明したが、この形態に限られない。何れか一方のみに送信ボタンが備えられている形態であってもよい。
【0065】
送信データは、スキャン処理(S224)により生成されたデータに限られない。インターネットを介して取得されたデータなどの各種のデータを、送信データとして取り扱うことが可能である。
【0066】
なお、スキャナ20は、読取手段の一例である。無線LAN送受信部15、無線LANアンテナ部16は、送信手段の一例である。MFP10は多機能通信装置の一例である。子機60は、無線通信端末の一例である。無線通信202は、送信データの通信の一例である。無線LANアンテナ部37は、第1通信部の一例である。無線通信203は、第1無線通信の一例である。NFC通信204は、第2無線通信の一例である。DCLアンテナ部46は、第2通信部の一例である。通信回線接続部41は、通信回線部の一例である。電話回線47は、通信回線の一例である。通信回線網100は、通信回線網の一例である。BOX31は、回線制御装置の一例である。分散構成多機能周辺装置1は、通信装置の一例である。ロック開始通知は、第1制御命令の一例である。ロック終了通知は、第2制御命令の一例である。S118、S120、S130を実行するCPUは、データ生成制御手段の一例である。S146、S184を実行するCPUは、送信手段の一例である。FAX送信指示は、第1送信命令の一例である。FAX送信指示は、第3制御命令の一例である。S138を実行するCPUは、受信手段の一例である。第1送信受付情報は、第2送信命令の一例である
。第2送信受付報知情報は、第4制御命令の一例である。