(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、入床後の使用者が入眠し易く入眠後の使用者の体温の過剰な低下を抑える睡眠環境制御システムとしては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この睡眠環境制御システムは、室内空間を空調する空調機(空調手段)と、呼吸、心拍、体動などの生体状態情報を取得するドップラレーダーセンサーと云った使用者(就寝者)の睡眠状態を判定する睡眠状態取得システムと、睡眠状態取得システムにより判定された睡眠状態と運転モードとに応じて、空調機の設定温度を決定し、室内空間の温度が設定温度となるように空調機を制御する制御手段とを備え、制御手段は、使用者が睡眠開始した場合、運転モードが冷房運転であれば、設定温度を初期設定温度を下回る温度まで徐々に下げ、その後、使用者が深睡眠に入った場合、設定温度を初期設定温度を上回る温度に設定するものである。
【0003】
また、例えば特許文献2に記載されたものが知られている。この睡眠環境制御システムは、ベッドに温度センサー、湿度センサーを付加し、ベッド内の使用者(人)の温冷感を推定し、複数の使用者の温冷感の平均値により、寝室の温度及び湿度の制御を行なうとともに、ベッド自体も温度湿度を制御する。温度湿度の調整は寝室を空調機(エアコン)で、ベッドをヒータ、送風機で行なうものである。
【0004】
また、例えば特許文献3に記載されたものが知られている。この睡眠環境制御システムは、室内温度を設定する室内温度設定手段と、赤外線センサー等によって室内での使用者(人)の体動を検出する体動検知手段と、おやすみ運転を作動させるおやすみ作動手段とを備え、前記おやすみ作動手段でおやすみ運転が作動した後、前記体動検知手段で検出された使用者の体動の頻度が所定値以下のままで所定時間経過するまで、前記室内温度設定手段により室内温度設定を、第1の所定温度だけ低い側にシフトさせ、その後、前記室内温度設定を、第2の所定温度だけ高い側にシフトさせるように制御する為の睡眠判定手段を有するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、使用者の睡眠状態を判定する睡眠状態取得システムとしてドップラレーダーセンサーと云ったセンサーを使用して呼吸、心拍、体動などの生体状態情報を取得している。ところが、呼吸、心拍などを測定するセンサーは高価であり、睡眠環境制御システムが高価になると云う問題がある。
【0007】
また、特許文献2では、使用者の発汗の増減が湿度の増減に反映されるまでに時間を要する為、寝室の温度湿度の調整に遅れが出る。即ち、使用者の発汗停止後に汗の蒸発に代わって体温が過剰に奪われるのを低減するタイミングでの寝室の温度上昇設定が間に合わないおそれがある。
【0008】
また、特許文献3では、使用者の睡眠判定を行なう体動検知手段として、赤外線センサーと云ったセンサーを使用して体動の頻度を取得している。ところが、体動の頻度では発汗量を測定することは難しく、使用者の発汗停止後に汗の蒸発に代わって体温が過剰に奪われるのを低減するタイミングでの寝室の温度上昇設定が間に合わないおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、安価な荷重センサーを使用し使用者の入床後の体動数を把握してタイムリーに寝室の温度降下を行なうと共に入床後の使用者の入眠を促進し、タイムリーに寝室の温度上昇を行なうと共に発汗停止後の使用者の体温が過剰に奪われるのを低減する、睡眠環境制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明において講じた第1の課題解決手段は、脚を具備するベッドと、前記脚に設置され前記脚に掛かる荷重を検出する荷重センサーと、ベッドを収容する部屋を空調する空調機と、前記荷重センサーにて検出された荷重の変動に基づきベッド上にいる人の睡眠状態を判定し、前記人の睡眠状態に基づき前記空調機の設定温度を決定する温度決定部と、前記部屋の温度が前記温度決定部によって決定され設定温度になる様に前記空調機を制御する制御部と、を備え
、前記温度決定部は、前記荷重センサーにて検出された荷重の変動数から体動数を算出する体動数算出部と、前記体動数が所定数を超えているか否かを判定する体動数判定部と、前記体動数が所定数を超えているときに前記人が入力した初期設定温度を読み込み設定温度を初期設定温度よりも低い温度へ変更する第1の温度変更部と、を有し、前記温度決定部は、前記荷重センサーにて検出された荷重の減少量から前記人の体重の減少量を算出する体重減少算出部と、前記体重の減少量が所定量を超えているか否かを判定する体重減少判定部と、前記体重の減少量が所定量以下であるときに前記制御部が前記部屋の設定温度を初期設定温度よりも高い温度へ変更する第2の温度変更部と、を有する、構成である。
【0012】
また、本発明の第
2の課題解決手段は、
脚を具備するベッドと、前記脚に設置され前記脚に掛かる荷重を検出する荷重センサーと、ベッドを収容する部屋を空調する空調機と、前記荷重センサーにて検出された荷重の変動に基づきベッド上にいる人の睡眠状態を判定し、前記人の睡眠状態に基づき前記空調機の設定温度を決定する温度決定部と、前記部屋の温度が前記温度決定部によって決定され設定温度になる様に前記空調機を制御する制御部と、を備え、前記温度決定部は、前記荷重センサーにて検出された荷重に基づいて体重を算出する体重算出部と、前記荷重センサーにて検出された荷重の減少量から前記人の体重の減少量を算出する体重減少算出部と、前記体重の減少量が所定量を超えているか否かを判定する体重減少判定部と、前記体重の減少量が所定量以下であるときに前記制御部が前記部屋の設定温度を初期設定温度よりも高い温度へ変更する第2の温度変更部と、を有する、構成である。
【0014】
また、本発明の第
3の課題解決手段は、ベッドの脚に設置された荷重センサーにより前記ベッドの前記脚に掛かる荷重を検出する荷重検出ステップと、空調機によりベッドを収容する部屋を空調する空調ステップと、前記荷重センサーにて検出された荷重の変動に基づきベッドの上にいる人の睡眠状態を判定し、前記人の睡眠状態に基づき前記空調機の設定温度を決定する温度決定ステップと、前記部屋の温度が前記温度決定ステップによって決定された設定温度になる様に前記空調機を制御する制御ステップと、
を有し、前記温度決定ステップは、前記荷重センサーにて検出された荷重の変動数から体動数を算出する体動数算出ステップと、前記体動数が所定数を超えているか否かを判定する体動数判定ステップと、前記体動数が所定数を超えているときに前記人が入力した初期設定温度を読み込み設定温度を初期設定温度よりも低い温度へ変更する第1の温度変更ステップと、を有し、前記温度決定ステップは、前記荷重センサーにて検出された荷重の減少量から前記人の体重の減少量を算出する体重減少量算出ステップと、前記体重の減少量が所定量を超えているか否かを判定する体重減少判定ステップと、前記体重の減少量が所定量以下であるときに前記制御部が前記部屋の設定温度を初期設定温度よりも高い温度へ変更する第2の温度変更ステップと、を有する、睡眠環境制御方法である。
【0016】
また、本発明の第
4の課題解決手段は、
ベッドの脚に設置された荷重センサーにより前記ベッドの前記脚に掛かる荷重を検出する荷重検出ステップと、空調機によりベッドを収容する部屋を空調する空調ステップと、前記荷重センサーにて検出された荷重の変動に基づきベッド上にいる人の睡眠状態を判定し、前記人の睡眠状態に基づき前記空調機の設定温度を決定する温度決定ステップと、前記部屋の温度が前記温度決定ステップによって決定された設定温度になる様に前記空調機を制御する制御ステップと、を有し、前記温度決定ステップは、前記荷重センサーにて検出された荷重に基づいて体重を算出する体重算出ステップと、前記荷重センサーにて検出された荷重の減少量から前記人の体重の減少量を算出する体重減少量算出ステップと、前記体重の減少量が所定量を超えているか否かを判定する体重減少判定ステップと、前記体重の減少量が所定量以下であるときに前記制御部が前記部屋の設定温度を初期設定温度よりも高い温度へ変更する第2の温度変更ステップと、を有する、睡眠環境制御方法である。
【発明の効果】
【0018】
第1の課題解決手段によれば、本発明の睡眠環境制御システムは、ベッドの脚に設置され脚に掛かる荷重を検出する荷重センサーと、ベッドを収容する部屋を空調する空調機と、荷重センサーにて検出された荷重の変動に基づきベッド上にいる人の睡眠状態を判定し、人の睡眠状態に基づき空調機の設定温度を決定する温度決定部と、部屋の温度が温度決定部によって決定され設定温度になる様に空調機を制御する制御部と、を有する構成である。これにより、睡眠環境制御システムは荷重計と云った安価な荷重センサーを使用し、人の入床後の体動数を把握してタイムリーに部屋の温度降下を行なうと共に入床後の人の入眠を促進することが出来る。更に、睡眠環境制御システムは汗の蒸発を湿度センサーよりも素早く測定可能な荷重計と云った応答性の良い荷重センサーは、タイムリーに寝室の温度上昇を行なうと共に発汗停止後の人の体温が過剰に奪われるのを低減することが出来る。
【0019】
また、本発明の睡眠環境制御システムは、
温度決定部は、荷重センサーにて検出された荷重の変動数から体動数を算出する体動数算出部と、体動数が所定数を超えているか否かを判定する体動数判定部と、体動数が所定数を超えているときに人が入力した初期設定温度を読み込み設定温度を初期設定温度よりも低い温度へ変更する第1の温度変更部と、を有する構成である。これにより、制御部は人の体動数から人の寝苦しさを判定し、人の体動数が所定数を超えているときに部屋の室温を低くして人が寝入り易くすることが出来る。
【0020】
また、本発明の睡眠環境制御システムは、
温度決定部は、荷重センサーにて検出された荷重の減少量から前記人の体重の減少量を算出する体重減少量算出部と、体重の減少量が所定量を超えているか否かを判定する体重減少判定部と、体重の減少量が所定量以下であるときに制御部が部屋の設定温度を初期設定温度よりも高い温度へ変更する第2の温度変更部と、を有する構成である。これにより、制御部は
人の体動数から人の寝苦しさを判定し、人の体動数が所定数を超えているときに部屋の室温を低くして人が寝入り易くすることが出来る。更に、制御部は人の体重減少量の有無から人の発汗と人の体に付着した汗の有無を判定し、人の体が冷えすぎることを低減することが出来る。
【0021】
第
2の課題解決手段によれば、本発明の睡眠環境制御システムは、温度決定部は、荷重センサーにて検出された荷重
に基づいて体重を算出する体重算出部と、荷重センサーにて検出された荷重の減少量から人の体重の減少量を算出する体重減少量算出部と、体重の減少量が所定量を超えているか否かを判定する体重減少判定部と、体重の減少量が所定量以下であるときに制御部が前記部屋の設定温度を初期設定温度よりも高い温度へ変更する第2温度変更部と、を有する構成である。
これにより、制御部は人の体重減少量の有無から人の発汗と人の体に付着した汗の有無を判定し、人の体が冷えすぎることを低減することが出来る。
【0022】
第
3の課題解決手段によれば、本発明の睡眠環境制御システムは、ベッドの脚に設置された荷重センサーにより前記ベッドの前記脚に掛かる荷重を検出する荷重検出ステップと、空調機によりベッドを収容する部屋を空調する空調ステップと、荷重センサーにて検出された荷重の変動に基づきベッド上にいる人の睡眠状態を判定し、人の睡眠状態に基づき空調機の設定温度を決定する温度決定ステップと、部屋の温度が温度決定ステップによって決定された設定温度になる様に空調機を制御する制御ステップと、を有する睡眠環境制御方法である。これにより、睡眠環境制御システムは荷重計と云った安価な荷重センサーを使用し、人の入床後の体動数を把握してタイムリーに部屋の温度降下を行なうと共に入床後の人の入眠を促進することが出来る。更に、睡眠環境制御システムは汗の蒸発を湿度センサーよりも素早く測定可能な荷重計と云った応答性の良い荷重センサーは、タイムリーに寝室の温度上昇を行なうと共に発汗停止後の人の体温が過剰に奪われるのを低減することが出来る。
【0023】
また、本発明の睡眠環境制御システムは、温度決定ステップは、荷重センサーにて検出された荷重の変動数から体動数を算出する体動数算出ステップと、体動数が所定数を超えているか否かを判定する体動数判定ステップと、体動数が所定数を超えているときに人が入力した初期設定温度を読み込み設定温度を初期設定温度よりも低い温度へ変更する第1の温度変更ステップと、を有する睡眠環境制御方法である。これにより、制御部は人の体動数から人の寝苦しさを判定し、人の体動数が所定数を超えているときに部屋の室温を低くして人が寝入り易くすることが出来る。
【0024】
また、本発明の睡眠環境制御システムは、
温度決定ステップは、荷重センサーにて検出された荷重の減少量から前記人の体重の減少量を算出する体重減少量算出ステップと、体重の減少量が所定量を超えているか否かを判定する体重減少判定ステップと、体重の減少量が所定量以下であるときに制御部が部屋の設定温度を初期設定温度よりも高い温度へ変更する第2の温度変更ステップと、を有する睡眠環境制御方法である。これにより、制御部は人の
体動数から人の寝苦しさを判定し、人の体動数が所定数を超えているときに部屋の室温を低くして人が寝入り易くすることが出来る。更に、制御部は人の体重減少量の有無から人の発汗と人の体に付着した汗の有無を判定し、人の体が冷えすぎることを低減することが出来る。
【0025】
第
4の課題解決手段によれば、本発明の睡眠環境制御システムは、温度決定ステップは、荷重センサーにて検出された荷重
に基づいて体重を算出する体重算出ステップと、荷重センサーにて検出された荷重の減少量から前記人の体重の減少量を算出する体重減少量算出ステップと、体重の減少量が所定量を超えているか否かを判定する体重減少判定ステップと、体重の減少量が所定量以下であるときに制御部が部屋の設定温度を初期設定温度よりも高い温度へ変更する第2の温度変更ステップと、を有する睡眠環境制御方法である。
これにより、制御部は人の体重減少量の有無から人の発汗と人の体に付着した汗の有無を判定し、人の体が冷えすぎることを低減することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に於ける、睡眠環境制御システム1の説明図である。寝室の床面2には、ベッド4が設置されている。ベッド4は、フレーム5と、フレーム5の下に4本の脚6と、フレーム5の上にマットレス7と、フレーム5の側面にヘッドボード8と、を有している。4本の脚6と床面2との間には、荷重計11(荷重センサー)が設置されている。ヘッドボード8の中には、荷重計11の荷重から使用者(ベッド上にいる人)の体動量およびまたは使用者の体重低減量を測定して使用者の睡眠状態およびまたは覚醒状態(寝苦しさ)を判定する制御基板(制御部)12が設置されている。建物の壁面3には、制御基板12で判定され使用者の寝苦しさに応じて制御基板12から出される設定温度信号に対応して寝室(ベッドを収容する部屋)の温度を制御するエアコン13が設置されている。
【0029】
なお、荷重計11には、荷重計11の代わりに歪計と云った他の荷重センサーを使用しても良い。ベッドを収容する部屋は、寝室以外に、病室、介護室、と云った他の部屋にも適用可能である。
【0030】
次に本実施形態の動作について説明する。
【0031】
図2は、本実施形態に於ける、睡眠環境制御システム1の動作フローチャートであり、以下の様にスタートステップS0から高温化ステップS7までを有している。
【0032】
(スタートステップS0)
制御基板11は、睡眠環境制御システム1へAC100V交流電源が接続されたことを検出し、荷重計11を使用してマットレス7に掛かっている荷重の測定を開始できる状態にする。なお、制御基板11は、このステップでベッド4やマットレス7と云った使用者が乗っていない状態で荷重計11に掛かる荷重を読み込むかまたは別途入力可能にする。そして、使用者がマットレス7へ乗った時に使用者の体重を読み込むかまたは別途入力することも可能にする。AC100V交流電源は、代わりに単3乾電池と云った電池を使用しても良い。
【0033】
(初期設定温度入力ステップS1)
使用者が入床時またはその前後にエアコン13の温度を設定しなかったときにはエアコン13を使用開始した時に設定されていた設定温度を、使用者が入床時またはその前後にエアコン13の温度を設定したときにはその設定温度を初期設定温度として制御基板12へ読み込む。制御基板12へ初期設定温度を読み込む方法は、WiFi通信を使用する。なお、WiFi通信の代わりに無線LAN、インターネットと云った他の通信手段で代用するかまたは他の通信手段と組み合わせて代用することも可能である。
【0034】
(室温読み込みステップS2)
制御部は、寝室の室温を測定して制御基板12へ読み込む。なお、制御部の代わりに空調機が寝室の室温を測定しWiFi通信を使用して制御基板12へ送信することも可能である。
【0035】
(エアコン13制御ステップS3)
制御部は、寝室の室温が設定温度になるようにWiFi通信を使用してエアコン13を制御する。設定温度は、入床前およびまたは、入床後に体動数が所定数を超えるか入床後に体重減少量が所定量以下になるまでは初期設定温度に設定されている。設定温度は、入床後に体動数が所定数を超えている時には初期設定温度より2℃低い温度に設定される。設定温度は、入床後に体重減少量が所定量以下になったときに初期設定温度より2℃高い温度に設定される。体動数の所定数は、
図4に示す睡眠判定式の算出結果が0の値が相当する。体重減少量の所定量は、体重減少量が0の値が相当する。
【0036】
(荷重読み込みステップS4)
制御部は、ベッド4の脚6に設置された荷重センサーに掛かっている荷重を1分毎に読み込み、荷重の変動数を使用者の体動数に変換して体動数を記憶する。なお、荷重の読み込み間隔は変更可能である。
【0037】
(体動数算出ステップS5)
制御部は、ベッド4の脚6部に掛かっている荷重の変動数を体動数に変換し、体動数を記憶する。
【0038】
(体動数(睡眠状態)判定ステップS6)
制御基板12は、
図4に例示される睡眠判定式から体動数を睡眠状態に変換する。即ち、制御基板12は制御基板12に記憶された10分前から1分前までの1分毎の各体動数にそれぞれ係数を掛け合わせた結果を足した値から定数を差し引くことによって睡眠状態を算出する。算出結果が0を超えていれば、制御基板12は使用者が覚醒状態であり寝苦しさを感じていると判断する。算出結果が0以下であれば、制御基板12は使用者が睡眠状態であり寝苦しさを感じていないと判断する。
【0039】
(第1の温度変更ステップS7)
制御基板12は、睡眠判定式の算出結果が0を超えていれば、使用者が覚醒状態であり寝苦しさを感じていると判断し使用者が寝入り易くするために設定温度を初期設定温度よりも2℃低い温度へ変更する。その後、制御基板12は、制御を室温読み込みステップS2へ戻す。
【0040】
制御基板12は、算出結果が0以下であれば、使用者が睡眠状態であり寝苦しさを感じていないと判断し、現在の設定温度を維持する。この場合、現在の設定温度は、後述する第2の温度変更ステップS11で設定される設定温度になる。
【0041】
(体重算出ステップS8)
制御基板12は、ベッド4の脚6に設置された荷重センサーに掛かっている荷重を1分毎に読み込み、荷重を使用者の体重に変換して体重を記憶する。なお、荷重の読み込み間隔は変更可能である。
【0042】
(体重減少量算出ステップS9)
制御基板12は、記憶された使用者の体重から使用者の体重減少量を算出する。
【0043】
(体重減少(睡眠状態)判定ステップS10)
制御基板12は、使用者の体重減少量が0になり且つ0の状態が5分続いたときに使用者が睡眠状態であり寝苦しさを感じていないと判断する。制御基板12は、使用者の体重減少量が0になり且つ0の状態が5分続いた状態になるまでは制御を室温読み込みステップS2へ戻す。
【0044】
(第2の温度変更ステップS11)
制御基板12は、使用者が睡眠状態であると判断したときに使用者の体が冷えすぎないようにするために設定温度を初期設定温度よりも2℃高い温度へ変更する。その後、制御基板12は、制御を室温読み込みステップS2へ戻す。
【0045】
なお、WiFi通信の代わりに無線LAN、インターネットと云った他の通信手段で代用するかまたは他の通信手段と組み合わせて代用することも可能である。
【0046】
図3は、本実施形態に於ける、使用者の体動数と体重、および睡眠環境制御システム1のシステム動作と制御温度のタイミングチャート例である。制御基板12は、エアコン13に記憶された寝室空調温度の初期設定値を読み込んで空調を開始または継続している。制御基板12は、荷重計11で使用者の体動を検知するとエアコン13の寝室空調温度を初期設定値よりも2℃下げて使用者を急冷する。これにより、使用者の体温が徐々に低下して使用者の入眠が促されると共に使用者の発汗が減少すると共に体表面の汗が蒸発して行く。汗の蒸発によって荷重計11に掛かる荷重が徐々に減少し、使用者の発汗が停止した後に汗の蒸発も停止する。制御基板12は、使用者の汗の蒸発の停止に伴って荷重計11に掛かる荷重が徐々に減る現象が停止した後にエアコン13の寝室空調温度を初期設定値よりも2℃上げる。この動作は、使用者が暑く無くなって発汗が停止し汗の蒸発も停止した為、これ以上急冷すると使用者の健康に悪影響を及ぼすことから制御基板12に組み込まれた制御である。
【0047】
荷重計11で使用者の体重変動有無を検知している間、即ち使用者がベッド4で就寝している間、制御基板12は荷重計11を介した体動量検知により寝室空調温度を初期設定値よりも2℃下げる動作と荷重計11を介した体重低減量検知により寝室空調温度を初期設定値よりも2℃上げる動作とを繰り返す。荷重計11で使用者の体重を検知しなくなった時点、即ち使用者が起床した時点で、制御基板12は寝室空調温度を初期設定値に戻す。
【0048】
なお、ここでは寝室空調温度の初期設定値はエアコン13に予め記憶されている形態で記載しているが、使用者によって途中で変更されることも可能である。使用者の体重低減量の所定値は、普段の使用者の寝方、即ち掛け布団から使用者の顔、手、足、および体幹部のうちのいずれか一ヶ所以上が出ている出方に合わせて変更可能である。
【0049】
図4は、本実施形態に於ける、睡眠環境制御システム1の睡眠判定式例である。この睡眠判定式は、モニター評価から得た結果に基づいて「体動数と睡眠状態の関係」を表したものである。モニター者の体動数から計算された値Zが0(ゼロ、体動の所定値)よりも大きい時にはモニター者は覚醒状態であり、Zが0以下の時には睡眠状態であることを表している。覚醒状態には、ベッド4上でモニター者の意識が朦朧としている状態とモニター者が寝ぼけまなこでトイレに行ったにもかかわらずトイレに行ったことを覚えていない状態とを含んでいる。モニター結果から、上に記載したモニター者のZの値とモニター者の覚醒およびまたは睡眠状態とは合っていた。
【0050】
図5は、本実施形態に於ける、睡眠環境制御システム1内部の睡眠判定結果例で、(a)は睡眠判定結果例、(b)は体重変動量の結果例である。
図4の睡眠判定式に照らしてZを計算し、
図5(a)で睡眠判定値Zが0以下である状態から0を超える時点の前後でモニター者が覚醒した為、エアコン13の寝室空調温度を初期設定値よりも2℃下げたところモニター者の入眠を促進することが出来た。従って、本実施形態に於ける、睡眠環境制御システム1に於いても
図4の睡眠判定式と
図5の設定変更基準に基づいて寝室空調温度を初期設定値よりも2℃下げる動作を行なっている。
【0051】
図5(b)で体重変動量(使用者の体動量変化)が「入床時から5分間の体重変動微分値の最大値」を5分連続で下回った場合にも、寝室空調温度を初期設定値よりも2℃上げる動作を行なっている。この動作は、使用者の体動が入床後5分間の体動よりも小さくなったと云うことは使用者の暑さによる寝苦しさが無くなったものと判断して、使用者の体の急冷を継続して使用者の健康に悪影響を及ぼすことを防止する為に行なうものである。この動作は、
図3に於いて使用者が暑く無くなって発汗が停止し汗の蒸発も停止した為、これ以上急冷すると使用者の健康に悪影響を及ぼすことを防止させた方法のバックアップ制御として睡眠環境制御システム1に組み組み込むことも可能である。即ち、
図3に示した方法で万が一荷重減少の時間が長すぎて使用者の体を冷やしすぎることが発生しても、
図5(b)に示した方法で使用者の体を冷やしすぎることを低減するものである。但し、モニター評価では
図3に示した方法と
図5に示した方法の結果が概ね同じ程度の結果を示していたので、あくまでも万が一に備えた制御方法である。
【0052】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0053】
本発明の睡眠環境制御システム1は、ベッド4の脚6に設置され脚6に掛かる荷重を検出する荷重センサーと、ベッド4を収容する部屋を空調する空調機と、荷重センサーにて検出された荷重の変動に基づきベッド4上にいる人の睡眠状態を判定し、人の睡眠状態に基づき空調機の設定温度を決定する温度決定部と、部屋の温度が温度決定部によって決定され設定温度になる様に空調機を制御する制御部と、を有する構成である。これにより、睡眠環境制御システム1は荷重計11と云った安価な荷重センサーを使用し、人の入床後の体動数を把握してタイムリーに部屋の温度降下を行なうと共に入床後の人の入眠を促進することが出来る。更に、睡眠環境制御システム1は汗の蒸発を湿度センサーよりも素早く測定可能な荷重計11と云った応答性の良い荷重センサーは、タイムリーに寝室の温度上昇を行なうと共に発汗停止後の人の体温が過剰に奪われるのを低減することが出来る。
【0054】
本発明の睡眠環境制御システム1は、温度決定部は、荷重センサーにて検出された荷重の変動数から体動数を算出する体動数算出部と、体動数が所定数を超えているか否かを判定する体動数判定部と、体動数が所定数を超えているときに人が入力した初期設定温度を読み込み設定温度を初期設定温度よりも低い温度へ変更する第1の温度変更部と、を有する構成である。これにより、制御部は人の体動数から人の寝苦しさを判定し、人の体動数が所定数を超えているときに部屋の室温を低くして人が寝入り易くすることが出来る。
【0055】
本発明の睡眠環境制御システム1は、温度決定部は、荷重センサーにて検出された荷重に基づいて体重を算出する体重算出部と、荷重センサーにて検出された荷重の減少量から前記人の体重の減少量を算出する体重減少量算出部と、体重の減少量が所定量を超えているか否かを判定する体重減少判定部と、体重の減少量が所定量以下であるときに制御部が部屋の設定温度を初期設定温度よりも高い温度へ変更する第2の温度変更部と、を有する構成である。これにより、制御部は人の体重減少量の有無から人の発汗と人の体に付着した汗の有無を判定し、人の体が冷えすぎることを低減することが出来る。
【0056】
本発明の睡眠環境制御システム1は、温度決定部は、荷重センサーにて検出された荷重の減少量から人の体重の減少量を算出する体重減少量算出部と、体重の減少量が所定量を超えているか否かを判定する体重減少判定部と、体重の減少量が所定量以下であるときに制御部が前記部屋の設定温度を初期設定温度よりも高い温度へ変更する第2の温度変更部と、を有する構成である。これにより、制御部は人の体動数から人の寝苦しさを判定し、人の体動数が所定数を超えているときに部屋の室温を低くして人が寝入り易くすることが出来る。更に、制御部は人の体重減少量の有無から人の発汗と人の体に付着した汗の有無を判定し、人の体が冷えすぎることを低減することが出来る。
【0057】
本発明の睡眠環境制御システム1は、ベッド4の脚6に設置された荷重センサーにより前記ベッド4の前記脚6に掛かる荷重を検出する荷重検出ステップと、空調機によりベッド4を収容する部屋を空調する空調ステップと、荷重センサーにて検出された荷重の変動に基づきベッド4上にいる人の睡眠状態を判定し、人の睡眠状態に基づき空調機の設定温度を決定する温度決定ステップと、部屋の温度が温度決定ステップによって決定された設定温度になる様に空調機を制御する制御ステップと、を有する睡眠環境制御方法である。これにより、睡眠環境制御システム1は荷重計11と云った安価な荷重センサーを使用し、人の入床後の体動数を把握してタイムリーに部屋の温度降下を行なうと共に入床後の人の入眠を促進することが出来る。更に、睡眠環境制御システム1は汗の蒸発を湿度センサーよりも素早く測定可能な荷重計11と云った応答性の良い荷重センサーは、タイムリーに寝室の温度上昇を行なうと共に発汗停止後の人の体温が過剰に奪われるのを低減することが出来る。
【0058】
本発明の睡眠環境制御システム1は、温度決定ステップは、荷重センサーにて検出された荷重の変動数から体動数を算出する体動数算出ステップと、体動数が所定数を超えているか否かを判定する体動数判定ステップと、体動数が所定数を超えているときに人が入力した初期設定温度を読み込み設定温度を初期設定温度よりも低い温度へ変更する第1の温度変更ステップと、を有する睡眠環境制御方法である。これにより、制御部は人の体動数から人の寝苦しさを判定し、人の体動数が所定数を超えているときに部屋の室温を低くして人が寝入り易くすることが出来る。
【0059】
本発明の睡眠環境制御システム1は、温度決定ステップは、荷重センサーにて検出された荷重に基づいて体重を算出する体重算出ステップと、荷重センサーにて検出された荷重の減少量から前記人の体重の減少量を算出する体重減少量算出ステップと、体重の減少量が所定量を超えているか否かを判定する体重減少判定ステップと、体重の減少量が所定量以下であるときに制御部が部屋の設定温度を初期設定温度よりも高い温度へ変更する第2の温度変更ステップと、を有する睡眠環境制御方法である。これにより、制御部は人の体重減少量の有無から人の発汗と人の体に付着した汗の有無を判定し、人の体が冷えすぎることを低減することが出来る。
【0060】
本発明の睡眠環境制御システム1は、温度決定ステップは、荷重センサーにて検出された荷重の減少量から前記人の体重の減少量を算出する体重減少量算出ステップと、体重の減少量が所定量を超えているか否かを判定する体重減少判定ステップと、体重の減少量が所定量以下であるときに制御部が部屋の設定温度を初期設定温度よりも高い温度へ変更する第2の温度変更ステップと、を有する睡眠環境制御方法である。これにより、制御部は人の体動数から人の寝苦しさを判定し、人の体動数が所定数を超えているときに部屋の室温を低くして人が寝入り易くすることが出来る。更に、制御部は人の体重減少量の有無から人の発汗と人の体に付着した汗の有無を判定し、人の体が冷えすぎることを低減することが出来る。
【0061】
(付記項1)
睡眠環境制御システム11は、空調機がベッド44の使用者の乗る面に設置されたエアマットレスの中の気体の設定温度を変更する、構成である。これにより、部屋全体では無く使用者周辺のみの温度調節をすることが可能になり、省エネを図ると共に複数の使用者の一人一人に合わせた温度制御が出来る様になる。
【0062】
(付記項2)
睡眠環境制御システム11は、家族、親類、ナースステーション、介護施設の職員詰め所、ホームドクター、およびベッド4メーカー、のいずれか一ヶ所以上へ使用者の睡眠状態を通知する有線通信装置およびまたは無線通信装置を制御基板1212に備える構成である。これにより、家族、親類、ナースステーション、介護施設の職員詰め所、ホームドクター、およびベッド4メーカー、のいずれか一ヶ所以上に居る介助者およびまたは管理者が使用者の睡眠状態を監視し易くすることができる。更に、ナースステーションおよびまたはベッド4メーカーと云った集中管理所のモニタで多数の使用者の睡眠状態を集中して監視し、監視効率を向上させることも可能である。
【0063】
(付記項1)
睡眠環境制御システム1は、空調機がベッド4の使用者の乗る面に設置されたエアマットレスの中の気体の設定温度を変更する、構成である。これにより、部屋全体では無く使用者周辺のみの温度調節をすることが可能になり、省エネを図ると共に複数の使用者の一人一人に合わせた温度制御が出来る様になる。
【0064】
(付記項2)
睡眠環境制御システム1は、家族、親類、ナースステーション、介護施設の職員詰め所、ホームドクター、およびベッドメーカー、のいずれか一ヶ所以上へ使用者の睡眠状態を通知する有線通信装置およびまたは無線通信装置を制御基板12に備える構成である。これにより、家族、親類、ナースステーション、介護施設の職員詰め所、ホームドクター、およびベッドメーカー、のいずれか一ヶ所以上に居る介助者およびまたは管理者が使用者の睡眠状態を監視し易くすることができる。更に、ナースステーションおよびまたはベッドメーカーと云った集中管理所のモニタで多数の使用者の睡眠状態を集中して監視し、監視効率を向上させることも可能である。