(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
図1を参照し、第1実施形態の撮像装置10の構成について説明する。
図1に示す撮像装置10は、例えばデジタルカメラであり、撮像部11、画像処理装置12、メモリ13、外部記憶媒体15、表示部16を有している。
【0014】
撮像部11は、撮像素子11a及びA/D変換回路11bを有している。撮像素子11aは、例えばCCDイメージセンサであり、色フィルタ成分{赤(R)、緑(G)、青(B)}がベイヤ配列されたカラーフィルタを介して入射光を受光する。撮像素子11aは、カラーフィルタを介して受光した入射光を撮像信号に変換してA/D変換回路11bに出力する。A/D変換回路11bは、撮像素子11aから入力されるRGB形式の撮像信号を画像データ(ベイヤ信号)に変換して画像処理装置12に出力する。ベイヤ信号における各画素値のビット幅は、例えば12ビットである。
【0015】
画像処理装置12は、撮像部11から入力されるベイヤ信号に対して画像処理やデータ形式の変換処理を施す。画像処理装置12は、各処理の所定段階で画像データ(ベイヤ信号等)をメモリ13に一時的に格納する。従って、メモリ13は作業メモリとして機能する。メモリ13は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)である。
【0016】
また、画像処理装置12は、メモリ13に格納した画像処理後の画像データを外部記憶媒体15に格納したり、表示部16に出力したりする。外部記憶媒体15は、例えばSDメモリカード(登録商標)である。表示部16は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)である。
【0017】
次に、画像処理装置12の内部構成について説明する。
画像処理装置12は、プリプロセス処理部21、画像合成部22、画像処理部23、コーデック処理部24、中央処理装置(CPU)26、調停回路27、記憶媒体用インターフェース回路28、表示用インターフェース回路29を有し、これら各回路が共有バス31によって互いに接続されている。この共有バス31は、アドレスバス、コントロールバス及びデータバスを有している。
【0018】
プリプロセス処理部21は、撮像部11から入力される1フレームのベイヤ信号に対し、例えばホワイトバランス調整、ゲイン調整、欠陥信号の補正等の前処理を施す。プリプロセス処理部21は、処理後のベイヤ信号(以下、「第1ベイヤ信号」という)をメモリ13の所定の領域に格納する。
【0019】
画像合成部22は、メモリ13からプリプロセス処理部21により前処理された1フレームの第1ベイヤ信号を読み出し、第1ベイヤ信号に対して他のベイヤ信号(メニュー表示用の文字データやCG画像等)を重畳する処理を施す。本実施形態の撮像装置10は、撮像部11からプリプロセス処理部21を介して入力される第1ベイヤ信号に合成する画像データ(以下、「第2ベイヤ信号」という)がベイヤ形式でメモリ13に格納されている。第2ベイヤ信号は、例えば不揮発性の記憶媒体(例えばROM)に格納され(メニュー表示用の文字データなど)、外部記憶媒体15に格納されあるいはCPU26により演算され(CG画像など)、所定の処理段階でCPU26によりメモリ13に読み出される。画像合成部22は、合成したベイヤ信号(以下、「第3ベイヤ信号」という)をメモリ13に格納する。
【0020】
画像処理部23は、メモリ13から画像合成部22により合成処理された1フレームの第3ベイヤ信号を読み出し、第3ベイヤ信号にデモザイキング処理等を施し、YCbCr信号に変換する処理を実行する。画像処理部23は、変換後のYCbCr信号をメモリ13に格納する。
【0021】
コーデック処理部24は、メモリ13から画像処理部23により変換されたYCbCr信号を読み出し、そのYCbCr信号を所定の方式(ここでは、JPEG方式)により符号化し、符号化後の画像データをメモリ13に格納する。
【0022】
CPU26は、各回路の動作を統括制御する制御装置であり、各画像データの解析、解析結果に基づく必要な情報の各回路への設定及びデータの書き込み/読み出し制御等を実行する。また、CPU26は、画像合成部22に対し第1ベイヤ信号のどの部分に第2ベイヤ信号を合成するかを示すデータ(以下、「合成位置情報」という)CIを画像合成部22に対して出力する。画像合成部22は、合成位置情報CIに基づいて、第1及び第2ベイヤ信号の合成処理を実行する。
【0023】
各処理部(画像合成部22を含む)は、メモリ13にデータを書き込む又は読み出すために共有バス31の使用権を要求するための信号を調停回路27に出力する。調停回路27は、要求信号に応じて各処理部に対して調停回路27の使用権を設定する。
【0024】
記憶媒体用インターフェース回路28は、外部記憶媒体15に対するデータ入出力を実行する。CPU26は、コーデック処理部24により変換されたJPEG方式の画像データをメモリ13から読み出し、記憶媒体用インターフェース回路28を介して外部記憶媒体15に格納する。表示用インターフェース回路29は、メモリ13から転送される画像データを、表示部16が対応し得る形式のデータに変換して該表示部16に出力する。
【0025】
次に、
図2を用いて画像処理部23の構成について説明する。
図2に示すように、画像処理部23は、補間処理部41、ガンマ変換部42、輪郭強調部43、フォーマット変換部44を有する。
【0026】
補間処理部41は、画像合成部22により合成処理された第3ベイヤ信号に対しデモザイキング処理(画素補間処理)を施す。デモザイキング処理では、例えば、第3ベイヤ信号の各画素に対して周辺の他の色の画素(R画素であればG、B画素)の画素値を補間した画像データ(以下、「RGB信号」という)を生成する。なお、このRGB信号は、例えば1画素あたりのデータ幅が12ビットのベイヤ信号を補間処理すると、1画素あたりのデータ幅が36ビットとなる、即ち処理前の第3ベイヤ信号のデータ量に比べてデータ量が3倍となる。
【0027】
ガンマ変換部42は、表示部16等のデバイス特性(ガンマ特性)に合わせるための処理、所謂ガンマ補正を行う。輪郭強調部43は、画像全体の鮮明感を向上させるために空間フィルタを用いて輪郭(エッジ)強調やノイズ除去等の処理を行う。フォーマット変換部44は、RGB信号をYCbCr信号に変換する処理を実行する。
【0028】
次に、画像データの合成について
図3を用いて説明する。
例えば、
図3に示す第1ベイヤ信号51に第2ベイヤ信号52を合成する処理について説明する。説明の便宜上、第1ベイヤ信号51を、1フレームに縦12、横12の格子状の画素が配置された画像データを想定する。また、第2ベイヤ信号52を、縦6、横6の格子状の画素が配置された画像データ(例えばCG画像)を想定する。
【0029】
なお、第1及び第2ベイヤ信号51,52の各画素に示す文字は、各画素に対応するカラーフィルタの色フィルタ成分{赤(R)、緑(G)、青(B)}を示す。また、第2ベイヤ信号52のハッチングで示される部分は有色である画素を示す。また、第2ベイヤ信号52のハッチングがない部分は無色(透明)である画素、即ち第1ベイヤ信号51に重畳した場合に第1ベイヤ信号51の画素値が合成した値となる画素を示している。
【0030】
画像合成部22は、第1ベイヤ信号51の各画素について順に合成処理を実行する。例えば、画像合成部22は、第1ベイヤ信号51の処理対象の画素(以下、「第1注目画素」という)62を、1ライン目の画素位置(1,1)から画素位置(1,2)の順に1画素ずつ(
図3において右方向に)移動させながら合成する処理を実行する。また、画像合成部22は、同様の処理を1ラインから12ラインの順に各ラインで実行する。この際に、画像合成部22は、第1注目画素62の画素位置が合成する位置になると、第2ベイヤ信号52の処理対象の画素(第2注目画素)63の画素位置を同様に移動させながら第1及び第2注目画素62,63を合成する処理を実行する。
【0031】
まず、
図3に示す矢印61aの場合について説明する。矢印61aに示す場合では、第1注目画素62が画素位置(1,3)のR画素の場合に、第2注目画素63が画素位置(1,1)のR画素となる場合を示す。この場合の合成処理について
図4に従って説明する。CPU26(
図2参照)は、合成位置情報CIを画像合成部22に出力する(
図4のステップ101)。この合成位置情報CIは、合成する画素の位置や合成される画像データの大きさ等の情報を含む。例えばCPU26は、合成が開始される位置(この場合、第1ベイヤ信号51の画素位置(1,3))及び第2ベイヤ信号52の画素数(6×6)に係る情報を合成位置情報CIとして画像合成部22に出力する。なお、合成位置情報CIの内容は、第1及び第2ベイヤ信号51,52の大きさ・画素値等に応じて適宜変更する。
【0032】
次いで、画像合成部22は、メモリ13から1フレームの第1ベイヤ信号51と、第2ベイヤ信号52とを読み出す(ステップ102)。なお、画像合成部22は、メモリ13から読み出した第1及び第2ベイヤ信号51,52を画像合成部22が有するバッファ(図示略)に一時的に格納する。
【0033】
次いで、画像合成部22は、合成位置情報CIに基づいて、第1注目画素62が合成処理を行う画素位置であるか否かを判定する(ステップ103)。画像合成部22は、合成位置情報CIに基づいて、例えば第1ベイヤ信号51の1ライン目であれば画像合成を開始する画素位置(1,3)から第2ベイヤ信号52の横の画素数「6個」分(画素位置(1,8))までを合成位置として判定する。
【0034】
画像合成部22は、第1注目画素62が合成処理する画素位置でないと判定した場合には、第1ベイヤ信号51の第1注目画素62の画素値を処理結果(第3ベイヤ信号)の画素値として出力する(ステップ104)。画像合成部22は、第1注目画素62が合成する画素位置(この場合、画素位置(1,3))になるまで、第1注目画素62の位置を1画素ずつ移動させながらステップ104の処理を繰り返し実行する。
【0035】
次いで、第1注目画素62が画素位置(1,3)となると、画像合成部22は、第2ベイヤ信号52の第2注目画素63をバッファから読み出す(ステップ105)。
次いで、画像合成部22は、第2注目画素63が有色又は透明(無色)であるかを判定する(ステップ106)。画像合成部22は、例えば、特定の画素値(全てのビット値が「1」、又は全てのピット値が「0」等)を透明として判定する。また、例えば、第2ベイヤ信号52の各画素値に透明であるか否かを示すビット値(α値:有色であれば「1」、透明であれば「0」)を設定し、画像合成部22がこのビット値に基づいて判定してもよい。
【0036】
画像合成部22は、ステップ106において第2注目画素63の画素値が有色であると判定した場合には、第2注目画素63の画素値を第3ベイヤ信号として出力する(ステップ107)。また、画像合成部22は、第2注目画素63の画素値が透明であると判定した場合には、第1注目画素62の画素値を第3ベイヤ信号として出力する(ステップ108)。このようにして、画像合成部22は、第2ベイヤ信号52の第2注目画素63の画素値に応じて第3ベイヤ信号として出力する画素値を第1及び第2注目画素62,63のどちらかに切り替えながら出力する処理を実行する。
【0037】
次いで、画像合成部22は、第2ベイヤ信号52に対する処理が終了したか否か、即ち第2注目画素63が第2ベイヤ信号52の画素位置(6,6)であるかを判定する(ステップ109)。画像合成部22は、合成位置情報CIに基づいて、例えば第2ベイヤ信号52の画素数(6×6=36個)とステップ106の処理回数とを比較して判定する。
【0038】
ステップ109において第2ベイヤ信号52に対する処理が終了していないと判定されると、ステップ103からの処理が繰り返し実行される。また、ステップ109において第2ベイヤ信号52に対する処理が終了したと判定されると、第1ベイヤ信号51の画素値が処理結果として1フレームの最後の画素(画素位置(12,12))まで出力される(ステップ110)。
【0039】
例えば、
図3に示す場合では、画像合成部22は、第1注目画素62が第1ベイヤ信号51の画素位置(2,5)の位置になるまでは第1ベイヤ信号51の画素値(画素位置(1,1)〜画素位置(2,4)に対応する画素値)が第3ベイヤ信号として出力される。また、例えば、第1注目画素62が画素位置(2,5)になると、画像合成部22は、第1注目画素62の画素値に置き換えて第2注目画素63画素値(画素位置(2,3)の画素値)を処理結果として出力する。
【0040】
画像合成部22は、メモリ13からフレーム単位で読み出される第1ベイヤ信号51に対し上記した処理を繰り返し実行し、処理結果の第3ベイヤ信号をメモリ13に格納する。メモリ13に格納された第3ベイヤ信号は、例えばCPU26により読み出され表示部16に表示される処理が実行される。
【0041】
なお、合成位置情報CIは、
図3の矢印61b,61cで示すように、第1注目画素62の色(R,G,B)と第2注目画素63の色が一致する位置が設定できる。例えば、矢印61cは、第1ベイヤ信号51の画素位置(1,5)のR画素と、第2ベイヤ信号52の画素位置(1,1)のR画素とを重畳させる場合である。第1注目画素62と第2注目画素63の色が一致しない場合については第2実施形態で説明する。
【0042】
以上、記述したように、第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)画像処理装置12は、撮像部11から入力される第1ベイヤ信号51に合成する第2ベイヤ信号52が、ベイヤ形式でメモリ13に格納されている。画像合成部22は、CPU26から入力される合成位置情報CIに基づいて第1ベイヤ信号51と第2ベイヤ信号52とを合成し第3ベイヤ信号として出力する。補間処理部41は、第3ベイヤ信号に対しデモザイキング処理を実行する。このような構成では、デモザイキング処理を施す前の第1及び第2ベイヤ信号51,52を用いて合成処理が実行できる。
【0043】
ここで、第1及び第2ベイヤ信号51,52は、従来の画像合成に用いられるデモザイキング処理後の画像データ(YCbCr信号等)に比べて1画素あたりのデータ量が少ない。これにより、画像合成処理におけるメモリ13に対する1回のデータ転送量が低減できる。
また、従来のように、デモザイキング処理後の信号を合成処理に用いる構成では、例えば本実施形態の第1ベイヤ信号51に相当する信号をYCbCr信号に変換してメモリに格納する処理が必要となる。また、本実施形態の第1及び第2ベイヤ信号51,52に相当する信号(何れも、YCbCr信号等)を共にメモリから読み出す処理が必要となる。
【0044】
これに対し、本実施形態の画像合成部22は、合成処理におけるメモリ13に対するアクセス処理が第2ベイヤ信号52の読み出し処理のみで実行できる。これにより、画像合成処理におけるメモリ13とのデータ転送量を低減するとともに読み出し/書き込み回数を減らすことにより、メモリ13に対するアクセス頻度を抑えることができる。
【0045】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態のブロック図である。第1実施形態では、第1ベイヤ信号51の第1注目画素62に対応する色(R,G,B)と第2ベイヤ信号52の第2注目画素63に対応する色とが一致する場合の合成処理について例示した。これに対し、第2実施形態では、画素の色が一致しない場合の合成処理について例示する。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
図5に示すように、画像処理装置12aは変換処理部71を有する。変換処理部71は、共有バス31(
図1参照)によって各回路と接続されている。変換処理部71は、画像合成部22に入力される第2ベイヤ信号52に対する前処理として、第2注目画素63を含む画像データを入力し第1注目画素62の色に応じて第2注目画素63の画素値を変換する処理を実行する。
【0047】
図6に示すように、変換処理部71は、レジスタ部72と、制御処理部73と、バッファ部74と、画素値変換部75とを有している。レジスタ部72は、3つのレジスタR1〜R3を含む。
【0048】
レジスタR1は、メモリ13における第2ベイヤ信号52が格納されているアドレスを示す値が保存されている。レジスタR2は、第1及び第2ベイヤ信号51,52の画素のタイプを示す値が保存されている。ここでいう画素のタイプとは、例えば第1及び第2ベイヤ信号51,52の各々の画素位置(1,1)に対応する色(R,G,B)である。また、レジスタR2は、画素位置(1,1)に対応する色がG画素である場合には、R画素が配置されたラインのG画素か、B画素が配置されたラインのG画素かを示す値も含む(
図7参照)。レジスタR3は、上述した合成位置情報CIを示す値が保存されている。
【0049】
レジスタ部72は、各レジスタR1〜R3の値がCPU26により設定される。制御処理部73は、バッファ部74に対しメモリ13におけるレジスタR1のアドレスから第2ベイヤ信号52の所定の画素数分を読み出す制御を実行する。この所定画素数分のデータは、第2注目画素63を含むデータであり、例えば
図8に示す縦3、横3の部分画像である。画素値変換部75は、制御処理部73の制御に基づいてバッファ部74に入力された部分画像を順次入力して画素値を変換する処理を実行する。
【0050】
制御処理部73は、レジスタR2,R3の値を画素値変換部75に出力する。画素値変換部75は、レジスタR2,R3の値に基づいて第2注目画素63の画素値を変換する演算回路を選択する。画素値変換部75は、選択した演算回路に応じてバッファ部74から供給される部分画像の画素値を入力する。そして、画素値変換部75は、演算回路により算出された画素値を第2注目画素63の画素値として設定し画像合成部22に出力する処理を実行する。
【0051】
ここで、第1及び第2ベイヤ信号51,52の合成処理における第1及び第2注目画素62,63の色の組み合わせは以下の4通りがある。
(a)R画素の第1注目画素62に、R画素の第2注目画素63を合成(
図7の矢印64、第1実施形態)
(b)R画素の第1注目画素62に、B画素の第2注目画素63を合成(
図7の矢印65a,65b、
図8〜
図11参照)
(c)R画素の第1注目画素62に、R画素が配置されたラインのG画素の第2注目画素63を合成(
図7の矢印66a,66b、
図12〜
図15参照)
(d)R画素の第1注目画素62に、B画素が配置されたラインのG画素の第2注目画素63を合成(
図16〜
図19参照)
以下に、上記(b)〜(d)の順に説明する。なお、(a)の場合(色が一致する場合、
図7における部分画素データ81)については、第1実施形態と同様の処理となるため説明を省略する。また、
図8〜
図19の各画素に示される文字は画素値を示す。また、
図8〜
図19の第1及び第2ベイヤ信号51,52の各々の中央画素は第1及び第2注目画素62,63を示している。
【0052】
(b)の場合について
画像処理装置12aは、(b)の場合には
図7に示すように第2ベイヤ信号52を変換処理部71にて変換(矢印65a)し、変換後の第2ベイヤ信号52aを第1ベイヤ信号51の部分画素データ82に合成する処理(矢印65b)を実行する。
【0053】
詳述すると、第1及び第2ベイヤ信号51,52は、各画素に対応する色がベイヤ配列となっており規則的に配置されている。レジスタR2,R3の値には、第1及び第2ベイヤ信号51,52の画素のタイプ(画素位置(1,1)の色)と、合成位置情報CI(ベイヤ信号51,52を重畳する画素位置)に関する情報が含まれる。従って、画素値変換部75は、レジスタR2,R3の値に基づいて第1及び第2ベイヤ信号51,52がどのような色で重畳されるか、即ち上記(a)〜(b)のどの場合に当てはまるかを検出することができる。その結果、画素値変換部75は、(a)〜(b)の場合に応じた演算回路を択一的に選択し第2注目画素63の画素値を変換することが可能となる。
【0054】
図8は、(b)の場合において第1注目画素62がR画素、第2注目画素63がB画素の場合を示している。第1注目画素62の画素値がR11、第2注目画素63の画素値がB11である。この場合、画素値変換部75は、第2注目画素63に設定する画素値r11を、第2注目画素63の周辺画素から算出する処理を実行する。画素値変換部75は、画素値r11を画像合成部22に出力し、画素値r11が画像合成部22により第1注目画素62(第1ベイヤ信号51)のR11に合成される。
【0055】
例えば、画素値r11は、第2注目画素63の周辺画素の画素値(左上のR00,右上のR02,左下のR20,右下のR22)を用いて以下の演算式で表される。
r11=(R00+R02+R20+R22)/4
つまり、変換後の第2注目画素63の画素値に、第2注目画素63と隣り合う周辺画素のうち第1注目画素62の色と同色(ベイヤ配列上の同色)となる周辺画素の画素値の平均値を設定する。
【0056】
同様に、
図9に示す第1注目画素62がB画素(画素値B11)、第2注目画素63がR画素(画素値R11)の場合には、変換後の画素値b11は、以下の演算式で表される。
b11=(B00+B02+B20+B22)/4
なお、
図10及び
図11に示す第1注目画素62(画素値G11)と第2注目画素63(画素値G11)が同色の場合には、第2注目画素63の画素値G11がそのまま変換後の画素値として設定される。
【0057】
ここで、画素値変換部75は、上記したように第2注目画素63の画素値を周辺画素の画素値から算出する。言い換えると、対応する周辺画素が有色である場合には、第2注目画素63に有色な値が設定される。これを踏まえ、本実施形態の第2ベイヤ信号52は、
図7に示すように有色の画素の周りに透明の画素が設定されている。そして、この第2ベイヤ信号52に対して画素値の変換処理が施されることで、変換後の第2ベイヤ信号52aの有色の画素の範囲が変換前に比べて拡がっている。つまり、第2ベイヤ信号52に対し、変換後に有色となる画素の位置を加味して透明な画素を設定することにより、第2ベイヤ信号52の画素値の変換処理をより適切な範囲で実施することができる。
【0058】
なお、画素値の変換処理については、対応する周辺画素が設定されていない場合には所定値を設定する。具体的には、例えば、第2ベイヤ信号52の画素位置(1,3)のR画素を第2注目画素63とした場合には、
図9に示すような第2注目画素63の周囲の4つのB画素のうち2つ(B00,B02)に対応する画素がない。このような場合には、画素値B00,B02に所定値として透明な画素値(例えば全てのピット値が「0」)を設定する。また、例えば、第2注目画素63(この場合画素値R11)を間に挟んで対向位置の画素値を設定、(B00であればB22、B02であればB20)を設定してもよい。
【0059】
そして、画素値変換部75は、(b)の場合には上記した演算処理を施す演算回路を選択する処理を実行する。第1及び第2ベイヤ信号51,52は、画素の色が規則的に配列されており、画素値変換部75により第2注目画素63の画素値が選択された演算回路に順次入力されることで画素値が変換される。
【0060】
例えば、
図7に示すように、(b)の場合(矢印65a,65b)の場合には、第1ベイヤ信号51の合成位置の部分画素データ82は、1ライン目にB,G,B,・・・・の順に画素の色が配置されている。一方で、第2ベイヤ信号52は、1ライン目にR,G,R・・・・の順に画素の色が配置されている。従って、画素値変換部75は、1ライン目の変換処理を、
図9及び
図11に示す処理内容のそれぞれ対応した演算回路に第2注目画素63の画素値を交互に入力することで実行できる。
【0061】
また、例えば、部分画素データ82は、2ライン目にG,R,G,・・・・の順に画素の色が配置されている。一方で、第2ベイヤ信号52は、2ライン目にG,B,G・・・・の順に画素の色が配置されている。従って、画素値変換部75は、2ライン目の変換処理を、
図8及び
図10に示す処理内容のそれぞれ対応した演算回路に第2注目画素63の画素値を交互に入力することで実行できる。このようにして、画素値変換部75は、第2注目画素63の画素値に周辺画素から算出した平均値を設定し画像合成部22に出力する。画像合成部22は、画素値変換部75から入力される変換後の第2注目画素63を第1ベイヤ信号51の第1注目画素62に合成する(置き換える)。
【0062】
(c)の場合について
画像処理装置12aは、(c)の場合には
図7に示すように第2ベイヤ信号52を変換処理部71にて変換(矢印66a)し、変換後の第2ベイヤ信号52bを第1ベイヤ信号51に合成する(矢印66b)処理を実行する。
【0063】
図12は、(c)の場合において第1注目画素62がR画素、第2注目画素63がG画素(R画素が配置されたラインのG画素)の場合を示している。第2注目画素63に設定する画素値r11は、第2注目画素63の周辺画素の画素値(左のR10,右のR12)を用いて以下の演算式で表される。
r11=(R10+R12)/2
【0064】
同様に、
図13に示す第1注目画素62がB画素(画素値B11)、第2注目画素63がG画素(画素値G11)の場合には、変換後の画素値b11が以下の演算式で表される。
b11=(B10+B12)/2
【0065】
同様に、
図14に示す第1注目画素62がG画素(R画素が配置されたラインのG画素)、第2注目画素63がR画素(画素値R11)の場合には、変換後の画素値g11が以下の演算式で表される。
g11=(G01+G10+G12+G21)/4
なお、
図15に示す第1注目画素62がBラインのG画素(画素値G11)、第2注目画素63がB画素(画素値B11)の場合は、
図14の場合と同様であるため説明を省略する。
このようにして、画素値変換部75は、(c)の場合においても第2注目画素63の画素値に第1注目画素62の画素の色に応じた周辺画素の画素値の平均値を設定する。
【0066】
(d)の場合について
図16は、(d)の場合において第1注目画素62がR画素、第2注目画素63がG画素(B画素が配置されたラインのG画素)の場合を示している。第2注目画素63に設定する画素値r11は、第2注目画素63の周辺画素の画素値(上のR01,下のR21)を用いて以下の演算式で表される。
r11=(R01+R21)/2
【0067】
同様に、
図17に示す第1注目画素62がB画素(画素値B11)、第2注目画素63がG画素(画素値G11)の場合には、変換後の画素値b11が以下の演算式で表される。
b11=(B01+B21)/2
【0068】
同様に、
図18に示す第1注目画素62がG画素(R画素が配置されたラインのG画素)、第2注目画素63がB画素(画素値B11)の場合には、変換後の画素値g11が以下の演算式で表される。
g11=(G01+G10+G12+G21)/4
なお、
図19に示す第1注目画素62がG画素(B画素が配置されたラインのG画素)、第2注目画素63がR画素(画素値R11)の場合は、
図18の場合と同様であるため説明を省略する。
このようにして、画素値変換部75は、(d)の場合においても第2注目画素63の画素値に第1注目画素62の画素の色に応じた周辺画素の画素値の平均値を設定する。
【0069】
以上、記述したように、第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)画像処理装置12aの変換処理部71は、第1及び第2注目画素62,63の各々に対応するカラーフィルタの色が異なる場合に、第2注目画素63の周辺画素のうち第1注目画素62に対応する色と同色となる周辺画素の画素値に基づいて第2注目画素63の画素値を算出する処理を実行する。この結果、第1及び第2注目画素62,63の色が異なる場合の第1及び第2ベイヤ信号51,52の合成処理が可能となる。つまり、メモリ13に対するアクセス頻度を抑えることが可能なベイヤ形式の画像合成処理を、画素位置の制限を受けることなく処理できる。
【0070】
(2)変換処理部71は、第2注目画素63と隣り合う画素を周辺画素として設定し、この周辺画素の画素値の平均値を第2注目画素63の画素値として設定する。これにより、第2注目画素63に近接する画素から画素値を算出することで、変換後の第2注目画素63の画素値が精度よく算出できる。
【0071】
(3)レジスタ部72は、レジスタR1〜R3の値がCPU26により設定される。制御処理部73は、レジスタR1の値に基づいてメモリ13からバッファ部74に第2注目画素63を含む部分画像を出力する制御を行う。また、制御処理部73は、レジスタR1,R3の値を画素値変換部75に出力し、画素値変換部75がレジスタR1,R3の値に基づいてバッファ部74から部分画像を入力し第2注目画素63の画素値を変換する処理を実行する。このような構成では、CPU26による制御が容易な変換処理部71が構成できる。
【0072】
(4)レジスタR2,R3の値には、第1及び第2ベイヤ信号51,52の画素のタイプと、合成位置情報CIに関する情報が含まれている。画素値変換部75は、レジスタR2,R3の値に基づいて第1及び第2ベイヤ信号51,52の重畳される態様を検出できる。その結果、画素値変換部75は、各場合((a)〜(d)の場合)に応じた演算回路を択一的に選択することが可能となり、画素値の変換処理を効率よく実行することが可能となる。
【0073】
(5)画素値変換部75は、第2注目画素63の変換後の画素値を隣り合う周辺画素のうち第1注目画素62と同色の周辺画素の画素値から算出する。これを踏まえ、第2ベイヤ信号52は、有色の画素の周りに透明の画素が設定されている(
図7参照)。これにより、第2ベイヤ信号52の画素値の変換処理をより適切な範囲で実施することができる。
【0074】
(第3実施形態)
図20は、第3実施形態のブロック図である。第3実施形態は、第2実施形態の構成に逆ガンマ変換部77を付加した構成となっている。ここで、撮像部11が出力するデータは入射光の光量に比例した値となる。従って、第1ベイヤ信号51は線形的な値となる。一方で、メモリ13に格納される第2ベイヤ信号52を含む画像データは、ガンマ変換部42によりガンマ補正が施された非線形的なデータである場合が多い。
【0075】
第3実施形態の画像処理装置12bでは、
図20に示すように、メモリ13から変換処理部71に読み込まれる第2ベイヤ信号52に対し逆ガンマ補正を施す逆ガンマ変換部77が設けられている。逆ガンマ変換部77は、第2ベイヤ信号52に対してあらかじめ施されたガンマ補正を相殺する逆ガンマ補正を施す処理を実行する。
【0076】
以上、記述したように、第3実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)逆ガンマ変換部77は、メモリ13から第2ベイヤ信号52を入力し逆ガンマ補正を施し変換処理部71に出力する処理を実行する。これにより、例えば、第3ベイヤ信号を表示部16に表示した場合に、第1ベイヤ信号51に相当する部分と第2ベイヤ信号52に相当する部分との間にデバイス特性によって生じる輝度の差等が低減できる。
【0077】
また、撮像部11は画像入力装置の一例として、画像処理装置12は画像合成装置の一例として、メモリ13はメモリの一例として、CPU26は制御部の一例として、第1ベイヤ信号51は第1画像信号の一例として、第2ベイヤ信号52は第2画像信号の一例として、第3ベイヤ信号は第3画像信号の一例として挙げられる。
【0078】
尚、本願に開示される技術は前記各実施形態に限定されるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記第2、第3実施形態では、変換処理部71は、第2注目画素63の画素値を対応する周辺画素の全ての画素値を使って求めた。これに対し、任意の画素値を用いて算出するようにしてもよい。
また、変換処理部71は、第2注目画素63と隣り合う画素を演算に用いたが、これに限定されず、近接する他の画素を用いてもよい。この場合、メモリ13からバッファ部74に入力する部分画像(第2注目画素63を中央とした画像)の画素数を適宜変更する。
【0079】
また、上記各実施形態において、画像合成部22は、第1ベイヤ信号51に対し複数の第2ベイヤ信号(文字やメニュー表示やCG画像等)を合成する構成としてもよい。また、合成処理を複数回実行する構成としてもよい。
【0080】
また、上記各実施形態において、撮像素子11aを構成する複数の画素についてRGBのカラーフィルタを介したベイヤ配列とし、第1ベイヤ信号51をベイヤ形式のデータとして扱ったが、第1ベイヤ信号51は補間処理前のデータ(RAWデータ)であればよく、他の配列のデータであってもよい。例えば、ハニカム配列でもよい。またベイヤ配列についても、他の配列(ダブルベイヤ配列等)を用いてもよい。この場合、第2ベイヤ信号52のデータ形式についても第1ベイヤ信号51のデータ形式に応じて適宜変更する。
【0081】
また、上記第3実施形態の構成において変換処理部71を省略した構成としてもよい。言い換えると、第1実施形態の構成に逆ガンマ変換部77を付加した構成としてもよい。
また、画像合成部22は、A/D変換回路11bから出力されるベイヤ信号を第1ベイヤ信号として用いてもよい。この場合、プリプロセス処理部21を省略した構成とすることができる。
【0082】
また、撮像部11を複数備えた構成としてもよい。この場合、各撮像部11に対応して画像処理装置12をそれぞれ備えた構成としてもよい。
【0083】
以下、本願に開示される技術の諸態様を付記としてまとめる。
(付記1)
画像入力装置から入力される第1画像信号と、メモリに格納される第2画像信号とを合成する画素位置の情報を含む合成位置情報を指示する制御部と、
前記合成位置情報に基づいて、前記第1画像信号の第1注目画素と前記第2画像信号の第2注目画素との間で、前記第1注目画素に対応する色と、前記第2画像信号の第2注目画素に対応する色とが異なる場合に、前記第2注目画素の周辺画素のうち前記第1注目画素に対応する色と同色となる前記周辺画素の画素値に基づいて前記第2注目画素の画素値を設定する変換処理部と、
前記合成位置情報に基づいて、前記第1注目画素の画素値に前記変換処理部により設定された前記第第2注目画素の画素値を合成し第3画像信号を生成する画像合成部と、
を備えたことを特徴とする画像合成装置。
(付記2)
前記変換処理部は、前記第2注目画素と隣り合う画素を前記周辺画素として設定し、前記周辺画素の画素値の平均値を算出して前記第2注目画素の画素値として設定する、
ことを特徴とする付記1に記載の画像合成装置。
(付記3)
前記変換処理部は、
前記制御部により値が設定されるレジスタ部と、
前記レジスタ部に設定された値に基づいて制御を行う制御処理部と、
前記制御処理部の制御に基づいて前記メモリから前記第2注目画素を含む前記第2画像信号の部分画像を入力するバッファ部と、
前記制御処理部から入力される前記レジスタ部に設定された値に基づいて前記バッファ部から前記部分画像を入力し前記部分画像の前記周辺画素から前記第2注目画素の画素値を算出して設定する画素値変換部と、
を備えたことを特徴とする付記1又は2に記載の画像合成装置。
(付記4)
前記レジスタ部は、前記第1及び第2画像信号の画素のタイプと前記合成位置情報とを含む値が前記制御部により設定され、
前記画素値変換部は、複数の演算回路を有し、前記レジスタ部に設定された前記第1及び第2画像信号の画素のタイプと前記合成位置情報とを含む値に基づいて前記第1及び第2画像信号の重畳される態様を検出し、検出結果に応じた演算回路を選択することを特徴とする付記1〜3のいずれか1つに記載の画像合成装置。
(付記5)
前記メモリから前記第2画像信号を入力し、前記第2画像信号に対して逆ガンマ補正を施して前記変換処理部に出力する逆ガンマ変換部を備えたことを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載の画像合成装置。
(付記6)
画像入力装置から入力される第1画像信号と、メモリに格納される第2画像信号とを合成する画素位置の情報を含む合成位置情報を指示し、
前記合成位置情報に基づいて、前記第1画像信号の第1注目画素に合成すべき前記第2画像信号の第2注目画素に対して、前記第1注目画素に対応する色と、前記第2注目画素に対応する色とが異なる場合に、前記第2注目画素の周辺画素のうち前記第1注目画素に対応する色と同色となる前記周辺画素の画素値に基づいて前記第2注目画素の画素値を設定し、
前記合成位置情報に基づいて、前記第1画像信号の第1注目画素の画素値に前記設定された第2注目画素の画素値を合成して第3画像信号を生成する、
ことを特徴とする画像合成方法。
(付記7)
前記第2画像信号は、有色の画素値が設定された画素の周囲に、透明の画素値が設定された画素が設けられたことを特徴とする付記1〜付記5のいずれかに記載の画像合成装置。
(付記8)
画像入力装置から入力される第1画像信号と、メモリに格納される第2画像信号とを合成する画素位置の情報を含む合成位置情報を指示する制御部と、
前記合成位置情報に基づいて、前記第1画像信号の第1注目画素と前記第2画像信号の第2注目画素との間で、前記第1注目画素に対応する色と、前記第2画像信号の第2注目画素に対応する色とが異なる場合に、前記第2注目画素の周辺画素のうち前記第1注目画素に対応する色と同色となる前記周辺画素の画素値に基づいて前記第2注目画素の画素値を設定する変換処理部と、
前記合成位置情報に基づいて、前記第1注目画素の画素値に前記変換処理部により設定された前記第第2注目画素の画素値を合成し第3画像信号を生成する画像合成部と、
を備えたことを特徴とする画像合成回路。