(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マスター制御回路は、前記送信信号の立上り・立下りを検出して一定時間に亘って第1のパルス間隔でパルス信号を送信した後、該第1のパルス間隔よりも長い第2のパルス間隔でパルス信号を送信するものである請求項1に記載の信号伝送装置。
前記第1のドライバ回路は、入力電圧を基準電位として動作してハイサイド側の前記第1のスイッチング素子を駆動するものであって、前記第2のドライバ回路は、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の直列接続点の電圧を基準電位として動作してローサイド側の前記第2のスイッチング素子を駆動するものであり、
前記絶縁分離回路は、前記入力電圧を基準電位として動作する前記スイッチング制御回路と前記第2のドライバ回路との間に設けられるものである請求項7に記載のスイッチング電源装置。
前記絶縁分離回路は、前記制御信号を前記ドライバ回路側に伝送すると共に、前記ドライバ回路側で検出された異常を示すアラーム信号を前記スイッチング制御回路に伝送するものである請求項7に記載のスイッチング電源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで前述した
図23に示すスイッチング電源装置においては、前記第1および第2のスイッチング素子Q1,Q2に生じた異常を検出し、ドライバ回路4,5側から前記スイッチング制御回路3に通知して前記スイッチング素子Q1,Q2を保護する制御が実行される。ちなみに前記スイッチング素子Q1,Q2に生じる異常は、例えば該スイッチング素子Q1,Q2に流れる過電流や、スイッチング素子Q1,Q2の異常発熱、負荷の短絡に起因する出力電圧VSの異常低下等からなる。
【0011】
しかしながら前記特許文献1,2,3にそれぞれ紹介される絶縁分離回路6は、前述したように前記スイッチング制御回路3から前記ドライバ回路4への前記制御信号Hdrv(DATA)の伝達だけを行う単方向信号伝達機能しか備えていない。従って前述した異常情報(アラーム信号)を前記ドライブ回路4から前記スイッチング制御回路3に通知するには、新たに信号送信の向きを異にする別の絶縁分離回路6を設けることが必要となり、その構成が複雑化することが否めない。
【0012】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、トランスを介して絶縁分離して接続されたマスター回路とスレーブ回路との間、例えばスイッチング電源装置におけるスイッチング制御回路とドライブ回路との間での同時双方向通信を実現する信号伝送装置を提供することにある。
【0013】
また本発明は、直列接続された第1および第2のスイッチング素子を交互にオン・オフ制御して入力電力をスイッチングし、前記第1および第2のスイッチング素子の直列接続点から負荷に電力を出力するスイッチング電源装置において、前記第1および第2のスイッチング素子の一方をオン・オフ駆動する一方のドライブ回路と、駆動制御信号を生成するスイッチング制御回路とを絶縁分離して信号伝達する絶縁分離回路に、本発明に係る信号伝送装置を用いたスイッチング電源装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成するべく本発明に係る信号伝送装置は、並列に設けられた、例えばコアレスマイクロトランスからなる第1
のトランスおよび第2のトランスの各一次側端子に接続されたマスター回路と、前記第1
のトランスおよび
前記第2のトランスの各二次側端子に接続されたスレーブ回路とを備え、
前記マスター回路は、前記第1のトランスを介して前記スレーブ回路側との間で信号を送受信する第1の送受信回路と、前記第2のトランスを介して前記スレーブ回路側との間で信号を送受信する
第2の送受信回路と、前記スレーブ回路に送信する送信信号の立上り・立下りを検出して前記第1
の送受信回路および
前記第2の送受信回路の一方を送信用、他方を受信用とすると共に、前記送信信号の立上り・立下りを検出して一定時間後にパルス間隔が変化する信号を送信するマスター制御回路とを具備し、
前記スレーブ回路は、前記第1のトランスを介して前記マスター回路側との間で信号を送受信する第3の送受信回路と、前記第2のトランスを介して前記マスター回路側との間で信号を送受信する第4の送受信回路と、前記第3
の送受信回路および
前記第4の送受信回路を介して検出される信号のパルス間隔の変化を検出して前記第3
の送受信回路および
前記第4の送受信回路の一方を受信用、他方を送信用とする共に、前記マスター回路に送信する送信信号に応じてパルス信号を生成して送信するスレーブ制御回路とを具備したことを特徴としている。
【0015】
好ましくは前記スレーブ制御回路は、前記第3
の送受信回路および
前記第4の送受信回路を介して検出される信号のパルス間隔の変化を検出するパルス周期検出回路と、このパルス周期検出回路の検出結果に応じて前記マスター回路から送信された前記送信信号を復調するラッチ回路とを備える。また前記パルス周期検出回路は、前記第3
の送受信回路および
前記第4の送受信回路にてそれぞれ受信した信号を同相入力除去回路を介して検出し、この同相入力除去回路を介した信号のパルス間隔の変化を検出するように構成することが好ましい。
【0016】
また前記マスター制御回路は、前記第1
の送受信回路および
前記第2の送受信回路を介して検出される信号の状態に応じて前記スレーブ回路から伝送された信号を復調するラッチ回路を備えることが好ましい。更に前記マスター制御回路は、好ましくは前記制御信号の立上り・立下りを検出して一定期間に亘って第1のパルス間隔でパルス信号を送信した後、該第1のパルス間隔よりも長い第2のパルス間隔でパルス信号を送信するように構成される。
【0017】
また本発明に係るスイッチング電源装置は、
例えば高耐圧のIGBTまたはMOS-FETからなり、直列接続されてハーフブリッジ回路を構成する第1
のスイッチング素子および第2のスイッチング素子を交互にオン・オフ制御して入力電力をスイッチングし、前記第1
のスイッチング素子および
前記第2のスイッチング素子の直列接続点から負荷に電力を出力するスイッチング電源装置本体と、
前記第1
のスイッチング素子および
前記第2のスイッチング素子を交互にオン駆動する制御信号を生成するスイッチング制御回路と、
前記第1
のスイッチング素子および
前記第2のスイッチング素子のそれぞれに対応して設けられ、前記制御信号を受けて前記第1のスイッチング素子をオン駆動する第1のドライバ回路、および前記制御信号を受けて前記第2のスイッチング素子をオン駆動する第2のドライバ回路と、
前記第1
のドライバ回路および
前記第2のドライバ回路の一方と前記スイッチング制御回路との間を絶縁分離し、前記スイッチング制御回路が生成した前記制御信号を前記第1
のドライバ回路および
前記第2のドライバ回路の一方に伝送する絶縁分離回路とを具備し、
前記絶縁分離回路として前述した信号伝送装置のいずれかを用いることを特徴としている。
【0018】
尚、前記第1のドライバ回路が、例えば前記第1
のスイッチング素子および
前記第2のスイッチング素子の直列接続点の電圧を基準電位として動作してハイサイド側の前記第1のスイッチング素子を駆動し、前記第2のドライバ回路は、接地電圧を基準電位として動作してローサイド側の前記第2のスイッチング素子を駆動するように構成される場合、
前述した信号伝送装置のいずれかからなる前記絶縁分離回路は、前記接地電圧を基準電位として動作する前記スイッチング制御回路と前記第1のドライバ回路との間に設けられる。
【0019】
或いは前記第1のドライバ回路が、入力電圧を基準電位として動作してハイサイド側の前記第1のスイッチング素子を駆動し、前記第2のドライバ回路が、前記第1
のスイッチング素子および
前記第2のスイッチング素子の直列接続点の電圧を基準電位として動作してローサイド側の前記第2のスイッチング素子を駆動するように構成される場合には、
前述した信号伝送装置のいずれかからなる前記絶縁分離回路は、前記入力電圧を基準電位として動作する前記スイッチング制御回路と前記第2のドライバ回路との間に設けられる。
【0020】
そして前記絶縁分離回路は、前記制御信号を前記ドライバ回路側に伝送すると共に、前記ドライバ回路側で検出された異常を示すアラーム信号を前記スイッチング制御装置に伝送する為に用いられる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る信号伝送装置によれば、マスター回路側においては該マスター回路からスレーブ回路に伝送する送信信号に応じて第1
のトランスおよび第2のトランスの一方を送信用、他方を受信用とし、前記第1
のトランスおよび
前記第2のトランスの一方を介して前記送信信号をスレーブ回路側に送信すると同時に、前記第1
のトランスおよび
前記第2のトランスの他方を介して前記スレーブ回路側から伝送された信号を受信することができる。
【0022】
また前記スレーブ回路側においては、前記第1
のトランスおよび
前記第2のトランスからそれぞれ検出される信号に応じて前記第1
のトランスおよび
前記第2のトランスの一方を送信用、他方を受信用とする。そして前記第1
のトランスおよび
前記第2のトランスの一方を介して前記マスター回路から送信された信号のパルス間隔の変化を検出して前記送信信号を復元する。更にこのような信号受信と並行して、前記マスター回路からの信号送信に用いていない他方のトランスを用いることで、例えばアラーム信号を前記マスター回路側に送信することができる。
【0023】
従って本発明に係る信号伝送装置によれば、送信信号の立上り・立下りを検出して生成される前記パルス信号を該送信信号の立上り・立下りタイミングを示すセット用およびリセット用のパルス信号として前記第1のトランスおよび
前記第2のトランスをそれぞれ介して伝送するだけなので、簡易な構成でありながら前記送信信号の確実な伝送が実現できる。しかもこの送信信号の伝送と並行して、該送信信号の伝送に用いていない側のトランスを用いて前記スレーブ回路から前記マスター回路への信号伝送を実現するので、前記マスター回路と前記スレーブ回路との間での同時双方向通信を容易に実現することができ、その制御も簡単である。
【0024】
また上述した信号伝送装置を、スイッチング素子を駆動するドライブ回路とスイッチング制御回路との間に設けられる絶縁分離回路に採用したスイッチング電源装置によれば、前記スイッチング制御回路からドライブ回路に前記スイッチング素子をオン・オフ駆動する為の制御信号を送信しながら、同時に前記ドライブ回路側で検出された前記スイッチング素子の異常を示すアラーム信号を受信することができる。従って従来の単方向信号伝達機能だけを備えた絶縁分離回路を2個逆並列にして用いる必要がなく、その構成の簡略化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る信号伝送装置およびスイッチング電源装置について説明する。
【0027】
図1は本発明の一実施形態に係るスイッチング電源装置の概略構成図であり、
図2は本発明に係る信号伝送装置の概略構成図である。
【0028】
このスイッチング電源装置は、基本的には
図23に示したスイッチング電源装置と同様に構成され、同一部分には同一符号を付して示している。特にこのスイッチング電源装置が特徴とするところは、前記スイッチング制御回路3とハイサイド・ドライバ回路4との間に設けられる前記絶縁分離回路6として、
図2に示す構成の信号伝送装置10を設けた点にある。またスイッチング電源装置は、前記スイッチング制御回路3と前記ローサイド・ドライバ回路5との間に、ローサイド制御回路7を設けている。
【0029】
また前記スイッチング電源装置は、ハイサイド側およびローサイド側にそれぞれ設けられて前記第1および第2のスイッチング素子Q1,Q2の異常を検出する異常検出回路8,9を備える。そしてこれらの異常検出回路8,9にてそれぞれ検出された異常を示すアラーム信号ALM(ALM-H-IN,ALM-L-IN)は、前記絶縁分離回路6および前記ローサイド制御回路7をそれぞれ介して前記スイッチング制御回路3に伝達されるように構成されている。尚、前記ローサイド制御回路7は、前記スイッチング制御回路3から入力される制御信号Xdrv-Lを出力信号GATE-Lとして前記ローサイド・ドライバ回路5に出力し、また前記異常検出回路9から出力されるアラーム信号ALM-L-INを保持して前記スイッチング制御回路3に伝達するバッファ回路からなる。
【0030】
さて前記絶縁分離回路6として用いられる信号伝送装置10は、
図2にその概略構成を示すように、並列に設けられた第1および第2のトランス11,12を備える。そして前記第1および第2のトランス11,12の各一次巻線11a,12aにマスター回路20を接続すると共に、前記第1および第2のトランス11,12の各二次巻線11b,12bにスレーブ回路30を接続して構成される。前記第1および第2のトランス11,12は、前記マスター回路20と前記スレーブ回路30とを絶縁分離して該マスター回路20とスレーブ回路30との間で信号伝送を行う役割を担う。尚、前記第1および第2のトランス11,12は、例えば集積回路ICに実装可能なコアレスマイクロトランスからなる。
【0031】
具体的には前記マスター回路20は、前記第1のトランス11の一次巻線11aに接続された第1の送受信回路(TX/RX)21と、前記第2のトランス12の一次巻線12aに接続された第2の送受信回路22とを備える。これらの第1および第2の送受信回路21,22は、マスター制御回路23から与えられる制御信号Xdrvに従って、後述するように相反的にその一方を送信用とし、他方を受信用として用いられる。
【0032】
また前記スレーブ回路30は、前記第1のトランス11の二次巻線11bに接続された第3の送受信回路(TX/RX)31と、前記第2のトランス12の二次巻線12bに接続された第4の送受信回路32とを備える。これらの第3および第4の送受信回路31,32は、スレーブ制御回路33の制御を受けて、後述するように相反的にその一方を送信用とし、他方を受信用として用いられる。尚、前記第1の送受信回路21が送信用として用いられるとき、前記第3の送受信回路31は後述するように受信用として用いられ、送信用として用いられることはない。
【0033】
ちなみに前記第1〜第4の送受信回路21,22,31,32は、これらを代表して
図3に前記第1の送受信回路21の概略構成を示すように、例えばそのドレインを前記第1のトランス11の一次巻線11aを直列に介して電源VCC-1に接続し、ソースを接地ラインに接続して設けられて、ゲートに送信信号を入力してオン動作する送信用のNチャネル型MOS-FET21cを備える。また前記送受信回路21は、抵抗21bを介してドレインを接地ラインに接続し、ソースを前記電源VCC-1に接続して増幅回路を形成し、そのゲートに前記第1のトランス11の一次巻線11aに得られた受信信号を入力してオン動作する受信用のPチャネル型MOS-FET21aとを備えて構成される。
【0034】
また前記Pチャネル型MOS-FET21aのゲート・ソース間にはダイオード21dが逆並列に接続されている。更に前記Nチャネル型MOS-FET21cのソース・ドレイン間にはダイオード21eが逆並列に接続されている。これらのダイオード21e,21dは、前記Pチャネル型MOS-FET21aのゲート電位の保護機能と前記Nチャネル型MOS-FET21cのドレインの保護機能を果たすものである。
【0035】
尚、前記第2〜第4の送受信回路22,31,32は、前記第1および第2のトランス11,12における一次巻線11a,12a、或いは二次巻線11b,12bのいずれに接続されるか、また前記マスター回路20側の電源VCC-1、或いは前記スレーブ回路30側の電源VCC-2のいずれに接続されて動作するかの違いはあるが、前記第1の送受信回路21と同様に構成される。従ってこれらの第2〜第4の送受信回路22,31,32の説明については省略する。
【0036】
さて前記マスター制御回路23は、例えば
図4にその概略構成を示すように、制御信号Xdrvを入力して該制御信号Xdrvの立上り・立下りエッジを検出するエッジ検出回路23aと、このエッジ検出回路23aの出力を受けて所定の周期でパルス信号を生成するパルス生成回路23bを備える。このパルス生成回路23bは、前記制御信号Xdrvの立上り・立下りエッジの検出タイミングを起点として、例えば第1の時間に亘って第1のパルス間隔でパルス信号を生成した後、該第1のパルス間隔よりも長い第2のパルス間隔で第2の時間に亘ってパルス信号を生成する。尚、上記各時間にそれぞれ生成されるパルス信号のパルス数は、例えば
図6〜
図9にそれぞれ示すように3パルスからなるが、そのパルス数は特に限定されないことは言うまでもない。
【0037】
そして前記パルス生成回路23bが生成したパルス信号は、前記制御信号Xdrvに応じて相反してアクティブとなる第1および第2のゲート回路23c,23dを介して前記第1および第2の送受信回路21,22にそれぞれ与えるセット用およびリセット用の送信信号MTX-DT-S,MTX-DT-Rとして出力される。尚、前記第1のゲート回路23cは、前記制御信号Xdrvが[H]のときにアクティブとなり、また前記第2のゲート回路23dは、前記制御信号Xdrvが[L]のときにアクティブとなるように構成されている。従って前記送信信号MTX-DT-Sは、前記制御信号Xdrvが[H]のときに前記第1の送受信回路21に与えられ、また前記送信信号MTX-DT-Rは、前記制御信号Xdrvが[L]のときに前記第2の送受信回路22に与えられる。
【0038】
更に前記マスター制御回路23は、前記制御信号Xdrvに応じて相反してアクティブとなる第3および第4のゲート回路23e,23fを備える。前記第3のゲート回路23eは、前記制御信号Xdrvが[L]のときにアクティブとなり、前記第1の送受信回路21から出力される受信信号MRX-DT-Sを取り込む。また前記第4のゲート回路23fは、前記制御信号Xdrvが[H]のときにアクティブとなり、前記第2の送受信回路22から出力される受信信号MRX-DT-Rを取り込む。
【0039】
尚、前記受信信号MRX-DT-S,MRX-DT-Rは、前記スレーブ回路30側から前記第1および第2のトランス11,12をそれぞれ介して伝送され、前記第1および第2の送受信回路21,22にて受信されて前記各Pチャネル型MOS-FET21aからそれぞれ出力される信号である。
【0040】
そして前記第3および第4のゲート回路23e,23fをそれぞれ介して取り込まれた前記受信信号MRX-DT-S,MRX-DT-Rは、オア回路23gを介してラッチ・タイマー回路23hに入力される。このラッチ・タイマー回路23hは、前記オア回路23gを介して得られた前記受信信号MRX-DT-S,MRX-DT-Rをセット信号およびリセット信号としてラッチすることで、該受信信号MRX-DT-S,MRX-DT-Rが示すアラーム信号ALMを復元して出力する役割を担う。また前記ラッチ・タイマー回路23hは、前記受信信号MRX-DT-S,MRX-DT-Rの入力が所定の時間に亘って継続して途絶えたとき、これを前記アラーム信号ALMが消失したとして判定し、アラーム出力を停止する。
【0041】
上述した如く構成されたマスター制御回路23は、前記制御信号Xdrvが[H]のとき、前記第1の送受信回路21を送信用とし、前記第2の送受信回路22を受信用として前記スレーブ回路30との間で双方向の信号伝送を行う。そして前記第1の送受信回路21を介して前記送信信号MTX-DT-Sを送信し、前記第2の送受信回路22を介して前記信号MRX-DT-Rを受信する。また前記マスター制御回路23は、前記制御信号Xdrvが[L]のとき、前記第1の送受信回路21を受信用とし、第2の送受信回路22を送信用として前記スレーブ回路30との間で双方向の信号伝送を行う。そして前記第2の送受信回路22を介して前記送信信号MTX-DT-Rを送信し、前記第1の送受信回路21を介して前記信号MRX-DT-Sを受信する。即ち、前記マスター制御回路23は、前記制御信号Xdrvに応じて前記第1および第2の送受信回路21,22の各役割(機能)を送信用または受信用に相反的に切り替えて、前記スレーブ回路30との間で信号の双方向通信を実行する。
【0042】
一方、前記スレーブ制御回路33は、例えば
図5に示すように構成される。即ち、前記スレーブ制御回路33は、前記第3および第4の送受信回路31,32からそれぞれ出力される受信信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rをそれぞれ入力する同相入力除去回路(同相ノイズフィルタ)33aを備える。この同相入力除去回路33aは、例えば前記受信信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rを反転入力するナンド回路33bと、このナンド回路33bによってゲート制御される2つのゲート回路33c,33dとにより構成される。
【0043】
そして前記同相入力除去回路33aは、前記受信信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rが同時に入力されたとき、つまり受信信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rが共に[H]であるとき前記ナンド回路33bの出力にて前記ゲート回路33c,33dを共にインアクティブにして前記受信信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rをノイズとして除去する。そして前記受信信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rの一方だけが[H]であるとき、前記ゲート回路33c,33dを介して前記受信信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rをそれぞれ出力する。
【0044】
またセット信号検出用の第1のパルス周期検出回路33eおよびリセット信号検出用の第2のパルス周期検出回路33fは、前記同相入力除去回路33aから出力される前記受信信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rをそれぞれ入力する。前記第1のパルス周期検出回路33eは、セット用の前記受信信号SRX-DT-Sを形成するパルス信号の周期を判定する。そして前記第1のパルス周期検出回路33eは、前記第1のパルス間隔(短い周期)のパルス信号を検出したときに第1周期検出信号S-SHORTを出力し、また前記第2のパルス間隔(長い周期)のパルス信号を検出したときに第2周期検出信号S-LONGを出力する。
【0045】
また前記第2のパルス周期検出回路33fは、リセット用の前記受信信号SRX-DT-Rを形成するパルス信号の周期を判定する。そして前記第2のパルス周期検出回路33fは、前記第1のパルス周期検出回路33eと同様に、前記第1のパルス周期のパルス信号を検出したときに第1周期検出信号R-SHORTを出力し、また前記第2のパルス間隔のパルス信号を検出したときに第2周期検出信号R-LONGを出力する。
【0046】
送受信制御回路33gは、前記第1および第2のパルス周期検出回路33e,33fにてそれぞれ検出された前記周期検出信号S-SHORT,S-LONG,R-SHORT,R-LONGに従って、前述したマスター制御回路23が生成した前記送信信号MTX-DT-S,MTX-DT-Rのパルス間隔の変化点を検出することで該送信信号MTX-DT-S,MTX-DT-Rに相当する受信信号S,Rを得る。そして送受信制御回路33gは、前記信号S,Rを用いてラッチ回路33hのラッチ動作を制御することで、該ラッチ回路33hの出力として前記制御信号Xdrvを復元した信号GATEを得る。
【0047】
また前記送受信制御回路33gは、前記周期検出信号S-SHORT,S-LONG,R-SHORT,R-LONGに従って、前記第3および第4の送受信回路31,32のいずれが前記マスター回路20側から伝送されてきた信号を受信しているかを判定する。そして前記送受信制御回路33gは、信号を受信していない側の前記第3および第4の送受信回路31,32を、当該スレーブ回路30から前記マスター回路20に対する信号送信用として定め、これに対応させてゲート回路33i,33jを択一的にアクティブにする。
【0048】
これらのゲート回路33i,33jは、アラームラッチ・パルス生成回路33kが出力する前記マスター回路20への送信信号、例えばアラーム信号ALMを前記第3および第4の送受信回路31,32に選択的に出力する。尚、前記アラームラッチ・パルス生成回路33kは、前記異常検出回路8,9から出力されるアラーム信号ALM-INを入力し、前記送受信制御回路33gから与えられるパルス信号に同期させて該アラーム信号ALM-INを示すパルス信号STX-DTを生成する。このパルス信号STX-DTが前記ゲート回路33i,33jを選択的に介して、前述した如く送信用として定められ前記第3の送受信回路31に送信信号STX-DT-Sとして、或いは前記第4の送受信回路32に送信信号STX-DT-Rとして与えられる。
【0049】
このように構成されたスレーブ制御回路33は、前記第3および第4の送受信回路31,32をそれぞれ介して受信される受信信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rから、前記マスター回路20が前記スレーブ回路30に与える前記制御信号Xdrvを復元する役割を担う。同時に前記スレーブ制御回路33は、前記信号の受信に用いていない側の前記第3および第4の送受信回路31,32の一方を送信用として、該スレーブ回路30側で発生した前記アラーム信号ALMを前記マスター回路20に伝送する役割を担う。従って前記スレーブ制御回路33は、前述したマスター制御回路23と相俟って、前記第1および第2のトランス11,12を介する前記マスター回路20とスレーブ回路30との間の同時双方向信号伝送を実現する。
【0050】
ここで上述した如く構成された信号伝送装置における同時双方向信号伝送の動作を、
図6および
図7に示す動作タイミング図を参照して説明する。
図6は前記マスター回路20から前記スレーブ回路30に信号を伝送する際の信号伝送装置の基本動作を示している。ここで前記マスター回路20から前記スレーブ回路30に伝送する信号として、
図6に示すように、例えば一定の周期で[H/L]を繰り返す制御信号Xdrv(矩形波)が与えられるものとする。
【0051】
すると
図4に示すように構成された前記マスター制御回路23は、前記制御信号Xdrvの立上り・立下りエッジを検出して、所定時間に亘って第1のパルス間隔(短い周期)でパルス信号を生成した後(この例では3パルス)、第2のパルス間隔(長い周期)でパルス信号を生成する。そして前記制御信号Xdrvが[H]レベルの期間、前記第1の送受信回路21を送信駆動するセット用の送信信号MTX-DT-Sを出力し、また前記制御信号Xdrvが[L]レベルの期間には前記第2の送受信回路22を送信駆動するリセット用の送信信号MTX-DT-Rを出力する。
【0052】
従って前記第1の送受信回路21は、前記送信信号MTX-DT-Sが入力されている期間、送信用(TXモード)に設定される。そしてこの期間には、他方の第2の送受信回路22は受信用(RXモード)に設定される。また前記第2の送受信回路22は、前記送信信号MTX-DT-Rが入力されている期間、送信用(TXモード)に設定される。そしてこの期間には、他方の第1の送受信回路21は受信用(RXモード)に設定される。
【0053】
換言すれば前記制御信号Xdrvが[H]レベルの期間には、前記第1の送受信回路21が送信用(TXモード)に設定されると共に、前記第2の送受信回路22が受信用(RXモード)に設定される。そして前記第1の送受信回路21を介して前記送信信号MTX-DT-Sの送信が行われる。また前記制御信号Xdrvが[L]レベルの期間には、前記第1の送受信回路21が受信用(RXモード)に設定されると共に、前記第2の送受信回路22が送信用(TXモード)に設定される。そして前記第2の送受信回路22を介して前記送信信号MTX-DT-Rの送信が行われる。
【0054】
一方、上述した如く前記マスター回路20側から送られてくる信号を受信する前記スレーブ制御回路33においては、
図6に示すように前記第3および第4の送受信回路31,32のいずれが信号を受信しているかを判定する。具体的には前記送受信制御回路33gは、前記パルス周期検出回路33e,33fにて検出される前記周期検出信号S-SHORT,S-LONG,R-SHORT,R-LONGに従って、信号を受信している側の送受信回路31(32)を判定する。
【0055】
前記第1のパルス周期検出回路33eは、受信用に設定された前記第3の送受信回路31にて受信した受信信号SRX-DT-Sのパルス信号の周期を判定する。そして前記第1のパルス周期検出回路33eは、前記パルス信号の周期が前記第1のパルス間隔であるとき、これを前記制御信号Xdrvの立上りタイミングとして検出して前記周期検出信号S-SHORTを出力する。その後、前記受信信号SRX-DT-Sのパルス信号の周期が前記第2のパルス間隔に変化したとき、前記第1のパルス周期検出回路33eは前記周期検出信号S-LONGを出力する。
【0056】
すると前記送受信制御回路33gは、前記周期検出信号S-LONGを検出して前記第4の送受信回路31を送信用(TXモード)に設定する。その後、前記送受信制御回路33gは、前記周期検出信号S-SHORT,S-SLONGを監視することで、前記受信信号SRX-DT-Sのパルス信号の周期が、再び前記第1のパルス間隔に変化しないか否かを監視する。
【0057】
そして前記受信信号SRX-DT-Rのパルス信号の周期が前記第1のパルス間隔であるとき、前記第2のパルス周期検出回路33fは、これを前記制御信号Xdrvの立下りタイミングとして検出し、前記周期検出信号R-SHORTを出力する。すると前記送受信制御回路33gは前記周期検出信号R-SHORTを検出して前記第4の送受信回路32を受信用(RXモード)に設定する。
【0058】
また前記送受信制御回路33gは、前記受信信号SRX-DT-Rのパルス信号の周期が前記第2のパルス間隔に変化し、これに伴って前記第2のパルス周期検出回路33fが前記周期検出信号R-LONGを出力したとき、前記第3の送受信回路31を送信用(TXモード)に設定する。その後、前記送受信制御回路33gは、前記周期検出信号R-SHORT,R-SLONGを監視することで、前記受信信号SRX-DT-Rのパルス信号の周期が、再び前記第1のパルス間隔に変化しないか否かを監視する。
【0059】
前記送受信制御回路33gは、上述した処理動作に加えて、前記第3および第4のパルス周期検出回路33e,33fからそれぞれ出力される前記周期検出信号S-SHORT,R-SHORTに従って前記ラッチ回路33hをセット・リセットする。具体的には前記ラッチ回路33hは、前記周期検出信号S-SHORTの検出時にセットされ、前記周期検出信号R-SHORTの検出時にリセットされる。この結果、前記ラッチ回路33hのセット出力として、前記制御信号Xdrvを復元した出力信号GATEが求められる。この出力信号GATEは、前述したハイサイド・ドライバ回路4を介して前記第1のスイッチング素子Q1のオン駆動に用いられる。
【0060】
従って本信号伝送装置によれば、前記マスター回路20において前記制御信号Xdrvに従って該制御信号Xdrvの立上り・立下りタイミングを示す前記信号MTX-DT-S,MTX-DT-Rを前記第1および第2のトランス11,12を介して前記スレーブ回路30側にそれぞれ伝送する。そして前記スレーブ回路30においては、前記第1および第2のトランス11,12を介して受信した信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rをそれぞれ検出することで、前記制御信号Xdrvを前記出力信号GATEとして復元することができる。
【0061】
ところで前記スレーブ回路30からの前記アラーム信号ALMの前記マスター回路20への伝送は、
図7にその動作タイミングを示すようにして行われる。
【0062】
今、
図7に示すように[H]レベルで示されるアラーム信号ALM-INが前記スレーブ回路30に入力されると、前記ラッチ・パルス生成回路33kは、例えば前記第1のパルス間隔と同程度の周期でパルス信号を生成する。このパルス信号は、
図7において太線で示すように前記ゲート回路33i,33jを介して、前述した如く送信用(TXモード)に設定されている第3または第4の送受信回路31,32に与えられ、前記マスター制御回路23に送信される。尚、前記アラーム信号ALM-INの消失([L]レベル)に伴って、前記ラッチ・パルス生成回路33kからの前記パルス信号の出力が停止し、前記マスター制御回路23への前記パルス信号の送信も停止する。
【0063】
一方、前記マスター制御回路23は、前述した如く受信用(RXモード)に設定した前記第1および第2の送受信回路21,22による受信信号MRX-DT-S,MRX-DT-Rを常時監視している。そして前記マスター制御回路23は、前記受信信号MRX-DT-S,MRX-DT-Rのパルス信号を検出したとき、これをアラーム信号ALM-INの受信として検出して前記ラッチ・タイマー回路23hをセットし、アラーム出力ALM-OUTを[H]にする。また前記マスター制御回路23は、受信用(RXモード)に設定した前記第1および第2の送受信回路21,22による受信信号MRX-DT-S,MRX-DT-Rのパルス信号が、一定期間に亘って途絶えたとき、これをタイマーにより検出して前記アラーム信号ALMの消失として検出し、前記ラッチ・タイマー回路23hをリセットして前記アラーム出力ALM-OUTを[L]にする。
【0064】
このような前記受信信号MRX-DT-S,MRX-DT-Rに基づく前記ラッチ・タイマー回路23hのセット・リセットにより前記アラーム信号ALM-INが復元される。従って前記スレーブ回路30から前記マスター回路20へのアラーム信号ALMの伝送が、前記制御信号Xdrvの前記マスター回路20から前記スレーブ回路30への伝送と同時に行われ、ここに双方向信号送信が実現される。
【0065】
ところで上述した基本動作は、前記マスター制御回路23において前記制御信号Xdrvの立上り・立下りを検出して前記第1のパルス間隔で所定期間に亘ってパルス信号を出力し、その後、第2のパルス間隔でパルス信号を出力した。そして前記制御信号Xdrvの立上り・立下りタイミングにて前記第1および第2の送受信回路21,22を送信用・受信用にそれぞれ設定して、前記第1および第2のトランス11,12を介する信号伝送を実現した。
【0066】
しかし、例えば
図8にその動作タイミングを示すように、送信信号として第2のパルス間隔(長い周期)のパルス信号を生成し、前記制御信号Xdrvの立上り・立下りを検出して前記パルス信号の周期を第1のパルス間隔(短い周期)に変更するようにしても良い。このような前述した動作態様とは異なる動作態様の場合、
図8に示すように前記第1のパルス間隔(短い周期)のパルス信号(この例では3パルス目)を検出して、前記第1および第2の送受信回路21,22をそれぞれ送信用(TXモード)または受信用(RXモード)に切り替える。
【0067】
また前記スレーブ制御回路33においては、前記パルス周期検出回路33e,33fにおいて前記第3および第4の送受信回路31,32の一方を介して受信される信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rを構成するパルス信号の周期を判定する。そして前記スレーブ制御回路33は、前記第4の送受信回路32にて受信した前記信号SRX-DT-Rのパルス信号の周期が前記第1のパルス間隔(短い周期)となったとき、前記第3の送受信回路31を受信用(RXモード)に設定すると共に、前記制御信号Xdrvが[H]になったとして検出する。その後、前記送受信制御回路33gは、前記第3の送受信回路31にて受信した前記信号SRX-DT-Sのパルス信号の周期が前記第1のパルス間隔(短い周期)となったことを検出し、前記第4の送受信回路32を受信用(RXモード)に設定すると共に、前記制御信号Xdrvが[L]に変化したとして検出する。
【0068】
即ち、
図8に示す動作形態の場合、前記スレーブ制御回路33において、前記第3および第4の送受信回路31,32にて受信した前記信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rのパルス信号の周期が前記第1のパルス間隔(短い周期)に変化したか否かを検出するだけで、前記第3および第4の送受信回路31,32を送信用(TXモード)または受信用(RXモード)に切り替えることができる。従って前記スレーブ制御回路33での制御の簡素化を図ることができる。
【0069】
そしてこのような動作形態で前記信号伝送装置10を動作させた場合でも、先に説明した基本動作の場合と同様に前記マスター回路20から前記スレーブ回路30に対して前記制御信号Xdrvを、その立上り・立下りを示す信号MTX-DT-S,MTX-DT-Rとして伝送し、その受信信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rから前記制御信号Xdrvを復元して出力信号GATEを得ることができる。
【0070】
またこのような動作形態の場合、前記スレーブ回路30から前記マスター回路20へのアラーム信号ALMの伝送は、例えば
図9に示す動作タイミングに従って実行される。即ち、
図9に示すように[H]レベルで示されるアラーム信号ALM-INが前記スレーブ回路30に入力されると、前記ラッチ・パルス生成回路33kは、例えば前記第1のパルス間隔と同程度の周期でパルス信号を生成する。このパルス信号は、
図9において太線で示すように前記ゲート回路33i,33jを介して、前述した如く送信用(TXモード)に設定した第3または第4の送受信回路31,32に与えられ、前記マスター制御回路23に送信される。尚、前記アラーム信号ALM-INの消失([L]レベル)に伴って、前記ラッチ・パルス生成回路33kは前記パルス信号の生成を停止し、該ラッチ・パルス生成回路33hからの前記パルス信号の出力が停止する。
【0071】
この場合にも、先に
図7を参照して説明した基本動作態様の場合と同様に、前述した前記マスター回路20からスレーブ回路30への前記送信信号MTX-DT-S,MTX-DT-Rの送信と同時に、前記スレーブ回路30において送信用(TXモード)に設定されている前記第3および第4の送受信回路32,33を介して前記アラーム信号ALM-INを示すパルス信号が送信信号STX-DT-S,STX-DT-Rとして前記マスター回路20に向けて送信される。
【0072】
一方、前記マスター制御回路23は、前述した基本実施態様の場合と同様に前記第1および第2の送受信回路21,22による受信信号MRX-DT-S,MRX-DT-Rを常時監視している。そして前記受信信号MRX-DT-S,MRX-DT-Rを示す前記パルス信号を検出したとき、これをアラーム信号ALM-INの受信として検出して前記ラッチ・タイマー回路23hをセットする。また前記マスター制御回路23は、受信用(RXモード)に設定した前記第1および第2の送受信回路21,22による受信信号(パルス信号)が、一定期間に亘って途絶えたとき、これをタイマーにより検出して前記アラーム信号ALM-INの消失として検出し、前記ラッチ・タイマー回路23hをリセットする。このような前記ラッチ・タイマー回路23hのセット・リセットにより、該ラッチ・タイマー回路23hのセット出力として前記アラーム信号ALM-INを復元したアラーム出力ALM-OUTが得られる。従ってこの
図8および
図9に示す動作態様の場合もまた、先に説明した基本動作態様の場合と同様に、前記スレーブ回路30から前記マスター回路20へのアラーム信号ALMの同時伝送が実現される。
【0073】
従って上述した如く構成された信号伝送装置によれば、前述した
図6および
図7に示す動作タイミングで信号伝送する場合であっても、或いは前述した
図8および
図9に示す動作タイミングで信号伝送する場合であっても、前記マスター回路20と前記スレーブ回路30との間で前記制御信号Xdrvとアラーム信号ALMとを双方向に同時送信することができる。故に特許文献1,2,3にそれぞれ示すような信号伝送装置と異なり、2つの信号伝送装置を互いに逆向きに設ける必要がない。しかもマスター回路20側において、第1および第2のトランス11,12を介する信号伝送の向きを制御するだけなので、その制御自体が簡単であり、装置の構成が複雑化することがない等の効果が奏せられる。
【0074】
ここで前述した
図6および
図7に示す動作タイミングで前記マスター回路20と前記スレーブ回路30との間で双方向信号伝送を行う場合の、前記マスター制御回路23および前記スレーブ制御回路33の具体的な構成例について説明する。
【0075】
図10は、
図4に示したマスター制御回路23の具体的な構成例を示している。この
図10に示すように前記エッジ検出回路23aは、クロックパルスCLKに従って前記制御信号Xdrvを取り込むD型フリップフロップ23iと、このD型フリップフロップ23iの出力と前記制御信号Xdrvとを排他的論理和処理するEXオア回路23jとにより構成される。前記D型フリップフロップ23iは、前記クロックパルスCLKの立上りタイミングで前記制御信号Xdrvを取り込み、前記クロックパルスCLKの立上りタイミングで前記制御信号Xdrvを出力する。前記エッジ検出回路23aは、このようなD型フリップフロップ23iの出力を利用し、前記EXオア回路23jにて該D型フリップフロップ23iの出力と前記制御信号Xdrvとの排他的論理和を求めることで、
図11に示すように前記制御信号Xdrvの立上り・立下りタイミングを示す信号STTを出力する。
【0076】
また前記マスター制御回路23におけるパルス生成回路23bは、前記クロックパルスCLKとリセット信号ZRSTを受けて動作制御される有限状態マシン23mを備える。この有限状態マシン23mは、前記信号STTを入力すると共に、カウンタ23nによる計数値に従って前述した第1のパルス間隔のパルス信号を生成する為の制御信号FASTと、第2のパルス間隔のパルス信号を生成する為の制御信号SLOWを出力する。尚、前記カウンタ23nは、前記制御信号FAST,SLOWを受けて動作制御され、前記制御信号FASTの入力時には前記クロックパルスCLKにより第1のパルス間隔を計数し、前記制御信号SLOWの入力時には前記クロックパルスCLKにより第2のパルス間隔を計数する。
【0077】
そして前記有限状態マシン23mは、
図12にその状態遷移を示すように、デフォルト状態(IDLE)において前記信号STTが入力されたとき、高速計数状態(FAST-ST)に遷移する。この状態遷移によって前記有限状態マシン23mは、前記制御信号FASTを出力し、前記カウンタ23nを2進バイナリ値[00000]から計数動作させる。そして前記カウンタ23nによる計数値MCNTDTが、例えば2進バイナリ値[01111]に達したとき、低速計数状態(SLOW-ST)に遷移する。
【0078】
この状態遷移によって前記有限状態マシン23mは前記制御信号FASTの出力を停止し、該制御信号FASTに代えて前記制御信号SLOWを出力する。すると前記カウンタ23nを再び2進バイナリ値[00000]から計数動作を開始する。そして前記カウンタ23nによる計数値MCNTDTが、例えば2進バイナリ値[11111]に達したとき、前記有限状態マシン23mは休止状態(NOP)に遷移し、前記制御信号SLOWの出力を停止する。そして次のクロックパルスCLKが入力されると前記有限状態マシン23mがは、前記デフォルト状態(IDLE)に復帰する。
【0079】
一方、前記カウンタ23nによる計数値MCNTDTは、アンド回路23o,23pに入力されている。前記アンド回路23oは、前記制御信号FASTが[H]のとき、前記カウンタ23nの出力の下位2ビットが[00]であるときに信号CNT4を出力する。従って前記カウンタ23nの計数値MCNTDTが、前記2進バイナリ値[01111]に達するまでの間、
図11に示すように前記アンド回路23oは、前記カウンタ23nが前記クロックパルスCLKを4パルス計数する都度、短い周期(第1のパルス間隔)で前記信号CNT4を4回に亘って出力する。
【0080】
また前記アンド回路23pは、前記制御信号SLOWが[H]のとき、前記カウンタ23nの出力の下位3ビットが[000]であるときに信号CNT8を出力する。従って前記カウンタ23nの計数値MCNTDTが、前記2進バイナリ値[01111]に達するまでの間、
図11に示すように前記アンド回路23pは、前記カウンタ23nが前記クロックパルスCLKを8パルス計数する都度、長い周期(第2のパルス間隔)で前記信号CNT8を4回に亘って出力する。
【0081】
このようにして前記アンド回路23o,23pをそれぞれ介して出力される前記信号CNT4,CNT8は、オア回路23qを介してD型フリップフロップ23rに入力される。このD型フリップフロップ23rは、前記クロックパルスCLKに従って前記信号CNT4,CNT8を取り込むことで、その出力として前記第1のパルス間隔(短い周期)でパルス信号を4パルス出力した後、これに継続して前記第2のパルス間隔(長い周期)でパルス信号を4パルス出力する。このようにしてD型フリップフロップ23rから出力されるパルス信号が前記ゲート回路23c,23dに与えられることにより、前述した送信信号MTX-DT-S,MTX-DT-Rがそれぞれ生成される。
【0082】
一方、前述したスレーブ制御回路33における
図5に示したパルス周期検出回路33e,33fは、具体的には
図13に示すようなパルス周期検出回路40として構成される。尚、この
図13に示すパルス周期検出回路40は、基本的には前述したセット用の前記パルス周期検出回路33eと、リセット用の前記パルス周期検出回路33fとを並列に設け、これらを一体に構成したものである。
【0083】
即ち、前記パルス周期検出回路33eは、前記同相入力除去回路33aから出力されるセット用およびリセット用の前記受信信号(パルス信号)SRX-DT-S2,SRX-DT-R2を入力し、前記クロックパルスCLKを計数することで前記受信信号SRX-DT-S2,SRX-DT-R2のパルス間隔を検出するセット用のカウンタ41とリセット用のカウンタ42とを備える。これらのカウンタ41,42は、その計数値が最大値に達したとき、次に前記受信信号SRX-DT-S2,SRX-DT-R2が入力されるまで、その最大計数値を保持する機能を備える。
【0084】
前記各カウンタ41,42の後段に設けられたフリップフロップ43,44は、前記受信信号SRX-DT-S2,SRX-DT-R2が[H]のときに前記カウンタ41,42による計数値をラッチし、その計数値を保持する役割を担う。そして前記フリップフロップ43,44によりそれぞれ保持された前記カウンタ41,42の各計数値は、比較器45,46にそれぞれ入力され、閾値設定器47(47a,47b,47c,47d)に予め設定された4つの判定閾値SHROT-MIN-LIMIT,SHROT-MAX-LIMIT,LONG-MIN-LIMIT,LONG-MAX-LIMITとの比較判定に供される。
【0085】
尚、前記判定閾値SHROT-MIN-LIMITは、前記受信信号SRX-DT-S2,SRX-DT-R2のパルス間隔を示す前記カウンタ41,42の計数値を、前述した第1のパルス間隔(短い周期)の最小パルス間隔に規定する閾値であり、前記判定閾値SHROT-MAX-LIMITは、前記第1のパルス間隔の最大パルス間隔に規定する閾値である。また前記判定閾値LONG-MIN-LIMITは、前記受信信号SRX-DT-S2,SRX-DT-R2のパルス間隔を示す前記カウンタ41,42の計数値を、前述した第2のパルス間隔(長い周期)の最小パルス間隔に規定する閾値であり、前記判定閾値LONG-MAX-LIMITは、前記第2のパルス間隔の最大パルス間隔に規定する閾値である。
【0086】
そして前記比較器45は、前記カウンタ41の計数値S-CNTが前記判定閾値SHROT-MIN-LIMITと前記判定閾値SHROT-MAX-LIMITの範囲内に含まれるとき、
図14にその動作タイミングを示すように前記受信信号SRX-DT-S2のパルス信号の周期が前記第1のパルス間隔であることを示す信号S-SHORT-DTを出力する。また前記比較器45は、前記計数値S-CNTが前記判定閾値LONG-MIN-LIMITと前記判定閾値LONG-MAX-LIMITの範囲内に含まれるとき、
図14にその動作タイミングを示すように前記受信信号SRX-DT-S2のパルス信号の周期が前記第2のパルス間隔であることを示す信号S-LONG-DTを出力する。そして前記計数値S-CNTが上述した判定条件を満たさないとき、前記比較器45は、前記信号S-LONG-DTをクリアする為の信号S-LONG-CLRを出力する。
【0087】
同様に前記比較器46は、前記カウンタ42の計数値R-CNTが前記判定閾値SHROT-MIN-LIMITと前記判定閾値SHROT-MAX-LIMITの範囲内に含まれるとき、
図14にその動作タイミングを示すように前記受信信号SRX-DT-R2のパルス信号の周期が前記第1のパルス間隔であることを示す信号R-SHORT-DTを出力する。また前記比較器46は、前記計数値R-CNTが前記判定閾値LONG-MIN-LIMITと前記判定閾値LONG-MAX-LIMITの範囲内に含まれるとき、
図14にその動作タイミングを示すように前記受信信号SRX-DT-R2のパルス信号の周期が前記第2のパルス間隔であることを示す信号R-LONG-DTを出力する。そして前記計数値R-CNTが上述した判定条件を満たさないとき、前記比較器46は、前記信号R-LONG-DTをクリアする為の信号R-LONG-CLRを出力する。
【0088】
一方、D型フリップフロップ48,49は、前記クロックパルスCLKを受けて前記受信信号SRX-DT-S2,SRX-DT-R2をそれぞれ入力し、
図14にその動作タイミングを示すように前記クロックパルスCLKが1パルス分遅れたタイミングでイネーブル信号SPEN,RPENを出力する。前記イネーブル信号SPENは、前記受信信号SRX-DT-S2の入力時に、前記比較器45の前述した各出力信号S-SHORT-DT,S-LONG-DTをそれぞれラッチするラッチ回路51,52のラッチ動作を許可する為の信号である。また前記イネーブル信号RPENは、前記受信信号SRX-DT-R2の入力時に、前記比較器46の前述した各出力信号R-SHORT-DT,R-LONG-DTをそれぞれラッチするラッチ回路53,54のラッチ動作を許可する為の信号である。
【0089】
尚、前記ラッチ回路52,54には、前記イネーブル信号SPEN,RPENに加えて、オア回路55,56を介して前記比較器45,46が出力するクリア信号S-LONG-CLR,R-LONG-CLRがそれぞれ入力されている。そして前記出力信号S-SHORT-DT,R-SHORT-DTによって前記ラッチ回路51,53がセットされるとき、前記ラッチ回路52,54がリセットされるようになっている。
【0090】
そしてこれらのラッチ回路51,52,53,54は、前記クロックパルスCLKを受けて前記各比較器45,46の前述した出力をそれぞれラッチし、
図14に示すタイミングで、前記受信信号SRX-DT-S2,SRX-DT-R2のパルス信号周期をそれぞれ示す前記信号S-SHORT,S-LONG,R-SHORT,R-LONGを出力する。これらの信号S-SHORT,S-LONG,R-SHORT,R-LONGが、前述した送受信制御回路33gに与えられる。
【0091】
ここで前記送受信制御回路33gは、例えば
図15に示すように状態遷移する状態マシン回路として実現される。この送受信制御回路(状態マシン回路)33gは、前述した信号S-SHORT,S-LONG,R-SHORT,R-LONGの組み合わせに応じて、その状態を変化させる。具体的には、初期状態であるデフォルト[IDLE]、セット用パルス信号の間隔が短い状態[S-S]、セット用パルス信号の間隔が長い状態[S-L]、リセット用パルス信号の間隔が短い状態[R-S]、リセット用のパルス信号の間隔が長い状態[R-L]、そしてこれらのいずれの状態でもない異常検出状態[ERR]に状態遷移するように構成される。
【0092】
この状態遷移は、前記マスター回路20から送られてくる信号が、前述したように間隔の短いパルス信号と間隔の長いパルス信号の組み合わせからなる1つのパルスシーケンスを形成し、また前記セット側とリセット側とで交互に入り替わることに着目している。そしてこのようなパルスシーケンスを正しくトレースするように、その状態遷移条件を定めたものである。従ってこのような送受信制御回路(状態マシン回路)33gを用いることで、通常の場合には、[IDLE]→[S-S]→[S-L]→[R-S]→[R-L]→[S-S]→…なる状態変位が検出され、前記受信信号SRX-DT-S2,SRX-DT-R2に基づいて前記制御信号Xdrvが正しく復元される。
【0093】
また前記スレーブ制御回路33における前記アラームラッチ・パルス生成回路33kは、例えば
図16に示すように構成される。このアラームラッチ・パルス生成回路33kは、前記送受信制御回路(状態マシン回路)33gにおいて受信信号の異常が検出されたとき[状態;ERR]、その受信エラー信号RX-ERRを受けて、或いは前記異常検出回路8,9において前記スイッチング素子Q1,Q2の異常が検出され、該異常検出回路8,9が発したアラーム信号ALM-INが入力されたときに起動されるカウンタ回路33mを備える。
【0094】
この前記カウンタ回路33mは、例えば3ビットのダウンカウンタからなり、リセットにより設定される2進バイナリ値[111]を、前記クロックパルスCLKを入力してダウンカウントする。前記アラーム信号ALM-INを入力するアンド回路33nは、前記カウンタ回路33mの下位2ビットの出力データが2進バイナリ値[10]のとき、前記マスター回路20にアラーム信号ALM-INを送信する為の信号APを出力する。この信号APは、前記アラーム信号ALM-INが継続しているとき、前記カウンタ回路33mの1サイクルのダウンカウント動作期間に2回出力される。
【0095】
また前記受信エラー信号RX-ERRを入力するアンド回路33oは、前記カウンタ回路33mの3ビットの出力データが2進バイナリ値[110]のとき、前記マスター回路20にアラーム信号ALMを送信する為の信号EPを出力する。この信号EPは、前記受信エラー信号RX-ERRが継続しているとき、前記カウンタ回路33mの1サイクルのダウンカウント動作期間に1回出力される。
【0096】
そして前記アンド回路33n,33oからそれぞれ出力される前記信号AP,EPは、オア回路33pを介してD型フリップフロップ33qに与えられ、前記クロックパルスCLKに従って該D型フリップフロップ33qに取り込まれる。この結果、前記D型フリップフロップ33qから、前記カウンタ回路33mの1サイクルのダウンカウント動作期間に1回または2回出力される信号AP,EPに従ってアラーム信号ALM-INを形成するパルス信号が出力される。そしてこのアラーム信号(パルス信号)は、前述したゲート回路33i,33jを介して前記第3および第4の送受信回路31,32に与えられて前記マスター回路20に送信される。
【0097】
ところで上述した実施形態においては、前記スレーブ制御回路33において前記受信信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rのパルス信号の周期が前記第1のパルス間隔(短い周期)から第2のパルス間隔(長い周期)に変化したタイミングを検出した。そしてこの周期の変化タイミングで前記第3および第4の送受信回路31,32の一方を送信用(TXモード)に切り替え、前記ゲート回路33i,33jを介して前記アラーム信号ALMを送信した。しかし、例えば
図17に示すように前記ラッチ回路33hをセット・リセットする前記送受信制御回路(状態マシン回路)33gの出力を利用してラッチ回路33r,33sを選択的にセットし、これらのラッチ回路33r,33sのセット出力を用いて前記ゲート回路33i,33jを制御することも可能である。
【0098】
前記スレーブ制御回路33を
図17に示すように構成すれば、前記受信信号SRX-DT-S,SRX-DT-Rのパルス信号の周期が前記第1のパルス間隔(短い周期)となったタイミングで前記ゲート回路33i,33jを制御し、前記第3および第4の送受信回路31,32の一方を送信用(TXモード)に設定することができる。従って前述した実施形態の場合よりも長い期間に亘って前記第3および第4の送受信回路31,32の一方を送信用(TXモード)に設定することができるので、前記アラーム信号ALM-INをより長い期間に亘って安定に送信することが可能となる。
【0099】
一方、前記マスター制御回路23を、例えば
図18に示すように構成することも可能である。この
図18に示す構成のマスター制御回路23は、前記制御信号Xdrvが[H]または[L]に変化した時点で前記第1のパルス間隔(短い周期)のパルス信号を生成した後、前記第2のパルス間隔(長い周期)のパルス信号を生成し、このパルス信号の周期の切り替わり時点で前記第1および第2の送受信回路21,22の一方を送信用とし、他方を受信用として切り替えるように構成したものである。具体的には前記EXオア回路23jに代えてオア回路23sを用い、このオア回路23sを介して前記有限状態マシン23mに信号STTを入力する。
【0100】
また前記制御信号Xdrvに応じてゲート回路23t,23uを択一的にアクティブにし、前記有限状態マシン23mの出力CHANGEをフリップフロップ23vに与え、該フリップフロップ23vをセット・リセットする。そしてこのフリップフロップ23vのセット出力に従って前記ゲート回路23c,23dを択一的にアクティブにし、前記第1の送受信回路21に与える前記送信信号MTX-DT-S、または前記第2の送受信回路22に与える前記送信信号MTX-DT-Rを選択的に生成するように構成したものである。
【0101】
この場合、前記有限状態マシン23mについては、例えば
図19に示すように状態遷移するように構成される。即ち、デフォルト状態(IDLE)において前記信号STTが入力されたとき、高速計数状態(FAST-ST)に遷移する。この状態遷移によって前記有限状態マシン23mは、前記制御信号FASTを出力し、前記カウンタ23nを2進バイナリ値[00000]から計数動作させる。そして前記カウンタ23nによる計数値MCNTDTが、例えば2進バイナリ値[01111]に達したとき、低速計数状態(SLOW-ST)に遷移する。そしてこの低速計数状態(SLOW-ST)において前記信号STTが入力されたとき、再び前記高速計数状態(FAST-ST)に遷移する。以降、前記有限状態マシン23mは、前記低速計数状態(SLOW-ST)と前記高速計数状態(FAST-ST)との間で状態遷移するように構成する。
【0102】
一方、上述した如く構成されたマスター制御回路23に対して、前記スレーブ制御回路33を、例えば
図20に示すように構成する。即ち、前述した
図17に示す構成に加えて、前記送受信制御回路(状態マシン回路)33gのアラーム出力許可信号ALM-EN-S,ALM-EN-Rを利用し、アンド回路33t,33uにおいてアラーム信号の発生タイミングを検出する。そしてこれらのアンド回路33t,33uの出力にてラッチ回路33r,33sを動作させ、前記パルス周期検出回路33e,33fによる前記第1のパルス間隔(短い周期)のパルス信号の検出結果ST1をラッチする。そして前記ゲート回路33i,33jを前記ラッチ回路33r,33sの出力にて制御し、前記アラーム信号ALMに応じた前記送信信号STX-DT-S,STX-DT-Rを出力するように構成する。
【0103】
尚、
図20においてノア回路33x,33yは、前記リセット信号ZRSTまたは前記同相入力除去回路33aの出力に応じて前記ラッチ回路33r,33sをそれぞれリセットし、これによって前記送信信号STX-DT-S,STX-DT-Rの出力を禁止する役割を担う。またこの場合、前記送受信制御回路(状態マシン回路)33gについては、例えば
図21に示すように状態遷移するように構成すれば良い。即ち、デフォルト状態[IDLE]の場合にだけ、そのエラー検出を行うように構成すれば十分である。
【0104】
このように構成された信号伝送装置によれば、
図22にその動作タイミングを示すように、制御信号Xdrvに応じて生成する前記送信信号MTX-DT-S,MTX-DT-Rのパルス信号の周期を変更する順序に拘わることなく、アラーム信号ALM-INが発生したタイミングで該アラーム信号ALM-INを示す信号STX-DT-S,STX-DT-Rの前記マスター回路20への送信が可能となる。従って前記アラーム信号ALM-INの発生を、前記マスター回路20に速やかに通知する上で好適である。
【0105】
以上説明したように本発明に係る信号送信装置によれば、マスター回路20とスレーブ回路30との間で同時に双方向通信を行うことができる。特に当該信号送信装置を
図1に示したように、スイッチング電源装置におけるスイッチング制御回路3とハイサイド・ドライバ回路4との間の信号伝送を担う絶縁分離回路6として適用した場合、第1のスイッチング素子Q1を駆動する為の制御信号Xdrvを前記ハイサイド・ドライバ回路4に伝達しながら、前記第1のスイッチング素子Q1に生じた異常を示すアラーム信号ALM-INを前記スイッチング制御回路3において常時受信することが可能となる。従って前記スイッチング制御回路3側とは電圧レベルの異なる前記ハイサイド・ドライバ回路4を駆動する上で極めて有用である。
【0106】
特に本発明によれば前記制御信号Xdrvおよび前記アラーム信号ALM-INを、それぞれセット信号Sとリセット信号Rとに分けて伝送するので、例えば前記特許文献2にて提唱されているように、パルス信号の周期を異ならせてセット信号とリセット信号とを送信する場合に比較して、伝送ノイズの影響を受け難くすることができる。しかも特許文献3にて提唱されている方式に比較して、その回路構成規模を小さくして安価に実現することが可能である。また伝送するパルス信号の周波数を特許文献3に示されるようにRF帯に設定する必要がなく、前記トランス11,12を介して伝達するパルス信号の周波数を低く抑えることができる。従って前記送受信回路21,22,31,32での消費電力を低く抑えることができる等の効果が奏せられる。
【0107】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば前記制御信号Xdrvの立上り・立下りを検出して生成する前記送信信号MTX-DT-S,MTX-DT-Rを構成するパルス信号の第1および第2のパルス間隔(パルス間隔)とそのパルス数については、例えば前記制御信号Xdrvのオン・オフ繰り返し周期等の仕様に応じて定めれば良いものである。
【0108】
また前記信号伝送装置10を、前述したスイッチング電源装置以外の装置に適用することも勿論可能である。例えば入力電圧を基準電位として動作するハイサイド側の第1のスイッチング素子Q1を第1のドライバ回路により駆動し、前記第1および第2のスイッチング素子の直列接続点の電圧を基準電位として動作するローサイド側の第2のスイッチング素子Q2を第2のドライバ回路により駆動するように構成したスイッチング電源装置の場合には、前記絶縁分離回路6を、前記入力電圧を基準電位として動作する前記スイッチング制御回路と前記第2のドライバ回路との間に設けるようにすれば良い。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。