特許第6048061号(P6048061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048061
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   G02F1/1333
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-230773(P2012-230773)
(22)【出願日】2012年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-81567(P2014-81567A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池野 充
(72)【発明者】
【氏名】金子 文吉
【審査官】 鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−209468(JP,A)
【文献】 特開2006−139100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/1345
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面パネルの背後に設けられ、液晶を封止した一対の絶縁基板の内側表面に透明電極が各々設けられることで表示部を形成する液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルと導通接続されるフレキシブルプリント配線板と、を備えた液晶表示装置において、
前記フレキシブルプリント配線板は、前記液晶表示パネルと導通接続されない分岐片を有し、
前記分岐片は、前記前面パネルに当接し、前記前面パネルに帯電した静電気をアースする導電部を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記分岐片は、前記絶縁基板の表面側に配置された緩衝部材と当接することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記前面パネルは、前記液晶表示パネルの表示領域を囲う縁部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記分岐片の前記導電部は前記分岐片の前面側にあることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶表示パネルは、前記絶縁基板のうち表面積が大きい方が前面側に配置され、前記分岐片は前記表面積が大きい方に前記緩衝部材を介して配置されることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に搭載される液晶表示装置に関し、特に静電気防止構造を備えた液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示装置は、ケースに収納された液晶表示パネルを保持するための金属製セル抑えやリードピンなどによって、液晶表示パネルの表面に帯電した静電気を回路基板に逃す構造が一般的であり、液晶表示パネルは、フレキシブルプリント基板などによって回路基板と電気的に接続されるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−151852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、可視範囲を決める透過性パネルなどを液晶の前面に配置する場合、パネルに帯電した静電気が液晶表示パネルに落ちてしまい、液晶表示パネルの誤作動や破損などが生じるといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、前面パネルの背後に設けられ、液晶を封止した一対の絶縁基板の内側表面に透明電極が各々設けられることで表示部を形成する液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルと導通接続されるフレキシブルプリント配線板と、を備えた液晶表示装置において、
前記フレキシブルプリント配線板は、前記液晶表示パネルと導通接続されない分岐片を有し、
前記分岐片は、前記前面パネルに当接し、前記前面パネルに帯電した静電気をアースする導電部を有するものである。
【0006】
また本発明は、前記分岐片は、前記絶縁基板の表面側に配置された緩衝部材と当接するものである。
【0007】
また本発明は、前記前面パネルは、前記液晶表示パネルの表示領域を囲う縁部を有しているものである。
【0008】
また本発明は、前記分岐片の前記導電部は前記分岐片の前面側にあるものである。
【0009】
また本発明は、前記液晶表示パネルは、前記絶縁基板のうち表面積が大きい方が前面側に配置され、前記分岐片は前記表面積が大きい方に前記緩衝部材を介して配置されるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前面パネルに帯電した静電気による液晶表示パネルへの悪影響を防ぐことが可能な液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態を示す液晶表示装置の斜視図。
図2】同液晶表示装置のフレキシブルプリント配線板の正面図。
図3】同液晶表示装置を組み付けた際の見返し部材と前面パネルと液晶表示パネルとのA−A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る液晶表示装置を添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
本実施形態の液晶表示装置は、不透過性樹脂から形成された見返し部材1と、光透過性の前面パネル2と、透過型の液晶表示パネル3と、この液晶表示パネル3の裏面側に配置された導光部材4と、液晶表示パネル3と導光部材4との間に配置された拡散シートやプリズムシートなどの光学フィルム5と、液晶表示パネル3,導光部材4および光学フィルム5が保持されるセルケース6と、このセルケース6の背後(液晶表示パネル1の背後でもある)に配置された硬質の回路基板(図示せず)と、この回路基板上に実装され液晶表示パネル1を照明する光源としての発光ダイオード(図示せず)と、液晶表示パネル3と回路基板とを繋ぐ導電性の接続部材としてのフレキシブルプリント配線板31を備えている。
【0014】
見返し部材1は、不透過性の合成樹脂から形成されたものであり、内周部にフック係合部(図示せず)を有し、セルケース6内に収納された前面パネル2、液晶表示パネル3、光学フィルム5と、導光部材4との上側を覆い、フック係合部とセルケース6の係止部(図示せず)とが係合される。
【0015】
前面パネル2は、透過性のシート材からなり、表面もしくは裏面に液晶表示パネル3の可視範囲を定める不透過性の縁部21が印刷などにより施されている。
【0016】
液晶表示パネル3は、詳細は図示しないが周知の如く、前側ガラス基板3Aと、前側ガラス基板3Aよりも表面積が小さい後側ガラス基板3Bとの間に液晶分子を封入し、各々のガラス基板3A,3Bに偏光膜を貼ったものである。
【0017】
フレキシブルプリント配線板31は、ポリイミド樹脂等の絶縁性素材からなる基材上に、銅等の導電性素材により所定のパターンの導電路が複数形成されたものである。この導電部は、一部を除き絶縁性素材からなるカバーフィルムにより被覆され、露出された導電部には、ニッケル、金等の導電性補強材のメッキが施され電極端子部が形成されている。
【0018】
また、フレキシブルプリント配線板31は、同一の絶縁性素材からなるL字型の分岐片311を有しており、図3に示すように、その分岐片311は前面パネル2の縁部21と緩衝部材32との間に配置されている。
【0019】
緩衝部材32は、両面シールなどの接着剤によって前側ガラス基板3Aに接着されている。また、緩衝部材32は、例えばスポンジ状の材料から形成され、見返し部材1とセルケース6とが係合されることによって、前面パネル2と前側ガラス基板3Aとに押圧される。
【0020】
分岐片311には、その前面側に導電部312が設けられてあり、この導電部312と、前面パネル2とが当接することによって、前面パネル2に帯電した静電気が、分岐片311からフレキシブルプリント配線板3を通り、図示しない回路基板へとアースされる。このとき、緩衝部材32は絶縁素材によって形成されているため、導電部312に伝わる静電気が、液晶表示パネル3に電気伝導することはない。
【0021】
このように、本願発明の液晶表示装置は、見返し部材1と、見返し部材1の背後に設けられる前面パネル2と、前面パネル2の背後に設けられ、液晶を封止した一対の絶縁基板(ガラス基板)3A、3Bの内側表面に透明電極が各々設けられることで表示部を形成する液晶表示パネル3と、液晶表示パネル3と導通接続されるフレキシブルプリント配線板31と、を備えた液晶表示装置において、フレキシブルプリント配線板31は、液晶表示パネル3と導通接続されない分岐片311を有し、
分岐片311は、絶縁基板の表面側に配置された緩衝部材32に当接するように設けられることによって、前面パネル2に帯電する静電気を回路基板にアースすることができるので、静電気による液晶表示パネルへの悪影響を防ぐことができる。
【0022】
また、本願発明の液晶表示装置は、緩衝部材32は、弾性部材からなることによって、前面パネル2と前側ガラス基板3Aとに押圧され、前面パネル2に帯電した静電気が前面パネル2から液晶表示パネル3に電気伝導することを防ぐことができる。
【0023】
また、本願発明の液晶表示装置は、前面パネル2は、液晶表示パネル3の周縁を囲う縁部21を有していることによって、導電部312を前面パネル2の表示領域外に当接させることができるので見栄えのよい液晶表示装置を提供することができる。
【0024】
また、本願発明の液晶表示装置は、フレキシブルプリント配線板31は、前面パネル2と当接する導電部312を有した分岐片311を備え、導電部312は分岐片311の前面側にあることによって、確実に前面パネル2と当接させることができる。
【0025】
また、本願発明の液晶表示装置は、液晶表示パネル3は、2枚のガラス基板3A,3Bのうち表面積が大きい方が前側に配置され、分岐片311は前側ガラス基3Aの方に分岐片311が緩衝部材32を介して設けられていることによって、フレキシブルプリント配線板31の導電部312が前面パネル2と当接することができる位置となるので、前面パネル2に帯電した静電気を回路基板に逃がすことが可能となる。
【符号の説明】
【0026】
1 見返し部材
2 前面パネル
3 液晶表示パネル
3A 前側ガラス基板
3B 後側カラス基板
4 導光体
5 光学シート
6 セルケース
21 縁部
31 フレキシブルプリント配線板
32 緩衝部材
311 分岐片
312 導電部
図1
図2
図3