(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の通信部と第1の記憶部とを有する情報処理装置と、第2の通信部と第2の記憶部とを有する通信装置とを備え、前記情報処理装置と前記通信装置とは第1及び第2の通信部及びこれら通信部間の通信回線により互いに通信可能であるコンテンツ再生システムにおいて、
前記第1の記憶部には、オリジナルコンテンツデータと、このオリジナルコンテンツデータに基づいて前記情報処理装置により生成され、前記オリジナルコンテンツデータの品質を低下させた低品質コンテンツデータとが格納され、
前記第2の記憶部には、前記第1の記憶部内に格納された前記低品質コンテンツデータが転送されて格納され、
前記通信装置は、
前記第2の記憶部内に格納された前記低品質コンテンツデータの再生を指示する再生指示部と、
前記第2の記憶部内に格納されたデータを再生する再生部と、
前記通信回線の通信品質を監視する通信品質監視部と、
前記再生指示部からの前記低品質コンテンツデータの再生の指示に基づいて前記再生部により前記低品質コンテンツデータの再生をしているときに、前記通信品質監視部により監視している通信品質が所定のレベル以上であると判断すると、前記第2の通信部を介して前記第1の記憶部に格納された前記オリジナルコンテンツデータの転送を前記情報処理装置に要求し、転送されてきた前記オリジナルコンテンツデータを前記再生部により再生させる再生制御部と
を備え、
前記再生指示部による前記低品質コンテンツデータの再生の指示までには、前記第2の記憶部には、前記第1の記憶部内に格納された前記低品質コンテンツデータが予め転送されて格納されていることを特徴とするコンテンツ再生システム。
前記再生制御部は、前記再生部により前記オリジナルコンテンツデータの再生をしているときに、前記通信品質監視部により監視している通信品質が所定のレベルを下回っていると判断すると、前記第2の記憶部に格納されている前記低品質コンテンツデータを前記再生部により再生させることを特徴とする請求項1記載のコンテンツ再生システム。
前記タイムテーブルには、前記再生時間において前記オリジナルコンテンツデータ及び低品質コンテンツデータにシーンチェンジが存在したかが記述されたシーンチェンジ領域を備え、
前記再生制御部は、前記オリジナルコンテンツデータと前記低品質コンテンツデータとの再生切替位置を、前記シーンチェンジ領域を参照して、前記オリジナルコンテンツデータの再生時間以降で最も近い前記シーンチェンジが存在する前記低品質コンテンツデータの再生位置にする
ことを特徴とする請求項4記載のコンテンツ再生システム。
前記再生制御部は、前記情報処理装置への前記オリジナルコンテンツデータの転送要求から実際に前記情報処理装置から前記オリジナルコンテンツデータが転送されるまでに予想されるタイムラグの分だけ先行した、前記オリジナルコンテンツデータの再生時間に対応する前記オリジナルコンテンツデータのデータ位置から開始する前記オリジナルコンテンツデータの転送を情報処理装置に要求することを特徴とする請求項4記載のコンテンツ再生システム。
前記第1の記憶部には、前記オリジナルコンテンツデータと、このオリジナルコンテンツデータの品質を低下させた前記低品質コンテンツデータと中品質コンテンツデータとが格納され、
前記再生制御部は、前記通信品質監視部により監視している通信品質に応じて前記低品質コンテンツデータ、前記中品質コンテンツデータ及び前記オリジナルコンテンツデータのいずれを前記再生部により再生させるかを決定する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のコンテンツ再生システム。
前記再生制御部は、前記通信装置の性能に応じて前記低品質コンテンツデータ、前記中品質コンテンツデータ及び前記オリジナルコンテンツデータのいずれを前記再生部により再生させるかを決定する
ことを特徴とする請求項8に記載のコンテンツ再生システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の技術であっても、さらに解決すべき課題を抱えていた。まず、通信装置に低画質データを格納する技術においては、通信装置が良好な回線品質下にあっても、ユーザは低画質データを視聴することになる。良好な回線品質が得られるのであれば、コンテンツサーバからコンテンツデータを取得して通信装置で再生することは可能である。ユーザがその時点での回線品質を都度確認し、回線品質が良好であれば手作業でコンテンツサーバに接続してコンテンツデータを取得する指示を行ってコンテンツデータを再生することも可能であるが、かかる作業はユーザに追加の作業を強いるものであり、手間であった。
【0008】
また、無線回線品質が劣化した場合にCMデータを再生する技術では、通信装置は何かしらのデータを途切れなく再生することができるものの、ユーザが視聴を希望しないデータが再生されてしまう可能性がある。
【0009】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、情報記録装置に格納されたコンテンツデータを通信回線経由で通信装置で再生する場合において、コンテンツデータの再生をできるだけ途切れさせることなく、通信回線の通信品質に応じて可能な限り高品質のコンテンツデータ再生を簡易に行うことの可能なコンテンツ再生システム、通信装置、コンテンツ再生方法及びプログラムを提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1の通信部と第1の記憶部とを有する情報処理装置と、第2の通信部と第2の記憶部とを有する通信装置とを備え、情報処理装置と通信装置とは第1及び第2の通信部及びこれら通信部間の通信回線により互いに通信可能であるコンテンツ再生システムに適用される。そして、第1の記憶部に、オリジナルコンテンツデータと、このオリジナルコンテンツデータの品質を低下させた低品質コンテンツデータとを格納し、第2の記憶部に、第1の記憶部内に格納された低品質コンテンツデータを転送して格納し、さらに通信装置に、第2の記憶部内に格納されたデータを再生する再生部と、通信回線の通信品質を監視する通信品質監視部と、再生部により低品質コンテンツデータの再生をしているときに、通信品質監視部により監視している通信品質が所定のレベル以上であると判断すると、第2の通信部を介して第1の記憶部に格納されたオリジナルコンテンツデータの転送を情報処理装置に要求し、転送されてきたオリジナルコンテンツデータを再生部により再生させる再生制御部とを設けることにより、上述の課題の少なくとも一つを解決している。
【0011】
再生部が低品質コンテンツデータの再生をしているとき、通信品質監視部は通信回線の通信品質を監視し、そして、再生制御部は、通信品質監視部により監視している通信品質が所定のレベル以上であると判断すると、第2の通信部を介して第1の記憶部に格納されたオリジナルコンテンツデータの転送を情報処理装置に要求し、転送されてきたオリジナルコンテンツデータを再生部により再生させている。すなわち、通信品質監視部により監視している通信品質が所定のレベル以上である場合、再生部によりオリジナルコンテンツデータが再生され、通信品質監視部により監視している通信品質が所定のレベルを下回る場合、オリジナルコンテンツデータより低品質の低品質コンテンツデータが再生部により再生される。
【0012】
ここで、再生制御部は、再生部によりオリジナルコンテンツデータの再生をしているときに、通信品質監視部により監視している通信品質が所定のレベルを下回っていると判断すると、第2の記憶部に格納されている低品質コンテンツデータを再生部により再生させることが好ましい。
【0013】
また、低品質コンテンツデータに、通信回線を通じて第1の記憶部に格納されたオリジナルコンテンツデータにアクセスするための情報を記述し、再生制御部が、再生部により低品質コンテンツデータの再生をしているときに、第2の通信部を介して第1の記憶部に格納されたオリジナルコンテンツデータにアクセスすることが好ましい。
【0014】
さらに、第2の記憶部に、データの再生位置と再生時間との関係を示すタイムテーブルを格納し、再生制御部が、オリジナルコンテンツデータと低品質コンテンツデータとの再生切替の際に、タイムテーブルを参照して、再生切替時のオリジナルコンテンツデータの再生時間と低品質コンテンツデータの再生時間との差を小さくするように再生切替を行うことが好ましい。
【0015】
さらに、低品質コンテンツデータの再生開始から所定の時間幅の冒頭部を、オリジナルコンテンツデータと同等の品質を有する冒頭コンテンツデータとし、再生制御部が、低品質コンテンツデータの再生開始時にこの冒頭コンテンツデータを再生部により再生させることが好ましい。
【0016】
また本発明は、通信部と記憶部とを有し、この通信部及び通信回線により、オリジナルコンテンツデータ及びこのオリジナルコンテンツデータの品質を低下させた低品質コンテンツデータが格納された情報処理装置との間で互いに通信可能に構成された通信装置に適用される。そして、記憶部に、情報処理装置に格納された低品質コンテンツデータを転送して格納し、さらに通信装置に、記憶部内に格納されたデータを再生する再生部と、通信回線の通信品質を監視する通信品質監視部と、再生部により低品質コンテンツデータの再生をしているときに、通信品質監視部により監視している通信品質が所定のレベル以上であると判断すると、通信部を介してオリジナルコンテンツデータの転送を情報処理装置に要求し、転送されてきたオリジナルコンテンツデータを再生部により再生させる再生制御部とを設けることにより、上述の課題の少なくとも一つを解決している。
【0017】
さらに本発明は、記憶部を有し、通信回線によりオリジナルコンテンツデータ及びこのオリジナルコンテンツデータの品質を低下させた低品質コンテンツデータが格納された情報処理装置との間で互いに通信可能に構成された通信装置におけるコンテンツ再生方法に適用される。そして、情報処理装置に格納された低品質コンテンツデータを記憶部に格納する工程と、記憶部内に格納された低品質コンテンツデータを再生する工程と、通信回線の通信品質を監視する工程と、低品質コンテンツデータの再生をしているときに、監視している通信品質が所定のレベル以上であると判断すると、オリジナルコンテンツデータの転送を情報処理装置に要求し、転送されてきたオリジナルコンテンツデータを再生する工程とを設けることにより、上述の課題の少なくとも一つを解決している。
【0018】
そして本発明は、記憶部を有し、通信回線によりオリジナルコンテンツデータ及びこのオリジナルコンテンツデータの品質を低下させた低品質コンテンツデータが格納された情報処理装置との間で互いに通信可能に構成されたコンピュータにより実行されるプログラムに適用される。そして、このプログラムがコンピュータにより実行されると、情報処理装置に格納された低品質コンテンツデータを記憶部に格納する工程と、記憶部内に格納された低品質コンテンツデータを再生する工程と、通信回線の通信品質を監視する工程と、低品質コンテンツデータの再生をしているときに、監視している通信品質が所定のレベル以上であると判断すると、オリジナルコンテンツデータの転送を情報処理装置に要求し、転送されてきたオリジナルコンテンツデータを再生する工程とを設けることにより、上述の課題の少なくとも一つを解決している。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、通信品質監視部により監視している通信品質が所定のレベル以上である場合、再生部によりオリジナルコンテンツデータが再生され、通信品質監視部により監視している通信品質が所定のレベルを下回る場合、オリジナルコンテンツデータより低品質の低品質コンテンツデータが再生部により再生される。従って、情報記録装置に格納されたコンテンツデータを通信回線経由で通信装置で再生する場合において、コンテンツデータの再生をできるだけ途切れさせることなく、通信回線の通信品質に応じて可能な限り高品質のコンテンツデータ再生を簡易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(一実施形態)
図1は、本発明の一実施形態であるコンテンツ再生システムの概略を示す図である。この図において、1は本実施形態のコンテンツ再生システムであり、このコンテンツ再生システム1は、通信装置2と情報処理装置3とルータ4とを備える。
【0022】
通信装置2は、いわゆるスマートフォン等であり、移動体通信網5を介して音声通話が可能であり、さらに、この移動体通信網5を介してインターネット6に接続可能である。さらに、本実施形態の通信装置2は、無線LAN(Local Area Network)を介して、ルータ4を含む他の無線端末と無線通信可能である。情報処理装置3は、本実施形態ではHDD(Hard Disk Drive)部を備えたものであり、有線または無線LANを介してルータ4を含む他の端末と通信可能である。ルータ4はWAN(Wide Area Network)としてのインターネット6に接続され、通信装置2や情報処理装置3とインターネット6との間の通信を中継する。
【0023】
(通信装置の概略構成)
図2は、本実施形態のコンテンツ再生システム1に用いられる通信装置2の概略構成を示すブロック図である。
図2において、通信装置2は、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)21、RAM(Random Access Memory)22、液晶ドライバ230、液晶パネル231、無線LANモジュール240、アンテナ241、移動体通信モジュール250、音声インタフェース(I/F)251、マイクロフォン252、スピーカ253、アンテナ254、入力インタフェース(I/F)260、タッチパネル261、内部ストレージ部27、USB(Universal Serial Bus)コントローラ280及びUSBコネクタ281を備え、CPU20、ROM21、RAM22、液晶ドライバ230、無線LANモジュール240、移動体通信モジュール250、入力インタフェース260、内部ストレージ部27及びUSBコントローラ280はそれぞれ共通のバスにより接続されている。
【0024】
CPU20は、ROM21内に格納されたファームウェア等のプログラムがRAM22において展開された後で実行されることで、通信装置2全体の動作制御を行うとともに、
図4に示す各機能部に示す機能を実行する。
図4に示す各機能部については後述する。ROM21には、上述のファームウェア等のプログラムや、各種設定データが格納されている。RAM22は、通信装置2のワークメモリとして動作し、各種プログラム及びデータが一時的に格納される。
【0025】
液晶パネル231は、その表示面が通信装置2の表面に露出して設けられている。液晶ドライバ230は、表示画面を構成するデータがCPU20からこの液晶ドライバ230に供給されると、液晶パネル231の表示面に所望の表示画面を表示するようにこの液晶パネル231を駆動する。
【0026】
無線LANモジュール240は、例えばIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11規格に準拠して、アンテナ241を介して無線通信を行う。この無線モジュール240は、通信装置2を、無線LANアクセスポイント(中継装置)を経由して通信を行うクライアント装置として動作させることが可能である。
【0027】
移動体通信モジュール250は、例えばIMT(International Mobile Telecommunication)−2000規格に準拠して、アンテナ254を介して移動体通信網5との間で移動体無線通信を行う。すなわち、移動体通信モジュール250は、移動体通信網5の基地局から受信した電波をデコードして得られた音声信号を、音声インタフェース251を介してスピーカ253から発音させ、音声インタフェース251を介してマイクロフォン252が集音した音声をエンコードして、アンテナ254を介して電波として移動体通信網5の基地局に送信する。なお、この移動体通信モジュール250が対応する規格には、3G/HSDPA(3rd Generation/High-Speed Downlink Packet Access)、LTE(Long Term Evolution)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)の少なくとも一つが含まれうる。
【0028】
タッチパネル261は、本実施形態では液晶パネル231の表示面の上面に重畳されて設けられ、この液晶パネル231の表示面と略同一の大きさを有する。ユーザによりタッチパネル261の表面がタッチされ、すなわち、タッチパネル261の表面上の特定位置がユーザにより触れられたら、タッチパネル261の表面上の特定位置が2次元の座標位置として検出され、この座標位置は入力インタフェース260を介して出力される。
【0029】
内部ストレージ部27は、内部ストレージ270と内部ストレージインタフェース(I/F)271とを備える。内部ストレージ270は、例えばフラッシュメモリのような不揮発性半導体メモリであり、通信装置2において用いられるアプリケーションプログラム、音楽・写真・動画データ等が格納される。特に、本実施形態の内部ストレージ270には、オリジナルコンテンツデータ332と、このオリジナルコンテンツデータ332に対して圧縮操作等を行うことで情報量の削減を図った低品質コンテンツデータ333と、これらオリジナルコンテンツデータ332及び低品質コンテンツデータ333のタイムシークテーブル334とが適宜格納される。オリジナルコンテンツデータ332、低品質コンテンツデータ333及びタイムシークテーブル334の詳細については後述する。内部ストレージインタフェース271は、この内部ストレージ270に対するデータの読み出し/書き込み指令があった場合に、内部ストレージ270全体の制御を行うとともに、データの読み出し/書き込み制御を行い、読み出されたデータを出力する。なお、内部ストレージ270は、例えばmicroSDのような挿脱可能な不揮発性メモリカードであってもよく、この場合、内部ストレージインタフェース271は、このメモリカードが装着されるメモリカードスロットをさらに備える。
【0030】
USBコントローラ280は、USB2.0またはUSB3.0規格に沿って、USBコネクタ281を介して接続されたUSBデバイスとの間でデータ(含むコンテンツデータ)の送受信を行う。USBコネクタ281は、いわゆるメス型USBコネクタ(USBレセプタクル)であって、いずれも図略のUSBケーブルのオス型USBコネクタ(USBプラグ)が挿入可能に構成されている。
【0031】
(情報処理装置の概略構成)
次に、
図3は、本実施形態のコンテンツ再生システム1に用いられる情報処理装置3の概略構成を示すブロック図である。
図3において、情報処理装置3は、CPU30、ROM31、RAM32、HDD部33、有線LANモジュール34、USBコントローラ350及びUSBコネクタ351を備え、CPU30、ROM31、RAM32、HDD部33、有線LANモジュール34及びUSBコントローラ350はそれぞれ共通のバスにより接続されている。
【0032】
CPU30は、ROM31内に格納されたファームウェア等のプログラムがRAM32において展開された後で実行されることで、情報処理装置3全体の動作制御を行うとともに、
図4に示す各機能部に示す機能を実行する。
図4に示す各機能部については後述する。ROM31には、上述のファームウェア等のプログラムが格納されている。RAM32は、情報処理装置3のワークメモリとして動作し、各種プログラム及びデータが一時的に格納される。
【0033】
HDD部33は、HDD330とHDDインタフェース(I/F)331とを備える。HDD330は、記録媒体であるディスクと、このディスクの回転を行う回転部と、ディスクに対してデータの読み出し/書き込みを行うヘッド部とを備える(いずれも不図示)。HDDインタフェース331は、このHDD330に対するデータの読み出し/書き込み指令があった場合に、HDD330全体の制御を行うとともに、データの読み出し/書き込み制御を行い、読み出されたデータを出力する。HDD330には、情報処理装置3から通信装置2に転送され、この通信装置2において用いられるアプリケーションプログラム、音楽・写真・動画データ等が適宜格納される。
【0034】
特に、本実施形態のHDD330には、通信装置2において再生が行われるオリジナルコンテンツデータ332と、このオリジナルコンテンツデータ332に対して圧縮操作等を行うことで情報量の削減を図った低品質コンテンツデータ333と、これらオリジナルコンテンツデータ332及び低品質コンテンツデータ333のタイムシークテーブル334とが格納されている。
【0035】
オリジナルコンテンツデータ332は、動画に関するコンテンツデータにおいて、その画質、音質の少なくとも一方が良好なコンテンツデータである。低品質コンテンツデータ333は、このオリジナルコンテンツデータ332に対して圧縮操作等を行うことで情報量、ひいては容量の削減を図ったものである。オリジナルコンテンツデータ332がデジタルデータである場合、低品質コンテンツデータ333は、オリジナルコンテンツデータ332のビットレートを低減させるトランスコード処理を行うことにより得ることができる。また、元となるビデオ信号をエンコード処理する際に、ビットレートが高いオリジナルコンテンツデータ332とビットレートが低い低品質コンテンツデータ333とを同時にエンコード処理して得ることも可能である。さらに、オリジナルコンテンツデータ332、低品質コンテンツデータ333のフォーマットがMPEG(Moving Picture Experts Group)−2、MPEG−4、H.264/MPEG−4 AVC(Advanced Video Coding)である場合、それぞれのオリジナルコンテンツデータ332、低品質コンテンツデータ333のプロファイルを異なるものとして、元となるビデオ信号をエンコード処理して得ることも可能である。
【0036】
低品質コンテンツデータ333には、情報処理装置3のHDD33に格納された状態でオリジナルコンテンツデータ332にアクセスするための情報が記述されている。好適な一例として、この情報は、インターネット6を経由して情報処理装置3にアクセスした際に、このオリジナルコンテンツデータ332の格納場所を特定できる情報、一例としてオリジナルコンテンツデータ332のURL(Unique Resource Locator)である。但し、本実施形態のコンテンツ再生システムにおいては、情報処理装置3はルータ4を介してインターネット6に接続されており、ルータ4はネットワークアドレス変換機能を持つことで、ルータ4に接続される情報処理装置3を含む機器にインターネット6から直接アクセスすることを制限している。このため、上述した情報は、いわゆるNAT(Network Address Translation)透過を実現できるものであることが好ましい。NAT透過技術については周知であるので、ここでは説明を省略する。
【0037】
タイムシークテーブル334は、オリジナルコンテンツデータ332及び低品質コンテンツデータ333のデータ位置と再生開始からの経過時間との関係を記述したテーブルである。
図5を参照して、本実施形態のタイムシークテーブル334の一例について説明する。本実施形態のタイムシークテーブル334は、オリジナルコンテンツデータ332に付随するものと低品質コンテンツデータ333に付随するものとの2種類が用意されている。このタイムシークテーブル334は、それぞれのオリジナルコンテンツデータ332及び低品質コンテンツデータ333の再生開始からの経過時間が記述される経過時間領域334aと、それぞれの経過時間におけるオリジナルコンテンツデータ332のデータ位置が記述されたオリジナルコンテンツデータ位置領域334bと、それぞれの経過時間における低品質コンテンツデータ333のデータ位置が記述された低品質コンテンツデータ位置領域334cと、それぞれの経過時間においてオリジナルコンテンツデータ332または低品質コンテンツデータ333にシーンチェンジが存在したかが記述されたシーンチェンジ領域334dとを備えている。このタイムシークテーブル334は、例えば低品質コンテンツデータ333の生成時に同時に生成される。
【0038】
有線LANモジュール34は、例えばIEEE802.3規格に準拠して、ルータ4との間で有線による通信を行う。USBコントローラ350は、USB2.0またはUSB3.0規格に沿って、USBコネクタ351を介して接続されたUSBデバイスとの間でデータ(含むコンテンツデータ)の送受信を行う。USBコネクタ351は、いわゆるメス型USBコネクタ(USBレセプタクル)であって、いずれも図略のUSBケーブルのオス型USBコネクタ(USBプラグ)が挿入可能に構成されている。
【0039】
(一実施形態の機能構成)
図4は、本実施形態のコンテンツ再生システムの機能構成を示す機能ブロック図である。本実施形態のコンテンツ再生システムは、上述のように通信装置2と情報処理装置3とを備える。
【0040】
情報処理装置3は、第1の通信部41と、コンテンツ変換部42と、第1の記憶部43とを備える。第1の通信部41は、インターネット6等の通信回線を介して通信装置2をはじめとする各種機器との間で通信を行う。コンテンツ変換部42は、第1の記憶部43にオリジナルコンテンツデータ332が格納されると、このオリジナルコンテンツデータ332に対して圧縮操作等を行うことで情報量、ひいては容量の削減を図った低品質コンテンツデータ333を生成する。第1の記憶部43は各種データを少なくとも一時的に格納するものであり、この第1の記憶部43には、オリジナルコンテンツデータ332、低品質コンテンツデータ333及びタイムシークテーブル334が格納されている。
【0041】
通信装置2は、第2の通信部51と、通信品質監視部52と、再生制御部53と、再生指示部54と、第2の記憶部55と、再生部56と、出力部57とを備える。第2の通信部51は、インターネット6等の通信回線を介して情報処理装置3をはじめとする各種機器との間で通信を行う。
【0042】
通信品質監視部52は、第2の通信部51が各種機器との間で通信を行っている際に、第2の通信部51が接続された通信回線の通信品質を監視し、その結果を再生制御部53に出力する。通信品質監視部52が監視する通信品質は、コンテンツデータ再生に影響を与える通信回線の各種パラメータであり、一例として、単位時間に実際に送受信されているデータ量が挙げられる。インターネット6において単位時間に実際に送受信されているデータ量は「インターネットの通信速度」と称されることがあり、例えばbps(bit per second)という単位で表される。通信品質監視部52は、一例としてこの通信速度を実時間、正確には単位時間毎に計測する。あるいは、通信品質監視部52は、後述する再生部56によるコンテンツデータの再生速度を監視し、インターネット6の通信速度と比較してその差分を通信回線の通信品質であるとして監視してもよいし、通信装置2の第2の通信部51が送受信動作をしている際の実時間の(正確には単位時間毎の)電波強度を通信回線の通信品質であるとして監視してもよい。さらに、第2の通信部51が無線LANによる通信機能を有する場合は、第2の通信部51が測定するRSSI(Received Signal Strength Indicator)を入手し、これを通信回線の通信品質であるとして監視してもよい。
【0043】
再生制御部53は、再生指示部54により再生が指示されたコンテンツの再生を再生部56に指示する。この時、再生制御部53は、通信品質監視部52から出力される通信回線の通信品質の監視結果を取得し、その監視結果に基づいて、オリジナルコンテンツデータ332または低品質コンテンツデータ333のいずれを再生するかを決定する。加えて、後述するようにオリジナルコンテンツデータ332と低品質コンテンツデータ333との再生切替動作を行う時に、タイムシークテーブル334を参照して、再生切替動作の前後でオリジナルコンテンツデータ332の再生時間と低品質コンテンツデータ333の再生時間との間にできるだけタイムラグが生じないように、オリジナルコンテンツデータ332及び低品質コンテンツデータ333の再生時間を制御する。
【0044】
再生指示部54は、第2の記憶部55内に格納されたコンテンツのリストを取得し、ユーザがこのコンテンツのリストを見ながら再生・視聴を希望するコンテンツの指示入力をすると、この指示入力を受け入れ、その結果を再生制御部53に出力する。第2の記憶部55は各種データを少なくとも一時的に格納するものであり、この第2の記憶部55には、オリジナルコンテンツデータ332、低品質コンテンツデータ333及びタイムシークテーブル334が適宜格納される。再生部56は、第2の記憶部55に格納されているコンテンツのデータを読み出し、このコンテンツデータをユーザが視聴可能なフォーマットのデータに変換して出力部57に出力する。出力部57は、再生部56から入力されたデータに基づいて、コンテンツのデータをユーザが視聴可能な状態で出力する。
【0045】
以上の構成において、第1の通信部41は主に有線LANモジュール34、USBコントローラ350及びUSBコネクタ351により構成され、コンテンツ変換部42は主にCPU30により構成され、第1の記憶部43は主にRAM32及びHDD部33により構成され、第2の通信部51は主に無線LANモジュール240、移動体通信モジュール250、アンテナ241、254、USBコントローラ280及びUSBコネクタ281により構成され、通信品質監視部52及び再生制御部53は主にCPU20により構成され、再生指示部54は主に液晶ドライバ230、液晶パネル231、入力インタフェース260及びタッチパネル261により構成され、第2の記憶部55は主にRAM22及び内部ストレージ部27により構成され、再生部56は主にCPU20により構成され、出力部57は主に液晶ドライバ230、液晶パネル231、音声インタフェース251及びスピーカ253により構成され、そして通信回線は主に移動体通信網5、インターネット6及びUSBコネクタ281、351を接続するUSBケーブルにより構成されている。
【0046】
(一実施形態の動作)
次に、
図6〜
図8のフローチャートを参照して、本実施形態のコンテンツ再生システムの動作について説明する。
【0047】
図6は、本実施形態のコンテンツ再生システムにおいて、コンテンツデータを取得する動作を説明するためのフローチャートである。
まず、
図6のステップS1では、情報処理装置3はオリジナルコンテンツデータ332を取得し、取得したオリジナルコンテンツデータ332を第1の記憶部43に格納する。オリジナルコンテンツデータ332は、第1の通信部41を介してインターネット6等から取得してもよく、また、情報処理装置3が備えるUSBコネクタ351にUSB外部機器を接続し、このUSB外部機器が備えるオリジナルコンテンツデータ332をUSBコネクタ351及びUSBインタフェース350経由で取得してもよい。さらに、ルータ4に有線または無線LANを介して接続されたPC(Personal Computer)や録画装置等、さらにはdlna(digital living network alliance)規格によるDMS(Digital Media Server)から、この有線または無線LANを及びルータ4を介してオリジナルコンテンツデータ332等を取得してもよい。
【0048】
次に、ステップS2では、情報処理装置3のコンテンツ変換部42は、ステップS1において取得したオリジナルコンテンツデータ332に対して圧縮操作等を行うことで情報量、ひいては容量の削減を図ることで、低品質コンテンツデータ333を生成する。同時に、コンテンツ変換部42は、情報処理装置3の第1の記憶部43に格納された状態でこのオリジナルコンテンツデータ332にアクセスするための情報を低品質コンテンツデータ333に記述する。なお、上述のように、オリジナルコンテンツデータ332及び低品質コンテンツデータ333を同時に取得できる場合は、ステップS2は省略される。
【0049】
次に、ステップS3では、通信装置2は、第2の通信部51及び通信回線を介して情報処理装置3にアクセスし、情報処理装置3の第1の記憶部43に格納された低品質コンテンツデータ333の転送を要求する。ステップS4では、ステップS3における通信装置2からの低品質コンテンツデータ333の転送要求に応答して、情報処理装置3は第1の記憶部43に格納された低品質コンテンツデータ333を第1の通信部41及び通信回線を介して転送する。加えて、情報処理装置3は、第1の記憶部43に格納されたタイムシークテーブル334も第1の通信部41及び通信回線を介して転送する。タイムシークテーブル334は、低品質コンテンツデータ333に多重化して転送してもよいし、タイムシークテーブル334単体で転送してもよい。多重化する場合は、例えば低品質コンテンツデータ333のフォーマットがMPEG−2 TS(Transport Stream)、MPEG−4、H.264/MPEG−4 AVCである場合、送信パケットの一部にタイムシークテーブル334を含めて転送すればよい。そして、ステップS5では、通信装置2は、転送されてきた低品質コンテンツデータ333及びタイムシークテーブル334を通信回線及び第2の通信部51を介して受信し、第2の記憶部55に格納する。
【0050】
次に、
図7及び
図8は、本実施形態のコンテンツ再生システムにおいて、コンテンツデータを再生する動作を説明するためのフローチャートである。
まず、
図7のステップS10では、通信装置2の再生指示部54により、第2の記憶部55内に格納された低品質コンテンツデータ333の再生が指示され、ステップS11では、ステップS10における低品質コンテンツデータ333の再生指示に基づいて、再生制御部53が再生部56に対して低品質コンテンツデータ333の再生を指示し、再生部56は、第2の記憶部55に格納されている低品質コンテンツデータ333を読み出してコンテンツ再生データを出力する。再生部56から出力されたコンテンツ再生データは出力部57により出力される。
【0051】
次いで、ステップS12では、再生制御部53が低品質コンテンツデータ333に格納されたアクセス情報を確認し、ステップS13では、再生制御部53が、第2の通信部51を介して情報処理装置3の第1の記憶部43に格納されたオリジナルコンテンツデータ332へアクセスする。
【0052】
ステップS14では通信品質監視部52が、その時点での通信回線の通信品質を検出し、その結果を再生制御部53に出力する。ステップS15では、再生制御部53が、通信品質監視部52から出力されたその時点での通信回線の通信品質が所定レベル以上であるかどうかを判定する。ここにいう所定レベルとは、オリジナルコンテンツデータ332を情報処理装置3から転送して逐次通信装置2で再生する際に、通信装置2の再生部56が途切れなくオリジナルコンテンツデータ332を再生できる最低限の通信品質に対応するレベルであり、通信品質が通信回線の通信速度である場合は、上述の条件を満足しうる最低限の通信速度である。そして、通信品質監視部52から出力されたその時点での通信回線の通信品質が所定レベル以上である(ステップS15においてYES)場合は、プログラムはステップS16に移行し、通信品質監視部52から出力されたその時点での通信回線の通信品質が所定レベルを下回る(ステップS15においてNO)場合は、プログラムはステップS22に移行する。ここにおいて、通信品質監視部52から出力されたその時点での通信回線の通信品質が所定レベルを下回るとは、通信回線の通信が中断されている場合も含まれる。
【0053】
ステップS16では、再生制御部53が、その時点で再生されている低品質コンテンツデータ333の再生位置を確認し、第2の記憶部55に格納されているタイムシークテーブル334を参照して、低品質コンテンツデータ333の再生位置に対応するオリジナルコンテンツデータ332の再生位置を確認する。より詳細には、再生制御部53が、その時点で再生されている低品質コンテンツデータ333の再生開始からの経過時間を、第2の記憶部55に格納されているタイムシークテーブル334の経過時間領域334aを参照して取得し、次いで、低品質コンテンツデータ333の再生開始からの経過時間に対応するオリジナルコンテンツデータ332のデータ位置を、オリジナルコンテンツデータ位置領域334bを参照して取得する。
【0054】
そして、ステップS17では、再生制御部53が、ステップS16で確認した、低品質コンテンツデータ333の再生開始からの経過時間に対応するオリジナルコンテンツデータ332のデータ位置から開始するオリジナルコンテンツデータ332の転送を、第2の通信部51及び通信回線を介して情報処理装置3に要求する。通信装置2からのオリジナルコンテンツデータ332の転送要求を受信した情報処理装置3は、第1の記憶部43に格納されているオリジナルコンテンツデータ332を、通信装置2から要求された開始位置から、第1の通信部41及び通信回線を介して通信装置2に転送する。情報処理装置3から通信装置2へのオリジナルコンテンツデータ332の転送手法は任意であり、オリジナルコンテンツデータ332が格納されたファイルをそのまま転送してもよく、あるいは、情報処理装置3がオリジナルコンテンツデータ332をストリームデータに変換してストリーミング配信をしてもよい。
【0055】
ステップS18では、情報処理装置3から転送されてきたオリジナルコンテンツデータ332を第2の通信部51を介して受信し、このオリジナルコンテンツデータ332を一時的に第2の記憶部55に格納する。ステップS19では、第2の記憶部55にオリジナルコンテンツデータ332の再生動作ができる程度までデータが格納されたら、再生制御部53が再生部56に対してオリジナルコンテンツデータ332の再生を指示し、再生部56は、第2の記憶部55に格納されているオリジナルコンテンツデータ332を読み出してコンテンツ再生データを出力する。再生部56から出力されたコンテンツ再生データは出力部57により出力される。
【0056】
次いで、ステップS20では、ステップS14における通信品質監視部52の通信品質確認から所定時間が経過するのを待つ。この所定時間は、通信回線の通信品質が大きく変動しないと予測される時間であり、予め設定されている。そして、ステップS21では、通信装置2が、再生中のオリジナルコンテンツデータ332または低品質コンテンツデータ333の再生が終了したか否かを判定し、再生が終了した(ステップS21においてYES)場合はプログラムを終了し、再生がまだ終了していない(ステップS21においてNO)場合はステップS14に戻って以降の動作を繰り返す。
【0057】
一方、ステップS22では、再生制御部53が、その時点で再生されているデータがオリジナルコンテンツデータ332である場合、その再生位置を確認し、第2の記憶部55に格納されているタイムシークテーブル334を参照して、オリジナルコンテンツデータ332の再生位置に対応する、その時点で再生されていない低品質コンテンツデータ333の再生位置を確認する。より詳細には、再生制御部53が、オリジナルコンテンツデータ332の再生開始からの経過時間を、第2の記憶部55に格納されているタイムシークテーブル334の経過時間領域334aを参照して取得し、次いで、オリジナルコンテンツデータ332の再生開始からの経過時間に対応する低品質コンテンツデータ333のデータ位置を、低品質コンテンツデータ位置領域334cを参照して取得する。
【0058】
そして、ステップS23では、その時点で再生されているデータがオリジナルコンテンツデータ332である場合、再生制御部53が、ステップS22で確認した、オリジナルコンテンツデータ332の再生開始からの経過時間に対応する低品質コンテンツデータ333のデータ位置から開始する低品質コンテンツデータ333の再生を再生部56に指示し、再生部56は、第2の記憶部55に格納されている低品質コンテンツデータ333を読み出してコンテンツ再生データを出力する。あるいは、その時点で再生されているデータが低品質コンテンツデータ333である場合、再生制御部53は引き続き低品質コンテンツデータ333の再生を再生部56に指示する。再生部56から出力されたコンテンツ再生データは出力部57により出力される。
【0059】
このように、本実施形態のコンテンツ再生システムによれば、通信装置2においてコンテンツデータを再生する際に、予め通信装置2の第2の記憶部55に低品質コンテンツデータ333を格納しておく。次いで、この低品質コンテンツデータ333を通信装置2の再生部56で再生する際に、通信品質監視部52によりその時点での通信回線の通信品質を検出し、通信品質監視部52が検出した通信回線の通信品質が所定レベル以上である場合は、再生制御部53が低品質コンテンツデータ333の再生位置を確認し、タイムシークテーブル334を参照して対応するオリジナルコンテンツデータ332の再生位置を取得する。そして、再生制御部53は、取得した再生位置から開始するオリジナルコンテンツデータ332の転送を情報処理装置3に指示し、情報処理装置3は、第1の記憶部43に格納されたオリジナルコンテンツデータ332を転送し、通信装置2の再生制御部53は、転送されてきたオリジナルコンテンツデータ332を再生部56により再生させる。一方、通信品質監視部52が検出した通信回線の通信品質が所定レベルを下回る場合は、再生制御部53は、第2の記憶部55に格納された低品質コンテンツデータ333を再生部56により再生させる。
【0060】
このように、本実施形態のコンテンツ再生システムでは、その時点での通信回線の通信品質に応じて再生すべきコンテンツデータを最適なものに選択し、すなわち、通信回線の通信品質が所定レベル以上であることから、オリジナルコンテンツデータ332を情報処理装置3から転送して通信装置2において再生してもオリジナルコンテンツデータ332の再生が途切れる可能性が低いと推測されるので、オリジナルコンテンツデータ332を選択し、通信回線の通信品質が所定レベルを下回ることから、オリジナルコンテンツデータ332を情報処理装置3から転送して通信装置2において再生してもオリジナルコンテンツデータ332の再生が途切れる可能性が高いと推測されるので、通信装置2の第2の記憶部55に格納された低品質コンテンツデータ333を選択して再生している。従って、本実施形態のコンテンツ再生システムによれば、コンテンツデータの再生をできるだけ途切れさせることなく、通信回線の通信品質に応じて最適なコンテンツデータを再生することができ、しかも、通信回線の通信品質が所定レベル以上である場合はオリジナルコンテンツデータ332を再生しているので、可能な限り高品質のコンテンツデータ再生を行うことが可能となる。
【0061】
加えて、本実施形態のコンテンツ再生システムでは、コンテンツデータの選択再生は通信品質監視部52の監視、検出結果に応じて再生制御部53が行うので、ユーザがコンテンツデータ再生の都度その時点における通信回線の通信品質を確認して、オリジナルコンテンツデータ332または低品質コンテンツデータ333のいずれを再生するかを決定して再生する場合と異なり、ユーザがコンテンツデータを選択する必要がなく、従って、可能な限り高品質のコンテンツデータ再生を簡易に行うことが可能となる。
【0062】
(変形例)
本発明のコンテンツ再生システムは、その細部が上述の一実施形態に限定されず、種々の変形例が可能である。一例として、上述の一実施形態では、
図7のステップS10〜ステップS14に示すように、通信装置2において低品質コンテンツデータ333の再生を開始してから通信回線の通信品質を検出していたが、ステップS10におけるコンテンツ再生が再生指示部54により指示されると、直ちにステップS14に示す処理、すなわち通信品質監視部52がその時点における通信回線の通信品質を検出し、ステップS15に示すように、検出結果に基づいて再生すべきコンテンツデータを選択してもよい。これにより、通信回線の通信品質が所定レベル以上である場合は、再生開始時点からオリジナルコンテンツデータ332の再生を行うことができ、さらに可能な限り高品質のコンテンツデータ再生を簡易に行うことが可能となる。
【0063】
また、上述の一実施形態において、通信装置2の再生制御部53は、
図7のステップS17に示すように、ステップS16で確認した、低品質コンテンツデータ333の再生開始からの経過時間に対応するオリジナルコンテンツデータ332のデータ位置から開始するオリジナルコンテンツデータ332の転送を情報処理装置3に要求していたが、情報処理装置3へのオリジナルコンテンツデータ332の転送要求から実際に情報処理装置3からオリジナルコンテンツデータ332が転送されるまでには若干の時間(タイムラグ)を要することが考えられるので、予想されるタイムラグの分だけ先行したオリジナルコンテンツデータ332のデータ位置を情報処理装置3に要求してもよい。あるいは、情報処理装置3から転送されるオリジナルコンテンツデータ332が通信装置2の第2の記憶部55に格納されて再生部56により再生可能な状態になるまで、一定のデータ量のオリジナルコンテンツデータ332が第2の記憶部55に格納される必要があることもあるので、この場合、一定のデータ量のオリジナルコンテンツデータ332が第2の記憶部55に格納されるまでに必要な時間の分だけ先行したオリジナルコンテンツデータ332のデータ位置を情報処理装置3に要求してもよい。当然、予想されるタイムラグの分及び一定のデータ量のオリジナルコンテンツデータ332が第2の記憶部55に格納されるまでに必要な時間の分を足し合わせた分だけ先行したオリジナルコンテンツデータ332のデータ位置を情報処理装置3に要求してもよい。このようにすれば、コンテンツデータの再生をより途切れさせることなく、通信回線の通信品質に応じて最適なコンテンツデータを簡易に再生することができる。
【0064】
ここで、上述した「予想されるタイムラグ」は、例えば通信装置2と情報処理装置3との間の通信のログを記録しておき、通信装置2から情報処理装置3に対して情報送信要求(リクエスト)を送信してから情報処理装置3からの応答を通信装置2が受信するまでの時間(これが各々の通信におけるタイムラグの実測値に相当する)の平均値や直近のタイムラグ実測値等に基づいて定めればよい。また、「一定のデータ量のオリジナルコンテンツデータ332が第2の記憶部55に格納されるまでに必要な時間」は、再生部56の再生性能等に応じて定めればよい。
【0065】
さらに、上述の一実施形態において、
図7のステップS16及びステップS22で確認したコンテンツデータの再生位置確認動作において、再生制御部53が、その時点で再生されているコンテンツデータの再生開始からの経過時間を、第2の記憶部55に格納されているタイムシークテーブル334の経過時間領域334aを参照して取得し、次いで、コンテンツデータの再生開始からの経過時間以降で最も近いシーンチェンジ位置をシーンチェンジ領域334dを参照して取得し、
図7のステップS17において再生制御部53が転送を要求するオリジナルコンテンツデータ332の再生位置、及び
図7のステップS23において再生制御部53が再生を行わせる低品質コンテンツデータ333の再生位置を、このシーンチェンジ位置としてもよい。このようにすれば、オリジナルコンテンツデータ332と低品質コンテンツデータ333との再生切替位置を、コンテンツデータの再生開始からの経過時間以降で最も近いシーンチェンジ位置にすることができ、オリジナルコンテンツデータ332及び低品質コンテンツデータ333の再生切替を円滑に、かつ、ユーザが切替動作に気付く可能性をできるだけ低くすることができる。
【0066】
さらに、上述の一実施形態において、低品質コンテンツデータ333の先頭部分をオリジナルコンテンツデータ332と同等の品質、いいかえれば低品質コンテンツデータ333の先頭部分はオリジナルコンテンツデータ332の先頭部分と同一の冒頭コンテンツデータとしてもよい。この冒頭コンテンツデータのデータ長は、情報処理装置3へのオリジナルコンテンツデータ332転送要求から実際に情報処理装置3からオリジナルコンテンツデータ332が転送されるまでのタイムラグと少なくとも等しい、好ましくはそれ以上のデータ長である。これにより、少なくともタイムラグの時間だけは通信装置2の再生部56によりオリジナルコンテンツデータ332と同一の高品質の冒頭コンテンツデータが再生されるので、さらに可能な限り高品質のコンテンツデータ再生を簡易に行うことが可能となる。
【0067】
さらに、上述の一実施形態において、低品質コンテンツデータ333は、オリジナルコンテンツデータ332に対して圧縮操作等を行うことで情報量、ひいては容量の削減を図ったものであった。通常、オリジナルコンテンツデータ332が動画データであった場合、圧縮操作は映像データに関する圧縮操作、具体的にはビットレート変換動作であるが、音声データについても圧縮操作を行ってもよい。加えて、オリジナルコンテンツデータ332の音声データが5.1チャンネルのサラウンドデータであった場合、この音声データを2チャンネルのステレオデータに変換しても情報量削減が図れるので、低品質コンテンツデータ333の音声データを2チャンネルのステレオデータにしてもよい。
【0068】
加えて、低品質コンテンツデータ333の映像データは低品質であるが、音声データはオリジナルコンテンツデータ332の音声データと同等の品質を有するデータとしてもよい。特に、オリジナルコンテンツデータ332のフォーマットがMPEG−2 TS(Transport Stream)、MPEG−4、H.264/MPEG−4 AVCである場合、オリジナルコンテンツデータ332の映像データのフレームを間引いて低品質コンテンツデータ333を生成すれば、低品質コンテンツデータ333の映像データを低品質にするとともに音声データをオリジナルコンテンツデータ332の音声データと同等のものとすることができる。
【0069】
さらに、上述の実施形態においては、コンテンツデータはオリジナルコンテンツデータ332と低品質コンテンツデータ333との2種類が用意されていたが、圧縮率を設定することで圧縮率の異なる中品質コンテンツデータを少なくとも一種類さらに用意し、通信回線の通信品質に応じて再生制御部53がいずれのコンテンツデータを再生するかを決定してもよい。このように、オリジナルコンテンツデータ332以外に複数の低品質コンテンツデータ333、中品質コンテンツデータを用意する場合、通信装置2の性能、例えば液晶パネル231の解像度や再生部56の再生スピード等に応じて、転送すべきコンテンツデータを選定しても良い。通信装置2の性能は、情報処理装置3またはインターネット6上のサーバに、通信装置2の機種名と性能とを関連付けたテーブルを用意しておき、
図6に示すコンテンツデータ転送時に情報処理装置3が通信機器2の機種名を取得し、上述のテーブルを参照して、通信装置2に転送すべきコンテンツデータを選定すればよい。情報処理装置3が通信装置2の性能を取得する方法は任意であるが、一例として、
図6に示すコンテンツデータの転送時に、情報処理装置3と通信装置2とをUSBコネクタ281、351及びUSBケーブルを介して接続し、この際、情報処理装置3のUSBコントローラ350が通信装置2を認証するときに通信装置2の機種名通知を要求し、通信装置2が情報処理装置3に対して自身の機種名を通知する方法が挙げられる。あるいは、
図6に示すコンテンツデータの転送時に、通信装置2が自身の性能に関する情報を情報処理装置3に送信してもよく、さらには、
図7に示すコンテンツデータ送信要求時に、通信装置2が自身の性能に関する情報を情報処理装置3に送信してもよい。
【0070】
さらに、上述の一実施形態においては、タイムシークテーブル334を通信装置2及び情報処理装置3の記憶部43、55にそれぞれ格納する構成であったが、コンテンツデータ再生時に通信装置2の第2の記憶部55においてタイムシークテーブル334が保持されていれば本発明は実現可能である。但し、情報処理装置3の第1の記憶部43にもタイムシークテーブル334を保持することで、通信装置2からのオリジナルコンテンツデータ332転送要求の際に、その時点での経過時間のみを情報処理装置3に送信すれば足り、通信装置2においてオリジナルコンテンツデータ332のデータ位置を確認する動作を省略でき、通信装置2側の動作軽減を図ることができる、という利点がある。
【0071】
そして、上述の一実施形態において、通信装置2、情報処理装置3等を動作させるプログラムはROM21、31等に格納されて提供されていたが、不図示の光学ディスクドライブ、USBコネクタ281、351及びUSBコントローラ280、350等を用いて、プログラムが格納されたDVD(Digital Versatile Disc)、USBフラッシュメモリ装置等を接続し、このDVD等からプログラムを通信装置2等に読み込んでこれら通信装置2等を動作させてもよい。また、インターネット6上の装置内にプログラムを格納しておき、無線LANモジュール240、移動体通信モジュール250、有線LANモジュール34等を介してこのプログラムを通信装置2等に読み込んでこれら通信装置2等を動作させてもよい。さらに、上述の一実施形態において、通信装置2等は複数のハードウェア要素により構成されていたが、これらハードウェア要素の一部の動作をCPU20、30等がプログラムの動作により実現することも可能である。