(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の部品を有する製品における前記各部品の形状及び位置の少なくとも一方に関する最新の編集時刻を記憶すると共に、干渉チェックの実行時における前記各部品の前記編集時刻及び前記複数の部品の部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記部品の最新の編集時刻と、前記干渉チェック情報に含まれる前記干渉チェック時における部品の編集時刻とに基づいて、前記記憶部に記憶された干渉チェック情報の有効性を判定する判定部と、
を備えた干渉チェック装置。
複数の部品を有する製品における前記各部品の形状及び位置の少なくとも一方に関する最新の編集時刻を記憶すると共に、干渉チェックの実行時における前記各部品の前記編集時刻及び前記複数の部品の部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報を記憶する記憶部に記憶された前記部品の最新の編集時刻と、前記干渉チェック情報に含まれる前記干渉チェック時における部品の編集時刻とに基づいて、前記記憶部に記憶された干渉チェック情報の有効性を判定する
ことを含む処理をコンピュータに実行させる干渉チェックプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して開示の技術の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1に、第1実施形態に係る干渉チェック装置10の構成を示す。干渉チェック装置10は、干渉チェック実行部12、干渉チェック結果出力部14、及び記憶部16を備えている。記憶部16は、外部記憶装置18に接続されている。外部記憶装置18には、製品の構造を示す設計データが記憶されている。設計データの一例としてCADプログラムで使用するワイヤーフレーム等のCADデータが知られている。例えば、CADプログラムでは、製品をワイヤーフレーム等の設計データによる数値計算用の数値計算モデルに対応させ、数値計算モデルを使用して、製品の構造設計を支援する。
【0013】
製品は、複数の部品を組み合わせた組立体を含むことが一般的である。また、組立体は上位の組立体の一部である場合もある。本実施形態では、製品は最上位の組立体であり、最上位から下位になるに従い、上位の組立体の一部となる組立体及び部品の少なくとも一方を含み、最下位には部品が対応する階層構造になる一例を説明する。なお、第1実施形態では、組立体をアセンブリと称し、部品をパーツと称して説明する。また、或るアセンブリの配下に含まれるアセンブリとパーツとを、オブジェクトと称して説明する。すなわち、或るアセンブリのオブジェクトは、1階層下のアセンブリ及びパーツの少なくとも一方を含む。
【0014】
干渉チェック装置10に含まれる記憶部16は、外部記憶装置18に記憶されている製品の設計データのうち、干渉チェック対象の製品の設計データを一時的に記憶する。また、記憶部16は、干渉チェック結果情報を記憶する。なお、詳細は後述するが、設計データにより示されるアセンブリには、属性情報として干渉チェック結果情報が対応付けられる。
【0015】
干渉チェック装置10に含まれる干渉チェック実行部12は、アセンブリ指定部20と、個別検証部22と、を含んでいる。個別検証部22は、アセンブリ抽出部24と、検証実行部26と、情報書込部28とを含んでいる。干渉チェック結果出力部14は、アセンブリ指定部30、有効性検証部32、及び情報出力部34を含んでいる。個別検証部22のアセンブリ抽出部24及び情報書込部28は、記憶部16に接続されている。また干渉チェック結果出力部14の有効性検証部32は、記憶部16に接続されている
【0016】
干渉チェック実行部12は、干渉チェック対象の製品について、当該製品に含まれる部品同士の一部が重なりあうことや移動を伴う部品を含む製品で他の部品が移動の障害となること等の部品の干渉を検証する。干渉チェック実行部12に含まれるアセンブリ指定部20は、干渉チェックを実行する最上位アセンブリを指定する。干渉チェック実行部12に含まれる個別検証部22は、アセンブリ指定部20で指定された最上位アセンブリ配下のアセンブリ及びパーツについて、干渉チェックを実行する。個別検証部22に含まれるアセンブリ抽出部24は、最上位のアセンブリ配下の各アセンブリにおいて、新たに干渉チェックを実行するアセンブリを抽出する。検証実行部26は、アセンブリ抽出部24で抽出した、新たに干渉チェックを実行する各アセンブリについて、配下のオブジェクトであるアセンブリ、及びパーツの少なくとも一方の間で干渉チェックを実行する。情報書込部28は、検証実行部26において実行された干渉チェックの結果を干渉チェック情報として、各アセンブリに対応付け、記憶部16に記憶する。すなわち、情報書込部28は、検証実行部26による干渉チェックの実行により得られた干渉チェック結果を、干渉チェックを実行した各々のアセンブリに対応づけて記憶部16に格納する。
【0017】
干渉チェック装置10に含まれる干渉チェック結果出力部14は、アセンブリ指定部30と、有効性検証部32と、情報出力部34と、を含んでいる。アセンブリ指定部30は、干渉チェック結果を出力する最上位のアセンブリを指定する。有効性検証部32は、アセンブリ指定部30で指定された最上位のアセンブリ配下の各アセンブリに対応付けられている干渉結果情報を取得し、取得した干渉結果情報が有効か否かを判断する。情報出力部34は、最上位アセンブリ配下の全てのアセンブリに対する干渉結果情報を出力する。
【0018】
外部記憶そうち18に記憶されている設計データは、構成情報、位置情報、形状情報、及び最終編集時間情報の各情報を含む。構成情報は、各アセンブリに含まれるアセンブリ、及びパーツの構成を示す情報である。構成情報の一例として、或るアセンブリ配下のオブジェクトであるアセンブリとパーツとを識別するための識別情報のリストがある。また、構成情報は、アセンブリからパーツまでの階層関係を示す情報を含む。位置情報は、各アセンブリに含まれるアセンブリ、及びパーツの位置を示す情報である。形状情報は、各パーツの形状を示す情報である。
【0019】
なお、最終編集時間情報は、CADにより編集されたアセンブリまたはパーツの最終編集時間を示す。つまり、最終編集時間情報は、アセンブリまたはパーツが最後に編集された時間を示す。最終編集時間は、具体的な一例として、CADシステムにおいて、パーツの形状変更を行うコマンド、パーツやアセンブリの配置や位置に関係するコマンドが実行され、かつコマンドによる編集が確定された時点の時刻がある。最終編集時間は、オブジェクト毎に、属性パラメータ等によりオブジェクト単位に属性情報として付加される。パーツの形状変更を行うコマンドの一例には、ソリッドジオメトリの作成や編集(突起、カット、ラウンド等の作成と寸法基準や寸法編集等)を行うコマンドが知られている。また、アセンブリの配置位置コマンドの一例には、配置条件付加のための配置座標指定や拘束条件(結合条件と呼ばれる場合もある)を示すコマンドが知られている。
【0020】
図2に、設計データによる製品におけるアセンブリ及びパーツの関係の一例を示す。
図2は、製品におけるアセンブリ及びパーツが階層関係にあるときに、当該製品の階層構造36を示す。
図2では、アセンブリをAsyの記号で表記し、パーツをPrtの記号で表記している。また、製品に含まれるアセンブリ及びパーツの記号に続けて、アセンブリ及びパーツの位置関係を示す数値情報で表記している。なお、位置関係を示す数値情報は、製品におけるアセンブリまたはパーツの階層位置に対応する数値と、当該階層までの上位階層のアセンブリ配下のオブジェクトの順位に対応する数値列とを「−」で連結して表記している。例えば、最上位である第1階層のアセンブリは、Asy1と表記し、配下である第2階層のアセンブリは、Asy2−1,Asy2−2,パーツはPrt2−3と表記している。また、第3階層のアセンブリは、Asy3−11,Asy3−12,パーツはPrt3−21、Prt3−22と表記している。
【0021】
干渉チェック結果情報は、最終編集時間を含むオブジェクト情報と干渉チェック結果を示す干渉結果情報とを含む。また、第1実施形態では、製品に含まれるアセンブリの各々に、干渉チェック結果情報が対応付けられて記憶部16に記憶される。オブジェクト情報は、干渉チェックが実行された時の対象アセンブリ配下のオブジェクト、つまりアセンブリ、及びパーツと、当該オブジェクトの各々の最終編集時間とが対応される。干渉結果情報は、ユーザの指示により干渉チェックを実行したときの干渉チェック結果の内、最新の干渉チェック結果を示す。なお、本実施形態では、干渉チェック結果情報を記憶部16に記憶する場合を説明するが、外部記憶装置18に記憶し読み取るようにしてもよい。
【0022】
図3に、干渉チェック結果情報のフォーマットの一例を示す。干渉チェック結果情報38は、オブジェクト情報38Jと干渉結果情報38Rを含む。オブジェクト情報38Jには、干渉チェック結果情報38が対応付けられるアセンブリ配下のオブジェクトを示すオブジェクト名と当該オブジェクトの最終編集時間とが対応付けて登録される。また、干渉結果情報38Rには、オブジェクト情報38Jに含まれる各オブジェクトを示す第1オブジェクト名と、第1オブジェクトと干渉する他のオブジェクトを示す第2オブジェクト名とが対応づけて登録される。なお、干渉結果情報38Rは、オブジェクト情報38Jに含まれる全てのオブジェクトを列挙してもよく、干渉チェックを実行した結果で干渉するとされるオブジェクトのみを列挙してもよい。干渉結果情報38Rに、オブジェクト情報38Jに含まれる全てのオブジェクトを列挙する場合、空欄などの所定形式で第2オブジェクト名を登録することにより、干渉チェックを実行した結果で干渉ないとされる第1オブジェクトを識別可能に登録できる。
【0023】
なお、干渉チェック装置10は開示の技術における干渉チェック装置の一例である。また、記憶部16は開示の技術における記憶部の一例であり、有効性検証部32は開示の技術における判定部の一例である。また、干渉チェック結果情報は、開示の技術における干渉チェック情報の一例である。
【0024】
図4に、干渉チェック装置10を、コンピュータで実現する場合の一例を示す。
図1に示す干渉チェック装置10は、コンピュータ40により実現される。コンピュータ40はCPU42、メモリ44、不揮発性の格納部54を備えている。CPU42、メモリ44、及び格納部54はバス53を介して互いに接続されている。格納部54はHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等によって実現できる。また、コンピュータ40はネットワークに接続するための通信制御部52を備え、通信制御部52はバス53に接続されている。また、コンピュータ40は、出力デバイスの一例の表示装置46、キーボードやマウス等の入力デバイスの一例の入力装置48を備えている。表示装置46、及び入力装置48はバス53に接続されている。また、コンピュータ40は、光ディスク等の記録媒体49が挿入され、挿入された記録媒体49に対して読み書きするための装置(R/W装置)50を備え、R/W装置50はバス53に接続されている。なお、表示装置46、入力装置48、及びR/W装置50は、省略してもよく、必要に応じてバス53に接続するようにしてもよい。
【0025】
格納部54には、CADプログラム56が記憶されている。CPU42がCADプログラム56を実行することで、コンピュータ40はCAD装置として動作する。なお、CADプログラム56の実行で動作されるCAD装置としての所定の主要な機能は、第1実施形態に直接関係しないため、説明を省略する。
【0026】
また、格納部54には、干渉チェックプログラム58、及び干渉チェック結果出力プログラム70が記憶される。干渉チェックプログラム58は、アセンブリ指定プロセス60及び個別検証プロセス62を含んでいる。また、個別検証プロセス62は、アセンブリ抽出プロセス64、検証実行プロセス66、及び情報書込プロセス68を含んでいる。また、干渉チェック結果出力プログラム70は、アセンブリ指定プロセス72、有効性検証プロセス74、及び情報出力プロセス76を含んでいる。また、格納部54には、製品の設計データ及び干渉チェック結果情報を含むデータベース78が記憶される。なお、
図4では、製品の設計データ及び干渉チェック結果情報を含む情報を、3Dモデル情報80と表記している。
【0027】
干渉チェックプログラム58、及び干渉チェック結果出力プログラム70の各々は、CPU42によって格納部54から読み出されてメモリ44に展開されて実行される。つまり、干渉チェック装置10がコンピュータ40で実現され、CPU42が干渉チェックプログラム58を実行することで、コンピュータ40は、
図1に示す干渉チェック実行部12として動作する。また、CPU42が干渉チェック結果出力プログラム70を実行することで、コンピュータ40は、
図1に示す干渉チェック結果出力部14として動作する。
【0028】
また、干渉チェック装置10がコンピュータ40で実現され、CPU42が干渉チェックプログラム58に含まれるアセンブリ指定プロセス60を実行することで、
図1に示すアセンブリ指定部20の一例として動作される。また、CPU42が干渉チェックプログラム58に含まれる個別検証プロセス62を実行することで、
図1に示す個別検証プロセス62の一例として動作される。なお、CPU42が個別検証プロセス62に含まれるアセンブリ抽出プロセス64、検証実行プロセス66、及び情報書込プロセス68の各々を実行することで、
図1に示すアセンブリ抽出部24、検証実行部26、及び情報書込部28各々の一例として動作される。
【0029】
また、干渉チェック装置10がコンピュータ40で実現され、CPU42が干渉チェック結果出力プログラム70に含まれるアセンブリ指定プロセス72を実行することで、
図1に示すアセンブリ指定部30の一例として動作される。また、CPU42が干渉チェック結果出力プログラム70に含まれる有効性検証プロセス74、及び情報出力プロセス76の各々を実行することで、
図1に示す有効性検証部32、及び情報出力部34の各々の一例として動作される。
【0030】
なお、コンピュータ40で実行される干渉チェックプログラム58、及び干渉チェック結果出力プログラム70は、開示の技術における干渉チェックプログラムの一例である。また、コンピュータ40で実行される干渉チェックプログラム58、及び干渉チェック結果出力プログラム70は、コンピュータ40を開示の技術における干渉チェック装置として機能させるためのプログラムでもある。また、コンピュータ40に処理を実行させるためのプログラムを記録した光ディスク等の記録媒体は開示の技術の記録媒体の一例である。
【0031】
次に第1実施形態の作用を説明する。
図5に、コンピュータ40(
図2)で実現される干渉チェック装置10に含まれる干渉チェック実行部12の動作の流れを示す。すなわち、
図5は、干渉チェックプログラム58(
図4)の処理の流れを示す。
【0032】
なお、第1実施形態では、CAD装置として製品の設計支援が実行され、干渉チェック装置10において、設計支援の対象となる製品の設計データが記憶部16に記憶されており、また、前回までの干渉チェック結果情報が記憶されているものとする。すなわち、CPU42によりCADプログラム56が実行されて設計支援の対象となる製品の設計データ、及び前回までの干渉チェック結果情報を含む情報が、格納部54のデータベース78に3Dモデル情報80として記憶されているものとする。
【0033】
コンピュータ40のCPU42は、入力装置48によりユーザの干渉チェック開始指示を受け付けると、アセンブリ指定プロセス60としての
図5に示す処理ルーチンを実行し、ステップ100以降の処理を実行する。ステップ100では、干渉チェックを実行する最上位のアセンブリが指定される。ステップ100では、入力装置48によりユーザが指定した干渉チェック対象のアセンブリの指示が読み取られ、読み取られたアセンブリが最上位のアセンブリに指定される。CPU42は、指定された最上位アセンブリに対して、個別検証プロセス62を実行する。具体的には、まず、ステップ102において、ステップ100で指定した最上位アセンブリの配下の各アセンブリのうち、新たに干渉チェックを行うアセンブリを候補アセンブリとして抽出するアセンブリ抽出プロセス64が実行される。
【0034】
次に、CPU42は、ステップ102で抽出した、新たに干渉チェックを行う各アセンブリの配下のオブジェクト間で干渉チェックを実行する。また、干渉チェック結果情報を、各アセンブリに対応付け(属性情報に書き込み)、3Dモデル情報80をデータベース78に格納する。
【0035】
詳細には、ステップ104において、ステップ102で抽出された候補アセンブリの中から、干渉チェックを実行する任意のアセンブリが対象アセンブリとして指定される。ステップ104で指定される対象アセンブリの優先順位は、階層構造の上位やオブジェクトの順位等により指定できる。次のステップ106では、ステップ104で指定された対象アセンブリに対して干渉チェックが実行され、次のステップ108において、干渉チェック結果情報が対象アセンブリに対応づけられてデータベース78に格納される。次のステップ110では、ステップ102で抽出した候補アセンブリのうち、ステップ106における干渉チェックの実行が未了の候補アセンブリがあるか否かが判断される。ステップ102で抽出された全ての候補アセンブリについて干渉チェックが完了すると、ステップ110で否定判断されて、本処理ルーチンは終了される。一方、ステップ102で抽出した候補アセンブリのうち干渉チェックが未了のアセンブリが残存するときは、ステップ110で肯定判断され、ステップ112の処理に移行される。ステップ112では、干渉チェックが未了の候補センブリのうち何れか1つが対象アセンブリに指定され、ステップ106の処理に戻る。
【0036】
なお、ステップ100の処理は、
図1に示すアセンブリ指定部20における処理の一例である。また、ステップ102〜112の処理は、
図1に示す個別検証部22における処理の一例である。また、ステップ102の処理は
図1に示すアセンブリ抽出部24における処理の一例であり、ステップ106の処理は
図1に示す検証実行部26における処理の一例であり、ステップ108の処理は
図1に示す情報書込部28における処理の一例である。
【0037】
次に、
図5に示すステップ102〜112の処理(個別検証プロセス62の処理)を、さらに説明する。
図6に、
図5に示すステップ102の処理としてのアセンブリ抽出プロセス64の流れを示す。CPU42は、ステップ120において、干渉チェック対象リスト82(
図7)を初期化する。干渉チェック対象リスト82は、実際に干渉チェックを実行するアセンブリが登録されるものである。なお、第1実施形態では、干渉チェック対象リスト82は、ステップ120において生成され、メモリ44に一時的に記憶される。なお、干渉チェック対象リスト82は、データベース78に予め記憶しておき、ステップ120において、干渉チェック対象リストから全てのアセンブリを消去する処理を、初期化処理として実行してもよい。
【0038】
図7に、干渉チェック対象リスト82の一例を示す。
図7に示す干渉チェック対象リスト82は、干渉チェックを実行するアセンブリとして、4個のアセンブリAsy4−111,Asy3−11,Asy2−1,Asy1が登録されている一例である。
【0039】
図6に示すステップ122では、
図5に示すステップ100の処理により指定された最上位のアセンブリの配下に含まれる全てのアセンブリが候補アセンブリとして抽出される。次のステップ124では、ステップ122で抽出された候補アセンブリのうちの何れか1つの候補アセンブリが対象アセンブリとして指定される。次のステップ126では、干渉チェック実行対象として指定された対象アセンブリに干渉チェック結果情報があるか否かが判断される。第1実施形態では、各アセンブリに、干渉チェック結果情報が属性情報として対応づけられている。従って、ステップ126では、アセンブリの属性情報に干渉チェック結果情報があるか否かを判別すればよい。なお、第1実施形態では、干渉チェック結果情報の有無を判断しているが、干渉チェック結果情報が無のときに干渉チェック結果情報が無を示す情報を干渉チェック結果情報として格納してもよい。この場合、干渉チェック結果情報に格納されている情報が干渉チェック結果情報が無を示す情報であるか否かを判断すればよい。
【0040】
ステップ126で否定判断されると、ステップ134において、詳細を後述する干渉チェック対象リスト82の更新処理が実行されてステップ136の処理に移行される。リスト更新処理は、干渉チェックを実行するアセンブリを追加して、干渉チェック対象リスト82を更新する処理である。すなわち、干渉チェック実行対象として指定された対象アセンブリに干渉チェック結果情報がないときは、対象アセンブリに対する干渉チェックを実行させるために、ステップ134において、対象アセンブリが干渉チェック対象リスト82に追加される。
【0041】
一方、ステップ126で肯定判断されると、対象アセンブリに対する干渉チェックを実行させるか否かが判断される。すなわち、対象アセンブリに干渉チェック結果情報があるとき、ステップ128において、現時点における対象アセンブリの1階層下の全てのオブジェクトについてオブジェクト情報(オブジェクト名及び最終編集時間)が取得される。ステップ128では、設計データに基づく最新のオブジェクト情報が取得される。次のステップ130では、干渉チェック時における対象アセンブリの1階層下の全てのオブジェクト情報(オブジェクト名及び最終編集時間)が取得される。ステップ130では、干渉チェック時に対応づけられるアセンブリの属性情報に基づくオブジェクト情報が取得される。次のステップ132では、ステップ128で取得した最終編集時間とステップ130で取得した最終編集時間とが相違するか否かが判断される。
【0042】
図9に、設計データに基づく最新の最終編集時間と、干渉チェック時の属性情報に基づく最終編集時間との相違を示す。
図9は、前回干渉チェックの実行時から、アセンブリAsy4−111配下のパーツPrt5−1111のみの形状を変更した場合の一例を示す。設計データに基づく最新のオブジェクト情報38Jaは、「2011/11/07 11:28:18」と、干渉チェック時におけるアセンブリの属性情報に基づく最新のオブジェクト情報38Jbは、「2011/10/09 10:17:43」とは相違する。従って、アセンブリAsy4−111は、1階層配下のオブジェクトであるパーツPrt5−1111の最終編集時間が相違しているため、アセンブリAsy4−111は干渉チェックの対象アセンブリとする。
【0043】
設計データに基づく最新の最終編集時間と、干渉チェック時の属性情報に基づく最終編集時間とが相違するときは、ステップ132で肯定判断され、ステップ134において、対象アセンブリが干渉チェック対象リスト82に追加される。一方、設計データに基づく最新の最終編集時間と、干渉チェック時の属性情報に基づく最終編集時間とが一致するときは、ステップ132で否定判断され、ステップ136へ進み、残存する次のアセンブリに対する処理へ移行する。すなわち、最新の最終編集時間と、属性情報に基づく最終編集時間とが一致するときは、干渉チェックを実行してからオブジェクトが編集されていないため、干渉チェックを実行しても同一の結果となる。従って、ステップ132で否定判断されるときは、干渉チェック対象リスト82の更新処理が実行されることなく、ステップ136へ進む。
【0044】
ステップ136では、干渉チェック実行判断処理(ステップ126〜134)が未了の残存する候補アセンブリがあるか否かが判断される。全候補アセンブリの干渉チェック実行判断処理が終了したときはステップ136で否定判断され、ステップ140において、階層順にアセンブリの並び替え処理が実行された後、本ルーチンが終了される。ステップ140では、ステップ140の並び替え処理では、干渉チェック対象リスト82内の対象アセンブリの順序が、階層順に並び替えられる。一方、ステップ136で肯定判断されると、ステップ138において、次の対象アセンブリが指定され、ステップ126の処理へ移行される。
【0045】
図8に、ステップ140の処理としての並び替え処理の過程についての一例を示す。
図8では、規則的な順序ではなく対象アセンブリが追加された干渉チェック対象リスト82Aから、階層の深いアセンブリ(Asy4−111)から階層の浅いアセンブリ(Asy1)に対象アセンブリが並び替えられている一例である。
【0046】
図10に、
図6に示すステップ134の処理としてのリスト更新処理の流れを示す。CPU42は、ステップ142において、対象アセンブリが干渉チェック対象リスト82に登録済みか否かを判断し、肯定判断のときは本ルーチンを終了する。
【0047】
一方、ステップ142で否定判断されると、ステップ144において対象アセンブリが干渉チェック対象リスト82が追加される。次のステップ146では、対象アセンブリが最上位アセンブリ(
図5のステップ100で指定)であるか否かが判断され、肯定判断されると本ルーチンを終了する。対象アセンブリが最上位アセンブリでないときは(ステップ146で否定判断)、対象アセンブリの上位アセンブリを対象アセンブリに変更し、ステップ142の処理へ戻る。ステップ146、及びステップ148の処理は、対象アセンブリが干渉チェックの対象であるとき、その上位アセンブリについても、配下のオブジェクト情報が変更されているため、干渉チェックの対象アセンブリとすることが好ましいために実行される。
【0048】
図11に、ステップ146及びステップ148の処理により、対象アセンブリの上位アセンブリを、干渉チェックの対象アセンブリとする一例を示す。
図11では、対象アセンブリがAsy4−111であるとき、上位のアセンブリAsy3−11、Asy2−1,及びAsy−1に至るまで、対象アセンブリの上位アセンブリを対象アセンブリに変更することを示す。
【0049】
つまり、配下のオブジェクトであるパーツPrt5−1111が編集されているアセンブリAsy4−111の上位アセンブリAsy3−11,Asy2−1,Asy1も、配下に変更したオブジェクト(パーツPrt5−1111)が含まれている。従って、アセンブリAsy4−111の上位アセンブリAsy3−11,Asy2−1,Asy1は、干渉チェックの対象アセンブリとして干渉チェック対象リスト82に追加される。なお、既に、干渉チェック対象リスト82に登録されているアセンブリは、新たに追加しない。
【0050】
次に、
図5に示すステップ104〜112の処理(検証実行プロセス66及び情報書込プロセス68)を、さらに説明する。
図12に、
図5に示すステップ106の処理としての検証実行プロセス66及びステップ108の処理としての情報書込プロセス68の流れを示す。検証実行プロセス66及び情報書込プロセス68は、抽出された候補アセンブリのうち、指定された対象アセンブリについて干渉チェックを実行し、干渉チェック結果情報を対象アセンブリの属性情報に書き込む。
【0051】
CPU42は、ステップ150において、干渉チェック対象リスト82の1つの対象アセンブリについて、当該対象アセンブリの1階層下のオブジェクトを抽出し、ステップ152において、抽出したオブジェクト間で干渉チェックを実行する。次のステップ154では、抽出した全てのオブジェクトの最終編集時間を取得する。次のステップ156では、抽出した全てのオブジェクトのオブジェクト情報38Jを該当する対象アセンブリに対応付け、次のステップ158において干渉結果情報38Rを該当する対象アセンブリに対応付ける。オブジェクト情報38J及び干渉結果情報38Rを該当する対象アセンブリに対応付ける処理は、干渉チェック結果情報38を対象アセンブリに対応づけてデータベース78に格納する処理に対応する。
【0052】
なお、ステップ150及びステップ152の処理は、検証実行プロセス66の処理に対応し、ステップ154〜ステップ158の処理は、情報書込プロセス68の処理に対応する。
【0053】
図13に、製品の階層構造36におけるオブジェクト間の干渉チェック結果の一例を示す。
図13は、階層構造36におけるオブジェクトに、対象アセンブリAsy1に関する干渉チェック結果を対応付けて示している。
【0054】
干渉チェックの実行は、アセンブリAsy1の1階層下のオブジェクト間(アセンブリAsy2−1、Asy2−2、及びパーツPrt2−3の相互の間)についてなされる。すなわち、アセンブリAsy2−1とアセンブリAsy2−2、アセンブリAsy2−1とパーツPart2−3、及びアセンブリAsy2−2とパーツPrt2−3の間で干渉チェックが実行される。例えば、パーツPrt5−1212とパーツPrt3−21との間が干渉する場合、アセンブリAsy2−1とアセンブリAsy2−2との干渉チェックにおいて、パーツPrt5−1212とパーツPrt3−21との間で干渉ありの結果が得られる。
【0055】
また、他の一例として、対象アセンブリがアセンブリAsy4−111である場合には、アセンブリAsy4−111の1階層配下のパーツPrt5−1111、パーツPrt5−1112、およびパーツPrt5−1113の間で干渉チェックが実行される。
図13には、パーツPrt5−1111とパーツPart5−1112の間、パーツPrt5−1112ととパーツPart5−1113の間で干渉ありの結果を得る場合を示す。
【0056】
なお、オブジェクト間の干渉チェック処理は、CADに含まれる機能を使用することができる。
【0057】
図14及び
図15に、干渉チェック結果情報38の一例を示す。
図14はアセンブリAsy1が対象アセンブリである場合、
図15はアセンブリAsy4−111が対象アセンブリである場合を示す。
【0058】
対象アセンブリに対する干渉チェックの実行時には、対象アセンブリの階層構造36上における1階層下の全オブジェクト(アセンブリ、パーツ)を示す情報、各オブジェクトの最終編集情報の各情報を得ることができる。従って、オブジェクトを示す情報、及びオブジェクトの最終編集情報からオブジェクト情報38Jを得ることができる。なお、オブジェクトの最終編集情報は、オブジェクトの形状、位置、干渉結果情報を編集した時間を含む。一方、オブジェクト間で実行された干渉チェックの処理(ステップ152)により、対象アセンブリ1階層配下の 各オブジェクト間で実行された干渉チェックの結果を得ることができる。従って、対象アセンブリ1階層配下の 各オブジェクト間で実行された干渉チェックの結果を干渉結果情報38Rとして得ることができる。
【0059】
なお、オブジェクト情報38Jは、一般的なCADシステムが有するID、すなわちオブジェクトを識別可能かつオブジェクトを示す各種情報を含む、オブジェクト単位に付与されるオブジェクトID情報を使用してもよい。また、干渉チェック結果情報38は、CADシステムが有する、オブジェクトに属性情報を付与する機能を使用して、書き込むことができる。
【0060】
なお、干渉チェック結果情報は、干渉がない場合でも、アセンブリに書込みを行うことが好ましい。干渉がない場合でも干渉チェック結果情報をアセンブリに書込むことは、干渉チェックが実行されていないのか、または、干渉チェックが実行されたときに干渉がない結果を得たものなのかを区別するために有効である。
【0061】
次に、干渉チェック装置10に含まれる干渉チェック結果出力部14の動作を説明する。干渉チェック装置10がコンピュータ40(
図2)で実現され、干渉チェック結果出力プログラム70に実行により、コンピュータ40は干渉チェック結果出力部14として動作される。
【0062】
図16に、干渉チェック結果出力プログラム70の処理の流れを示す。干渉チェック結果出力プログラム70では、指定された最上位アセンブリ配下の各アセンブリに書き込まれている干渉結果情報の有効性を判断し、干渉結果情報が有効なアセンブリ配下の干渉チェック結果を出力する処理が実行される。なお、第1実施形態では、干渉チェック結果出力として、干渉チェック結果を表示する一例を説明する。
【0063】
コンピュータ40のCPU42は、入力装置48によりユーザの干渉チェック結果出力指示を受け付けると、
図16に示す処理ルーチンを実行し、ステップ160以降の処理を実行する。ステップ160では、干渉チェック結果出力対象のアセンブリとして、干渉チェック結果表示対象の最上位アセンブリが指定される。ステップ160では、入力装置48によりユーザが指定したアセンブリの指示が読み取られ、読み取られたアセンブリが最上位アセンブリに指定される。
【0064】
CPU42は、ステップ162において、干渉チェック結果リスト84(
図17)を初期化する。干渉チェック結果リスト84は、有効な干渉チェック結果を有するアセンブリが登録されるものである。なお、第1実施形態では、干渉チェック結果リスト84は、ステップ160において生成され、メモリ44に一時的に記憶される。なお、干渉チェック結果リスト84は、データベース78に予め記憶しておき、ステップ160において、干渉チェック結果リスト84から全てのアセンブリを消去する処理を、初期化処理として実行してもよい。
【0065】
図17に、干渉チェック結果リスト84の一例を示す。
図17は、アセンブリAsy1が最上位アセンブリに指定されたときの干渉チェック結果リスト84を表示装置46に、干渉チェック結果の一覧表86として表示したときの表示例を示している。
図17に示す干渉チェック結果リスト84は、有効な干渉チェック結果を有するアセンブリとして、アセンブリAsy1配下の全てのアセンブリに書込まれた干渉結果情報38Rが登録されている一例である。つまり、アセンブリAsy1が6組のオブジェクト間で干渉チェックがなされ(
図13参照)、各々のオブジェクトの組として第1オブジェクトと第2オブジェクトとが対応付けられて登録されている。
【0066】
また、
図18に、干渉チェック結果リスト84の他の一例を示す。
図18は、アセンブリAsy4−111が最上位アセンブリに指定されたときの干渉チェック結果リスト84を表示装置46に、干渉チェック結果の一覧表86として表示したときの表示例を示している。
図18では、アセンブリAsy4−111が2組のオブジェクト間で干渉チェックがなされ(
図13参照)、各々のオブジェクトの組として第1オブジェクトと第2オブジェクトとが対応付けられて登録されている。
【0067】
図16に示すステップ164では、ステップ160で指定された最上位アセンブリの配下に含まれる全アセンブリが表示候補のアセンブリとして抽出される。次のステップ166では、ステップ164で抽出された表示候補のアセンブリのうちの何れか1つの表示候補のアセンブリが対象アセンブリとして指定される。次のステップ168では、干渉チェック結果表示候補として指定された対象アセンブリに干渉チェック結果情報があるか否かが判断される。
【0068】
ステップ168で否定判断されると、ステップ186において、干渉チェック結果が有効ではないことを示す表示情報(
図19)が表示されて本処理ルーチンが終了される。
【0069】
図19に、干渉チェック結果が有効ではないことを示す表示情報88の一例を示す。
図19は、指定された最上位アセンブリAsy1について、干渉チェック結果情報が有効ではないことを示す表示情報の一例を示している。また、
図19に示す表示情報88では、干渉チェック結果が有効ではないことを示す情報に加えて、干渉チェックの実行を促す情報も含んでいる。
【0070】
一方、ステップ168で肯定判断されると、対象アセンブリに対する干渉結果情報38Rの有効性が判断される。すなわち、対象アセンブリに干渉チェック結果情報38があるとき、ステップ170において、現時点における対象アセンブリの1階層下の全てのオブジェクトについてオブジェクト情報(オブジェクト名及び最終編集時間)が取得される。ステップ170では、設計データに基づく最新のオブジェクト情報が取得される。次のステップ172では、干渉チェック時における対象アセンブリの1階層下の全てのオブジェクト情報(オブジェクト名及び最終編集時間)が取得される。ステップ172では、干渉チェック時に対応づけられるアセンブリの属性情報に基づくオブジェクト情報が取得される。次のステップ174では、ステップ170で取得した最終編集時間とステップ172で取得した最終編集時間とが相違するか否かが判断される。
【0071】
例えば、
図9に示すように、アセンブリAsy4−111配下のオブジェクトで、最新の最終編集時間と、干渉チェック時の最終編集時間とが相違する場合、アセンブリAsy4−111の干渉結果情報38Rは、有効ではないと判断する。すなわち、アセンブリAsy4−111配下のオブジェクトで、設計データに基づく最新のオブジェクト情報38Jaの最終編集時間と、干渉チェック時におけるアセンブリの属性情報に基づく最新のオブジェクト情報38Jbの最終編集時間とは相違する。従って、アセンブリAsy4−111は、1階層配下のオブジェクトであるパーツPrt5−1111の最終編集時間が相違しているため、アセンブリAsy4−111は干渉チェック結果が有効ではない対象アセンブリとする。
【0072】
設計データに基づく最新の最終編集時間と、干渉チェック時の最終編集時間とが相違するときは、ステップ174で肯定判断され、ステップ186へ処理を移行する。一方、設計データに基づく最新の最終編集時間と、干渉チェック時の最終編集時間とが一致するときは、ステップ174で否定判断され、ステップ176において、対象アセンブリの干渉結果情報が干渉チェック結果リストに追加される。干渉チェック結果リストへの追加処理は、干渉チェック結果を表示する干渉結果情報を追加して、干渉チェック結果リスト84を更新する処理である。すなわち、全オブジェクトの最終編集時間が一致する対象アセンブリは有効な干渉チェック結果情報を有するとして、対象アセンブリの干渉結果情報38Rを表示させるために、干渉結果情報38Rが干渉チェック結果リスト84に追加される。
【0073】
次に、残存する次のアセンブリに対する処理へ移行するために、ステップ178において、ステップ164で抽出された表示候補のアセンブリで干渉チェック結果情報の有効性判断処理が未了のアセンブリが残存するか否かが判断される。全表示候補のアセンブリについて有効性判断処理が終了したときはステップ178で否定判断され、ステップ180へ処理を移行する。ステップ180では、干渉チェック結果リスト84を表示させるための干渉チェック結果の一覧表86が作成され、次のステップ182において、作成した干渉チェック結果の一覧表86を表示装置46に表示させて本ルーチンを終了する。一方、ステップ178で肯定判断されると、ステップ184において、次の対象アセンブリが指定され、ステップ168の処理へ移行される。
【0074】
なお、
図16に示す干渉チェック結果出力プログラム70による処理は、アセンブリ指定プロセス72、有効性検証プロセス74、及び情報出力プロセス76の各々の処理を含んでいる。アセンブリ指定プロセス72は、干渉チェック結果を出力する最上位アセンブリを指定する処理である。従って、アセンブリ指定プロセス72の処理は、ステップ160の処理が対応する。有効性検証プロセス74は、干渉チェック結果情報38の有効性を検証する処理である。つまり指定された最上位アセンブリ配下の各アセンブリに書き込まれている干渉結果情報を検証し、干渉結果情報が有効か否かが判断される。有効性検証プロセス74の処理は、ステップ162〜ステップ178、184の処理が対応する。情報出力プロセス76は、指定された最上位アセンブリに対する干渉結果情報を出力する処理である。具体的には、最上位アセンブリを含む最上位アセンブリ配下の全アセンブリの干渉結果情報が有効な場合、最上位アセンブリ配下の干渉情報を出力し、有効でない場合、現在の干渉チェック結果情報が有効でない主旨のメッセージを表示する。情報出力プロセス76の処理は、ステップ180及びステップ182の処理が対応する。
【0075】
また、ステップ160の処理は、
図1に示す干渉チェック結果出力部14のアセンブリ指定部30における処理の一例である。ステップ162〜178の処理は、
図1に示す有効性検証部32における処理の一例である。ステップ180,182の処理は
図1に示す情報出力部34における処理の一例である。
【0076】
以上説明したように、第1実施形態では、設計データに基づき、オブジェクトの最新の最終編集時間と、干渉チェック時におけるオブジェクトの最終編集時間とが一致するか否かを判別することにより、干渉チェック結果情報の有効性の有無を判断している。つまり、前回の干渉チェックを実行してから、オブジェクトを編集したか否かを判別でき、最終編集時間が一致するとき、オブジェクトは有効な干渉チェック結果情報を有すると判定できる。従って、オブジェクトに対して干渉チェック結果情報を対応付けているとき、対応付けられた干渉チェック結果情報を使用可能か否かを判別でき、干渉チェックを実行するときの干渉チェック結果の信頼性を向上させることができる。
【0077】
また、オブジェクトが有効な干渉チェック結果情報を有する場合、従って、オブジェクトの有効な干渉チェック結果情報を使用することにより、干渉チェックの実行時間を、短縮することができる。
【0078】
例えば、新たに干渉チェックを実行する場合、前回の干渉チェックを実行してから、編集した設計データに影響がある箇所、つまりアセンブリ配下のオブジェクト間のみ干渉チェックを実行する。また、編集した設計データに影響のない箇所、つまりアセンブリ配下のオブジェクト間は新たな干渉チェックの実行を省略できる。従って、干渉チェックの実行を省略した時間について、干渉チェックを実行する時間を短縮することができる。
【0079】
また、第1実施形態では、例えばオブジェクトの最新の最終編集時間と、干渉チェック時における最終編集時間とが不一致の場合、干渉チェック結果の信頼性に欠けると判別する。干渉チェック結果の信頼性に欠けるオブジェクトについては、製品全体の干渉チェックを実行することなく、該当オブジェクトに関係するオブジェクトについて干渉チェックを実行すればよい。すなわち、干渉チェック結果の信頼性に欠けるオブジェクトについて個別に干渉チェックを実行することができる。従って、製品に含まれる全ての部品に対して一括干渉チェックを実行することに比べて、干渉チェックを実行する時間を短縮することができる。
【0080】
また、第1実施形態では、干渉結果情報をアセンブリ毎に対応付ける(書込む)ことにより、干渉結果情報の有効性をアセンブリ単位で判別できる。従って、製品の干渉チェックを実行するとき、アセンブリ毎に干渉結果情報を検討することができる。また、製品全体の干渉チェックを実行したときに製品全体の干渉チェック結果情報を取得するのに比べて製品を細分化して干渉チェック結果情報を得ることができ、細やかな干渉チェック結果情報の有効性を判別することができる。
【0081】
なお、第1実施形態では、最終編集時間は、オブジェクトの設計データを変更したときの編集終了時間を採用することができる。例えば、オブジェクトを参照したのみ、または編集の結果が編集前の設計データと一致する場合、最終編集時間は更新されるものの、設計データに変更がない場合がある。そこで、オブジェクトの最新の最終編集時間と、干渉チェック時におけるオブジェクトの最終編集時間とが相違するとき、相違対象のオブジェクトの最新の設計データと、干渉チェック時の設計データとを比較し、比較結果を最終編集時間の適否に使用してもよい。
【0082】
また、第1実施形態では、記憶部16および格納部54の一例として、HDDを適用した場合を説明したが、HDDに限定されるものではなく、ソリッドステートドライブ(SSD)であってもシリアルフラッシュメモリなどであってもよい。
【0083】
<第2実施形態>
次に第2実施形態を説明する。第2実施形態は、設計データの1部を他の製品に使用する場合に、開示の技術を適用させるものである。なお、第2実施形態は、第1実施形態と略同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0084】
図20に、第2実施形態に係る製品の一部を他の製品に使用する過程の一例を示す。
図20に示す製品の階層構造36は、
図2に示す階層構造36の一部を表記している。階層構造36に含まれるアセンブリAsy3−12配下の全てのオブジェクトを、他の製品に使用する場合、例えば、アセンブリAsy3−12配下の全てのオブジェクトを、アセンブリ群Asy−Xとする。
【0085】
他の製品は、アセンブリAsyNとして階層構造37で示されており、アセンブリAsyNの配下にアセンブリ群Asy−Xが連結される。従って、他の製品では、アセンブリ群Asy−Xが、オブジェクトであるアセンブリAsyN−1として干渉チェックが実行される。
【0086】
アセンブリ群Asy−Xには、干渉結果情報が対応付けられている。従って、アセンブリ群Asy−Xを他の製品に使用するとき、アセンブリ群Asy−Xの干渉チェック結果情報は、そのまま使用することができる。すなわち、設計データの1部を、他の装置の設計に使用した場合、使用した部分の干渉チェック結果情報も、他の装置の設計データに引き継ぐことができる。
【0087】
なお、第2実施形態では、干渉チェック結果情報を他の製品に使用する場合を説明したが、同一の製品に再利用してもよい。
【0088】
以上説明したように、第2実施形態では、設計データの1部を、他の装置の設計に使用した場合、使用した部分の干渉チェック結果情報を他の装置の設計データに引き継ぐことができるので、他の装置において干渉チェック対象アセンブリの数を抑制できる。また、干渉チェック結果情報を他の装置の設計データに引き継ぐことにより、他の装置において干渉チェックを実行する時間を短縮することができる。従って、第2実施形態によれば、干渉チェック結果情報を他の製品に使用することにより、干渉チェック結果情報の信頼性を向上させつつ干渉チェックの実行時間を短縮させることができる。
【0089】
なお、上記では干渉チェック装置10をコンピュータ40により実現する一例を説明した。しかし、これらの構成に限定されるものではなく、上記説明した要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良及び変更を行っても良いのはもちろんである。
【0090】
また、上記ではプログラムが記憶部に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、開示の技術における情報処理プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【0091】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0092】
(付記1)
複数の部品を有する製品における前記各部品の形状及び位置の少なくとも一方に関する最新の編集時刻を記憶すると共に、干渉チェックの実行時における前記各部品の前記編集時刻及び前記複数の部品の部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記部品の最新の編集時刻と、前記干渉チェック情報に含まれる前記干渉チェック時における部品の編集時刻とに基づいて、前記記憶部に記憶された干渉チェック情報の有効性を判定する判定部と、
を備えた干渉チェック装置。
【0093】
(付記2)
前記判定部は、前記干渉チェック情報に含まれる部品に対して、前記記憶部に記憶された最新の編集時刻と、前記干渉チェック情報に含まれる編集時刻とが一致するときに、前記記憶部に記憶された干渉チェック情報が有効と判定する
付記1の干渉チェック装置。
【0094】
(付記3
前記判定部で判定された前記干渉チェック情報の有効性の判定結果を出力する出力部
を備えた付記1または付記2の干渉チェック装置。
【0095】
(付記4)
前記複数の部品のうちの一部の複数の部品を組み合わせた組立体及び前記部品の少なくとも一方が上位の組立体に属する階層構造により前記製品が表され、
前記記憶部は、前記組立体に属する前記部品の最新の編集時刻を記憶すると共に、干渉チェックの実行時における前記組立体に属する前記部品の編集時刻及び前記組立体に属する部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報を記憶する
付記1〜付記3の何れか1つの付記の干渉チェック装置。
【0096】
(付記5)
前記複数の部品のうちの一部の複数の部品を組み合わせた組立体及び前記部品の少なくとも一方が上位の組立体に属する階層構造により前記製品が表され、
前記記憶部は、前記組立体に属する前記部品の最新の編集時刻を記憶すると共に、干渉チェックの実行時における前記組立体に属する前記部品の編集時刻及び前記組立体に属する部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報を前記組立体に対応付けて記憶し、
前記判定部は、前記組立体について前記記憶部に記憶された干渉チェック情報の有効性を判定する
付記1〜付記3の何れか1つの付記の干渉チェック装置。
【0097】
(付記6)
前記複数の部品のうちの一部の複数の部品を組み合わせた組立体及び前記部品の少なくとも一方が上位の組立体に属する階層構造により前記製品が表され、
前干渉チェック対象の部品または組立体が指定されるとき、
前記記憶部に、
前記指定された部品または組立体の上位の組立体が、干渉チェック対象の組立体に指定されて、前記上位の組立体に属する部品について干渉チェックの実行時における編集時刻、及び前記上位の組立体に属する部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報が記憶される
付記1〜付記5の何れか1つの付記の干渉チェック装置。
【0098】
(付記7)
複数の部品を有する製品における前記各部品の形状及び位置の少なくとも一方に関する最新の編集時刻を記憶すると共に、干渉チェックの実行時における前記各部品の前記編集時刻及び前記複数の部品の部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報を記憶する記憶部に記憶された前記部品の最新の編集時刻と、前記干渉チェック情報に含まれる前記干渉チェック時における部品の編集時刻とに基づいて、前記記憶部に記憶された干渉チェック情報の有効性を判定する
ことを含む干渉チェック方法。
【0099】
(付記8)
前記干渉チェック情報の有効性を判定する場合、前記干渉チェック情報に含まれる部品に対して、前記記憶部に記憶された最新の編集時刻と、前記干渉チェック情報に含まれる編集時刻とが一致するときに、前記記憶部に記憶された干渉チェック情報が有効と判定する(132)
ことを含む付記7の干渉チェック方法。
【0100】
(付記9)
前記干渉チェック情報の有効性が判定される場合に、判定された前記干渉チェック情報の有効性の判定結果を出力する
ことを含む付記7または付記8の干渉チェック方法。
【0101】
(付記10)
前記複数の部品のうちの一部の複数の部品を組み合わせた組立体及び前記部品の少なくとも一方が上位の組立体に属する階層構造により前記製品が表され、
前記記憶部は、前記組立体に属する前記部品の最新の編集時刻を記憶すると共に、干渉チェックの実行時における前記組立体に属する前記部品の編集時刻及び前記組立体に属する部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報を記憶する
ことを含む付記7〜付記9の何れか1つの付記の干渉チェック方法。
【0102】
(付記11)
前記複数の部品のうちの一部の複数の部品を組み合わせた組立体及び前記部品の少なくとも一方が上位の組立体に属する階層構造により前記製品が表され、
前記記憶部は、前記組立体に属する前記部品の最新の編集時刻を記憶すると共に、干渉チェックの実行時における前記組立体に属する前記部品の編集時刻及び前記組立体に属する部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報を前記組立体に対応付けて記憶し、
前記干渉チェック情報の有効性を判定する場合、前記組立体について前記記憶部に記憶された干渉チェック情報の有効性を判定する
ことを含む付記7〜付記11の何れか1つの付記の干渉チェック方法。
【0103】
(付記12)
前記複数の部品のうちの一部の複数の部品を組み合わせた組立体及び前記部品の少なくとも一方が上位の組立体に属する階層構造により前記製品が表され、
前干渉チェック対象の部品または組立体が指定されるとき、
前記記憶部に、
前記指定された部品または組立体の上位の組立体が、干渉チェック対象の組立体に指定されて、前記上位の組立体に属する部品について干渉チェックの実行時における編集時刻、及び前記上位の組立体に属する部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報が記憶される
ことを含む付記7〜付記11の何れか1つの付記の干渉チェック方法。
【0104】
(付記13)
複数の部品を有する製品における前記各部品の形状及び位置の少なくとも一方に関する最新の編集時刻を記憶すると共に、干渉チェックの実行時における前記各部品の前記編集時刻及び前記複数の部品の部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報を記憶する記憶部に記憶された前記部品の最新の編集時刻と、前記干渉チェック情報に含まれる前記干渉チェック時における部品の編集時刻とに基づいて、前記記憶部に記憶された干渉チェック情報の有効性を判定する
ことを含む処理をコンピュータに実行させる干渉チェックプログラム。
【0105】
(付記14)
前記干渉チェック情報の有効性を判定する場合、前記干渉チェック情報に含まれる部品に対して、前記記憶部に記憶された最新の編集時刻と、前記干渉チェック情報に含まれる編集時刻とが一致するときに、前記記憶部に記憶された干渉チェック情報が有効と判定する
ことを含む処理をコンピュータに実行させる付記13の干渉チェックプログラム。
【0106】
(付記15)
前記干渉チェック情報の有効性が判定される場合に、判定された前記干渉チェック情報の有効性の判定結果を出力する
ことを含む処理をコンピュータに実行させる付記13または付記14の干渉チェックプログラム。
【0107】
(付記16)
前記複数の部品のうちの一部の複数の部品を組み合わせた組立体及び前記部品の少なくとも一方が上位の組立体に属する階層構造により前記製品が表され、
前記記憶部は、前記組立体に属する前記部品の最新の編集時刻を記憶すると共に、干渉チェックの実行時における前記組立体に属する前記部品の編集時刻及び前記組立体に属する部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報を記憶する
ことを含む処理をコンピュータに実行させる付記13〜付記15の何れか1つの付記の干渉チェックプログラム。
【0108】
(付記17)
前記複数の部品のうちの一部の複数の部品を組み合わせた組立体及び前記部品の少なくとも一方が上位の組立体に属する階層構造により前記製品が表され、
前記記憶部は、前記組立体に属する前記部品の最新の編集時刻を記憶すると共に、干渉チェックの実行時における前記組立体に属する前記部品の編集時刻及び前記組立体に属する部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報を前記組立体に対応付けて記憶し、
前記干渉チェック情報の有効性を判定する場合、前記組立体について前記記憶部に記憶された干渉チェック情報の有効性を判定する
ことを含む処理をコンピュータに実行させる付記13〜付記16の何れか1つの付記の干渉チェックプログラム。
【0109】
(付記18)
前記複数の部品のうちの一部の複数の部品を組み合わせた組立体及び前記部品の少なくとも一方が上位の組立体に属する階層構造により前記製品が表され、
前干渉チェック対象の部品または組立体が指定されるとき、
前記記憶部に、
前記指定された部品または組立体の上位の組立体が、干渉チェック対象の組立体に指定されて、前記上位の組立体に属する部品について干渉チェックの実行時における編集時刻、及び前記上位の組立体に属する部品間の干渉チェックの実行結果を示す干渉チェック情報が記憶される
ことを含む処理をコンピュータに実行させる付記13〜付記17の何れか1つの付記の干渉チェックプログラム。
【0110】
(付記19)
コンピュータに、前記コンピュータを、付記7〜付記12の何れか1項記載の干渉チェック方法に係る処理を実行させるための干渉チェックプログラム。