(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記条件選定部が選定した前記選定基本条件および前記選定修正条件の組合せ、および、前記条件選定部が選定した前記選定基本条件および前記選定修正条件の組合せによって小さく変更された後の前記対価を示す選定修正対価情報、の少なくともいずれか一方を出力する出力部(35、31)をさらに備えた、
請求項1から3のいずれか1項に記載の設備機器の管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、電力会社から各需要家に対して電力の供給が行われることに対して、需要家からはその対価として電気料金を電力会社に支払うことが行われている。ここで、電気料金の定め方としては、例えば、各需要者の消費電力量の予定等に基づいて、複数種類の料金設定契約(複数種類の料金プラン等)が設けられていることがある。
【0005】
ここで、例えば、需要家がデマンド制御を受け入れるか否かによって、電気料金を修正する等の複雑な料金設定契約が複数種類設けられている場合がある。具体的には、電力会社等の電力供給側の運営者は、電力供給が逼迫する時期等に、一時的な消費電力量の調整を各需要家に求める場合があり、電力会社等の電力供給側の運営者は、各需要家にできるだけ消費電力量の調整要求に応じてもらえるように、様々なインセンティブが付与されるように各需要家との間で契約を設けている場合がある。これにより、各需要者側は、消費電力量の調整要求に応じることで、料金の低額化等のインセンティブを受ける一方で、電力会社等の電力供給側の運営者は、ピーク時の消費電力量を小さく抑えて、発電関連設備を必要以上に大型化させる必要を無くすることができる等のメリットが得られる。
【0006】
ところが、このようにデマンド制御を受け入れたこと等に基づいて電気料金の修正が行われる料金設定契約が複数存在している場合には、各需要家は、自己が妥当な料金設定契約を選択することができているのか否か把握することが難しくなるか、もしくは、把握するための作業が繁雑になってしまう。
【0007】
本発明の課題は、上述した点に鑑みてなされたものであり、消費電力量の調整要求に応じることによって需要家側に特典が付与されるようにして電力の消費に対する対価が定められる場合において、需要家に対して有益な情報を提供することが可能な設備機器の管理装置、管理システム、プログラム、および、記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1観点に係る設備機器の管理装置は、利用の際に電力を消費する設備機器の管理を消費電力量の調整要求に基づいて行う管理装置であって、受付部と、基本対価情報生成部と、修正対価情報生成部と、条件選定部と、を備えている。受付部は、
過去の所定期間における消費電力量の調整要求の受諾状況を示す履歴情報を受け付ける。基本対価情報生成部は、予め定められた複数種類の基本条件のうちのいずれかである特定基本条件に従って、設備機器で消費された電力に対する基本対価情報を生成する。修正対価情報生成部は、基本条件のそれぞれに対応するように予め定められた修正条件のうち特定基本条件に対応する特定修正条件に従って、履歴情報に応じた基本対価情報の修正を行うことで修正対価情報を生成する。条件選定部は、特定基本条件および特定修正条件に従って生成される修正対価情報が示す対価をより小さくすることが可能な選定基本条件および選定基本条件に対応する選定修正条件の組合せを、基本条件および基本条件に対応する修正条件の複数の組合せの中から履歴情報に基づいて選定する。
条件選定部は、過去の所定期間における消費電力量の調整要求の受諾状況が同じであったと仮定した場合に、過去の所定期間における修正対価情報が示す対価をより小さくすることが可能な選定基本条件および選定修正条件の組合せを選定する。
【0009】
この設備機器の管理装置では、
過去の所定期間における消費電力量の調整要求の受諾状況を示す履歴情報に基づいて、修正対価情報が示す対価をより小さくすることが可能な選定基本条件と選定修正条件の組合せが、条件選定部によって選定される。このため、需要家は、特定基本条件と特定修正条件の組合せによる契約を、条件選定部によって選定された選定基本条件と選定修正条件の組合せによる契約に変更することによって、電力の消費に対する対価を容易に小さく抑えることが可能になる。したがって、消費電力量の調整要求に応じることによって需要家側に特典が付与されるようにして電力の消費に対する対価が定められる場合において、需要家に対して有益な情報を提供することが可能になる。
【0010】
第2観点に係る設備機器の管理装置は、第1観点に係る設備機器の管理装置であって、修正条件は、履歴情報のうち消費電力量の調整要求を受け入れていたことを示す情報については、対価を小さくする方向への修正を行うか、もしくは、履歴情報のうち消費電力量の調整要求に受け入れていなかったことを示す情報については、対価を大きくする方向への修正を行う、という条件である。
【0011】
この設備機器の管理装置では、消費電力量の調整要求を受け入れた需要家については、対価を小さくする方向に基本対価情報の修正が行われ、もしくは、消費電力量の調整要求を受け入れなかった需要家については、対価を大きくする方向に基本対価情報の修正が行われる。このため、消費電力量の調整要求の受け入れを需要家に促すことが可能になる。
【0012】
第3観点に係る設備機器の管理装置は、第1観点または第2観点に係る設備機器の管理装置であって、基本条件は、消費電力量の調整要求の受諾状況によらない条件であって、電力消費量に対する基本料金を算出するための条件である。修正条件は、履歴情報に応じて基本料金の修正を行うことで修正料金を算定するための条件である。条件選定部は、基本条件および基本条件に対応する修正条件の組合せの中から、修正料金の額をより低額にすることが可能となる選定基本条件および選定基本条件に対応する選定修正条件の組合せを履歴情報に基づいて選定する。
【0013】
この設備機器の管理装置では、需要家に対する対価の特定を、金銭の額の特定として行うことが可能になっている。このため、電力の消費に対する金銭の額についての有益な情報を需要家に提供することが可能になる。
【0014】
第4観点に係る設備機器の管理装置は、第1から第3観点のいずれかに係る設備機器の管理装置であって、出力部をさらに備えている。出力部は、条件選定部が選定した選定基本条件および選定修正条件の組合せ、および、条件選定部が選定した選定基本条件および選定修正条件の組合せによって小さく変更された後の対価を示す選定修正対価情報、の少なくともいずれか一方を出力する。
【0015】
この設備機器の管理装置では、出力部による出力によって、選定基本条件および選定修正条件の組合せと、選定修正対価情報と、の少なくともいずれかを需要家に把握させることが可能になる。
【0016】
第5観点に係る設備機器の管理システムは、利用の際に電力を消費し、消費電力量の調整要求に基づいた管理が行われる複数の設備機器と、受付装置と、生成選定装置と、を備えている。受付装置は、
過去の所定期間における消費電力量の調整要求の受諾状況を示す履歴情報を受け付ける。生成選定装置は、基本対価情報生成部と、修正対価情報生成部と、条件選定部と、を有している。基本対価情報生成部は、予め定められた複数種類の基本条件のうちのいずれかである特定基本条件に従って、設備機器で消費された電力に対する基本対価情報を生成する。修正対価情報生成部は、基本条件のそれぞれに対応するように予め定められた修正条件のうち特定基本条件に対応する特定修正条件に従って、履歴情報に応じた基本対価情報の修正を行うことで修正対価情報を生成する。条件選定部は、特定基本条件および特定修正条件に従って生成される修正対価情報が示す対価をより小さくすることが可能な選定基本条件および選定基本条件に対応する選定修正条件の組合せを、基本条件および基本条件に対応する修正条件の複数の組合せの中から履歴情報に基づいて選定する。
条件選定部は、過去の所定期間における消費電力量の調整要求の受諾状況が同じであったと仮定した場合に、過去の所定期間における修正対価情報が示す対価をより小さくすることが可能な選定基本条件および選定修正条件の組合せを選定する。
【0017】
この設備機器の管理システムでは、
過去の所定期間における消費電力量の調整要求の受諾状況を示す履歴情報に基づいて、修正対価情報が示す対価をより小さくすることが可能な選定基本条件と選定修正条件の組合せが、条件選定部によって選定される。このため、需要家は、特定基本条件と特定修正条件の組合せによる契約を、条件選定部によって選定された選定基本条件と選定修正条件の組合せによる契約に変更することによって、電力の消費に対する対価を容易に小さく抑えることが可能になる。したがって、消費電力量の調整要求に応じることによって需要家側に特典が付与されるようにして電力の消費に対する対価が定められる場合において、需要家に対して有益な情報を提供することが可能になる。
【0018】
第6観点に係るプログラムは、利用の際に電力を消費する設備機器の管理を消費電力量の調整要求に基づいて管理装置による管理を実行させるプログラムである。このプログラムは、
過去の所定期間における消費電力量の調整要求の受諾状況を示す履歴情報を受け付けるステップを有する。また、このプログラムは、予め定められた複数種類の基本条件のうちのいずれかである特定基本条件に従って、設備機器で消費された電力に対する基本対価情報を生成するステップを有する。また、このプログラムは、基本条件のそれぞれに対応するように予め定められた修正条件のうち特定基本条件に対応する特定修正条件に従って、履歴情報に応じた基本対価情報の修正を行うことで修正対価情報を生成するステップを有する。さらに、このプログラムは、特定基本条件および特定修正条件に従って生成される修正対価情報が示す対価をより小さくすることが可能な選定基本条件および選定基本条件に対応する選定修正条件の組合せを、基本条件および基本条件に対応する修正条件の複数の組合せの中から履歴情報に基づいて選定するステップを有する。
この選定するステップでは、過去の所定期間における消費電力量の調整要求の受諾状況が同じであったと仮定した場合に、過去の所定期間における修正対価情報が示す対価をより小さくすることが可能な選定基本条件および選定修正条件の組合せを選定する。
【0019】
このプログラムが管理装置によって実行されることで、
過去の所定期間における消費電力量の調整要求の受諾状況を示す履歴情報に基づいて、修正対価情報が示す対価をより小さくすることが可能な選定基本条件と選定修正条件の組合せが選定される。このため、需要家は、特定基本条件と特定修正条件の組合せによる契約を、
選定するステップによる処理によって選定された選定基本条件と選定修正条件の組合せによる契約に変更することによって、電力の消費に対する対価を容易に小さく抑えることが可能になる。したがって、消費電力量の調整要求に応じることによって需要家側に特典が付与されるようにして電力の消費に対する対価が定められる場合において、需要家に対して有益な情報を提供することが可能になる。
【0020】
第7観点に係る記録媒体は、第6観点に係るプログラムが一時的でなく記録されている。
【0021】
この記録媒体では、否一時的に格納されているプログラムを管理装置に実行させることで、第6観点に係るプログラムと同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
第1観点に係る設備機器の管理装置では、消費電力量の調整要求に応じることによって需要家側に特典が付与されるようにして電力の消費に対する対価が定められる場合において、需要家に対して有益な情報を提供することが可能になる。
【0023】
第2観点に係る設備機器の管理装置では、消費電力量の調整要求の受け入れを需要家に促すことが可能になる。
【0024】
第3観点に係る設備機器の管理装置では、電力の消費に対する金銭の額についての有益な情報を需要家に提供することが可能になる。
【0025】
第4観点に係る設備機器の管理装置では、選定基本条件および選定修正条件の組合せと、選定修正対価情報と、の少なくともいずれかを需要家に把握させることが可能になる。
【0026】
第5観点に係る設備機器の管理システム、第6観点に係るプログラム、第7観点に係る記録媒体では、消費電力量の調整要求に応じることによって需要家側に特典が付与されるようにして電力の消費に対する対価が定められる場合において、需要家に対して有益な情報を提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
一実施形態に係る集中管理システム10を備えたエネルギ管理システム100について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0029】
(1)エネルギ管理システム
エネルギ管理システム100は、電力会社1と、集中管理システム10と、を備えている。
【0030】
電力会社1は、特に限定されない発電手法によって発電を行っている。発電手法としては、例えば、太陽光発電や風力発電等の自然発電であってもよい。このような自然発電によって得られる電力は、太陽光が十分に得られる状態と雲等によって太陽光が遮られる状態との間で自然現象的に発電効率が変化したり、風の強い状態と弱い状態との間で自然現象的に発電効率が変化したりすることがあるため、安定的な電力の供給を見込みにくいものではあるが、発電に伴う二酸化炭素の排出量が低い点で好ましい。
【0031】
なお、この電力会社1は、夏期の昼の時間帯等のように電力消費量が増大し、電力量が逼迫した状況になると、集中管理システム10に対して、消費電力量の調整要求の信号(例えば、消費電力量を小さく抑えるように要求する信号であり、消費電力量の抑制が求められる抑制期間情報が含まれており、消費電力量の抑制程度を示す情報が含まれていてもよい。)を送る。
【0032】
なお、電力会社1で発電された電力は、送配電業者によって設けられた伝送線等を介して、電力の消費を行う設備まで供給されている。
【0033】
集中管理システム10は、通信ネットワーク2を介して、電力会社1と通信可能に接続されている。集中管理システム10は、電力会社1からの消費電力量の調整要求の信号を受信し、管理対象とされている複数の需要家それぞれから予め受信している予定情報に基づいて、当該消費電力量の調整要求に応じる程度等を定める処理を行う。なお、通信ネットワーク2の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、インターネット等を挙げることができる。以下、集中管理システム10について、具体的に説明する。
【0034】
(2)集中管理システム
集中管理システム10は、アグリゲータ3と、複数の需要家(需要家A、B、C・・・)に属する装置と、を有して構成されている。
【0035】
図2に、アグリゲータの詳細構成を示した集中管理システム10のブロック概略構成図を示す。
【0036】
(2−1)アグリゲータ
アグリゲータ3は、
図2に示すように、アグリゲータ通信部31と、アグリゲータ制御部32と、アグリゲータ記憶部33と、アグリゲータプログラム34と、アグリゲータ出力部35と、を有している。
【0037】
アグリゲータ通信部31は、通信ネットワーク2を介して、電力会社1との間、および、各需要家に属する装置(ゲートウェイ4等)との間での通信が可能となるように接続されている。このアグリゲータ通信部31によって、アグリゲータ3は、電力会社1から発信される消費電力量の調整要求の信号を受信する。
【0038】
アグリゲータプログラム34は、本実施形態においては、予め、アグリゲータ3が備えるROM等に格納されており、アグリゲータ制御部32によって実行される。
【0039】
アグリゲータ記憶部33には、各需要家から送信されてきた、受け入れ可否情報33aが格納される。この受け入れ可否情報33aは、本実施形態においては、各需要家から通信ネットワーク2を介して送信されてきたデータであって、アグリゲータ通信部31が受信し、アグリゲータ制御部32によってアグリゲータ記憶部33に格納させる処理が行われることで、アグリゲータ記憶部33に格納されることとなっているデータである。この受け入れ可否情報33aは、具体的には、消費電力量の調整要求が当該予定の日時に生じた場合に応じるか否かの予定を示した情報である。特に限定されるものではないが、本実施形態の受け入れ可否情報33aは、例えば、消費電力量の調整要求に応じるか否かに関する各需要家の情報であって、遅くとも消費電力の調整要求が行われる予定日時の事前のタイミング(例えば、一ヶ月前まで)に各需要家からアグリゲータ3が受信して保持するデータである。このようなデータとしては、所定の短時間長さ単位(例えば、一日単位)のデータとして、各需要家から送信されてもよいし、所定の長時間長さ単位(例えば、一ヶ月単位)のデータとして、各需要家から送信されてもよい。
【0040】
また、アグリゲータ記憶部33には、ペナルティ値を示すデータを格納している。このペナルティ値は、基本料金設定契約の種類毎に、かつ、キャンセルが行われたタイミング毎に予め定められている値である。このペナルティ値は、複数種類の基本料金設定契約のうち、消費電力量の調整要求に応じる予定日数が多く必要とされており電気料金の単価が比較的小さい契約については、キャンセルによるペナルティ値が大きめになるように設定されている。また、複数種類の基本料金設定契約のうち、消費電力量の調整要求に応じる予定日数が少なくてもよく電気料金の単価が比較的大きい契約については、キャンセルによるペナルティ値が小さめになるように設定されている。また、上記基本料金設定契約のいずれにおいても、消費電力量の調整要求に応じる予定に対するキャンセルが行われたタイミングに基づいて、実施日までの残り時間が短いほどペナルティ値が大きくなるように予め定められている。
【0041】
また、アグリゲータ記憶部33には、料金契約情報33bが予め格納されている。この料金契約情報33bには、複数種類の電気料金設定契約を示す情報が含まれている。電気料金設定契約としては、例えば、消費電力量の調整要求があった場合に応じなければならない頻度が高いが電気料金の単価が比較的安い内容の契約や、消費電力量の調整要求があった場合に応じなければならない頻度は低いが電気料金の単価が高い内容の契約等が含まれている。なお、電気料金の単価としては、特に限定されないが、例えば、単位消費電力量当たりの電気料金とすることができる。さらに、アグリゲータ記憶部33には、基本料金設定契約の種類を示す情報を、需要家毎に対応付けて格納している。
【0042】
なお、アグリゲータ通信部31は、スマートメータ6から得られる設備機器(電力を消費して駆動する機器)における消費電力量の計測データを、ゲートウェイ4および通信ネットワーク2を介して受信する。そして、アグリゲータ記憶部33には、当該受信した消費電力量の計測データが格納される。また、アグリゲータ通信部31は、後述する条件選定部32cによって選定される電気料金設定契約の内容(選定基本条件と選定修正条件を含む情報)、および、選定修正対価情報を、通信ネットワーク2を介して各需要家に(ゲートウェイ4を介してHEMSコントローラ5に)送信する。
【0043】
さらに、アグリゲータ記憶部33には、受け入れ可否情報33aの履歴や予定変更情報を受け付けた履歴等を含む履歴情報33cを、需要家毎に格納している。
【0044】
アグリゲータ制御部32は、電力会社1から発信される消費電力量の調整要求の信号を受信した場合に、アグリゲータプログラム34を起動させて実行し、各需要家に属する装置(ゲートウェイ4等)との間で通信を行わせて、消費電力量の調整要求に対応するための情報処理を行う。また、アグリゲータ制御部32は、アグリゲータプログラム34を実行させることで、上述したように、各需要家から送信されてきた受け入れ可否情報33aをアグリゲータ通信部31に受信させ、当該受け入れ可否情報33aをアグリゲータ記憶部33に格納させる処理を行う。さらに、アグリゲータ制御部32は、アグリゲータプログラム34を実行させることで、アグリゲータ通信部31に、後述する電気料金設定契約の内容(選定基本条件と選定修正条件を含む情報)、および、選定修正対価情報を、通信ネットワーク2を介して各需要家に(ゲートウェイ4を介してHEMSコントローラ5に)向けて送信させる。
【0045】
また、アグリゲータ制御部32は、基本対価情報生成部32aと、修正対価情報生成部32bと、条件選定部32cと、を有している。
【0046】
基本対価情報生成部32aは、アグリゲータプログラム34を実行して、アグリゲータ記憶部33において需要家と対応させて格納されている基本料金設定契約に含まれる特定基本条件(複数種類の基本条件のうちの当該需要家が現時点で選択して契約している基本料金設定契約に含まれる特定基本条件)に基づいて電気料金の単価を特定し、電化製品8やヒートポンプ7等の電力消費する設備機器において消費した電力量を用いて、電力消費に対する基本的な対価を示す基本対価情報を生成する。
【0047】
修正対価情報生成部32bは、アグリゲータプログラム34を実行して、アグリゲータ記憶部33において需要家と対応させて格納されている基本料金設定契約に含まれる特定修正条件(複数種類の修正条件のうちの当該需要家が現時点で選択して契約している基本料金設定契約に含まれる特定修正条件)に基づいて、基本対価情報生成部32aが生成した基本対価情報を修正し、修正対価情報を生成する。
【0048】
条件選定部32cは、予め定められた所定の選定開始条件を満たしたときに(例えば、年に一度の所定の日時であってもよいし、現在の基本料金設定契約によって算出される電気料金が所定金額を超えた場合等であってもよい。)、現在の基本料金設定契約の種類の見直す、基本料金設定契約の種類変更提案処理を行う。具体的には、条件選定部32cは、複数種類の基本料金設定契約(基本条件と当該基本条件に対応する修正条件との組合せを有する契約の複数)から、現在の基本料金設定契約に含まれている特定基本条件および特定修正条件に従って生成される修正対価情報が示す対価をより小さくすることが可能な基本料金設定契約(選定基本条件と当該選定基本条件に対応する選定修正条件との組合せ有する契約)を、アグリゲータ記憶部33に格納されている履歴情報33cに基づいて選定する。
【0049】
なお、アグリゲータ制御部32は、条件選定部32cによって選定された基本料金設定契約(選定基本条件と当該選定基本条件に対応する選定修正条件との組合せ有する契約)の内容と、当該選定された基本料金設定契約に従って算定されていた場合における電気料金と、をアグリゲータ出力部35に出力させる。また、アグリゲータ出力部35は、当該基本料金設定契約の内容と、電気料金と、をアグリゲータ通信部31を介して送信し、通信ネットワーク2およびゲートウェイ4を介してHEMSコントローラ5まで届ける。
【0050】
なお、ここでの修正対価情報生成部32bによる基本対価情報の修正は、「予定変更情報をアグリゲータ通信部31が受信することで受け付けた時点から、その予定変更情報が示している変更の対象となる予定時点まで」の間の時間長さに応じた情報となるように、行われる。
【0051】
アグリゲータ出力部35における出力態様は、特に限定されるものではなく、例えば、表示画面に各種情報を出力表示させる出力態様であってもよいし、紙媒体に情報を印字させる出力態様であってもよい。
【0052】
(2−2)各需要家(需要家A、B、C・・・)
図3に、需要家が備える要素を示したブロック構成図を示す。
【0053】
なお、実施形態の説明では、「需要家」の文言は、需要家に属している通信装置や情報処理装置を含めた概念として用いている場合がある。
【0054】
複数の需要家(需要家A、B、C・・・)は、いずれも、通信ネットワーク2を介して、アグリゲータ3と通信可能に接続されている。
【0055】
各需要家が備えている通信装置や情報処理装置は、同様であるため、複数の需要家A、B、C・・・のうち、ここでは、需要家Aに属する装置を例に挙げて説明する。
【0056】
図1および
図3に示すように、需要家Aには、ゲートウェイ4、HEMSコントローラ5、スマートメータ6、ヒートポンプ7、および、電化製品8等が属している。
【0057】
(2−2−1)ゲートウェイ
ゲートウェイ4は、ゲートウェイ通信部41と、変換部42と、を有している。ゲートウェイ通信部41は、通信ネットワーク2を介して、アグリゲータ3のアグリゲータ通信部31と通信可能となるように接続されている。また、ゲートウェイ通信部41は、HEMSコントローラ5との間で情報の送受信が可能となるように、スマートメータ6の計測値を受信できるように、それぞれ接続されている。変換部42は、通信ネットワーク2を介してゲートウェイ通信部41が受信した情報を、HEMSコントローラ5によって処理可能な形式の情報に変換する。また、変換部42は、HEMSコントローラ5からゲートウェイ通信部41が受信した情報を、通信ネットワーク2を介して送信可能な情報もしくはアグリゲータ通信部31と通信可能な形式の情報に変換する。
【0058】
なお、ゲートウェイ4は、電力消費機器における消費電力量の計測データ(例えば、当該月の合計消費電力量)をスマートメータ6から受信し、通信ネットワーク2を介して、アグリゲータ3に送信する。
【0059】
なお、ゲートウェイ通信部41は、電力会社1からの消費電力量の調整要求を、通信ネットワーク2とアグリゲータ3を介して受信してもよいし、通信ネットワーク2を介して電力会社1から直接受信してもよい。
【0060】
(2−2−2)スマートメータ
スマートメータ6は、後述する、各電力消費機器における消費電力量を計測し、得られたデータ(例えば、当該月の合計消費電力量)をゲートウェイ4に送信する。
【0061】
(2−2−3)HEMSコントローラ
HEMSコントローラ5は、上位のアグリゲータ3等から送信されてきた情報や各機器のセンサ情報等に基づいて、各設備機器に対して制御に関する指令を送る、Home Energy Management Systemのコントローラである。HEMSコントローラ5は、HEMS通信部51と、HEMS制御部52と、HEMS記憶部53と、HEMSプログラム54、HEMS入力部55、HEMS出力部56等を有している。
【0062】
HEMS通信部51は、ゲートウェイ4と通信可能に接続されている。また、HEMS通信部51は、電化製品8やヒートポンプ7等の設備機器との間で通信可能に接続されている。
【0063】
なお、HEMS入力部55では、アグリゲータ3に送信するために、HEMS入力部55を介して需要家Aから受け入れ可否情報33aや予定変更情報を受け付ける。
【0064】
HEMS記憶部53は、HEMS入力部55を介して需要家Aから受け付けた当該需要家A自身の受け入れ可否情報33a等の情報が格納されている。
【0065】
HEMS制御部52は、HEMS入力部55を介して需要家から受け付けた受け入れ可否情報33aを、HEMS記憶部53に格納させる。また、HEMS制御部52は、HEMS入力部55を介して需要家から受け付けた予定変更情報を反映させるために、HEMS記憶部53に格納されている受け入れ可否情報33aを上書き変更させる。
【0066】
なお、HEMS制御部52は、HEMS入力部55を介して需要家から受け付けた受け入れ可否情報33aを、所定期間間隔で、アグリゲータ3に対して送信する。また、HEMS制御部52は、HEMS入力部55を介して需要家から予定変更情報を受け付けた場合には、予定変更情報を、その受け付けた時点で、アグリゲータ3に対して送信する。
【0067】
このHEMS制御部52は、HEMSプログラム54を実行し、上位のアグリゲータ3等から消費電力量の調整要求が送信されてきているか否かを判断し、送信されてきていないと判断された場合には、通常制御を行う旨の指令を、HEMS通信部51によって電化製品8やヒートポンプ7等の設備機器に対して送信させる。通常制御は、特に限定されないが、ユーザ(需要家A)の希望する設定条件データをできるだけ迅速に実現できるような電化製品8やヒートポンプ7の制御が含まれる。
【0068】
また、HEMS制御部52は、HEMSプログラム54を実行し、上位のアグリゲータ3等から消費電力量の調整要求が送信されているか否か判断する。HEMS制御部52は、消費電力量の調整要求が送信されてきていると判断した場合には、さらに、当該消費電力量の調整要求に含まれている当該消費電力量の調整を行う期間を示す抑制期間情報と、HEMS記憶部53に格納されている需要家A自身の現時点での受け入れ可否情報33aの情報(予定変更情報による変更があった場合には、当該予定変更情報に基づいて上書き変更された情報)と、に基づいて、当該抑制期間情報が示す期間が受け入れ可否情報33aにおいて消費電力量の調整要請を受け入れる期間として記録されているか否かを判断する。ここで、抑制期間情報が示す期間が受け入れ可否情報33aにおいて消費電力量の調整要請を受け入れる期間として記録されていた場合には、デマンドレスポンス制御を行う旨の指令を、HEMS通信部51によって電化製品8やヒートポンプ7等の設備機器に対して送信させる。なお、抑制期間情報が示す期間が受け入れ可否情報33aにおいて消費電力量の調整要請を受け入れる期間として記録されていなかった場合には、デマンドレスポンス制御を行うことなく、通常制御を行う旨の指令を、HEMS通信部51によって電化製品8やヒートポンプ7等の設備機器に対して送信させる。
【0069】
上記デマンドレスポンス制御は、特に限定されないが、通常制御を行う場合よりも単位時間当たりの消費電力量が小さくなるように予め定められた制御方法で、ユーザ(需要家A)の希望する設定条件データを参照しながら、抑制期間情報が示している期間の間、電化製品8やヒートポンプ7等が制御される。この通常制御を行う場合よりも単位時間当たりの消費電力量が小さくなる制御としては、特に限定されないが、例えば、ヒートポンプ7の制御を行う場合には、設定条件データ等として設定されている設定温度に達するまでの時間が長めになるように各構成機器の出力を下げることや、一部の構成機器の稼動を停止させる制御等が含まれる。
【0070】
また、HEMS制御部52は、求められた電気料金の値等をHEMS出力部56に表示出力する。このHEMS出力部56は、液晶表示部によって構成されている。
【0071】
(2−2−4)電化製品
電化製品8は、電化製品8の制御を行う電化製品コントローラ8sを有している。電化製品コントローラ8sは、HEMSコントローラ5と接続されており、HEMSコントローラ5からの指令に基づいて、通常制御とデマンドレスポンス制御のいずれかを実行して電化製品8の制御を行う。
【0072】
ここでの電化製品8は、ヒートポンプ7以外の電力を消費して駆動するものを意味しており、冷蔵庫、照明器具等が含まれる。
【0073】
(2−2−5)ヒートポンプ
ヒートポンプ7は、ヒートポンプ7の制御を行うヒートポンプコントローラ7sを有している。ヒートポンプコントローラ7sは、HEMSコントローラ5と接続されている。
【0074】
また、ヒートポンプコントローラ7sは、後述する圧縮機21、四路切換弁22、室外ファン24、膨張弁25、水回路補助ヒータ71、水回路ポンプ72、室内ファン74、床暖房流量調節弁75、給湯流量調節弁77、給湯補助ヒータ79、給湯用ポンプ84、混合弁86を制御可能となるように接続されており、センサ89の検出値を取得できるように接続されている。
【0075】
また、図示しないが、ヒートポンプコントローラ7sは、ヒートポンプ設定受付部を有している。需要家は、このヒートポンプ設定受付部を介して、設定温度や床暖房の温度や給湯温度等の設定条件を入力することができる。
【0076】
さらに、ヒートポンプコントローラ7sは、図示しないヒートポンプ記憶部を有している。このヒートポンプ記憶部には、ヒートポンプ設定受付部を介して入力を受け付けたデータが、設定条件データとして格納されている。
【0077】
ヒートポンプコントローラ7sは、上述のようにヒートポンプ記憶部に格納されている設定条件データと、センサ89を介して取得されるデータと、HEMSコントローラ5からの通常制御の指令もしくはデマンドレスポンス制御の指令と、の3つの情報に基づいて、ヒートポンプ7の制御を行う。
【0078】
以下、ヒートポンプ7の具体的な構成を説明する。
【0079】
(3)ヒートポンプの構成
図4に、ヒートポンプのシステム構成図を示す。
【0080】
ヒートポンプ7は、ヒートポンプ部7aと、水循環部7bと、室内空調部7cと、床暖房部7dと、給湯部7e等を有して構成されている。
【0081】
ヒートポンプ部7aは、水循環部7bに設けられている水熱交換器26を流れる水を加熱もしくは冷却するための装置であり、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、室外ファン24、膨張弁25を有している。これらの、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、室外ファン24、および、膨張弁25と、水循環部7bに設けられている水熱交換器26と、は、互いに冷媒配管で接続されることによって、内部を冷媒が循環する冷媒回路20を構成している。
【0082】
冷媒回路20は、四路切換弁22の接続状態を切り換えることによって、冷房運転接続状態と、暖房運転接続状態と、に切り換えられる。冷房運転接続状態では、室外熱交換器23が冷媒の放熱器として機能し、水熱交換器26が冷媒の蒸発器として機能するように、四路切換弁22の接続状態が切り換えられる。暖房運転接続状態では、室外熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能し、水熱交換器26が冷媒の放熱器として機能するように、四路切換弁22の接続状態が切り換えられる。
【0083】
水熱交換器26では、冷媒回路20内を循環する冷媒と、水回路70内を循環する水との間で、互いに混ざり合うことなく熱交換が行われている。
【0084】
水循環部7bは、上記水熱交換器26と、水回路補助ヒータ71と、水回路ポンプ72と、がこの順に並んで直列に接続されている。水回路補助ヒータ71は、水熱交換器26の下流側に配置されており、駆動される場合には、内部を通過する水を加熱する。水回路ポンプ72は、水回路補助ヒータ71の下流側に配置されており、水回路70内において水を循環させるように水の搬送を行う。なお、水回路ポンプ72は、流量を調節することが可能な構成となっている。
【0085】
室内空調部7cと、床暖房部7dと、給湯部7eは、水回路70のうち、水熱交換器26の上流側と水回路ポンプ72の下流側との間で互いに並列に接続するように設けられている。
【0086】
室内空調部7cは、水回路70のうち水熱交換器26の上流側と水回路ポンプ72の下流側との間を接続する空調回路70cと、空調回路70cの途中に設けられた室内熱交換器73と、室内ファン74と、を有している。室内熱交換器73は、室内ファン74からの空気流れを受けることで、ヒートポンプ部7aが上記冷房運転接続状態の場合には冷風を室内に供給し、ヒートポンプ部7aが上記暖房運転接続状態の場合には温風を室内に供給する。なお、空調回路70cを流れる水の流量は、水回路ポンプ72の出力と、床暖房流量調節弁75の弁開度と、給湯流量調節弁77の弁開度と、を制御することによって調節される。
【0087】
床暖房部7dは、水回路70のうち水熱交換器26の上流側と水回路ポンプ72の下流側との間を空調回路70cとは独立して接続する床暖房回路70dと、床暖房回路70dに設けられた床暖房流量調節弁75と、床暖房流量調節弁75よりも下流側に設けられた床暖房熱交換器76と、を有している。床暖房流量調節弁75は、弁開度が制御されることで、床暖房回路70dを流れる水の流量の調節を行う。床暖房熱交換器76は、床暖房回路70dの一部であって、対象空間の床裏に配置された部分である。床暖房熱交換器76に温水が流れることで、当該対象空間の床を暖めることができる。
【0088】
給湯部7eは、水回路70のうち水熱交換器26の上流側と水回路ポンプ72の下流側との間を空調回路70cとは独立し、床暖房回路70dとも独立して接続する給湯回路70eと、給湯回路70eに設けられた給湯流量調節弁77と、給湯流量調節弁77よりも下流側に設けられた給湯熱交換器78と、を有している。給湯流量調節弁77は、弁開度が制御されることで、給湯回路70eを流れる水の流量の調節を行う。給湯熱交換器78は、給湯回路70eの一部であって、後述する貯湯タンク82の内部空間の下方の位置を通過するように配置された部分である。給湯熱交換器78に温水が流れることで、貯湯タンク82の内部下方の比較的温度が低い水を温めることができる。なお、給湯熱交換器78の内部を流れる水と、貯湯タンク82の内部の水とは、互いに直接接触することなく、熱交換のみが行われている。
【0089】
ここで、貯湯タンク82は、給湯回路80に設けられている。給湯回路80は、市水が貯湯タンク82の下端に流れ込むように構成された入水管81と、入水管81から分岐した連絡管85と、貯湯タンク82の上端からお湯を出湯するように伸びだしている出湯管83と、出湯管83の途中に貯湯タンク82からお湯を出湯するように設けられた給湯用ポンプ84と、連絡管85を流れる温度の低い水と出湯管83を流れる温度の高い湯とを混合する混合弁86と、を有している。
【0090】
なお、貯湯タンク82の内部の上方には、給湯補助ヒータ79が配置されている。この給湯補助ヒータ79は、必要に応じて駆動され、貯湯タンク82の上方に位置する水を加熱する。
【0091】
図3に示すセンサ89は、室外温度を検知するセンサ、室内温度を検知するセンサ、給湯温度を検知するセンサ等の制御に用いられる各種センサをまとめて示している。
【0092】
(4)ヒートポンプの動作
ヒートポンプ7の各種動作について、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9を参照しながら説明する。
【0093】
ヒートポンプ7は、各種設定条件や温度条件に応じて、冷房運転、暖房運転、低外気時暖房運転、給湯運転、および、暖房給湯同時運転等が行われる。
【0094】
なお、これらの各運転それぞれについて、通常制御とデマンドレスポンス制御が行われる。すなわち、冷房通常制御、冷房デマンドレスポンス制御、暖房通常制御、暖房デマンドレスポンス制御、低外気時暖房通常制御、低外気時暖房デマンドレスポンス制御、給湯通常制御、給湯デマンドレスポンス制御、暖房給湯同時通常制御、および、暖房給湯同時デマンドレスポンス制御のいずれかが行われる。
【0095】
(4−1)冷房運転
図5に、ヒートポンプ7による冷房運転の状態の概略図を示す。
【0096】
冷房運転時には、室外熱交換器23が冷媒の放熱器として機能し、水熱交換器26が冷媒の蒸発器として機能するように、ヒートポンプコントローラ7sが、四路切換弁22の接続状態を冷房運転接続状態に切り換える。
【0097】
また、ヒートポンプコントローラ7sは、水回路補助ヒータ71および給湯補助ヒータ79をいずれも停止させ、床暖房流量調節弁75および給湯流量調節弁77の両方を全閉状態として、圧縮機21、膨張弁25、室外ファン24、水回路ポンプ72および室内ファン74を制御する。これにより、室内に冷風を供給することができる。
【0098】
なお、冷房デマンドレスポンス制御では、冷房通常制御の設定条件の温度と比べて室内の設定温度を高めに変更する等してヒートポンプコントローラ7sがヒートポンプ7の制御を行うことで、単位時間当たりの消費電力量の低減化が図られる。
【0099】
(4−2)暖房運転
図6に、ヒートポンプ7による暖房運転の状態の概略図を示す。
【0100】
暖房運転時には、室外熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能し、水熱交換器26が冷媒の放熱器として機能するように、ヒートポンプコントローラ7sが、四路切換弁22の接続状態を暖房運転接続状態に切り換える。
【0101】
また、ヒートポンプコントローラ7sは、水回路補助ヒータ71および給湯補助ヒータ79をいずれも停止させ、給湯流量調節弁77を全閉状態とし、圧縮機21、膨張弁25、室外ファン24、水回路ポンプ72、室内ファン74、および、床暖房流量調節弁75を制御する。これにより、室内に温風を供給しつつ、床暖房によって床を暖めることができる。
【0102】
なお、暖房デマンドレスポンス制御では、暖房通常制御の設定条件の温度と比べて室内の設定温度を低めに変更する等してヒートポンプコントローラ7sがヒートポンプ7の制御を行うことで、単位時間当たりの消費電力量の低減化が図られる。
【0103】
(4−3)低外気時暖房運転
図7に、ヒートポンプ7による低外気時暖房運転の状態の概略図を示す。
【0104】
室外温度センサ89a(センサ89の1つ)から取得される室外温度が所定の室外温度よりも低い場合には、ヒートポンプコントローラ7sは、低外気時暖房運転を行う。
【0105】
低外気時暖房運転時には、室外熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能し、水熱交換器26が冷媒の放熱器として機能するように、ヒートポンプコントローラ7sが、四路切換弁22の接続状態を暖房運転接続状態に切り換える。
【0106】
また、ヒートポンプコントローラ7sは、給湯補助ヒータ79を停止させ、給湯流量調節弁77を全閉状態とし、圧縮機21、膨張弁25、室外ファン24、水回路ポンプ72、室内ファン74、床暖房流量調節弁75、および、水回路補助ヒータ71を制御する。これにより、室外気温が所定の温度よりも低い温度になった状況であっても、室内に温風を供給しつつ、床暖房によって床を暖めることができる。
【0107】
なお、低外気時暖房デマンドレスポンス制御では、低外気時暖房通常制御の設定条件の温度と比べて室内の設定温度を低めに変更する等してヒートポンプコントローラ7sがヒートポンプ7の制御を行うことで、単位時間当たりの消費電力量の低減化が図られる。
【0108】
(4−4)給湯運転
図8に、ヒートポンプ7による給湯運転の状態の概略図を示す。
【0109】
ヒートポンプコントローラ7sは、所定の時間帯等の給湯条件を満たした場合に、給湯運転を行う。
【0110】
給湯運転時には、室外熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能し、水熱交換器26が冷媒の放熱器として機能するように、ヒートポンプコントローラ7sが、四路切換弁22の接続状態を暖房運転接続状態に切り換える。
【0111】
また、ヒートポンプコントローラ7sは、水回路補助ヒータ71を停止させ、床暖房流量調節弁75を全閉状態とし、給湯流量調節弁77を全開状態とし、圧縮機21、膨張弁25、室外ファン24、水回路ポンプ72、室内ファン74、および、給湯補助ヒータ79を制御する。これにより、貯湯タンク82の下方についてはヒートポンプ7の熱で水を温め、貯湯タンク82の上方については給湯補助ヒータ79でお湯を生じさせることができる。
【0112】
なお、給湯デマンドレスポンス制御では、給湯通常制御で沸き上げに費やす時間よりも長い時間を費やす等のようにしてヒートポンプコントローラ7sがヒートポンプ7の制御を行うことで、単位時間当たりの消費電力量の低減化が図られる。
【0113】
(4−5)暖房給湯同時運転
図9に、ヒートポンプ7による暖房給湯同時運転の状態の概略図を示す。
【0114】
貯湯温度センサ89b(センサ89の1つ)から取得される温度が所定の貯湯温度よりも低い場合には、ヒートポンプコントローラ7sは、暖房給湯同時運転を行う。
【0115】
暖房給湯同時運転時には、室外熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能し、水熱交換器26が冷媒の放熱器として機能するように、ヒートポンプコントローラ7sが、四路切換弁22の接続状態を暖房運転接続状態に切り換える。
【0116】
また、ヒートポンプコントローラ7sは、水回路補助ヒータ71を停止させ、圧縮機21、膨張弁25、室外ファン24、水回路ポンプ72、床暖房流量調節弁75、給湯流量調節弁77、室内ファン74、および、給湯補助ヒータ79を制御する。これにより、貯湯タンク82の下方についてはヒートポンプ7の熱で水を温めることができ、貯湯タンク82の上方については給湯補助ヒータ79でお湯を生じさせることができると同時に、室内を暖めることができる。
【0117】
なお、暖房給湯同時デマンドレスポンス制御では、暖房給湯同時通常制御で沸き上げに費やす時間よりも長い時間を費やす等のようにしてヒートポンプコントローラ7sがヒートポンプ7の制御を行う、および/または、暖房給湯同時通常制御の設定条件の温度と比べて室内の設定温度を低めに変更する等してヒートポンプコントローラ7sがヒートポンプ7の制御を行うことで、単位時間当たりの消費電力量の低減化が図られる。
【0118】
(5)需要家毎の処理の具体例
図11に、基本料金設定契約の種類毎に、第1チーム、第2チーム、第3チームに分けて管理される需要家A、B、C、D、E、F、G、Hを例に挙げて、受け入れ可否情報33aの変更を行って消費電力量の調整要求の受け入れ予定をキャンセルした場合のペナルティ発生について、一例を挙げながら説明する。
【0119】
図10に示すように、需要家B、Fは、消費電力量の調整要求を受け入れてデマンドレスポンス制御を普通の頻度(例えば、月に8日以上20日未満の範囲で受け入れ許容日を設定している程度の頻度)に行うことが求められつつキャンセルを行ったときのペナルティが普通であり(修正条件)、電気料金の単価が普通である(基本条件)という基本料金設定契約をしている第2チームに属している。
【0120】
また、需要家A、D、Eは、消費電力量の調整要求を受け入れてデマンドレスポンス制御を頻繁に(普通の頻度よりも高い頻度で、例えば、月に20日以上の受け入れ許容日を設定している程度で)行うことが求められつつキャンセルを行ったときのペナルティが普通よりも大きい(修正条件)が、電気料金の単価が普通の場合と比べて安めに設定されている(基本条件)という基本料金設定契約をしている第1チームに属している。
【0121】
また、需要家C、G,Hは、消費電力量の調整要求を受け入れてデマンドレスポンス制御を行うことは頻繁(普通の頻度よりも低い頻度で、例えば、月に8日未満の受け入れ許容日を設定している程度で)には求められずキャンセルを行ったときのペナルティが普通よりも小さい(修正条件)が、電気料金の単価が普通の場合と比べて高めに設定されている(基本条件)という基本料金設定契約をしている第3チームに属している。
【0122】
なお、上記のいずれにおいても、キャンセルを行ったタイミングが実施日に近いほど、ペナルティが大きくなるように予め定められている。
【0123】
ここで、デマンドレスポンス制御を頻繁に行うことで電気料金の単価が安く設定されている第1チームに属する需要家Aの一例に挙げて説明する。
【0124】
図11を参照しながら、需要家Aが、受け入れ可否情報33aの変更を行って消費電力量の調整要求の受け入れ予定をキャンセルする場合の一例を示す。
【0125】
需要家Aは、消費電力量の調整要求を受け入れて消費電力量を小さく抑えるデマンドレスポンス制御を行うことを予定している「実施日」よりも一ヶ月以上前に、HEMS入力部55を介してHEMSコントローラ5に受け入れ可否情報33aを入力しているものとする。具体的には、第1チームに属する契約をしている需要家Aは、受け入れ可否情報33aとして、月曜日から金曜日までの全ての平日(月に20日以上の頻度)に、消費電力量の調整要求を受け入れて消費電力量を小さく抑えるデマンドレスポンス制御を行うことを許容しているとする。
【0126】
なお、集中管理システム10においては、実施予定日時の直前の所定時間長さ未満(例えば、実施日の前日)となるキャンセルは受け付けないように、予め定められている。すなわち、HEMS入力部55は、実施予定日時の直前の所定期間については、予定変更情報の入力があったとしても、受け付け処理が行われないように、予め設定されている。これにより、実施予定日時の直前の所定期間については、各需要家のキャンセルを防ぐことができ、消費電力量の調整要求の受け入れ可否予定に従った処理をできるだけ予定通りに行わせて、消費電力量の予測性を高めることができる。
【0127】
以上の前提で、需要家Aが、例えば、受け入れ可否情報33aにおいて受け入れを許容していた実施日の一ヶ月前から4週間前の間に、HEMS入力部55に予定変更情報を入力して、受け入れをキャンセルしたとする。この場合には、需要家Aは、電気料金の単価が普通の場合と比べて安めの基本料金設定契約をしているため、キャンセルによるペナルティとして大きめのペナルティが発生するものの、キャンセルを行ったタイミングが4週間前である件については実施日までの長い時間が残されているため、さらにペナルティが大きくなることはないように調節される。具体的には、HEMS入力部55が、予定変更情報の入力を受け付けることによって、HEMS制御部52が、当該予定変更情報をアグリゲータ3に対して通信ネットワーク2を介して送信する。ここで、アグリゲータ制御部32の基本対価情報生成部32aは、アグリゲータ記憶部33に格納されている料金契約情報33bに基づいて、当該需要家Aが現時点で契約している基本料金設定契約により電気料金の単価(特定基本条件)を特定し、スマートメータ6から通信ネットワーク2等を介して取得した消費電力量のデータに基づいて、当該月の基本料金(基本対価情報)を生成する。次に、修正対価情報生成部32bは、履歴情報33cに基づいてキャンセルの有無およびキャンセルの日時を特定する。そして、修正対価情報生成部32bは、特定されたキャンセルについて、料金契約情報33bに基づいて、基本料金設定契約の種類およびキャンセルが行われたタイミングの両方に基づいてペナルティ値の大きさを特定する(特定修正条件に基づいて特定する。)。以上によって特定されたペナルティ値によって、上記当該月の基本料金(基本対価情報)を修正して、当該月の電気料金(修正対価情報)を生成する。
【0128】
例えば、4週間前の月曜日と火曜日の2日ともキャンセルした場合には、修正対価情報生成部32bは、基本料金設定契約の種類およびキャンセルが行われたタイミングの両方に基づいてキャンセル値を特定し、当該特定されたペナルティ値の2倍(二日分)の金額を、当該月の基本料金に上乗せする処理を行う。
【0129】
さらに、需要家Aが受け入れ可否情報33aにおいて受け入れを許容していた実施日の1週間前の週のある一日について、HEMS入力部55に予定変更情報を入力して、受け入れをキャンセルしたとする。この場合には、4週間前のキャンセルに相当する小さなペナルティよりも大きな1週間前のキャンセルに相当する大きなペナルティが発生する。具体的には、HEMS入力部55が、予定変更情報の入力を受け付けることによって、HEMS制御部52が、当該予定変更情報をアグリゲータ3に対して通信ネットワーク2を介して送信する。これにより、アグリゲータ制御部32の修正対価情報生成部32bは、1週間前の大きなペナルティ値の金額を、当該月の基本料金に上乗せする処理を行う。
【0130】
以上の事例では、アグリゲータ3の基本対価情報生成部32aは、第1チームの基本料金設定契約の種類に対応するようにアグリゲータ記憶部33に格納されている比較的安い電気料金の単価を読み出すとともに、スマートメータ6において取得されてアグリゲータ3に送信されてきた消費電力量の計測データを読み出す。そして、アグリゲータ3の基本対価情報生成部32aは、当該電気料金の単価に、消費電力量の計測データから把握される当該月の合計消費電力量を乗じることで、需要家Aの当該月の基本料金を算出する。さらに、アグリゲータ3の修正対価情報生成部32bは、上述した受け入れ可否情報33aにおいて受け入れを許容していた実施日に対して、4週間前の時点でキャンセルした二日分と、1週間前の時点でキャンセルした一日分と、の合計のペナルティ金額を算出する。具体的には、アグリゲータ3の修正対価情報生成部32bは、4週間前の時点でキャンセルした二日分については、アグリゲータ記憶部33において基本料金設定契約の電気料金の単価が安いものの区分で且つ4週間前のキャンセルに相当する区分に格納されているペナルティ値を読み出し、当該ペナルティ値に対して、二日分に相当する2を乗じて、4週間前の二日分のキャンセルに相当するペナルティ金額を算出する。さらに、修正対価情報生成部32bは、1週間前の時点でキャンセルした一日分については、アグリゲータ記憶部33において基本料金設定契約の電気料金の単価が安いものの区分で且つ1週間前のキャンセルに相当する区分に格納されているペナルティ値を読み出し、当該ペナルティ値に対して、一日分に相当する1を乗じて、1週間前の一日分のキャンセルに相当するペナルティ金額を算出する。ここで、修正対価情報生成部32bは、上記4週間前の二日分のキャンセルに相当するペナルティ金額と、1週間前の一日分のキャンセルに相当するペナルティ金額と、を合計して、合計のペナルティ金額を算出する。そして、アグリゲータ3の修正対価情報生成部32bは、需要家Aの当該月の基本料金に、合計のペナルティ金額を加えることで、需要家Aの当該月の電気料金を算出する。
【0131】
なお、このようにして修正対価情報生成部32bが算出した電気料金は、通信ネットワーク2およびゲートウェイ4を介して、対応する需要家のHEMSコントローラ5に送信される。HEMSコントローラ5のHEMS制御部52は、受信した電気料金をHEMS出力部56に表示出力させる。
【0132】
(6)消費電力量の調整要求に対する制御処理のフローチャート
以上の集中管理システム10における、消費電力量の調整要求に対する制御処理の流れについて、
図12に示す。
【0133】
ステップS11では、アグリゲータ3のアグリゲータ制御部32は、HEMSコントローラ5のHEMS入力部55を介して需要家が入力した受け入れ可否情報33aが、アグリゲータ記憶部33に格納されることで、受け付けられているか否か判断する。ここで、受け入れ可否情報33aが受け付けられている場合には、ステップS12に移行する。なお、ここで、HEMS制御部52は、HEMSコントローラ5のHEMS入力部55を介して需要家が入力した受け入れ可否情報33aを、HEMS記憶部53に格納させている。
【0134】
ステップS12では、アグリゲータ3のアグリゲータ制御部32は、HEMSコントローラ5のHEMS入力部55を介して需要家が入力した予定変更情報の有無を判断する。ここで、予定変更情報が存在していると判断された場合には、ステップS13に移行する。予定変更情報が存在していないと判断された場合には、ステップS14に移行する。なお、ここで、HEMS制御部52は、HEMSコントローラ5のHEMS入力部55を介して需要家が予定変更情報を入力した場合には、HEMS記憶部53に格納されている受け入れ可否情報33aを上書きさせる。
【0135】
ステップS13では、アグリゲータ制御部32は、予定変更情報に基づいて、アグリゲータ記憶部33に格納されている受け入れ可否情報33aを上書きする。また、当該予定変更情報が、「消費電力量の調整要求が当該予定の日時に生じた場合には、応じないことになっていた予定を、応じることにするように変更する」ことを示すのか、「消費電力量の調整要求が当該予定の日時に生じた場合には、応じることになっていた予定を、応じないことにするように変更する」こと、すなわち、キャンセルを示すのか、を判断する。そして、キャンセルを示すものである場合には、アグリゲータ制御部32は、予定変更情報を受け付けた時期を特定する情報を、キャンセルの履歴情報33cとしてアグリゲータ記憶部33に格納させる。これにより、実施予定日のどれくらい前の段階で受け付けたキャンセルであるのか、という情報を把握することが可能になっている。
【0136】
ステップS14では、アグリゲータ制御部32は、電気料金を算出するタイミングになっているか否かを判断する。例えば、電気料金が月に一度確定される契約の場合には、月に一度のタイミングになっているか否かを確認することになる。ここで、電気料金を算出するタイミングになっている場合には、ステップS15に移行し、電気料金を算出するタイミングになっていない場合には、ステップS16に移行する。
【0137】
ステップS15では、アグリゲータ制御部32は、後述する、電気料金算出出力処理を行って、ステップS16に移行する。
【0138】
ステップS16では、アグリゲータ制御部32は、現在、電力会社1からの消費電力量の調整要求を受け付けているか否かを判断する。受け付けていない場合には、ステップS11に戻って、上記処理を繰り返す。受け付けている場合には、アグリゲータ制御部32は、当該消費電力量の調整要求を受け付けた日時を、アグリゲータ記憶部33に格納させる。これにより、消費電力量の調整要求が発生した日時を把握することが可能になる。
【0139】
また、ここでは、HEMS制御部52についても、電力会社1からの消費電力量の調整要求を受け付けたか否かを判断する。なお、電力会社1からの消費電力量の調整要求は、通信ネットワーク2とゲートウェイ4を介してHEMSコントローラ5が受信したものであってもよいし、アグリゲータ3および通信ネットワーク2を介してHEMSコントローラ5が受信したものであってもよい。
【0140】
ステップS17では、HEMS制御部52は、HEMS記憶部53に格納されている最新の受け入れ可否情報33aに基づいて、「消費電力量の調整要求が生じた場合に、応じる予定になっている」か否か、すなわち許容されているか否かを判断する。ここで、許容されていない場合には、ステップS18に移行する。許容されている場合には、ステップS19に移行する。
【0141】
ステップS18では、HEMS制御部52は、電化製品8やヒートポンプ7等の設備機器を、消費電力量を小さく抑えたデマンドレスポンス制御ではなく、通常制御によって制御を行うことを継続させ、ステップS11に戻る。
【0142】
ステップS19では、HEMS制御部52は、電化製品8やヒートポンプ7等の設備機器を、消費電力量を小さく抑えたデマンドレスポンス制御によって制御し始める。
【0143】
ステップS20では、HEMS制御部52は、ステップS16において把握している消費電力量の調整要求に関して、消費電力量の抑制が求められる抑制期間を経過しているか否かを判断する。経過している場合には、ステップS21に移行する。
【0144】
ステップS21では、HEMS制御部52は、デマンドレスポンス制御を終了し、通常制御を開始する。また、HEMS制御部52は、消費電力量の調整要求に応じたことを、HEMS記憶部53に格納するとともに、通信ネットワーク2を介してアグリゲータ3に送信する。アグリゲータ制御部32は、消費電力量の調整要求に応じたことおよびその日時を、アグリゲータ記憶部33に格納する。以上の処理を行って、ステップS11に戻り、処理を繰り返す。
【0145】
(7)電力料金算出出力処理のフローチャート
上述した電力料金算出出力処理の流れについて、
図13に示す。
【0146】
ステップS31では、アグリゲータ制御部32は、アグリゲータ記憶部33において予め格納されている当該需要家の基本料金設定契約の種類を特定し、アグリゲータ記憶部33において当該種類に応じるようにして予め格納されている電気料金の単価を読み出す。
【0147】
ステップS32では、アグリゲータ制御部32は、スマートメータ6において取得され、アグリゲータ記憶部33に格納されていた消費電力量の計測データのうち、当該需要家に対応するデータを読み出す。
【0148】
ステップS33では、アグリゲータ制御部32は、ステップS31で読み出した単価に、ステップS32で読み出した所定期間(例えば、1ヶ月)の合計消費電力量を乗じて、基本料金を算出する。
【0149】
ステップS34では、アグリゲータ制御部32は、アグリゲータ記憶部33にキャンセルの履歴情報33cが記録されているか否かを判断する。キャンセルの履歴情報33cが記録されていない場合には、ステップS39に移行する。キャンセルの履歴情報33cが記録されている場合には、ステップS35に移行する。
【0150】
ステップS35では、アグリゲータ制御部32は、アグリゲータ記憶部33に記録されているキャンセルの履歴情報33cに基づいて、予定変更情報が受け付けられた時期を特定する。また、予定変更情報が複数回受け付けられていた場合には、各時期と、各時期に対応する回数を特定する。
【0151】
ステップS36では、アグリゲータ制御部32は、基本料金設定契約および予定変更情報の受付時期に応じてアグリゲータ記憶部33に予め格納されているペナルティ値を特定する。なお、キャンセルが複数回存在していた場合には、キャンセル毎に特定する。
【0152】
ステップS37では、アグリゲータ制御部32は、ステップS36で特定されたキャンセル値に、当該キャンセル値に対応する時期のキャンセルの回数を乗じ、キャンセル金額を算出する。なお、キャンセルが複数の時期に生じていた場合には、各キャンセル値に対応する時期のキャンセルの回数を乗じて得られる値の合計値を、キャンセル金額として算出する。
【0153】
ステップS38では、アグリゲータ制御部32は、ステップS37で算出されたキャンセル金額を、ステップS33で算出された基本料金に加えて、電気料金を算出し、ステップS40に移行する。
【0154】
ステップS39では、アグリゲータ制御部32は、ステップS33で算出した基本料金を、電気料金とする処理を行い、ステップS40に移行する。
【0155】
ステップS40では、アグリゲータ制御部32は、算出された電気料金を、アグリゲータ記憶部33に格納させると共に、出力も行う。ここでの出力は、例えば、当該需要家に対して送られる請求書のプリントアウトであってもよいし、アグリゲータ3から当該需要家のHEMSコントローラ5に対して電気料金の情報を送信することであってもよい。HEMSコントローラ5が電気料金を受信した場合には、HEMS出力部56が、当該電気料金を表示出力する。
【0156】
(8)基本料金設定契約の種類変更提案処理のフローチャート
集中管理システム10における、基本料金設定契約の種類変更提案処理の流れについて、
図14に示す。
【0157】
ステップS51では、アグリゲータ制御部32の条件選定部32cは、予め定められている所定の選択開始条件を満たしているか否かを判断する。具体的には、本例では、条件選定部32cは、一年のうちの契約を見直す時期として予め定められた日時になっているか否かを判断する。ここで、時期を満たしている場合には、ステップS52に移行する。
【0158】
ステップS52では、アグリゲータ制御部32の条件選定部32cは、アグリゲータ記憶部33に格納されている履歴情報33cのうち、最後に基本料金設定契約の変更が行われた時点から現在までのデータを読出し、ステップS53に移行する。
【0159】
ステップS53では、アグリゲータ制御部32の条件選定部32cは、アグリゲータ記憶部33に格納されている電気料金のうち、最後に基本料金設定契約の変更が行われた時点から現在までのデータを読出すことで、その期間の電気料金の合計値を把握する。
【0160】
ステップS54では、アグリゲータ制御部32の条件選定部32cは、ステップS52で読み出された履歴情報33cに基づいて、過去の電力消費量および消費電力量の調整要求の許諾状況を把握する。具体的には、過去の受け入れ可否情報33a、予定変更情報およびスマートメータ6で計測されていた電力消費量を把握する。そして、条件選定部32cは、料金契約情報33bに格納されている複数種類の基本料金設定契約の中から、仮に選択していたら、当該把握した受け入れ可否情報33a、予定変更情報および電力消費量と同じ条件下での当該期間の電気料金の合計値をより安くすることができたことになる基本料金設定契約を選定する。
【0161】
ステップS55では、アグリゲータ制御部32の条件選定部32cは、ステップS54において選定された基本料金設定契約をアグリゲータ出力部35に出力しつつ、通信ネットワーク2およびゲートウェイ4を介して、HEMSコントローラ5まで送信することで、需要家に基本料金設定契約の種類変更の提案を行う。
【0162】
(9)本実施形態の特徴
上記実施形態に係る集中管理システム10のアグリゲータ3では、アグリゲータ制御部32の条件選定部32cが、需要家にとって電気料金をより安くすることが見込める基本料金設定契約を選定し、需要家に提案することができる。
【0163】
例えば、消費電力量の調整要求を受け入れてデマンドレスポンス制御を頻繁に行うことが求められつつキャンセルを行ったときのペナルティが普通よりも大きいが、電気料金の単価が安めに設定されているという基本料金設定契約を結んでいた需要家について、履歴情報33
cに基づいて、頻繁にキャンセルが行われており、結果として、他の基本料金設定契約の方が電気料金を安くすることができていたことが分かった場合に、需要家が当該電気料金を安くすることができる基本料金設定契約の種類を把握することができる。
【0164】
これにより、消費電力量の調整要求に応じることで電気料金が変動するような複雑な料金体系が採用されている場合であっても、容易に、望ましい基本料金設定契約を把握することが可能になる。
【0165】
また、さらには、より望ましい基本料金設定契約の種類を把握した需要家が当該より望ましい基本料金設定契約に契約変更を行うと、基本料金設定契約の種類に応じたチーム(上記例では、第1チーム、第2チーム、第3チーム)に属している各需要家の電力消費特性が、チーム毎にそれぞれ均一化していくことになる。これにより、アグリゲータ3における電力の管理(消費電力量の予測等)の安定性を向上させることができる。
【0166】
また、消費電力量の調整要求を受け入れる予定をキャンセルするタイミングが、実施日に近いほどキャンセル値が大きくなるように構成されているため、実施日の直前のキャンセルを控えさせることで、集中管理システム10における実施日の直前における通信混雑の発生を抑制することが可能になる。
【0167】
なお、以上のように、需要家からは、受け入れ可否情報33aが予め提出され、しかも、キャンセルが抑制されるように構成されているため、予定通りに近い処理を行うことができ、アグリゲータ3における電力の管理(消費電力量の予測等)が容易になるとともに、電力会社1において不必要に大規模な発電設備を備えておく必要性を低減させることが可能になる。
【0168】
(10)変形例
(10−1)変形例A
上記実施形態では、アグリゲータプログラム34が、予め、アグリゲータ3に格納されている場合を例に挙げて説明した。
【0169】
アグリゲータ3としては、これに限られるものではなく、例えば、
図15に示すように、上述したアグリゲータプログラム34が一時的でなく格納されている記録媒体134を介して、このようなプログラムが格納されていなかったアグリゲータ3に対してインストールさせるようにしてもよい。
【0170】
また、アグリゲータプログラム34は、通信ネットワーク2を介してダウンロード可能に接続された任意の場所に格納されていてもよい。すなわち、このようなアグリゲータプログラム34が格納されていなかったアグリゲータに、通信ネットワーク2を介してアグリゲータプログラム34をダウンロードさせ、インストールさせるようにしてもよい。
【0171】
(10−2)変形例B
上記実施形態では、キャンセルのペナルティとして、当該期間の電力消費量に対応した基本料金に対してさらにペナルティ金額を上乗せさせる形式で、需要家に負担させるシステムを例に挙げて説明した。
【0172】
しかし、キャンセルのペナルティとしては、これに限られるものではなく、例えば、電気料金に関するポイント還元率の低下等、他の手法でインセンティブを生じさせるようにしてもよい。また、例えば、ペナルティの付与は、翌月以降の電気料金の単価を引き上げることであってもよい。
【0173】
(10−3)変形例C
上記実施形態では、消費電力量の調整要求に応答可能な日時の予定をキャンセルした場合に、キャンセル金額の負担を需要家に強いる場合を例に挙げて説明した。
【0174】
しかし、予定の変更を抑制させる手法としては、特に限定されず、例えば、キャンセル金額の付加というペナルティ付与の代わりに、所定の期間の間、消費電力量の調整要求に応答可能な日時の予定の変更が無かった場合には、予定通り遂行したことにより電気料金を減額するという手法を用いてもよい。
【0175】
(10−4)変形例D
上記実施形態では、消費電力量の調整要求に応答可能な日時の予定をキャンセルした場合に、需要家にペナルティを与える仕組みを例に挙げて説明した。
【0176】
しかし、当該キャンセルした日時が、消費電力量の調整要求の発生が無く経過した場合には、ペナルティを与えること無く、当該キャンセルした日時に実際に消費電力量の調整要求が発生していた場合にのみペナルティを付与するようにしてもよい。
【0177】
(10−5)変形例E
上記実施形態では、消費電力量の調整要求に対して応じるか否かの2択の予定を提示する場合を例に挙げて説明した。
【0178】
しかし、消費電力量の調整要求に対して、単に応じるか応じないかの2択ではなく、応じるレベルが複数に分かれて設定された予定が提出されていてもよい。すなわち、いずれも消費電力量の調整要求に応じる予定ではあるが、特定の日時に消費電力量の調整要求に応じる程度と、他の特定の日時に消費電力量の調整要求に応じる程度と、が異なるように予定を組むようにしてもよい。この場合には、例えば、ヒートポンプ7の制御方式が、通常制御とデマンドレスポンス制御の2択ではなく、デマンドレスポンス制御がさらに単位時間当たりの消費電力量について複数種類に分けられていてもよい。