(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
雪の密度と比誘電率との間には関係があり、密度が大きいほど比誘電率が大きくなる。互いに対向する一対の電極の静電容量は、比誘電率に比例する。このため、一対のセンサ電極を互いに対向するように設置し、一対のセンサ電極の静電容量に基づいて、一対のセンサ電極間に堆積された積雪の密度等を測定することが考えられる。
【0013】
図15は、参考例による積雪測定装置を示す概略図である。
【0014】
図15に示すように、一対のセンサ電極112a、112bが互いに対向するように配されている。一対のセンサ電極112a、112bは、一対の支柱130によりそれぞれ支持されている。一対の支柱130は、所定の測定箇所にそれぞれ設置されている。一対のセンサ電極112a、112bは、測定部110に接続されている。測定部110は、例えば、一方のセンサ電極112aに信号を印加し、他方のセンサ電極112bを介して検出される信号に基づいて、センサ電極112a、112b間の積雪111の密度等を測定する。
【0015】
しかしながら、センサ電極112a、112bの間の距離が比較的小さい場合には、降雪時の風等の影響により、センサ電極112a、112b間が積雪111によって十分に満たされることなく、センサ電極112a、112bが積雪111に埋もれる場合がある。この場合には、センサ電極112a、112b間に積雪111の存在しない空間が存在することととなり、積雪の密度等を正確に測定し得ない。
【0016】
また、降り積もった後の段階で積雪111が圧縮される場合があるが、センサ電極112a、112b間の距離が比較的小さい場合には、センサ電極112a、112b間に入り込んだ積雪111が圧縮されにくい。このため、センサ電極112a、112b間の積雪111の密度とセンサ電極112a、112b間以外の箇所の積雪111の密度との間に相違が生じてしまい、積雪の密度等を正確に測定し得ない。
【0017】
一方、かかる課題を解消すべくセンサ電極112a、112b間の距離を大きくした場合には、設置スペースが大きくなってしまい、省スペース化の要請に反する。
【0018】
[第1実施形態]
第1実施形態による積雪測定装置を
図1乃至
図5を用いて説明する。
図1は、本実施形態による積雪測定装置を示すブロック図である。なお、
図1に示すセンサ部10は、センサ部10を上側から見た状態を示している。
図2は、本実施形態による積雪測定装置の一部を示す斜視図である。
図3は、本実施形態による積雪測定装置の各構成要素のレイアウトを示す平面図である。
図3(a)は、センサ電極のレイアウトを示す平面図である。
図3(b)は、第1の補助電極及び第2の補助電極のレイアウトを示す平面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態による積雪測定装置は、センサ部10と、センサ部10に信号を印加する信号源18と、センサ部10からの信号を検出する検出回路20とを有している。更に、本実施形態による積雪測定装置は、本実施形態による積雪測定装置全体の制御を司るとともに所定の演算処理等を行う制御処理部22と、コンピュータプログラム、テーブル値、測定データ等が記憶される記憶部24とを有している。更に、本実施形態による積雪測定装置は、操作者が操作入力を行うための入力部26と、測定結果等を表示する表示部28とを有している。
【0020】
図1に示すように、センサ部10は、センサ電極12と、センサ電極12に対向する第1の補助電極14と、センサ電極12に対向する第2の補助電極16とを有している。
【0021】
センサ電極(センサ板)12は、
図1乃至
図3に示すように、例えば板状に形成されている。センサ電極12の平面形状は、例えば長方形である。センサ電極12の寸法は、例えば300mm×200mm×1mm程度とする。
【0022】
第1の補助電極14及び第2の補助電極16は、
図1乃至
図3に示すように、例えば板状に形成されている。第1の補助電極14及び第2の補助電極16の平面形状は、例えば長方形である。第1の補助電極14及び第2の補助電極16の寸法は、例えば、それぞれ300mm×90mm×1mm程度とする。
【0023】
センサ電極12、第1の補助電極14及び第2の補助電極16の材料としては、導電性の材料が用いられている。ここでは、センサ電極12、第1の補助電極14及び第2の補助電極16の材料として、例えば金属が用いられている。センサ部10は、積雪に埋もれ、高湿な環境に長期間放置されることとなる。高湿な環境においても腐食するのを防止すべく、センサ電極12、第1の補助電極14及び第2の補助電極16の材料としては、耐食性が高い材料を用いることが好ましい。ここでは、センサ電極12、第1の補助電極14及び第2の補助電極16の材料として、例えばステンレス鋼を用いる。
【0024】
センサ部12、第1の補助電極14及び第2の補助電極16は、
図1乃至
図3に示すように、基材32内に配されている。基材32は、
図1に示すように、部材32aと部材32bと部材32cとにより形成されている。
図3(a)に示すように、センサ電極12は、部材32aに形成された溝35内に埋め込まれている。
図3(b)に示すように、第1の補助電極14及び第2の補助電極16は、部材32bに形成された溝36a、36b内にそれぞれ埋め込まれている。
【0025】
部材32aのうちのセンサ電極12が埋め込まれた面側と部材32bのうちの補助電極14,16が埋め込まれた面側とは、互いに対向している。部材32aと部材32bとの間には、部材32cが配されている。部材32aのうちのセンサ電極12が埋め込まれた面側と部材32cの一方の面とは、例えば接着剤により接着されている。部材32bのうちの補助電極14,16が埋め込まれた面側と部材32cの他方の面とは、例えば接着剤を用いて接着されている。
【0026】
部材32a〜32cの材料としては、絶縁性の材料が用いられている。ここでは、部材32a〜32cの材料として、例えばABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene copolymer)が用いられている。基材32の寸法は、例えば320mm×220mm×20mm程度とする。部材32aの厚さは、例えば3mm程度とする。部材32bの厚さは、例えば10mm程度とする。部材32cの厚さは、例えば15mm程度とする。
【0027】
図2に示すように、センサ部(検知部)10の外形は、全体として長方形の板状となっている。センサ部10の長手方向が、例えば、積雪方向、即ち、積雪が進行する予定の方向となるように、センサ電部10が測定箇所に設置される。より具体的には、センサ部10の長手方向が鉛直方向に沿うように、センサ部10が測定箇所に設置される。
【0028】
基材32のうちの部材32b側は、支持部材34を介して支柱30に取り付けられている。支持部材34の材料としては、それぞれ絶縁性の材料が用いられている。ここでは、支持部材34の材料として、それぞれ、例えばABS樹脂等が用いられている。
【0029】
支柱30の形状は、例えば円柱状とする。なお、支柱30の形状は円柱状に限定されるものではない。例えば、支柱30の形状を円筒状としてもよい。
【0030】
支柱30の材料としては、例えば金属が用いられている。なお、支柱30の材料は、金属に限定されるものではない。例えば、支柱30の材料として繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics、FRP)等を用いてもよい。
【0031】
第1の補助電極14及び第2の補助電極16は、センサ電極12の検知面とは反対側の裏面側(背面側)に位置している。第1の補助電極14と第2の補助電極16とがセンサ電極12と支柱30との間に位置しているため、センサ電極12と支柱30との間の静電容量が測定に与える影響を抑制することができる。第1の補助電極14は、センサ電極12の検知面とは反対側の面のうちの第1の領域に対向している。第2の補助電極16は、センサ電極12の検知面とは反対側の面のうちの第1の領域とは異なる第2の領域に対向している。第1の補助電極14の長手方向及び第2の補助電極16の長手方向は、それぞれセンサ電極12の長手方向に沿っている。補助電極14、16とセンサ電極12との間の距離は、部材32cの厚さと等しく、例えば15mm程度となっている。互いに対向する第1の補助電極14とセンサ電極12との間には静電容量C1が生ずる。また、互いに対向する第2の補助電極16とセンサ電極12との間には、静電容量C2が生ずる。
【0032】
第1の補助電極14は、信号線(電線、接続線、接続ケーブル)38を介して、信号源(印加電圧信号源、交流電圧信号源)18に電気的に接続されている。信号源18は、第1の補助電極14に交流電圧信号を印加する。換言すれば、信号源18は、第1の補助電極14とセンサ電極12とにより形成される静電容量C1のキャパシタに、交流電圧信号を印加する。信号源18から発せられる交流電圧信号の周波数は、例えば5MHz程度とする。信号源18から発せられる交流電圧信号の大きさは、例えば5V程度とする。
【0033】
第2の補助電極16は、信号線(電線、接続線、接続ケーブル)40を介して、検出回路(検出部、電流検出回路)20に接続されている。検出回路20は、第2の補助電極16を介して流れ込む電流を検出するものである。換言すれば、検出回路20は、第2の補助電極16とセンサ電極12とにより形成される静電容量C2のキャパシタを介して、信号を検出する。
【0034】
センサ部10と検出回路20との間の距離は、必ずしも十分に短いとは限らない。センサ部10と検出回路20との距離がある程度大きい場合には、第2の補助電極16と検出回路20とを接続する信号線40として、例えばシールドケーブル(シールド線)を用いることが好ましい。そして、シールドケーブル30のシールド導体(図示せず)を、接地電位(GND)に接続する。ノイズを低減し、正確に信号を検出するためである。
【0035】
信号線40は、検出回路20のオペアンプ42の反転入力端子と第2の補助電極16とを電気的に接続している。オペアンプ42の出力端子は、抵抗器(電気抵抗)44を介してオペアンプ42の反転入力端子に接続されている。オペアンプ42の非反転入力端子は、接地電位(GND)に接続されている。オペアンプ42の出力信号は、制御処理部22に入力されるようになっている。
【0036】
図4は、本実施形態による積雪測定装置の一部の等価回路を示す図である。
図5は、静電容量Csと検出回路により検出される電流iとの関係を示すグラフである。
図5における横軸は静電容量Csを示しており、
図5における縦軸は電流値iを示している。
【0037】
静電容量値Csは、センサ電極12とセンサ電極12の周囲との間の静電容量から第1の補助電極14及び第2の補助電極16の寄与分を除いたものである。検出回路20により検出される信号電流の大きさiは、
図5に示すように、静電容量値Csに依存する。
【0038】
雪が堆積すると、センサ電極12の周囲には積雪が存在する状態となる。静電容量Csは、積雪の静電容量に依存する。積雪の静電容量は、積雪の密度に依存する。このため、静電容量値Csは、センサ電極12の周囲に堆積された積雪の密度に依存する。従って、検出回路20により検出される信号電流の大きさiは、センサ電極12の周囲に堆積される積雪の密度に依存する。従って、検出回路20により検出される信号電流の大きさiに基づいて、積雪の静電容量や積雪の密度等を求めることが可能である。
【0039】
制御処理部(システム制御部)22は、本実施形態による積雪測定装置全体の制御を司るとともに、所定の演算処理等を行うものである。制御処理部22としては、例えばパーソナルコンピュータ等が用いられる。
【0040】
制御処理部22には、操作者が命令を入力するための入力部26が接続されている。入力部26としては、例えば、キーボードやマウス等を用いることができる。
【0041】
制御処理部22には、記憶部24が接続されている。記憶部24には、静電容量Csや積雪の密度を求める際に用いられるテーブル値のデータや、測定結果のデータ等、様々なデータが一時的又は継続的に記憶される。記憶部24は、例えばハードディスクドライブやRAM等により構成することができる。また、記憶部24には、制御処理部22に所定の制御や処理等を行わせるためのコンピュータプログラムがインストールされている。
【0042】
本実施形態による積雪測定装置を用いて積雪の測定を行う際には、信号源18から電圧信号を発するとともに、検出回路20により信号電流を検出する。信号源18の制御や検出回路20の制御は、制御処理部22により行われる。制御処理部22は、検出回路20により検出された信号電流(電流波形)の大きさに基づいて、積雪の密度等を求める。具体的には、例えば、信号電流の大きさを積雪の密度との関係を示すテーブルを予め用意しておき、かかるテーブル値を用いて信号電流の大きさを積雪の密度に換算する。
【0043】
かかるテーブルは、例えば以下のようにして作成することが可能である。即ち、積雪の比誘電率と信号電流の大きさとの関係を有限要素解析等のシミュレーションにより求める。また、積雪の比誘電率と積雪の密度との関係を、実測により求める。なお、積雪の比誘電率と積雪の密度との関係を、文献等を調査することにより取得してもよい。積雪の比誘電率と信号電流の大きさとの関係、及び、積雪の比誘電率と積雪の密度との関係に基づいて、信号電流の大きさと積雪の密度との関係を求めることができる。こうして、信号電流の大きさと積雪の密度との関係を示すテーブルを作成することができる。
【0044】
また、信号電流の大きさと積雪の密度との関係を実測により求め、実測により求められた信号電流の大きさと積雪の密度との関係に基づいてテーブルを作成してもよい。
【0045】
また、検出された信号電流の大きさiに基づいて積雪の誘電率を求め、積雪の密度を求めなくてもよい。この場合には、信号電流の大きさと積雪の比誘電率との関係を示すテーブルを予め用意しておき、かかるテーブルを用いて信号電流の大きさを積雪の誘電率に換算する。信号電流の大きさと積雪の比誘電率との関係を示すテーブルは、有限要素解析等のシミュレーションにより求めることができる。
【0046】
このように、本実施形態による積雪測定装置は、積雪の密度を測定するものであってもよいし、積雪の誘電率を測定するものであってもよい。即ち、本実施形態による積雪測定装置は、積雪密度測定装置であってもよいし、誘電率測定装置であってもよい。
【0047】
このように、本実施形態によれば、センサ電極12の検知面とは反対側の裏面側に配された第1の補助電極14とセンサ電極12との間の静電容量C1を介して、センサ電極12に信号が印加される。また、センサ電極12の検知面と反対側の裏面側に配された第2の補助電極16とセンサ電極12との間の静電容量C2を介して、積雪の密度等に依存する信号を検出回路20により検出する。本実施形態によれば、センサ電極12と補助電極14,16との間に積雪させることを要しないため、積雪条件や設置条件に制約されずに、積雪の物理量を正確に測定し得る積雪測定装置を提供することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、センサ電極12と補助電極14,16との間に積雪させることを要しないため、センサ電極12と補助電極14、16との間の距離を極めて小さくすることが可能である。従って、本実施形態によれば、設置スペースを省スペース化し得る積雪測定装置を提供することができる。
【0049】
[第2実施形態]
第2実施形態による積雪測定装置を
図6乃至
図9を用いて説明する。
図6は、本実施形態による積雪測定装置を示すブロック図である。なお、
図6に示すセンサ部10aは、センサ部10aを上側から見た状態を示している。
図7は、本実施形態による積雪測定装置のセンサ部を示す側面図である。
図8は、本実施形態による積雪測定装置のセンサ電極を示す上面図及び側面図である。
図9は、本実施形態による積雪測定装置の補助電極を示す上面図及び側面図である。
図1乃至
図5に示す第1実施形態による積雪測定装置と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0050】
本実施形態による積雪測定装置は、センサ電極12aが円筒状に形成されており、円筒状のセンサ電極12aの内側に補助電極14a,16aが配されているものである。
【0051】
図6乃至
図8に示すように、センサ電極12aの外形は、全体として円筒状となっている。センサ電極12aが円筒状に形成されているため、センサ電極12aの表面積がより大きくなっており、より高い検出感度を得ることが可能である。また、センサ電極12が円筒状に形成されているため、センサ電極12の周囲の積雪の物理量を方向の偏りなく測定することが可能である。
【0052】
センサ電極12aの高さ、即ちセンサ電極12aの長手方向の寸法は、例えば400mm程度とする。センサ電極12aの直径は、例えば200mm程度とする。センサ電極12aの肉厚は、例えば1mm程度とする。
【0053】
図6、
図7及び
図9に示すように、第1の補助電極14a及び第2の補助電極16aの形状は、それぞれ例えば半円筒状となっている。第1の補助電極14a及び第2の補助電極16aは、円筒状のセンサ電極12aの検知面とは反対側の裏面側(背面側)、即ち、円筒状のセンサ電極12aの内側の面に対向するようにそれぞれ配されている。
【0054】
第1の補助電極14a及び第2の補助電極16aの高さ、即ち、第1の補助電極14a及び第2の補助電極16aの長手方向の寸法は、例えば400mm程度とする。第1の補助電極14a及び第2の補助電極16aの肉厚は、例えば1mm程度とする。
【0055】
センサ電極12a、第1の補助電極14a及び第2の補助電極16aの材料としては、例えばステンレス鋼が用いられている。
【0056】
図6に示すように、第1の補助電極14aは、センサ電極12aの検知面とは反対側の面のうちの第1の領域に対向している。第2の補助電極16aは、センサ電極12aの検知面とは反対側の面のうちの第1の領域とは異なる第2の領域に対向している。
【0057】
第1の補助電極14aとセンサ電極12aとの間には、静電容量C1(
図4参照)が生ずる。第2の補助電極16aとセンサ電極12aとの間には、静電容量C2(
図4参照)が生ずる。従って、本実施形態においても、
図4のような等価回路となる。
【0058】
図7に示すように、第1の補助電極14a及び第2の補助電極16aの長手方向は、それぞれセンサ電極12aの長手方向に沿っている。
【0059】
第1の補助電極14aとセンサ電極12aとの間隔は、例えば15mm程度とする。また、第2の補助電極16aとセンサ電極12aとの間隔は、例えば15mm程度とする。
【0060】
センサ部10aを設置するための支柱30は、円筒状のセンサ電極12aの内側の中央部に位置する。
【0061】
図6に示すように、センサ電極12aは、支持部材34aを介して支柱30により支持される。また、第1の補助電極14a及び第2の補助電極16aは、支持部材34bをそれぞれ介して支柱30により支持される。支持部材34a、34bの材料としては、例えばABS樹脂等が用いられている。
【0062】
第1の補助電極14aは、センサ電極12aと支柱30との間に位置する。また、第2の補助電極16aは、センサ電極12aと支柱30との間に位置する。第1の補助電極14aと第2の補助電極16aとがセンサ電極12aと支柱30との間に位置するため、センサ電極12aと支柱30との間の静電容量が測定に与える影響を抑制することができる。
【0063】
図7に示すように、円筒状のセンサ電極12aの上部を塞ぐように、蓋部46が取り付けられている。蓋部46は、センサ部10a内に雪等が入り込むのを防止し、ひいては、積雪の物理量を正確に測定するためのものである。
【0064】
図7に示すように、センサ部10aの長手方向が、積雪方向、即ち、積雪が進行する予定の方向となるように、センサ部10aが測定箇所に設置される。より具体的には、例えば、センサ部10aの長手方向が鉛直方向となるように、センサ部10aが測定箇所に設置される。
【0065】
第1の補助電極14aは、信号線38を介して、信号源18に電気的に接続されている。
【0066】
第2の補助電極16aは、信号線40を介して、検出回路20に接続されている。
【0067】
このように、本実施形態によれば、センサ電極12aが円筒状に形成されており、円筒状のセンサ電極12aの内部に補助電極14a,16aが配されている。換言すれば、補助電極14a、16aは、センサ電極12aの検知面とは反対側の面、即ち、センサ電極12aの内面に対向するように配されている。本実施形態によれば、センサ電極12aが円筒状に形成されているため、センサ電極12aの表面積がより大きくなっており、より高い検出感度を得ることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、センサ電極12aが円筒状であるため、周囲の積雪の物理量を方向の偏りなく測定することができる。
【0069】
[第3実施形態]
第3実施形態による積雪測定装置を
図10乃至
図14を用いて説明する。
図10は、本実施形態による積雪測定装置を示すブロック図である。なお、
図10に示すセンサ部10bは、センサ部10bを上側から見た状態を示している。
図11は、本実施形態による積雪測定装置のセンサ部を示す側面図である。
図12は、本実施形態による積雪測定装置のカバー部を示す上面図及び側面図である。
図13は、本実施形態による積雪測定装置のセンサ電極を示す上面図及び側面図である。
図1乃至
図9に示す第1又は第2実施形態による積雪測定装置と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0070】
本実施形態による積雪測定装置は、第1のキャパシタ48を介して信号源18からセンサ電極12b1〜12b4に信号が印加され、センサ電極12b1〜12b4に接続された第2のキャパシタ50を介して検出回路20により信号が検出されるものである。
【0071】
図10に示すように、センサ部10bには、複数のセンサ電極12b1〜12b4が設けられている。センサ電極12b1〜12b4は、例えば板状に形成されている。センサ電極12b1〜12b4の平面形状は、例えば長方形となっている。複数のセンサ電極12b1〜12b4を設けることにより、センサ電極12b1〜12b4の表面積の総和が大きくなっているため、高い検出感度を得ることが可能である。
【0072】
センサ電極12a〜12dの高さ、即ちセンサ電極12a〜12dの長手方向の寸法は、例えば400mm程度とする。センサ電極12a〜12dの幅は、例えば150mm程度とする。センサ電極12a〜12dの肉厚は、例えば1mm程度とする。
【0073】
センサ電極12a〜12dの材料としては、導電性の材料が用いられている。ここでは、センサ電極12a〜12dの材料として、例えば金属が用いられている。センサ電極12a〜12dは、積雪に埋もれ、高湿な環境に長期間放置されることとなる。高湿な環境においてもセンサ電極12a〜12dが腐食するのを防止すべく、センサ電極12a〜12dの材料としては、耐食性が高い材料を用いることが好ましい。ここでは、センサ電極12a〜12dの材料として、例えばステンレス鋼を用いる。
【0074】
センサ電極12a〜12dの数は、例えば4個とする。
【0075】
なお、ここでは、センサ電極12a〜12dの数を4個としたが、センサ電極の数は4個に限定されるものではない。また、センサ電極の数は、1個であってもよい。
【0076】
但し、センサ電極の表面積を大きくし、高い検出感度を得る観点からは、センサ電極の数は多めであることが好ましい。
【0077】
センサ部10bを設置するための支柱30は、カバー部(保護カバー)52の内側の中央部に位置する。カバー部52は、全体として円筒状に形成されている。カバー部52には、スリット(開口部)54が形成されている。センサ電極12b1〜12b4は、スリット54の箇所においてカバー部52をそれぞれ貫いている。
【0078】
センサ電極12b1〜12b4は、それぞれ支持部材34cを介して支柱30に固定されている。支持部材34cの材料としては、それぞれ絶縁性の材料が用いられている。ここでは、支持部材34cの材料として、それぞれ、例えばABS樹脂等が用いられている。
【0079】
センサ電極12b1〜12b4は、支柱30から突出するように配されている。即ち、センサ電極12b1〜12b4の面内方向は、支柱30から遠ざかる方向に沿っている。換言すれば、センサ電極12b1〜12b4の面内方向は、支柱30の半径方向に沿っている。換言すれば、複数のセンサ電極12b1〜12b4は、支柱30を中心として、平面視において放射状に配されている。支柱30から突出するようにセンサ電極12b1〜12b4が配されているため、支柱30とセンサ電極12b1〜12b4との間の静電容量を小さくすることができ、支柱30とセンサ電極12b1〜12b4との間の静電容量が測定に与える影響を低減することができる。
【0080】
カバー部52の上部を塞ぐように、蓋部46が取り付けられている。蓋部46は、カバー部52の内部に雪等が入り込むのを防止し、ひいては、積雪の物理量を正確に測定するためのものである。
【0081】
図11に示すように、支柱30には、第1のキャパシタ48及び第2のキャパシタ50を収納する収納ボックス(図示せず)56が取り付けられる。
【0082】
なお、収納ボックス56は、カバー部52内に配されてもよい。
【0083】
センサ部10bは、センサ電極12b1〜12b4の長手方向が、積雪方向、即ち、積雪が進行する予定の方向となるように、測定箇所に設置される。より具体的には、例えば、センサ電極12b1〜12b4の長手方向が鉛直方向となるように、センサ部10bが測定箇所に設置される。
【0084】
第1のキャパシタ48の一方の端子及び第2のキャパシタ50の一方の端子は、信号線58を介して、センサ電極12b1〜12b4に電気的に接続されている。第1のキャパシタ48の他方の端子は、信号線38を介して、信号源18に電気的に接続されている。第2のキャパシタ50の他方の端子は、信号線40を介して、検出回路20に電気的に接続されている。即ち、信号源18は、第1のキャパシタ48を介してセンサ電極12b1〜12b4に電気的に接続されている。また、センサ電極12b1〜12b4は、第2のキャパシタ50を介して検出回路20に電気的に接続されている。
【0085】
図14は、本実施形態による積雪測定装置の一部の等価回路を示す図である。
【0086】
静電容量値Cs′は、センサ電極12とセンサ電極12の周囲との間の静電容量である。C1′は、第1のキャパシタ48の静電容量である。C2′は、第2のキャパシタ50の静電容量である。
【0087】
雪が堆積すると、センサ電極12b1〜12b4の周囲には積雪が存在する状態となる。静電容量Cs′は、積雪の静電容量に依存する。積雪の静電容量は、積雪の密度に依存する。このため、静電容量値Cs′は、センサ電極12b1〜12b4の周囲に堆積された積雪の密度に依存する。従って、検出回路20により検出される信号電流の大きさは、センサ電極12b1〜12b4の周囲に堆積される積雪の密度に依存する。従って、検出回路20により検出される信号電流の大きさに基づいて、積雪の静電容量や積雪の密度等を求めることが可能である。
【0088】
このように、本実施形態によれば、第1のキャパシタ48を介して信号源18からセンサ電極12b1〜12b4に信号を印加する。そして、センサ電極12b1〜12b4に接続された第2のキャパシタ50を介して、積雪の密度等に依存する信号を検出回路20により検出する。本実施形態においても、対向させたセンサ電極間に積雪させることを要することなく積雪の物理量を測定し得るため、積雪の物理量を正確に測定することができる。
【0089】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0090】
例えば、第2実施形態では、センサ電極12aの形状を円筒状としたが、センサ電極12aの形状は円筒状に限定されるものではない。例えば、センサ電極12の形状を角筒状としてもよい。
【0091】
また、第3実施形態では、カバー部52の形状を円筒状としたが、カバー部52の形状は円筒状に限定されるものではない。例えば、カバー部52の形状を角筒状としてもよい。