(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、石油に代えて、石炭やバイオマス、タイヤチップ等のガス化原料をガス化して合成ガスを生成する技術が開発されている。このようにして生成された合成ガスは、発電システムや、水素の製造、合成燃料(合成石油)の製造、化学肥料(尿素)等の化学製品の製造等に利用されている。合成ガスの原料となるガス化原料のうち、特に石炭は、可採年数が150年程度と、石油の可採年数の3倍以上であり、また、石油と比較して埋蔵地が偏在していないため、長期に亘り安定供給が可能な天然資源として期待されている。
【0003】
従来、石炭のガス化プロセスは、酸素や空気を用いて部分酸化することにより行われていたが、2000℃といった高温で部分酸化する必要があるため、ガス化炉のコストが高くなるといった欠点を有していた。
【0004】
この問題を解決するために、水蒸気を利用し、700℃〜900℃程度で石炭をガス化する技術が開発されている。この技術では、温度を低く設定することでコストを低減することが可能となるが、生成された合成ガスには、2000℃の高温で部分酸化して生成した合成ガスと比較して、タールが多く含まれていた。このような合成ガスを利用するプロセスにおいて合成ガスの温度が低下すると、合成ガスに含まれるタールが凝縮し、配管の閉塞、プロセスで使用する機器の故障、触媒の被毒等の問題が生じてしまう。
【0005】
そこで、ガス化炉で生成された合成ガスに水を噴霧することで、合成ガスに含まれるタール等の粒子を除去する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
しかし、タールは疎水性であるため、水との親和性が低い。したがって、特許文献1の技術のように、合成ガスに水を噴霧したとしても、合成ガスからタールを十分に除去できなかった。
【0007】
そこで、水に代えて、タールとの親和性が高いオイルを、合成ガスに噴霧することで、合成ガスに含まれるタールを除去する技術が開示されている(例えば、特許文献2)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0020】
(第1の実施形態:合成ガス生成システム100)
図1は、第1の実施形態にかかる合成ガス生成システム100を説明するための図である。
図1に示すように、合成ガス生成システム100は、合成ガス生成装置110と、合成ガス精製装置200とを含んで構成される。
図1中、気体(ガス)の流れを実線の矢印で、砂の流れを一点鎖線の矢印で、ガス化原料の流れを二点鎖線の矢印で、水、油等の液体の流れを白抜きの矢印で示す。
【0021】
合成ガス生成システム100は、石油に代えて、石炭やバイオマス、タイヤチップ等の固体原料をガス化して合成ガスを生成する技術である。石炭としては、泥炭、亜炭、褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭、半無煙炭、無煙炭が挙げられる。
【0022】
合成ガス生成システム100では、流動媒体が流動層を形成しているガス化炉内で、水蒸気を利用して、700℃〜900℃程度でガス化原料をガス化する(水蒸気ガス化)。この合成ガス生成システム100では、温度を低く設定することで昇温にかかるコストを低減することが可能となるが、生成された合成ガスには、2000℃の高温で部分酸化して生成した合成ガスと比較して、タールが多く含まれることとなる。そこで、生成された合成ガスを精製するために、合成ガス精製装置200が利用される。以下、合成ガス生成装置110、合成ガス精製装置200の具体的な構成について、その順に説明する。
【0023】
(合成ガス生成装置110)
図1に示すように、合成ガス生成装置110は、燃焼炉112と、媒体分離装置(サイクロン)114と、ガス化炉116と、ボイラ118とを含んで構成される。
【0024】
合成ガス生成装置110では、全体として、粒径が300μm程度の硅砂(珪砂)等の砂で構成される流動媒体を熱媒体として循環させている。具体的には、まず、流動媒体は、燃焼炉112で1000℃程度に加熱され、二酸化炭素(CO
2)を含む燃焼排ガスEXとともに媒体分離装置114に導入される。媒体分離装置114においては、高温の流動媒体と燃焼排ガスEXとが分離され、当該分離された高温の流動媒体が、ガス化炉116に導入される。そして、ガス化炉116に導入された流動媒体は、ガス化炉116の底面から導入されるガス化剤(水蒸気、窒素、空気、酸素、不活性ガス等)によって流動層化された後、最終的に、燃焼炉112に戻される。また、媒体分離装置114で分離された燃焼排ガスEXは、ボイラ118で熱回収された後、外部に排出される。
【0025】
ガス化炉116は、例えば、気泡流動層(バブリング流動層)ガス化炉であり、ガス化原料として、例えば、褐炭等の低品位燃料を700℃〜900℃でガス化させて合成ガスX1を生成する。本実施形態では、ガス化炉116に水蒸気を供給することにより、ガス化原料をガス化させて合成ガスX1を生成する(水蒸気ガス化)。
【0026】
そして、ガス化炉116で生成された合成ガスX1には、タール、水蒸気等が含まれているため、下流の合成ガス精製装置200に送出され、精製される。
【0027】
(合成ガス精製装置200)
図1に示すように合成ガス精製装置200は、改質炉(酸化改質炉)210と、ボイラ212と、オイルスクラバ220と、ミストセパレータ222と、沈降分離部230と、オイル送出部240と、水送出部250とを含んで構成される。なお、上述した燃焼炉112、媒体分離装置114、ガス化炉116とともに、改質炉210、オイルスクラバ220、ミストセパレータ222、沈降分離部230は、すべて密閉構造となっており、外部からの空気の進入を防止している。これにより、合成ガスの純度低下を抑制することができる。
【0028】
改質炉210は、ガス化炉116で生成された合成ガスX1に酸素や空気を加え、900〜1500℃程度にして、合成ガスX1に含まれるタールを改質(酸化改質)する。ボイラ212は、改質炉210で改質された合成ガスX2と水蒸気との熱交換を行い、すなわち、合成ガスX2の顕熱を水蒸気で回収し、合成ガスX2の出口温度を300℃〜600℃にする。
【0029】
オイルスクラバ(オイル洗浄部)220は、合成ガスX2にオイルを噴霧することにより、合成ガスX2とオイルとを接触させ、オイルで合成ガスX2を洗浄する。オイルはタールと親和性が高いため、オイルスクラバ220が合成ガスX2にオイルを噴霧することにより、合成ガスX2に含まれるタールがオイルに溶解する。これにより、タールが合成ガスX2から除去され、合成ガスX3と、洗浄後オイルY1が生成される。そして、オイルスクラバ220において、オイルによって洗浄された合成ガスX3は、ミストセパレータ222に送出され、合成ガスX2を洗浄した後のオイルである洗浄後オイル(タール、水、オイルを含む)Y1は、後述する沈降分離部230に送出される。
【0030】
ミストセパレータ(オイル洗浄部)222は、合成ガスX3にオイルを噴霧することにより、合成ガスX3とオイルとを接触させ、オイルで合成ガスX3を洗浄する。なお、ミストセパレータ222が噴霧するオイルの粒径は、オイルスクラバ220が噴霧するオイルの粒径より小さい。これにより、オイルスクラバ220では、十分に分離、除去できなかった合成ガスX3に含まれる霧状のタールが合成ガスX3から除去され、精製合成ガスX4と洗浄後オイルY2が生成される。
【0031】
また、本実施形態において、オイルスクラバ220およびミストセパレータ222において用いられるオイルは、例えば、重油、軽油、植物油等である。
【0032】
こうして、精製合成ガスX4が生成され、ミストセパレータ222において、合成ガスX3を洗浄した後のオイルである洗浄後オイル(タール、水、オイルを含む)Y2は、後述する沈降分離部230に送出される。なお、精製合成ガスX4の温度、洗浄後オイルY1、Y2の温度は、オイルスクラバ220およびミストセパレータ222において冷却されることなく250℃〜550℃程度に維持されている。
【0033】
沈降分離部230は、オイルスクラバ220から送出された洗浄後オイルY1、ミストセパレータ222から送出された洗浄後オイルY2を貯留し、比重の違いによって、洗浄後オイルY1、Y2から水Z2を分離する。なお、沈降分離部230内の温度、すなわち、沈降分離部230における洗浄後オイルY1、Y2の温度は、250℃〜550℃程度である。
【0034】
オイル送出部240は、ポンプを含んで構成され、沈降分離部230において、水Z2が分離された洗浄後オイルZ1(250℃〜550℃程度)を燃焼炉112およびガス化炉116に送出する。そして、燃焼炉112は、流動媒体の加熱に洗浄後オイルZ1を用いる。具体的に説明すると、燃焼炉112は、燃料として洗浄後オイルZ1を燃焼させて、流動媒体を加熱する。また、ガス化炉116は、洗浄後オイルZ1をガス化原料としてガス化する。
【0035】
このようにオイル送出部240が洗浄後オイルZ1を燃焼炉112およびガス化炉116に送出することにより、洗浄後オイル(オイル、タールを含む)Z1を廃棄したり、廃棄するための処理を行ったりするための設備が不要となる。また、従来、燃焼炉では、燃料として石炭を燃焼させて流動媒体を加熱しているが、オイル送出部240が洗浄後オイルZ1を燃焼炉112に送出することにより、石炭に代えて、または、石炭に加えて洗浄後オイルZ1を燃料とすることができるため、流動媒体を加熱するための燃料コストを低減することができる。また、洗浄後オイルZ1に含まれるタールをも燃料やガス化原料とすることができるため、従来廃棄されていたタールを有効利用することが可能となる。
【0036】
また、オイル送出部240は、沈降分離部230によって水Z2が分離された洗浄後オイルZ1を燃焼炉112に送出することから、水Z2による燃焼炉112の温度低下を回避することが可能となる。
【0037】
さらに、従来、洗浄後オイルは、合成ガスの洗浄に再利用するために、冷却器によって冷却されていた。すなわち、洗浄後オイルが有する熱は、冷却器において捨てられていた。しかし、本実施形態のオイル送出部240は、250℃〜550℃程度といった高温の洗浄後オイルZ1を、冷却器等を用いて冷却することなく、そのまま燃焼炉112およびガス化炉116に送出するため、洗浄後オイルZ1が有する熱を捨てることなく効率よく利用することができる。
【0038】
水送出部250は、ポンプを含んで構成され、沈降分離部230において、洗浄後オイルY1、Y2から分離された水(250℃〜550℃程度)Z2をガス化炉116に送出する。そして、ガス化炉116は、ガス化原料のガス化に、水送出部250によって送出された水Z2を用いる。
【0039】
具体的に説明すると、上述したようにガス化炉116において流動媒体の温度は700℃〜900℃程度である。このため、水送出部250によって送出された水Z2は、ガス化炉116において水蒸気となる。そして、この水蒸気によってガス化原料がガス化されることとなる。
【0040】
このように水送出部250が水Z2をガス化炉116に送出することにより、水(少量のオイル、タールを含む)Z2を廃棄したり、廃棄するための処理を行ったりするための設備が不要となる。また、水送出部250が、水Z2をガス化炉116に送出することにより、従来から導入されている、ガス化原料をガス化するための水蒸気の量を減らすことができる。したがって、水蒸気を生成するための熱エネルギーを削減することが可能となる。
【0041】
さらに、水送出部250は、250℃〜550℃程度といった高温の水Z2をガス化炉116に送出するため、水Z2が有する熱を捨てることなく効率よく利用することができる。
【0042】
(合成ガス生成方法)
続いて、合成ガス生成システム100を用いた合成ガス生成方法について説明する。
図2は、第1の実施形態にかかる合成ガス生成方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。ここで、流動媒体は、燃焼炉112、媒体分離装置114、ガス化炉116を循環している。また、ガス化炉116において、流動媒体は、水蒸気(ガス化剤)によって流動層化されている。
【0043】
図2に示すように、まず、ガス化炉116にガス化原料が導入され、合成ガスX1が生成される(合成ガス生成工程S300)。そして、生成された合成ガスX1は、改質炉210において、酸化改質されて合成ガスX2となり、ボイラ212によって冷却される(酸化改質工程S302)。
【0044】
続いて、合成ガスX2は、オイルスクラバ220に導入され、オイルスクラバ220において、合成ガスX2とオイルとを接触させることで、当該オイルで合成ガスX2を洗浄する。洗浄後の合成ガスX3は、ミストセパレータ222に導入され、ミストセパレータ222において、合成ガスX3とオイルとを接触させることで、当該オイルで合成ガスX3を洗浄する(洗浄工程S304)。こうして、精製合成ガスX4が生成される。
【0045】
一方、オイルスクラバ220において生じた洗浄後オイルY1、ミストセパレータ222において生じた洗浄後オイルY2は、沈降分離部230に送出される。そして、沈降分離部230において、洗浄後オイルY1、Y2は、洗浄後オイルZ1と、水Z2に分離される(分離工程S306)。
【0046】
沈降分離部230において分離された洗浄後オイルZ1は、オイル送出部240によって燃焼炉112およびガス化炉116に送出される(オイル送出工程S308)。こうすることで、燃焼炉112において、洗浄後オイルZ1が燃料として燃焼され、流動媒体が加熱されることとなる。また、ガス化炉116において、洗浄後オイルZ1がガス化原料としてガス化され、合成ガスX1が生成されることとなる。
【0047】
一方、沈降分離部230において分離された水Z2は、水送出部250によってガス化炉116に送出される(水送出工程S310)。こうすることで、ガス化炉116において、水Z2が水蒸気となり、ガス化剤の一部としてガス化原料をガス化することとなる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態にかかる合成ガス生成システム100およびこれを用いた合成ガス生成方法によれば、タールとの親和性が高いオイルで合成ガスX2、X3を洗浄することで、合成ガスX2、X3から効率よくタールを除去することができる。また、洗浄後オイルZ1を燃焼炉112およびガス化炉116に導入することで、洗浄後オイルZ1が有する熱エネルギーを捨てることなく、有効利用することが可能となり、除去したタールを燃料やガス化原料として有効利用することができる。
【0049】
また、従来、オイルスクラバ220、ミストセパレータ222に代えて、水を噴霧することにより合成ガスX2、X3中のタールを除去するスプレー塔やミストセパレータが設けられていたため、洗浄後の水(排水)を処理するための排水処理設備が必要となっていた。具体的に説明すると、排水処理設備は、加圧した空気を排水に導入し、排水に含まれるスラッジ等の浮遊物質を浮上させて除去する加圧浮上槽(もしくは凝集沈殿処理)、アンモニア放散塔、排水に活性汚泥(好気性の微生物)を適用することで、排水に含まれる有機物を分解して除去する活性汚泥槽、排水と固形物とを分離する最終沈殿槽を含んで構成される。
【0050】
しかし、本実施形態の合成ガス生成システム100は、水を噴霧することにより合成ガスX2、X3中のタールを除去するスプレー塔や水を噴霧するミストセパレータに代えて、オイルを噴霧するオイルスクラバ220や、オイルを噴霧するミストセパレータ222を備えることにより、排水が生じることはほとんどない。また、合成ガスX2、X3に含まれる水(ガス化炉116における水蒸気由来の水)であって、オイルスクラバ220や、ミストセパレータ222において洗浄後オイルY1、Y2に含まれることとなった水Z2は、沈降分離部230において分離され、水送出部250によってガス化炉116に送出(返送)されることとなる。
【0051】
したがって、上述したような大がかりな排水処理設備が不要となり、排水処理設備に要する場所やコストを削減することが可能となる。さらに、洗浄後オイルY1、Y2から分離した水Z2をガス化炉116に導入することで、水Z2が有する熱エネルギーを捨てることなく、有効利用することができる。
【0052】
(第2の実施形態:合成ガス生成システム400)
図3は、第2の実施形態にかかる合成ガス生成システム400を説明するための図である。
図3に示すように、合成ガス生成システム400は、合成ガス生成装置410と、合成ガス精製装置420とを含んで構成される。
図3中、気体(ガス)の流れを実線の矢印で、ガス化原料の流れを二点鎖線の矢印で、水、油等の液体の流れを白抜きの矢印で示す。
【0053】
合成ガス生成システム400は、ガス化炉416と、加熱部418とを含んで構成される。
【0054】
ガス化炉416は、例えば、流動層方式のガス化炉や、流動媒体(砂)が自重で鉛直下方向に流下することで移動層を形成する移動層方式のガス化炉である。加熱部418は、例えば、間接熱交換器で構成され、ガス化炉416中の流動媒体を加熱する。
【0055】
ガス化炉416は、ガス化原料として、例えば、褐炭等の低品位燃料を700℃〜900℃でガス化させて合成ガスを生成する。本実施形態では、ガス化炉416に水蒸気を供給することにより、ガス化原料をガス化させて合成ガスを生成する。
【0056】
そして、ガス化炉416で生成された合成ガスX1には、タール、水蒸気等が含まれているため、下流の合成ガス精製装置420に送出され、精製される。
【0057】
(合成ガス精製装置420)
図3に示すように、合成ガス精製装置420は、改質炉(酸化改質炉)210と、ボイラ212と、オイルスクラバ220と、ミストセパレータ222と、オイル送出部440とを含んで構成される。なお、上述したガス化炉416とともに、改質炉210、オイルスクラバ220、ミストセパレータ222は、すべて密閉構造となっており、外部からの空気の進入を防止している。これにより、合成ガスの純度低下を抑制することができる。
【0058】
なお、改質炉210、ボイラ212、オイルスクラバ220、ミストセパレータ222は、上述した第1の実施形態の改質炉210、ボイラ212、オイルスクラバ220、ミストセパレータ222と実質的に機能が等しいので同一の符号を付して重複説明を省略し、ここでは、機能の異なるオイル送出部440について詳述する。
【0059】
オイル送出部440は、洗浄後オイルY1、Y2をガス化炉416に送出する。これにより、ガス化炉416において、洗浄後オイルY1、Y2をガス化原料としてガス化することができる。また、洗浄後オイルY1、Y2には、水が含まれているが、この水をガス化炉416に導入することにより、従来から導入されている、ガス化原料をガス化するための水蒸気の量を減らすことができる。したがって、水蒸気を生成するための熱エネルギーを削減することが可能となる。
【0060】
さらに、オイル送出部440は、250℃〜550℃程度といった高温の洗浄後オイルY1、Y2をガス化炉416に送出するため、洗浄後オイルY1、Y2が有する熱を捨てることなく効率よく利用することができる。さらに、除去したタールをガス化原料として有効利用することが可能となる。
【0061】
(合成ガス生成方法)
続いて、合成ガス生成システム400を用いた合成ガス生成方法について説明する。
図4は、第2の実施形態にかかる合成ガス生成方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。ここで、ガス化炉416には、水蒸気(ガス化剤)が導入されている。
【0062】
なお、合成ガス生成工程S300、酸化改質工程S302、洗浄工程S304は、上述した第1の実施形態の合成ガス生成工程S300、酸化改質工程S302、洗浄工程S304と実質的に処理が等しいので同一の符号を付して重複説明を省略し、ここでは処理の異なるオイル送出工程S450について詳述する。
【0063】
オイルスクラバ220において生じた洗浄後オイルY1、ミストセパレータ222において生じた洗浄後オイルY2は、オイル送出部440によってガス化炉416に直接送出される(オイル送出工程S450)。こうすることで、ガス化炉416において、洗浄後オイルY1、Y2がガス化され、洗浄後オイルY1、Y2に含まれる水が水蒸気となり、ガス化剤の一部としてガス化原料(褐炭等の石炭や洗浄後オイルY1、Y2)をガス化することとなる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態にかかる合成ガス生成システム400およびこれを用いた合成ガス生成方法によれば、タールとの親和性が高いオイルで合成ガスX2、X3を洗浄することで、合成ガスX2、X3から効率よくタールを除去することができる。また、洗浄後オイルY1、Y2をガス化炉416に導入することで、洗浄後オイルY1、Y2が有する熱エネルギーを捨てることなく、有効利用することが可能となる。さらに、除去したタールをガス化原料として有効利用することができる。
【0065】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0066】
例えば、上述した第1の実施形態において、沈降分離部230を備える構成を例に挙げて説明したが、沈降分離部230は必須の構成ではなく、オイル送出部240は、洗浄後オイルY1、Y2を燃焼炉112およびガス化炉116に直接送出してもよい。
【0067】
また、上述した第1の実施形態において、オイル送出部240は、洗浄後オイルZ1を燃焼炉112およびガス化炉116に送出する構成について説明したが、オイル送出部240は、洗浄後オイルZ1を燃焼炉112およびガス化炉116のいずれか一方のみに送出してもよい。また、沈降分離部230を備えない場合、オイル送出部240は、洗浄後オイルY1、Y2を燃焼炉112およびガス化炉116のいずれか一方に直接送出してもよい。
【0068】
また、上述した第2の実施形態において、オイル送出部440は、洗浄後オイルY1、Y2をガス化炉416に直接送出しているが、沈降分離部230を設けておき、洗浄後オイルY1、Y2を沈降分離部230で貯留した後、オイル送出部440がガス化炉416に送出するとしてもよい。また、第2の実施形態において、沈降分離部230を備える場合、水送出部250を併せて設けておき、水送出部250が水Z2をガス化炉416に送出するとしてもよい。
【0069】
また、上述した実施形態において、オイル洗浄部として、オイルスクラバ220およびミストセパレータ222を例に挙げて説明したが、オイルスクラバ220およびミストセパレータ222のいずれか一方を備える構成としてもよい。
【0070】
また、上述した実施形態において、改質炉210、ボイラ212を備える構成を例に挙げて説明したが、改質炉210、ボイラ212は必須の構成ではない。例えば、
図5に示すように、合成ガス生成システム500を、合成ガス生成装置110と、合成ガス精製装置520とを含んで構成し、合成ガス精製装置520を、オイルスクラバ220と、ミストセパレータ222と、沈降分離部230と、オイル送出部240と、水送出部250とを含んで構成するとしてもよい。
【0071】
図5に示す合成ガス生成システム500のように、改質炉210を備えない場合、改質炉210を備える構成と比較して、オイルスクラバ220に導入される合成ガスX1にはタールが多く含まれている。したがって、洗浄後オイルY1、Y2には、タールが多く含まれることとなり、オイル送出部240によって、燃焼炉112、ガス化炉116に送出される洗浄後オイルZ1にもタールが多く含まれることとなる。これにより、燃焼炉112において、流動媒体を加熱するための燃料コストをさらに低減することができる。
【0072】
なお、ボイラ212を備えない場合、精製合成ガスX4を利用する機器の耐熱温度に応じて、ミストセパレータ222の後段に熱交換器(冷却器)やボイラを設けてもよい。さらに、ミストセパレータ222の後段に、水を噴霧するスプレー塔、水を噴霧するミストセパレータ、精製合成ガスX4を昇圧する昇圧器を備えるとしてもよい。
【0073】
また、上述した第2の実施形態において、改質炉210、ボイラ212を備える構成を例に挙げて説明したが、ボイラ212および加熱部418を設けずともよい。この場合、改質炉210の出口温度(改質炉210の下流側のX1の温度)は1000℃以上となるため、洗浄後オイルY1、Y2は合成ガスX1が有する1000℃程度の熱を回収することができる。したがって、ガス化炉416は、加熱部418を設けずとも、洗浄後オイルY1、Y2が回収した熱で流動媒体を加熱することが可能となる。
【0074】
なお、本明細書の合成ガス生成方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。