(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
日射量が急激に減少することによって、現時点の前記電流に特性上で対応する電圧が所定値以下となった場合は、前回の最大電力点における電圧を目標値として電圧制御を行い、その電圧に対応する電流から最大電力点に接近するよう電流制御を行う請求項1に記載の最大電力点追従制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来のMPPT制御では、日射量の変動を検知する電力の演算に電圧、電流の2要素が必要であり、それぞれに例えばスイッチングノイズが乗ると、電力の演算結果の誤差が大きくなる場合がある。そのような場合には、最大電力点近傍で日射量が変化しても電力変化を検知できず、新しい最大電力点を見つけるのが遅くなる。
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、ノイズの影響を受けにくく、日射量が変化しても迅速に最大電力点を捉えるMPPT制御を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、太陽光発電パネルの出力に基づいて、現時点での最大電力を引き出す最大電力点追従制御装置であって、前記太陽光発電パネルに接続された電力変換器と、前記電力変換器を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記電力変換器に流れる電流を変化させるステップ幅の大小により粗調整及び微調整が可能であって、粗調整で最大電力点に接近し、前記電流の変化に対する電圧の変化が閾値を超えると微調整で前記最大電力点を捉え、微調整で前記閾値を超えると粗調整に戻るように構成されているものである。
【0007】
上記のように構成された最大電力点追従制御装置では、粗調整/微調整の切替タイミングを、電圧の変化が閾値を超えるか否かのみによって判定することができる。すなわち、判定対象となる量が1つであるため、ノイズに影響されにくく、正確な判定が可能となる。従って、適時に、切替を行うことができる。また、日射量が一定であれば微調整に入ると電圧の変化は閾値を超えない状態となるが、日射量の変化により再び閾値を超えれば、粗調整に戻って日射量変化後の特性における最大電力点に素早く接近することができる。こうして、常に高速に、最大電力点を捉えることができる。
【0008】
(2)また、上記(1)の最大電力点追従制御装置において、日射量が急激に減少することによって、現時点の前記電流に特性上で対応する電圧が所定値以下となった場合は、前回の最大電力点における電圧を目標値として電圧制御を行い、その電圧に対応する電流から最大電力点に接近するよう電流制御を行うようにしてもよい。
日射量が急激に減少した場合、仮に、一から最大電力点追従制御のやり直しをすると、最大電力点への到達に時間がかかってしまう。しかし、このように前回の最大電力点の電圧になるよう電圧制御し、それに対応する電流から最大電力点に接近すれば、日射量が急激に減少した場合でも、より迅速に、最大電力点を捉えることができる。
【0009】
(3)また、本発明の太陽光発電システムは、太陽光発電パネルと、上記(1)の最大電力点追従装置とを備えたものである。
このような太陽光発電システムは、最大電力点追従性能に優れるので、発電効率が向上する。
【0010】
(4)一方、本発明は、太陽光発電パネルに接続された電力変換器を制御部によって制御することにより、現時点での最大電力を引き出す最大電力点追従制御方法であって、前記制御部は、前記電力変換器に流れる電流を変化させるステップ幅の大小により粗調整及び微調整が可能であって、粗調整で最大電力点に接近し、前記電流の変化に対する電圧の変化が閾値を超えると微調整で前記最大電力点を捉え、その一方、微調整で前記閾値を超えると粗調整に戻る、というものである。
【0011】
上記のような最大電力点追従制御方法では、粗調整/微調整の切替タイミングを、電圧の変化が閾値を超えるか否かのみによって判定することができる。すなわち、判定対象となる量が1つであるため、ノイズに影響されにくく、正確な判定が可能となる。従って、適時に、切替を行うことができる。また、日射量が一定であれば微調整に入ると電圧の変化は閾値を超えない状態となるが、日射量の変化により再び閾値を超えれば、粗調整に戻って日射量変化後の特性における最大電力点に素早く接近することができる。こうして、常に高速に、最大電力点を捉えることができる。
【0012】
(5)一方、本発明は、太陽光発電パネルの出力に基づいて、現時点での最大電力を引き出す最大電力点追従制御装置であって、前記太陽光発電パネルに接続された電力変換器と、前記電力変換器を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記電力変換器への入力電圧を変化させるステップ幅の大小により粗調整及び微調整が可能であって、粗調整で最大電力点に接近し、前記入力電圧の変化に対する電流の変化が閾値を超えると微調整で前記最大電力点を捉え、微調整で前記閾値を超えると粗調整に戻るように構成されているものである。
【0013】
上記のように構成された最大電力点追従制御装置では、粗調整/微調整の切替タイミングを、電流の変化が閾値を超えるか否かのみによって判定することができる。すなわち、判定対象となる量が1つであるため、ノイズに影響されにくく、正確な判定が可能となる。従って、適時に、切替を行うことができる。また、日射量が一定であれば微調整に入ると電流の変化は閾値を超えない状態となるが、日射量の変化により再び閾値を超えれば、粗調整に戻って日射量変化後の特性における最大電力点に素早く接近することができる。こうして、常に高速に、最大電力点を捉えることができる。
【0014】
(6)また、本発明の太陽光発電システムは、太陽光発電パネルと、上記(5)の最大電力点追従装置とを備えたものである。
このような太陽光発電システムは、最大電力点追従性能に優れるので、発電効率が向上する。
【0015】
(7)また、本発明は、太陽光発電パネルに接続された電力変換器を制御部によって制御することにより、現時点での最大電力を引き出す最大電力点追従制御方法であって、前記制御部は、前記電力変換器への入力電圧を変化させるステップ幅の大小により粗調整及び微調整が可能であって、粗調整で最大電力点に接近し、前記入力電圧の変化に対する電流の変化が閾値を超えると微調整で前記最大電力点を捉え、その一方、微調整で前記閾値を超えると粗調整に戻る、というものである。
【0016】
上記(7)のような最大電力点追従制御方法では、粗調整/微調整の切替タイミングを、電流の変化が閾値を超えるか否かのみによって判定することができる。すなわち、判定対象となる量が1つであるため、ノイズに影響されにくく、正確な判定が可能となる。従って、適時に、切替を行うことができる。また、日射量が一定であれば微調整に入ると電流の変化は閾値を超えない状態となるが、日射量の変化により再び閾値を超えれば、粗調整に戻って日射量変化後の特性における最大電力点に素早く接近することができる。こうして、常に高速に、最大電力点を捉えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の最大電力点追従制御装置及び最大電力点追従制御方法によれば、ノイズの影響を受けにくく、日射量が変化しても迅速に最大電力点を捉えるMPPT制御を実現することができる。また、このような最大電力点追従制御装置を太陽光発電システムに備えれば、発電効率の向上に寄与する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る最大電力点追従制御装置10を含む、太陽光発電システム100の接続図である。図において、太陽光発電システム100は、太陽光発電パネル1から、電力変換器としてのDC/DCコンバータ2及び直流から交流への変換を行うインバータ3を介して、負荷4に電力を供給することができる。
【0020】
DC/DCコンバータ2及びインバータ3のスイッチング制御は、制御部5により行われる。太陽光発電パネル1の出力する電圧、すなわち、DC/DCコンバータ2への入力電圧は、電圧の情報として制御部5に入力される。また、太陽光発電パネル1の出力する電流、すなわち、DC/DCコンバータ2への入力電流は、電流センサ6によって検知され、電流の情報として制御部5に入力される。
【0021】
《電流制御によるMPPT制御》
図2は、制御部5により実行されるMPPT制御の動作(最大電力点追従制御方法でもある。)を示すフローチャートである。まず、制御部5は、入力されている電圧と電流とに基づいて現時点の電力Pを算出し(ステップS1)、カウンタ加算を行う(ステップS2)。このカウンタは、後で平均をとるために求めた電力Pの個数をカウントしている。次に、制御部5は、カウンタのカウント値が所定値であるか否かを判定する(ステップS3)。ここで、例えば所定値であるとすると、制御部5は、所定値の個数の電力Pについて、それらの平均値P
ave(I
i)を求める(ステップS4)。
【0022】
次に、制御部5は、平均値P
ave(I
i)が、これまでに記憶している最大値P
maxより大きいか否かの判定を行う(ステップS5)。ここで、例えば平均値P
ave(I
i)が、最大値P
maxより大きいとすると、最大値P
maxを、最新の平均値P
ave(I
i)に更新する(ステップS6)。続いて制御部5は、フラグ(Flag_on)が0であるか否かをチェックする(ステップS7)。このフラグとは、方向の履歴を見るためのもので、0であれば直前の電流は増加方向であり、0でなければ直前の電流は減少方向である。そこで、0であれば、制御部5は、次の電流I
i+1をステップ幅dIで加算処理する(ステップS15)。また、0でなければ、制御部5は、次の電流I
i+1をステップ幅dIで減算処理する(ステップS8)。ステップ幅dIの値は大小2種類あり、大きな値のときは粗調整、小さな値のときは微調整となる。
【0023】
一方、ステップS5において、平均値P
ave(I
i)が、最大値P
max以下であるとすると、最大値P
maxを、直前の値(P
max)のままとする(ステップS10)。続いて制御部5は、平均値P
ave(I
i)が、P
maxに対して明らかに小さいのか、僅かな変動程度なのかを見るために、最大値P
maxに係数K
R(例えば0.98)を乗じた値よりも平均値P
ave(I
i)の方が小さいかどうかを判定する(ステップS11)。この判定結果がイエスであれば、最大電力点を通り過ぎたと解されるので、電流変化の方向反転となり(ステップS13)、ノーであれば方向維持(ステップS12)となる。続いて制御部5は、フラグ(Flag_on)が0であるか否かをチェックする(ステップS14)。0であれば、制御部5は、次の電流I
i+1をステップ幅dIで加算処理する(ステップS15)。また、0でなければ、制御部5は、次の電流I
i+1をステップ幅dIで減算処理する(ステップS8)。
【0024】
次に、制御部5は、太陽光発電パネル1の出力する電圧(PV電圧と表記)の変化量が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS9)。ここで、閾値未満であれば、処理はステップS1に戻る。閾値以上であれば、制御部5は、変化量が閾値を大きく上回る急減のレベルであるか否かにより日射量が急減したか否かを判定する(ステップS16)。急減でなければ、制御部5は、粗調整中であるか微調整中であるかを判定する(ステップS17)。ステップ幅dIが大きな方の値であるときは粗調整中であり、このとき制御部5は、ステップ幅dIを小さい方の値とする(ステップS18)。ステップ幅dIが小さな方の値であるとき、すなわち、微調整中であるときは、制御部5は、ステップ幅dIを大きな方の値とする(ステップS19)。
【0025】
一方、ステップS9において、変化量が閾値未満であれば、処理はステップS1に戻る。また、ステップS3においてカウンタが所定値に達しないときは、ステップS9に進み、制御部5は、太陽光発電パネル1の出力する電圧の変化量が閾値以上であるか否かを判定する。ここで、閾値未満であれば、処理はステップS1に戻る。ステップS9において電圧の変化量が閾値以上であれば、上述の、ステップS16〜S19の処理が行われる。なお、ステップS16からステップS20へ行く処理については後述する。
次に、フローチャートとグラフとを対照しながら具体的に説明する。
【0026】
図3は、ある一定の日射量において、太陽光発電パネル1から引き出すことができる出力を、電圧と電流との関係で示すグラフである。なお、電圧及び電流は、それぞれ、DC/DCコンバータ2に対する入力電圧及び入力電流(DC/DCコンバータ2に流れる電流)でもある。例えば、電流I
1のとき電圧はV
1となり、電流I
2のとき電圧はV
2となる。仮に最大電力点をPとすると、最大電力はV
P・I
Pである。DC/DCコンバータ2のスイッチングを制御(PWM制御)することにより電流を0から徐々に一定のステップ幅dIで上げていくと、dIに対する電圧の変化量dVは、徐々に増していく。最初は粗調整で、dIの値は大きい方に設定する。そして、最大電力点Pにある程度近づいたと推定される位置における変化量dV
thを閾値として設定する。この閾値は、主として経験値に基づくものである。そして、電圧の変化量が閾値以上になると(ステップS9)、電流のステップ幅dIを小さい方に設定し、微調整の状態とする(ステップS18)。
【0027】
日射量が一定であれば、微調整に入ると、dIに対する電圧の変化量dVが閾値を超えなくなり、微調整の状態が維持される。そして、最大電力点を通過すると方向反転して戻り、戻りすぎるとまた方向反転するという処理を繰り返す(ステップS1〜S15)。これにより、最大電力点から離れることなく、最大電力点を行き来するように制御される。こうして、実質的に、最大電力点を捉えた状態が維持される。
【0028】
一方、
図4は、二点鎖線で示すグラフから日射量が少し変化した場合のグラフであり、(a)は日射量が増加した場合を、(b)は日射量が減少した場合を、それぞれ示している。(a)において、二点鎖線上の電流I
2、電圧V
2の位置から実線で示す特性に変わると、電流I
2、電圧V
xの位置となり、電圧の変化量(V
x−V
2)が閾値以上になる。従って、MPPT制御は、微調整から粗調整に変わる(ステップS9,S17,S19)。こうして、新たな特性上で、粗調整によって高速に最大電力点に近づく。そして、再び電圧の変化量が閾値以上になると、MPPT制御は、微調整に変わる(ステップS9,S17,S18)。
【0029】
図4の(b)の場合には、二点鎖線上の電流I
2、電圧V
2の位置から実線で示す特性に変わると、電流I
2、電圧V
yの位置となり、電圧の変化量(V
2−V
y)が閾値以上になる。従って、MPPT制御は、微調整から粗調整に変わる(ステップS9,S17,S19)。こうして、新たな特性上で、粗調整によって高速に最大電力点に近づく。そして、再び電圧の変化量が閾値以上になると、MPPT制御は、微調整に変わる(ステップS9,S17,S18)。
【0030】
以上のように、上記の最大電力点追従制御装置(又は制御方法)では、粗調整/微調整の切替タイミングを、電圧の変化が閾値を超えるか否かのみによって判定することができる。すなわち、判定対象となる量が1つであるため、ノイズに影響されにくく、正確な判定が可能となる。従って、適時に、切替を行うことができる。
【0031】
また、日射量が一定であれば、MPPT制御が微調整に入ると電圧の変化は閾値を超えない状態となるが、日射量の変化により再び閾値を超えれば、MPPT制御は粗調整に戻って日射量変化後の特性における最大電力点に素早く接近することができる。こうして、常に高速に、最大電力点を捉えることができる。
また、このような最大電力点追従装置10を搭載した太陽光発電システム100は、最大電力点追従性能に優れるので、発電効率が向上する。
【0032】
図5は、日射量が急激に減少した場合のグラフである。図において、直前の位置が例えば電流I
2,電圧V
2で、ほぼ最大電力点であったとすると、日射量の急減により、新たなグラフ上では電流I
2に対応する電圧の値が存在せず、電圧は0になる。そこで、このように、日射量が急激に減少することによって、現時点の電流に、特性上で対応する電圧が所定値以下(例えば0)となった場合は、前回の最大電力点における電圧を目標値として電圧制御を行い(ステップS20)、その電圧に対応する電流I
zから最大電力点に接近するよう電流制御を行う。
【0033】
日射量が急激に減少した場合、仮に、一からMPPT制御のやり直しをするとなると、最大電力点への到達に時間がかかってしまう。しかし、このように前回の最大電力点の電圧になるよう電圧制御し、それに対応する電流から最大電力点に接近すれば、日射量が急激に減少した場合でも、より迅速に、最大電力点を捉えることができる。
【0034】
《電圧制御によるMPPT制御》
次に、上記とは別の、電圧制御によるMPPT制御について、
図6及び
図7を参照して説明する。
図6は、制御部5により実行されるMPPT制御の動作(最大電力点追従制御方法でもある。)を示すフローチャートである。まず、制御部5は、入力されている電圧と電流とに基づいて現時点の電力Pを算出し(ステップS1)、カウンタ加算を行う(ステップS2)。このカウンタは、後で平均をとるために求めた電力Pの個数をカウントしている。次に、制御部5は、カウンタのカウント値が所定値であるか否かを判定する(ステップS3)。ここで、例えば所定値であるとすると、制御部5は、所定値の個数の電力Pについて、それらの平均値P
ave(V
i)を求める(ステップS4)。
【0035】
次に、制御部5は、平均値P
ave(V
i)が、これまでに記憶している最大値P
maxより大きいか否かの判定を行う(ステップS5)。ここで、例えば平均値P
ave(V
i)が、最大値P
maxより大きいとすると、最大値P
maxを、最新の平均値P
ave(V
i)に更新する(ステップS6)。続いて制御部5は、フラグ(Flag_on)が0であるか否かをチェックする(ステップS7)。このフラグとは、方向の履歴を見るためのもので、0であれば直前の電圧は増加方向であり、0でなければ直前の電圧は減少方向である。そこで、0であれば、制御部5は、次の電圧V
i+1をステップ幅dVで加算処理する(ステップS15)。また、0でなければ、制御部5は、次の電圧V
i+1をステップ幅dVで減算処理する(ステップS8)。ステップ幅dVの値は大小2種類あり、大きな値のときは粗調整、小さな値のときは微調整となる。
【0036】
一方、ステップS5において、平均値P
ave(V
i)が、最大値P
max以下であるとすると、最大値P
maxを、直前の値(P
max)のままとする(ステップS10)。続いて制御部5は、平均値P
ave(V
i)が、P
maxに対して明らかに小さいのか、僅かな変動程度なのかを見るために、最大値P
maxに係数K
R(例えば0.98)を乗じた値よりも平均値P
ave(V
i)の方が小さいかどうかを判定する(ステップS11)。この判定結果がイエスであれば、最大電力点を通り過ぎたと解されるので、電圧変化の方向反転となり(ステップS13)、ノーであれば方向維持(ステップS12)となる。続いて制御部5は、フラグ(Flag_on)が0であるか否かをチェックする(ステップS14)。0であれば、制御部5は、次の電圧V
i+1をステップ幅dVで加算処理する(ステップS15)。また、0でなければ、制御部5は、次の電圧V
i+1をステップ幅dVで減算処理する(ステップS8)。
【0037】
次に、制御部5は、太陽光発電パネル1の出力する電流の変化量が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS9)。ここで、閾値未満であれば、処理はステップS1に戻る。閾値以上であれば、制御部5は、粗調整中であるか微調整中であるかを判定する(ステップS17)。ステップ幅dVが大きな方の値であるときは粗調整中であり、このとき制御部5は、ステップ幅dVを小さい方の値とする(ステップS18)。ステップ幅dVが小さな方の値であるとき、すなわち、微調整中であるときは、制御部5は、ステップ幅dVを大きな方の値とする(ステップS19)。
【0038】
一方、ステップS9において、変化量が閾値未満であれば、処理はステップS1に戻る。また、ステップS3においてカウンタが所定値に達しないときは、ステップS9に進み、制御部5は、太陽光発電パネル1の出力する電流の変化量が閾値以上であるか否かを判定する。ここで、閾値未満であれば、処理はステップS1に戻る。ステップS9において電流の変化量が閾値以上であれば、上述の、ステップS17〜S19の処理が行われる。
次に、フローチャートとグラフとを対照しながら具体的に説明する。
【0039】
図3(電流制御の場合と同じ図)は、ある一定の日射量において、太陽光発電パネル1から引き出すことができる出力を、電圧と電流との関係で示すグラフである。なお、電圧及び電流は、それぞれ、DC/DCコンバータ2に対する入力電圧及び入力電流(DC/DCコンバータ2に流れる電流)でもある。例えば、電圧V
1のとき電流はI
1となり、電圧V
2のとき電流はI
2となる。仮に最大電力点をPとすると、最大電力はV
P・I
Pである。DC/DCコンバータ2のスイッチングを制御(PWM制御)することにより電圧を0から徐々に一定のステップ幅dVで上げていくと、dVに対する電流の変化量dIは、徐々に増していく。最初は粗調整で、dVの値は大きい方に設定する。そして、最大電力点Pにある程度近づいたと推定される位置における変化量dI
thを閾値として設定する。この閾値は、主として経験値に基づくものである。そして、電流の変化量が閾値以上になると(ステップS9)、電圧のステップ幅dVを小さい方に設定し、微調整の状態とする(ステップS18)。
【0040】
日射量が一定であれば、微調整に入ると、dVに対する電流の変化量dIが閾値を超えなくなり、微調整の状態が維持される。そして、最大電力点を通過すると方向反転して戻り、戻りすぎるとまた方向反転するという処理を繰り返す(ステップS1〜S15)。これにより、最大電力点から離れることなく、最大電力点を行き来するように制御される。こうして、実質的に、最大電力点を捉えた状態が維持される。
【0041】
一方、
図7は、二点鎖線で示すグラフから日射量が少し変化した場合のグラフであり、(a)は日射量が増加した場合を、(b)は日射量が減少した場合を、それぞれ示している。(a)において、二点鎖線上の電圧V
2、電流I
2の位置から実線で示す特性に変わると、電圧V
2、電流I
xの位置となり、電流の変化量(I
x−I
2)が閾値以上になる。従って、MPPT制御は、微調整から粗調整に変わる(ステップS9,S17,S19)。こうして、新たな特性上で、粗調整によって高速に最大電力点に近づく。そして、再び電流の変化量が閾値以上になると、MPPT制御は、微調整に変わる(ステップS9,S17,S18)。
【0042】
図7の(b)の場合には、二点鎖線上の電圧V
2、電流I
2の位置から実線で示す特性に変わると、電圧V
2、電流I
yの位置となり、電流の変化量(I
2−I
y)が閾値以上になる。従って、MPPT制御は、微調整から粗調整に変わる(ステップS9,S17,S19)。こうして、新たな特性上で、粗調整によって高速に最大電力点に近づく。そして、再び電圧の変化量が閾値以上になると、MPPT制御は、微調整に変わる(ステップS9,S17,S18)。
【0043】
以上のように、上記の最大電力点追従制御装置(又は制御方法)では、粗調整/微調整の切替タイミングを、電流の変化が閾値を超えるか否かのみによって判定することができる。すなわち、判定対象となる量が1つであるため、ノイズに影響されにくく、正確な判定が可能となる。従って、適時に、切替を行うことができる。
【0044】
また、日射量が一定であれば、MPPT制御が微調整に入ると電流の変化は閾値を超えない状態となるが、日射量の変化により再び閾値を超えれば、MPPT制御は粗調整に戻って日射量変化後の特性における最大電力点に素早く接近することができる。こうして、常に高速に、最大電力点を捉えることができる。
また、このような最大電力点追従装置10を搭載した太陽光発電システム100は、最大電力点追従性能に優れるので、発電効率が向上する。
【0045】
なお、上記のような電圧制御によれば、日射量が急激に減少したとき(
図5参照。)、電流の変化量より電圧の変化量は小さいため、電圧軸で見て最大電力点から離れる量が、電流軸で見て最大電力点から離れる量よりも少ない。従って、最大電力点への再接近の速度を、電流制御の場合よりも速くすることができる。
【0046】
なお、上記実施形態において、
図1における制御部5は、DC/DCコンバータ2とは別の独立した存在であるが、見かけ上の形態としては、DC/DCコンバータ2と一体化することも可能である。また、
図1では、制御部5がインバータ3の制御も行う例を示したが、インバータ制御には別途、専用の制御部を設けてもよい。
【0047】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。