(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基準面は、前記入射面に対する前記光信号の入射角が前記入射面における前記光信号の屈折角よりも大きい場合、前記入射角と前記屈折角との差の角度で前記基準軸から傾斜するように、前記入射面から前記出射面に向けて延びている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光送信モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
波長選択フィルタに入射する光の入射位置と入射角度のうち、波長選択フィルタがその機能を果たす範囲を、波長選択フィルタのアパーチャとすると、アパーチャは、波長選択フィルタの形状によって、制限される場合がある。また、アパーチャを透過するためには、入射光の入射角度が大きいと入射位置は厳しく制限されてその位置ずれ許容量は小さくなり、逆にほぼ垂直に入射する場合には入射位置の位置ずれ許容量は大きくなる。例えば、波長選択フィルタの実装面の上から見た波長選択フィルタの形状が長方形であって、波長選択フィルタの入射面(長方形の長辺)が入射光に対し傾斜している場合、波長選択フィルタの入射面における入射光の入射位置の許容範囲は、たとえ入射面が大きな波長選択フィルタを用意しても、波長選択フィルタ内を光が斜めに進むため、その入射面を有効に活用することはできず、入射面や出射面の大きさに比較して、入射光の入射位置の許容ズレ量は小さい。入射位置の許容範囲が小さいほど、波長選択フィルタの調心代を十分に確保することは、困難となる。
【0005】
波長選択フィルタの実装面の上から見た波長選択フィルタの形状が長方形の場合に、波長選択フィルタの入射面に対する入射光の位置ずれ許容量を大きくするには、例えば、実装面の上から見た波長選択フィルタの厚みを減らす(長方形の短辺を低減する)、ことがある。しかし、波長選択フィルタの厚みを減らすと、波長選択フィルタの剛性が低下するので、波長選択フィルタに設けられたWDMフィルタ(WDM:Wavelength Division Multiplexing)の内部応力によって、波長選択フィルタの本体のフィルタガラスが変形(湾曲)する場合があり、波長選択フィルタの光特性(特に反射光に対する光特性)は、劣化する。
【0006】
また、波長選択フィルタの実装面の上から見た波長選択フィルタの形状が長方形の場合に、波長選択フィルタの入射面に対する入射光の位置ずれ許容量を大きくするには、例えば、キューブ状の波長選択フィルタ(PBS)を用いることが、ある。しかし、キューブ状のPBSの場合、入射面と45度の角度を成す斜面に誘電体多層膜を形成した三角柱の部分と、別途用意した三角柱の部品を斜面で貼付して組み立てるため、研磨が必要な光の入射面と、研磨が必要な光の出射面と、誘電体多層膜が形成されて接着される面の、合計で3面以上となり、比較的に多い。このように、研磨の必要な面が比較的に多い場合、加工に手間がかかる。更に、キューブ状のPBSは、部品単価が高い。更に、キューブ状のPBSの場合、入射面及び出射面は、光の進行路に対し垂直に配置されるので、入射光及び出射光を反射する場合がある。キューブ状のPBSを用いた場合、このような反射光の考慮が必要になるので、装置構成が複雑になり、コスト高となる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記の事項を鑑みてなされたものであり、製造コストを低減できる光送信モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光送信モジュールは、光源と波長選択フィルタとを備え、前記光源と前記波長選択フィルタとは、基板の実装面に設けられ、前記光源と前記波長選択フィルタとは、基準軸に沿って設けられ、前記基準軸は、前記実装面に平行に、前記基板の第1の端部から第2の端部に延びており、前記光源は、前記基準軸に沿って光信号を出射し、前記波長選択フィルタは、入射面と出射面と第1の側面と第2の側面とを備え、前記波長選択フィルタは、前記光信号の波長を含み予め設定された波長範囲にある波長の光を透過し、前記波長選択フィルタは、前記光源から前記光信号を受けると、前記光信号を前記基準軸に沿って出射し、前記入射面は、第1の端と第2の端とを備え、前記入射面は、前記実装面に垂直であり、前記入射面は、前記基準軸に垂直な面から傾斜し、前記入射面は、前記光信号を受け、前記出射面は、第3の端と第4の端とを備え、前記出射面は、前記入射面に沿って延び、前記出射面は、前記波長選択フィルタを透過した後の前記光信号を前記基準軸に沿って出射し、前記第1の側面は、前記第1の端と前記第3の端との間に延在し、前記第2の側面は、前記第2の端と前記第4の端との間に延在し、前記第1の側面と前記第2の側面とは、何れも、基準面に沿って延び、前記基準面は、前記実装面に垂直であり、前記基準面は、前記入射面に入射した前記光信号の屈折方向に沿って延び、前記光信号は、前記光源から前記入射面に入射した後に、前記波長選択フィルタを透過し、前記出射面から前記基準軸に沿って出射される、ことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1の側面と第2の側面91dとが、入射面に入射した光信号の屈折方向に沿って延びているので、従来のように側面が入射面に垂直に延びている場合に比較して、波長選択フィルタのアパーチャが広い。換言すれば、一定のアパーチャを実現するために必要な波長選択フィルタの形状、具体的には、実装面の上から見た波長選択フィルタの表面の面積は、従来のように側面が入射面に垂直に延びている場合に比較して、低減される。従って、波長選択フィルタを用いれば、波長選択フィルタの形状をコンパクトにできるので、限られた面積の実装面を、有効に利用できる。また、従来に比較してコンパクトな形状の波長選択フィルタを用いれば、波長選択フィルタの実装面に配置する作業が容易となり、よって、光送信モジュールの製造コストを低減できる。また、アパーチャは、基準軸に沿った波長選択フィルタの厚み(入射面と出射面との間隔)によらないので、一定のアパーチャを確保しつつ波長選択フィルタの剛性も十分に確保できるように、波長選択フィルタは、基準軸に沿った厚みを備えることができる。また、波長選択フィルタの場合、研磨の必要な面は、入射面と出射面との二面なので、三面以上の研磨が必要となる従来のキューブ状のPBSに比較して、実装に手間がかからず、よって、光送信モジュールの製造コストを低減できる。
【0010】
本発明において、前記基準面は、前記入射面に対する前記光信号の入射角が前記入射面における前記光信号の屈折角よりも大きい場合、前記入射角と前記屈折角との差の角度で前記基準軸から傾斜するように、前記入射面から前記出射面に向けて延びている。従って、側面の傾きは、光信号の入射角と屈折角とによって、規定できる。
【0011】
本発明では、前記波長選択フィルタを含む複数の光素子を備え、前記複数の光素子は、前記実装面に設けられ、前記実装面には、複数の溝が設けられ、前記複数の溝のそれぞれは、前記複数の光素子の何れかにほぼ接している。このように、光素子にほぼ接するように溝が実装面に設けられているので、樹脂を用いて光素子を実装面に固定する場合、余剰の樹脂が溝に流れ込むので、余剰の樹脂が光学素子に流れることを、回避できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製造コストを低減できる光送信モジュールを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、可能な場合には、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、実施形態に係る光送信モジュール1の構成を示す図である。光送信モジュール1は、波長分割多重通信に用いられる光送信モジュールである。光送信モジュール1は、一例として、四波集積光送信モジュールである。光送信モジュール1は、パッケージ2と、基板3と、回路部4と、光出射部5と、光合波部6と、を備える。パッケージ2は、パッケージ2の内側に、基板3と回路部4と光出射部5と光合波部6とを収容する。基板3と回路部4とは、基準軸Axの方向に沿って、設けられている。基準軸Axは、基板3の実装面3aに平行に延びている。基準軸Axは、基板3の端部1a(第1の端部)から基板3の端部1b(第2の端部)に延びている。光出射部5と光合波部6とは、実装面3aに設けられている。光出射部5と光合波部6とは、基準軸Axに沿って、設けられている。光出射部5は、基板3の端部1bの側に設けられている。光合波部6は、基板3の端部1aの側に設けられている。
図1〜3,5に、x軸、y軸、z軸を備える直交座標系OSが記載されている。基準軸Axは、x軸に平行である。実装面3aは、xy面に沿って延びている。光源71〜74、光反射板8、波長選択フィルタ91,92、偏波回転部品10、光サブアセンブリ11は、実装面3aにおいて、z軸方向(実装面3aの法線方向)に向けて、立てられている。
【0015】
光出射部5は、光源71〜74と、光反射板8と、波長選択フィルタ91,92と、偏波回転部品10とを備える。光源71〜74と、光反射板8と、波長選択フィルタ91,92と、偏波回転部品10とは、実装面3aに設けられている。光源71〜74と、光反射板8と、波長選択フィルタ91,92と、偏波回転部品10とのそれぞれは、光素子である。光源71〜74は、基板3の端部1bの側(回路部4の側)に設けられている。偏波回転部品10は、基板3の端部1aの側(光合波部6の側)に設けられている。光反射板8と、波長選択フィルタ91,92とは、光源71〜74と、偏波回転部品10との間に設けられている。光合波部6は、光サブアセンブリ11を備える。光サブアセンブリ11は、実装面3aに設けられている。光サブアセンブリ11は、光素子である。光サブアセンブリ11は、偏波回転部品10とスリーブ12との間に設けられている。
【0016】
光源71は、光源装置71aと光学レンズ71bとを備える。光源71は、基準軸Axに沿って(光路L1aに)、光信号S1aを出射する。光源装置71aは、例えば半導体レーザである。光源装置71aは、p偏光の光信号を出力する。光源装置71aから出射される光信号は、例えば1295.56nmの中心波長(以下、波長λ1という)を備える。光源装置71aは、回路部4に電気的に接続されている。光源装置71aは、回路部4からの電気信号に応じて、光信号を出力する。光学レンズ71bは、コリメーとレンズである。光学レンズ71bは、光源装置71aから出力される光信号をコリメートし、光信号S1aとして、光路L1aに出射する。光路L1aは、基準軸Axに沿って延びている。光信号S1aは、p偏光である。光信号S1aの中心波長は、波長λ1である。
【0017】
光源72は、光源装置72aと光学レンズ72bとを備える。光源72は、基準軸Axに沿って(光路L2aに)、光信号S2aを出射する。光源装置72aは、例えば半導体レーザである。光源装置72aは、p偏光の光信号を出力する。光源装置72aから出射される光信号は、例えば1300.05nmの中心波長(以下、波長λ2という)を備える。光源装置72aは、回路部4に電気的に接続されている。光源装置72aは、回路部4からの電気信号に応じて、光信号を出力する。光学レンズ72bは、コリメーとレンズである。光学レンズ72bは、光源装置72aから出力される光信号をコリメートし、光信号S2aとして、光路L2aに出射する。光路L2aは、基準軸Axに沿って延びている。光信号S2aは、p偏光である。光信号S2aの中心波長は、波長λ2である。
【0018】
光源73は、光源装置73aと光学レンズ73bとを備える。光源73は、基準軸Axに沿って(光路L3aに)、光信号S3aを出射する。光源装置73aは、例えば半導体レーザである。光源装置73aは、p偏光の光信号を出力する。光源装置73aから出射される光信号は、例えば1304.58nmの中心波長(以下、波長λ3という)を備える。光源装置73aは、回路部4に電気的に接続されている。光源装置73aは、回路部4からの電気信号に応じて、光信号を出力する。光学レンズ73bは、コリメーとレンズである。光学レンズ73bは、光源装置73aから出力される光信号をコリメートし、光信号S3aとして、光路L3aに出射する。光路L3aは、基準軸Axに沿って延びている。光信号S3aは、p偏光である。光信号S3aの中心波長は、波長λ3である。
【0019】
光源74は、光源装置74aと光学レンズ74bとを備える。光源74は、基準軸Axに沿って(光路L4aに)、光信号S4aを出射する。光源装置74aは、例えば半導体レーザである。光源装置74aは、p偏光の光信号を出力する。光源装置74aから出射される光信号は、例えば1309.14nmの中心波長(以下、波長λ4という)を備える。光源装置74aは、回路部4に電気的に接続されている。光源装置74aは、回路部4からの電気信号に応じて、光信号を出力する。光学レンズ74bは、コリメートレンズである。光学レンズ74bは、光源装置74aから出力される光信号をコリメートし、光信号S4aとして、光路L4aに出射する。光路L4aは、基準軸Axに沿って延びている。光信号S4aは、p偏光である。光信号S4aの中心波長は、波長λ4である。
【0020】
波長選択フィルタ91は、光路L1aの上に設けられている。光源71と波長選択フィルタ91とは、基準軸Axに沿って(光路L1aの上に)、設けられている。波長選択フィルタ91は、入射面91aと、出射面91bと、側面91cと、側面91dと、フィルタガラス911と、WDMフィルタ912とを備える。波長選択フィルタ91は、光信号S1aの波長を含み予め設定された波長範囲にある波長の光(すなわち、光信号S1aの波長λ1を含み光信号S2aの波長λ2と光信号S3aの波長λ3と光信号S4aの波長λ4とを含まない波長範囲にある波長の光)を、透過する(
図4の(A)部を参照)。波長選択フィルタ91は、光源71から光信号S1aを受けると、光信号S1aを透過し、光信号S1aを、出射面91bから基準軸Axに沿って(光路L1bに)、出射する。光路L1bは、基準軸Axに沿って延びている。入射面91aは、フィルタガラス911の面である。入射面91aは、光信号S1aを受ける。光信号S1aは、光路L1aから入射面91aを介して波長選択フィルタ91に入射する。出射面91bは、WDMフィルタ912の面である。光信号S1aは、フィルタガラス911とWDMフィルタ912とを透過し、出射面91bから、光路L1bに出射される。フィルタガラス911は、入射面91aの側に設けられ、WDMフィルタ912は、出射面91bの側に設けられている。波長選択フィルタ91は、光路L3bから出射面91bに入射する光信号S3aを、出射面91bにおいて光路L1bに向けて反射する。光信号S1bは、波長選択フィルタ91から出射面91bを介して光路L1bに出射される。光信号S1bは、波長選択フィルタ91を透過した光信号S1aと、出射面91bにおいて反射された光信号S3aとの合波である。光信号S1bは、p偏光である。
【0021】
波長選択フィルタ92は、光路L2aの上に設けられている。光源72と波長選択フィルタ92とは、基準軸Axに沿って(光路L2aの上に)、設けられている。波長選択フィルタ92は、入射面92aと、出射面92bと、側面92cと、側面92dと、フィルタガラス921と、WDMフィルタ922とを備える。波長選択フィルタ92は、光信号S2aの波長を含み予め設定された波長範囲にある波長の光(すなわち、光信号S1aの波長λ1と光信号S2aの波長λ2とを含み光信号S3aの波長λ3と光信号S4aの波長λ4とを含まない波長範囲にある波長の光)を、透過する(
図4の(B)部を参照)。波長選択フィルタ92は、光源72から光信号S2aを受けると、光信号S2aを透過し、光信号S2aを、出射面92bから基準軸Axに沿って(光路L2bに)、出射する。光路L2bは、基準軸Axに沿って延びている。入射面92aは、フィルタガラス921の面である。入射面92aは、光信号S2aを受ける。光信号S2aは、光路L2aから入射面92aを介して波長選択フィルタ92に入射する。出射面92bは、WDMフィルタ922の面である。光信号S2aは、フィルタガラス921とWDMフィルタ922とを透過し、出射面92bから、光路L2bに出射される。フィルタガラス921は、入射面92aの側に設けられ、WDMフィルタ922は、出射面92bの側に設けられている。波長選択フィルタ92は、光路L4bから出射面92bに入射する光信号S4aを、出射面92bにおいて光路L2bに向けて反射する。光信号S2bは、波長選択フィルタ92から出射面92bを介して光路L2bに出射される。光信号S2bは、波長選択フィルタ92を透過した光信号S2aと、出射面92bにおいて反射された光信号S4aとの合波である。光信号S2bは、p偏光である。
【0022】
図2を参照して、波長選択フィルタ91の構成を詳細に説明する。波長選択フィルタ92は、
図4の(A)部と
図4の(B)部とに示す光学特性を除いて、波長選択フィルタ91と同様の構成を備える。
【0023】
波長選択フィルタ91は、入射面91aと出射面91bと側面91c(第1の側面)と側面91d(第2の側面)とを備える。入射面91aは、端91a1(第1の端)と端91a2(第2の端)とを備える。入射面91aは、実装面3aに垂直である。入射面91aは、基準軸Axに垂直な基準面SF2から傾斜している。入射面91aは、光信号S1aを受ける。出射面91bは、端91b1(第3の端)と端91b2(第4の端)とを備える。出射面91bは、入射面91aに沿って延びている。出射面91bは、波長選択フィルタ91を透過した後の光信号S1aを、基準軸Axに沿って(光路L1bに)、出射する。光信号S1aは、光源71から入射面91aに入射した後に、波長選択フィルタ91を透過し、出射面91bから基準軸Axに沿って(光路L1bに)、出射される。
図1及び
図2に示す光信号S1bは、出射面91bから出射される。光信号S1bは、波長選択フィルタ91を透過した後の光信号S1aと、出射面91bによって反射された光信号S3aとの合波である。
【0024】
側面91cは、端91a1と端91b1との間に延在する。側面91dは、端91a2と端91b2との間に延在する。側面91cと側面91dとは、何れも、基準面SF1に沿って延びる。基準面SF1は、実装面3aに垂直である。基準面SF1は、光路L1abに沿って延びる。光路L1abは、入射面91aに入射した光信号S1aが入射面91aにおいて屈折した後に、フィルタガラス911の内部を進む光路である。光路L1abは、入射面91aにおける光信号S1aの屈折方向に対応する。
【0025】
基準面SF1は、例えば入射面91aに対する光信号S1aの入射角αが入射面91aにおける光信号S1aの屈折角βよりも大きい場合、入射角αと屈折角βとの差の傾斜角γ(γ=α−β)で基準軸Axから傾斜するように、入射面91aから出射面91bに向けて延びている。入射角αは、光路L1aと法線Nxとの間の角度(鋭角)である。屈折角βは、光路L1abと法線Nxとの間の角度(鋭角)である。
【0026】
波長選択フィルタ91を用いた場合、側面91cと側面91dとが、入射面91aに入射した光信号S1aの屈折方向に沿って延びているので、従来のように側面が入射面に垂直に延びている場合に比較して、アパーチャApが広い。換言すれば、一定のアパーチャApを実現するために必要な波長選択フィルタ91の形状、具体的には、実装面3aの上から見た波長選択フィルタ91の表面の面積は、従来のように側面が入射面に垂直に延びている場合に比較して、低減される。従って、波長選択フィルタ91を用いれば、波長選択フィルタの形状をコンパクトにできるので、限られた面積の実装面3aを、有効に利用できる。また、従来に比較してコンパクトな形状の波長選択フィルタ91を用いれば、波長選択フィルタ91の実装面3aに配置する作業が容易となり、よって、光送信モジュール1の製造コストを低減できる。また、アパーチャApは、基準軸Axに沿った波長選択フィルタ91の厚み(入射面91aと出射面91bとの間隔)によらないので、一定のアパーチャApを確保しつつ波長選択フィルタ91の剛性も十分に確保できるように、波長選択フィルタ91は、基準軸Axに沿った厚みを備えることができる。また、波長選択フィルタ91の場合、研磨の必要な面は、入射面91aと出射面91bとの二面なので、三面以上の研磨が必要となる従来のキューブ状のPBSに比較して、実装に手間がかからず、よって、光送信モジュール1の製造コストを低減できる。波長選択フィルタ92も、波長選択フィルタ91と同様の構成を備えるので、波長選択フィルタ91と同様の作用を奏する。また、側面91cの傾きと側面91dの傾きとは、光信号S1aの入射面91aに対する入射角αと、入射面91aにおける光信号S1aの屈折角βとの差の傾斜角γによって、規定できる。また、波長選択フィルタ91の入射面91a、出射面91bと、波長選択フィルタ92の入射面92a、出射面92bと、光反射板8の反射面8aと、光サブアセンブリ11の入射面111、出射面112とは、同一の方向に沿って延びている。このように、光反射板8、波長選択フィルタ91、波長選択フィルタ92、光サブアセンブリ11は、同一の方向に延びるように、実装面3aに配置されるので、光反射板8、波長選択フィルタ91、波長選択フィルタ92、光サブアセンブリ11を実装面3aに実装することが、容易となる。
【0027】
図1に戻って説明する。光反射板8は、光路L3aの上に設けられている。光反射板8は、光路L4aの上に設けられている。光反射板8は、反射面8aにおいて、光路L3aを、光路L3bに転換する。光反射板8は、反射面8aにおいて、光路L4aを、光路L4bに転換する。光反射板8は、例えば、金属ミラー、又は、ガラスに設けられた誘電体多層膜ミラーを備える。光路L3bは、光路L3aに、直交する。光路L4bは、光路L4bに、直交する。光路L3bは、波長選択フィルタ91の出射面91bに交差する。光路L4bは、波長選択フィルタ92の出射面92bに交差する。
【0028】
偏波回転部品10は、1/2波長板である。偏波回転部品10は、複屈折ポリマーをガラス板で挟んだ構成、又は、水晶板を張り合わせた構成、を備える。偏波回転部品10を通過した光は、偏波面が90度回転される。即ち、p偏光の光は、偏波回転部品10を通過することによって、s偏光の光に転換される。偏波回転部品10は、光路L2bの上に設けられている。偏波回転部品10は、光路L2bから、p偏光の光信号S2bを受けると、p偏光の光信号S2bをs偏光の光信号S2cに転換し、光信号S2cを、光路L2cに出射する。光路L2cは、基準軸Axに沿って延びる。
【0029】
光サブアセンブリ11は、光路L1bの上に設けられている。光サブアセンブリ11は、光路L2cの上に設けられている。光サブアセンブリ11は、光路L1bから光信号S1bを受け、光路L2cから光信号S2cを受けると、出射面112から光信号S5を光路L5に出射する。光信号S5は、光信号S1bと光信号S2cとの合波である。光路L5は、基準軸Axに沿って延びている。光路L5は、光サブアセンブリ11の出射面112から、パッケージ2に接続されるスリーブ12を介して、スリーブ12に接続される光ファイバFに至るまで、延びる。
【0030】
図3を参照して、光サブアセンブリ11の構成を詳細に説明する。光サブアセンブリ11は、ガラスブロック11aと、波長選択フィルタ11bと、光反射膜11cとを備える。ガラスブロック11aは、入射面111と、出射面112とを備える。出射面112は、入射面111の反対側にあり、実装面3aに直交する。波長選択フィルタ11bは、入射面111に設けられる。波長選択フィルタ11bは、入射面111の一部(例えば、1/2)を覆う。光路L1bは、波長選択フィルタ11bを介して、入射面111と交差する。光路L2cは、入射面111と直接交差する。光反射膜11cは、出射面112に設けられる。光反射膜11cは、出射面112の一部(例えば、1/2)を覆う。光路L5は、出射面112に直接交差する。ガラスブロック11aは、例えば、直方体の外形を有する光学的に透明なガラス部材からなる。波長選択フィルタ11bは、p偏光の光を透過し、s偏光の光を遮断する(
図4の(C)部を参照)。光反射膜11cは、光信号S2cを反射する。
【0031】
光サブアセンブリ11を製造する方法の一例を説明する。まず、直方体の張り合わせガラスブロック11aを準備する。次に、ガラスブロック11aの入射面111の全面に波長選択フィルタ(波長選択フィルタ11bに対応)を形成する。次に、ガラスブロック11aの出射面112の全面に光反射膜(光反射膜11cに対応)を形成する。次に、ガラスブロック11aの入射面111において、光路L2cに交差する領域を覆う波長選択フィルタを研磨等により除去し、ガラスブロック11aの入射面111の一部(光路L2cと交差する領域)を露出させる。この研磨によって、波長選択フィルタ11bが最終的に形成される。次に、ガラスブロック11aの出射面112において、光路L5に交差する領域を覆う光反射膜を研磨等により除去し、ガラスブロック11aの出射面112の一部(光路L5と交差する領域)を露出させる。この研磨によって、光反射膜11cが最終的に形成される。このようにして、光サブアセンブリ11が製造される。なお、光サブアセンブリ11は、直方体の形状を有するガラスブロック11aと、波長選択フィルタ11bと、光反射膜11cとが一体に形成された構成を備えていてもよい。
【0032】
スリーブ12は、光路L5の上に位置するように、パッケージ2に接続される。光路L5は、スリーブ12を介して、スリーブ12に接続される光ファイバFに至る。スリーブ12は、アイソレータ12a、光学レンズ12b、フェルール12cを備える。アイソレータ12aは、偏波面に依存しない偏波無依存アイソレータである。アイソレータ12a、光学レンズ12b、フェルール12cは、光路L5の上に、位置する。光サブアセンブリ11の出射面112から出射される光信号S5は、光路L5に沿って、アイソレータ12a、光学レンズ12b、フェルール12cを通過し、光ファイバFに至る。
【0033】
図5に、光送信モジュール1の変形例を示す。
図5に示す光送信モジュール1_1は、光送信モジュール1に対し溝M1〜M3が加えられている。溝M1〜M3を除き、光送信モジュール1_1は、光送信モジュール1と同様である。溝M1〜M3は、実装面3aに設けられる。実装面3aは、溝M1〜M3を備えることができる。溝M1は、波長選択フィルタ91、及び、波長選択フィルタ92に、ほぼ接している。溝M2は、偏波回転部品10、及び、光反射板8に、ほぼ接している。溝M3は、光サブアセンブリ11、及び、偏波回転部品10に、ほぼ接している。
【0034】
光送信モジュール1_1の場合、光反射板8、波長選択フィルタ91、波長選択フィルタ92、偏波回転部品10、光サブアセンブリ11等の複数の光素子のそれぞれにほぼ接するように溝M1〜M3のそれぞれが実装面3aに設けられているので、光反射板8、波長選択フィルタ91、波長選択フィルタ92、偏波回転部品10、光サブアセンブリ11のそれぞれを、樹脂を用いて、実装面3aに固定する場合、余剰の樹脂が、溝M1〜M3のそれぞれに、流れ込むので、余剰の樹脂が、光反射板8、波長選択フィルタ91、波長選択フィルタ92、偏波回転部品10、光サブアセンブリ11、等の複数の光学素子に流れることを、回避できる。
【0035】
波長選択フィルタ91、波長選択フィルタ92、波長選択フィルタ11bの光学特性を説明する。
図4の(A)部は、波長選択フィルタ91の光学特性を示す図である。
図4の(B)部は、波長選択フィルタ92の光学特性を示す図である。
図4の(C)部は、波長選択フィルタ11bの光学特性を示す図である。
図4の(A)部〜(C)部のそれぞれに示す四つの棒グラフは、それぞれ、波長λ1の光信号S1a、波長λ2の光信号S2a、波長λ3の光信号S3a、波長λ4の光信号S4aそれぞれの有効帯域を示す。
図4の(A)部に示すグラフG1は、透過率を示す。
図4の(B)部に示すグラフG2は、透過率を示す。
図4の(C)部に示すグラフG3は、p偏光に対する透過率を示す。
図4の(C)部に示すグラフG4は、s偏光に対する透過率を示す。図中符号D1は、光信号S1a〜S4aの間のアイソレーションを示す。図中符号D2は、波長λ1の光信号S1a、波長λ2の光信号S2a、波長λ3の光信号S3a、波長λ4の光信号S4aそれぞれの有効帯域を示す。
【0036】
図4の(A)部に示すように、波長選択フィルタ91の透過率は、波長λ1の光信号S1aに対し、高い。波長選択フィルタ91は、光信号S1aの波長λ1を含み、波長λ2の光信号S2a、波長λ3の光信号S3a、波長λ4の光信号S4aを含まない波長範囲にある波長の光を透過する。
【0037】
図4の(B)部に示すように、波長選択フィルタ92の透過率は、波長λ1の光信号S1aと、波長λ2の光信号S2aとに対し、高い。波長選択フィルタ92は、光信号S1aの波長λ1と光信号S2aの波長λ2とを含み、波長λ3の光信号S3a、波長λ4の光信号S4aを含まない波長範囲にある波長の光を透過する。
【0038】
図4の(C)部に示すように、波長選択フィルタ11bは、p偏光の光の透過率は高く、s偏光の光の透過率は低く、ほぼs偏光の光を透過しない。
【0039】
以上、好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。