(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の扉施錠制御装置は車輌と所有者の距離が近い場合、遅延時間が短いため、リレーアタックを防ぐことができない。車輌と所有者の距離が近い場合とは例えば、駐車場に車輌を停めた後、所有者がすぐ近くの建物の内部にいる場合等である。また所有者が建物の内部にいる場合、車輌の警告音やハザードが聞こえにくくなるため、リレーアタックによって車輌が盗難されてしまう可能性が高い。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、無線通信機が建物の内部に入った場合、無線通信機が無線信号の送信を禁止することでリレーアタックによる車輌盗難を防止できる扉施錠システム、無線送信装置及び無線通信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る扉施錠システムは、呼出信号を受信し、該呼出信号に対する応答信号を送信する送受信部を有する可搬型の無線通信機と、該無線通信機へ前記呼出信号を送信し、前記無線通信機から送信された前記応答信号を受信することにより車輌の扉の鍵を制御する扉施錠制御装置とを備える扉施錠システムにおいて、前記無線通信機に無線信号を送信する無線送信装置は、建物の扉の開閉操作を検知する開閉検知部と、前記送受信部にて前記応答信号の送信禁止を行う禁止信号、及び送信許可を行う許可信号を生成する生成部と、自身を識別する識別情報を前記禁止信号及び前記許可信号に付加する識別情報付加部と、前記開閉検知部が前記建物の扉の開閉操作を検知した場合、前記識別情報を付加した前記禁止信号及び前記許可信号を交互に送信する送信部とを備え、前記無線通信機は、前記禁止信号及び前記許可信号を受信する受信部と、前記識別情報を記憶する記憶部と、前記受信部にて前記禁止信号又は前記許可信号を受信した場合、前記禁止信号又は前記許可信号に付加された識別情報と前記記憶部に記憶された識別情報とが一致するか否かを判定する判定部と、該判定部により一致したと判定した場合、前記禁止信号又は前記許可信号に基づいて、前記送受信部にて前記応答信号を送信することを禁止又は許可する制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、可搬型の無線通信機は呼出信号を受信し、呼出信号に対する応答信号を送信する送受信部を有している。扉施錠制御装置は無線通信機へ呼出信号を送信し、無線通信機から送信された応答信号を受信することにより車輌の扉の鍵を制御する。無線送信装置は、開閉検知部が建物の扉の開閉操作を検知する。無線送信装置の生成部は送受信部にて前記応答信号の送信禁止を行う禁止信号、及び送信許可を行う許可信号を生成する。無線送信装置の識別情報付加部は自身を識別する識別情報を禁止信号及び許可信号に付加する。無線送信装置の送信部は開閉検知部が建物の扉の開閉操作を検知した場合、識別情報を付加した禁止信号及び許可信号を交互に送信する。無線通信機の受信部は禁止信号及び許可信号を受信する。無線通信機の記憶部は識別情報を記憶する。無線通信機の受信部にて禁止信号又は許可信号を受信した場合、無線通信機の判定部は禁止信号又は許可信号に付加された識別情報と記憶部に記憶された識別情報とが一致するか否かを判定する。判定部により一致したと判定した場合、無線通信機の制御部は禁止信号又は許可信号に基づいて、無線通信機の送受信部にて応答信号を送信することを禁止又は許可する。
【0010】
本発明に係る扉施錠システムは、前記送信部は更に前記禁止信号又は前記許可信号を所定の時間間隔で送信するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、扉施錠システムは前記送信部は更に前記禁止信号又は前記許可信号を所定の時間間隔で送信する。
【0012】
本発明に係る扉施錠システムは、呼出信号を受信し、該呼出信号に対する応答信号を送信する送受信部を有する可搬型の無線通信機と、該無線通信機へ前記呼出信号を送信し、前記無線通信機から送信された前記応答信号を受信することにより車輌の扉の鍵を制御する扉施錠制御装置とを備える扉施錠システムにおいて、前記無線通信機に無線信号を送信する無線送信装置は、複数の無線信号を生成する生成部と、自身を識別する識別情報を前記複数の無線信号に付加する識別情報付加部と、建物の内部に設置されており、前記識別情報を付加した無線信号を送信する内部送信部と、前記建物の外部に設置されており、前記無線信号を送信する外部送信部と、前記内部送信部及び前記外部送信部にて前記識別情報を付加した複数の無線信号を順次送信するよう制御する送信制御部とを備え、前記無線通信機は、前記無線送信装置から順次送信された前記複数の無線信号を受信する受信部と、前記識別情報を記憶する記憶部と、該受信部が受信した前記複数の無線信号の信号強度を検知する検知部と、前記複数の無線信号に付加された識別情報と前記記憶部に記憶された識別情報が一致するか否かを判定する識別情報判定部と、該識別情報判定部により一致すると判定した場合、前記複数の無線信号の順序により、前記内部送信部及び前記外部送信部にて送信された無線信号を判別し、前記検知部にて検知した無線信号の信号強度を比較し、前記内部送信部にて送信された無線信号の信号強度が強かった場合、前記応答信号の送信を禁止し、前記外部送信部にて送信された無線信号の信号強度が強かった場合、前記応答信号の送信を許可する制御部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、可搬型の無線通信機は呼出信号を受信し、呼出信号に対する応答信号を送信する送受信部を有する。扉施錠制御装置は無線通信機へ呼出信号を送信し、無線通信機から送信された応答信号を受信することにより車輌の扉の鍵を制御する。無線送信装置の生成部は複数の無線信号を生成する。無線送信装置の識別情報付加部は自身を識別する識別情報を複数の無線信号に付加する。無線送信装置の内部送信部は建物の内部に設置されており、識別情報を付加した無線信号を送信する。無線送信装置の外部送信部は建物の外部に設置されており、無線信号を送信する。無線送信装置の送信制御部は内部送信部及び外部送信部にて識別情報を付加した複数の無線信号を順次送信するよう制御する。無線通信機の受信部は無線送信装置から順次送信された前記複数の無線信号を受信する。無線通信機の記憶部は識別情報を記憶する。無線通信機の検知部は受信部が受信した複数の無線信号の信号強度を検知する。無線通信機の識別情報判定部は複数の無線信号に付加された識別情報と記憶部に記憶された識別情報が一致するか否かを判定する。無線通信機の識別情報判定部により一致すると判定した場合、無線通信機の制御部は複数の無線信号の順序により、内部送信部及び外部送信部にて送信された無線信号を判別し、検知部にて検知した無線信号の信号強度を比較し、内部送信部にて送信された無線信号の信号強度が強かった場合、応答信号の送信を禁止し、外部送信部にて送信された無線信号の信号強度が強かった場合、応答信号の送信を許可する。
【0014】
本発明に係る扉施錠システムは、前記無線送信装置は、建物の扉の開閉操作を検知する開閉検知部を備え、前記送信制御部は、前記開閉検知部が前記建物の扉の開閉操作を検知した場合、前記複数の無線信号を順次送信するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、無線送信装置は、建物の扉の開閉操作を検知する開閉検知部を備え、送信制御部は、開閉検知部が建物の扉の開閉操作を検知した場合、複数の無線信号を順次送信する。
【0016】
本発明に係る扉施錠システムは、前記送信制御部は、複数の無線信号を所定の時間間隔で順次送信するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては送信制御部は、複数の無線信号を所定の時間間隔で順次送信する。
【0018】
本発明に係る扉施錠システムは、前記無線通信機は、車輌の扉の解錠に係る操作を受け付ける操作部と、前記操作部が操作を受け付けた場合、前記送受信部にて前記応答信号の送信を許可する送信許可部とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、無線通信機の操作部は車輌の扉の解錠に係る操作を受け付ける操作部が操作を受け付けた場合、無線通信機の送信許可部は送受信部にて応答信号の送信を許可する。
【0020】
本発明に係る無線送信装置は、建物の扉の開閉操作を検知する開閉検知部と、無線信号の送信禁止を行う禁止信号、及び該無線信号の送信許可を行う許可信号を生成する生成部と、自身を識別する識別情報を前記禁止信号及び前記許可信号に付加する識別情報付加部と、前記開閉検知部が前記建物の扉の開閉操作を検知した場合、前記識別情報を付加した前記禁止信号及び前記許可信号を交互に送信する送信部とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、無線送信装置の開閉検知部は建物の扉の開閉操作を検知する。無線送信装置の生成部は無線信号の送信禁止を行う禁止信号、及び該無線信号の送信許可を行う許可信号を生成する。無線送信装置の識別情報付加部は自身を識別する識別情報を前記禁止信号及び前記許可信号に付加する。無線送信装置の開閉検知部が前記建物の扉の開閉操作を検知した場合、無線送信装置の送信部は識別情報を付加した禁止信号及び許可信号を交互に送信する。
【0026】
本発明に係る無線通信機は、呼出信号を受信し、該呼出信号に対する応答信号を送信する送受信部を有する可搬型の無線通信機において、建物の内部及び外部にて送信された複数の無線信号を受信する受信部と、自身を識別する識別情報を記憶する記憶部と、前記受信部が受信した前記複数の無線信号の信号強度を検知する検知部と、前記複数の無線信号に付加された識別情報と前記記憶部に記憶された識別情報とが一致するか否かを判定する識別情報判定部と、該識別情報判定部により一致すると判定した場合、前記複数の無線信号の順序により、前記建物の内部及び外部にて送信された無線信号を判別し、前記検知部にて検知した無線信号の信号強度を比較し、前記建物の内部にて送信された無線信号の信号強度が強かった場合、前記応答信号の送信を禁止し、前記建物の外部にて送信された無線信号の信号強度が強かった場合、前記応答信号の送信を許可する制御部とを備える。
【0027】
本発明にあっては、可搬型の無線通信機の送受信部は呼出信号を受信し、該呼出信号に対する応答信号を送信する。受信部は建物の内部及び外部にて送信された複数の無線信号を受信する。記憶部は自身を識別する識別情報を記憶する。検知部は受信部が受信した複数の無線信号の信号強度を検知する。識別情報判定部は複数の無線信号に付加された識別情報と記憶部に記憶された識別情報とが一致するか否かを判定する。識別情報判定部により一致すると判定した場合、制御部は複数の無線信号の順序により、建物の内部及び外部にて送信された無線信号を判別し、検知部にて検知した無線信号の信号強度を比較し、建物の内部にて送信された無線信号の信号強度が強かった場合、応答信号の送信を禁止し、建物の外部にて送信された無線信号の信号強度が強かった場合、応答信号の送信を許可する。
【発明の効果】
【0028】
本発明による場合は、建物の扉または窓に設置された無線送信装置から送信される無線信号に基づいて、無線通信機が扉施錠装置への応答信号を制御することにより、無線通信機が建物の内部にあってもリレーアタックによる車輌盗難を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は実施の形態1に係る扉施錠システム100の一構成例を示すブロック図である。
図2は実施の形態1に係る無線機2の一構成例を示すブロック図である。
図3は実施の形態1に係る無線送信装置3の一構成例を示すブロック図である。扉施錠システム100は、車輌7に搭載された扉施錠制御装置1と、可搬型の無線機2と、建物8の扉または窓に設置された無線送信装置3とを備えている。なお、無線機2は本発明の無線通信機として機能する。また扉施錠システム100を構成する扉施錠制御装置1の詳細を
図1に示し、無線機2の詳細を
図2に示し、無線送信装置3の詳細を
図3に示している。
【0031】
扉施錠システム100は扉施錠制御装置1、無線機2及び無線送信装置3によって構成され、扉施錠制御装置1は、施錠機構41及び操作部42に接続されている。扉施錠制御装置1は車輌7の扉又は扉近傍に設けられた操作部42に対するユーザの操作を受け付けた場合に、施錠機構41を駆動することにより、扉の施錠又は解錠を行うものである。扉施錠制御装置1は無線機2との間で無線信号を送受信する機能を有している。無線機2は扉施錠制御装置1との間で無線信号を送受信する機能を有しており、無線機2は無線送信装置3から無線信号を受信する。また無線送信装置3は建物8の扉または窓に設置されており、無線機2に無線信号を送信する機能を有している。扉施錠制御装置1、無線機2及び無線送信装置3から送信する無線信号は、無線信号の到達する限られた無線到達範囲(例えば数十mの範囲)で送受信を行うことができる。
【0032】
施錠機構41は、車輌7の扉の施錠又は解錠を行うための機械機構、この機械機構を動作させるためのモータ又はアクチュエータ等の動力源、及びこの動力源を駆動する駆動回路等により構成される。施錠機構41は、扉施錠制御装置1が施錠機構41の駆動回路へ制御信号を与えることにより車輌7の扉の施錠又は解錠を行う。また施錠機構41は、機械機構又は動力源の動作量等を示す信号を扉施錠制御装置1へフィードバックする。扉施錠制御装置1は施錠機構41からのフィードバック信号により施錠機構41の動作状態、即ち車輌7の扉の施錠状態を取得することができる。
【0033】
操作部42は、車輌7の扉又は扉近傍に設けられ、車輌7のユーザの操作を受け付けた場合に操作信号を扉施錠制御装置1に出力する。車輌7の扉又は扉近傍とは例えば、運転席側の扉、助手席側の扉、トランク、ハッチゲート、後方の扉等である。操作部42はプッシュ操作を受け付けるプッシュスイッチ、又は、接触操作を受け付けるセンサ等により構成され、ユーザの操作を検知して扉施錠制御装置1へ通知する。
【0034】
扉施錠制御装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、入出力部11及び記憶部12等を備える。CPU10、入出力部11、記憶部12及び送受信部13はバスL上に接続されている。なお扉施錠制御装置1はマイクロコンピュータとして実現されてもよい。入出力部11は施錠機構41及び操作部42に接続されている。施錠機構41は入出力部11を介してCPU10にフィードバック信号を出力する。また操作部42はユーザの操作を受け付けた場合、入出力部11を介してCPU10に操作信号を出力する。
【0035】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)及びにRAM(Random Access Memory)を備えている。ROMは例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子である。またRAMはSRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリ素子で構成されている。記憶部12は、識別情報ファイル12a等のCPU10が処理を行う際に必要とする種々のデータおよびCPU10が実行する制御プログラム12bを予め記憶している。識別情報ファイル12aには扉施錠制御装置1に固有の第1識別情報を含んでいる。なお第1識別情報は暗号化を行ってもよい。
【0036】
CPU10は操作部42より入出力部11を介して操作信号が入力された場合、記憶部12に予め記憶された制御プログラム12bを読み出して実行する。制御プログラム12bを実行することにより、CPU10は入出力部11を介して扉施錠制御装置1内の各部の動作を制御する。
【0037】
送受信部13は、無線機2との間で無線通信を行うものであり、LF(Low Frequency)送信部13a及びUHF(Ultra-High Frequency)受信部13bを有している。LF送信部13aには、LF用アンテナ14aが接続されている。LF送信部13aは呼出信号を送信する。呼出信号とは第1識別情報を含むLF帯(例えば125kHz)の無線信号である。LF送信部13aは、CPU10から出力された第1識別情報等の情報(データ)を無線信号に変換して無線機2へ送信する。UHF受信部13bには、UHF用アンテナ14bが接続されている。UHF受信部13bはUHF帯(例えば315MHz)の無線信号の受信を行うものであり、後述する無線機2から送信された応答信号を受信し、受信した応答信号をデータに再変換して扉施錠制御装置1へ与える。なお、アンテナ及び通信方式は他の短距離無線通信技術を用いてもよい。
【0038】
無線機2はCPU20(制御部)、入力部21、記憶部22、送受信部23及び操作部25等を備えている。CPU20、入力部21、記憶部22及び送受信部23はバスM上に接続されている。無線機2は扉施錠制御装置1から呼出信号を送受信部23にて受信した後、応答信号を扉施錠制御装置1へ送受信部23にて送信する。扉施錠制御装置1は応答信号を送受信部23にて受信した場合、扉施錠制御装置1は無線到達範囲に無線機2があると判定し、扉施錠制御装置1は扉の解錠を行う。入力部21は操作部25に接続されている。操作部25は操作を受け付けた場合、入力部21を介して、CPU20に操作信号を入力する。
【0039】
記憶部22は、ROM及びRAMを備えている。ROMは例えばEEPROM又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子である。またRAMはSRAM又はDRAM等の揮発性メモリ素子で構成されている。記憶部22には識別情報ファイル22a等のデータが予め記憶されている。識別情報ファイル22aには、無線機2に固有の第2識別情報が含まれており、扉施錠制御装置1、無線機2およびに無線送信装置3との間の認証処理に用いられる。なお第2識別情報は暗号化を行ってもよい。
【0040】
CPU20は記憶部22に予め記憶された制御プログラム22bを読み出して実行することにより、無線機2内の各部の制御処理を行う。CPU20は後述する無線送信装置3から送信される無線信号に基づいて、送信禁止状態又は送信許可状態になる。送信禁止状態とは、CPU20が送受信部23による応答信号の送信を禁止する状態であり、送信許可状態とは、CPU20が送受信部23による応答信号の送信を許可する状態である。送信禁止状態または送信許可状態は記憶部22に一時的に記憶される。
【0041】
送受信部23は、CPU20の制御に応じて扉施錠制御装置1と無線機2との間で無線通信を行うものであり、LF受信部23a(受信部)及びUHF送信部23bを有している。LF受信部23aには、LF用アンテナ24aが接続されている。LF受信部23aはLF帯の無線信号の受信を行うものであり、LF受信部23aは扉施錠制御装置1から送信された呼出信号及び後述する無線送信装置3からの無線信号を受信する。LF受信部23aは受信した無線信号をデータに変換してCPU20へ与える。
【0042】
UHF送信部23bには、UHF用アンテナ24bが接続されている。UHF送信部23bはCPU20から出力された第2識別情報等の情報(データ)を無線信号に変換して扉施錠制御装置1へ送信する。UHF送信部23bは入力されたCPU20の制御信号により応答信号を送信する。応答信号とは第2識別情報を含むUHF帯の無線信号である。送信された応答信号は扉施錠制御装置1のUHF受信部13bにて受信される。扉施錠制御装置1はUHF受信部13bにて応答信号を受信した場合、扉施錠制御装置1のCPU10は応答信号に付加された第2識別情報と記憶部12に記憶された第1識別情報が一致するか否かを判定する。CPU20は識別情報が一致すると判定した場合、扉施錠制御装置1を解錠する。
【0043】
操作部25はプッシュ操作を受け付けるプッシュスイッチ、又は、接触操作を受け付けるセンサ等により構成され、ユーザの操作信号をCPU20へ出力する。操作部25が操作された場合、操作部25はCPU20の送信禁止状態を送信許可状態に変える。
【0044】
無線送信装置3は、CPU30、入力部31、記憶部32、LF送信部33(送信部)、計時部35及び開閉検知部36等を備えて構成されている。CPU30、入力部31、記憶部32、LF送信部33及び計時部35はバスN上に接続されている。開閉検知部36が扉または窓の開閉操作を検知した場合、無線送信装置3は無線機2に応答信号の送信禁止を行う禁止信号または無線機2に応答信号の送信許可を行う許可信号を送信する。
【0045】
開閉検知部36は建物8の扉または窓に設けられたスイッチもしくはセンサ等により、扉または窓の開閉操作を検知して入力部31を介してCPU30へ検知結果を出力する。開閉検知部36は例えばマグネットセンサである。マグネットセンサはマグネットとリードスイッチ等によって構成されている。マグネットがリードスイッチに接近または離れた場合、リードスイッチが開閉されて、扉または窓が開閉されたことをマグネットセンサは検知する。なお開閉検知部36は建物8の開口部に設置された赤外線センサでもよい。赤外線センサは近赤外線を照射し、反射もしくは透過等による変化量でユーザの建物8の開口部からの出入りを検知する。
【0046】
入力部31は開閉検知部36に接続されている。開閉検知部36は扉または窓の開閉操作を検知した場合、入力部31を介して、CPU30に検知結果を入力する。なお本実施の形態においては開閉操作を検知する都度、検知結果を出力する例を挙げて説明するが、これに限るものではない。開閉検知部36は扉または窓の開閉操作を検知した後、扉または窓の開閉操作の検知を所定の時間受け付けなくてもよい。所定の時間は記憶部32に記憶されており、例えば1分間である。
【0047】
記憶部32は、ROM及びにRAMを備えている。ROMは例えばEEPROM又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子である。またRAMはSRAM又はDRAM等の揮発性メモリ素子で構成されている。記憶部32は識別情報ファイル32a等のデータが予め記憶されている。識別情報ファイル32aには、無線送信装置3に固有の第3識別情報が含まれており、無線機2との間の認証処理に用いられる。なお、第3識別情報は暗号化してもよい。
【0048】
CPU30は、記憶部32に予め記憶された制御プログラム32bを読み出して実行することにより、無線送信装置3内の各部の制御処理を行う演算処理装置である。CPU30は応答信号の送信禁止を行う禁止信号または無線機2に応答信号の送信許可を行う許可信号を生成する。CPU30は自身を識別する第3識別情報を禁止信号及び許可信号に付加する。計時部35は現在の時点、例えば時刻を計時し、CPU30の要求に従って、計時結果をCPU30に出力する。
【0049】
LF送信部33は、CPU30から入力される制御信号に応じて無線機2との間で無線通信を行うものである。LF送信部33には、LF用アンテナ34が接続されている。LF送信部33はCPU30の制御信号により、LF送信部33にて禁止信号及び許可信号を送信する。送信された禁止信号又は許可信号はLF受信部23aにて受信される。無線機2はLF受信部23aにて禁止信号又は許可信号を受信した場合、CPU20は禁止信号又は許可信号に付加された第3識別情報と記憶部22に記憶された第2識別情報が一致するか否かを判定する。CPU20は識別情報が一致すると判定した場合、CPU20は禁止信号又は許可信号に基づいて、送受信部23にて応答信号を送信することを禁止又は許可する。なお、本発明における無線通信は、LF帯とUHF帯を用いたが、異なる周波数帯を利用するものであってもよい。
【0050】
図4は実施の形態1に係る無線機2が建物8の外部にある場合における動作を説明するための模式図である。
図4に示すように、可搬型の無線機2は建物8の外部に存在する。まず無線機2が建物8の扉または窓から建物8の外部に出る。開閉検知部36は建物8の扉または窓の開閉操作を検知し、入力部31を介してCPU30に操作信号を入力する。CPU30はLF送信部33にて許可信号を送信する。無線機2の送受信部23は許可信号を受信する。無線機2のCPU20は許可信号に付加された第3識別情報と記憶された第2識別情報が一致した場合、応答信号の送信の許可を行う。なおユーザが無線機2を所持せずに建物8の扉または窓の開閉操作を行った場合、開閉検知部36が建物8の扉または窓の開閉操作を検知して許可信号を送信しても無線機2は許可信号を受信できず、無線機2は応答信号の送信許可をしない。
【0051】
次にユーザが車輌7に接近し、扉施錠制御装置1の操作部42を操作する。操作部42の操作を検知した扉施錠制御装置1の送受信部13は呼出信号を送信する。無線機2の送受信部23は建物8の外部からの呼出信号を受信する。無線機2のCPU20は呼出信号に付加された第1識別情報と記憶部22に記憶された第2識別情報が一致するか否か判定する。無線機2のCPU20は識別情報が一致していると判定し、無線機2のCPU20は応答信号の送信許可を行っているため、無線機2の送受信部23は応答信号を送信する。応答信号を受信した扉施錠制御装置1のCPU10は呼出信号に付加された第2識別情報と記憶された第1識別情報が一致するか否か判定する。扉施錠制御装置1のCPU10は識別情報が一致していると判定し、扉施錠制御装置1は扉を解錠する。
【0052】
図5は実施の形態1に係る無線機2が建物8の内部にある場合における動作を説明するための模式図である。
図5に示すように、建物8の内部に無線機2及び無線送信装置3が存在し、車輌7と無線機2との間に中継機50及び中継機51が存在している。
【0053】
図5において、無線送信装置3が存在しない場合を考える。ユーザが車輌7に接近し、扉施錠制御装置1の操作部42を操作する。操作部42の操作を検知した扉施錠制御装置1の送受信部13は呼出信号を送信する。中継機50が呼出信号を受信し、さらに中継機51を介して中継された呼出信号を無線機2に送信する。
【0054】
建物8内部にある無線機2の送受信部23は呼出信号を受信する。無線機2のCPU20は呼出信号に付加された第1識別情報と記憶された第2識別情報が一致していると判定し、無線機2の送受信部23は応答信号を送信する。応答信号を受信した扉施錠制御装置1は、扉施錠制御装置1のCPU10が応答信号に付加された第2識別情報と記憶部12に記憶された第1識別情報が一致していると判定し、扉施錠制御装置1は扉を解錠する。
【0055】
次に無線送信装置3が存在する場合を考える。まず無線機2が建物8の扉または窓から建物8の内部に入る。無線送信装置3の開閉検知部36は建物8の扉または窓の開閉操作を検知し、無線送信装置3のLF送信部33は禁止信号を送信する。無線機2の送受信部23が禁止信号を受信する。無線機2のCPU20は禁止信号に付加された第3識別情報と記憶部22に記憶された第2識別情報が一致していると判定した場合、無線機2は応答信号の送信禁止を行う。なおユーザが無線機2を所持せずに建物8の扉または窓の開閉操作を行った場合、開閉検知部36が建物8の扉または窓の開閉操作を検知して禁止信号を送信しても無線機2は禁止信号を受信できず、無線機2は応答信号の送信禁止をしない。
【0056】
ユーザが扉施錠制御装置1の操作部42を操作する。操作を検知した扉施錠制御装置1は呼出信号を送信する。中継機50が呼出信号を受信し、さらに中継機51を介して中継された呼出信号を無線機2に送信する。
【0057】
建物8内部にある無線機2の送受信部23は呼出信号を受信する。無線機2のCPU20は呼出信号に付加された第1識別情報と記憶部22に記憶された第2識別情報が一致すると判定する。しかし、無線機2のCPU20は応答信号の送信禁止を行っているため、無線機2の送受信部23は応答信号を送信せず、扉施錠制御装置1は扉を解錠しない。
【0058】
図6、
図7、
図8及び
図9は、実施の形態1に係る扉の解錠処理の手順を示すフローチャートである。
図6及び後述の
図8で用いられるフラグは、例えば初期状態で0に設定される。フラグが0である場合、無線機2は建物の内部に存在することを示し、フラグが1である場合、無線機2は建物の外部に存在することを示す。これらのフラグは、何れも記憶部32に記憶される。CPU30は開閉検知部36が扉または窓の開閉操作を検知したか否か判定する(ステップS1)。CPU30は開閉検知部36が検知しなかったと判定した場合(S1:NO)、開閉検知部36が検知するまで待機する。CPU30は開閉検知部36が検知したと判定した場合(S1:YES)、フラグが0であるか否か判定する(ステップS2)。
【0059】
CPU30はフラグが0であると判定した場合(S2:YES)、フラグを1にセットする(ステップS3)。CPU30は許可信号を生成する(ステップS4)。CPU30は許可信号に第3識別情報を付加する(ステップS5)。CPU30はフラグが0でないと判定した場合(S2:NO)、フラグを0にセットする(ステップS6)。CPU30は禁止信号を生成する(ステップS7)。CPU30は禁止信号に第3識別情報を付加する(ステップS8)。CPU30は第3識別情報を付加した禁止信号又は許可信号をLF送信部33から無線機2に送信する(ステップS9)。CPU30はS9の処理後、再びS1に戻り、処理を続ける。
【0060】
CPU20は、第3識別情報を付加した禁止信号又は許可信号をLF受信部23aにて受信する(ステップS10)。CPU20は受信した禁止信号又は許可信号に含まれる第3識別情報と、記憶部22に記憶した第2識別情報とを基に認証処理を行う(ステップS11)。
【0061】
CPU20は、認証に成功したか否か、即ち受信した禁止信号又は許可信号に含まれる第3識別情報と記憶部22に記憶した第2識別情報とが一致するか否かを判定する(ステップS12)。CPU20は第3識別情報と第2識別情報とが一致しなかった場合には(S12:NO)、S20に処理を移行し、呼出信号を受信するまで待機する。CPU20は第3識別情報と第2識別情報とが一致した場合(S12:YES)、許可信号と禁止信号のいずれかを受信したか判断する(ステップS13)。
【0062】
CPU20は許可信号を受信していると判断した場合(S13:YES)、無線機2が建物8の外部にあると判断し、CPU20は送信許可状態になる(ステップS14)。CPU20は、禁止信号を受信していると判断した場合(S13:NO)、無線機2が建物8の内部にあると判断し、CPU20は送信禁止状態になる(ステップS15)。
【0063】
扉施錠制御装置1のCPU10は、操作部42から入力部11を介して操作信号が入力されているか否かにより、操作部42に対するユーザの操作の有無を判定する(ステップS16)。CPU10は操作部42から操作信号が入力されていない場合には(S16:NO)、操作信号が入力されるまで待機する。CPU10は操作部42から操作信号が入力された場合(S16:YES)、CPU10は呼出信号を生成する(ステップS17)。CPU10は呼出信号に第1識別情報を付加する(ステップS18)。CPU10はLF送信部13aから第1識別情報を付加した呼出信号を無線機2に送信する(ステップS19)。無線機2のCPU20は、第1識別情報を付加した呼出信号をLF受信部23aにて受信する(ステップS20)。
【0064】
CPU20は、受信した呼出信号に含まれる第1識別情報と、記憶部22に記憶した第2識別情報とを基に認証処理を行う(ステップS21)。CPU20は、認証に成功したか否か、即ち受信した呼出信号に含まれる第1識別情報と記憶部22に記憶した第2識別情報とが一致するか否かを判定する(ステップS22)。CPU20は第1識別情報と第2識別情報が一致しないと判定した場合(S22:NO)、処理を終了する。CPU20は第1識別情報と第2識別情報が一致すると判定した場合には(S22:YES)、送信許可状態であるか否かを判定する(ステップS23)。CPU20は送信許可状態であった場合(S23:YES)、応答信号を生成する(ステップS25)。CPU20は応答信号に第2識別情報を付加する(ステップS26)。CPU20は第2識別情報を付加した応答信号を扉施錠制御装置1に送信する(ステップS27)。
【0065】
CPU20が送信禁止状態であった場合(S23:NO)、CPU20は操作部25から操作信号が入力されたか否かにより、操作部25に対するユーザの操作の有無を判定する(ステップS24)。CPU20は操作部25から操作信号が入力されなかった場合には(S24:NO)、処理を終了する。CPU20は操作部25から操作信号が入力された場合(S24:YES)、強制的に送信禁止状態から送信許可状態になり、CPU20は応答信号を生成する(ステップS25)。CPU20は応答信号に第2識別情報を付加する(ステップS26)。CPU20は第2識別情報を付加した応答信号を送信する(ステップS27)。扉施錠制御装置のCPU10は、第2識別情報を付加した応答信号をUHF受信部13bにて受信する(ステップS28)。
【0066】
CPU10は、受信した応答信号に含まれる第2識別情報と記憶部12に記憶した第1識別情報とを基に認証処理を行う(ステップS29)。次いでCPU10は、認証に成功したか否か、即ち受信した応答信号に含まれる第2識別情報と記憶部12に記憶した第1識別情報とが一致するか否かを判定する(ステップS30)。CPU10は第2識別情報と第1識別情報とが一致しなかった場合には(S30:NO)、処理を終了する。CPU10は第2識別情報と第1識別情報とが一致した場合(S30:YES)、施錠機構41に制御信号を与えることによって扉の解錠を行う(ステップS31)。CPU10は処理を終了する。なお、本実施形態では第1識別情報、第2識別情報及び第3識別情報は同じものであるとして説明したがこれに限るものではない。第1識別情報、第2識別情報及び第3識別情報は異なるものがあってもよい。この場合、無線機2の記憶部22に第1識別情報と第2識別情報とを対応づけて記憶しておけばよい。また扉施錠制御装置1の記憶部12に第2識別情報と第3識別情報との対応づけを記憶しておけばよい。
【0067】
このように、実施の形態1に係る扉施錠システムはユーザの所持する無線機2が建物8の内部にある場合、無線送信装置3から禁止信号を送信し、禁止信号を受信した無線機2が、CPU20を送信禁止状態にする。したがって無線機2が中継機を介して呼出信号を建物の内部にて受信しても、無線機2は応答信号を送信せず、実施の形態1に係る扉施錠システムはリレーアタックによる車輌盗難を防止できる。
【0068】
このように、実施の形態1に係る扉施錠システムは無線機2のCPU20が送信禁止状態であったとしても、操作部26から操作信号が入力されている場合、CPU20は強制的に送信許可状態になる。したがって、ユーザの所持する無線機2が建物8の外部にある場合、無線機2がシステムの誤作動等により、送信禁止状態になっていたとしても、車輌7の扉を解錠できる。
【0069】
(実施の形態2)
実施の形態1では、無線送信装置3は扉または窓の開閉操作を検知した場合に、禁止信号又は許可信号を送信する構成とした。実施の形態2の無線送信装置3は所定の時間間隔毎に、禁止又は許可信号を送信するようにしてもよい。
【0070】
図10は実施の形態2に係る無線送信装置3が行う扉の解錠処理の手順を示すフローチャートである。以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態1と同等であり、簡潔のため記載を省略する。
【0071】
無線送信装置3のCPU30は、計時部35により時間を計測し、禁止信号又は許可信号を送信すべき所定の時間間隔に達したか否か判定する(ステップS40)。所定の時間間隔は記憶部32に記憶されており、例えば数秒乃至数十秒である。
【0072】
CPU30は所定の時間間隔に達していないと判定した場合(S40:NO)、開閉検知部36が扉または窓の開閉操作を検知したか否か判定する(ステップS41)。CPU30は開閉検知部36が扉または窓の開閉操作を検知しなかった場合(S41:NO)、S40まで処理を戻し、所定の時間が経過するか又は開閉検知部36が検知するまで処理を続ける。CPU30は開閉検知部36が扉または窓の開閉操作を検知した場合(S41:YES)、フラグが0であるか否か判定する(ステップS42)。CPU30はフラグが0である場合(S42:YES)、フラグを1にセットする(ステップS43)。CPU30はフラグが1である場合(S42:NO)、フラグを0にセットし(ステップS44)、S40まで処理を戻し、処理を続ける。
【0073】
CPU30は所定の時間間隔に達したと判定した場合(S40:YES)、CPU30はフラグが0であるか否か判定する(ステップS45)、CPU30はフラグが0である場合(S45:YES)、CPU30は禁止信号を生成する(ステップS46)。CPU30は禁止信号に第3識別情報を付加する(ステップS47)。CPU30はフラグが1である場合(S45:NO)、CPU30は許可信号を生成する(ステップS48)。CPU30は許可信号に第3識別情報を付加する(ステップS49)。
【0074】
CPU30は第3識別情報を付加した禁止信号または許可信号をLF送信部33から送信し(ステップS50)、S40まで処理を戻し、処理を続ける。
【0075】
このように、無線送信装置3は所定の時間間隔毎に、禁止信号又は許可信号を送信する。従って、無線機2が無線送信装置3の禁止信号又は許可信号の受信に失敗した場合でも、無線機2は所定の時間経過すれば禁止信号又は許可信号を受信できる。
【0076】
(実施の形態3)
以下本発明の実施の形態3をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図11及び
図12は実施の形態3に係る扉施錠システムのブロック図である。以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態1と同等であり、簡潔のため記載を省略する。
【0077】
図11は実施の形態3に係る無線送信装置3の一構成例を示すブロック図である。実施の形態3に係る無線送信装置3は、1又は複数の内部LF送信部33a(内部送信部)及び1又は複数の外部LF送信部33b(外部送信部)を備える。1又は複数の内部LF送信部33aが1又は複数の内部LFアンテナ34aに接続され、1又は複数の外部LF送信部33bが1又は複数の外部LFアンテナ34bに接続されている。
【0078】
CPU30は複数の無線信号を生成する。CPU30は自身を識別する第3識別情報を複数の無線信号に付加する。CPU30は開閉検知部36が建物の扉の開閉操作を検知した場合、内部LF送信部33a及び外部LF送信部33bにて複数の無線信号を記憶部32に記憶された順序で、順次送信するよう制御信号を出力する。
【0079】
図12は実施の形態3に係る無線機2の一構成例を示すブロック図である。実施の形態1と異なる点はLF受信部23aに検知部26が配置されている点である。LF受信部23aは内部LF送信部33a及び外部LF送信部33bから送信された無線信号を順次受信する。検知部26は順次受信した複数の無線信号の信号強度をCPU20に出力する。
【0080】
検知部26は例えば公知のRSSI(Received Signal Strength Indicator)である。RSSIはLF受信部23aにて受信した無線信号を整流するなどして、受信信号の信号レベルを検知する。CPU20は入力された信号強度を比較して例えばRSS(Received Signal Strength)を用いて、無線送信装置3と無線機2との間の距離を求める。記憶部22には内部LF送信部33aまたは外部LF送信部33bにて送信される無線信号の順序が記憶されている。
【0081】
図13は実施の形態3に係る無線機2の動作を示す模式図である。
図13に示すように、可搬型の無線機2は建物8の外部または内部に設置されている。無線送信装置3は建物8の扉または窓に設置されている。無線送信装置3の内部LF送信部33a及び内部LFアンテナ34aは建物の内部に設置され、外部LF送信部33b及び外部LFアンテナ34bは建物の外部に設置されている。
【0082】
まずユーザが所持する無線機2が建物8の扉または窓から建物8の外部に出る。無線送信装置3の開閉検知部36は扉または窓の開閉操作を検知し、無線送信装置3のCPU30に操作信号を出力する。操作信号を入力されたCPU30は複数の無線信号を内部LF送信部33a及び外部LF送信部33bから順次送信する。無線機2の送受信部23は内部LF送信部33a及び外部LF送信部33bから送信された無線信号を順次受信する。無線機2のCPU20は受信した無線信号に含まれる第3識別情報と記憶部22に記憶された第2識別情報に基づいて、認証処理を行う。CPU20は識別情報が一致していると判定した場合、受信した順序によって内部LF送信部33a及び外部LF送信部33bにて送信された無線信号を判別し、夫々の無線信号の信号強度を検知する。CPU20は夫々の無線信号の信号強度を比較する。外部LFアンテナ34bは内部LFアンテナ34aより無線機2に近いため、距離減衰により外部LF送信部33bにて送信された無線信号が内部LF送信部33aにて送信された無線信号より強いと判定する。この場合、無線機2は建物8の外部にあると特定し、応答信号の送信を許可する。
【0083】
次にユーザが所持する無線機2が建物8の扉または窓から建物8の内部に入る。無線送信装置3の開閉検知部36は扉または窓の開閉操作を検知し、無線送信装置3のCPU30に操作信号を出力する。操作信号を入力されたCPU30は複数の無線信号を内部LF送信部33a及び外部LF送信部33bから記憶部32に記憶した順序で、順次送信する。無線機2の送受信部23は内部LF送信部33a及び外部LF送信部33bから送信された無線信号を順次受信する。無線機2のCPU20は受信した無線信号に含まれる第3識別情報と記憶部22に記憶された第2識別情報に基づいて、認証処理を行う。CPU20は識別情報が一致していると判定した場合、受信した順序によって内部LF送信部33a及び外部LF送信部33bにて送信された無線信号を判別し、夫々の無線信号の信号強度を検知する。CPU20は夫々の無線信号の信号強度を比較する。内部LFアンテナ34aは外部LFアンテナ34bより無線機2に近いため、距離減衰により内部LF送信部33aにて送信された無線信号が外部LF送信部33bにて送信された無線信号より強いと判定する。この場合、無線機2は建物8の外部にあると特定し、応答信号の送信を禁止する。
【0084】
図14及び
図15は実施の形態3に係る扉の解錠処理の手順を示すフローチャートである。S1乃至S15以外の処理は上述の実施の形態1に係る扉施錠システムと同様であるので、簡潔のため説明を省略する。無線送信装置3のCPU30は開閉検知部36が扉または窓の開閉操作を検知するか否か判定する(ステップS50)。CPU30は開閉検知部36が扉または窓の開閉操作を検知しなかった場合(S50:NO)、扉または窓の開閉操作を検知されるまで待機する。CPU30は開閉検知部36が扉または窓の開閉操作を検知した場合(S50:YES)、CPU30は複数の無線信号を生成する(ステップS51)。CPU30は複数の無線信号に第3識別情報を付加する(ステップS52)。CPU30は内部LF送信部33a及び外部LF送信部33bから第3識別情報を付加した無線信号を無線機2に順次送信する(ステップS53)。なお、本実施形態ではCPU30は外部LF送信部33bにて無線信号を送信した後、内部LF送信部33aにて無線信号を送信したが、CPU30が無線信号を送信する順序は逆であってもよい。CPU30はS53の処理が終わった後、またS50に戻り、処理を続ける。
【0085】
無線機2のCPU20は、第3識別情報を付加した複数の無線信号をLF受信部23aにて受信する(ステップS54)。CPU20は受信した複数の無線信号に含まれる第3識別情報と、記憶部22に記憶した第2識別情報とを基に認証処理を行う(ステップS55)。
【0086】
CPU20は、認証に成功したか否か、即ち複数の無線信号に含まれる第3識別情報と記憶部22に記憶した第2識別情報とが一致するか否か判定する(ステップS56)。CPU20は第3識別情報と第2識別情報とが一致しなかった場合(S56:NO)、CPU20は処理を終了する。CPU20は第3識別情報と第2識別情報とが一致した場合(S56:YES)、CPU20はLF受信部23aが受信した順序により、内部送信部33aまたは外部LF送信部33bのいずれから送信された無線信号なのか判別する。具体的には、LF受信部23aが複数の無線信号を受信した順序をCPU20に入力する。CPU20は予め記憶部22に記憶された複数の無線信号を受信する順序を読み出す。CPU20は記憶部22から読み出した順序に基づいて、受信した無線信号の内、1番目を内部LF送信部33aにて送信された無線信号であり、2番目を外部LF送信部33bにて送信された無線信号であると判別する(ステップS57)。
【0087】
検知部26は夫々の無線信号の信号強度を検知し、CPU20に検知した夫々の無線信号の信号強度を出力する(ステップS58)。CPU20は内部LF送信部33aまたは外部LF送信部33bから送信された無線信号の信号強度を比較して位置を特定する(ステップS59)。具体的にはCPU20は内部LF送信部33aから送信された無線信号の信号強度が外部LF送信部33bから送信された無線信号の信号強度より強いと判定した場合、無線機2は建物の内部にあると判断する。CPU20は外部LF送信部33bから送信された無線信号の信号強度が内部LF送信部33aから送信された無線信号の信号強度より強いと判定した場合、無線機2は建物の外部にあると判断する。
【0088】
CPU20は、無線機2が建物の内部にあると判断したか否かを判定する(ステップS60)。CPU20は、無線機2が建物の内部にあると判定した場合(S60:YES)、CPU20は送信禁止状態になる(ステップS61)。CPU20は無線機2が建物の外部にあると判定した場合(S60:NO)、CPU20は送信許可状態になる(ステップS62)。以降は実施の形態1と同様の処理を行う。
【0089】
このように、無線送信装置3が建物8の内部LF送信部33a及び外部LF送信部33bから無線信号を順次送信する。無線機2のCPU20が夫々の無線信号の信号強度を比較することにより建物の内部にある場合、CPU20が送信禁止状態になり、無線機2が建物の外部にある場合、CPU20が送信許可状態になる。従って、ユーザが所持する無線機2が建物の内部に入った場合、CPU20が送信禁止状態になることによって、リレーアタックによる車輌盗難を防止できる。
【0090】
(実施の形態4)
実施の形態3では、無線送信装置3は扉または窓の開閉操作を検知した場合に、無線信号を送信する構成とした。実施の形態4の無線送信装置3は所定の時間間隔毎に、無線信号を送信するようにしてもよい。なお、無線送信装置3は所定の時間間隔毎に無線信号を送信し、かつ扉または窓の開閉操作を検知する毎に無線信号を送信するようにしてもよい。
【0091】
図16は実施の形態4に係る無線送信装置3が行う扉の解錠処理の手順を示すフローチャートである。以下、特に説明する構成、作用以外の構成及び作用は実施の形態3と同等であり、簡潔のため記載を省略する。
【0092】
無線送信装置3のCPU30は、計時部35により時間を計測し、所定の時間間隔に達したか否か判定する(ステップS70)。所定の時間間隔は記憶部32に記憶されており、例えば数秒乃至数十秒とすればよい。
【0093】
CPU30は所定の時間間隔に達したと判定した場合(S70:YES)、CPU30は複数の無線信号を生成する(ステップS71)。CPU30は複数の無線信号に第3識別情報を付加する(ステップS72)。内部LF送信部33a及び外部LF送信部33bから第3識別情報を付加した無線信号を順次送信する(ステップS73)。CPU30はS73の処理が終わった後、S70まで処理を戻し、所定の時間間隔が経過するまで処理を続ける。CPU30は所定の時間間隔に達していないと判定した場合(S70:NO)、S70まで処理を戻し、所定の時間間隔が経過するまで処理を続ける。
【0094】
従って、無線機2が複数の無線信号の受信に失敗した場合でも、無線機2は所定の時間を経過すれば複数の無線信号を受信できる。
【0095】
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。