特許第6048206号(P6048206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6048206被搬送物の取り扱い方法及び取り扱いシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048206
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】被搬送物の取り扱い方法及び取り扱いシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/00 20060101AFI20161212BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   B65G43/00 A
   B65G1/137 A
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-33001(P2013-33001)
(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公開番号】特開2014-162578(P2014-162578A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】土井 暁
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 理史
(72)【発明者】
【氏名】大本 絵利
(72)【発明者】
【氏名】浜田 耕史
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−182323(JP,A)
【文献】 特開2002−308440(JP,A)
【文献】 特開2001−323676(JP,A)
【文献】 特開2000−255719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00
B65G 1/137
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送計画に従い台車を用いて被搬送物を搬送する被搬送物の取り扱い方法において、
前記台車が稼働しない空き時間が生じた場合に、被搬送物を整理搬送するために要する要搬送時間を演算するとともに、演算された要搬送時間と前記空き時間とを照合し、その空き時間中に前記要搬送時間を確保できるときに、前記台車を稼働させて被搬送物を所定位置に搬送する被搬送物の取り扱い方法。
【請求項2】
複数枚積層された一群の被搬送物を一搬送単位として取り扱う請求項1に記載の被搬送物の取り扱い方法。
【請求項3】
前記搬送計画は、被搬送物をそのストックエリアにストックのために搬入し、ストックエリアにストックされた被搬送物を搬出エリアに搬出する手順である請求項1または2に記載の被搬送物の取り扱い方法。
【請求項4】
整理搬送は、搬出エリアの空き状況を確認し、ストックエリアにストックされた被搬送物を搬出エリアの空き位置に搬送する請求項3に記載の被搬送物の取り扱い方法。
【請求項5】
搬送計画に従い被搬送物を搬送するための台車を備えた被搬送物の取り扱いシステムにおいて、
被搬送物の搬送計画を記憶する記憶部と、
被搬送物が搬出される搬出エリアの空き状況と被搬送物を搬出エリアに搬出するために要する要搬出時間とを演算する演算部と、
前記台車が稼働しない空き時間と前記要搬出時間とを照合して要搬出時間の確保の有無を判別する判別部と、
その判別部が要搬出時間の確保可能と判別したときに、前記台車の動作を制御して被搬送物を搬出エリアの空き位置へ搬送させる制御部と
を備えた被搬送物の取り扱いシステム。
【請求項6】
搬入位置に搬入された被搬送物をストックエリアにストックするとともに、ストックされた被搬送物を搬出エリアに搬出するための台車を備えた被搬送物の取り扱いシステムにおいて、
被搬送物の搬送計画を記憶する記憶部と、
搬出エリアの空き状況と被搬送物をストックエリアから搬出エリアに搬出するために要する要搬出時間とを演算する演算部と、
前記搬送計画を参照して前記要搬出時間の確保の有無を判別する判別部と、
その判別部が要搬出時間の確保可能と判別したときに、前記台車の動作を制御して被搬送物をストックエリアから搬出エリアへ搬送させる制御部と
を備えた被搬送物の取り扱いシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば高層ビルの建設現場において、壁パネルや床パネル等の建築資材よりなる被搬送物を搬送する場合に用いられる被搬送物の取り扱い方法及び取り扱いシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の被搬送物の取り扱いシステムとしては、例えば特許文献1に開示されるような構成が提案されている。この従来構成では、ビルの建設現場において、建築資材を搬送するための自走台車が、荷取り地点から荷降ろし地点までの各地点に設置された標識の指示内容を認識して、その認識結果に基づいて自走するようになっている。これにより、建築資材が荷取り地点から荷降ろし地点まで自動搬送されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−296227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昨今では高層ビルの建設現場において、低層階等に建築資材をストックするためのストックエリアを設け、壁パネルや床パネル等の種類ごとに分別してストックしている。そして、ストックエリアにストックされた建築資材を搬出計画に基づいて台車により搬出エリアに搬出した後、エレベータに搭載して高層階等の施工位置まで搬送するようにしている。
【0005】
このように、台車を用いて建築資材を搬送する場合には、その搬送を計画に基づいて効率よく行う必要がある。しかしながら、前記特許文献1には、このような建築資材の搬送を効率よく行う方法については全く開示されていない。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、台車の稼働空き時間を利用して、搬出エリアへの被搬送物の搬出を効率よく行うことができる被搬送物の取り扱い方法及び取り扱いシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、被搬送物の取り扱い方法に係る発明では、搬送計画に従い台車を用いて被搬送物を搬送する被搬送物の取り扱い方法において、前記台車が稼働しない空き時間が生じた場合に、被搬送物を整理搬送するために要する要搬送時間を演算するとともに、演算された要搬送時間と前記空き時間とを照合し、その空き時間中に前記要搬送時間を確保できるときに、前記台車を稼働させて被搬送物を所定位置に搬送することを特徴としている。
【0008】
また、被搬送物の取り扱いシステムに係る発明では、被搬送物を搬送するための台車を備えた被搬送物の取り扱いシステムにおいて、被搬送物の搬送計画を記憶する記憶部と、搬出エリアの空き状況と被搬送物をそのストックエリアから搬出エリアに搬出するために要する要搬出時間とを演算する演算部と、前記搬送計画を参照して前記要搬出時間の確保の有無を判別する判別部と、その判別部が要搬出時間の確保可能と判別したときに、前記台車の動作を制御して被搬送物をストックエリアから搬出エリアへ搬送させる制御部とを備えたことを特徴としている。
【0009】
従って、この被搬送物の取り扱い方法及び取り扱いシステムにおいては、搬送計画に基づいて、台車により搬送される。この場合、被搬送物の搬送計画を参照して、台車の稼働空き時間が確認されるとともに、被搬送物を搬出するために要する要搬出時間が演算される。そして、要搬出時間の確保が可能と判別されたときに、台車が動作されて被搬送物がストックエリアから搬出エリアに搬出される。よって、台車の空き時間を利用して、ストックエリアにストックされた被搬送物を搬出エリアへ効率よく搬出することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、この発明によれば、台車の稼働空き時間を利用して、搬出エリアへの被搬送物の搬送を効率よく行うことができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の被搬送物の取り扱いシステムを示す平面図。
図2】(a)〜(c)は図1の被搬送物の取り扱いシステムにおいて台車による被搬送物の搬送動作を順に示す斜視図。
図3図2の台車を拡大して示す側面図。
図4図3の4−4線における断面図。
図5図3の台車を拡大して示す部分破断正面図。
図6図4の6−6線における拡大断面図。
図7図6の7−7線における拡大断面図。
図8図6の8−8線における拡大断面図。
図9】被搬送物の取り扱いシステムの回路構成を示すブロック図。
図10】被搬送物の取り扱いシステムの運転開始時における表示操作パネルの表示画面を示す図。
図11】被搬送物の取り扱いシステムの整理作業モードの選択時における表示操作パネルの表示画面を示す図。
図12】同被搬送物の取り扱いシステムにおける被搬送物の取り扱い動作を示すフローチャート。
図13図1の被搬送物の取り扱いシステムにおいてストックエリアに横長状の被搬送物をストックする場合の状態を示す平面図。
図14】同被搬送物の取り扱いシステムにおいてストックエリアに横長及び縦長状の被搬送物をストックする場合の状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、壁パネルや床パネル等の建築資材よりなる被搬送物を搬送するための被搬送物の取り扱い方法及び取り扱いシステムの一実施形態を図面に従って説明する。この取り扱いシステムとしての搬送システムは、荷姿状態であって、積層された複数枚の壁パネル等の被搬送物を一群とし、その一群を一搬送単位として、あらかじめ定められた搬入計画及び搬出計画よりなる搬送計画に従って高層ビルの高層階等の施工現場に搬送するものである。
【0013】
図1に示すように、この被搬送物の取り扱いシステムは、高層ビルの建設現場において1階等の低層階あるいは地下階の床面21に設置されている。床面21の一側部には、ひとつの搬入エリア22が設けられている。この搬入エリア22には、複数の搬入ステーション221が所定間隔おきに1方向に並べて配置されている。各搬入ステーション221には、図2に示すように一対の輪木23が間隔をおいて並設されている。
【0014】
搬入エリア22の近傍には、仮置きエリア(図示しない)が設けられている。そして、壁パネルや床パネル等の複数の積層状態で、かつ荷姿状態の建築資材よりなる被搬送物24がトラック等によりこの仮置きエリアに仮置きされる。そして、被搬送物24は、荷姿状態を解かれることなく、後述のストックエリア26や搬出エリア29に向けて搬送される。
【0015】
そして、図2及び図3に示すように、被搬送物24は、前記搬送計画に従って前記仮置きエリアから自走台車(以下、単に台車という)33により搬入エリア22の所定の搬入ステーション221の輪木23上に床面21から浮き上がった状態で支持される。このとき、図2(a)、図3及び図4に示すように、各搬入ステーション221の被搬送物24の上面には、無線タグ25が作業者によって載せられる。この無線タグ25には、被搬送物24の種類、大きさ、製造元等の属性を示すデータが記憶されていて、そのデータが常時あるいは一定時間ごとに発信される。
【0016】
一方、図9に示すように、前記台車33は、後述する制御装置46を有し、制御装置46の後述のプログラム記憶部92に記憶された搬送計画に従って台車33の走行等が制御される。この搬送計画には、搬入される被搬送物24の種類や量,あるいは搬送先等のデータが含まれており、台車33の制御装置46は、無線タグ25からのデータを搬送計画の被搬送物24のデータと照合する。また、台車33の後述のデータ記憶部93は、台車33が搬送した被搬送物の搬送先の位置等の搬送作業に関する各種の履歴情報を記憶する。
【0017】
図1に示すように、前記搬入エリア22の近傍の床面21上には、ストックエリア26が設けられている。ストックエリア26には、複数のストックライン27が平行に配列されている。各ストックライン27には、複数(実施形態では5つ)のストックステーション271が所定間隔おきに1方向に並べて配置されている。各ストックステーション271には、前記搬入ステーション221と同様に一対の輪木23が並設されている。
【0018】
前記搬入ステーション221及び各ストックステーション271の床面21上には、ストックステーション271の位置を指示する磁性体よりなるマーク28が貼付されている。
【0019】
図1に示すように、前記ストックエリア26の側方の床面21上には、搬出エリア29が設けられている。搬出エリア29には、複数の搬出ライン30が配列されている。各搬出ライン30には、複数(実施形態では5つ)の所定位置としての搬出ステーション301が一定間隔おきに1方向に並べて配置されている。各搬出ステーション301には、前記搬入ステーション221及びストックステーション271と同様に一対の輪木23が並設されている。各搬出ステーション301の床面21上には、搬出ステーション301の位置を指示する磁性体よりなるマーク31が貼付されている。
【0020】
そして、前記搬送計画は、被搬送物24をストックエリア26に搬入するための搬入計画と、ストックエリア26の被搬送物24を搬出エリアに搬出するための搬出計画とよりなる。
【0021】
ストックエリア26の近傍位置には、被搬送物24を施工階へ搬送するためのエレベータ32が設置されている。
図1に示すように、前記搬入エリア22の近傍の床面21上には、被搬送物24を搬送するための台車33を待機させるための待機ステーション34が設けられている。床面21上において、待機ステーション34、搬入エリア22の各搬入ステーション221、ストックエリア26の各ストックステーション271、搬出エリア29の各搬出ステーション301の間には、台車33の移動経路を構成するための磁性体よりなる誘導ライン35が形成されている。誘導ライン35の各分岐部における床面21上には、分岐部を指示する磁性体よりなるマーク36が貼付されている。
【0022】
そして、前記搬入エリア22の搬入ステーション221に搬入される被搬送物24が、搬入計画に基づいて台車33によりストックエリア26に搬送され、所定のストックライン27のストックステーション271にストックされる。この場合、被搬送物24は、ストックライン27ごとに種類が分別され、ひとつのストックライン27には1種類の被搬送物24がストックされる。ストックステーション271にストックされた被搬送物24は、搬出計画に基づいて台車33により搬出エリア29に搬出されて、あらかじめ決められた空いている搬出ライン30の搬出ステーション301に一時的に定置され、エレベータ32への搬入を待機する。
【0023】
図2(a)〜(c)に示すように、搬入及び搬出においては、台車33が誘導ライン35に従って所要位置まで自動走行されて、被搬送物24を自動的に積み降ろしする。つまり、台車33は、前記各マーク31,36に従ってステーションの位置やラインの分岐位置を確認し、その位置において走行方向の変更や積み下ろしのために走行方向を前進・後退の切り替えや操舵動作を自律的に自動で行う。その後、搬出ステーション301の被搬送物24が、作業者によって操作される台車により搬出エリア29からエレベータ32に積み込まれて、施工階まで届けられる。
【0024】
次に、前記台車33の構成について詳細に説明する。
図2(a)〜(c)及び図3図5に示すように、台車33には、平面形長四角枠状のフレームを構成するとともに、上面を被搬送物24の載置面とした移動台41が備えられている。移動台41の下面四隅には、床面21上において移動台41の移動を可能にするための4つの車輪としての補助輪43が取り付けられている。これらの補助輪43は、走行方向を360度にわたって自在に変更可能なキャスタにより構成されている。そして、この移動台41の上面前部に被搬送物24が載置される。
【0025】
図3図5に示すように、前記移動台41の上面後部には、支持枠45が取り付けられている。支持枠45上には、台車33全体の動作を制御するための制御装置46がカバー47内に収容した状態で支持されている。カバー47の上面には、タッチパネル式の表示操作パネル48が設けられている。支持枠45内において移動台41上には、前記制御装置46、後記リニアモータ57や移動用モータ63等に電力を供給するためのバッテリ49が搭載されている。移動台41の後端部には、移動台41の移動を人力操作するための操作ハンドル50が立設されている。
【0026】
図3図5に示すように、前記移動台41の両側面には、一対のレール51が前後方向に延長された状態で固定されている。両レール51上には、正面形ほぼ逆L字状をなす一対の作動体52が複数のガイドローラ53を介して移動可能に支持されている。両作動体52の外側面の下端縁には、一対のアーム54が前方に向かって延出するように固定されている。両アーム54の前端部間には、連結バー55が架設されている。連結バー55の前部には、一対の輪木23上に支持された被搬送物24の下側位置に両アーム54が進入するのを案内するための傾斜状の案内板56が取り付けられている。
【0027】
図3図5に示すように、移動台41の内部両側には、一対のリニアモータ57が前後方向に延びるように支持されている。各リニアモータ57のスライダ571が、前記各作動体52に対して連結されている。そして、これらのリニアモータ57により、作動体52が前後方向に移動されて、両アーム54が移動台41の前端から前方に突出する前進位置と、移動台41の両側に位置する後退位置との間で移動される。
【0028】
図3図5に示すように、前記両アーム54の前端部外側面には、一対の昇降装置58が搭載されている。そして、図2(a)に示すように、前記搬入エリア22の搬入ステーション221やストックエリア26のストックステーション271において、一対の輪木23上に支持された被搬送物24に対して移動台41が対向配置される。この状態で、両アーム54が移動台41の両側の後退位置から移動台41の前方に突出する前進位置に移動されることにより、図2(b)に示すように、各昇降装置58が被搬送物24の下方に進入される。その後、図3に鎖線で示すように、各昇降装置58が上昇動作されることにより、被搬送物24が下面両側において輪木23上から持ち上げられて、移動台41の上面の載置面より高い位置に配置される。この状態において、図2(c)に示すように、移動台41が被搬送物24の下方位置まで前進された後、昇降装置58が下降動作されることによって、被搬送物24が移動台41の載置面上に移載される。
【0029】
図3図5に示すように、前記移動台41の下面における左右方向の中央部には、前後一対の移動機構59が支軸60を介して旋回可能に配置されている。各移動機構59は、箱型のケース61と、そのケース61の両側に回転可能に支持された一対の移動用の車輪62と、各車輪62を別々に回転駆動するための一対の正逆回転可能な移動用モータ63とを備えている。そして、各移動用モータ63によって一対の車輪62が同一の回転速度で同方向に回転されることにより、移動台41が直進移動される。また、各移動用モータ63によって一対の車輪62が異なった回転速度で回転されることにより、その回転差に応じて移動台41の移動方向が変更される。この移動機構59により、移動台41の移動方向を変更するための方向変更機構、言い換えれば操舵機構が構成されている。また、移動用モータ63が逆方向に回転されることにより、移動台41が後退移動される。
【0030】
図2(a)及び図4に示すように、前記移動台41の前面には、搬入エリア22の搬入ステーション221及びストックエリア26のストックステーション271において、被搬送物24上の無線タグ25からの無線データを受信するタグ情報受信器64が設けられている。移動台41の前面には、搬入エリア22の搬入ステーション221、ストックエリア26のストックステーション271及び搬出エリア29の搬出ステーション301において、被搬送物24の有無を光学的に検出する被搬送物検出センサ65が設けられている。そして、所定のステーション221,271,301の被搬送物24上の無線タグ25が搬送計画と異なる種類の被搬送物24を示すデータを発信している場合には前記制御装置46によりエラー処理が行われる。このエラー処理においては、ブザーによる報知動作が行われるとともに、台車33の搬送動作が中断される。また、被搬送物24が存在するべきステーションにおいて被搬送物24が被搬送物検出センサ65によって検出されない場合にも、前記制御装置46により同様なエラー処理が行われる。
【0031】
図3及び図5に示すように、前記各移動機構59のケース61の前後両面には、床面21上の誘導ライン35を読み取る磁気センサよりなる一対のライン読取センサ66が設けられている。各移動機構59のケース61の前後両面には、ストックステーション271及び搬出ステーション301においてマーク28,31を読み取るとともに、誘導ライン35の分岐部においてマーク36を読み取る磁気センサよりなる一対のマーク読取センサ67が設けられている。
【0032】
次に、前記昇降装置58の構成について詳細に説明する。
図3図5に示すように、前記台車33における両アーム54の先端部外面には、上面を開放したほぼ箱型の支持筐体71が取り付けられている。図6図8に示すように、支持筐体71内の前部には、昇降台72が左右一対の四節リンク機構73を介して昇降可能に支持されている。各四節リンク機構73は、基端において支軸74により支持筐体71の側壁内面に回動可能に支持された第1リンク75と、その第1リンク75から間隔をおいた位置で、基端において支持ピン76により支持筐体71の側壁内面に回動可能に支持された第2リンク77とを備えている。また、第1リンク75及び第2リンク77の先端部間には連結軸78,79を介して連結リンク80が相対回動可能に連結されている。支持筐体71が四節リンクの残りのリンクを構成している。そして、両四節リンク機構73の連結リンク80間に、前記昇降台72が架設支持されている。
【0033】
図6及び図8に示すように、前記支持筐体71内の中央部には、一対のカム部材81が複数の結合ピン82により一体に結合された状態で、複数の支持ローラ83によって前後方向へ移動可能に支持されている。各カム部材81の上面には、前端から後端にわたって次第に高くなる傾斜状のカム面811が形成されている。そして、このカム部材81のカム面811が、第2リンク77と連結リンク80との間のカムフォロワ機能兼用の連結軸79の外周面に対して下側から係合されるようになっている。前記カム面811は、上側に移行するに従って傾斜が少なくなるように全体として少なくとも上部側が湾曲されている。
【0034】
図6及び図8に示すように、前記支持筐体71内の後部には、昇降用シリンダ84が配置されている。昇降用シリンダ84のピストンロッド841が、連結ピン85を介してカム部材81に連結されている。そして、昇降用シリンダ84が没入された状態においては、図6に実線で示すように、カム部材81が後方位置に配置されて、昇降台72が支持筐体71内の下方位置に配置されている。これに対して、図2(b)に示すように、昇降装置58が被搬送物24の下方に進入された状態で、昇降用シリンダ84が前方に突出動作されたときには、図6に鎖線で示すように、カム部材81が前方位置に移動されて、カム面811のカム作用により、連結軸79を介して四節リンク機構73の第1,第2リンク75,77が上方に起立される。これにより、昇降台72が上方位置に移動されて、被搬送物24が持ち上げられる。
【0035】
図6及び図7に示すように、前記支持筐体71内の前部寄り及び後端部には、一対の側面形ほぼ逆U字状の支持部材86が取り付けられている。各支持部材86の下面には、一対の支持用の車輪87がサスペンション機構88を介して支持されている。各車輪87は、支持筐体71の底壁部に形成された透孔89を介して支持筐体71内から下方へ突出可能に構成され、床面21上を転動するようになっている。そして、通常時には、サスペンション機構88が伸長されて、車輪87が透孔89を介して支持筐体71の下面よりも下方に突出して配置され、支持筐体71の下面が床面21から離間した状態において走行可能に保持されている。これに対して、昇降装置58による被搬送物24の持ち上げ時には、その被搬送物24の重量により、サスペンション機構88が圧縮されて車輪87が支持筐体71に対して上方に相対移動され、その結果、支持筐体71の下面が床面21に接触されて、被搬送物24の荷重が受け止められる。
【0036】
次に、前記のような構成の台車33により、被搬送物24を搬送する場合の作用について説明する。
この台車33においては、通常時には、図2(a)に示すように、移動台41の両側のアーム54が後退位置に移動されて、各昇降装置58が移動台41の側方に配置されている。また、図3及び図6に実線で示すように、各昇降装置58においては、昇降台72が移動台41の上面の載置面よりも低い位置に下降されている。この状態で、被搬送物24の搬送作業が開始されると、移動機構59の移動用モータ63により車輪62が回転されるとともに、必要に応じて方向転換されたり、後退されたりして、移動台41が床面21上で誘導ライン35に沿って、所定のストックエリア26のストックステーション271等に移動される。この場合、ライン読取センサ66が誘導ライン35を読み取ることにより、移動台41の移動方向が決定されるとともに、マーク読取センサ67がマーク28,36を読み取ることにより、移動台41が方向転換される。そして、図2(a)に示すように、移動台41が被搬送物24を支持する一対の輪木23間の位置において、被搬送物24の幅方向の中央部に対向して配置され、被搬送物検出センサ65により被搬送物24の存在が確認される。
【0037】
続いて、両リニアモータ57により両アーム54が後退位置から前進位置に移動されると、図2(b)に示すように、各昇降装置58が被搬送物24の下方に進入される。この状態で、各昇降装置58において、昇降用シリンダ84が突出動作されると、図3及び図6に鎖線で示すように、カム部材81のカム作用により両四節リンク機構73の第1,第2リンク75,77が起立され、その四節リンク機構73を介して昇降台72が移動台41の上面の載置面より高い位置に上昇される。これにより、被搬送物24がその下面両側において輪木23上から持ち上げられて、移動台41の上面の載置面より高い位置に配置される。なお、カム面811は、上側に移行するに従って傾斜が少なくなるように上部側が湾曲されているため、第1,第2リンク75,77は、倒伏状態から起立状態まで円滑に起立回動される。
【0038】
その後、移動機構59の移動用モータ63により車輪62が回転され、図2(c)に示すように、移動台41が前方に移動されて、被搬送物24の下方に配置される。この状態で、各昇降装置58において昇降用シリンダ84が没入動作されると、図6に実線で示すように、カム部材81のカム作用により両四節リンク機構73の第1,第2リンク75,77の倒伏が許容されて、被搬送物24の荷重等により昇降台72が移動台41の上面の載置面より低い位置に下降される。これにより、図3の中央部に鎖線で示すように、被搬送物24が移動台41の上面の載置面に載置されて、その載置面に移載される。そして、移動機構59の移動用モータ63により車輪62が回転され、移動台41が前方または後方に移動されて、移動台41に載置状態の被搬送物24が所定の搬出エリア29の搬出ステーション301やエレベータ32まで搬送される。
【0039】
次に、前記のように構成された被搬送物の取り扱いシステムの電気機器に関する構成について説明する。
図9に示すように、前記台車33上に搭載された制御装置46には、制御部91、プログラム記憶部92、データ記憶部93及び通信部94が備えられている。制御部91は、プログラム記憶部92に記憶されたプログラムに従って取り扱いシステム全体の動作を制御する。通信部94は、搬入計画及び搬出計画よりなる搬送計画を実行するためのプログラム等の各種データを無線電波を介して外部から入力し、制御部91は、そのデータをプログラム記憶部92やデータ記憶部93に記憶させる。また、制御部91は、作業者によって操作される表示操作パネル48から被搬送物24の搬入計画及び搬出計画を含む諸データを入力したとき、それらのデータをプログラム記憶部92及びデータ記憶部93に記憶させる。制御部91は、演算部及び判別部を構成する。
【0040】
この場合、搬入計画のデータは、搬入エリア22の搬入ステーション221に搬入される被搬送物24の種類や量等を表すデータを有する。また、搬入計画のデータは、搬入ステーション221の被搬送物24の行き先、つまり被搬送物24が搬送されるストックエリア26のストックステーション271を示すデータを有する。また、搬出計画のデータは、ストックエリア26の各ストックステーション271にストックされた被搬送物24を搬出エリア29の搬出ステーション301に搬出する順序や時刻等を示すデータを有する。
【0041】
前記制御部91は、取り扱いシステムの運転中に表示操作パネル48に対して、入力操作を指示する画面や運転状況を示す画面を表示させる。制御部91は、前記タグ情報受信器64、被搬送物検出センサ65、ライン読取センサ66及びマーク読取センサ67からの読取データや検出データを入力する。制御部91は、前記被搬送物24の搬入計画及び搬出計画のデータ、及びタグ情報受信器64や各センサ65〜67からの読取データや検出データに基づき、記憶されたプログラムに従って前記台車33の移動用モータ63、リニアモータ57及び昇降用シリンダ84の動作を制御する。
【0042】
前記制御部91は、取り扱いシステムの運転時において、搬入計画及び搬出計画よりなる搬送計画外の台車33の空き時間において、ストックエリア26のストックステーション271にストックされた被搬送物24を搬出エリア29の搬出ステーション301に搬出するために要する要搬出時間を演算する演算部を構成している。制御部91は、データ記憶部93に記憶された被搬送物24の搬入計画及び搬出計画のデータを参照して前記要搬出時間の確保が可能か否かを判別する判別部を構成している。そして、制御部91は、前記判別部の判別において要搬出時間の確保が可能と判別したときに、台車33のモータ63,57やシリンダ84の動作を制御して、被搬送物24を一搬送単位ずつストックエリア26のストックステーション271から搬出エリア29の搬出ステーション301に搬送させる。
【0043】
前記制御部91は、通信部94を介して図示しない管理センター等に配置されたコンピュータに対して運転状況等のデータを送信するとともに、そのコンピュータから通信部94を介して前述の被搬送物24の搬入計画や搬出計画等のデータを受信して記憶処理や計画の動作処理をすることができる。
【0044】
次に、前記のように構成された被搬送物の取り扱いシステムにより、被搬送物24を搬送処理する作用について説明する。
この被搬送物の取り扱いシステムの運転においては、制御部91の制御によりプログラム記憶部92に記憶されたプログラムに従って、図12に示す各ステップ(以下、単にSという)の動作が順に実行される。
【0045】
図10に示す表示操作パネル48の計画運転キーと整理運転キーとが表示された状態でそれらのキーが押下されると、計画運転モード及び整理運転モードが始動される。そして、S1において、被搬送物24の搬入または搬出計画のデータが外部から通信部94を介して取得されて、それらの計画のデータがデータ記憶部93に記憶される。なお、必要に応じて、この搬入及び搬出計画は、作業者が制御装置46の表示操作パネル48から入力されることもある。また、システムの運転時には、搬入エリア22の搬入ステーション221に搬入されている被搬送物24の種類と量はデータ記憶部93に記憶されて、制御装置46によって認識されている。
【0046】
次のS2においては、プログラムに従って搬送計画が実行される。このため、搬入エリア22の搬入ステーション221に搬入された被搬送物24が、データ記憶部93に記憶された搬入計画のデータに基づいて、台車33によりストックエリア26の決められたストックステーション271に搬送されて種類ごとに分別してストックされる。この場合、非搬送物上の無線タグ25から発信された情報はタグ情報受信器64により受信されて、制御部91によって照合される。そして、その識別結果に従って、被搬送物24の種類やストックされるストックステーション271が確認される。さらに、この場合、図11に示す表示操作パネル48の表示から明らかなように、ひとつのストックライン27には1種類の被搬送物24がストックされ、種類の異なるものが混在されることはない。また、施工の進行度合いに合わせて、ストックエリア26内の必要な種類及び量の被搬送物24が搬出エリア29の決められた搬出ステーション301に搬出されて一時的に留め置かれる。そして、図10に示す手動運転キーの押下に続いて作業者によって手動操作される台車33により、搬出ステーション301の被搬送物24がエレベータ32内に搬送されて、高層階等の施工位置に送り込まれる。
【0047】
なお、搬送計画に従う計画運転においては、搬入エリア22の搬入ステーション221に搬入される被搬送物24に対して無線タグ25を載せることと、被搬送物24をエレベータ32に搬出することが作業者によって行われ、他の動作は自動的に遂行される。
【0048】
続いて、S3においては、制御部91によりプログラム記憶部92のプログラム情報が参照されて、例えば、昼休みや小休止、あるいは夜間等のように、搬送計画外の空き時間,つまり搬送計画外の台車33の非稼働時間があるか否かが判断される。
【0049】
S4において、制御部91によりデータ記憶部93の履歴情報が参照されて、搬出エリア29の搬出ステーション301に空きがあるか否かが判別される。この判別において、搬出ステーション301に空きがある場合には、整理運転が開始される。そして、次のS5に進行して、ストックエリア26のストックステーション271にストックされた被搬送物24のうちで、搬出計画の進行順序の先頭の被搬送物24を搬出エリア29の搬出ステーション301に対して搬出するために要する要搬出時間が演算される。その演算データはデータ記憶部93に記憶される。
【0050】
S6においては、前記空き時間とデータ記憶部93に記憶された前記要搬出時間とが照合される。
続くS7においては、空き時間内において前記要搬出時間の確保が可能であるか否かが判別される。
【0051】
そして、このS8においては、台車33が動作されて、ストックエリア26のストックステーション271にストックされた被搬送物24が搬出エリア29の空いている搬出ステーション301に搬送される。搬出ステーション301への搬出作業が終了すると、プログラムはS2に戻り、前記のルーチンが繰り返される。なお、前記S3及びS4に判別が否の場合にも、プログラムはS2に戻る。
【0052】
そして、作業者によって、搬送システムの稼働終了の動作が行なわれた場合には、S9の判断を経てプログラムが終了する。
以上のように、台車33の稼働空き時間を利用して、ストックエリア26にストックされた被搬送物24を整理のために搬出エリア29へ順に効率よく搬出することができる。なお、被搬送物24上に載置された無線タグ25は、被搬送物24がエレベータ32に移載される前に、作業者によって回収される。
【0053】
なお、搬送システムの稼働中には、台車33上の表示操作パネル48に図11に示すような運転状況を示す画面が表示されて、被搬送物24の位置が色分け表示される。
前記被搬送物24の搬送処理動作は、1つの搬入ステーション221、ストックステーション271及び搬出ステーション301にそれぞれ配置可能な大きさの被搬送物24を搬送する場合について説明したが、それよりも大きな被搬送物24を搬送処理する場合には、次のように取り扱われる。
【0054】
図13に示すように、横長状の被搬送物24を例えばストックエリア26のストックステーション271に搬送してストックする場合には、台車33により被搬送物24が隣接する3本のストックライン27のうちの中央のストックライン27に沿って搬送される。そして、被搬送物24が3本のストックライン27上の3つのストックステーション271に跨った状態で配置される。また、図14に示すように、横方向の寸法及び縦方向の寸法が大きい被搬送物24を例えばストックエリア26のストックステーション271に搬送してストックする場合には、前記の場合と同様に、台車33により被搬送物24が隣接して平行に延びる3本のストックライン27のうちの中央のストックライン27に沿って搬送される。そして、被搬送物24が横方向及び縦方向に隣接する6つのストックステーション271に跨った状態で配置される。
【0055】
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) 前記実施形態においては、被搬送物24を整理搬送するために要する要搬送時間を演算するとともに、その要搬送時間と台車33の稼働空き時間と照合し、前記要搬送時間を確保できるときに、被搬送物24を整理搬送するようにしている。よって、台車33の稼働空き時間を利用して、被搬送物24を所要の位置へ整理搬送して、次の作業に備えることができる。従って、搬送作業全体を能率よく行なうことができる。
【0056】
(2) 前記実施形態においては、一群の被搬送物24を一搬送単位として取り扱うため、搬送作業を効率的に行なうことができる。
(3) 前記実施形態においては、前記搬送計画は、被搬送物をストックエリア26にストックのために搬入し、そのストックエリア26にストックされた被搬送物24を搬出エリア29に搬出する手順に従うようになっている。このため、搬出エリア29からの被搬送物24を施工位置に搬送する作業を施工の進行段階に対して先行して行なうことができ、施工を円滑に進行させることができる。
【0057】
(4) 整理搬送は、搬出エリア29の空き状況を確認し、ストックエリア26にストックされた被搬送物24を搬出エリア29の空きステーション301に搬送するため、搬出エリア29が空になることを回避できる。このため、搬出エリア29への被搬送物24の到着を待つような必要がなくなり、施工位置への搬送作業をロスタイムが生じることなく、円滑に行なうことができる。
【0058】
(5) この実施形態においては、取り扱いシステムが、被搬送物24の搬入計画及び搬出計画を記憶する記憶部93と、被搬送物24をストックエリア26から搬出エリア29に搬出するために要する要搬出時間を演算する演算部としての制御部91とを備えている。また、同システムは、前記搬入計画及び搬出計画を参照して前記要搬出時間の確保の有無を判別する判別部としての制御部91と、その制御部91が要搬出時間の確保可能と判別したときに、前記台車33の動作を制御して被搬送物24をストックエリア26から搬出エリア29へ搬送させる制御部91とを備えている。よって、演算された要搬出時間を利用して被搬送物24を効率よく搬出することができる。
【0059】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 被搬送物24上の無線タグ25及び台車33上のタグ情報受信器64を省略すること。そして、搬送計画内に取り込まれた被搬送物24の種類や量、あるいは搬出先等の被搬送物24に関する情報に基づいて被搬送物24をストックエリア26のストックステーション271に搬送してストックしたり、搬出エリア29に搬送したりするように構成すること。つまり、前記搬送計画の外に、被搬送物24の搬送履歴を記憶して、それらを利用することにより、被搬送物24に識別のための無線タグ25を用いなくても、被搬送物24の搬送を誤ることなく行なうことができる。
【0060】
・ 管理センターに設けられたコンピュータに制御部91、プログラム記憶部92及びデータ記憶部93を設け、その管理センターの制御部91から通信部94を介して送信される無線指令に基づいて、建設現場の台車33が動作されるように構成すること。このようにすれば、台車33の構成が簡単になるとともに、被搬送物の取り扱いシステムの無人化が可能になる。この場合、管理センターが複数の建設現場の被搬送物の取り扱いシステムを統括してコントロールするように構成してもよい。このようにすれば、建設資材のデリバリ等を無駄なく効率よく行なうことが可能になる。
【0061】
・ 前記実施形態では、台車33の空き時間を利用して、被搬送物24をストックエリア26から搬出エリア29に搬出するようにした。これに対して、前記空き時間を利用して、被搬送物24を搬入エリア22からストックエリア26の空いている所定位置としてのストックステーション271に搬入させるようにすること。
【0062】
・ 無線タグ25から搬送計画の情報が発信されるように構成し、搬送計画を無線タグ25から発信された情報に従って行なうように構成すること。
・ 搬送計画を作業者の判断に従って実行すること。
【0063】
・ 前記実施形態の方法及び装置を港湾の荷役作業等、建築現場以外のところにおいて具体化すること。
・ 前記実施形態では、ひとつの種類の被搬送物24をストックエリア26のひとつのライン27内において混在しないようにしたが、混在してストックするように取り扱うこと。
【0064】
・ 台車33の昇降台72を昇降させる機構を四節リンク以外の機構,例えばネジ式ジャッキ機構を用いること。
前記実施形態から把握される技術的思想を以下に述べる。
【0065】
(A) 昇降台を支持する四節リンクと、四節リンクの一部に係合するカムとを備え、カムの作用によって四節リンクが動作されて昇降台が昇降されるように構成したジャッキ。
【0066】
このように構成すれば、昇降台を昇降させるための高精度なネジが不要になるとともに、カム作用を利用して小さな力で大きな昇降トルクを得ることができる。また、カムを一方向に直線的に移動させるだけで昇降台を昇降できるため、ネジを回転させて昇降させる場合と比較して、昇降に要する時間を短くできる。
【0067】
(B) 前記カムは四節リンクの軸にその下側から係合する前記(A)項に記載のジャッキ。
従って、四節リンクを下側から適切に昇降させることができる。
【0068】
(C) 前記四節リンクをフレームに支持するとともに、カムを所定範囲内で往復させるためのシリンダ等のアクチュエータを前記フレームに支持した前記(A)または(B)項に記載のジャッキ。
【0069】
(D) 前記フレームの上面位置には載置面を設け、フレームには床面上を転動する車輪を設けるとともに、前記四節リンクの作動によって昇降台が前記載置面の上方位置と下方位置との間を昇降される前記(C)項に記載のジャッキ。
【0070】
このように構成すれば、昇降台によって持ち上げた物品をフレームの載置面に移載することができるとともに、移載された物品を搬送することができる。
【符号の説明】
【0071】
21…床面、22…搬入エリア、221…搬入位置、24…被搬送物、26…ストックエリア、271…ストックステーション、29…搬出エリア、301…搬出ステーション、33…台車、35…誘導ライン、41…移動台、46…制御装置、48…表示操作パネル、54…アーム、57…リニアモータ、58…昇降装置、59…移動機構、62…車輪、63…移動用モータ、71…支持筐体、72…昇降台、73…四節リンク機構、81…カム部材、84…昇降用シリンダ、91…演算部及び判別部を構成する制御部、92…プログラム記憶部、93…データ記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14