(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0028】
高速高画質等を目的とした液体現像剤は、少ないエネルギで定着可能な低温定着性であることが好ましい。一般に低温定着性を高めるためには、液体現像剤を構成するトナー粒子のガラス転移点および軟化点等を下げ、溶融温度を下げる方策が考えられる。しかし、このようなトナー粒子を含む液体現像剤は、定着後の画像保存性(耐ドキュメントオフセット性)が低下する場合がある。
【0029】
特にシリコーンオイルを主成分とするキャリア液を使用した液体現像剤の場合、得られた画像の表面にシリコーンオイルを含有したキャリア液が残存することにより画像保存性が高まることが予想されるが、実際に定着後の用紙等の記録媒体を積層したり、冊子にして高温放置すると、画像の一部が転移して媒体間が接着する等の画像劣化(いわゆるドキュメントオフセット)が発生する場合があることがわかった。ところで、シリコーンオイルは他の鉱物油に比べて表面張力が低く、表面張力が低いと、表面への広がり性、浸透性が大きくなることが知られている。本発明者らがこのドキュメントオフセットについて詳細に検討した結果、シリコーンオイルを主成分とするキャリア液に分散させた液体現像剤では、定着後の画像上に残存するシリコーンオイルがその表面張力の低さ故に、積層された用紙等の記録媒体に吸収され、離型剤として働きにくくなること、また、ワックスとシリコーンオイルとの親和性が乏しいため、定着時にトナー画像上にしみ出したワックスは定着後にはキャリアオイルと分離して、用紙に吸収され、離型剤として働きにくくなることが推定された。
【0030】
画像保存性を改善するためには、画像表面に残存するワックスにより画像保存性を維持させることが考えられるが、そのためにはワックスの含有量をより多くしなければならず、その結果、耐折り曲げ特性や耐引っ掻き特性等の画像強度が低下したり、定着された用紙等の記録媒体を原稿として自動原稿送り装置等にかけた場合、原稿台からの熱や、自動原稿送り装置における摩擦等によって、原稿台が汚染される等の不都合が生じる場合があった。そのため、画像保存性と画像強度を両立する液体現像剤が求められている。
【0031】
本発明者らは、シリコーンオイルを主成分とするキャリア液と、キャリア液中に分散され、結着樹脂およびワックスを含むトナー粒子と、を含む液体現像剤において、ワックスとして、ワックスの融点以上の温度でシリコーンオイルに溶解させた後、20℃に冷却させると固化するようなものを用いることで、画像保存性と画像強度を両立させることを見出した。
【0032】
具体的には、ワックスとして、ワックスの融点以上の温度でシリコーンオイルに溶解させた後、20℃に冷却させると固化するようなものを用い、例えば
図1に示すように、用紙56上に転写された、ワックス54を含むトナー52とシリコーンオイル50とを含むトナー像60(
図1の左側)が、定着装置により定着されると、ワックス54がトナー52からしみ出して(
図1の中央)、定着後にシリコーンオイル50は用紙56に浸透するが、ワックス54が一部のシリコーンオイル50と混合固化することでシリコーンオイル50とワックス54を含む薄膜58がトナー52の表面に形成されて定着画像62が形成され(
図1の右側)、離型剤として相乗効果を示すと考えられる。ワックスは少量の添加であってもこのような効果を示すと考えられる。
【0033】
ワックスとしては、ワックスの融点以上の温度でシリコーンオイルに溶解させた後、20℃に冷却させると固化するものであればよく、特に制限はない。例えば、このように溶解、固化するカルナバワックス、サトウワックス、木ワックス等の植物性ワックス;蜜ワックス、昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックス等の動物性ワックス;エステルを側鎖に有するフィッシャートロプシュワックス(FTワックス)、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス等の合成炭化水素系ワックス;ポリオレフィンワックス等に極性基を導入した各種変性ワックス等が挙げられる。ワックスは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0034】
トナー樹脂の結着樹脂がポリエステルを主成分とする場合、樹脂中での分散性等の観点から、パラフィンワックス、極性基を有する変性ワックス、例えば、酸化ワックス、酸変性ワックス等、あるいはエステルワックス、天然ワックス等が好ましく、特にシリコーンオイルとの親和性等の観点からパラフィンワックス、およびポリオレフィンワックスをマレイン酸エステルで変性した酸化ワックス(いわゆるマレイン化ワックス)が好ましい。
【0035】
離型剤の含有量は、例えばトナー粒子全体に対して0.1質量%以上10質量%以下の範囲である。
【0036】
ワックスの酸価は、40mgKOH/g以上であることが好ましく、40mgKOH/g以上60mgKOH/g以下の範囲であることがより好ましい。ワックスの酸価が40mgKOH/g未満であると、画像保存性を向上させるためにワックスを多く必要とする場合があり、60mgKOH/gを超えると、固化しにくくなって画像保存性が低下する場合がある。
【0037】
シリコーンオイルに対するワックスの140℃における溶解性は、40%以上であることが好ましく、60%以上90%以下の範囲であることがより好ましい。ワックスの溶解性が40%未満であると、固化しにくい場合があり、90%を超えると、ワックスによっては固化しにくい場合がある。溶解性は、ワックスをサンプルビンに2.5質量部取り、揮発性シリコーンオイルを加えて100質量部とし、密栓した後、140℃のオーブンに入れて1時間加温し、溶解部分をアルミ皿に分取し、乾燥させて下記の式に従って、溶解性を測定する。
溶解性(%)={[(乾燥重量−アルミ皿重量)/(分取量−アルミ皿重量)]×100}/2.5×100
【0038】
<液体現像剤>
本実施形態において用いられる液体現像剤は、シリコーンオイルを主成分とするキャリア液と、結着樹脂を含むトナー粒子とを含有し、好ましくは、シリコーンオイルを主成分とするキャリア液と、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含むトナー粒子とを含有する。
【0039】
[トナー粒子]
本実施形態に係る液体現像剤に含まれるトナー粒子は、結着樹脂およびワックスを含み、必要に応じて、着色剤等のその他成分を含んでもよい。
【0040】
(結晶性ポリエステル樹脂)
本実施形態におけるトナーは、結着樹脂として、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを含有することが好ましい。ここで、「結晶性樹脂」の「結晶性」とは、樹脂の示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃以内であるときに「明確な」吸熱ピークであるとする。DSC曲線におけるベースラインの平坦部の点およびベースラインからの立ち下がり部の平坦部の点を指定し、その両点間の平坦部の接線の交点が「オンセット点」として自動接線処理システムにより求められる。一方、明確な吸熱ピークではなく、階段状の吸熱量変化が認められる樹脂は、「非晶性樹脂」を意味し、常温固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化するものを指す。また、「非晶性樹脂」は、示差走査熱量測定(DSC)において、ガラス転移に対応した階段状の吸熱点の他に、結晶融点に対応した吸熱ピークを示さない。
【0041】
結晶性ポリエステル樹脂を構成する重合性単量体成分としては、結晶構造を容易に形成するため、芳香族成分を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族成分を有する重合性単量体が好ましい。さらに結晶性を損なわないために、構成される重合性単量体由来成分は、重合体中、単一種で各々30mol%以上であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂においては、2種以上の重合性単量体類で構成されるが、各構成重合性単量体種において同上の構成であることが好ましい。
【0042】
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下の範囲にあることが好ましく、55℃以上90℃以下の範囲にあることがより好ましく、60℃以上85℃以下の範囲にあることがさらに好ましい。融解温度が50℃を下回ると、保管トナーにブロックキングが生じる等のトナー保管性や、定着後の定着画像の保管性が困難となる場合がある。また、融解温度が100℃を超える場合では十分な低温定着性が得られない場合がある。なお、上記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、前記の示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求める。
【0043】
本実施形態において「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造であるポリマ以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合したポリマ(共重合体)も意味する。ただし、後者の場合には、ポリマ(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50質量%以下である。
【0044】
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本実施形態においては、前記結晶性ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0045】
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸;等が挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
【0046】
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
また、多価カルボン酸成分としては、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていてもよい。さらに、多価カルボン酸成分としては、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有してもよい。
【0048】
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融解温度が降下してしまう場合がある。また、主鎖部分の炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融解温度が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、主鎖部分の炭素数が20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。主鎖部分の炭素数としては14以下であることがより好ましい。
【0049】
結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
【0050】
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0051】
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。脂肪族ジオールの含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融解温度が降下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性および、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
【0052】
なお、必要に応じて酸価や水酸基価の調製等の目的で、多価カルボン酸や多価アルコールを合成の最終段階で添加してもよい。多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボン酸類等が挙げられる。
【0053】
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造は、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下として行われ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。重合性単量体が反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行ってもよい。共重合反応において相溶性の悪い重合性単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い重合性単量体とその重合性単量体と重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0054】
前記ポリエステル樹脂の製造の際に使用される触媒としては、例えば、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;およびアミン化合物等が挙げられる。
【0055】
結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、3.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、6.0mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下の範囲にあることがより好ましく、8.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下の範囲にあることがさらに好ましい。
【0056】
酸価が3.0mgKOH/gよりも低いと水中への分散性が低下するため、湿式製法での乳化粒子の作製が困難となる場合がある。また凝集の際における乳化粒子としての安定性が著しく低下するため、効率的なトナーの作製が困難になる場合がある。一方、酸価が30.0mgKOH/gを超えると、トナーとしての吸湿性が増してしまい、トナーとしての環境影響を受けやすくなることがある。
【0057】
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下の範囲であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が6,000未満であると、定着の際にトナーが紙等の記録媒体の表面へしみ込んで定着ムラを生じたり、定着画像の折り曲げ耐性に対する強度が低下したりする場合がある。また、重量平均分子量(Mw)が35,000を超えると、溶融時の粘度が高くなりすぎて定着に適当な粘度まで至るための温度が高くなることがあり、結果として低温定着性が損なわれる場合がある。
【0058】
上記重量平均分子量の測定は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120を用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出したものである。
【0059】
トナーにおける結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、3質量%以上40質量%以下の範囲であることが好ましく、4質量%以上35質量%以下の範囲であることがより好ましく、5質量%以上30質量%以下の範囲であることがさらに好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が3質量%未満であると、十分な低温定着性が得られない場合があり、40質量%より多いと、十分なトナー強度や定着画像強度が得られず、また帯電性への悪影響も生じてしまう場合がある。
【0060】
以上の結晶性ポリエステル樹脂を含む結晶性樹脂は、脂肪族重合性単量体を用いて合成された結晶性ポリエステル樹脂(以下、「結晶性脂肪族ポリエステル樹脂」という場合がある)を主成分(50質量%以上)とすることが好ましい。さらにこの場合、前記結晶性脂肪族ポリエステル樹脂を構成する脂肪族重合性単量体の構成比は、60mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい。なお、脂肪族重合性単量体としては、前述の脂肪族のジオール類やジカルボン酸類が好適に用いられる。
【0061】
(非晶性ポリエステル樹脂)
非晶性ポリエステル樹脂としては公知のポリエステル樹脂を使用すればよい。非晶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、前記非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。また非晶性ポリエステル樹脂は、1種の非晶性ポリエステル樹脂でも構わないが、2種以上のポリエステル樹脂の混合物であっても構わない。
【0062】
非晶性ポリエステル樹脂に用いられる多価カルボン酸および多価アルコールは特に限定はなく、例えば、「高分子データハンドブック:基礎編」(高分子学会編、培風館)に記載されているモノマ成分であり、従来公知の2価または3価以上のカルボン酸と、2価または3価以上のアルコールとがある。
【0063】
これらの重合性単量体成分の具体例としては、2価のカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スべリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。これらの化合物のうち、ポリエステル樹脂のガラス転移温度と分子の屈曲性のバランスからテレフタル酸を、酸成分のうち30モル%以上含むことが好ましい。
【0064】
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0065】
前記多価アルコールとしては、2価のアルコールとして、例えば、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物等のビスフェノール誘導体;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状脂肪族アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の線状ジオール;1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等の分岐型ジオール;等が挙げられ、帯電性や強度の観点からビスフェノールAのエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物が好適に用いられる。
【0066】
また、3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられるが、低温定着性や画像光沢性の観点から、3価以上の架橋性単量体の使用量は全単量体量の10モル%以下であることが好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用してもよい。
【0067】
これらの中でも、結晶性ポリエステル樹脂との相溶性を向上させるために、1,2−ヘキサンジオールやアルキルコハク酸およびアルケニルコハク酸、およびそれらの無水物等の長鎖アルキル側鎖(側鎖の炭素数4以上)を持つモノマを2モル%以上30モル%以下含むモノマ成分とすることが好ましい。中でも疎水性の高いアルキルコハク酸およびアルケニルコハク酸、およびそれらの無水物を含むことが好ましい。
【0068】
好ましく用いられる非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものが挙げられる。多価カルボン酸の例としては、前述の結晶性ポリエステル樹脂に例示したものと同じである。
【0069】
前記非晶性ポリエステル樹脂における多価アルコールの例としては、前述の結晶性ポリエステル樹脂に例示したものと同じである。
【0070】
前記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下の範囲であることが好ましい。Tgが50℃より低いと、トナーの保存性や定着画像の保存性の観点で問題が生じてしまう場合がある。また80℃より高いと、従来に比べ低温で定着されなくなる場合がある。
【0071】
なお、上記非晶性ポリエステル樹脂の製造は、前記結晶性ポリエステル樹脂の場合に準じて行われる。
【0072】
結着樹脂の軟化温度(フローテスター1/2降下温度)は、画像の定着性を良好にする観点から、90℃以上140℃以下が好ましく、100℃以上135℃以下がより好ましく、100℃以上120℃以下がさらに好ましい。
【0073】
また結着樹脂は、テトラヒドロフランに可溶であることが好ましい。ここで、テトラヒドロフランに可溶とは、結着樹脂1gを、テトラヒドロフラン10mlに加え、25℃において超音波分散器にて5分間分散させたとき、テトロヒドロフランに溶解することをいう。
【0074】
本実施形態に係るトナーにおいて、ポリエステル樹脂以外の樹脂を含んでもよい。ポリエステル樹脂以外の樹脂としては特に制限されないが、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体;さらにアクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルフォン酸ナトリウム等のエチレン系不飽和酸単量体;さらにアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類単量体の単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、またはそれらの混合物、さらには、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、または、それらと前記ビニル系樹脂との混合物、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0075】
結着樹脂の含有量は、例えばトナー粒子全体に対して80質量%以上95質量%以下の範囲である。
【0076】
前記トナー粒子は、結着樹脂のほかに、着色剤、必要に応じて、ワックス、荷電制御剤、シリカ粉末、金属酸化物等他の添加剤を含有していてもよい。なお、これら添加剤は、結着樹脂に混練する等して内添してもよいし、粒子としてトナーを得たのち混合処理を施す等して外添してもよい。
【0077】
本実施形態において用いられる着色剤としては、公知の顔料または染料を用いればよい。具体的には、以下に示すイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各顔料が好適に用いられる。
【0078】
イエローの顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物等に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、168、174、176、180、181、185、191等の顔料が好適に用いられる。中でもC.I.ピグメントイエロー151、180、185等は色再現性に優れていること、ハロゲンを含まないことにおいて優れている。
【0079】
マゼンタの顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254等の顔料が好適に用いられる。中でもキナクリドン顔料のC.I.ピグメントレッド122は色再現性に優れていること、ハロゲンを含まないことにおいて優れている。
【0080】
シアンの顔料としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等の顔料が好適に用いられる。これらの中でもC.I.ピグメントブルー15:3は色再現性に優れていること、ハロゲンを含まないことにおいて優れている。
【0081】
黒の顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、鉄黒等が好適に用いられる。
【0082】
着色剤の含有量は、例えばトナー粒子全体に対して5質量%以上20質量%以下の範囲である。
【0083】
荷電制御剤としては、特に制限はなく、従来公知の荷電制御剤を使用すればよい。例えば、ニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、カルボキシル基含有脂肪酸変性ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、アミン系化合物、アミド系化合物、イミド系化合物、有機金属化合物等の正帯電性荷電制御剤;オキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、金属錯塩染料やサリチル酸誘導体等の負帯電性荷電制御剤;等が挙げられる。荷電制御剤は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0084】
金属酸化物としては、特に制限はなく、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0085】
(トナー粒子の製造方法)
前記トナー粒子は、従来公知の粉砕トナー、液中乳化乾燥トナー、もしくは液中沈殿からの粉砕トナー、あるいは乳化粒子の凝集合一を伴ういわゆるケミカルトナーの製造方法で製造すればよい。液体現像剤として使用する場合は、必要に応じて上記で得られたトナーをキャリアオイル中に分散させ、ボールミル、アトライター等の粉砕機で粉砕してさらにトナー粒径を小さくしてもよい。
【0086】
例えば、結着樹脂およびワックス、必要に応じて着色剤、他の添加剤等をヘンシェルミキサ等の混合装置に投入して混合し、この混合物を二軸押出機等で溶融混練した後、ドラムフレーカ等で冷却し、ハンマーミル等の粉砕機で粗粉砕し、さらにジェットミル等の粉砕機で微粉砕した後、風力分級機等を用いて分級することにより、粉砕トナーが得られる。
【0087】
また、結着樹脂およびワックス、必要に応じて着色剤、他の添加剤等を酢酸エチル等の溶剤に溶解し、炭酸カルシウム等の分散安定剤が添加された水中に乳化、懸濁し、溶剤を除去した後、分散安定剤を除去して得られた粒子を濾過、乾燥することによって液中乳化乾燥トナーが得られる。
【0088】
結着樹脂およびワックス、必要に応じて着色剤、他の添加剤等をTHF、トルエン、DMF等の溶剤に溶解し、アルコール等の貧溶媒中に滴下し析出沈殿した後、沈殿物を濾過、乾燥し、その後は上記粉砕トナーのように粉砕分級することによってトナーを得てもよい。
【0089】
また、結着樹脂を形成する重合性単量体、着色剤、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、イソプロピルパーオキシカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、2,4−ジクロリルベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等)および他の添加剤等を含有する組成物を水相中に撹拌下で加えて造粒し、重合反応後、粒子を濾過、乾燥することによって、重合トナーを得てもよい。
【0090】
溶剤に溶解したトナー構成材料を貧溶媒中で転相乳化し、この乳化物を凝集剤あるいは塩類で凝集させ造粒し、溶剤を除去する方法、トナー構成材料の各乳化物を混合し、凝集剤あるいは塩類で凝集させ粒子を得る方法も挙げられる。
【0091】
なお、トナーを得る際の各材料(結着樹脂、ワックス、着色剤、その他の添加剤等)の配合割合は、特に限定されるものではなく、従来公知の技術を以って適宜設定すればよい。液体現像剤にする場合は、得られたトナーは、ボールミル、ビーズミル、高圧湿式微粒化装置等の公知の粉砕装置を用いて、キャリアオイル中で微粉砕することにより液体現像剤用トナー粒子とすればよい。
【0092】
(トナー粒子の特性)
トナー粒子の体積平均粒径D50vは、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。上記範囲内であることで、付着力が高く、現像性の向上が図られる。また、画像の解像性の向上も図られる。トナー粒子の体積平均粒径D50vは、0.8μm以上4.0μm以下の範囲であることがより好ましく、1.0μm以上3.0μm以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0093】
トナー粒子の体積平均粒径D50v、数平均粒度分布指標(GSDp)、体積平均粒度分布指標(GSDv)等は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置、例えば、LA920(堀場製作所社製)を用いて測定される。粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒子径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒子径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒子径を体積D84v、数D84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)
1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)
1/2として算出される。
【0094】
[キャリア液]
キャリア液は、トナー粒子を分散させるための絶縁性の液体であり、特に制限はないが、シリコーンオイルを主成分とする絶縁性液体が好ましい。シリコーンオイル単独でも構わないし、その他の絶縁性液体との混合液でも構わない。シリコーンオイルとしては、KF96(信越シリコン製)、SH200、SH344(以上、東レシリコン製)、TSF451(東芝シリコン製)等が挙げられる。また、混合可能な液体はとしては、特に制限はないが、例えば、パラフィンオイル等の脂肪族系炭化水素溶媒(市販品では、松村石油社製モレスコホワイトMT−30P、モレスコホワイトP40、モレスコホワイトP70、エクソン化学社製アイソパーL、アイソパーM等)、ナフテン系オイル等の炭化水素系溶媒(市販品では、エクソン化学社製エクソールD80,エクソールD110、エクソールD130、日本石油化学社製ナフテゾールL、ナフテゾールM、ナフテゾールH、Newナフテゾール160、Newナフテゾール200、Newナフテゾール220、NewナフテゾールMS−20P等)が挙げられ、それらの中に、トルエン等の芳香族化合物を含有させてもよい。なお、「シリコーンオイルを主成分とする」とは、キャリア液中シリコーンオイルを50質量%以上含むことをいう。
【0095】
キャリア液の体積抵抗率としては、例えば1.0×10
10Ω・cm以上1.0×10
14Ω・cm以下の範囲が挙げられ、1.0×10
10Ω・cm以上1.0×10
13Ω・cm以下の範囲であってもよい。
【0096】
キャリア液は、各種副資材、例えば、分散剤、乳化剤、界面活性剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、帯電制御剤、帯電防止剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤等を含んでいてもよい。
【0097】
[液体現像剤の製造方法]
本実施形態に係る液体現像剤は、上記トナー粒子とキャリア液とを、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ビーズミル等の分散機を用いて混合し、粉砕して、トナー粒子をキャリア液中に分散することにより得られる。なお、トナー粒子のキャリア液中への分散は分散機に限られず、ミキサーのような、特殊な撹拌羽根を高速で回転させ分散してもよいし、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で分散してもよいし、超音波によって分散してもよい。
【0098】
キャリア液中のトナー粒子の濃度は、現像剤の粘度を適性に制御し、現像機内の現像液循環を円滑にする等の観点から、0.5質量%以上40質量%以下の範囲とすることが好ましく、1質量%以上30質量%以下の範囲とすることがより好ましい。
【0099】
その後、得られた分散液を、例えば孔径100μm程度の膜フィルタ等のフィルタ等を用いて濾過し、ゴミおよび粗大粒子等を除去してもよい。
【0100】
<現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、像保持体(以下、「感光体」という場合がある)と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、像保持体の表面に潜像(静電潜像)を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面に形成された潜像を、現像剤保持体の表面に保持された上記本実施形態に係る液体現像剤により現像して、トナー像を形成する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着手段と、を備える。
【0101】
上記画像形成装置において、例えば現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。このプロセスカートリッジとしては、上記本実施形態に係る液体現像剤が収容されているものであればよく、特に制限はない。プロセスカートリッジは、例えば、上記本実施形態に係る液体現像剤を収容し、像保持体上に形成された潜像を液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるものである。
【0102】
また、本実施形態に係る現像剤カートリッジは、上記本実施形態に係る液体現像剤が収容されているものであればよく、特に制限はない。現像剤カートリッジは、例えば、上記本実施形態に係る液体現像剤を収容し、像保持体上に形成された潜像を液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備える画像形成装置に着脱されるものである。
【0103】
以下、本実施形態における、液体現像剤を用いた画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る液体現像剤用の連帳型の画像形成装置の一例の概略を
図2に示し、現像装置10部分の拡大図を
図3に示すが、
図2,3の構成に限定されるものではない。
【0104】
画像形成装置1は、
図2に示すように、黒現像装置10K、イエロー現像装置10Y、マゼンタ現像装置10M、およびシアン現像装置10Cを含む現像手段としての現像装置10を備える。画像形成装置1は、
図3に示すように、現像装置10と、感光体22と、帯電手段としての帯電装置24と、潜像形成手段としての露光装置26と、転写手段としての転写装置28と、感光体清掃手段としての感光体クリーナ30とを備える。現像装置10は、現像剤タンク12と、現像剤供給ロール14と、現像剤供給量規制手段16と、現像ロール18と、現像ロールクリーナ20とを備える。
【0105】
画像形成装置1の動作を、
図2,3を参照して説明する。図示しないホストコンピュータ等からの画像形成指令により、画像形成、現像、用紙搬送、定着等の画像形成処理がなされる。
図3において、感光体22は、表面が予め定めた帯電バイアス量になるよう帯電装置24により帯電され(帯電工程)、ホストコンピュータ等から送られた画像信号が
図2に示す画像信号演算部48で処理された情報に基づき、露光装置26からの光ビーム等により感光体22の表面に静電潜像が形成される(潜像形成工程)。
【0106】
キャリア液中にトナー粒子を分散させた液体現像剤32は、図示しない現像剤循環手段等により予め定めた量が維持され、現像剤供給ロール14によって現像剤タンク12から現像ロール18まで搬送される。現像剤供給ロール14は、表面を帯電させ静電的な力で現像剤を付着させる方式や、ロールに溝や凹み等を設けて液体をくみ出すように搬送する方式等があり、現像剤供給量規制手段16によって搬送量を予め定めた量にするように規制される。現像ロール18上の現像剤は、静電潜像に基づき感光体22に転移され(現像工程)、不要な現像剤は、現像ロールクリーナ20と図示しない現像剤循環手段によって現像剤タンク12に戻される。
【0107】
感光体22の表面に形成された現像剤は、転写装置28によって
図2に示す記録媒体としての用紙42に転写される(転写工程)。用紙42は、例えば、連帳型の用紙であり、ロール紙供給部34から供給される用紙42が張架ロール38にて張架され、図示しない用紙駆動手段によって巻き取り部46に送られる。なお、巻き取り部46は必ずしも必要ではなく、裁断や製本等の後処理工程を設けてもよい。転写装置28により、静電力、圧力等によってシアン・マゼンタ・イエロー・黒の各現像剤が用紙42に順次転写されていく。各色の転写装置28では例えば、設定電位に差がつけられ、色重ねの際に上流の現像剤が別の色のユニットに転移されるのを防いでいる。感光体22上のほとんどの現像剤は用紙42に転写されるが、わずかな転写残りは感光体クリーナ30で除去される(感光体清掃工程)。
【0108】
用紙42に形成されたトナー像36は、定着装置40で定着され、定着画像44とされる。定着装置40は、例えば、金属ロール等の上に弾性ゴム等が形成され、さらに離型のための離型層が弾性ゴム等の表面に形成され、所定の圧力とニップ幅が得られるように図示しない加圧機構によって用紙42を挟み込んでいる定着ロール対を備える。定着装置40は、遠赤外光やレーザ光を照射する方式、熱風や蒸気を吹き付ける方式、また、用紙の裏面から加熱部材を接触させる方式といったトナー画像に直接接触せずに非接触でエネルギを与える定着方式でもかまわない。また、他の定着手段との併用や複数個の定着ロール対を設けてもよい。
【実施例】
【0109】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0110】
(ワックスの評価方法)
実施例および比較例で用いるワックスの溶解性、冷却後の状態、酸価を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0111】
[ワックスの溶解性]
ワックスをサンプルビンに2.5質量部取り、揮発性シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96−1.5cs)を加えて100質量部とし、密栓した後、140℃のオーブンに入れて1時間加温した。溶解部分をアルミ皿に分取し、乾燥させて下記の式に従って、溶解性を測定した。
溶解性(%)={[(乾燥重量−アルミ皿重量)/(分取量−アルミ皿重量)]×100}/2.5×100
【0112】
[冷却後の状態]
ワックスをサンプルビンに2.0質量部取り、シリコーンオイル(信越化学社製:KF−96−1.5cs)を100質量部加えて密栓した後、140℃のオーブンに入れて1時間加温した。20℃まで冷却した後、溶液の状態を目視で確認した。固化して流動性が無い場合:○、流動性がある場合:×と判定した。
【0113】
なお、ワックスの冷却後の状態を調べる場合、状態が明瞭に確認できるように、ここではシリコーンオイルには、比較的粘度の低いシリコーンオイルKF−96−1.5csを用いたが、キャリア液として使用するシリコーンオイルそのものを使用しても構わない。
【0114】
[酸価]
ワックスの酸価は、10mgの試料をトルエン50mlに溶解し、0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用いて、予め標定されたN/10水酸化カリウム/アルコール溶液で滴定し、N/10水酸化カリウム/アルコール溶液の消費量から算出した。
【0115】
【表1】
【0116】
(非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成)
加熱乾燥した二口フラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80モル部と、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン20モル部と、テレフタル酸50モル部と、フマル酸25モル部と、n−ドデセニルコハク酸25モル部とを原料として、触媒としてジブチル錫オキサイドを入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150℃以上230℃以下で約12時間共縮重合反応させ、その後、210℃以上250℃以下で徐々に減圧して、非晶性ポリエステル樹脂(1)を合成した。得られた非晶性ポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(Mw)は、17,900であった。また、非晶性ポリエステル樹脂(1)の酸価は14.6mgKOH/gであった。さらに、非晶性ポリエステル樹脂(1)の融点を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し、JIS規格(JIS K−7121参照)により解析して得た。その結果、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度(Tg)は60℃であった。
【0117】
(非晶性ポリエステル樹脂(2)の合成)
加熱乾燥した二口フラスコに、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン50モル部と、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン40モル部と、エチレングリコール10モル部と、テレフタル酸50モル部と、イソフタル酸15モル部と、ドデセニルコハク酸30モル部と、1,2,4−トリメリット酸5モル部とを原料とした以外は、非晶性ポリエステル樹脂(1)と同様にして、非晶性ポリエステル樹脂(2)を合成した。得られた非晶性ポリエステル樹脂(2)の重量平均分子量(Mw)は、12,000であった。また、非晶性ポリエステル樹脂(2)の酸価は21mgKOH/gであった。さらに、非晶性ポリエステル樹脂(2)の融点を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した結果、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度(Tg)は65℃であった。
【0118】
(結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成)
加熱乾燥した3口フラスコに、セバシン酸ジメチル43.4質量部と、1,10−デカンジオール32.8質量部と、ジメチルスルホキシド27質量部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.03質量部とを入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃で4時間撹拌を行った。減圧下、ジメチルスルホキシドを留去し、その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い1.5時間撹拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、脂肪族の結晶性ポリエステル樹脂(1)65質量部を合成した。非晶性ポリエステル樹脂(1)と同様にして分子量を測定したところ、得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(Mw)は22,000であった。また、非晶性ポリエステル樹脂(1)と同様にして融点測定を行い、DSCスペクトルを得たところ、結晶性ポリエステル樹脂(1)は明確なピークを有し、融解温度(Tm1)は77℃であった。
【0119】
<実施例1>
(液体現像剤1の作製)
非晶性ポリエステル樹脂(1)60質量部にシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、クラリアント(株)製)40質量部を加え、加圧ニーダーで混練した。この混練物を粗粉砕して、シアン顔料マスターバッチを作製した。次に以下の組成の混合物をディゾルバーの設置された密閉型反応容器に投入し、80℃で加温して還流下1時間溶解分散した。
上記シアン顔料マスターバッチ:25質量部
非晶性ポリエステル樹脂(2):55質量部
結晶性ポリエステル樹脂(1):10質量部
ワックス(変性ワックス(ポリエチレンワックスを無水マレイン酸で酸化したマレイン化ワックス)、中京油脂社製、L996):10質量部
酢酸エチル:400質量部
【0120】
一方、塩化ナトリウム(和光純薬(株)製)28質量部をイオン交換水160質量部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、ルミナス)30質量部と、カルボキシメチルセルロース(第一工業製薬(株)製、セロゲン)3.5質量部とを加え、ボールミルで24時間分散して分散媒体とした。この分散媒体200質量部に前記混合物120質量部を投入して、乳化装置(IKA社製、ウルトラタラックスT−25)にて24,000rpmで3分間乳化し、エマルジョンを得た。上記エマルジョンを撹拌機の設置された容器に移し、窒素を吹き込みながら酢酸エチルを除去した後、塩酸で炭酸カルシウムを分解してトナー粒子の懸濁液を得た。トナー粒子懸濁液から遠心分離でトナー粒子を分離し、イオン交換水で洗浄した。洗浄したトナー粒子100質量部に対し、固形分濃度で15質量%になるようにイオン交換水を加えてホモジナイザーで再分散した。この分散液に4.0質量部のポリエチレンイミン水溶液(和光純薬社製、重量平均分子量70,000、固形分濃度30質量%)を添加し、プロペラ型撹拌装置で1時間撹拌した。その後、遠心分離でトナー粒子を分離し、イオン交換水で洗浄し、40℃で真空乾燥して体積平均粒径3.8μmのトナー粒子を得た。得られたトナー粒子30質量部に、シリコーンオイル(信越化学社製、KF96−20CS)70質量部とカルボキシ変性シリコーンオイル(信越化学社製、X22−3701E)0.1質量部を混合してトナー粒子が分散された液体現像剤1を得た。
【0121】
なお、トナー粒子は液体現像剤から以下の方法により採取することができる。液体現像剤を遠心分離(1,000rpm×5分)により沈降させ、上澄み液をデカンテーションによって取り除き、トナー粒子を取り出す。取り出したトナー粒子をヘキサン、あるいはアイソパー等で洗浄する(混合溶媒は、トナー樹脂により適宜変更すればよい)。
【0122】
[定着性評価]
(定着方法)
液体現像剤1を用い、
図2に示すような画像形成装置を用いて、コート紙(王子製紙社製、OKトップコート128)に画像濃度1.0のパッチ画像を出力した。
定着は前記画像形成装置における定着装置のロール温度を110℃から180℃まで5℃ずつ適宜変えて定着し定着画像を得た。用紙搬送速度は毎分80mとした。評価結果を表2に示す。
【0123】
(ホットオフセット評価方法)
ホットオフセット発生の有無を目視判定した。以下の基準で評価した。
○:ホットオフセットの発生が見られない
×:ホットオフセットの発生が見られる
【0124】
(ドキュメントオフセット評価方法)
液体現像剤を用いて形成された定着画像の画像同士を重ねあわせて、80g/cm
2の荷重をかけて、温度55℃、湿度60%の環境チャンバー内に7日間放置して、画像のドキュメントオフセットを評価した。以下の基準で評価した。
◎:力を加えずに剥離できた
○:剥離させるのに力を加えるが画像劣化はほとんどなかった
×:画像劣化があった
【0125】
<
参考例2>
(液体現像剤2の作製)
非晶性ポリエステル樹脂(1)60質量部にマゼンタ顔料C.I.ピグメントレッド122(クラリアント(株)製)20質量部およびC.I.ピグメントレッド57:1(大日精化工業(株)製
)20質量部を加え、加圧ニーダーで混練した。この混練物を粗粉砕して、マゼンタ顔料マスターバッチを作製した。次に以下の組成の混合物をディゾルバーの設置された密閉型反応容器に投入し、80℃で還流下1時間溶解分散した。
上記マゼンタ顔料マスターバッチ:25質量部
非晶性ポリエステル樹脂(2):55質量部
結晶性ポリエステル樹脂(1):10質量部
ワックス(エステルワックス、日油社製、WEP3):10質量部
メチルエチルケトン:100質量部
【0126】
この分散液を45℃まで冷却し、ここに1.5%のアンモニア水26質量部をゆっくり入れ、45℃に保持したまま、4,000rpmで撹拌させた。この中に45℃に加温したイオン交換水200質量部をゆっくり滴下し、転相乳化を行った。次に、界面活性剤(花王社製、ぺレックスCS)を0.25質量部添加した後、撹拌回転数を500rpmに落とし、5%の硫酸ナトリウム水溶液38質量部をゆっくり滴下し、凝集合一させた。さらに、イオン交換水200質量部を加え粒子を安定化させた。加温したまま、反応容器内を真空ポンプで減圧にしてメチルエチルケトンを除去した。反応液を冷却後、遠心分離で粒子を分離し、イオン交換水で洗浄した。洗浄したトナー粒子100質量部に対し、固形分濃度で15質量%になるようにイオン交換水を加えてホモジナイザーで再分散した。この分散液に4.0質量部のポリエチレンイミン水溶液(和光純薬社製、重量平均分子量70,000、固形分濃度30質量%)を添加し、プロペラ型撹拌装置で1時間撹拌した。その後、遠心分離でトナー粒子を分離し、イオン交換水で洗浄し、40℃で真空乾燥して体積平均粒径2.5μmのトナー粒子を得た。得られたトナー粒子30質量部に、シリコーンオイル(信越化学社製、KF96−20CS)70質量部とカルボキシ変性シリコーンオイル(信越化学社製、X22−3701E)0.1質量部を混合してトナー粒子が分散された液体現像剤2を得た。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0127】
<実施例3>
(結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製)
結晶性ポリエステル樹脂(1)160質量部と、酢酸エチル233質量部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.3N)0.1質量部とを用意し、これらをセパラブルフラスコに入れ、75℃で加熱し、スリーワンモータ(新東科学株式会社製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373質量部を加え、転相乳化させ、10℃/分の降温速度にて40℃まで降温し、脱溶剤することにより結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(固形分濃度:30質量%)を得た。
【0128】
(非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製)
非晶性ポリエステル樹脂(1)160質量部と、酢酸エチル233質量部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.3N)0.1質量部とを用意し、これらをセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモータ(新東科学株式会社)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373質量部を加え、転相乳化させ、1℃/分の降温速度にて40℃まで降温し脱溶剤することにより非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(固形分濃度:30質量%)を得た。
【0129】
(着色剤分散液の調製)
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、大日精化製) 45質量部
イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬製) 5質量部
イオン交換水 200質量部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックスT50)により10分間分散して、体積平均粒径170nmの着色剤分散液を得た。
【0130】
(ワックス分散液の調製)
パラフィンワックス(融点69℃、和光純薬社製) 45質量部
カチオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬製) 5質量部
イオン交換水 200質量部
以上を90℃に加熱して、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックスT50)により十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザで分散処理し、体積平均粒径200nm、固形分量24.3質量%のワックス分散液を得た。
【0131】
(液体現像剤3の作製)
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液 15質量部
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液 90質量部
着色剤分散液 18質量部
ワックス分散液 18質量部
以上の成分に固形分量16質量%となるようイオン交換水を添加し、丸型ステンレスフラスコ中においてウルトラタラックスT50で十分に混合、分散した。次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.36質量部を加え、ウルトラタラックスT50で分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら37℃まで加熱した。37℃で60分保持した後、0.55モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを9.0にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら90℃まで加熱し、3.5時間保持した。この時の粒子径を測定したところ体積平均粒径は2.8μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、数平均粒度分布指標GSDpは1.30であった。上記処理終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これをさらに40℃のイオン交換水3Lに再分散し、15分300rpmで撹拌、洗浄した。これをさらに5回繰り返し、濾液の電気伝導度が9.7μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo4Aろ紙を用いて固液分離を行った。その後、40℃で真空乾燥して体積平均粒径2.8μmのトナー粒子を得た。得られたトナー粒子30質量部に、シリコーンオイル(信越化学社製、KF96−20CS)40質量部、パラフィンオイル(松村石油社製P−40)30重量部、カルボキシ変性シリコーンオイル(信越化学社製、X22−3701E)0.1質量部を混合してトナー粒子が分散された液体現像剤3を得た。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0132】
<
参考例4>
ワックスをWEP3(エステルワックス、日油社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体現像剤4を得た。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0133】
<実施例5>
ワックスをパラフィンワックス(融点69℃、和光純薬社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体現像剤5を得た。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0134】
<比較例1>
ワックスをカルナバワックス(和光純薬社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体現像剤6を得た。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0135】
<比較例2>
ワックスをWEP5(エステルワックス、日油社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体現像剤7を得た。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0136】
<比較例3>
ワックスを添加せずに、その代わりに非晶性ポリエステル樹脂(2)5質量部と結晶性ポリエステル樹脂(1)5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体現像剤8を得た。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0137】
<比較例4>
ワックスを4202E(変性ポリオレフィンワックス、三井化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体現像剤9を得た。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0138】
<比較例5>
ワックスを1105A(変性ポリオレフィンワックス、三井化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、液体現像剤10を得た。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0139】
【表2】
【0140】
このように、実施例の液体現像剤は、比較例に比べて画像保存性と画像強度が両立した。