特許第6048232号(P6048232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048232
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】車両用ゲート部材の操作ハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/10 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   B60J5/10 Z
   B60J5/10 H
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-49234(P2013-49234)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-172572(P2014-172572A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】長濱 寅孝
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−127668(JP,A)
【文献】 特開2009−070602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/10
E05B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部の跳ね上げ式のゲート部材に設けられ、該ゲート部材を開閉操作するための車両用ゲート部材の操作ハンドル装置であって、
前記ゲート部材のロックを解除するオープンスイッチ装置と、前記オープンスイッチ装置を収容するガーニッシュ部材とを備え、
前記オープンスイッチ装置は、前記ゲート部材を閉じた状態において押圧操作部が車両前側を向くよう配置されるスイッチ部材と、前記車両の前後方向に沿う水平方向の基準面に対する前記押圧操作部の傾きを調整可能な調整機構とを有し、
前記ゲート部材が閉じた状態において前記押圧操作部が車両後側に押圧操作されると前記スイッチ部材が作動して前記ゲート部材のロックを解除することを特徴とする車両用ゲート部材の操作ハンドル装置。
【請求項2】
前記オープンスイッチ装置の前記スイッチ部材は、車両の幅方向に延びる軸部を中心に回動自在に支持され、
前記調整機構によって前記スイッチ部材を前記軸部を中心に回動させることにより前記押圧操作部の前記傾きを調整可能としたことを特徴とする請求項に記載の車両用ゲート部材の操作ハンドル装置。
【請求項3】
前記オープンスイッチ装置は、前記スイッチ部材を回動自在に支持するスイッチベースと、該スイッチベースに形成されたガイド部に沿って前記ゲート部材の高さ方向に移動可能なスライド部材とをさらに有し、
前記スイッチ部材は、前記スライド部材に向かって突出されて前記スライド部材の受け面に当接するカム面を有し、
前記スライド部材を前記調整機構によって前記ガイド部に沿って移動させて前記カム面と前記受け面との接触箇所を変化させることにより、前記スイッチ部材を回動させて押圧操作部の前記傾きを変化させることを特徴とする請求項に記載の車両用ゲート部材の操作ハンドル装置。
【請求項4】
前記調整機構は、前記押圧操作部の前記傾きを第1の角度に設定する第1の位置と、前記押圧操作部の前記傾きを前記第1の角度よりも小さい第2の角度に設定する第2の位置とにわたって、前記スイッチ部材を回動させることを特徴とする請求項に記載の車両用ゲート部材の操作ハンドル装置。
【請求項5】
前記ガーニッシュ部材の前記オープンスイッチ装置の下方に位置する下縁には、前記オープンスイッチ装置の下端よりも車両前方側に膨出され、前記ゲート部材を開操作した際の操作力を受ける受け部が形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の車両用ゲート部材の操作ハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後部に配置されるテールゲートやトランクリッド等の跳ね上げ式のゲート部材を開ける際に操作される車両用ゲート部材の操作ハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テールゲートを有する車両は、テールゲートを閉状態に維持するためのロック機構を備えている。前記ロック機構として、従来より、ラッチやリンクロッド等の機構部品を用いた機械的なロック機構が知られている。これに対し電動アクチュエータを用いた電動式のロック機構も実用化されている。電動式のロック機構は、テールゲートを開閉する際に使用する操作ハンドル部付近に配置されたオープンスイッチを操作することによって、ロック状態を解除することができるように構成されている。すなわちテールゲートを開ける際に前記オープンスイッチをオン操作することにより、電動アクチュエータをロック解除方向に移動させている。
【0003】
従来のテールゲート用オープンスイッチは、例えば特許文献1あるいは特許文献2に記載されているように、操作ハンドル部の内側において車体前側のパネル部材等に配置されている。つまり従来のオープンスイッチは、スイッチ操作をなすための押圧操作部が車両下方を向いている。このようなオープンスイッチを使ってテールゲートを開けるは、押圧操作部を手指で押すことによってオープンスイッチをオンにしたのち、操作ハンドル部を手でつかんで車両後側に引き寄せながらテールゲートを跳ね上げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−63146号公報
【特許文献2】特開2007−39920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のテールゲート用オープンスイッチは、操作部が車両下方側を向いて配置されているため、テールゲートを開ける際に、操作ハンドル部に手を掛けた状態で、まずこのオープンスイッチの位置を手指で探して押したのち、テールゲートを車両後側に引き寄せて跳ね上げるといった2段階の操作(いわゆるツー・アクション)が必要となっている。つまり、オープンスイッチを操作する方向と、テールゲートを開けるために力を加える方向とが異なっている。
【0006】
このためワンタッチでテールゲートを開けることができないことから、操作する者によっては少々煩わしさを感じることがある。また従来のオープンスイッチは、操作ハンドル部の開口の内側で車両前側に位置するパネル部材(鋼製パネル等)に配置していることから、パネル部材の形状やデザインの自由度が制約されることがある。しかもオープンスイッチを操作ハンドル部の外装材(例えば樹脂製ガーニッシュ部材)とは別に前記パネル部材に艤装する必要があるため、作業性に改善の余地があった。
【0007】
従って本発明の目的は、テールゲートやトランクリッド等の跳ね上げ式のゲート部材を開ける際の操作性が改善される車両用ゲート部材の操作ハンドル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの実施形態は、車両後部の跳ね上げ式のゲート部材に設けられ、該ゲート部材を開閉操作するための車両用ゲート部材の操作ハンドル装置であって、前記ゲート部材のロックを解除するオープンスイッチ装置と、前記オープンスイッチ装置を収容するガーニッシュ部材とを備え、前記オープンスイッチ装置は、前記ゲート部材を閉じた状態において押圧操作部が車両前側を向くよう配置されるスイッチ部材と、前記車両の前後方向に沿う水平方向の基準面に対する前記押圧操作部の傾きを調整可能な調整機構とを有し、前記ゲート部材が閉じた状態において前記押圧操作部が車両後側に押圧操作されると前記スイッチ部材が作動して前記ゲート部材のロックを解除するように構成されている。
【0009】
この実施形態において、前記スイッチ部材は、車両の幅方向に延びる軸部を中心に回動自在に支持され、前記調整機構によって前記スイッチ部材を前記軸部を中心に回動させることにより前記押圧操作部の前記傾きを調整可能としてもよい。
【0010】
また、前記オープンスイッチ装置は、前記スイッチ部材を回動自在に支持するスイッチベースと、該スイッチベースに形成されたガイド部に沿って前記ゲート部材の高さ方向に移動可能なスライド部材とをさらに有し、前記スイッチ部材は、前記スライド部材に向かって突出されて前記スライド部材の受け面に当接するカム面を有し、前記スライド部材を前記調整機構によって前記ガイド部に沿って移動させて前記カム面と前記受け面との接触箇所を変化させることにより、前記スイッチ部材を回動させて押圧操作部の前記傾きを変化させるようしてもよい。前記調整機構の一例は、前記押圧操作部の前記傾きを第1の角度に設定する第1の位置と、前記押圧操作部の前記傾きを前記第1の角度よりも小さい第2の角度に設定する第2の位置とにわたって、前記スイッチ部材を回動させる。さらに前記ガーニッシュ部材の前記オープンスイッチ装置の下方に位置する下縁には、前記オープンスイッチ装置の下端よりも車両前方側に膨出され、前記ゲート部材を開操作した際の操作力を受ける受け部が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両用ゲート部材の操作ハンドル装置によれば、車両に設けられたテールゲートやトランクリッド等の跳ね上げ式のゲート部材を開ける際に、オープンスイッチ装置の押圧操作部を手指でオン操作する方向とゲート部材を開けるために力を加える方向とがいずれも車両後側となるため、ゲート部材を開ける際の操作性が良くなる。しかもオープンスイッチ装置を操作ハンドル部のガーニッシュ部材に組付けることによって、オープンスイッチ装置とガーニッシュ部材とのアッセンブリ化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】テールゲートを備えた車両の斜視図。
図2】1つの実施形態に係る操作ハンドル装置を備えたテールゲートの一部の縦断面図。
図3図2中のF3−F3線に沿うテールゲートの一部の断面図。
図4図2に示されたオープンスイッチ装置の分解斜視図。
図5図2に示されオープンスイッチ装置のスライド部材を移動させてスイッチ部材の傾きを変えた場合の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、1つの実施形態に係る車両用ゲート部材の操作ハンドル装置について、図1から図5を参照して説明する。
図1は車両10の一例を示している。この車両10はテールゲート11を備えている。テールゲート11は跳ね上げ式のゲート部材の一例であり、車体12の後部に配置され、車体12の上部のルーフ付近に設けられたヒンジ13を中心に、図1に矢印Aで示すように上下方向に開閉させることができるようになっている。図1に示す矢印Xは車両10の前後方向を示している。矢印Yは車両10の幅方向、矢印Zはテールゲート11の高さ方向(上下方向)である。
【0014】
テールゲート11は、テールゲート11を開閉させる際に使用する操作ハンドル装置20と、操作ハンドル装置20の内側に配置されてテールゲート11を開ける際に操作するオープンスイッチ装置21と、操作ハンドル装置20の下方に配置されたライセンスプレート25を設ける部分と、ライセンスプレート25を照明するランプ26と、閉じた状態のテールゲート11をロックするためのロック機構27等を備えている。ロック機構27は、車体12の後部の例えばリヤバンパ28の近傍に配置されている。このロック機構27は、モータあるいはソレノイド等の電動アクチュエータによって、テールゲート11を閉位置でロックすることができるようになっている。
【0015】
操作ハンドル装置20の内側に、オープンスイッチ装置21が配置されている。オープンスイッチ装置21を備えた操作ハンドル装置20は、テールゲート11の車両幅方向Yの中央部に配置されている。後に詳しく説明するように、オープンスイッチ装置21をオン操作した際に出力される信号によって、電動式のロック機構27のロック状態を解除させることができる。
【0016】
図2は、テールゲート11の一部でオープンスイッチ装置21が配置された箇所の縦断面図である。図3は、図2中のF3−F3線に沿う横断面図である。テールゲート11は、鋼板等の金属からなるパネル部材30と、パネル部材30の車両外側に配置された外装材の一例である樹脂製のガーニッシュ部材(例えばライセンスガーニッシュ)31などを含んでいる。
【0017】
ガーニッシュ部材31には、操作ハンドル装置20の一部をなす手掛け部32と、ライセンスプレート25(図1に示す)を照明するランプ26が配置されている。ガーニッシュ部材31の上方にリヤガラス35が設けられている。図3に示されるようにガーニッシュ部材31は、ねじ等の固定用部材36によってパネル部材30に固定されている。
【0018】
オープンスイッチ装置21は、操作ハンドル装置20の内側、具体的にはパネル部材30とガーニッシュ部材31との間において、ガーニッシュ部材31側に取付けられている。パネル部材30とガーニッシュ部材31との間には、テールゲート11を開閉する際に手を下側から挿入することができる大きさの開口37(図2に示す)が形成されている。オープンスイッチ装置21の下方でガーニッシュ部材31の下縁には、オープンスイッチ装置21の下端よりも車両前方側に膨出された受け部32が形成されている。この受け部32は、操作ハンドル装置20に手を掛けた際に指の腹部分に当たるように設定されている。そしてこの受け部32は、テールゲート11を開く際に加わる力に耐える強度を有し、手が痛くならないように、丸みを帯びた肉厚が大きい形状とされている。
【0019】
以下に、オープンスイッチ装置21について説明する。
図4は、オープンスイッチ装置21の分解斜視図である。このオープンスイッチ装置21は、スイッチベース40と、オープンスイッチとして機能するスイッチ部材41と、スライド部材42と、アジャストスクリュー43などを含んでいる。
【0020】
スイッチベース40は、ガーニッシュ部材31に固定するための左右一対の取付部50,51と、取付部50,51間の中央部に上下方向に形成された溝状のガイド部52を有する縦壁53と、縦壁53から車両前方に突出する左右一対の腕部55,56と、アジャストスクリュー43が挿入されるねじ孔57を有した底壁58などを有している。図3に示されるようにスイッチベース40は、ねじ等の固定用部材59によってガーニッシュ部材31に固定されている。
【0021】
図3に示されるようにスイッチ部材41の一例は、中空の密閉構造の樹脂製のスイッチハウジング70と、スイッチハウジング70に収容された可動子71と、可動子71を矢印B方向に移動可能に案内するガイド部72と、可動子71に設けられた可動側電極73と、可動側電極73と対向する固定側電極74と、可動側電極73を固定側電極74から離す方向に付勢するばね75などを含んでいる。
【0022】
スイッチハウジング70の一部(前面側の壁)の厚さを薄くすることにより、手指で押した際に小さなストロークで弾性変形することが可能な押圧操作部41aが形成されている。この押圧操作部41aは、図2において可動子71の前側(車両前側)に位置している。
【0023】
スイッチ部材41は、操作ハンドル装置20を構成する外装材の一例であるガーニッシュ部材31に、押圧操作部41aが車両前側を向くように配置されている。押圧操作部41aが車両後側に押圧操作されると、可動子71が車両後側に移動することにより、可動側電極73が固定側電極74に接し、スイッチ部材41が閉路(オン)状態となる。すなわち押圧操作部41aは、テールゲート11が閉位置にあるときに、操作ハンドル装置20の内部にて車両前方を向いている。
【0024】
スイッチ部材41には電気信号を伝送するためのハーネス部材80が設けられている。ハーネス部材80の端部にコネクタ81が設けられている。図3に示されるようにハーネス部材80は、パネル部材30に形成された孔82を通ってテールゲート11の内部に導かれている。ハーネス部材80の途中にグロメット83が設けられている。グロメット83はパネル部材30の孔82に装着されている。スイッチ部材41はコネクタ81を介して、ロック機構27の作動を制御するECU(Electrical Control Unit)に接続されている。スイッチ部材41がオンとなったときの電気的な信号は、ハーネス部材80とコネクタ81を介して、前記ECUに送られる。
【0025】
スイッチハウジング70の左右両側に、車両10の幅方向Yに延びる軸部90,91が形成されている。スイッチベース40には、軸部90,91と対応する位置に孔92,93が形成されている。この孔92,93に軸部90,91が挿入されることにより、スイッチ部材41が軸部90,91を中心に前後方向(図2に矢印Cで示す方向)に回動に支持されている。さらにこのスイッチ部材41は、リターンばね95の弾力によって、起立する方向(図2に示した第1の位置)に向かって付勢されている。
【0026】
スイッチハウジング70の上部には、スライド部材42に向かって突出する円弧状のカム面100を有する凸部101が形成されている。カム面100は、スライド部材42の上端に形成された受け面102に対して上方から接するようになっている。そしてカム面100は、リターンばね95によって受け面102に向かって付勢されている。このためカム面100が常時スライド部材42の受け面102に接するとともに、スライド部材42がガイド部52から抜け出てしまうことが防止される。
【0027】
スライド部材42は、スイッチベース40のガイド部52に沿ってテールゲート11の高さ方向に移動自在に嵌合する嵌合部110を有している。スライド部材42の上端に受け面102が形成されている。図2に示されるようにスライド部材42の下方に、アジャストスクリュー43が設けられている。アジャストスクリュー43とスライド部材42とカム面100等によって、押圧操作部41aの傾きを調整するための調整機構が構成されている。なお、アジャストスクリュー43以外の高さ調整可能な部品(例えばリンク部材とかカム部材等)によって、スイッチ部材41の傾きを変えるように構成された調整機構が採用されてもよい。
【0028】
スライド部材42は、図2に示すようにテールゲート11を閉じた状態において、テールゲート11の高さ方向(図2に矢印Eで示す方向)に移動することができるように、スイッチベース40のガイド部52にスライド可能に嵌合している。この明細書で言う上下方向とは、厳密な意味での重力の方向というわけではなく、重力の方向に対して角度をなして傾いていることも含む概念である。
【0029】
アジャストスクリュー43はスイッチベース40に設けられており、アジャストスクリュー43を回転させることによって、スライド部材42を図2中の矢印E方向に移動させることができるようになっている。スライド部材42の受け面102にはスイッチ部材41のカム面100が接している。
【0030】
このためスライド部材42が矢印E方向に移動すると、カム面100と受け面102との接触箇所が変化することにより、スイッチ部材41が軸部90,91を中心に矢印C方向に回動する。例えばアジャストスクリュー43が右ねじの場合、図2に示すように工具111によってアジャストスクリュー43を時計回り方向(矢印R1方向)に回転させると、スライド部材42が図2に示す第1の位置から図5に示す第2の位置に向かって上昇する。
【0031】
スライド部材42が図2に示す第1の位置にあるとき、水平方向の基準面Hに対する押圧操作部41aの傾きは、垂直に近い角度θ1となるように設定されている。この明細書で言う水平方向の基準面Hは、重力の方向に対して厳密な意味で直角な方向を意味するのではなく、車両10が水平な姿勢で地面等に置かれた状態において、車両10の前後方向Xに延びる仮想の面である。
【0032】
アジャストスクリュー43を反時計回り(図5に矢印R2で示す方向)に回転させると、スライド部材42が図5に示す位置から図2に示す第1の位置に向かって下降する。図5に示す第2の位置において、前記基準面Hに対する押圧操作部41aの傾きは、前記第1の角度θ1よりも小さい角度θ2に設定されている。すなわち第2の位置に移動したスイッチ部材41は、その押圧操作部41aの上側が前方に倒れた姿勢となっている。
【0033】
本実施形態のオープンスイッチ装置21は、テールゲート11の操作ハンドル装置20の内側において、外装材の一例であるガーニッシュ部材31に取付けられている。このためテールゲート11を開ける際には、図2に示すように手指f1を操作ハンドル装置20の開口37に下側から挿入し、手指f1によって押圧操作部41aを車両後側に押すことにより、スイッチ部材41がオンとなる。スイッチ部材41がオンになると出力される電気信号によって、ロック機構27がロック解除状態となるため、テールゲート11を開けることができるようになる。
【0034】
このロック解除状態で、操作ハンドル装置20を車両後側に引き寄せながらテールゲート11を跳ね上げることにより、テールゲート11を開けることができる。この場合、手指f1によって押圧操作部41aを押す方向(オン操作する方向)と、テールゲート11を開ける際の力の方向P1とがいずれも車両後側となる。つまり、押圧操作部41aをオン操作する方向と、テールゲート11を跳ね上げるための力の方向と、テールゲート11の操作ハンドル装置20の回動軌跡とがおおむね一致するため、テールゲート11を開けるための一連の操作をワンタッチで行なうことができ、操作性が良いものである。なお、操作ハンドル装置20を引いてテールゲート11を開ける際、指先で押圧操作部41aを押圧した状態で指の腹部分がガーニッシュ部材31の受け部32に当たるように設定されているので、操作時の力を受け部32で受けることができ、押圧操作部41aに必要以上の負荷をかけずにテールゲート11を開けることができる。
【0035】
また、オープンスイッチ装置21がテールゲート11の外装材(例えばガーニッシュ部材31)に艤装されてサブアッセンブリ化されるため、オープンスイッチ装置21の組付けに関して金属製のパネル部材30とは別の作業として完結でき、艤装のための作業性が向上する。しかもオープンスイッチ装置21を外装材(例えばガーニッシュ部材31)に取付けるため、テールゲート11の剛性を保つ部材としても機能するパネル部材30にオープンスイッチ装置21用の取付面や取付孔等をプレス等によって形成する必要がなく、パネル部材30の形状の自由度が広がるものである。
【0036】
開位置に移動したテールゲート11を閉じるには、テールゲート11を回動降下させることにより、ロック機構27が作動できる位置までテールゲート11を移動させる。こうすることにより、ロック機構27をロック位置に作動させるための信号がECU等によって出されたときに、ロック機構27の電動アクチュエータによってテールゲート11を閉位置にてロックすることができる。
【0037】
図2に示す線分P1は、比較的小柄な人の手指f1が押圧操作部41aを押してテールゲート11を開ける場合に、テールゲート11を跳ね上げるために操作ハンドル装置20に加わる力の方向を示している。小柄な人の場合、腕の位置が低いため、力のかかる方向P1が水平方向の基準面Hの近くとなる。この場合、テールゲート11を開けるための力の方向P1と、押圧操作部41aを押す方向とがおおむね一致するため、操作フィーリングが向上する。
【0038】
これに対し図5に示す線分P2は、背丈が大きい人の手指f2が押圧操作部41aを押してテールゲート11を開ける場合に、テールゲート11を跳ね上げるために操作ハンドル装置20に加わる力の方向を示している。背丈が大きい人の場合、腕の位置も高いため、力のかかる方向P2は、小柄な人と比較して、水平方向の基準面Hに対して上向きの角度が大きくなる傾向がある。
【0039】
本実施形態のオープンスイッチ装置21は、図5に示すように工具111によってアジャストスクリュー43を第2の方向R2に回転させ、スライド部材42を上昇させることができるため、背丈に応じて押圧操作部41aを軸部90,91を中心に車両前側に傾けることができる。こうすることにより、背丈が大きい人がテールゲート11を開ける際に力が加わる方向P2と、押圧操作部41aを押す方向とがおおむね一致するようになり、操作フィーリングが向上する。
【0040】
なお本発明を実施するに当たって、オープンスイッチ装置の形状や構成等の具体的態様をはじめとして、ゲート部材や操作ハンドル装置を構成する要素の具体的な形状や材料、デザイン、配置等の態様を種々に変更して実施できることは言うまでもない。また本発明は、前記実施形態で説明したようなテールゲート用の操作ハンドル装置以外に、例えばセダンタイプの車両の後部の跳ね上げ式トランクリッドのための操作ハンドル装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0041】
10…車両、11…テールゲート(ゲート部材)、12…車体、20…操作ハンドル装置、21…オープンスイッチ装置、30…パネル部材、31…ガーニッシュ部材(外装材の一例)、32…受け部、37…開口、40…スイッチベース、41…スイッチ部材、41a…押圧操作部、42…スライド部材、43…アジャストスクリュー(調整機構)、70…スイッチハウジング、90,91…軸部、100……カム面、102…受け面。
図1
図2
図3
図4
図5