特許第6048237号(P6048237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048237
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】安全装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/38 20060101AFI20161212BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20161212BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20161212BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20161212BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20161212BHJP
【FI】
   F16K17/38 A
   H01M8/04 H
   H01M8/04 Y
   H01M8/04 N
   !H01M8/12
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-53269(P2013-53269)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-178008(P2014-178008A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】安井 賢志
(72)【発明者】
【氏名】正生 明宏
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 立樹
(72)【発明者】
【氏名】三瀬 尚史
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−74239(JP,A)
【文献】 特開平7−71634(JP,A)
【文献】 特開平7−114930(JP,A)
【文献】 特開平11−273697(JP,A)
【文献】 特開2012−190630(JP,A)
【文献】 特開2008−135267(JP,A)
【文献】 特開2004−288488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/36−17/42
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全装置装着用流体流路に設けられる安全装置であって、
被加熱流体が流通する被加熱流体流路の一部により構成され、前記被加熱流体流路に被加熱流体が流通することにより前記安全装置装着用流体流路の一部を冷却する冷却部と、前記冷却部により冷却される前記安全装置装着用流体流路の部分の内部側に設けられる溶融部材と、を有し、
前記冷却部における被加熱流体の流通が停止した場合に、前記安全装置装着用流体流路の温度が上昇することにより前記溶融部材が溶融して前記安全装置装着用流体流路を遮断する安全装置。
【請求項2】
前記溶融部材の上方側に前記溶融部材に当接して載置される落下部材と、前記溶融部材の下方側に配置される受止部材と、を更に有しており、
前記冷却部における被加熱流体の流通が停止した場合に、前記安全装置装着用流体流路の温度が上昇して、前記溶融部材が溶融して前記落下部材が落下することにより、前記落下部材が前記受止部材に受け止められて前記安全装置装着用流体流路を遮断する請求項1に記載の安全装置。
【請求項3】
燃料電池に被加熱流体としての燃料ガスを供給する燃料ガスラインを更に備え、
前記被加熱流体流路は、前記燃料ガスラインにより構成される請求項1又は2に記載の安全装置。
【請求項4】
前記安全装置装着用流体流路は、熱交換器において被加熱流体に対して熱交換して被加熱流体を加熱する加熱流体が流通する加熱流体流路により構成され、
前記冷却部により冷却される前記安全装置装着用流体流路の一部は、加熱流体の流れにおける前記熱交換器の上流側に配置されている請求項1又は請求項2に記載の安全装置。
【請求項5】
前記安全装置装着用流体流路は、熱交換器において加熱された後の被加熱流体が流通する被加熱流体流路の一部により構成され、
前記冷却部を構成する前記被加熱流体流路は、被加熱流体の流れにおける前記熱交換器の上流側に配置されている請求項1又は請求項2に記載の安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池と、燃料電池から排気されるオフガスを流通させる排ガスラインと、を備える燃料電池システム等に設けられる安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムとして、燃料電池と、燃料電池から排気されるオフガスを流通させるオフガスライン(排ガスライン)と、を備える燃料電池システムが知られている。
このような燃料電池システムにおいて、外部の空気がオフガスラインを介して燃料電池の内部に入り込まないように、オフガスラインの排気管を開閉するダンパが設けられた燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の燃料電池システムにおいては、ダンパは、外部から入り込む風の強弱の程度に応じてオフガスラインの排気管を開閉する。特許文献1に記載の燃料電池システムにおいては、風が強い場合には、ダンパがオフガスラインの排気管を閉じて、外部の空気が燃料電池の内部に入り込むことを抑制することができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−135267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の燃料電池システムにおいては、ダンパがオフガスラインの排気管を開閉するために移動可能となっている。そのため、燃料電池システムが停止した場合に、ダンパとオフガスラインの排気管との隙間から、外部の空気が自然対流によりオフガスラインを逆流して、燃料電池の内部に流入する可能性がある。オフガスラインを逆流した空気が燃料電池の内部に流入すると、燃料電池のアノードに含まれるニッケルが空気と接触して、ニッケルが酸化して、燃料電池の発電セルが破損する虞がある。
従って、システムが停止した場合に、オフガスライン(排ガスライン)から燃料電池の内部への空気の流入を防止することができる燃料電池システムが望まれている。
【0006】
本発明は、システムが停止した場合に、システムの破損を防止することができる安全装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、安全装置装着用流体流路に設けられる安全装置であって、被加熱流体が流通する被加熱流体流路の一部により構成され、前記被加熱流体流路に被加熱流体が流通することにより前記安全装置装着用流体流路の一部を冷却する冷却部と、前記冷却部により冷却される前記安全装置装着用流体流路の部分の内部側に設けられる溶融部材と、を有し、前記冷却部における被加熱流体の流通が停止した場合に、前記安全装置装着用流体流路の温度が上昇することにより前記溶融部材が溶融して前記安全装置装着用流体流路を遮断する安全装置に関する。
【0008】
また、前記溶融部材の上方側に前記溶融部材に当接して載置される落下部材と、前記溶融部材の下方側に配置される受止部材と、を更に有しており、前記冷却部における被加熱流体の流通が停止した場合に、前記安全装置装着用流体流路の温度が上昇して、前記溶融部材が溶融して前記落下部材が落下することにより、前記落下部材が前記受止部材に受け止められて前記安全装置装着用流体流路を遮断することが好ましい。
【0009】
また、燃料電池に被加熱流体としての燃料ガスを供給する燃料ガスラインを更に備え、前記被加熱流体流路は、前記燃料ガスラインにより構成されることが好ましい。
【0010】
また、前記安全装置装着用流体流路は、前記熱交換器において被加熱流体に対して熱交換して被加熱流体を加熱する加熱流体が流通する加熱流体流路により構成され、前記冷却部により冷却される前記安全装置装着用流体流路の一部は、加熱流体の流れにおける前記熱交換器の上流側に配置されていることが好ましい。
【0011】
また、前記安全装置装着用流体流路は、前記熱交換器において加熱された後の被加熱流体が流通する被加熱流体流路の一部により構成され、前記冷却部を構成する前記被加熱流体流路は、被加熱流体の流れにおける前記熱交換器の上流側に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、システム停止時において、システムの破損を防止することができる安全装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態における安全装置4を備える燃料電池システム1を示す概略図である。
図2】本発明の第1実施形態における安全装置4を説明する図であって、(a)は縦断面図であり、(b)は上方側から視た図である。
図3】本発明の第2実施形態における安全装置4を備える燃料電池システム1Aを示す概略図である。
図4】本発明の第3実施形態における安全装置4Aを説明する図であって、(a)は縦断面図であり、(b)は上方側から視た図である。
図5】本発明の第4実施形態における安全装置4を備える給湯システム1Bを示す概略図である。
図6】本発明の第5実施形態における安全装置4を備える給湯システム1Cを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態における安全装置4を備える燃料電池システム1について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態における安全装置4を備える燃料電池システム1を示す概略図である。図2は、本発明の第1実施形態における安全装置4を説明する図であって、(a)は縦断面図であり、(b)は上方側から視た図である。
【0015】
図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料電池2と、改質器3と、安全装置4と、ファン5と、を備える。
【0016】
また、燃料電池システム1は、燃料ガスライン及び被加熱流体流路としての空気供給ラインL1と、燃料ガス供給ラインL2と、水素供給ラインL3と、排ガスラインである安全装置装着用流体流路としてのアノードオフガスラインL4と、カソードオフガスラインL7と、水供給ラインL5と、を備える。「ライン」とは、流路、経路、管路等の総称である。
【0017】
空気供給ラインL1は、上流側においてファン5に接続されており、下流側において燃料電池2に接続されている。空気供給ラインL1には、ファン5の駆動により流入する被加熱流体としての(酸素を含む)空気A1が流通する。
【0018】
これにより、空気供給ラインL1は、燃料電池2に、冷媒としての空気A1(燃料ガス)を供給する。本実施形態においては、空気A1は、燃料電池2に供給される燃料ガスの一種でもある。
【0019】
燃料ガス供給ラインL2は、上流側において燃料としての都市ガス等の燃料ガスG1の供給源(図示せず)に接続されており、下流側において改質器3に接続されている。燃料ガス供給ラインL2には、燃料ガスG1が流通する。
【0020】
水素供給ラインL3は、上流側において改質器3に接続されており、下流側において燃料電池2に接続されている。水素供給ラインL3には、改質器3において生成された水素G2が流通する。
【0021】
アノードオフガスラインL4は、燃料電池2から排気されるアノードオフガスG31を流通させるラインである。アノードオフガスラインL4は、上流側において燃料電池2に接続されている。アノードオフガスラインL4は、下流側においてアノードオフガスG31を燃料電池システム1の外部に排出するラインである。
アノードオフガスラインL4の途中には、改質器3及び安全装置4が設けられている。改質器3及び安全装置4の詳細については後述する。
【0022】
アノードオフガスラインL4(排ガスライン)は、水平部分L4Aと、垂直部分L4Bとを有する。
水平部分L4Aは、燃料電池2から略水平方向に延びる。垂直部分L4Bは、水平部分L4Aの下流側の端部から略垂直方向の下方側に向かって延びる。
【0023】
カソードオフガスラインL7は、燃料電池2から排気されるカソードオフガスG32を流通させるラインである。カソードオフガスラインL7は、上流側において燃料電池2に接続されている。カソードオフガスラインL7は、下流側においてカソードオフガスG32を燃料電池システム1の外部に排出するラインである。
カソードオフガスラインL7の途中には、改質器3が設けられている。
【0024】
水供給ラインL5は、上流側において水W等の供給源(図示せず)に接続されており、下流側において改質器3に接続されている。水供給ラインL5には、水Wが流通する。
【0025】
燃料電池2は、高温型の燃料電池であるSOFC(固体酸化物形燃料電池)である。燃料電池2は、発電セル(不図示)とセパレータ(不図示)とが交互に複数積層されて構成される燃料電池スタック(不図示)を有している。発電セルは、アノードと、カソードと、該アノード及び該カソードの間に設けられた電解質層と、を有する。
【0026】
燃料電池2は、改質器3から水素供給ラインL3を介して供給される水素G2と、空気供給ラインL1から供給される空気A1中の酸素と、を反応させることにより、発電を行う。燃料電池2において発電を行うときの温度である運転温度は、700℃〜1000℃と高温である。燃料電池2によって発電された電気は、パワーコンディショナ(図示せず)に送られ、AC電圧に変換される。燃料電池2は、アノードオフガスラインL4を介してアノードオフガスG31を排気すると共に、カソードオフガスラインL7を介してカソードオフガスG32を排気する。
【0027】
改質器3には、燃料ガス供給ラインL2を介して燃料ガスG1が供給されると共に、水供給ラインL5を介して水Wが供給される。改質器3は、燃料ガスG1及び水Wから水素G2を生成する。この際、燃料ガスG1を800℃程度にまで加熱する必要がある。この加熱は、改質器3の熱交換器においてアノードオフガスG31及びカソードオフガスG32から得た熱により行われる。改質器3によって生成された水素G2は、水素供給ラインL3を介して燃料電池2へ供給される。
【0028】
安全装置4は、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bに設けられる。
安全装置4は、図2に示すように、冷却部41と、溶融部材42と、落下部材としての落下球体43と、受止部材としての受止部45と、を備える。
【0029】
本実施形態においては、冷却部41は、燃料ガスラインとしての空気供給ラインL1の一部により構成される。空気供給ラインL1(冷却部41)は、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの一部に複数回数巻き付けられている。空気供給ラインL1(冷却部41)は、被加熱流体である冷媒としての空気A1を流通させることにより、アノードオフガスラインL4の一部を冷却する。
【0030】
空気供給ラインL1(冷却部41)は、燃料電池システム1の運転が停止した場合に、空気A1(冷媒)の流通が停止されるように構成される。詳細には、空気供給ラインL1(冷却部41)において、燃料電池システム1の運転が停止した場合に、不図示の制御部等の動作も停止し、その結果、空気供給ラインL1(冷却部41)を流通する空気A1(冷媒)の流通が停止される。
【0031】
溶融部材42は、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bにおける空気供給ラインL1(冷却部41)により冷却された部分の内部側に設けられる。具体的には、溶融部材42は、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体において、空気供給ラインL1(冷却部41)が複数回数巻き付けられている部分の内部側に設けられている。
【0032】
溶融部材42は、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bが空気供給ラインL1(冷却部41)により冷却されていない状態において、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bを流通するアノードオフガスG31の熱により溶融するように構成される。溶融部材42は、例えば、ロウ材や、ガラス材により構成され、例えば100〜700℃程度の融点(軟化点)を有する。
【0033】
溶融部材42は、溶融する前においては、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内周面の一部に固定される。溶融部材42は、上方側に後述する落下球体43を配置可能に、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内周面に沿って形成されている。溶融部材42は、周方向に離間する2つの円弧状の部分からなる。
【0034】
溶融部材42は、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内部の部分において、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bにおける空気供給ラインL1が複数回数巻き付けられている部分に、垂直方向に延びている。
【0035】
アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内径は、溶融部材42がアノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内周面に固定されることにより、後述する落下球体43の径よりも小さくなるように狭められている。これにより、溶融部材42は、上方側に落下球体43(後述)を当接させて載置して、落下球体43(後述)を落下させない状態で維持する。
【0036】
落下球体43は、溶融部材42の上方側に、溶融部材42に当接して載置される。落下球体43は、球状に形成される。落下球体43は、アノードオフガスG31の熱により溶融されない材料、例えば金属材料により形成される。
【0037】
図2(b)に示すように、落下球体43とアノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内周面との間には、溶融部材42の上方側に落下球体43が載置された場合に、アノードオフガスG31が流通するための隙間44が形成されている。隙間44は、落下球体43と溶融部材42とが当接する部分をつなぐ水平方向の平面において、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bにおける内周面の溶融部材42が設けられていない部分と、落下球体43との間に形成される。これにより、燃料電池システム1の運転中においては、アノードオフガスG31は、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bにおける落下球体43とアノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内面との間に形成される隙間44を通り、アノードオフガスラインL4を流通する。
【0038】
受止部45は、溶融部材42の下方側に配置される。受止部45は、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの内部側において、溶融部材42が設けられる部分の下方側の部分において、管体の内側に突出するように形成されている。本実施形態においては、受止部45は、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内側に一体的に構成される。
【0039】
受止部45は、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内周の周方向に沿って全周にわたって形成される。受止部45は、溶融部材42が溶融することにより落下球体43が落下した場合に、上方側から落下する溶融部材42及び落下球体43を受け止める。
これにより、落下部材43は、受止部45との間に隙間がない状態で、受止部45の全周にわたって当接する。そして、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bは、溶融部材42及び落下球体43に塞がれて遮断される。
【0040】
ここで、図1に示すように、第1実施形態の燃料電池システム1において、燃料電池2、改質器3、安全装置4、空気供給ラインL1の下流側の一部、燃料ガス供給ラインL2の下流側の一部、水素供給ラインL3、アノードオフガスラインL4の上流側の一部、及び、水供給ラインL5の下流側の一部を、図1の一点鎖線の範囲Dにおいて、断熱材により囲んで構成してもよい。
【0041】
このように構成される安全装置4においては、燃料電池システム1が停止することにより、空気供給ラインL1(冷却部41)における空気A1(冷媒)の流通が停止する。この場合に、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの温度が上昇して、溶融部材42が溶融して、落下球体43は、落下する。これにより、落下球体43は、受止部45に受け止められて、アノードオフガスラインL4を遮断する。
【0042】
具体的には、安全装置4の溶融部材42は、燃料電池システム1の運転中においては、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの一部が、冷却部41により例えば400〜500℃程度に保たれて冷却されている。そのため、溶融部材42は、溶融せずに、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内周面の一部に固定されている。これにより、落下球体43は、溶融部材42の上方側に載置されている状態にある。
【0043】
そして、安全装置4は、燃料電池システム1が故障等により停止することにより、空気供給ラインL1(冷却部41)における空気A1(冷媒)の流通が停止した場合に、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの温度が上昇することにより、溶融部材42が溶融する。これにより、図2(a)において二点鎖線で示すように、溶融部材42の上方側に載置された落下球体43が落下して、溶融部材42及び落下球体43は、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの受止部45に受け止められる。このため、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bを塞ぐことによって、アノードオフガスラインL4を遮断して、燃料電池2への外部からの空気の流入を防止することができる。
【0044】
第1実施形態の安全装置4を備える燃料電池システム1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
安全装置4は、安全装置装着用流体流路としてのアノードオフガスラインL4に設けられる。安全装置4は、被加熱流体としての空気A1が流通する被加熱流体流路としての空気供給ラインL1の一部により構成され、空気供給ラインL1に空気A1が流通することによりアノードオフガスラインL4の一部を冷却する冷却部41と、冷却部41により冷却されるアノードオフガスラインL4の部分の内部側に設けられる溶融部材42と、を有する。
【0045】
具体的には、本実施形態の燃料電池システム1においては、燃料電池2と、燃料電池2から排気されるアノードオフガスG31を流通させるアノードオフガスラインL4と、アノードオフガスラインL4に設けられる安全装置4であって、冷媒A1を流通させることによりアノードオフガスラインL4の一部を冷却する空気供給ラインL1(冷却部41)と、アノードオフガスラインL4における空気供給ラインL1(冷却部41)により冷却された部分の内部側に設けられる溶融部材42と、を有する安全装置4と、を備える。そして、安全装置4は、空気供給ラインL1(冷却部41)における空気A1(冷媒)の流通が停止した場合に、アノードオフガスラインL4の温度が上昇することにより溶融部材42が溶融してアノードオフガスラインL4を遮断する。
【0046】
そのため、燃料電池システム1が停止した場合に、安全装置4は、アノードオフガスラインL4を介して燃料電池2への外部からの空気の流入を防止することができる。これにより、燃料電池システム1が停止した場合に、燃料電池2の発電セルが破損することを防止することができる。
また、バルブ等により流路を開閉する制御をすることなく、溶融部材42が溶融することによりアノードオフガスラインL4が遮断されるため、簡易な構成で、確実に、燃料電池2への空気の流入を防止することができる。
【0047】
また、本実施形態の燃料電池システム1においては、安全装置4は、溶融部材42の上方側に溶融部材42に当接して載置される落下球体43と、溶融部材42の下方側に配置される受止部45と、を更に有しており、安全装置4は、空気供給ラインL1(冷却部41)における空気A1(冷媒)の流通が停止した場合に、アノードオフガスラインL4の温度が上昇して、溶融部材42が溶融して落下球体43が落下することにより、落下球体43が受止部45に受け止められてアノードオフガスラインL4を遮断する。
そのため、溶融部材42を溶融させて落下球体43を落下させるだけの簡易な構成で、アノードオフガスラインL4を遮断できるため、アノードオフガスラインL4を介して、外部の空気が燃料電池2に流入することを容易に防止することができる。
【0048】
また、本実施形態の燃料電池システム1においては、燃料電池2に冷媒としての空気A1(燃料ガス)を供給する空気供給ラインL1(燃料ガスライン)を更に備え、冷却部41は、空気供給ラインL1により構成される。
そのため、燃料電池2に供給される空気A1を冷媒として利用できるため、既存の設備を有効的に活用して、燃料電池システム1の安全装置4に要するコストを低減することができる。
【0049】
<第2実施形態>
次に、図3により、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様な構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。第2実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。
図3は、本発明の第2実施形態における安全装置4を備える燃料電池システム1Aを示す概略図である。
【0050】
第2実施形態の安全装置4を備える燃料電池システム1Aは、図3に示すように、第1実施形態と比べて、燃料電池システム1Aの全体構成が異なる。なお、第2実施形態の安全装置4の構成は、第1実施形態の安全装置4の構成とほぼ同様である。
【0051】
図3に示すように、燃料電池システム1Aは、燃料電池2と、ボイラ装置10と、安全装置4と、ファン5と、を備える。
また、燃料電池システム1Aは、空気供給ラインL1と、燃料電池側空気ラインL11と、ボイラ側空気ラインL12と、被加熱流体流路としての冷媒用空気ラインL13と、燃料ガス供給ラインL2と、燃料電池側ガスラインL21と、ボイラ側ガスラインL22と、排ガスラインである安全装置装着用流体流路としてのアノードオフガスラインL211と、カソードオフガスラインL212と、ボイラ側オフガスラインL6と、を備える。
【0052】
空気供給ラインL1は、上流側においてファン5に接続されており、下流側において第1空気分岐部J11に接続されている。空気供給ラインL1は、第1空気分岐部J11を介して、燃料電池側空気ラインL11及びボイラ側空気ラインL12に分岐されている。
【0053】
燃料電池側空気ラインL11は、下流側において燃料電池2に接続されている。燃料電池側空気ラインL11には、空気A1から分岐された燃料電池用空気A11が流通する。
ボイラ側空気ラインL12は、下流側においてボイラ装置10に接続されている。ボイラ側空気ラインL12には、空気A1から分岐されたボイラ側空気A12が流通する。
【0054】
ボイラ側空気ラインL12の途中には、第2空気分岐部J12において、冷媒用空気ラインL13が接続されている。ボイラ側空気ラインL12における第2空気分岐部J12よりも下流側には、ボイラ側空気A12から分岐されたボイラ供給空気A12Aが流通する。
【0055】
冷媒用空気ラインL13は、上流側において第2空気分岐部J12に接続されており、下流側において接続部J13に接続されている。接続部J13は、燃料電池側空気ラインL11における第1空気分岐部J11よりも下流側に設けられている。冷媒用空気ラインL13には、ボイラ側空気A12から分岐された被加熱流体としての冷媒用空気A12Bが流通する。ボイラ側空気A12から分岐された冷媒用空気A12Bは、接続部J13を介して、燃料電池側空気ラインL11を流通する。
【0056】
燃料ガス供給ラインL2は、上流側において燃料としての都市ガス等の燃料ガスG1の供給源(図示せず)に接続されており、下流側においてガス分岐部J2に接続されている。燃料ガス供給ラインL2は、ガス分岐部J2を介して、燃料電池側ガスラインL21及びボイラ側ガスラインL22に分岐されている。
【0057】
燃料電池側ガスラインL21は、下流側において燃料電池2に接続されている。燃料電池側ガスラインL21には、燃料ガスG1から分岐された燃料電池用ガスG11が流通する。
ボイラ側ガスラインL22は、下流側においてボイラ装置10に接続されている。ボイラ側ガスラインL22には、燃料ガスG1から分岐されたボイラ用ガスG12が流通する。
【0058】
燃料電池2は、アノードオフガスラインL211を介してアノードオフガスG11A(オフガス)を排気すると共に、カソードオフガスラインL212を介してカソードオフガスG11Bを排気する。
【0059】
アノードオフガスラインL211は、上流側において燃料電池2に接続されており、下流側においてボイラ装置10の燃焼室(図示せず)に接続されている。アノードオフガスラインL211には、燃料電池2から排出されたアノードオフガスG11Aが流通される。燃料電池2から排出されたアノードオフガスG11Aは、アノードオフガスラインL211を通ってボイラ装置10の燃焼室(不図示)に供給され、燃焼に用いられる。
アノードオフガスラインL211は、水平部分L211Aと、垂直部分L211Bとを有する。
【0060】
カソードオフガスラインL212は、上流側において燃料電池2に接続されており、下流側においてボイラ装置10の燃焼室(図示せず)に接続されている。カソードオフガスラインL212には、燃料電池2から排出されたカソードオフガスG11Bが流通される。燃料電池2から排出されたカソードオフガスG11Bは、カソードオフガスラインL212を通ってボイラ装置10の燃焼室(不図示)に供給され、燃焼に用いられる。
【0061】
安全装置4は、アノードオフガスラインL211の垂直部分L211Bに設けられる。安全装置4は、第1実施形態と同様に、冷却部41を備える。第2実施形態における安全装置4の構成については、冷却部41が冷媒用空気ラインL13の一部により構成される以外の点において、第1実施形態の構成と同様である。
【0062】
第2実施形態においては、冷却部41は、冷媒用空気ラインL13の一部により構成される。冷媒用空気ラインL13(冷却部41)は、アノードオフガスラインL211の垂直部分L211Bの一部に複数回数巻き付けられている。冷媒用空気ラインL13(冷却部41)は、冷媒としての冷媒用空気A12Bを流通させることにより、アノードオフガスラインL211の一部を冷却する。
【0063】
冷媒用空気ラインL13(冷却部41)は、燃料電池システム1Aの運転が停止した場合に、冷媒用空気A12B(冷媒)の流通が停止されるように構成される。
【0064】
ボイラ装置10は、加熱バーナ(不図示)を有している。加熱バーナは、燃焼室(不図示)に設けられている。ボイラ装置10の燃焼室には、前述の通り、アノードオフガスラインL211及びカソードオフガスラインL212が接続されている。また、ボイラ装置10の燃焼室には、ボイラ側ガスラインL22が接続されている。加熱バーナによって燃焼されたボイラ用ガスG12は、ボイラ側オフガス排ガスG4となり、ボイラ側オフガスラインL6を通して排気される。
【0065】
以上のように構成される第2実施形態の燃料電池システム1Aにおいては、燃料電池システム1Aが停止することにより、冷媒用空気ラインL13(冷却部41)における冷媒用空気A12B(冷媒)の流通が停止する。この場合に、アノードオフガスラインL211の垂直部分L211Bの温度が上昇して、安全装置4は、アノードオフガスラインL211を遮断する。
【0066】
このため、第2実施形態の燃料電池システム1Aが停止した場合に、安全装置4は、ボイラ側オフガスラインL6、ボイラ装置10及びアノードオフガスラインL211を介して、外部の空気が燃料電池2に流入することを容易に防止することができる。また、安全装置4は、ボイラ側空気ラインL12を流通するボイラ供給空気A12A及びカソードオフガスラインL212を流通するカソードオフガスG11Bが、ボイラ装置10及びアノードオフガスラインL211を介して、燃料電池2に流入することを容易に防止することができる。これにより、燃料電池システム1Aが停止した場合に、燃料電池2の発電セルが破損することを防止することができる。
【0067】
<第3実施形態>
次に、図4により、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様な構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。第3実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、第3実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。
図4は、本発明の第3実施形態における安全装置4Aを説明する図であって、(a)は縦断面図であり、(b)は上方側から視た図である。
【0068】
第3実施形態の燃料電池システム1は、図4に示すように、第1実施形態と比べて、安全装置4Aの構成が異なる。第3実施形態の安全装置4Aにおいては、図4(a)に示すように、第1実施形態における落下球体43を備えておらず、受止部材としてのパンチングメタル48を備えている。
【0069】
第3実施形態の安全装置4Aは、図4に示すように、冷却部41と、溶融部材42Aと、受止部材としてのパンチングメタル48と、を備える。
【0070】
第3実施形態の安全装置4Aの溶融部材42Aは、溶融する前においては、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内部において、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内周面の周方向に沿って周方向の全域に亘って固定されている。
溶融部材42Aは、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内部の部分において、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bにおける空気供給ラインL1(冷却部41)が複数回数巻き付けられている部分に、垂直方向に延びている。
【0071】
パンチングメタル48は、溶融部材42Aの下方側に設けられる。パンチングメタル48は、円板状に形成され、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの径方向に広がるように形成される。パンチングメタル48の径は、上方側から視た場合に、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの管体の内径とほぼ同じである。パンチングメタル48は、アノードオフガスG31の熱により溶融されない材料、例えば金属材料により形成される。
【0072】
パンチングメタル48には、複数の孔48aが形成される。複数の孔48aは、円板状に形成されるパンチングメタル48を上下方向に貫通する。溶融部材42Aの溶融する前においては、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bを流通するアノードオフガスG31は、パンチングメタル48の複数の孔48aを通過する。
【0073】
以上のように構成される第3実施形態の安全装置4Aは、燃料電池システム1が停止することにより、空気供給ラインL1(冷却部41)における空気A1(冷媒)の流通が停止した場合に、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bの温度が上昇することにより、溶融部材42Aが溶融する。これにより、溶融した溶融部材42Aが重力により落下して、溶融部材42Aは、図4(a)において二点鎖線にて示すように、複数の孔48aを塞ぐように、パンチングメタル48の上面に溜まっていく。そして、溶融部材42Aは、パンチングメタル48の複数の孔48aを塞ぎ、アノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bを塞ぐことによって、アノードオフガスラインL4を遮断する。
従って、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、燃料電池システム1が停止した場合に、アノードオフガスラインL4を介して燃料電池2への外部からの空気の流入を防止することができる。
【0074】
<第4実施形態>
次に、図5により、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態では、安全装置4を備える給湯システム1Bについて説明する。第4実施形態において、特に説明しない点には、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、第4実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。図5は、本発明の第4実施形態における安全装置4を備える給湯システム1Bを示す概略図である。
【0075】
第4実施形態は、図5に示すように、第1実施形態と比べて、安全装置4が設けられている給湯システム1Bの全体構成が異なる。本実施形態では、安全装置装着用流体流路は、加熱流体F2が流通する加熱流体流路としての加熱流体ラインL304により構成される点で、第1実施形態とは異なる。加熱流体F2は、熱交換器303において被加熱流体F1に対して熱交換して被加熱流体F1を加熱する。なお、第4実施形態の安全装置4の構成は、第1実施形態の安全装置4の構成とほぼ同様である。
【0076】
図5に示すように、給湯システム1Bは、熱交換器303と、安全装置4と、を備える。また、給湯システム1Bは、被加熱流体流路としての被加熱流体ラインL301と、加熱流体流路及び安全装置装着用流体流路としての加熱流体ラインL304と、を備える。
【0077】
加熱流体ラインL304には、上流側において加熱流体F2を供給する加熱流体供給部(図示せず)が接続されている。加熱流体ラインL304の下流側の途中には、熱交換器303が接続されている。加熱流体ラインL304には、熱交換器303において被加熱流体F1に対して熱交換して被加熱流体F1を加熱する加熱流体F2が流通する。加熱流体ラインL304は、略鉛直方向に延びている。加熱流体F2としては、例えば、高温のガスや液体や蒸気等が用いられる。
【0078】
被加熱流体ラインL301には、上流側において冷媒としての被加熱流体供給部(図示せず)が接続されている。被加熱流体ラインL301の下流側の途中には、熱交換器303が接続されている。被加熱流体ラインL301には、熱交換器303において加熱流体F2に対して熱交換して加熱流体F2により加熱される被加熱流体F1が流通する。被加熱流体F1としては、例えば、低温のガスや液体等が用いられる。
【0079】
本実施形態においては、冷却部41は、被加熱流体ラインL301により構成される。被加熱流体ラインL301は、加熱流体ラインL304の一部に複数回数巻き付けられている。被加熱流体ラインL301は、冷媒としての被加熱流体F1を流通させることにより、加熱流体ラインL304の一部を冷却する。冷却部41により冷却される加熱流体ラインL304の一部は、加熱流体F2の流れにおける熱交換器303の上流側に配置されている。
【0080】
第4実施形態の安全装置4を備える給湯システム1Bによれば、例えば、以下の効果が奏される。
安全装置装着用流体流路は、熱交換器303において被加熱流体F1に対して熱交換して被加熱流体F1を加熱する加熱流体F2が流通する加熱流体流路としての加熱流体ラインL304により構成される。そして、冷却部41により冷却される加熱流体ラインL304の一部は、加熱流体F2の流れにおける熱交換器303の上流側に配置されている。
【0081】
そのため、何らかの原因によって被加熱流体流路としての被加熱流体ラインL301に被加熱流体F1が流れなくなった場合であっても、熱交換器303の上流側において、加熱流体ラインL304を遮断することができる。その結果、熱交換器303に高温の加熱流体F2が流入することを防ぐことができ、熱交換器303が過度に加熱され破損することを防止することができる。
【0082】
<第5実施形態>
次に、図6により、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態では、安全装置4を備える給湯システム1Cについて説明する。第5実施形態において、特に説明しない点には、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、第5実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。図6は、本発明の第5実施形態における安全装置4を備える給湯システム1Cを示す概略図である。
【0083】
第5実施形態は、図6に示すように、第1実施形態と比べて、安全装置4が設けられている給湯システム1Cの全体構成が異なる。本実施形態では、安全装置装着用流体流路は、熱交換器403において加熱された後の被加熱流体F1が流通する被加熱流体流路としての被加熱流体ラインL401の一部(垂直部分L401B)により構成される点で、第1実施形態とは異なる。なお、第5実施形態の安全装置4の構成は、第1実施形態の安全装置4の構成とほぼ同様である。
【0084】
図6に示すように、給湯システム1Cは、熱交換器403と、安全装置4と、制御用バルブ405と、を備える。また、給湯システム1Cは、被加熱流体流路及び安全装置装着用流体流路としての被加熱流体ラインL401と、加熱流体ラインL404と、を備える。
【0085】
加熱流体ラインL404には、上流側において加熱媒体を供給する加熱流体供給部(図示せず)が接続されている。加熱流体ラインL404の下流側の途中には、熱交換器403が接続されている。加熱流体ラインL404には、熱交換器403において被加熱流体F1に対して熱交換して被加熱流体F1を加熱する加熱流体F2が流通する。加熱流体F2としては、例えば、高温のガスや液体や蒸気等が用いられる。
【0086】
被加熱流体ラインL401には、上流側において冷媒としての被加熱流体F1を供給する被加熱流体供給部(図示せず)が接続されている。被加熱流体ラインL401の下流側の途中の部分は、後述の垂直部分L401Bの一部に複数回数巻き付けられている。それよりも被加熱流体ラインL401の下流側の途中の部分には、制御用バルブ405が接続されている。それよりも被加熱流体ラインL401の下流側の途中の部分は、熱交換器403に接続されている。更にそれよりも被加熱流体ラインL401の下流側の途中の部分は、水平部分L401Aと、垂直部分L401Bとを、被加熱流体F1の流れに沿ってこの順で有している。従って、安全装置装着用流体流路は、熱交換器403において加熱された後の被加熱流体F1が流通する被加熱流体流路としての被加熱流体ラインL401の一部により構成されている。
【0087】
被加熱流体ラインL401には、熱交換器403において加熱流体F2に対して熱交換して加熱流体F2により加熱される被加熱流体F1が流通する。制御用バルブ405が調整されることにより、被加熱流体ラインL401に流れる被加熱流体F1の流量が調整される。被加熱流体F1としては、例えば、低温のガスや液体等が用いられる。
【0088】
本実施形態においては、冷却部41は、被加熱流体F1の流れにおける熱交換器403よりも上流側の被加熱流体ラインL401の部分により構成される。被加熱流体ラインL401は、冷媒としての被加熱流体F1を流通させることにより、垂直部分L401Bの一部を冷却する。冷却部41を構成する被加熱流体ラインL401の一部は、被加熱流体F1の流れにおける熱交換器403の上流側に配置されている。
【0089】
第5実施形態の安全装置4を備える給湯システム1Cによれば、例えば、以下の効果が奏される。
安全装置装着用流体流路は、熱交換器403において加熱された後の被加熱流体F1が流通する被加熱流体ラインL401の一部である垂直部分L401Bにより構成される。そして、冷却部41を構成する被加熱流体ラインL401の部分は、被加熱流体F1の流れにおける熱交換器403の上流側に配置されている。
【0090】
そのため、何らかの原因によって制御用バルブ405が破損して、十分な量の被加熱流体F1が、被加熱流体流路としての被加熱流体ラインL401に流れなくなった場合であっても、被加熱流体F1の流れにおける熱交換器403の下流側において、被加熱流体ラインL401を遮断することができる。その結果、制御用バルブ405と熱交換器403との間に残っていた被加熱流体F1が、熱交換器403によって高温に加熱され、安全装置4よりも下流側に排出されることを防止することができる。この結果、例えば、高温の被加熱流体F1が排出されて、ユーザーが火傷等することを防止することができる。
【0091】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、第1実施形態においては、落下部材を、球状の落下球体により構成したが、これに制限されない。例えば、落下部材を、円柱状の部材により構成してもよい。
【0092】
また、実施形態においては、冷却部41を空気供給ラインL1又は冷媒用空気ラインL13により構成したが、これに制限されない。冷却部41は、燃料ガス供給ラインL2又は水供給ラインL5により構成してもよいし、新たに冷却部として設けられる水冷ラインで構成してもよい。
冷却部41を燃料ガス供給ラインL2により構成する場合には、燃料ガス供給ラインL2を流通する冷媒としては、例えば都市ガス等の燃料ガスG1である。また、冷却部41を水供給ラインL5又は水冷ラインにより構成する場合には、水供給ラインL5又は水冷ラインを流通する冷媒としては、例えば温水や常温の水である。
【0093】
また、第1実施形態においては、受止部材を、アノードオフガスラインL4の一部を構成する受止部45としてアノードオフガスラインL4と一体的に設けたが、これに制限されない。受止部材をアノードオフガスラインL4と別体に設けて、受止部材をアノードオフガスラインL4の管体の内部に配置してもよい。
【0094】
また、第1実施形態においては、安全装置4をアノードオフガスラインL4の垂直部分L4Bに設けるように構成したが、これに制限されない。アノードオフガスラインL4において水平方向に対して傾斜する傾斜部分の管体を設けることにより、安全装置4をアノードオフガスラインL4の傾斜部分に設けるように構成してもよい。このように構成されることで、溶融部材42が溶融した場合に、溶融部材42は、重力により下方側に移動して、アノードオフガスラインL4を遮断する。
【符号の説明】
【0095】
1、1A 燃料電池システム
1B、1C 給湯システム
2 燃料電池
4、4A 安全装置
41 冷却部(空気供給ライン、冷媒用空気ライン、被加熱流体ライン)
42、42A 溶融部材
43 落下球体(落下部材)
45 受止部(受止部材)
303、403 熱交換器
L1 空気供給ライン(燃料ガスライン)
L4、L211 アノードオフガスライン(排ガスライン)
L13 冷媒用空気ライン(冷却部)
L301、L401 被加熱流体ライン
L304、L404 加熱流体ライン
A1 空気(冷媒、燃料ガス)
A12B 冷媒用空気(冷媒)
F1 被加熱流体
F2 加熱流体
図1
図2
図3
図4
図5
図6