(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048247
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/34 20060101AFI20161212BHJP
H01L 25/04 20140101ALI20161212BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
H01L23/34 A
H01L25/04 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-57094(P2013-57094)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-183217(P2014-183217A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】竹内 伸二
【審査官】
下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−165585(JP,A)
【文献】
特開2004−006967(JP,A)
【文献】
特開2002−232104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34 − 23/46
H01L 25/00 − 25/16
H01L 21/64 − 21/66
H05K 3/40 − 3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路素子(10)と、前記回路素子を一面(20a)に搭載し、搭載した前記回路素子と自身に形成された配線(22,23)とにより回路が構成された基板(20)と、前記基板の一面の裏面(20b)に形成された、前記回路の検査に使用される検査電極(30)と、前記回路素子で発生した熱を放熱する放熱部材(40)と、前記基板と前記放熱部材とを固定する固定部材(50)と、を有し、
前記基板の裏面と前記放熱部材とが対向しており、
前記基板の裏面における前記放熱部材との非対向領域に、前記検査電極が形成されており、
前記固定部材は、接着剤であり、
前記基板の裏面における前記放熱部材との対向領域、及び、前記非対向領域それぞれに、前記接着剤が設けられ、
前記対向領域に設けられた接着剤を介して、前記基板と前記放熱部材とが機械的に接続され、
前記非対向領域に設けられた接着剤によって、前記検査電極が被覆保護されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
回路素子(10)と、前記回路素子を一面(20a)に搭載し、搭載した前記回路素子と自身に形成された配線(22,23)とにより回路が構成された基板(20)と、前記基板の一面の裏面(20b)に形成された、前記回路の検査に使用される検査電極(30)と、前記回路素子で発生した熱を放熱する放熱部材(40)と、前記基板と前記放熱部材とを固定する固定部材(50)と、を有し、
前記基板の裏面と前記放熱部材とが対向しており、
前記基板の裏面における前記放熱部材との非対向領域に、前記検査電極が形成されており、
前記固定部材は、ねじであり、
前記回路素子で発生し、前記基板に伝達された熱を前記放熱部材に伝達するための放熱ゲル(60)をさらに有し、
前記基板の裏面における前記放熱部材との対向領域、及び、前記非対向領域それぞれに、前記放熱ゲルが設けられ、
前記対向領域に設けられた放熱ゲルを介して、前記基板と前記放熱部材とが熱的に接続され、
前記非対向領域に設けられた放熱ゲルによって、前記検査電極が被覆保護されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記検査電極として、第1電圧が印加される第1検査電極(31)と、前記第1電圧よりも高電圧の第2電圧が印加される第2検査電極(32)と、を有し、
前記第2検査電極と前記対向領域との間の距離は、前記第1検査電極と前記対向領域との間の距離よりも長いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路素子と、回路素子を搭載する基板と、回路素子及び基板に形成された配線(22,23)により構成される回路の検査に使用される、基板に形成された検査電極と、回路素子で発生した熱を放熱する放熱部材と、基板と放熱部材とを固定する固定部材と、を備える半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、発熱性電子部品、及び、低発熱性電子部品が実装された基板、及び、基板に取り付けられた放熱部材を有する電子部品モジュールが提案されている。発熱性電子部品は、基板の第1の面に配置されており、第1の面の裏面である第2の面には、発熱性電子部品、及び、低発熱性電子部品のテストに用いるテスト用電極が設けられている。
【0003】
上記した基板と放熱部材とは、シリコン接着剤を介して機械的に接続されている。そして、上記したテスト用電極は、基板と放熱部材との間に位置するシリコン接着剤によって被覆保護されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−40569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、特許文献1に示される電子部品モジュールでは、基板と放熱部材との間に位置するシリコン接着剤によって、テスト用電極が被覆保護されている。基板と放熱部材との間に配置されるシリコン接着剤の厚さは、両者を安定して機械的に固定する程度に設定される。そのため、テスト用電極と放熱部材との距離は、上記したシリコン接着剤の厚さ程度となっており、テスト用電極と電気的に接続された基板の配線に高電圧が印加され、その高電圧がテスト用電極に印加されると、テスト用電極(検査電極)と放熱部材との電気絶縁性が低下する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に対応し、検査電極と放熱部材との電気絶縁性が低下することが抑制された半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明
のひとつは、回路素子(10)と、回路素子を一面(20a)に搭載し、搭載した回路素子と自身に形成された配線(22,23)とにより回路が構成された基板(20)と、基板の一面の裏面(20b)に形成された、回路の検査に使用される検査電極(30)と、回路素子で発生した熱を放熱する放熱部材(40)と、基板と放熱部材とを固定する固定部材(50)と、を有し、基板の裏面と放熱部材とが対向しており、基板の裏面における放熱部材との非対向領域に、検査電極が形成されて
おり、固定部材は、接着剤であり、基板の裏面における放熱部材との対向領域、及び、非対向領域それぞれに、接着剤が設けられ、対向領域に設けられた接着剤を介して、基板と放熱部材とが機械的に接続され、非対向領域に設けられた接着剤によって、検査電極が被覆保護されていることを特徴とする。また、本発明の他のひとつは、回路素子(10)と、回路素子を一面(20a)に搭載し、搭載した回路素子と自身に形成された配線(22,23)とにより回路が構成された基板(20)と、基板の一面の裏面(20b)に形成された、回路の検査に使用される検査電極(30)と、回路素子で発生した熱を放熱する放熱部材(40)と、基板と放熱部材とを固定する固定部材(50)と、を有し、基板の裏面と放熱部材とが対向しており、基板の裏面における放熱部材との非対向領域に、検査電極が形成されており、固定部材は、ねじであり、回路素子で発生し、基板に伝達された熱を放熱部材に伝達するための放熱ゲル(60)をさらに有し、基板の裏面における放熱部材との対向領域、及び、非対向領域それぞれに、放熱ゲルが設けられ、
対向領域に設けられた放熱ゲルを介して、基板と放熱部材とが熱的に接続され、非対向領域に設けられた放熱ゲルによって、検査電極が被覆保護されていることを特徴とする。
【0008】
これらによれば、基板と放熱部材との間に検査電極が設けられた構成と比べて、検査電極(30)と放熱部材(40)との距離が長くなる。このため、検査電極(30)と放熱部材(40)との電気絶縁性が高められ、検査電極(30)に高電圧が印加された場合であっても、検査電極(30)と放熱部材(40)との電気絶縁性が低下することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1及び
図2に基づいて、本実施形態に係る半導体装置を説明する。なお、
図1は、半導体装置100の一部分を示す断面図である。
図1に示すように、半導体装置100は、要部として、回路素子10と、基板20と、検査電極30と、放熱部材40と、固定部材50と、を有する。
図1に示すように、回路素子10は、基板20の一面20aに搭載され、検査電極30は、一面20aの裏面20bに形成されている。そして、基板20は固定部材50によって放熱部材40に固定されている。これにより、回路素子10で発生し、基板20に伝達された熱が、固定部材50を介して放熱部材40に伝達され、放熱部材40にて放熱される。
【0011】
回路素子10は、高発熱素子11と低発熱素子12とを有する。高発熱素子11はIGBTなどの能動素子であり、低発熱素子12はコンデンサなどの受動素子や、小信号ダイオードなどの能動素子である。回路素子10が半導体チップで形成されている場合は、
図1に示すように、ワイヤー21や外部配線22を介して、基板20と電気的に接続されている。また、回路素子10は、一面20aに設けられた樹脂13によって被覆保護されている。ちなみに、半導体チップに代えて、モールドICを採用する場合、上記したワイヤー21は省略され、樹脂13による回路素子10の被覆保護は必須ではなくなる。また、この場合、回路素子10は、リードと半田(図示略)を介して、基板20と機械的及び電気的に接続される。
【0012】
基板20は、自身に搭載される各回路素子10を電気的に接続する配線基板である。一面20aと裏面20bそれぞれに外部配線22が形成され、その内部に、一面20aと裏面20bとを電気的に接続する内部配線23が形成されている。回路素子10と検査電極30とは、配線22,23を介して電気的に接続され、回路(図示略)が構成されている。
【0013】
検査電極30は、上記した、回路素子10と配線22,23とによって構成される回路の検査に使用されるものである。検査電極30は、基板20の配線22,23に接続されている。そのため、検査電極30には、各回路素子10を流れる信号と同電位となっている。基板20を放熱部材40に機械的に接続する前に、検査電極30にテスターなどを当てることで、各回路素子10に信号が正常に伝達されているか否かが検査される。
【0014】
放熱部材40は、回路素子10で発生した熱を放熱するものであり、Cuなどの金属から成る。
図1に示すように、放熱部材40は基板20の裏面20bと対向しており、裏面20bにおける放熱部材40との非対向領域に、検査電極30が形成されている。
【0015】
固定部材50は、基板20と放熱部材40とを機械的に接続するものである。本実施形態に係る固定部材50は、絶縁性を有する接着剤であり、具体的に言えば、シリコン接着剤である。
図1に示すように、固定部材50は、裏面20bにおける放熱部材40との対向領域、及び、非対向領域それぞれに設けられている。そして、対向領域に設けられた固定部材50を介して、基板20と放熱部材40とが機械的に接続され、非対向領域に設けられた固定部材50によって、検査電極30が被覆保護されている。
【0016】
次に、本実施形態に係る半導体装置100の作用効果を説明する。上記したように、放熱部材40は基板20の裏面20bと対向しており、裏面20bにおける放熱部材40との非対向領域に、検査電極30が形成されている。これによれば、基板と放熱部材との間に検査電極が設けられた構成と比べて、検査電極30と放熱部材40との距離が長くなる。このため、検査電極30と放熱部材40との電気絶縁性が高められ、検査電極30に高電圧が印加された場合であっても、検査電極30と放熱部材40との電気絶縁性が低下することが抑制される。
【0017】
固定部材50によって、検査電極30が被覆保護されている。これによれば、固定部材とは別の部材によって、検査電極が被覆保護される構成と比べて、部品点数の増大が抑制される。
【0018】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0019】
本実施形態では、固定部材50が接着剤である例を示した。しかしながら、固定部材50としては、上記例に限定されない。例えば、
図3に示すように、固定部材50として、ねじを採用することもできる。しかしながら、この場合、基板20と放熱部材40との伝熱経路を確保するために、回路素子10で発生し、基板20に伝達された熱を放熱部材40に伝達するための放熱ゲル60を有する構成が好ましい。これによれば、放熱ゲルを有さない構成と比べて、放熱性が向上される。
【0020】
ちなみに、
図3に示す変形例では、基板20の裏面20bにおける放熱部材40との対向領域、及び、非対向領域それぞれに、放熱ゲル60が設けられている。そして、対向領域に設けられた放熱ゲル60を介して、基板20と放熱部材40とが熱的に接続され、非対向領域に設けられた放熱ゲル60によって、検査電極30が被覆保護されている。これによれば、放熱ゲルとは別の部材によって、検査電極が被覆保護される構成と比べて、部品点数の増大が抑制される。
【0021】
本実施形態では、
図2に示すように、複数の検査電極30それぞれと対向領域との間の距離が一定である例を示した。しかしながら、複数の検査電極30それぞれが接続される配線22,23は異なり、その配線22,23に印加される電圧も異なる。そのため、複数の検査電極30それぞれに印加される電圧には、ばらつきがある。したがって、高電圧が印加される検査電極30と放熱部材40との電気絶縁性を高める必要がある。そこで、
図4に示すように、検査電極30として、第1電圧が印加される第1検査電極31と、第1電圧よりも高電圧の第2電圧が印加される第2検査電極32と、を有する構成においては、第2検査電極32と対向領域との間の距離が、第1検査電極31と対向領域との間の距離よりも長い構成が好ましい。すなわち、第2検査電極32と放熱部材40との間の距離が、第1検査電極31と放熱部材40との間の距離よりも長い構成が好ましい。これによれば、第2検査電極と対向領域(放熱部材)との間の距離が、第1検査電極と対向領域(放熱部材)との間の距離よりも短い構成と比べて、検査電極30と放熱部材40との電気絶縁性が高められる。したがって、検査電極30と放熱部材40との電気絶縁性が低下することが抑制される。なお、検査電極30と放熱部材40との間の距離は、検査電極30に印加される電圧に正比例する。すなわち、検査電極30に印加される電圧が高くなればなるほど、検査電極30と放熱部材40とが離れるように、両者の間の距離が長く設定される。
【0022】
なお、
図2〜
図4では、検査電極30が、紙面の上方から下方に向かって一列に並んで配置される例を示した。しかしながら、検査電極30の配置としては、上記例に限定されず、例えば、紙面の上方から下方に向かって複数列並んでいても良いし、紙面の左方から右方に向かって並んでいても良い。
【符号の説明】
【0023】
10・・・回路素子
20・・・基板
20a・・・一面
20b・・・裏面
30・・・検査電極
40・・・放熱部材
50・・・固定部材
100・・・半導体装置