特許第6048275号(P6048275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048275
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】車両用シートリクライニング装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/225 20060101AFI20161212BHJP
   A47C 1/025 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   B60N2/225
   A47C1/025
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-67823(P2013-67823)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-189201(P2014-189201A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】伊東 定夫
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−224310(JP,A)
【文献】 特開2002−178806(JP,A)
【文献】 特開2009−089989(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0084547(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/225
A47C 1/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートを構成するシートバック及びシートクッションを互いに相対回転可能に連結する車両用シートリクライニング装置であって、
内歯が設けられ、中央円筒部を有している前記シートバックに締結される内歯歯車プレートと、
前記内歯よりも少ない歯数の外歯が設けられ、中央開口を有し、前記中央開口内に前記内歯歯車プレートの前記中央円筒部を位置させて前記外歯が前記内歯に噛み合った状態で前記内歯歯車プレートに対して噛み合い位置を移動させながら回転するように組み付けられた、前記シートクッションに締結される外歯歯車プレートと、
前記外歯歯車プレートの前記中央開口の周囲と前記内歯歯車プレートの前記中央円筒部との間で、前記外歯が前記内歯に噛み合った状態で形成される隙間内に配置される一対の第1の楔部材と、
前記一対の第1の楔部材の各々と前記内歯歯車プレートの前記中央円筒部との間に設けられた空間内にそれぞれ配置される一対の第2の楔部材と、
前記一対の第2の楔部材を前記空間の狭くなる側に向かって付勢し前記一対の第1の楔部材を前記隙間の狭くなる側に向かって付勢して、前記内歯歯車プレートと前記外歯歯車プレートの相対回転を係止させる第1の付勢部材と、
前記第1の付勢部材の付勢力に抗して前記一対の第2の楔部材の一方を移動させ、かつ、前記一対の第1の楔部材の一方を回転移動させることにより、前記外歯歯車プレートと前記内歯歯車プレートとの相対回転を可能にする操作部と、
を備えた、車両用シートリクライニング装置。
【請求項2】
前記第2の楔部材は、前記第1の楔部材の内周面と前記内歯歯車プレートの前記中央円筒部の外周面とに接するように前記第1の付勢部材により付勢される、請求項1に記載の車両用シートリクライニング装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記第1の付勢部材による付勢力に抗して、前記第2の楔部材の楔作用を解除し、次いで、前記第1の楔部材の楔作用を解除するように構成されているカム構造を備える、請求項1又は2に記載の車両用シートリクライニング装置。
【請求項4】
前記一対の第2の楔部材が前記第1の付勢部材の端部に設けられている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用シートリクライニング装置。
【請求項5】
前記一対の第1の楔部材を直接付勢する第2の付勢部材をさらに備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両用シートリクライニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートリクライニング装置に関する。特に、車両用シートバックとシートクッションとを互いに相対回転可能に連結する車両用シートリクライニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の振動等が発生しても、静止状態で安定する車両用シートリクライニング装置が求められている。
【0003】
特許文献1に開示されている車両用シートリクライニング装置は、互いに噛み合い位置を変化させながら相対回転するように組み付けられる内歯車プレート及び外歯車プレートを備える。内歯車プレートの内歯と外歯車プレートの外歯の歯数が互いに異なっているため、内歯車プレートと外歯車プレートの間には偏心した隙間が設けられている。その偏心した隙間内に、外歯車プレートの大孔の内周面及び内歯車プレートの中央円筒部の外周面に接触支持されるように、一対の楔部材が配置されている。そして、一対の楔部材が外歯車プレートの大孔の内周面に対して面で接し、内歯車プレートの中央円筒部の外周面に対して一箇所で接するように、一対の楔部材を偏心した隙間の狭くなる側に向かって付勢することによって、内歯車プレートと外歯車プレートの相対回転を係止させるリングバネが設けられている。
【0004】
また、偏心した隙間内に配置されており、且つ回転により一対の楔部材の一方を偏心した隙間の広くなる側に向かって押動することによって、外歯車プレートを内歯車プレートに対して押し回す操作部が設けられている。さらに、一対の楔部材の緩みを防止するために、ブレーキバネが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−046091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている車両用シートリクライニング装置では、一対の楔部材が、外歯車プレートの大孔の内周面と内歯車プレートの中央円筒部の外周面との二箇所のみによって接触支持されている。そのため、車両の振動等が発生した場合に、一対の楔部材が容易に移動してしまい、外歯車及び内歯車の相対回転を係止する楔止めが簡単に緩んでしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両用シートを構成するシートバック及びシートクッションを互いに相対回転可能に連結する車両用シートリクライニング装置であって、内歯が設けられ、中央円筒部を有している前記シートバックに締結される内歯歯車プレートと、前記内歯よりも少ない歯数の外歯が設けられ、中央開口を有し、前記中央開口内に前記内歯歯車プレートの前記中央円筒部を位置させて前記外歯が前記内歯に噛み合った状態で前記内歯歯車プレートに対して噛み合い位置を移動させながら回転するように組み付けられた、前記シートクッションに締結される外歯歯車プレートと、前記外歯歯車プレートの前記中央開口の周囲と前記内歯歯車プレートの前記中央円筒部との間で、前記外歯が前記内歯に噛み合った状態で形成される隙間内に配置される一対の第1の楔部材と、前記一対の第1の楔部材の各々と前記内歯歯車プレートの前記中央円筒部との間に設けられた空間内にそれぞれ配置される一対の第2の楔部材と、前記一対の第2の楔部材を前記空間の狭くなる側に向かって付勢し前記一対の第1の楔部材を前記隙間の狭くなる側に向かって付勢して、前記内歯歯車プレートと前記外歯歯車プレートの相対回転を係止させる第1の付勢部材と、前記第1の付勢部材の付勢力に抗して前記一対の第2の楔部材の一方を移動させ、かつ、前記一対の第1の楔部材の一方を回転移動させることにより、前記外歯歯車プレートと前記内歯歯車プレートとの相対回転を可能にする操作部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るシートリクライニング装置によれば、一対の第1の楔部材は、内歯歯車プレートの中央円筒部の外周面、一対の第2の楔部材、及び外歯歯車プレートの中央開口の内周面の三箇所によって接触支持されている。従って、車両の振動等が発生しても、第1の楔部材は安定した楔止めを維持し、車両用シートリクライニング装置が静止状態で安定する。また、通常の状態において、シートバックを後方にリクライニングさせるような負荷がシートリクライニング装置にかかっても、一対の第1の楔部材が上記三箇所によって接触支持されているために、一対の第1の楔部材は安定して楔の役割を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10が設けられた車両用シート1の全体図。
図2】本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10の分解斜視図。
図3】本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10の平面図。
図4】本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10の図3中A−A線による断面図。
図5】本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10におけるカム20の回転に伴う第1の楔部材15及び第2の楔部材17の移動の様子を示した図。
図6】本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10におけるカム20の回転に伴う第1の楔部材15及び第2の楔部材17の移動の様子を示した図。
図7】本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10におけるカム20の回転に伴う第1の楔部材15及び第2の楔部材17の移動の様子を示した図。
図8】本発明の第2実施形態に係るシートリクライニング装置30の平面図。
図9】本発明の第3実施形態に係るシートリクライニング装置50におけるカム20の回転に伴う第1の楔部材15及び第2の楔部材17の移動の様子を示した図。
図10】本発明の第3実施形態に係るシートリクライニング装置50におけるカム20の回転に伴う第1の楔部材15及び第2の楔部材17の移動の様子を示した図。
図11】本発明の第3実施形態に係るシートリクライニング装置50におけるカム20の回転に伴う第1の楔部材15及び第2の楔部材17の移動の様子を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用シートリクライニング装置10が設けられた車両用シート1の全体図を示している。
【0011】
車両用シート1はシートバック2、シートクッション3、取付アーム4、シートリクライニング装置10を備えて構成されている。本実施形態に係るシートリクライニング装置10は、内歯歯車プレート12及び外歯歯車プレート13を備えており、内歯歯車プレート12に設けられた内歯と外歯歯車プレート13に設けられた外歯が互いに噛み合っている。外歯歯車プレート13は取付アーム4に溶接固定されており、取付アーム4はシートクッション3に締結されている。また、内歯歯車プレート12は、シートバック2に締結される。これにより、シートリクライニング装置10は、車両用シート1を構成するシートバック2及びシートクッション3を互いに相対回転可能に連結する。
【0012】
図2は、本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10の分解斜視図を示している。
【0013】
シートリクライニング装置10は、リング部材11、内歯歯車プレート12、外歯歯車プレート13及びブッシュ14を備えている。また、シートリクライニング装置10は、一対の第1の楔部材15、16、一対の第2の楔部材17、18、リングバネ19及びカム20を備えている。
【0014】
リング部材11は、内歯歯車プレート12を回動可能に内包し、外歯歯車プレート13にカシメ締結される。外歯歯車プレート13の中央開口13aにリング状のブッシュ14が圧入される。内歯歯車プレート12の中央円筒部12aの外周面12bとブッシュ14の内周面14aに接するように第1の楔部材15、16が挿入される。なお、ブッシュ14を設けずに、第1の楔部材15、16が、外歯歯車プレート13の中央開口13aの内周面に直接接するように、挿入されてもよい。内歯歯車プレート12の中央円筒部12aと第1の楔部材15、16との間に設けられる空間15a、16aには、第2の楔部材17、18が内歯歯車プレート12の中央円筒部12aの外周面と第1の楔部材15、16の内周面とに接触するようにそれぞれ挿入される。リングバネ19(第1の付勢部材)の両端部がそれぞれ第2の楔部材17、18を空間15a、16a内において互いに離れる方向に円周方向外側に付勢するようにリングバネ19が取り付けられる。第2の楔部材17、18は、第1の楔部材15、16と接触しているため、リングバネ19はまた、第2の楔部材17、18を介して第1の楔部材15、16も互いに離れる方向に円周方向外側に付勢している。操作部としてのカム20は、六角形状の開口20aが中央に設けられた円筒部20bを備えており、円筒部20bが内歯歯車プレート12の中央円筒部12a内に設けられた開口12c内に挿入されるように、カム20は配置される。六角棒状の連結ロッド5(操作部)は、取付アーム4の中央開口4a及びカム20の開口20aを通って、車両用シート1の反対側のシートリクライニング装置10に連結される。
【0015】
尚、明細書において「円周方向」と述べられている場合には、カム20の開口20aの中心に関する円周方向を意味している。
【0016】
図3は、本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10の平面図を示している。なお、シートリクライニング装置10の全体を示すために、取付アーム4の一部を切り欠いている。
【0017】
本発明に係るシートリクライニング装置10においては、内歯歯車プレート12の歯数が、外歯歯車プレート13の歯数より1歯分だけ多くなっている。このため内歯歯車プレート12と外歯歯車プレート13は歯車として部分的に噛み合うが、互いの中心軸は一致していない。これにより、外歯歯車プレート13の中央開口13a内において、内歯歯車プレート12の中央円筒部12aの外側に、偏った隙間が形成される。この偏った隙間内に配置されている第1の楔部材15、16それぞれの外周面はブッシュ14の内周面14aとほぼ全体的に接している一方で、第1の楔部材15、16それぞれの内周面は内歯歯車プレート12の中央円筒部12aの外周面12bと一箇所で接する。それにより、第1の楔部材15、16は、外歯歯車プレート13の中央開口13aと内歯歯車プレート12の中央円筒部12aとの間で楔の役割を果たす。
【0018】
また、上述したように、内歯歯車プレート12と外歯歯車プレート13との互いの中心軸が一致していないことにより、内歯歯車プレート12の中央円筒部12aと第1の楔部材15、16との間に設けられる空間15a、16aは、互いから離れる方向の円周方向外側に向かって狭くなっている、すなわち偏った空間となる。第2の楔部材17、18はそれぞれ、第1の楔部材15、16と内歯歯車プレート12の中央円筒部12aの外周面12bとに接していて、第2の楔部材17、18は、リングバネ19で円周方向外側に付勢される。従って、第2の楔部材17、18はそれぞれ、第1の楔部材15、16との接触領域の方が内歯歯車プレート12の中央円筒部12aの外周面12bとの接触領域より大きい。これにより第2の楔部材17、18もこれらの間で楔の役割を果たす。
【0019】
従って、第1の楔部材15、16及び第2の楔部材17、18が楔の役割を果たすことにより、内歯歯車プレート12と外歯歯車プレート13の相対回転を係止することができる。特に、本願発明のように第2の楔部材17、18を設けたことによって、内歯歯車プレート12と外歯歯車プレート13のバックラッシュを無くして、ガタを低減することができる。
【0020】
図4は、本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10の図3中A−A線に沿う断面図を示している。
【0021】
連結ロッド5には、ハンドル6(操作部)が取り付けられており、ハンドル6を回転させることによって、連結ロッド5に結合しているカム20が回転する。
【0022】
図5乃至図7は、本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10におけるカム20の回転に伴う第2の楔部材17及び第1の楔部材15の移動の様子を示す。
【0023】
図5に示されているように、第1の楔部材15又は16は、内歯歯車プレート12の中央円筒部12aの外周面12b、第2の楔部材17又は18、及びブッシュ14の内周面14aの三箇所によって接触支持されている。従って、図5に示されているような通常の状態において、シートバック2を後方にリクライニングさせるような負荷がシートリクライニング装置10に加えられたとしても、第1の楔部材15、16が上記三箇所によって接触支持される。このため、第1の楔部材15、16は静止状態で安定して楔の役割を果たすことから、シートバック2は後方にリクライニングされない。
【0024】
本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10におけるカム20は、羽部20c、20d及び20eを備えている。図5に示されているような通常の状態では、羽部20dと第2の楔部材17とは隙間角度aだけ離間しており、羽部20cと第1の楔部材15とは隙間角度bだけ離間している。なお、本実施形態では、隙間角度bは隙間角度aより大きいとする。
【0025】
不図示のハンドル6を回転させることによって、カム20を図中時計回り方向に回転させると、図6に示されるように、まず羽部20dと第2の楔部材17が接触する。さらに回転させると、第2の楔部材17に対するリングバネ19の円周外側方向(反時計回り方向)の付勢力に対抗して、羽部20dが第2の楔部材17を円周内側方向(時計回り方向)に押動し、第2の楔部材17は、第1の楔部材15及び内歯歯車プレート12の中央円筒部12aの外周面12bと接触しなくなる。そのため、第2の楔部材17は、もはや楔の役割を果たさなくなる。
【0026】
さらに、不図示のハンドル6を回転させることによって、カム20を図中時計回り方向に回転させると、図7に示されるように、羽部20cと第1の楔部材15が接触する。さらに回転させると、羽部20cが第1の楔部材15を円周内側方向(時計回り方向)に押動するので、第1の楔部材15は、もはや楔の役割を果たさなくなる。これにより、第1の楔部材15及び第2の楔部材17は楔の役割を果たさなくなる。従って、シートバック2を後方にリクライニングさせるような負荷をシートリクライニング装置10にかけると、内歯歯車プレート12の内歯と外歯歯車プレート13の外歯との歯の噛み合い位置が移動可能となり、シートバック2は後方にリクライニングされることになる。
【0027】
このように、本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10では、第1の楔部材15、16及び第2の楔部材17、18をそれぞれ設け、カム20の回転により、まず第2の楔部材17又は18による楔止めを解除している。次に第1の楔部材15又は16による楔止めを解除するように、2段階で楔止めを解除することができる。
【0028】
また、本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10では、第1の楔部材15、16及び第2の楔部材17、18の二種類の楔部材を設けている。このため、内歯歯車プレート12の内歯と外歯歯車プレート13の外歯との歯の噛み合いにおけるガタを従来に比べてさらに抑えることができる。
【0029】
図8は、本発明の第2実施形態に係るシートリクライニング装置30の平面図を示している。なお、本発明の第2実施形態に係るシートリクライニング装置30では、本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10と同様の構成部材に関しては、同一の符番を付して、以下では説明を省略する。
【0030】
本発明の第2実施形態に係るシートリクライニング装置30では、第1の楔部材15、16を互いに離れる方向に円周方向外側に直接付勢するリングバネ31(第2の付勢部材)が新たに設けられている。これにより、本発明の第2実施形態に係るシートリクライニング装置10に比べて、第1の楔部材15、16に対してより大きな付勢力を加えることができ、第1の楔部材15、16の楔止めをより確実なものとすることができる。
【0031】
図9乃至図11は、本発明の第3実施形態に係るシートリクライニング装置50におけるカム20の回転に伴う第2の楔部材17及び第1の楔部材15の移動の様子を示した図である。なお、本発明の第3実施形態に係るシートリクライニング装置50では、本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10と同様の構成部材に関しては、同一の符番を付して、以下では説明を省略する。
【0032】
本発明の第3実施形態に係るシートリクライニング装置50では、本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10とは異なり、第2の楔部材17、18を別体として設けるのではなく、代わりに、リングバネ59の両端部59a、59bをそれぞれ、内歯歯車プレート12の中央円筒部12aの外面と第1の楔部材15、16との間に設けられる空間15a、16aに入り込ませている。
【0033】
リングバネ59の両端部59a、59bを、空間15a、16aに入り込ませることによって、リングバネ59の付勢力によりその各端部59a、59bの内歯歯車プレート12の中央円筒部12aの外周面12bとの接触領域よりも第1の楔部材15、16との接触領域の方が大きいため、リングバネ59の両端部59a、59bは、楔の役割を果たすことになる。すなわち、リングバネ59の両端部59a、59bが第1実施形態における第2の楔部材17、18の役割を果たし、第2の楔部材をリングバネと同一部材から形成することが出来る。
【0034】
また、本発明の第3実施形態に係るシートリクライニング装置50では、本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10とは異なり、リングバネ59が、第1の楔部材15、16を互いに離れる方向に円周方向外側に直接付勢している。
【0035】
次に、本発明の第3実施形態に係るシートリクライニング装置50における動作について説明する。図9に示されているような通常の状態では、羽部20dとリングバネ59の端部59aとは隙間角度aだけ離間しており、羽部20cと第1の楔部材15とは隙間角度bだけ離間している。なお、本実施形態では、隙間角度bは隙間角度aより大きいとする。
【0036】
不図示のハンドル6を回転させることによって、カム20を図中時計回り方向に回転させると、図10に示されるように、まず羽部20dとリングバネ59の端部59aが接触する。さらに回転させると、リングバネ59自身の円周外側方向(反時計回り方向)の付勢力に対抗して、羽部20dがリングバネ59の端部59aを円周内側方向(時計回り方向)に押動する。このため、リングバネ59の端部59aは、第1の楔部材15及び内歯歯車プレート12の中央円筒部12aの外周面12bと接触しなくなり、リングバネ59の端部59aは、もはや楔の役割を果たさなくなる。
【0037】
さらに、不図示のハンドル6を回転させることによって、カム20を図中時計回り方向に回転させると、図11に示されるように、羽部20cと第1の楔部材15が接触する。さらに回転させると、羽部20cが第1の楔部材15を円周内側方向(時計回り方向)に押動するので、第1の楔部材15は、もはや楔の役割を果たさなくなる。これにより、第1の楔部材15及びリングバネ59の端部59aは楔の役割を果たさなくなり、シートバック2を後方にリクライニングさせるような負荷をシートリクライニング装置10にかけると、内歯歯車プレート12と外歯歯車プレート13の歯の噛み合い位置が移動可能となり、シートバック2は後方にリクライニングされることになる。
【0038】
このように、本発明の第3実施形態に係るシートリクライニング装置50では、第1の楔部材15、16、リングバネ59及びその両端部59a、59bを設け、カム20の回転により、まずリングバネ59の端部59a又は59bによる楔止めを解除し、次に第1の楔部材15又は16による楔止めを解除するように、2段階で楔止めを解除することができる。
【0039】
本発明の第3実施形態に係るシートリクライニング装置50では、第2の楔部材17、18を別体として設けることなく、本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10と同様の機能を奏することができる。そのため、本発明の第3実施形態に係るシートリクライニング装置50においては、本発明の第1実施形態に係るシートリクライニング装置10に比べて、部品数並びに工数を削減することができる。
【0040】
また、別の実施形態として、シートリクライニング装置50において、第1の楔部材15、16を互いに離れる方向に円周方向外側に付勢するリングバネをさらに付加しても良い。これにより、第1の楔部材15、16に対してより大きな付勢力を加えることができ、第1の楔部材15、16の楔止めをより確実なものとすることができるシートリクライニング装置も考えることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 車両用シート
2 シートバック
3 シートクッション
4 取付アーム
5 連結ロッド(操作部)
6 ハンドル(操作部)
10 シートリクライニング装置
12 内歯歯車プレート
12a 内歯歯車プレートの中央円筒部
13 外歯歯車プレート
13a 外歯歯車プレートの中央開口
15 第1の楔部材
16 第1の楔部材
17 第2の楔部材
18 第2の楔部材
19 リングバネ(第1の付勢部材)
20 カム
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