(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記超音波探触子を保持するホルダを備え、前記ホルダの底面側に設けられる回転自在の摩擦低減ボールを備えることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項に記載の水位測定装置。
前記超音波探触子を保持するホルダを備え、前記超音波探触子が収容される前記ホルダ内部に水を供給するための内部給水部を備えることを特徴とする請求項1〜6いずれか一項に記載の水位測定装置。
前記超音波探触子を保持するホルダを備え、前記ホルダと前記容器の外壁面との間に水を供給するための外周給水部を備えることを特徴とする請求項1〜8いずれか一項に記載の水位測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1による方法では、容器に対して孔を設ける作業やこの孔に計測配管を接続する作業を行う必要があり、既設のサプレッションチェンバ等の容器内部の水位を計測することには適さない。また、特許文献2による方法では、容器に対して孔を設ける作業や液相部分と気相部分とを接続する配管を接続する作業、さらには計測ユニットを設置する作業を行う必要があり、特許文献1と同様に、既設のサプレッションチェンバ等の容器内部の水位を計測することには適さない。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、作業員による作業が困難な場所に設けられている断面円形の容器内部の水位を容易に測定可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
第1の発明は、鋼製の縦断面円形状の容器内部における水位を測定する水位測定装置であって、磁石を含む駆動車輪を有する走行台車と、当該走行台車に搭載される超音波探触子と、上記走行台車の姿勢を検出する加速度センサと、上記容器の形状と上記超音波探触子の測定結果と上記加速度センサの検出結果とに基づいて水位を算出する処理部とを備えるという構成を採用する。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記超音波探触子として、上記走行台車の位置から上記容器の中心を挟んだ反対側の壁面からの反射波を受信する第1超音波探触子と、上記走行台車が取り付く箇所の容器の内壁面からの反射波を受信する第2超音波探触子とを備えるという構成を採用する。
【0009】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記走行台車に設けられると共に上記超音波探触子を上記容器に向けて付勢するバネ蝶番を備えるという構成を採用する。
【0010】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記走行台車に設けられると共に上記バネ蝶番の稼働範囲を規制するストッパを備えるという構成を採用する。
【0011】
第5の発明は、上記第1〜第4いずれかの発明において、上記超音波探触子を保持するホルダを備え、上記ホルダの上記容器側の角部が面取りされているという構成を採用する。
【0012】
第6の発明は、上記第1〜第5いずれかの発明において、上記超音波探触子を保持するホルダを備え、上記ホルダの底面側に設けられる回転自在の摩擦低減ボールを備えるという構成を採用する。
【0013】
第7の発明は、上記第1〜第6いずれかの発明において、上記超音波探触子を保持するホルダを備え、上記超音波探触子が収容される上記ホルダ内部に水を供給するための内部給水部を備えるという構成を採用する。
【0014】
第8の発明は、上記第7の発明において、上記超音波探触子の超音波射出方向に配置されると共に上記ホルダ内部を外部と隔離する透明フィルムを備えるという構成を採用する。
【0015】
第9の発明は、上記第1〜第8いずれかの発明において、上記超音波探触子を保持するホルダを備え、上記ホルダと上記容器の外壁面との間に水を供給するための外周給水部を備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0016】
超音波は、液中や固体中で伝搬され、気相中では伝搬されない性質を有している。このため、超音波探触子の測定結果から、超音波探触子の設置場所の内側に水が存在しているかを判断することができる。本発明によれば、超音波探触子が設置される走行台車が磁石を含む駆動車輪を有していることから、走行台車を鋼製の容器の外壁面に吸着させた状態で任意の箇所に移動させることができる。このため、容器の任意の位置に超音波探触子を移動させることができる。また、縦断面円形である容器の形状と、加速度センサから得られる検出結果に基づいて、走行台車の高さを求めることができる。したがって、本発明によれば、容器の任意の箇所に移動し、その箇所の内側に水が存在するかを判定し、さらにはその高さを求めることができる。よって、本発明によれば、作業員による作業が困難な場所に設けられている断面円形の容器内部の水位を容易に測定することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る水位測定装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0019】
なお、本実施形態においては、全体としてドーナッツ型の形状を有し、縦断面円形状のサプレッションチェンバSの水位を測定する例を挙げて説明する。
【0020】
図1は、本実施形態の水位測定装置100の概略構成を模式的に示す全体図である。この図に示すように、本実施形態の水位測定装置100は、走行ユニット10と、水タンク20と、ホース30と、中継器40と、第1有線ケーブル50と、操作司令部60と、第2有線ケーブル70とを備えている。
【0021】
走行ユニット10は、サプレッションチェンバSの外壁面に吸着した状態で操作司令部60の指示に基づいて走行可能とされたものである。
図2は、走行ユニット10の平面図である。
図3は、走行ユニット10の背面図である。
図4は、走行ユニット10の左側面図である。
図5は、走行ユニット10の右側面図である。
【0022】
図2〜
図5に示すように、走行ユニット10は、走行台車1と、ジンバル機構2と、低周波超音波ユニット3と、高周波超音波ユニット4と、バネ蝶番5と、ストッパ6と、加速度センサ7と、カメラ8と、照明装置9とを備えている。
【0023】
走行台車1は、ベース部1aと、駆動車輪1bと、モータ1cと、後輪支持プレート1dと、従動後輪1eとを備えている。ベース部1aは、内部が液密性とされた箱状の部位であり、ジンバル機構2と、低周波超音波ユニット3と、高周波超音波ユニット4と、バネ蝶番5と、ストッパ6と、加速度センサ7と、カメラ8と、照明装置9等を支持する。
【0024】
駆動車輪1bは、走行台車1の前方寄りの両側部に対して回転可能に支持されている。
図6は、駆動車輪1bの破断斜視図である。この図に示すように、駆動車輪1bは、環状の鉄製車輪1b1がゴミ付着防止用の環状の樹脂製スペーサ1b2を挟みかつ軸部1b3を中心として同心状に対向配置されると共に、樹脂製スペーサ1b2の内側に磁石1b4が収容されてなる。また、鉄製車輪1b1の外周面には網目状炉レット加工が施されている。
【0025】
モータ1cは、ベース部1aの内部に設置されており、各駆動車輪1bに対して1つずつ設けられている。これらのモータ1cは、接続された駆動車輪1bを回転駆動させる。また、操作司令部60からの指示に基づいて、個別に回転数を調節することが可能とされている。このため、モータ1cの回転数を個別に調節することによって2つの駆動車輪1bの回転速度に差をつけることにより、走行台車1を左右方向に旋回させることができる。
【0026】
後輪支持プレート1dは、ベース部1aから後方に突出するようにベース部1aの後ろ側に取り付けられており、従動後輪1eを回転可能に支持する。なお、後輪支持プレート1dには、不図示の磁石が内蔵されており、後輪支持プレート1d及び従動後輪1eがサプレッションチェンバSの外壁面に対して引き付けられるように構成されている。従動後輪1eは、後輪支持プレート1dに回転可能に支持されており、サプレッションチェンバSの外壁面に対して当接する。本実施形態において走行台車1は、2つの駆動車輪1bと1つの従動後輪1eとの3か所でサプレッションチェンバSの外壁面に当接し、縦断面円形のサプレッションチェンバSの外壁面を任意の箇所に安定して移動することが可能とされている。
【0027】
ジンバル機構2は、後輪支持プレート1dを挟んで、走行台車1の後ろ側に取り付けられている。一方のジンバル機構2は低周波超音波ユニット3を支持し、他方のジンバル機構2は高周波超音波ユニット4を支持している。これらのジンバル機構2は、走行台車1の前後方向を向く軸を中心として低周波超音波ユニット3あるいは高周波超音波ユニット4を揺動可能に支持する軸部2aと、軸部2aが設けられると共に走行台車1の左右方向を向く軸を中心として揺動するフレーム2bと、フレーム2bを昇降可能に支持するアーム2cとを有しており、サプレッションチェンバSの外壁面上に凹凸がある場合であっても、この凹凸に追従するように低周波超音波ユニット3及び高周波超音波ユニット4を安定支持することができる。
【0028】
低周波超音波ユニット3は、超音波探触子3a(第1超音波探触子)と、ホルダ3bと、外周給水部3cと、摩擦低減ボール3dと備えている。超音波探触子3aは、例えば、0.05〜1MHz程度の低周波の超音波を射出すると共に、この超音波の反射波を受信し、この受信結果を示す電気信号を出力する。この超音波探触子3aはホルダ3b等を介して走行台車1に搭載されている。
【0029】
ホルダ3bは、超音波の射出面及び受信面が露出されるように超音波探触子3aの下部を囲うようにして保持すると共にジンバル機構2の軸部2aに接続されている。また、このホルダ3bのサプレッションチェンバS側に位置する底部3b1は、走行台車1の前後方向に向く角部3b2が面取り加工されている。このホルダ3bの底面には、放水溝(不図示)が設けられており、放水溝から吐出した水がホルダ3bとサプレッションチェンバSとの間に供給され、超音波探触子3aの射出面及び受信面とサプレッションチェンバSとの間が常に水で満たされるように構成されている。
【0030】
外周給水部3cは、超音波探触子3aの角部に対応するようにして4か所に対して設けられている。これらの外周給水部3cは、ホース30(
図1参照)から供給される水を放水溝まで案内するものである。摩擦低減ボール3dは、ホルダ3bの角部に対応して4か所に設けられており、ホルダ3bの底面側に回転自在に設けられている。
【0031】
このように構成された低周波超音波ユニット3は、サプレッションチェンバSの外壁面に凹凸がない限り、常にサプレッションチェンバSの縦断面の中心に向けて超音波探触子3aから射出される超音波が向かうように支持されている。また、超音波探触子3aは、走行台車1の位置からサプレッションチェンバSの中心を挟んだ反対側の壁面からの反射波を受信する。
【0032】
図7は、高周波超音波ユニット4を含んだ一部を抜き出した拡大図であり、(a)が側面図であり、(b)が(a)のA−A断面図であり、(c)が(a)のB−B断面図であり、(d)が下面図である。これらの図に示すように、高周波超音波ユニット4は、超音波探触子4a(第2超音波探触子)と、ホルダ4bと、外周給水部4cと、内部給水部4dと、透明フィルム4eと、摩擦低減ボール4fとを備えている。超音波探触子4aは、例えば、2MHz程度の高周波の超音波を射出すると共に、この超音波の反射波を受信し、この受信結果を示す電気信号を出力する。この超音波探触子4aはホルダ4b等を介して走行台車1に搭載されている。
【0033】
ホルダ4bは、超音波の射出面及び受信面が露出されるように超音波探触子4aの下部を囲うようにして保持すると共にジンバル機構2の軸部2aに接続されている。また、このホルダ4bのサプレッションチェンバS側に位置する底部4b1は、走行台車1の前後方向に向く角部4b2が面取り加工されている。このホルダ4bの底面には、
図7(d)に示すように、矩形の環状とされた放水溝4b3が下側から見て超音波探触子4aを囲うように設けられており、放水溝4b3から吐出した水がホルダ4bとサプレッションチェンバSとの間に供給され、超音波探触子4aの射出面及び受信面とサプレッションチェンバSとの間が常に水で満たされるように構成されている。また、ホルダ4bの内部には、超音波探触子4aが露出されると共に、水を貯蔵するための貯水スペース4b4が設けられている。
【0034】
外周給水部4cは、超音波探触子4aの角部に対応するようにして4か所に対して設けられている。これらの外周給水部4cは、ホース30(
図1参照)から供給される水を放水溝4b3まで案内するものである。内部給水部4dは、貯水スペース4b4の外側に設けられ、貯水スペース4b4の角部に対応するようにして4か所に対して設けられている。これらの内部給水部4dは、ホース30から供給される水を貯水スペース4b4まで案内するものである。
【0035】
透明フィルム4eは、超音波探触子4aの超音波射出方向に配置されており、ホルダ4bの内部である貯水スペース4b4とホルダ4bの外部とを隔離するものである。この透明フィルム4eは、貯水スペース4b4の底部をなすようにホルダ4bの底面に設けられた開口を閉塞している。このような透明フィルム4eは、超音波を減衰させない可撓性を有するフィルム材料によって形成されている。摩擦低減ボール4fは、ホルダ4bの角部に対応して4か所に設けられており、ホルダ4bの底面側に回転自在に設けられている。
【0036】
このように構成された高周波超音波ユニット4は、サプレッションチェンバSの外壁面に凹凸がない限り、常にサプレッションチェンバSの縦断面の中心に向けて超音波探触子4aから射出される超音波が向かうように支持されている。また、超音波探触子4aは、走行台車1が取り付く箇所のサプレッションチェンバSの内壁面からの反射波を受信する。
【0037】
バネ蝶番5は、
図4及び
図5に示すように、各ジンバル機構2に対して1つずつ設けられており、走行台車1のベース部1aに設置されている。これらのバネ蝶番5は、ジンバル機構2のアーム2cを下方に向けて付勢することで、ジンバル機構2に支持された低周波超音波ユニット3あるいは高周波超音波ユニット4をサプレッションチェンバSの外壁面に向けて付勢する。すなわち、本実施形態においては、低周波超音波ユニット3側に設けられたバネ蝶番5によって超音波探触子3aがサプレッションチェンバSの外壁面に向けて付勢され、高周波超音波ユニット4側に設けられたバネ蝶番5によって超音波探触子4aがサプレッションチェンバSの外壁面に向けて付勢されている。
【0038】
ストッパ6は、各バネ蝶番5に対して1つずつ設けられており、走行台車1のベース部1aに設置されている。これらのストッパ6は、バネ蝶番5の稼働範囲を規制するものであり、必要以上にバネ蝶番5の低周波超音波ユニット3あるいは高周波超音波ユニット4への付勢力が強くならないようにする。例えば、バネ蝶番5によって、低周波超音波ユニット3あるいは高周波超音波ユニット4がサプレッションチェンバSに向けて付勢されると、走行台車1にはその反力としてサプレッションチェンバSから離間する抗力が作用する。この抗力が駆動車輪1b等の磁力に対して大きくなりすぎると、駆動車輪1bが浮く等によって走行台車1を正確に移動させることが難しくなる。このため、バネ蝶番5は、上記抗力が駆動車輪1b等の磁力に対して大きくなりすぎないように、バネ蝶番5の稼働範囲を規制する。
【0039】
加速度センサ7は、走行台車1のベース部1aの内部に配置されており、3軸周りの姿勢を検知する3軸加速度センサである。この加速度センサ7は、走行台車1の姿勢を検出し、この姿勢を示す電気信号を出力する。カメラ8は、走行台車1のベース部1aに対して2つ設けられており、一方が走行台車1の前方を撮像してこの撮像結果を出力し、他方が走行台車1の後方を撮像してこの撮像結果を出力する。照明装置9は、各カメラ8に対して1つずつ併設されるように走行台車1のベース部1aに対して設けられており、カメラ8の撮像方向を照明する。
【0040】
図1に戻り、水タンク20は、低周波超音波ユニット3の外周給水部3c、高周波超音波ユニット4の外周給水部4c及び内部給水部4dに対して供給する水を貯蔵するタンクであり、例えば、サプレッションチェンバSが置かれるトーラス室の外部に配置されている。この水タンク20は、例えば、不図示のコンプレッサから圧縮空気が供給されることにより、貯蔵する水を外部に圧送する。ホース30は、水タンク20から吐出された水を低周波超音波ユニット3の外周給水部3c、高周波超音波ユニット4の外周給水部4c及び内部給水部4dまで案内するものである。このホース30は、低周波超音波ユニット3の外周給水部3c、高周波超音波ユニット4の外周給水部4c及び内部給水部4dの各々に接続されている。
【0041】
中継器40は、走行ユニット10と操作司令部60との間で送られる電気信号や電力を中継するためのものであり、第1有線ケーブル50を介して走行ユニット10と接続され、第2有線ケーブル70を介して操作司令部60と接続されている。また、この中継器40は、超音波探触子3a及び超音波探触子4aに対し電気信号を送受する超音波探傷器本体や加速度センサ7から入力される信号をコンピュータ等で演算可能なデータに変換するデータ変換器等を含んでいる。
【0042】
第1有線ケーブル50は、中継器40と走行ユニット10とを接続し、電気信号や電力を送る。なお、第1有線ケーブル50は、不図示の巻き取り装置によって、必要な長さとなるように巻き取られあるいは送り出される。
【0043】
操作司令部60は、制御処理部61(処理部)と、モニター62と、操作部63と、電源64とを有しており、例えば、原子炉建屋の外部に設置される。制御処理部61は、走行ユニット10の制御を行うと共に、サプレッションチェンバSの形状と、超音波探触子3aあるいは超音波探触子4aの測定結果と、加速度センサ7の検出結果とに基づいて水位を算出する。
【0044】
ここで、
図8を参照して、超音波探触子3aの高さ位置を求める方法について説明する。なお、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、サプレッションチェンバSの断面形状の中心と加速度センサ7とを通過する軸をZ軸とし、当該断面においてZ軸とサプレッションチェンバSの外壁面で交差する接線方向をY軸とし、Z軸及びY軸と直交する方向をX軸とする。また、水平軸とZ軸とがなす角度をθ、Y軸と走行ユニット10の前後方向とがなす角度をφとする。さらに、加速度センサ7から超音波探触子3aまでの走行ユニット10の前後方向における離間距離をMとし、サプレッションチェンバSの外壁面までの半径をRとし、サプレッションチェンバSの赤道位置の高さが1900mmであるとする。
【0045】
まず、加速度センサ7の検出結果として取得できる角度φから、走行ユニット10が
図8(b)に示すように上向きであるか、
図8(c)に下向きであるかについて、判断する。続いて、加速度センサ7を通るサプレッションチェンバSの縦断面(
図8(b)及び(c)で示される面)における加速度センサ7から超音波探触子3aまでの距離Lを下式(1)によって算出する。
【0047】
続いて、加速度センサ7の検出結果として取得できる角度θに基づいて、走行ユニット10が上向きである場合には下式(2)にて、走行ユニット10が下向きである場合には下式(3)にて超音波探触子3aの高さ位置を求めることができる。
【0048】
1900+Rsinθ−Lcosθ (2)
【0049】
1900+Rsinθ+Lcosθ (3)
【0050】
このため、制御処理部61は、サプレッションチェンバSの断面形状データとして、サプレッションチェンバSの外壁面までの半径をRと、サプレッションチェンバSの赤道位置の高さとを記憶すると共に、加速度センサ7から超音波探触子3aまでの走行ユニット10の前後方向における離間距離Mを記憶していれば、加速度センサ7の検出結果に基づいて超音波探触子3aのサプレッションチェンバSにおける高さ位置を求めることができる。なお、超音波探触子4aの高さ位置についても同様に求めることができる。
【0051】
よって、制御処理部61は、走行ユニット10がサプレッションチェンバSの表面を移動されているときに、超音波探触子3aあるいは超音波探触子4aの測定結果が水の存在を示す信号と水の存在を示さない信号とに切り替わった箇所において、超音波探触子3aあるいは超音波探触子4aの高さ位置を求めることにより、正確にサプレッションチェンバS内部の水位を求めることができる。
【0052】
なお、超音波探触子3aの測定結果を用いて水位を求めた場合と、超音波探触子4aの測定結果を用いて水位を求めた場合とで、原則的に結果は一致するはずであるが、仮に結果に差が存在する場合には、予め実験等によって求めたより信頼性の高い超音波探触子の測定結果を用いて求めた水位を採用する。
【0053】
図1に戻り、モニター62は、操作司令部60が受信したカメラ8や超音波探触子3a及び超音波探触子4aからの電気信号、また制御処理部61で演算した結果を可視化して出力するものである。操作部63は、走行ユニット10を作業者が操作するためのマンマシンインターフェイスであり、ハンドル等からなる。電源64は、例えば発電機等からなり、水位測定装置100において必要となる電力を生成する。
【0054】
第2有線ケーブル70は、操作司令部60と中継器40とを接続し、電気信号や電力を送る。
【0055】
このように構成された本実施形態の水位測定装置100では、作業者が操作司令部60においてモニター62を視認しながら操作部63を操作することによって走行ユニット10をサプレッションチェンバSの任意の箇所に移動させ、上述のように超音波探触子3aあるいは超音波探触子4aの測定結果が水の存在を示す信号と水の存在を示さない信号とに切り替わる箇所を捜索し、制御処理部61によって、このときの加速度センサ7の検出結果から水位を求める。
【0056】
以上のような本実施形態の水位測定装置100によれば、超音波探触子3a及び超音波探触子4aが設置される走行台車1が磁石を含む駆動車輪1bを有していることから、走行台車1を鋼製の容器であるサプレッションチェンバSの外壁面に吸着させた状態で任意の箇所に移動させることができる。このため、サプレッションチェンバSの任意の位置に超音波探触子3a及び超音波探触子4aを移動させることができる。また、縦断面円形であるサプレッションチェンバSの形状と、加速度センサ7から得られる検出結果に基づいて、走行台車1(すなわち超音波探触子3a及び超音波探触子4a)の高さを求めることができる。したがって、本実施形態の水位測定装置100によれば、サプレッションチェンバSの任意の箇所に移動し、その箇所の内側に水が存在するかを判定し、さらにはその高さを求めることができる。よって、本実施形態の水位測定装置100によれば、作業員による作業が困難な場所に設けられているサプレッションチェンバSの容器内部の水位を容易に測定することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態の水位測定装置100においては、超音波探触子として、走行台車1の位置からサプレッションチェンバSの中心を挟んだ反対側の壁面からの反射波を受信する超音波探触子3aと、走行台車1が取り付く箇所のサプレッションチェンバSの内壁面からの反射波を受信する超音波探触子4aとを備えている。このため、いずれかの超音波探触子で用いる測定方法が現場環境に適さない場合であっても、他方の超音波探触子を用いて水位を測定することができる。
【0058】
また、本実施形態の水位測定装置100においては、走行台車1に設けられると共に超音波探触子3aあるいは超音波探触子4aをサプレッションチェンバSに向けて付勢するバネ蝶番5を備える。このため、常に超音波探触子3aあるいは超音波探触子4aをサプレッションチェンバSに押し付けることができるため、安定して水位の測定を行うことができる。
【0059】
また、本実施形態の水位測定装置100においては、走行台車1に設けられると共にバネ蝶番5の稼働範囲を規制するストッパ6を備える。このため、走行台車1に作用する抗力が大きくなって駆動車輪1bがサプレッションチェンバSから浮くことを防止することができる。よって、確実に走行台車1を走行させることが可能となる。
【0060】
また、本実施形態の水位測定装置100においては、ホルダ3bのサプレッションチェンバS側の角部3b2及びホルダ4bのサプレッションチェンバS側の角部4b2が面取りされている。このため、サプレッションチェンバSの表面に凹凸がある場合であっても、この凹凸にホルダ3b及びホルダ4bが衝突して走行台車1の走行が妨げられることを防止することができる。
【0061】
また、本実施形態の水位測定装置100においては、ホルダ3bの底面側に設けられる回転自在の摩擦低減ボール3dと、ホルダ4bの底面側に設けられる回転自在の摩擦低減ボール4fとを備える。このため、低周波超音波ユニット3及び高周波超音波ユニット4をサプレッションチェンバSの外壁面に対して滑らかに移動させることが可能となる。
【0062】
また、本実施形態の水位測定装置100においては、超音波探触子4aが収容されるホルダ4bの内部に形成された貯水スペース4b4に水を供給するための内部給水部4dを備える。まず、貯水スペース4b4を設けることにより、超音波探触子4aをサプレッションチェンバSの外壁面から遠ざけて配置することができるため、サプレッションチェンバSの外壁面に凹凸がある場合であっても、超音波探触子4aがサプレッションチェンバSの外壁面に干渉し、超音波探触子4aからサプレッションチェンバに射出される超音波の伝達効率が落ちることを防止することができる。さらに、この貯水スペース4b4に水を供給する内部給水部4dを備えることから、貯水スペース4b4に水を充満させ、超音波探触子4aから射出された超音波を確実にサプレッションチェンバSに到達させることが可能となる。
【0063】
また、本実施形態の水位測定装置100においては、ホルダ内部を外部と隔離する透明フィルム4eを備える。このため、貯水スペース4b4から水が漏出する量を減少させることができ、サプレッションチェンバSに外壁面に凹凸がある場合であっても、常にサプレッションチェンバSと超音波探触子4aとの間に水を充満させておくことが可能となる。
【0064】
また、本実施形態の水位測定装置100においては、ホルダ3bとサプレッションチェンバSの外壁面との間に水を供給するための外周給水部3cと、ホルダ4bとサプレッションチェンバSの外壁面との間に水を供給するための外周給水部4cとを備える。このため、常にサプレッションチェンバSと超音波探触子4aとの間に水を充満させておくことが可能となる。
【0065】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0066】
例えば、上記実施形態においては、サプレッションチェンバSの水位を測定する例について説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、縦断面が円形の鋼製の容器の水位を測定する場合であれば適用することが可能である。
【0067】
また、上記実施形態においては、低周波超音波ユニット3と、高周波超音波ユニット4とを両方とも備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、低周波超音波ユニット3と高周波超音波ユニット4とのいずれかのみを備える構成を採用することも可能である。