(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切替部は、前記所定情報に含まれる複数種類の情報の優先順位を示すユーザ設定可能な優先順位情報に基づいて、前記複数種類の情報のうちの前記優先順位が高い情報を優先的に選択し、選択した情報に基づいて、自局を介した前記移動端末と前記ネットワークとの間の通信に用いる通信方式を切り替えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の基地局。
前記切替部は、前記複数の通信方式のうちの所定通信方式による通信を要求する前記移動端末からの要求信号に対して自局が応答しないことにより、前記移動端末が用いる通信方式を、前記複数の通信方式のうちの前記所定通信方式と異なる通信方式に切り替えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の基地局。
前記切替部は、前記複数の通信方式の中から前記所定情報に基づいて選択した通信方式への切替を指示する信号を前記移動端末へ送信することによって前記移動端末が用いる通信方式を切り替えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の基地局。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明にかかる基地局、制御方法および通信システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
図1−1は、実施の形態にかかる通信システムの一例を示す図である。
図1−2は、
図1−1に示した通信システムにおける信号の流れの一例を示す図である。
図1−1,
図1−2に示すように、実施の形態にかかる通信システム100は、移動端末101と、基地局110と、を含む。移動端末101は、基地局110との間で無線通信を行う。そして、移動端末101は、基地局110の中継によりネットワーク130との間で通信を行う。ネットワーク130の一例として、たとえばインターネット網を挙げることができる。移動端末101は複数あってもよい。
【0011】
また、移動端末101は、複数の通信方式を切り替えて使用可能である。複数の通信方式は、たとえばネットワーク130までの伝送経路が異なる。たとえば、移動端末101は、基地局110からネットワーク130までの伝送経路が第1伝送経路121である第1通信方式と、基地局110からネットワーク130までの伝送経路が第2伝送経路122である第2通信方式と、を使用可能であるとする。
【0012】
第1通信方式および第2通信方式のうちの一方の一例として、たとえば移動体通信網を経由してインターネット網に接続する3G(3rd Generation:第3世代移動通信システム)やLTE(Long Term Evolution)を挙げることができる。第1通信方式および第2通信方式のうちの他方の一例として、たとえば移動体通信網を経由しないでインターネット網に接続するWiFi(Wireless Fidelity)等のWLAN(Wireless Local Area Network:無線構内通信網)を挙げることができる。なお、WiFiは登録商標である。
【0013】
基地局110は、通信部111と、測定部112と、切替部113と、を備える。通信部111は、移動端末101との間で無線通信を行うとともに、ネットワーク130との間で通信を行うことにより、移動端末101とネットワーク130との間の通信を中継する。基地局110とネットワーク130との間の通信は、たとえば有線通信である。
【0014】
測定部112は、第1伝送経路121および第2伝送経路122のそれぞれにおける遅延量を測定する。たとえば、測定部112は、第1伝送経路121および第2伝送経路122のそれぞれへ測定信号を送信し、送信した測定信号に対する応答信号を受信することによって、第1伝送経路121および第2伝送経路122のそれぞれにおける遅延量を測定する。たとえば、測定部112は、第1伝送経路121および第2伝送経路122のそれぞれにおける遅延量の測定を周期的に行う。また、測定部112は、遅延量の測定結果を切替部113へ出力する。
【0015】
切替部113は、測定部112から出力された測定結果を含む所定情報に基づいて、複数の通信方式のうちの、移動端末101とネットワーク130との間の通信に用いる通信方式を切り替える。
【0016】
これにより、ネットワーク側の遅延状態を測定可能な基地局110の主導により、ネットワーク側の遅延量がより少ない通信方式によって移動端末101とネットワーク130との間の通信を行うことが可能になる。したがって、移動端末101とネットワーク130との間の通信の遅延を低減するとともに、ネットワーク側のトラフィックの分散を図ることができる。このため、通信の効率化を図ることができる。
【0017】
仮に、通信方式の切替を移動端末の主導で実施する場合は、移動端末ではネットワーク側の状態等の情報を入手することができず、通信の効率化を図ることができない。これに対して、基地局110は、ネットワーク側の遅延状態を測定可能な基地局110の主導により、ネットワーク側の遅延量がより少ない通信方式を選択し、通信の効率化を図ることができる。
【0018】
また、たとえば複数の移動端末101の間で使用される移動体通信網が異なる場合は、ネットワーク側の遅延状態の測定結果は、それぞれの移動端末101について固有の値になり得る。このため、複数の移動端末101における通信方式の偏在を抑止し、通信品質の向上を図ることができる。
【0019】
仮に、各移動端末がそれぞれ無線伝搬状況に応じて通信方式を選択する場合は、互いに近い位置の各移動端末における無線伝搬状況が同じになり、各移動端末が同一の通信方式を選択して負荷が集中する場合がある。これに対して、基地局110によれば、それぞれの移動端末101について固有の値になり得る所定情報に基づいて通信方式を選択するため、複数の移動端末101における通信方式の偏在を抑止し、通信品質の向上を図ることができる。
【0020】
<通信方式の選択に用いる所定情報について>
また、切替部113が通信方式の選択に用いる所定情報には、複数の通信方式のそれぞれについての移動端末101と基地局110との間の無線伝搬状況の測定結果が含まれていてもよい。これにより、複数の通信方式のうちの、移動端末101と基地局110との間の無線区間における通信品質が高い通信方式によって移動端末101とネットワーク130との間の通信を行うことが可能になる。
【0021】
また、切替部113が通信方式の選択に用いる所定情報には、移動端末101がネットワークとの間で送受信するデータ量を示す情報が含まれていてもよい。これにより、それぞれの移動端末101について固有の値になり得る所定情報に基づいて通信方式を選択することができるため、複数の移動端末101における通信方式の偏在を抑止し、通信品質の向上を図ることができる。
【0022】
また、切替部113が通信方式の選択に用いる所定情報には、移動端末101がネットワークとの間で送受信するデータの種別を示す情報が含まれていてもよい。これにより、それぞれの移動端末101について固有の値になり得る所定情報に基づいて通信方式を選択することができるため、複数の移動端末101における通信方式の偏在を抑止し、通信品質の向上を図ることができる。
【0023】
また、切替部113が通信方式の選択に用いる所定情報には、移動端末101のユーザによる課金内容を示す情報が含まれていてもよい。これにより、それぞれの移動端末101について固有の値になり得る所定情報に基づいて通信方式を選択することができるため、複数の移動端末101における通信方式の偏在を抑止し、通信品質の向上を図ることができる。
【0024】
また、切替部113が通信方式の選択に用いる所定情報には、複数の通信方式の、基地局110に接続中の各移動端末による使用状況を示す情報が含まれていてもよい。これにより、基地局110に接続している複数の移動端末101における通信方式の偏在を抑止し、通信品質の向上を図ることができる。
【0025】
仮に、各移動端末がそれぞれ無線伝搬状況に応じて通信方式を選択する場合は、互いに近い位置の各移動端末における無線伝搬状況が同じになり、各移動端末が同一の通信方式を選択して負荷が集中する場合がある。これに対して、基地局110によれば、それぞれの移動端末101について固有の値になり得る所定情報に基づいて通信方式を選択するため、複数の移動端末101における通信方式の偏在を抑止し、通信品質の向上を図ることができる。
【0026】
<通信方式の選択について>
たとえば、基地局110には、上記の所定情報の内容と、複数の通信方式のうちのいずれかの通信方式と、が対応付けられたユーザ設定可能な対応情報が記憶されている。そして、切替部113は、所定情報の内容と、対応情報と、に基づいて通信方式を切り替える。所定情報の内容と通信方式との対応情報がユーザ設定可能であることにより、ユーザ(たとえば基地局110の保守者)が通信方式の選択条件を調整することが可能になり、利便性を向上させることができる。
【0027】
また、たとえば、基地局110には、上記の所定情報に含まれる複数種類の情報の優先順位を示すユーザ設定可能な優先順位情報が記憶されている。そして、切替部113は、優先順位情報に基づいて、所定情報の複数種類の情報のうちの優先順位が高い情報を優先的に選択し、選択した情報に基づいて通信方式を切り替える。ユーザが、通信方式の選択において優先すべき所定情報に含まれる情報の種類を調整することが可能になり、利便性を向上させることができる。
【0028】
<通信方式の切替について>
たとえば、切替部113は、第1通信方式を選択した場合に、第2通信方式による通信を要求する移動端末101からの要求信号に対して自局が応答しないようにする。これにより、第1通信方式による通信を要求する要求信号の移動端末101による送信を促し、通信方式を第1通信方式に切り替えることができる。また、基地局110の選択結果に従って通信方式を切り替える機能を移動端末101に追加しなくても、基地局110の選択結果に従って移動端末101の通信方式を切り替えることができる。
【0029】
また、たとえば、切替部113は、複数の通信方式の中から選択した通信方式への切替を指示する信号を移動端末101へ送信することによって通信方式を切り替えてもよい。これにより、移動端末101と基地局110との間で通信中であっても、シームレスに無線方式を切替えることができ、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0030】
また、切替部113は、移動端末101とネットワーク130との間の通信のうちの、基地局110とネットワーク130との間の区間における通信方式を切り替えてもよい。たとえば、通信部111は、第1状態および第2状態に切替可能である。
【0031】
第1状態においては、通信部111は、移動端末101から第1通信方式により受信したデータを第1伝送経路121によりネットワーク130へ送信する。また、第1状態においては、通信部111は、ネットワーク130から第1伝送経路121により受信したデータを第1通信方式により移動端末101へ送信する。
【0032】
第2状態においては、通信部111は、移動端末101から第1通信方式により受信したデータを第2通信方式のプロトコルに変換して第2伝送経路122によりネットワーク130へ送信する。また、第2状態においては、通信部111は、ネットワーク130から第2伝送経路122により受信したデータを第1通信方式のプロトコルに変換して第1通信方式により移動端末101へ送信する。
【0033】
切替部113は、通信部111を第1状態または第2状態に切り替えることにより、移動端末101とネットワーク130との間の通信のうちの、基地局110とネットワーク130との間の区間における通信方式を切り替えることができる。これにより、基地局110の制御に従って通信方式を切り替える機能を移動端末101に追加しなくても、基地局110の制御に従って移動端末101の通信方式を切り替えることができる。
【0034】
(通信システムの具体例)
図2は、通信システムの具体例を示す図である。
図2に示す通信システム200は、UE211〜216と、HeNB221〜223と、ブロードバンド回線231と、プロバイダ232と、インターネット網233と、を含む。また、通信システム200は、遅延測定装置234と、モバイルネットワーク235と、S−GW236と、P−GW237と、MME238と、HeMS239と、を含む。
【0035】
UE211〜216(User Equipment:ユーザ端末)のそれぞれは、たとえば携帯電話やタブレット端末などの携帯端末である。UE211,212はHeNB221に接続している。UE213,214はHeNB222に接続している。UE215,216はHeNB223に接続している。
【0036】
また、UE211〜216のそれぞれは、複数の通信方式による無線通信が可能である。たとえば、UE211〜216のそれぞれは、LTEとWiFiとを切り替えてHeNB221〜223との間で通信可能である。
【0037】
HeNB221〜223は、たとえば屋内等に設けられる基地局である。HeNB221〜223のそれぞれは、ブロードバンド回線231に接続されている。また、HeNB221〜223のそれぞれは、複数の通信方式による無線通信が可能である。たとえば、HeNB221〜223のそれぞれは、LTEとWiFiとを切り替えてUE211〜216との間で通信可能である。
【0038】
ブロードバンド回線231は、プロバイダ232を介してインターネット網233に接続されている。インターネット網233には遅延測定装置234が接続されている。遅延測定装置234の構成については後述する(たとえば
図7−1,
図7−2参照)。
【0039】
また、ブロードバンド回線231は、S−GW236(Serving−Gateway)を介してモバイルネットワーク235に接続されている。これにより、HeNB221〜223のそれぞれは、ブロードバンド回線231を介してモバイルネットワーク235に接続することができる。
【0040】
モバイルネットワーク235は、P−GW237(Packet Data Network−Gateway)を介してインターネット網233に接続される移動体通信網である。また、モバイルネットワーク235には、MME238(Mobility Management Entity:移動性管理エンティティ)およびHeMS239(HeNB Management System)が接続されている。MME238は、たとえばLTEの呼管理処理を行う。HeMS239は、HeNB221〜223の管理処理を行う。
【0041】
UE211〜216がLTEでインターネット網233に接続する場合は、たとえば、ブロードバンド回線231、S−GW236、モバイルネットワーク235およびP−GW237を介してインターネット網233に接続する。また、UE211〜216がWiFiでインターネット網233に接続する場合は、たとえば、モバイルネットワーク235を介さず、ブロードバンド回線231およびプロバイダ232を介してインターネット網233に接続する。
【0042】
図1−1,
図1−2に示した移動端末101は、たとえばUE211〜216のいずれかによって実現することができる。
図1−1,
図1−2に示した基地局110は、たとえばHeNB221〜223のいずれかによって実現することができる。
図1−1,
図1−2に示したネットワーク130は、たとえばインターネット網233によって実現することができる。
【0043】
また、
図1−1,
図1−2に示した第1伝送経路121および第2伝送経路122の一方は、たとえばブロードバンド回線231、S−GW236、モバイルネットワーク235およびP−GW237を経由する伝送経路によって実現することができる。
図1−1,
図1−2に示した第1伝送経路121および第2伝送経路122の他方は、たとえばブロードバンド回線231およびプロバイダ232を経由する伝送経路によって実現することができる。
【0044】
(HeNBの構成)
図3−1は、HeNBの構成の一例を示す図である。
図2に示したHeNB221〜223のそれぞれは、たとえば
図3−1に示すHeNB300によって実現することができる。HeNB300は、アンテナ311,312と、LTE処理部313と、WiFi処理部314と、切替制御処理部315と、外部INF316と、を備える。
【0045】
LTE処理部313は、アンテナ311を介してUE(たとえばUE211〜216のいずれか)との間でLTEによる通信を行う。WiFi処理部314は、アンテナ312を介してUE(たとえばUE211〜216)との間でWiFiによる通信を行う。
【0046】
切替制御処理部315は、ブロードバンド回線231(たとえば
図2参照)に接続されている。そして、切替制御処理部315は、ブロードバンド回線231とLTE処理部313との間の通信を中継する状態と、ブロードバンド回線231とWiFi処理部314との間の通信を中継する状態と、を切り替える。これにより、通信方式をLTEまたはWiFiに切り替えることができる。
【0047】
また、切替制御処理部315は、たとえば、LTEにおけるネットワーク側の遅延量の測定結果と、WiFiにおけるネットワーク側の遅延量の測定結果と、に基づいてUEごとの通信方式を切り替える。また、切替制御処理部315は、外部INF316から出力される指示信号に基づいて、通信方式の選択条件等を切り替える。切替制御処理部315の構成については後述する(たとえば
図4参照)。外部INF316は、PC(Personal Computer)等に接続され、PC等から入力される指示信号を切替制御処理部315へ出力するインターフェースである。
【0048】
図1−1,
図1−2に示した通信部111は、たとえばアンテナ311,312、LTE処理部313、WiFi処理部314および切替制御処理部315によって実現することができる。
図1−1,
図1−2に示した測定部112および切替部113は、たとえば切替制御処理部315によって実現することができる。
【0049】
図3−2は、
図3−1に示したHeNBの回路構成の一例を示す図である。
図3−1に示したHeNB300は、たとえば、
図3−2に示すように、RF_IC321と、LSI322と、SoC323と、メモリ324と、CPU325と、メモリ326と、FPGA327と、によって実現することができる。
【0050】
図3−1に示したLTE処理部313は、たとえばRF(Radio Frequency:高周波)処理を行うRF_IC321(Radio Frequency_Integrated Circuit:高周波集積回路)、SoC323(System−on−a−Chip)およびメモリ324によって実現することができる。
【0051】
図3−1に示したWiFi処理部314は、たとえばLSI322(Large Scale Integration:大規模集積回路)によって実現することができる。
図3−1に示した切替制御処理部315は、たとえばCPU325(Central Processing Unit:中央処理装置)およびメモリ326によって実現することができる。
図3−1に示した外部INF316は、たとえばFPGA327(Field Programmable Gate Array)によって実現することができる。
【0052】
(切替制御処理部の構成)
図4は、切替制御処理部の構成の一例を示す図である。
図3−1に示した切替制御処理部315は、たとえば、
図4に示すように、GW部410と、記憶部420と、制御部430と、を備える。
【0053】
GW部410は、LTE処理部313およびWiFi処理部314(たとえば
図3−1参照)と、ブロードバンド回線231(たとえば
図2参照)と、の間の通信を中継するゲートウェイである。GW部410は、制御部430からの制御により、LTE処理部313およびWiFi処理部314のいずれかとブロードバンド回線231とを接続する。これにより、通信方式をLTEまたはWiFiに切り替えることができる。
【0054】
記憶部420は、外部INF316から制御部430を介して入力される、通信方式の選択条件を記憶する。また、記憶部420は、外部INF316から制御部430を介して入力される通信方式の選択条件の優先順位情報を記憶する。選択条件および優先順位情報については後述する(たとえば
図8,
図9参照)。
【0055】
制御部430は、GW部410を介してブロードバンド回線231へ遅延測定信号を送信することにより、LTEにおけるネットワーク側の遅延量と、WiFiにおけるネットワーク側の遅延量の測定結果と、の測定を行う。
【0056】
たとえば、制御部430は、モバイルネットワーク235に接続されたHeMS239のIPアドレスを記憶している。そして、制御部430は、周期的(たとえば1[秒]周期)にHeMS239へ遅延測定信号を送信し、遅延測定信号の送信時刻を記憶部420に記憶する。そして、制御部430は、送信した遅延測定信号に応じてHeMS239から送信された遅延測定信号を受信し、受信時刻を記憶部420に記憶する。
【0057】
また、制御部430は、受信した遅延測定信号に格納されたHeMS239の受信時刻および送信時刻を記憶部420に記憶する。そして、制御部430は、記憶部420に記憶した各送信時刻および受信時刻に基づいて、LTEにおける遅延量を算出することができる。たとえば、制御部430は、制御部430の送信時刻とHeMS239の受信時刻の差と、HeMS239の送信時刻と制御部430の受信時刻の差と、の和を算出することにより、LTEにおける遅延量を算出することができる。
【0058】
また、制御部430は、インターネット網233に接続された遅延測定装置234のIPアドレスを記憶している。そして、制御部430は、プロバイダ232を介して、周期的(たとえば1[秒]周期)に遅延測定装置234へ遅延測定信号を送信し、遅延測定信号の送信時刻を記憶部420に記憶する。そして、制御部430は、送信した遅延測定信号に応じてプロバイダ232を介して遅延測定装置234から送信された遅延測定信号を受信し、受信時刻を記憶部420に記憶する。
【0059】
また、制御部430は、受信した遅延測定信号に格納された遅延測定装置234の受信時刻および送信時刻を記憶部420に記憶する。そして、制御部430は、記憶部420に記憶した各送信時刻および受信時刻に基づいて、WiFiにおける遅延量を算出することができる。たとえば、制御部430は、制御部430の送信時刻と遅延測定装置234の受信時刻の差と、遅延測定装置234の送信時刻と制御部430の受信時刻の差と、の和を算出することにより、WiFiにおける遅延量を算出することができる。
【0060】
また、制御部430は、LTEおよびWiFiにおけるネットワーク側の遅延量の測定結果等や、記憶部420に記憶された状態情報および優先順位情報等に基づいて、HeNB300と無線通信を行う各UEの通信方式の切替制御を行う。通信方式の切替制御については後述する(たとえば
図8〜
図11参照)。
【0061】
(UEの構成)
図5−1は、UEの構成の一例を示す図である。
図2に示したUE211〜216のそれぞれは、たとえば、
図5−1に示すUE500によって実現することができる。UE500は、アンテナ511,512と、LTE処理部513と、WiFi処理部514と、を備える。
【0062】
LTE処理部513は、アンテナ511を介してHeNB(たとえばHeNB221〜223のいずれか)との間でLTEによる無線通信を行う。WiFi処理部514は、アンテナ512を介してHeNB(たとえばHeNB221〜223のいずれか)との間でWiFiによる無線通信を行う。LTE処理部513およびWiFi処理部514は、たとえば互いに独立して動作する。
【0063】
図5−2は、
図5−1に示したUEの回路構成の一例を示す図である。
図5−1に示したUE500は、たとえば、
図5−2に示すように、LSI521と、SoC522と、メモリ523と、によって実現することができる。
図5−1に示したLTE処理部513は、たとえばLSI521によって実現することができる。
図5−1に示したLTE処理部513は、たとえばSoC522およびメモリ523によって実現することができる。
【0064】
(HeMSの構成)
図6−1は、HeMSの構成の一例を示す図である。
図2に示したHeMS239は、たとえば、
図6−1に示すように、HeNB管理処理部611と、時刻情報取得部612と、遅延処理部613と、を備える。
【0065】
HeNB管理処理部611は、モバイルネットワーク235を介してHeNB221〜223との間で通信を行うことにより、HeNB221〜223の障害管理、ネットワーク機器の構成管理、性能管理、セキュリティ管理などの処理を行う。時刻情報取得部612は、現在時刻を取得する。
【0066】
遅延処理部613は、HeNB管理処理部611を介してHeNB221〜223からの上りの遅延測定信号を受信すると、下りの遅延測定信号を、HeNB管理処理部611を介してHeNB221〜223へ返送する。このとき、遅延処理部613は、時刻情報取得部612によって取得される現在時刻に基づいて、返送する下りの遅延測定信号に、上りの遅延測定信号の受信時刻と、下りの遅延測定信号の送信時刻と、を格納する。
【0067】
図6−2は、
図6−1に示したHeMSの回路構成の一例を示す図である。
図6−1に示したHeMS239は、たとえば、
図6−2に示すように、ネットワークCPU621と、メモリ622と、CPU623と、メモリ624と、によって実現することができる。
図6−1に示したHeNB管理処理部611は、たとえばネットワークCPU621およびメモリ622によって実現することができる。
図6−1に示した時刻情報取得部612は、たとえばCPU623およびメモリ624によって実現することができる。
図6−1に示した遅延処理部613は、たとえばCPU623およびメモリ624によって実現することができる。
【0068】
(遅延測定装置の構成)
図7−1は、遅延測定装置の構成の一例を示す図である。
図2に示した遅延測定装置234は、
図7−1に示すように、たとえば、IP送受信処理部712と、時刻情報取得部711と、を備える。時刻情報取得部711は、現在時刻を取得する。
【0069】
IP送受信処理部712は、プロバイダ232およびインターネット網233を介してHeNB221〜223との間で通信を行う。また、IP送受信処理部712は、HeNB221〜223からの上りの遅延測定信号を受信すると、下りの遅延測定信号をHeNB221〜223へ返送する。このとき、IP送受信処理部712は、時刻情報取得部711によって取得される現在時刻に基づいて、返送する下りの遅延測定信号に、上りの遅延測定信号の受信時刻と、下りの遅延測定信号の送信時刻と、を格納する。
【0070】
図7−2は、
図7−1に示した遅延測定装置の回路構成の一例を示す図である。
図7−1に示した遅延測定装置234は、たとえば、
図7−2に示すように、ネットワークCPU721と、メモリ722と、によって実現することができる。
図7−1に示した時刻情報取得部711は、たとえばネットワークCPU721およびメモリ722によって実現することができる。
図7−1に示したIP送受信処理部712は、たとえばネットワークCPU721およびメモリ722によって実現することができる。
【0071】
(通信方式の選択条件テーブル)
図8は、通信方式の選択条件テーブルの一例を示す図である。HeNB300の記憶部420(たとえば
図4参照)には、たとえば
図8に示す選択条件テーブル800が記憶される。各家庭に設置されたHeNB221〜223の選択条件テーブル800は、たとえば、外部INF316(たとえば
図3−1参照)を介して保守者により設定される。また、選択条件テーブル800には保守者の設定前にデフォルト値が設定されていてもよい。
【0072】
選択条件テーブル800は、『選択項目』ごとに『通信方式』を対応付けた対応情報である。『選択項目』は、通信方式を選択するための条件を示している。『通信方式』は、『選択項目』が示す条件を満たした場合に選択すべき通信方式を示している。
図8に示す例では、『通信方式』はLTEまたはWiFiを示している。
【0073】
「サービス」は、UEがネットワーク(たとえばインターネット網233)との間で送受信するデータの種別を示す情報である。「サービス」は、たとえば、HeNB300が中継するデータに基づいて判定することができる。
【0074】
「無線伝搬状況」は、LTEおよびWiFiのそれぞれについてのUEとHeNB300との間の無線伝搬状況(無線品質)の測定結果である。「無線伝搬状況」は、たとえば、UEにより測定されてHeNB300へ通知されるRSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)等に基づいて判定することができる。
【0075】
「データ量」は、UEがネットワーク(たとえばインターネット網233)との間で送受信するデータ量を示す情報である。「データ量」は、UEがネットワークとの間で送受信するデータの量を示す。「データ量」は、たとえば、HeNB300が中継するデータに基づいて判定することができる。
【0076】
「NW品質」は、HeNB300において測定される、LTEおよびWiFiのそれぞれにおけるネットワーク側の通信品質を示す。「NW品質」は、たとえば、制御部430によってHeMS239および遅延測定装置234へ遅延測定信号を送信することによって判定することができる。「料金プラン」は、UEのユーザが業者と契約している料金プランを示す。「料金プラン」は、たとえばあらかじめHeNB300の記憶部420にUEごとに記憶されている。
【0077】
たとえば、HeNB300の外部INF316にPCを接続すると、PCに
図8に示す選択条件テーブル800が表示される。ユーザは、選択条件テーブル800の通信方式の「LTE」または「WiFi」のいずれに「○」をつけるかによって、通信方式の選択条件を調整することができる。
【0078】
たとえば、「サービス1(データ転送)」では、データ量が多いので、「LTE」を選択することにより通信が早く終わるように設定することができる。また、「料金プラン2(モバイル:定額制、プロバイダ:従量課金)」では、動画などをダウンロードする場合に、「LTE」を選択することにより定額制を適用して料金を安くすることができる。
【0079】
(優先順位情報)
図9は、優先順位情報の一例を示す図である。HeNB300の記憶部420(たとえば
図4参照)には、たとえば
図9に示す優先順位情報900が記憶される。各家庭に設置されたHeNB221〜223の優先順位情報900は、たとえば外部INF316(たとえば
図3−1参照)を介して保守者によって設定される。また、優先順位情報900には保守者の設定前にデフォルト値が設定されていてもよい。
【0080】
優先順位情報900においては、『選択項目グループ』ごとに『優先順位』が対応付けられている。『選択項目グループ』は、通信方式を選択するための条件のグループを示している。
図8に示した選択条件テーブル800の『選択項目』のそれぞれは、
図9に示す優先順位情報900の『選択項目グループ』が示すグループのいずれかに属している。
【0081】
たとえば、選択条件テーブル800の「サービス1(データ転送)」、「サービス2(メールサービス)」、「サービス3(メールサービス)」、「サービス4(VoLTE)」は、優先順位情報900の「サービス(優先呼以外)」に属している。また、選択条件テーブル800の「サービス5(優先呼)」は、優先順位情報900の「サービス(優先呼)」に属している。
【0082】
また、たとえばHeNB221に記憶される選択条件テーブル800および優先順位情報900は、HeNB221に接続可能なUEが複数ある場合は、HeNB221に接続可能なUEごとに記憶されてもよい。HeNB222,223に記憶される選択条件テーブル800および優先順位情報900についても同様に、たとえば、接続可能なUEごとに記憶されてもよい。
【0083】
『優先順位』は、『選択項目グループ』が示す各グループにおける、通信方式の選択において優先すべき順位を示す。HeNB300の制御部430(たとえば
図4参照)は、『選択項目グループ』が示す各グループのうちの『優先順位』の高いグループを優先的に判断することによって通信方式を選択する。
【0084】
(HeNBの選択処理)
図10−1および
図10−2は、HeNBの選択処理の一例を示すフローチャートである。HeNB300の制御部430(たとえば
図4参照)は、自局と無線通信を行う各UEを対象として、たとえば
図10−1,
図10−2に示す各ステップを実行することによって通信方式を選択する。
図10−1,
図10−2においては、HeNB300の記憶部420に、
図8に示した選択条件テーブル800および
図9に示した優先順位情報900が設定されている場合について説明する。
【0085】
<優先呼か否かに基づく通信品質の選択>
まず、
図10−1に示すように、制御部430は、対象UEの信号が優先呼でありかつLTEの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1001)。LTEの帯域の空きがあるか否かは、たとえばHeNB300とLTEによる無線通信を行っているUEの数が所定数を超えているか否かによって判断することができる。
【0086】
ステップS1001において、対象UEの信号が優先呼でありかつLTEの帯域の空きがある場合(ステップS1001:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてLTEを選択し(ステップS1002)、一連の選択処理を終了する。対象UEの信号が優先呼でなく、またはLTEの帯域の空きがない場合(ステップS1001:No)は、制御部430は、ステップS1003へ移行する。
【0087】
<料金プランに基づく通信品質の選択>
つぎに、制御部430は、対象UEの料金プランが「料金プラン1」でありかつWiFiの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1003)。対象UEの料金プランは、たとえば対象UEから送信される情報に基づいて判定することができる。WiFiの帯域の空きがあるか否かは、たとえばHeNB300とWiFiによる無線通信を行っているUEの数が所定数を超えているか否かによって判断することができる。
【0088】
ステップS1003において、対象UEの料金プランが「料金プラン1」でありかつWiFiの帯域の空きがある場合(ステップS1003:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてWiFiを選択し(ステップS1004)、一連の選択処理を終了する。対象UEの料金プランが「料金プラン1」でなく、またはWiFiの帯域の空きがない場合(ステップS1003:No)は、制御部430は、ステップS1005へ移行する。
【0089】
つぎに、制御部430は、対象UEの料金プランが「料金プラン2」でありかつLTEの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1005)。対象UEの料金プランが「料金プラン2」でありかつLTEの帯域の空きがある場合(ステップS1005:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてLTEを選択し(ステップS1006)、一連の選択処理を終了する。対象UEの料金プランが「料金プラン2」でなく、またはLTEの帯域の空きがない場合(ステップS1005:No)は、制御部430は、ステップS1007へ移行する。
【0090】
つぎに、制御部430は、対象UEの料金プランが「料金プラン3」でありかつWiFiの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1007)。対象UEの料金プランが「料金プラン3」でありかつWiFiの帯域の空きがある場合(ステップS1007:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてWiFiを選択し(ステップS1008)、一連の選択処理を終了する。対象UEの料金プランが「料金プラン3」でなく、またはWiFiの帯域の空きがない場合(ステップS1007:No)は、制御部430は、ステップS1009へ移行する。
【0091】
つぎに、制御部430は、対象UEの料金プランが「料金プラン4」でありかつLTEの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1009)。対象UEの料金プランが「料金プラン4」でありかつLTEの帯域の空きがある場合(ステップS1009:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてLTEを選択し(ステップS1010)、一連の選択処理を終了する。対象UEの料金プランが「料金プラン4」でなく、またはLTEの帯域の空きがない場合(ステップS1009:No)は、制御部430は、ステップS1011へ移行する。
【0092】
ステップS1003〜S1010により、たとえば、対象UEのLTE(モバイル)の料金プランが定額制である場合は、対象UEの通信方式としてLTEを優先的に選択することができる。また、対象UEのLTE(モバイル)の料金プランが従量課金である場合は、対象UEの通信方式としてWiFiを優先的に選択することができる。
【0093】
<対象UEとの間の無線伝搬環境に基づく通信品質の選択>
つぎに、制御部430は、対象UEとの間の無線伝搬環境が「無線伝搬環境1」でありかつWiFiの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1011)。対象UEとの間の無線伝搬環境が「無線伝搬環境1」でありかつWiFiの帯域の空きがある場合(ステップS1011:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてWiFiを選択し(ステップS1012)、一連の選択処理を終了する。対象UEとの間の無線伝搬環境が「無線伝搬環境1」でなく、またはWiFiの帯域の空きがない場合(ステップS1011:No)は、制御部430は、ステップS1013へ移行する。
【0094】
つぎに、制御部430は、対象UEとの間の無線伝搬環境が「無線伝搬環境2」でありかつLTEの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1013)。対象UEとの間の無線伝搬環境が「無線伝搬環境2」でありかつLTEの帯域の空きがある場合(ステップS1013:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてLTEを選択し(ステップS1014)、一連の選択処理を終了する。対象UEとの間の無線伝搬環境が「無線伝搬環境2」でなく、またはLTEの帯域の空きがない場合(ステップS1013:No)は、制御部430は、ステップS1015へ移行する。
【0095】
つぎに、制御部430は、対象UEとの間の無線伝搬環境が「無線伝搬環境3」でありかつWiFiの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1015)。対象UEとの間の無線伝搬環境が「無線伝搬環境3」でありかつWiFiの帯域の空きがある場合(ステップS1015:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてWiFiを選択し(ステップS1016)、一連の選択処理を終了する。対象UEとの間の無線伝搬環境が「無線伝搬環境3」でなく、またはWiFiの帯域の空きがない場合(ステップS1015:No)は、制御部430は、ステップS1017へ移行する。
【0096】
つぎに、制御部430は、対象UEとの間の無線伝搬環境が「無線伝搬環境4」でありかつLTEの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1017)。対象UEとの間の無線伝搬環境が「無線伝搬環境4」でありかつLTEの帯域の空きがある場合(ステップS1017:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてLTEを選択し(ステップS1018)、一連の選択処理を終了する。対象UEとの間の無線伝搬環境が「無線伝搬環境4」でなく、またはLTEの帯域の空きがない場合(ステップS1017:No)は、制御部430は、
図10−2に示すステップS1019へ移行する。
【0097】
ステップS1011〜S1018により、たとえば、対象UEのWiFiにおける無線伝搬環境がよい場合は、対象UEの通信方式としてWiFiを優先的に選択することができる。また、対象UEのWiFiにおける無線伝搬環境が悪い場合は、対象UEの通信方式としてLTEを優先的に選択することができる。
【0098】
<ネットワーク品質に基づく通信品質の選択>
つぎに、
図10−2に示すように、制御部430は、ネットワーク品質が「NW品質1」でありかつWiFiの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1019)。ネットワーク品質が「NW品質1」でありかつWiFiの帯域の空きがある場合(ステップS1019:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてWiFiを選択し(ステップS1020)、一連の選択処理を終了する。ネットワーク品質が「NW品質1」でなく、またはWiFiの帯域の空きがない場合(ステップS1019:No)は、制御部430は、ステップS1021へ移行する。
【0099】
つぎに、制御部430は、ネットワーク品質が「NW品質2」でありかつLTEの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1021)。ネットワーク品質が「NW品質2」でありかつLTEの帯域の空きがある場合(ステップS1021:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてLTEを選択し(ステップS1022)、一連の選択処理を終了する。ネットワーク品質が「NW品質2」でなく、またはLTEの帯域の空きがない場合(ステップS1021:No)は、制御部430は、ステップS1023へ移行する。
【0100】
つぎに、制御部430は、ネットワーク品質が「NW品質3」でありかつWiFiの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1023)。ネットワーク品質が「NW品質3」でありかつWiFiの帯域の空きがある場合(ステップS1023:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてWiFiを選択し(ステップS1024)、一連の選択処理を終了する。ネットワーク品質が「NW品質3」でなく、またはWiFiの帯域の空きがない場合(ステップS1023:No)は、制御部430は、ステップS1025へ移行する。
【0101】
つぎに、制御部430は、ネットワーク品質が「NW品質4」でありかつLTEの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1025)。ネットワーク品質が「NW品質4」でありかつLTEの帯域の空きがある場合(ステップS1025:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてLTEを選択し(ステップS1026)、一連の選択処理を終了する。ネットワーク品質が「NW品質4」でなく、またはLTEの帯域の空きがない場合(ステップS1025:No)は、制御部430は、ステップS1027へ移行する。
【0102】
ステップS1019〜S1026により、たとえば、対象UEのLTE(モバイル)の遅延が小さい場合は、対象UEの通信方式としてLTEを優先的に選択することができる。また、対象UEのLTEの遅延が大きい場合は、対象UEの通信方式としてWiFiを優先的に選択することができる。
【0103】
<信号のサービスに基づく通信品質の選択>
つぎに、制御部430は、信号のサービスが「サービス1」(データ転送)でありかつLTEの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1027)。信号のサービスが「サービス1」でありかつLTEの帯域の空きがある場合(ステップS1027:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてLTEを選択し(ステップS1028)、一連の選択処理を終了する。信号のサービスが「サービス1」でなく、またはLTEの帯域の空きがない場合(ステップS1027:No)は、制御部430は、ステップS1029へ移行する。
【0104】
つぎに、制御部430は、信号のサービスが「サービス2」(キャリアメール)でありかつLTEの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1029)。信号のサービスが「サービス2」でありかつLTEの帯域の空きがある場合(ステップS1029:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてLTEを選択し(ステップS1030)、一連の選択処理を終了する。信号のサービスが「サービス2」でなく、またはLTEの帯域の空きがない場合(ステップS1029:No)は、制御部430は、ステップS1031へ移行する。
【0105】
つぎに、制御部430は、信号のサービスが「サービス3」(プロバイダメール)でありかつWiFiの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1031)。信号のサービスが「サービス3」でありかつWiFiの帯域の空きがある場合(ステップS1031:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてWiFiを選択し(ステップS1032)、一連の選択処理を終了する。信号のサービスが「サービス3」でなく、またはWiFiの帯域の空きがない場合(ステップS1031:No)は、制御部430は、ステップS1033へ移行する。
【0106】
つぎに、制御部430は、信号のサービスが「サービス4」(VoLTE)でありかつLTEの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1033)。信号のサービスが「サービス4」でありかつLTEの帯域の空きがある場合(ステップS1033:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてLTEを選択し(ステップS1034)、一連の選択処理を終了する。信号のサービスが「サービス4」でなく、またはLTEの帯域の空きがない場合(ステップS1033:No)は、制御部430は、ステップS1035へ移行する。
【0107】
ステップS1027〜S1034により、たとえば、対象UEの信号のサービスが、データ転送、キャリア固有のメールサービスまたはVoLTEである場合は、対象UEの通信方式としてLTEを優先的に選択することができる。また、対象UEの信号のサービスがプロバイダ固有のメールサービスである場合は、対象UEの通信方式としてWiFiを優先的に選択することができる。
【0108】
<対象UEが送受信するデータ量に基づく通信品質の選択>
つぎに、制御部430は、対象UEが送受信するデータ量が「大」でありかつLTEの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1035)。データ量が「大」でありかつLTEの帯域の空きがある場合(ステップS1035:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてLTEを選択し(ステップS1036)、一連の選択処理を終了する。データ量が「大」でなく、またはLTEの帯域の空きがない場合(ステップS1035:No)は、制御部430は、ステップS1037へ移行する。
【0109】
つぎに、制御部430は、対象UEが送受信するデータ量が「中」でありかつWiFiの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1037)。データ量が「中」でありかつWiFiの帯域の空きがある場合(ステップS1037:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてWiFiを選択し(ステップS1038)、一連の選択処理を終了する。データ量が「中」でなく、またはWiFiの帯域の空きがない場合(ステップS1037:No)は、制御部430は、ステップS1039へ移行する。
【0110】
つぎに、制御部430は、対象UEが送受信するデータ量が「小」でありかつWiFiの帯域の空きがあるか否かを判断する(ステップS1039)。データ量が「小」でありかつWiFiの帯域の空きがある場合(ステップS1039:Yes)は、制御部430は、対象UEの通信方式としてWiFiを選択し(ステップS1040)、一連の選択処理を終了する。
【0111】
ステップS1039において、データ量が「小」でなく、またはWiFiの帯域の空きがない場合(ステップS1039:No)は、制御部430は、対象UEの通信方式の選択を保留し、一連の選択処理を終了する。この場合は、たとえば、制御部430は、他のUEについての選択処理を行った後に、通信方式の選択を保留したUEについての選択処理を再度行う。
【0112】
ステップS1035〜S1040により、たとえば、対象UEが送受信するデータ量が大きい場合は対象UEの通信方式としてLTEを優先的に選択することができる。また、対象UEが送受信するデータ量が大きくない場合は、対象UEの通信方式としてWiFiを優先的に選択することができる。
【0113】
(各UEの通信方式の切替)
図11は、各UEの通信方式の切替の一例を示す図である。
図11において、横軸は時間の経過を示している。
図11に示すように、UE211〜216のそれぞれは、HeNB221〜223のうちの自局が接続しているHeNBからの制御に従って、状況の変化に応じて通信方式を切り替えながら無線通信を行う。
【0114】
たとえば、時刻T1において、プロバイダ232におけるトラフィックの増大等により、WiFi(プロバイダ)のネットワーク品質が悪化したとする(WiFi_NW品質悪化)。この場合に、時刻T1においてWiFiによる通信を行っていたUE211は、つぎの周期においてはLTEによる通信に切り替える。
【0115】
また、時刻T2において、モバイルネットワーク235におけるトラフィックの増大等により、LTE(モバイル)のネットワーク品質が悪化したとする(LTE_NW品質悪化)。この場合に、時刻T2においてWiFiによる通信を行っていたUE212は、つぎの周期においてはLTEによる通信に切り替える。
【0116】
一方、UE216が接続しているHeNB221〜223においては、優先順位情報900において『データ量』の優先順位が『NW品質』の優先順位より高く設定されており、UE216が送受信するデータ量が大きかったとする。この場合は、UE216は、LTE(モバイル)のネットワーク品質が悪化しても、LTEによる通信を継続する。
【0117】
また、時刻T3において、UE211とHeNB221との間のWiFiの無線伝搬環境が悪化したとする(伝搬環境悪化)。この場合は、時刻T3においてWiFiによる通信を行っていたUE211は、つぎの周期においてはLTEによる通信に切り替える。
【0118】
(通信システムにおけるHeNBの設定動作)
図12は、通信システムにおけるHeNBの設定動作の一例を示すシーケンス図である。まず、HeNB300の保守者が、PC1210から外部INF316(たとえば
図3−1参照)を介して、HeNB300の切替制御処理部315に対して切替論理設定を行う(ステップS1201)。ステップS1201により、切替制御処理部315の記憶部420の選択条件テーブル800(たとえば
図8参照)が設定される。
【0119】
つぎに、HeNB300の保守者が、PC1210から外部INF316を介して、HeNB300の切替制御処理部315に対して優先順位設定を行う(ステップS1202)。ステップS1202により、切替制御処理部315の記憶部420の優先順位情報900(たとえば
図9参照)が設定される。
【0120】
(通信システムにおけるネットワーク品質および無線伝搬状況の取得処理)
図13は、通信システムにおけるネットワーク品質および無線伝搬状況の取得処理の一例を示すシーケンス図である。まず、HeNB300の切替制御処理部315が、遅延測定信号をHeMS239へ送信する(ステップS1301)。つぎに、HeMS239が、受信時刻および送信時刻を格納した遅延測定信号をHeNB300へ送信する(ステップS1302)。これにより、HeNB300の切替制御処理部315が、LTEの伝送経路における遅延時間(ネットワーク品質)を把握することができる。
【0121】
つぎに、HeNB300の切替制御処理部315が、遅延測定信号を遅延測定装置234へ送信する(ステップS1303)。つぎに、遅延測定装置234が、受信時刻および送信時刻を格納した遅延測定信号をHeNB300へ送信する(ステップS1304)。これにより、HeNB300の切替制御処理部315が、WiFiの伝送経路における遅延時間(ネットワーク品質)を把握することができる。
【0122】
また、HeNB300のWiFi処理部314が、周辺のWiFi状況を測定する(ステップS1305)。たとえば、WiFi処理部314は、WiFiにおいて使用される各周波数帯域の受信強度を測定する。つぎに、WiFi処理部314が、ステップS1305による測定結果に基づくWiFiの干渉状況を把握して切替制御処理部315へ通知する(ステップS1306)。つぎに、切替制御処理部315が、ステップS1306による通知に基づいて、WiFiの無線伝搬状況を把握する(ステップS1307)。
【0123】
また、UE211が、HeNB300に対してLTE信号を送信する(ステップS1308)。ステップS1308において送信されるLTE信号は、たとえば所定パターンのプリアンブル信号である。つぎに、HeNB300のLTE処理部313が、ステップS1308によって送信されたLTE信号の受信レベルに基づいてLTEの干渉状況を把握して切替制御処理部315へ通知する(ステップS1309)。つぎに、切替制御処理部315が、ステップS1309による通知に基づいて、LTEの無線伝搬状況を把握する(ステップS1310)。
【0124】
通信システム200においては、
図13に示した取得処理が周期的に行われるとともに、たとえば以下に示す通信動作が行われる。
【0125】
(通信システムにおける通信時の動作例1)
図14−1は、通信システムにおける通信時の動作例1を示すシーケンス図(その1)である。まず、HeNB300の切替制御処理部315は、
図13によって把握したネットワーク品質および無線伝搬状況等に基づいて、UE211の通信方式をLTEに決定したとする(ステップS1411)。切替制御処理部315は、ステップS1411による決定結果をLTE処理部313へ通知する。これにより、UE211およびHeNB300によるLTEによる通信(ステップS1412)が開始される。
【0126】
ステップS1412において、HeNB300の切替制御処理部315は、モバイルネットワーク235からの下りデータをLTE処理部313へ出力する。LTE処理部313は、切替制御処理部315から出力された下りデータをUE211へLTEにより無線送信する。また、LTE処理部313は、UE211からLTEにより無線送信された上りデータを受信して切替制御処理部315へ出力する。切替制御処理部315は、LTE処理部313から出力された上りデータをモバイルネットワーク235へ送信する。
【0127】
図14−2は、通信システムにおける通信時の動作例1を示すシーケンス図(その2)である。まず、HeNB300の切替制御処理部315は、
図13によって把握したネットワーク品質および無線伝搬状況等に基づいて、UE211の通信方式をWiFiに決定したとする(ステップS1421)。切替制御処理部315は、ステップS1421による決定結果をWiFi処理部314へ通知する。これにより、UE211およびHeNB300によるWiFiによる通信(ステップS1422)が開始される。
【0128】
ステップS1422において、HeNB300の切替制御処理部315は、インターネット網233からの下りデータをWiFi処理部314へ出力する。WiFi処理部314は、切替制御処理部315から出力された下りデータをUE211へWiFiにより無線送信する。また、WiFi処理部314は、UE211からWiFiにより無線送信された上りデータを受信して切替制御処理部315へ出力する。切替制御処理部315は、WiFi処理部314から出力された上りデータをインターネット網233へ送信する。
【0129】
(通信システムにおける通信時の動作例2)
図15−1は、通信システムにおける通信時の動作例2を示すシーケンス図(その1)である。まず、HeNB300の切替制御処理部315は、
図13によって把握したネットワーク品質および無線伝搬状況等に基づいて、UE211の通信方式をLTEに決定したとする(ステップS1511)。そして、切替制御処理部315は、ステップS1511による決定結果をLTE処理部313およびWiFi処理部314の両方へ通知する。これにより、WiFi処理部314は、UE211からのWiFiによる通信の要求があっても(ステップS1512)、応答しない(ステップS1513)状態になる。
【0130】
また、LTE処理部313は、UE211からのLTEによる通信の要求があると(ステップS1514)、UE211との間でLTEによる無線通信を開始する。これにより、UE211およびHeNB300によるLTEによる通信(ステップS1515)が開始される。ステップS1515におけるLTEによる通信は、
図14−1に示したステップS1412と同様である。
【0131】
このように、UE211の通信方式をLTEに切り替える際に、HeNB300は、UE211からの発呼シーケンスにおいて、UE211からのWiFiによる通信の要求に対して応答しないようにする。これにより、UE211にLTEによる通信の要求を行わせ、LTEによる通信の要求に対しては応答することによりUE211の通信方式をLTEに切り替えることができる。このため、たとえばUE211に対して指示信号等を送信しなくても、UE211の通信方式をLTEに切り替えることができる。
【0132】
図15−2は、通信システムにおける通信時の動作例2を示すシーケンス図(その2)である。まず、HeNB300の切替制御処理部315は、
図13によって把握したネットワーク品質および無線伝搬状況等に基づいて、UE211の通信方式をWiFiに決定したとする(ステップS1521)。そして、切替制御処理部315は、ステップS1521による決定結果をLTE処理部313およびWiFi処理部314の両方へ通知する。これにより、LTE処理部313は、UE211からのLTEによる通信の要求があっても(ステップS1522)、応答しない(ステップS1523)状態になる。
【0133】
また、WiFi処理部314は、UE211からのWiFiによる通信の要求があると(ステップS1524)、UE211との間でWiFiによる無線通信を開始する。これにより、UE211およびHeNB300によるWiFiによる通信(ステップS1525)が開始される。ステップS1525におけるWiFiによる通信は、
図14−2に示したステップS1422と同様である。
【0134】
このように、UE211の通信方式をWiFiに切り替える際に、HeNB300は、UE211からの発呼シーケンスにおいて、UE211からのLTEによる通信の要求に対して応答しないようにする。これにより、UE211にWiFiによる通信の要求を行わせ、WiFiによる通信の要求に対しては応答することによりUE211の通信方式をWiFiに切り替えることができる。このため、たとえばUE211に対して指示信号等を送信しなくても、UE211の通信方式をWiFiに切り替えることができる。
【0135】
(UEの構成の変形例)
図16は、UEの構成の変形例を示す図である。
図16において、
図5−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図16に示すように、UE500は、
図5−1に示した構成に加えて切替制御処理部1610を備えていてもよい。切替制御処理部1610は、LTE処理部513またはWiFi処理部514を介してHeNB300からの指示信号を受信する。そして、切替制御処理部1610は、受信した指示信号に基づいて、LTE処理部513を用いたLTEによる通信と、WiFi処理部514を用いたWiFiによる通信と、を切り替える。
【0136】
(通信システムにおける通信時の動作例3)
図17は、通信システムにおける通信時の動作例3を示すシーケンス図である。
図16に示したUE500の構成を用いる場合は、通信システム200において、たとえば
図17に示す各ステップが実行される。まず、UE211とHeNB300との間でLTEによる通信が行われているとする(ステップS1701)。ステップS1701におけるLTEによる通信は、
図14−1に示したステップS1412と同様である。
【0137】
つぎに、モバイルネットワーク235の回線状況が変化し、モバイルネットワーク235における遅延が増加したとする(ステップS1702)。また、HeNB300の切替制御処理部315は、ステップS1702における遅延の増加に応じて、UE211が使用する通信方式のWiFiへの切替を決定したとする(ステップS1703)。
【0138】
つぎに、HeNB300の切替制御処理部315は、WiFiによる通信を開始することを指示するWiFi_ON指示を、WiFi処理部314を介してUE211へ送信する(ステップS1704)。ステップS1704によるWiFi_ON指示は、UE211のWiFi処理部514を介して切替制御処理部1610によって受信される。
【0139】
つぎに、HeNB300の切替制御処理部315は、WiFiによる通信への切替のタイミングを示す切替タイミング指示をLTE処理部313およびWiFi処理部314へ出力する(ステップS1705)。
【0140】
つぎに、LTE処理部313が、ステップS1705によって出力された切替タイミング指示が示す切替タイミングをUE211へ通知する(ステップS1706)。ステップS1706によって通知された切替タイミングは、LTE処理部513を介して切替制御処理部1610へ通知される。
【0141】
また、WiFi処理部314が、ステップS1705によって出力された切替タイミング指示が示す切替タイミングをUE211へ通知する(ステップS1707)。ステップS1707によって通知された切替タイミングは、WiFi処理部514を介して切替制御処理部1610へ通知される。
【0142】
つぎに、切替制御処理部1610が、ステップS1706,S1707によって通知された切替タイミングになると、WiFiによる通信への切替を指示する切替指示をLTE処理部513およびWiFi処理部514へ出力する(ステップS1708)。
【0143】
これに対して、LTE処理部513がLTEによる通信を切断し、WiFi処理部514がWiFiによる通信を開始することにより、UE211とHeNB300との間でWiFiによる通信(ステップS1709)が開始される。ステップS1709におけるWiFiによる通信は、
図14−2に示したステップS1422と同様である。
【0144】
このように、切替制御処理部1610は、通信方式の切替タイミング指示をHeNB300から受信し、切替タイミング指示が示すタイミングで切替指示をLTE処理部513およびWiFi処理部514に通知する。これにより、刻々と変わる伝搬状況、回線状況、データ量等に応じて、通信中にLTEおよびWiFiを切り替えることができる。また、HeNB300のUE211の両方でタイミングを合わせて通信方式を切り替えることができる。
【0145】
(HeNBの切替制御処理部の構成の変形例)
図18は、HeNBの切替制御処理部の構成の変形例を示す図である。
図18において、
図4に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図18に示すように、HeNB300の切替制御処理部315は、
図4に示した構成に加えてプロトコルスタック変換部1810を備えていてもよい。
【0146】
(通信システムにおける通信時の動作例4)
図19は、通信システムにおける通信時の動作例4を示すシーケンス図である。
図18に示したHeNB300の切替制御処理部315の構成を用いる場合は、通信システム200において、たとえば
図19に示す各ステップが実行される。
【0147】
まず、UE211が、インターネット網233との間でLTEによる通信を行っているとする(ステップS1901)。ステップS1901において、HeNB300の切替制御処理部315は、インターネット網233からの下りデータを、モバイルネットワーク235を介して受信し、受信した下りデータをLTE処理部313へ出力する。LTE処理部313は、切替制御処理部315から出力された下りデータをUE211へLTEにより無線送信する。また、LTE処理部313は、UE211からLTEにより無線送信された上りデータを受信して切替制御処理部315へ出力する。切替制御処理部315は、LTE処理部313から出力された上りデータを、モバイルネットワーク235を介してインターネット網233へ送信する。
【0148】
また、UE212が、モバイルネットワーク235との間でLTEによる通信を行っているとする(ステップS1902)。ステップS1902におけるLTEによる通信は、
図14−1に示したステップS1412と同様である。
【0149】
つぎに、モバイルネットワーク235の回線状況が変化し、モバイルネットワーク235における遅延が増加したとする(ステップS1903)。また、HeNB300の切替制御処理部315は、ステップS1903における遅延の増加に応じて、UE211におけるインターネット網233との通信における回線を変更したとする(ステップS1904)。たとえば、切替制御処理部315は、UE211とインターネット網233との間の通信を、プロトコルスタックの変換を行いながら中継する(ステップS1905)。
【0150】
ステップS1905において、切替制御処理部315は、インターネット網233からWiFiのプロトコルによって送信される下りデータを、モバイルネットワーク235を介さずに受信する。そして、切替制御処理部315は、受信した下りデータのプロトコルスタックをLTEのプロトコルスタックに変換し、プロトコルスタックを変換した下りデータをLTE処理部313へ出力する。LTE処理部313は、切替制御処理部315から出力された下りデータをUE211へLTEにより無線送信する。
【0151】
また、LTE処理部313は、UE211からLTEにより無線送信された上りデータを受信して切替制御処理部315へ出力する。切替制御処理部315は、LTE処理部313からLTEのプロトコルスタックにより出力された上りデータを、WiFiのプロトコルスタックに変換する。そして、切替制御処理部315は、プロトコルスタックを変換した上りデータを、モバイルネットワーク235を介さずにインターネット網233へ送信する。
【0152】
また、UE212は、ステップS1902と同様に、モバイルネットワーク235との間でLTEによる通信を継続する(ステップS1906)。
【0153】
このように、HeNB300は、UE211とインターネット網233との間の通信を、プロトコルスタックの変換を行いながら中継することにより、UE211が送受信するデータの伝送経路を切り替えることができる。たとえば、UE211はHeNB300との間でLTEによる通信を継続しつつ、UE211とインターネット網233との間の回線を、モバイルネットワーク235を経由する回線から、モバイルネットワーク235を経由しない回線に切り替えることができる。
【0154】
以上説明したように、基地局、制御方法および通信システムによれば、通信の効率化を図ることができる。
【0155】
たとえば、HeNBが担うサービスエリアは小さいため、一つのHeNBに在圏する複数のUE間では無線伝搬状況が同様となる傾向にある。そのため、各UEが無線伝搬状況に応じて通信方式を選択すると、各UEが同一の通信方式を選択してしまい、通信方式の偏在が生じる場合がある。このため、通信方式の偏在による負荷集中が生じ、無線伝搬状況の悪化を解消させることができない場合がある。
【0156】
これに対して、HeNB300は、無線伝搬状況の他に、UEごとに固有の値となり得るネットワーク状況、サービス内容、データ量、課金(契約状況)などの情報に応じて切り替え論理を選択し、当該選択された切り替え論理に基づいて通信方式を選択する。これにより、通信方式の偏在を抑止しつつHeNB配下のUEの通信方式を適切に制御することができる。
【0157】
また、たとえばHeNB300の上位監視装置であるHeMS239などが集中的に通信方式を制御する構成に比べて、各家庭の状況を把握することが可能なHeNB300において通信方式を制御することにより、各家庭の状況に応じた適切な制御が可能になる。
【0158】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0159】
(付記1)ネットワークまでの伝送経路が異なる複数の通信方式を使用可能な移動端末と前記ネットワークとの間の通信を中継する通信部と、
前記複数の通信方式のそれぞれの前記伝送経路における遅延量を測定する測定部と、
前記測定部による前記遅延量の測定結果を含む所定情報に基づいて前記複数の通信方式のうちの前記通信の中継に用いる通信方式を切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする基地局。
【0160】
(付記2)前記複数の通信方式は、移動体通信網を経由して前記ネットワークに接続する第1通信方式と、前記移動体通信網を経由せずに前記ネットワークに接続する第2通信方式と、を含むことを特徴とする付記1に記載の基地局。
【0161】
(付記3)前記複数の通信方式は、移動体通信網を経由して前記ネットワークに接続するLTE(Long Term Evolution)と、前記移動体通信網を経由せずに前記ネットワークに接続するWLAN(Wireless Local Area Network:無線構内通信網)と、を含むことを特徴とする付記1に記載の基地局。
【0162】
(付記4)前記測定部は、前記複数の通信方式のそれぞれの前記伝送経路へ測定信号を送信し、送信した前記測定信号に対する応答信号を受信することによって前記複数の通信方式のそれぞれの前記伝送経路における遅延量を測定することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の基地局。
【0163】
(付記5)前記測定部は、前記移動体通信網に接続された第1装置へ送信した測定信号に対する応答信号を受信することによって前記第1通信方式の伝送経路における遅延量を測定し、前記ネットワークに接続された第2装置へ前記移動体通信網を経由せずに送信した測定信号に対する応答信号を受信することによって前記第2通信方式の伝送経路における遅延量を測定することを特徴とする付記2に記載の基地局。
【0164】
(付記6)前記切替部は、前記複数の通信方式のそれぞれについての前記移動端末と自局との間の無線伝搬状況の測定結果を含む前記所定情報に基づいて前記通信の中継に用いる通信方式を切り替えることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の基地局。
【0165】
(付記7)前記切替部は、前記移動端末が前記ネットワークとの間で送受信するデータ量を示す情報を含む前記所定情報に基づいて前記通信の中継に用いる通信方式を切り替えることを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の基地局。
【0166】
(付記8)前記切替部は、前記移動端末が前記ネットワークとの間で送受信するデータの種別を示す情報を含む前記所定情報に基づいて前記通信の中継に用いる通信方式を切り替えることを特徴とする付記1〜7のいずれか一つに記載の基地局。
【0167】
(付記9)前記切替部は、前記複数の通信方式の、自局に接続中の各移動端末による使用状況を示す情報を含む前記所定情報に基づいて前記通信の中継に用いる通信方式を切り替えることを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の基地局。
【0168】
(付記10)前記切替部は、前記所定情報の内容と、前記複数の通信方式のうちのいずれかの通信方式と、が対応付けられたユーザ設定可能な対応情報に基づいて前記通信の中継に用いる通信方式を切り替えることを特徴とする付記1〜9のいずれか一つに記載の基地局。
【0169】
(付記11)前記切替部は、前記所定情報に含まれる複数種類の情報の優先順位を示すユーザ設定可能な優先順位情報に基づいて、前記複数種類の情報のうちの前記優先順位が高い情報を優先的に選択し、選択した情報に基づいて前記通信の中継に用いる通信方式を切り替えることを特徴とする付記1〜10のいずれか一つに記載の基地局。
【0170】
(付記12)前記切替部は、前記複数の通信方式のうちの所定通信方式による通信を要求する前記移動端末からの要求信号に対して自局が応答しないことにより、前記移動端末が用いる通信方式を、前記複数の通信方式のうちの前記所定通信方式と異なる通信方式に切り替えることを特徴とする付記1〜11のいずれか一つに記載の基地局。
【0171】
(付記13)前記切替部は、前記複数の通信方式の中から前記所定情報に基づいて選択した通信方式への切替を指示する信号を前記移動端末へ送信することによって前記移動端末が用いる通信方式を切り替えることを特徴とする付記1〜12のいずれか一つに記載の基地局。
【0172】
(付記14)前記複数の通信方式は、
第1通信方式および前記第1通信方式と異なる第2通信方式を含み、
前記通信部は、
前記移動端末から前記第1通信方式により受信したデータを前記第1通信方式の伝送経路により前記ネットワークへ送信し、前記ネットワークから前記第1通信方式の伝送経路により受信したデータを前記第1通信方式により前記移動端末へ送信する第1状態と、
前記移動端末から前記第1通信方式により受信したデータを前記第2通信方式のプロトコルに変換して前記第2通信方式の伝送経路により前記ネットワークへ送信し、前記ネットワークから前記第2通信方式の伝送経路により受信したデータを前記第1通信方式のプロトコルに変換して前記第1通信方式により前記移動端末へ送信する第2状態と、
に切替可能であり、
前記切替部は、
前記所定情報に基づいて前記通信部を前記第1状態または前記第2状態に切り替える、
ことを特徴とする付記1〜13のいずれか一つに記載の基地局。
【0173】
(付記15)ネットワークまでの伝送経路が異なる複数の通信方式を使用可能な移動端末と前記ネットワークとの間の通信を中継する基地局における制御方法であって、
前記複数の通信方式のそれぞれの前記伝送経路における遅延量を測定し、
前記遅延量の測定結果を含む所定情報に基づいて前記複数の通信方式のうちの前記通信の中継に用いる通信方式を切り替える、
ことを特徴とする制御方法。
【0174】
(付記16)ネットワークまでの伝送経路が異なる複数の通信方式を使用可能な移動端末と、
前記移動端末と前記ネットワークとの間の通信を中継し、前記複数の通信方式のそれぞれの前記伝送経路における遅延量を測定し、前記遅延量の測定結果を含む所定情報に基づいて前記複数の通信方式のうちの前記通信の中継に用いる通信方式を切り替える基地局と、
を含むことを特徴とする通信システム。