(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048291
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01L 19/12 20060101AFI20161212BHJP
G01L 19/14 20060101ALI20161212BHJP
B60R 21/00 20060101ALI20161212BHJP
G01D 21/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
G01L19/12 J
G01L19/14
B60R21/00 610Z
G01D21/00 G
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-86892(P2013-86892)
(22)【出願日】2013年4月17日
(65)【公開番号】特開2014-211334(P2014-211334A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2015年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】太田 為治
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5041171(JP,B2)
【文献】
特許第4169623(JP,B2)
【文献】
特許第5264572(JP,B2)
【文献】
特許第4957454(JP,B2)
【文献】
特許第5490349(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量を電気信号に変換するセンサ素子(10)と、
前記センサ素子を収納するハウジング(20)と、
前記ハウジングを被取り付け部材(200)に固定する固定部(30)と、
前記被取り付け部材への前記ハウジングの前記固定部の固定によって生じる歪を検出する歪検出素子(10,40,60)と、
前記歪検出素子の出力信号に基づいて、前記ハウジングにおける前記被取り付け部材への固定状態を判定する判定部(50)と、を有することを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記ハウジングに固定され、前記ハウジングと前記被取り付け部材との間に設けられるシール部材(40)を有し、
前記シール部材は導電性と弾性を有する材料から成り、
前記シール部材は前記歪検出素子を兼ねており、前記固定部による前記被取り付け部材への固定によって生じる歪によって抵抗値が変動する性質を有しており、
前記判定部は、前記シール部材の抵抗値の変動を前記歪検出素子の出力信号として検出することで、前記ハウジングにおける前記被取り付け部材への固定状態を判定することを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記センサ素子は、前記物理量として圧力を検出する圧力センサであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記固定部は、前記ハウジングに形成された第1貫通孔(27)、および、前記被取り付け部材に形成された第2貫通孔(203)それぞれに挿入される挿入部(31)を有することを特徴とする請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記固定部は、前記ハウジングに形成された第1貫通孔(27)、および、前記被取り付け部材に形成された第2貫通孔(203)それぞれに挿入される挿入部(31)と、前記第1貫通孔、および、前記第2貫通孔それぞれへの前記挿入部の挿入によって生じる歪みを前記センサ素子に伝達する伝達部(32)と、を有し、
前記センサ素子は、前記物理量として圧力を検出する圧力センサであって、前記歪み検出素子を兼ねており、
前記判定部は、前記伝達部を介して前記センサ素子に伝達される、前記第1貫通孔、および、前記第2貫通孔それぞれへの挿入によって生じた歪みに応じた前記センサ素子の出力信号に基づいて、前記ハウジングにおける前記被取り付け部材への固定状態を判定することを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記ハウジングに固定され、前記ハウジングと前記被取り付け部材との間に設けられるシール部材(40)を有し、
前記シール部材は弾性を有する材料から成ることを特徴とする請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記被取り付け部材は、車両のインナードアであり、
前記ハウジングは、前記車両のインナードアとアウタードア(201)との間に構成された空間(202)の空気を前記センサ素子に導く導入孔(23)を有していることを特徴とする請求項3〜6いずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記センサ素子は、前記車両に印加された外力による前記車両のインナードアとアウタードアとの間に構成された空間の圧力変動に応じた電気信号を、前記車両のエアバッグシステムを制御する制御回路に出力することを特徴とする請求項7に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量を電気信号に変換するセンサ素子と、センサ素子を収納するハウジングと、ハウジングを被取り付け部材に固定する固定部と、を備えるセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、センサ素子がセンサ本体の内部に収容してなる圧力センサと、チャンバ空間が内部に形成され、車両バンパに配設されるチャンバ部材と、を備える車両用衝突検知装置が提案されている。この車両用衝突検知装置は、圧力センサによってチャンバ空間内の圧力を検出し、その圧力検出結果に基づいて車両バンパへの衝突を検知する。
【0003】
チャンバ部材には、チャンバ空間を外部に連通させる開口部が設けられており、その開口部に圧力センサが固定されている。この際、強度の高いセンサ本体がチャンバ部材の開口部に直接固定される。このため、衝突時の大きな衝撃や線膨張係数の大きいチャンバ部材の熱膨張・熱収縮によって圧力センサが脱落することが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−69978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、特許文献1に示される車両用衝突検知装置では、圧力センサの脱落を防止した構造となっている。しかしながら、圧力センサの固定状態を把握する構成とはなっておらず、圧力センサの脱落を検出することができない構成となっている。圧力センサが脱落した場合、所望の圧力を検出することがかなわなくなるにも関わらず、圧力センサからは電気信号が出力され続けることとなる。このため、誤った圧力検出結果に基づいて車両バンパへの衝突を検知する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、脱落したか否かの判定が可能とされたセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明は、物理量を電気信号に変換するセンサ素子(10)と、センサ素子を収納するハウジング(20)と、ハウジングを被取り付け部材(200)に固定する固定部(30)と、被取り付け部材へのハウジングの固定部の固定によって生じる歪を検出する歪検出素子(10,40,60)と、歪検出素子の出力信号に基づいて、ハウジングにおける被取り付け部材への固定状態を判定する判定部(50)と、を有することを特徴とする。
【0008】
このように本発明によれば、歪検出素子(10,40,60)は、被取り付け部材(200)への固定によって生じる歪を検出し、判定部(50)は、歪検出素子(10,40,60)の出力信号に基づいて、ハウジング(20)における被取り付け部材(200)への固定状態を判定する。これにより、センサ装置(100)が被取り付け部材(200)から脱落したのか否かを判定することができる。このため、センサ装置(100)が脱落したと判定された場合、センサ素子(10)から出力される電気信号が、所望の物理量とは異なることが認知される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】センサ装置のインナードアへの取り付け状態を示す部分断面図である。
【
図2】
図1の破線で囲った部位を拡大した部分断面図である。
【
図3】
図2に示す白抜き矢印の方向からみたセンサ装置を示す平面図である。
【
図4】
図3に示すIV−IV線に沿う断面図である。
【
図6】第2実施形態に係るセンサ装置の概略構成を示す断面図である。
【
図7】第2実施形態に係るセンサ装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、車両に適用した場合の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜
図5に基づいて、本実施形態に係るセンサ装置100を説明する。なお、
図3では導入孔23の断面形状を破線で表し、インナードア200を省略している。
図4では、第2貫通孔203を明示するために、センサ装置100とインナードア200とを離して示している。また、
図5では固定部30とインナードア200を省略している。
【0011】
以下においては、互いに直交の関係にある3方向を、x方向、y方向、z方向と示す。また、x方向とy方向とによって規定される平面をx−y平面、y方向とz方向とによって規定される平面をy−z平面、z方向とx方向とによって規定される平面をz−x平面と示す。
【0012】
図1〜
図3に示すように、本実施形態にかかるセンサ装置100は被取り付け部材であるインナードア200に設けられる。センサ装置100は、
図4および
図5に示すように、センサ素子10と、ハウジング20と、固定部30と、シール部材40と、判定部50と、を有する。センサ素子10は物理量を電気信号に変換するものであり、ハウジング20はセンサ素子10を収納するものである。固定部30はハウジング20をインナードア200に固定するものであり、シール部材40はハウジング20とインナードア200との間に設けられている。シール部材40は固定部30によるインナードア200へのハウジング20の固定によって生じる歪によって抵抗値が変動する性質を有しており、インナードア200との固定によって生じる歪を検出する歪検出素子としての機能を果たす。判定部50はシール部材40の抵抗値の変動を歪検出素子の出力信号として検出し、その抵抗値の変動に基づいて、ハウジング20におけるインナードア200との固定状態を判定する。
【0013】
センサ素子10は、物理量として圧力を検出する圧力センサである。センサ素子10は、車両に印加された外力による車両のインナードア200とアウタードア201との間に構成された空間(以下、被検出空間202と示す)の圧力変動に応じた電気信号を判定部50に出力する。そして、この電気信号は、車両のエアバッグシステムを制御する制御回路(図示略)に出力される。この制御回路は、センサ素子10の出力信号に基づいて、エアバッグの駆動を制御する。
【0014】
図4に示すように、センサ素子10は配線基板11の一面11aに設けられている。この一面11aには、センサ素子10のほかに判定部50も設けられており、その裏面11bにはコンデンサ12が設けられている。センサ素子10、配線基板11、判定部50、および、コンデンサ12それぞれはワイヤ13を介して電気的に接続され、回路を構成している。
【0015】
ハウジング20は、センサ素子10だけではなく判定部50を収納し、固定部30によってインナードア200に取り付け固定されるものである。ハウジング20には複数のターミナル21がインサート成形されており、一部のターミナル21が配線基板11に形成された回路と外部装置とを電気的に接続する機能を果たし、残りのターミナル21が上記した回路とシール部材40とを電気的に接続する機能を果たす。上記した一部のターミナル21はワイヤ14を介して上記した回路と電気的に接続され、残りのターミナル21はワイヤ15を介して回路と電気的に接続されている。
【0016】
ハウジング20は、配線基板11を収納する収納部22と、収納部22と被検出空間202とを連通し、被検出空間202の空気をセンサ素子10に導く導入孔23と、を有する。また、ハウジング20は、収納部22内に収納される配線基板11を支持する支持部24を有する。支持部24は環状を成し、支持部24によって形成される2つの開口端が導入孔23と連通されている。
図4に示すように、支持部24の一端が収納部22に固定され、他端が配線基板11の一面11aと接触している。これにより、一面11aの一部と支持部24とによって導入孔23に開口する箱状の空間が構成される。この空間には、センサ素子10と判定部50とを保護する保護部材25が設けられており、センサ素子10には、導入孔23と保護部材25とを介して、被検出空間202の空気の圧力が伝達される。ちなみに、保護部材25はゲル状をなす。
【0017】
ハウジング20は、上記した構成要素21〜25のほかに、固定部30を取り付けるための羽根部26を有する。
図3に示すように、2つの羽根部26が収納部22に形成されており、2つの羽根部26は収納部22を介してy方向に並んでいる。羽根部26におけるインナードア200との対向面26a、および、収納部22におけるインナードア200との対向面22aそれぞれが面一となり、対向面22a,26aとインナードア200との対向間隔が一定となっている。
図5に示すように、2つの羽根部26それぞれには第1貫通孔27が形成されており、
図4に示すように、インナードア200には第1貫通孔27に対応する第2貫通孔203が形成されている。貫通孔27,203それぞれはx方向に並んでおり、これら貫通孔27,203それぞれに後述する挿入部31が挿入される。なお、
図5に示すように、第1貫通孔27には挿入部31の挿入に耐えるために、ハウジング20を構成する樹脂材料よりも剛性の高い材料(例えば、挿入部31と同一の金属材料)から成る、環状のカラー28が設けられている。カラー28の外環面が第1貫通孔27を構成する壁面に固定され、カラー28の内環面に挿入部31が直接接触される。
【0018】
固定部30は、ハウジング20をインナードア200に固定するものである。固定部30は貫通孔27,203それぞれに挿入される挿入部31を有する。挿入部31としては、ネジ、ボルト、リベットなどが採用される。
【0019】
シール部材40は、被検出空間202と外部空間との連通を抑制するものである。シール部材40は、収納部22における対向面22aに設けられており、y−z平面における平面形状が環状を成している。そして、x方向の長さ(厚さ)が一定となっている。本実施形態にかかるシール部材40は、導電性と弾性を有する材料から成る。シール部材40に圧力が印加されると、自身に含まれる導電性物質の隣接距離が狭まり、自身の抵抗値が低下する。これとは反対に、印加される圧力が弱まると、導電性物質の隣接距離が広がり、抵抗値が上昇する。
【0020】
上記したように、ハウジング20は、挿入部31を貫通孔27,203に挿入することでインナードア200に固定される。その際、ハウジング20はインナードア200に押し付けられ、シール部材40に歪みが生じる。この結果、シール部材40の抵抗値が低下する。しかしながら、ハウジング20におけるインナードア200への取り付け状態がゆるみ、シール部材40に生じる歪みが少なくなると、シール部材40の抵抗値が上昇する。以上、示したように、ハウジング20におけるインナードア200の固定状態に応じてシール部材40の抵抗値が変動する。
【0021】
判定部50は、シール部材40の抵抗値の変動を歪検出素子の出力信号として検出することで、ハウジング20におけるインナードア200との固定状態を判定する。判定部50は、センサ装置100がインナードア200に取り付け固定される前のシール部材40の抵抗値に基づく閾値を有しており、この閾値に基づいて、センサ装置100の固定状態を判定する。すなわち、判定部50は、シール部材40の抵抗値が閾値よりも低ければ、センサ装置100は安定してインナードア200に取り付けられていると判定し、シール部材40の抵抗値が閾値よりも高ければ、センサ装置100のインナードア200への取り付け状態が不安定であると判定する。判定部50は、絶えずセンサ装置100の固定状態を含む信号を外部に出力しており、センサ装置100の固定状態が不安定の場合、センサ素子10の出力信号の外部への出力を止める。
【0022】
次に、本実施形態に係るセンサ装置100の作用効果を説明する。上記したように、
シール部材40は、ハウジング20におけるインナードア200の固定状態に応じて抵抗値が変動し、判定部50は、シール部材40の抵抗値の変動に基づいて、ハウジング20におけるインナードア200との固定状態を判定する。これにより、センサ装置100がインナードア200から脱落したのか否かを判定することができる。このため、センサ装置100が脱落したと判定された場合、センサ素子10から出力される電気信号が、所望の圧力とは異なることが認知される。
【0023】
シール部材40は導電性と弾性を有する材料から成り、インナードア200へのハウジング20の固定部30の固定によって生じる歪を検出する歪検出素子としての機能を果たす。これによれば、シール部材40とは別に歪検出素子を有する構成と比べて、部品点数の増大が抑制される。
【0024】
ハウジング20は、被検出空間の空気をセンサ素子10に導く導入孔23を有している。これによれば、被検出空間の圧力変動をセンサ素子10によって検出することができる。
【0025】
また、センサ素子10は、車両に印加された外力による被検出空間の圧力変動に応じた電気信号を、車両のエアバッグシステムを制御する制御回路に出力する。上記したように、センサ装置100の脱落が検出可能となっている。そのため、被検出空間の圧力変動に応じないセンサ素子10の電気信号に基づいて、エアバッグシステムを制御することが抑制される。
【0026】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を
図6および
図7に基づいて説明する。第2実施形態に係るセンサ装置100は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明を省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、以下においては、第1実施形態で示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与する。
【0027】
第1実施形態では、固定部30は、挿入部31を有する例を示した。これに対し、本実施形態では、固定部30が、挿入部31の他に、貫通孔27,203それぞれへの挿入部31の挿入によって生じる歪みをセンサ素子10に伝達する伝達部32を有する点を第1の特徴とする。
【0028】
第1実施形態では、シール部材40が導電性と弾性を有する材料から成り、歪検出素子としての機能を果たす例を示した。これに対し、本実施形態では、センサ素子10が、歪検出素子を兼ねる点を第2の特徴とする。
【0029】
第1実施形態では、判定部50はシール部材40の抵抗値の変動に基づいて、ハウジング20におけるインナードア200との固定状態を判定する例を示した。これに対し、本実施形態では、判定部50はセンサ素子10の出力信号に基づいて、ハウジング20におけるインナードア200との固定状態を判定する点を第3の特徴とする。
【0030】
図6および
図7に示すように、伝達部32の一部が収納部22に埋設させており、伝達部32は環状を成す。伝達部32の外端がカラー28に連結され、その内端が配線基板11に連結されている。この構成により、貫通孔27,203へ挿入部31が挿入されると、その挿入に伴ってカラー28に歪みが生じ、それに伴って伝達部32にも歪みが生じる。この歪みが伝達部32と連結された配線基板11に伝達され、その歪みによって生じる応力がセンサ素子10に印加される。これにより、貫通孔27,203それぞれへの挿入によって生じた歪みに応じたセンサ素子10の出力信号が判定部50に入力される。判定部50は、センサ装置100がインナードア200に取り付け固定される前のセンサ素子10の出力信号に基づく閾値を有しており、この閾値に基づいて、センサ装置100の固定状態を判定する。すなわち、判定部50は、センサ素子10の出力信号が閾値よりも高ければ、センサ装置100は安定してインナードア200に取り付けられていると判定し、センサ素子10の出力信号が閾値よりも低ければ、センサ装置100のインナードア200への取り付け状態が不安定であると判定する。
【0031】
上記したように、センサ素子10は歪み検出素子を兼ねている。これによれば、センサ素子10とは別に歪検出素子を有する構成と比べて、電気信号の数の増大が抑制されるので、判定部50と接続される配線の数を少なくすることができる。そして、配線基板11に構成された回路とシール部材40とを電気的に接続するためのターミナル21とワイヤ15とが不要となる。
【0032】
なお、第1実施形態ではシール部材40が導電性と弾性とを有する例を示した。しかしながら、本実施形態では、シール部材40は少なくとも弾性を有すればよい。また、第1実施形態ではセンサ素子10の構造について特に言及していなかったが、本実施形態においては、下記に示す構成が好ましい。すなわち、半導体基板における局所的に厚さの薄くなったメンブレンに歪ゲージが形成された構成が好ましい。これによれば、伝達部32を介して伝達される歪みによってメンブレンが歪むので、センサ出力を確保することができる。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0034】
各実施形態では、歪検出素子をセンサ素子10やシール部材40が兼ねる構成を示した。しかしながら
図8に示すように、センサ素子10やシール部材40が歪検出素子を兼ねずに、独立した歪検出素子60をセンサ装置100が有する構成を採用することもできる。この構成の場合、ターミナル21とワイヤ15を介して、歪検出素子60は配線基板11に構成された回路と電気的に接続される。
【0035】
各実施形態では、センサ装置100が車両のインナードア200に取り付けられる例を示した。しかしながら、センサ装置100が取り付けられる部材としては上記例に限定されず、用途に応じて適宜採用される。
【0036】
各実施形態では、センサ素子10が圧力センサである例を示した。しかしながら、第1実施形態にかかる構成においては上記例に限定されず、センサ素子10として例えば光センサやジャイロセンサ、加速度センサなどを採用することができる。いずれにおいても、センサ装置100の脱落の有無を判定することで、所望の物理量を検出しているのか否かを判定することができる。なお、もちろんではあるが、センサ素子10として光センサを採用した場合、車両のエアバッグシステムを制御する制御回路は、センサ素子10の出力信号に基づいて、エアバッグの駆動を制御しない。
【0037】
各実施形態では、センサ素子10、配線基板11、判定部50、および、コンデンサ12それぞれがワイヤ13を介して電気的に接続された例を示した。しかしながら、センサ素子10、配線基板11、判定部50、および、コンデンサ12それぞれが半田(図示略)を介して電気的に接続された構成を採用することもできる。
【0038】
各実施形態では、ハウジング20が、収納部22と被検出空間202とを連通し、被検出空間202の空気をセンサ素子10に導く導入孔23を有する例を示した。しかしながら、センサ素子10として、光センサを採用した場合、空気を導く導入孔23ではなく、ハウジング20は光を導く光導入孔(図示略)を有する。そして、センサ素子10として、ジャイロセンサや加速度センサを採用した場合、導入孔23は省略される。なお、導入孔23が省略される場合、シール部材40の形状としては、環状に限定されなくなる。例えば、矩形や円形を採用することができる。
【0039】
各実施形態では、支持部24が環状を成す例を示した。しかしながら、支持部24の形状としては上記例に限定されない。
【0040】
各実施形態では、センサ素子10と判定部50それぞれがゲル状の保護部材25によって被覆保護されている例を示した。しかしながら、保護部材25はなくともよい。
【符号の説明】
【0041】
10・・・センサ素子
20・・・ハウジング
30・・・固定部
40・・・シール部材
50・・・判定部
60・・・歪検出素子
100・・・センサ装置
200・・・インナードア