(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凹部または前記凸部を複数とし、前記凹部または前記凸部の形成角度と、前記複数の板ばねの配置角度を異ならせた請求項1または請求項2に記載のアンテナユニット。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、第1の実施の形態に係るアンテナユニットおよび携帯端末装置の一例を示している。アンテナユニット2は本開示のアンテナユニットの一例である。このアンテナユニット2は、回動および伸縮可能に携帯端末装置4に取り付けられている。この携帯端末装置4は本開示の電子機器の一例である。この携帯端末装置4はたとえば、偏平な筐体6を備え、この筐体6の側縁側にアンテナユニット2が取り付けられている。筐体6の前面側には表示画面8が設置されている。
【0020】
図2のAおよびBは、アンテナユニット2を筐体6内に収納した携帯端末装置4を示している。
図3は、アンテナユニット2を伸長させた携帯端末装置4を示している。
【0021】
アンテナユニット2はホルダ部10、ヒンジ部12およびロッド部14を有する。ホルダ部10はアンテナユニット2の本体部であって、ヒンジ部12およびロッド部14と導通し、これらを保持する導通保持手段の一例である。このホルダ部10は取付け部16を備える。この取付け部16によりホルダ部10が筐体6に取り付けられる。これにより、アンテナユニット2が筐体6に固定され、支持される。
【0022】
ヒンジ部12はロッド部14を支持する支持部材の一例である。このヒンジ部12はヒンジ軸部18を備える。このヒンジ軸部18がホルダ部10にロッド部14を屈曲可能に支持する。
【0023】
ロッド部14は、複数のアンテナエレメント(以下単に「エレメント」と称する)14−1、14−2、14−3、14−4およびキャップ部19が含まれる。各エレメント14−2、14−3、14−4は筒状である。各エレメント14−1、14−2、14−3、14−4の径は、エレメント14−1が最も小径であり、エレメント14−4が最も径大である。エレメント14−1はエレメント14−2内に収容可能であり、エレメント14−2はエレメント14−3内に収容可能であり、エレメント14−3はエレメント14−4内に収容可能である。これにより、ロッド部14は回動可能であるとともに伸縮可能である。キャップ部19はエレメント14−4の先端に備えられたアンテナエレメントである。収縮させたロッド部14を収納するアンテナ収納部20がこのキャップ部19により閉じられる。
【0024】
図4のAは、ヒンジ部12で直立状態から水平方向に屈曲させたアンテナユニット2を示している。筐体6からヒンジ軸部18を引き出し、ヒンジ軸部18の支持軸22を中心にロッド部14を回転させることができる。これにより、ロッド部14は直立状態から水平方向のたとえば、90〔°〕の角度範囲で屈曲させることが可能である。
【0025】
図4のBは、屈曲させたアンテナユニット2の自重がヒンジ軸部18の回動方向に作用する状態を示している。この場合、ロッド部14を伸長状態で屈曲状態としたアンテナユニット2では、ロッド部14の自重により、ヒンジ軸部18に回転モーメントMが作用する。この回転モーメントMがヒンジ軸部18の回転抑止力に打ち勝つと、ロッド部14は回転モーメントMの方向に回動することになる。さらに詳細に言えば、回転抑止力とヒンジ軸部18に作用する回転モーメントMとが平衡する位置まで回動することになる。ヒンジ軸部18の回転抑止力が小さければ、ロッド部14は鉛直状態まで回動することになる。
【0026】
図5は、携帯端末装置4から分離して短縮状態としたアンテナユニット2を示している。ホルダ部10にある取付け部16には透孔24が形成されている。この透孔24に固定ねじを挿通させ、この固定ねじのねじ部を筐体6にねじ込むことにより、ホルダ部10が筐体6に固定可能である。
【0027】
図6は、
図5のVIA −VIA 線断面を示している。ホルダ部10は中空部26を備える筒体である。この中空部26にはヒンジ軸部18が軸方向に摺動および回動可能に挿入されている。
【0028】
ホルダ部10には、前側に第1の軸受けとして軸受け部30が形成され、後側に軸受け環32が設置されている。軸受け環32には第2の軸受けとして軸受け部34が形成されている。この軸受け部30には軸受け孔36が形成され、軸受け部34には軸受け孔38が形成されている。各軸受け孔36、38は中空部26の内径より径小であり、軸受け孔38の内径は軸受け孔36の内径より径大である。これら軸受け孔36、38にはヒンジ軸部18が挿入され、ヒンジ軸部18の軸方向に摺動可能であるとともに、回動可能に支持されている。
【0029】
ヒンジ軸部18の後端にはフランジ部40が形成されている。このフランジ部40の外径は、軸受け孔38より径大である。これにより、フランジ部40および軸受け環32は、ヒンジ軸部18のストッパ機構であり、ホルダ部10からヒンジ軸部18のa方向(ロッド部14の先端方向)への抜け止めとして機能する。
【0030】
このホルダ部10の中空部26には、軸受け部30、34の間に環状ばね42が設置されている。この環状ばね42は、中空部26の内壁とヒンジ軸部18の外周との間に配置されている。この環状ばね42は、一対の環状部42−1と42−2とを備え、環状部42−1と42−2との間にロッド部14の回動を制御する複数の板ばね部44を有する。一方の環状部42−1は軸受け部30側に配置されて中空部26の内壁に固定され、他方の環状部42−2は軸受け部34側に配置されて中空部26の内壁に固定されている。各板ばね部44は、板ばねの一例である。各板ばね部44は、ヒンジ軸部18の中心方向に湾曲して突出し、ヒンジ軸部18の周面側に圧接している。
【0031】
ヒンジ軸部18の周面はゆるやかな曲面によって径小面となっている。このヒンジ軸部18の周面には、複数の溝部46がヒンジ軸部18の軸方向に向かって板ばね部44と平行に形成されている。各溝部46は凹部の一例であり、板ばね部44と嵌合可能な幅に形成されている。
【0032】
図6のBは、ヒンジ軸部18を
図6のAに示す状態から矢印b方向に摺動させた状態を示している。
【0033】
矢印b方向にヒンジ軸部18に対して力が加えられると、その力が板ばね部44の摺動抑止力を超えれば、ヒンジ軸部18を矢印b方向に摺動させることができる。この場合、溝部46に嵌合していた板ばね部44は、溝部46からヒンジ軸部18の移動方向と反対方向(b方向と逆方向)に溝部46から脱して溝部46外の周面側を圧接する。これにより、ヒンジ軸部18が複数の板ばね部44を媒介としてホルダ部10に保持される。
【0034】
図7は、ホルダ部10を分解して示している。このホルダ部10には軸受け環32を嵌入させる嵌入部48が形成されている。この嵌入部48は中空部26の内径より径大である。中空部26と嵌入部48との境界部には軸受け環32を係止する係止部50が段差によって形成されている。
【0035】
このホルダ部10には、中空部26に環状ばね42が装着される。ヒンジ軸部18には、ロッド部14のキャップ部19側から軸受け環32が取り付けられる。この軸受け環32が取り付けられたヒンジ軸部18が、環状ばね42の内側に嵌入部48側からロッド部14を挿入することにより、環状ばね42内に装着される。そして、ホルダ部10の嵌入部48には、ヒンジ軸部18上にある軸受け環32が嵌入される。これにより、ホルダ部10にはヒンジ軸部18、軸受け環32および環状ばね42が一体化され、ヒンジ軸部18およびロッド部14が回動および摺動可能に装着される。
【0036】
ホルダ部10はたとえば、金属材料で形成される。このホルダ部10の中空部26は断面円形である。この中空部26には環状ばね42の環状部42−1、42−2が固定されるので、中空部26の内径は環状部42−1、42−2に一致させればよい。
【0037】
図8のAは、
図7のVIIIA −VIIIA 線断面を示している。この環状ばね42は複数の板ばね部44の一例として5枚の板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5を備えている。
図8のAに示す環状ばね42は、ヒンジ軸部18から離脱させた状態である。斯かる状態では、各板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5は圧接方向に膨出している。ヒンジ軸部18の中心O(
図8のB)を中心に、各板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5の最膨出部の内径r1はヒンジ軸部18の溝部46の底部の径より小さく設定されている。
【0038】
図8のBは、
図7のVIIIB −VIIIB 線断面を示している。ヒンジ軸部18には複数の溝部46の一例として4つの溝部46−1、46−2、46−3、46−4が形成されている。
【0039】
各板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5の幅d1は、各溝部46−1、46−2、46−3、46−4の幅d2より狭く、d2>d1である。これにより、各板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5は各溝部46−1、46−2、46−3、46−4の位置に合致すれば、嵌入可能である。
【0040】
この実施の形態では、5枚の板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5により、各板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5の角度θ1は、θ1=72〔°〕である。これに対し、4個の溝部46−1、46−2、46−3、46−4により、各溝部46−1、46−2、46−3、46−4の角度θ2は、θ2=90〔°〕である。角度θ1、θ2は、θ1≠θ2である。
【0041】
各板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5の内径r1は、ヒンジ軸部18の半径Rより小さく、また、溝部46−1、46−2、46−3、46−4の底部の径r2より小さく設定される。
【0042】
図9のAおよびBは、各板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5とヒンジ軸部18との関係を示している。
【0043】
図9のAに示すように、ヒンジ軸部18をたとえば、矢印Nの方向に回動させると、板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5のいずれかがヒンジ軸部18の溝部46−1、46−2、46−3、46−4のいずれかひとつのみに合致する。この場合、板ばね部44−1が溝部46−1に合致し、溝部46−1に嵌合している。これに対し、他の板ばね部44−2、44−3、44−4、44−5は溝部46−2、46−3、46−4のいずれにも合致しない。
【0044】
これにより、たとえば、溝部46−1に合致した板ばね部44−1が溝部46−1に圧接状態となる。他の板ばね部44−2、44−3、44−4、44−5はヒンジ軸部18の外周面に対して圧接状態となる。
【0045】
ヒンジ軸部18がたとえば、矢印N方向に更に回動すると、
図9のBに示すように、板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5のいずれも溝部46−1、46−2、46−3、46−4に合致しなければ、各板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5はヒンジ軸部18の外周面に対して圧接状態となる。
【0046】
図10は、
図9のAのX部を拡大して示している。各溝部46−1、46−2、46−3、46−4には、
図10に示すように、平坦な底面部52と一対の傾斜壁面部54を備える。底面部52はたとえば、ヒンジ軸部18の中心線に直交する直交面部である。各傾斜壁面部54は、底面部52からヒンジ軸部18の外周面に傾斜して立ち上がる傾斜面である。つまり、底面部52は傾斜壁面部54に囲まれた凹部である。
【0047】
これに対し、板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5はたとえば、断面を長方形状に形成されている。ヒンジ軸部18が回動すると、その回動により、底面部52と板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5の平坦面側との間に僅かな角度θ3が生じる。
【0048】
また、底面部52と傾斜壁面部54が成す角部56にたとえば、板ばね部44−1の角部が当たり、ヒンジ軸部18が環状ばね42にロック状態となる。このロック状態を超える回動力をヒンジ軸部18に付与すると、板ばね部44−1が弾性により後退する。この場合、ロック状態を超える回動力は、板ばね部44−1が持つばね荷重を超える値である。これにより、傾斜壁面部54の傾斜面を板ばね部44−1がスライドして溝部46−1の外部に移動し、ヒンジ軸部18の周面に到達する。
【0050】
発生トルクとヒンジ軸部18の関係について、
図11を参照する。
図11は、ヒンジ軸部18に対し、環状ばね42が装着された状態を示している。環状ばね42の各板ばね部44−1〜44−5は、円形周面のヒンジ軸部18に密着状態である。この場合、板ばね部44−1の圧接について、
摺動抑止力(板ばね部44−1からのばね荷重):F
ばね荷重Fの作用点における抗力:P
回動抑止力(ヒンジ軸部18の保持トルク):T
ヒンジ軸部18の中心:O
ヒンジ軸部18の半径:R
板ばね部44の数:n
ヒンジ軸部18の表面摩擦係数:μ
ヒンジ軸部18の回転モーメント:M
とする。この場合、ヒンジ軸部18の回転保持に必要な条件は、回動抑止力Tが回転モーメントMを超えることである。つまり、T>Mである。
【0051】
そこで、回動抑止力Tは、板ばね部44の数nと、抗力Pおよびヒンジ軸部18の半径Rから、
T=n×P×R ・・・(1)
となる。P=μFであるから、式(1) は、
T=n×μ×F×R ・・・(2)
となる。ゆえに、トルク発生効率T/Fは、
T/F=n×μ×R ・・・(3)
となる。摺動抑止力Fは、ばね荷重Fによって与えられ、トルク発生効率T/Fは、摺動抑止力Fに対する回転抑止力Tであるから、式(3) から明らかなように、ヒンジ軸部18の半径Rに比例する。また、ヒンジ軸部18の半径Rを一定とすれば、トルク発生効率T/Fは、板ばね部44の数nまたは表面摩擦係数μに比例する。つまり、ヒンジ軸部18の半径Rおよび表面摩擦係数μが一定であれば、トルク発生効率T/Fは、板ばね部44の数nに比例して増減することになる。
【0052】
<摺動抑止力Fおよび回動抑止力Tとヒンジ軸部18の関係>
【0053】
図12は、摺動抑止力Fおよび回動抑止力Tとヒンジ軸部18の関係を示している。
図12では、横軸に摺動抑止力F、縦軸に回動抑止力Tを取り、摺動抑止力Fと回動抑止力Tの関係線(TF1、TF2)を示している。関係線TF1における回動抑止力をT1とすると、このT1は、
T1=n×μ×R×F ・・・(4)
である。これに対し、関係線TF2における回動抑止力をT2とすると、このT2は、
T2=n×μ×R’×F ・・・(5)
である。但し、R>R’である。
【0054】
関係線TF1において、ポイントLOは回動抑止力Tおよび摺動抑止力Fの下限値、ポイントHOは回動抑止力Tおよび摺動抑止力Fの上限値であり、回動抑止力Tが適正範囲にある。
【0055】
関係線TF2において、ポイントL1では、回動抑止力Tが下限値であるのに対し、摺動抑止力Fは適正範囲にある。ポイントL2では、摺動抑止力Fが下限値であり、回動抑止力Tが低く、回動保持が困難である。ポイントH1では、摺動抑止力Fが高く、操作性が悪化しているのに対し、回転抑止力Tは適正範囲にある。また、ポイントH2では回動抑止力Tが適正範囲にあるのに対し、摺動抑止力Fは上限値である。この場合、W、W’は部品精度を表し、W=W’(部品精度一定)である。
【0056】
ホルダ部10の保持機能とアンテナユニット2の伸縮および収納時の操作性を両立させるには、関係線TF1の荷重バランスとなるようにホルダ部10の環状ばね42とヒンジ軸部18で発生する摺動抑止力Fおよび回動抑止力Tを設定すればよい。
【0057】
この場合、摺動抑止力Fを適正範囲内とし、かつ、回動抑止力Tが下限値を下回らないことが必要であり、斯かる条件を充足するように板ばね部44−1、44−2・・・44−5の荷重設計を行えばよい。ホルダ部10の小径化により、ヒンジ軸部18を径小化させると、TF2のように、摺動抑止力Fに対する回転抑止力Tのトルク発生効率T/Fが低下し、摺動抑止力Fおよび回動抑止力Tの適正値の両立が困難になる。
【0058】
回動抑止力Tを下限値に維持した場合、摺動抑止力Fの下限値L1は摺動抑止力Fの適正範囲内に入るものの、摺動抑止力Fの上限値H1が摺動抑止力Fの適正範囲から外れる。その結果、アンテナユニット2の伸縮時の操作力が重くなり、アンテナユニット2の操作性が損なわれる。
【0059】
これに対し、摺動抑止力Fを適正範囲内に維持した場合、回動抑止力Tの下限値L2が回動抑止力Tの適正範囲外となる。この場合、ロッド部14の回動方向の保持機能が低下し、保持できないこととなる。
【0060】
図13は、上記実施の形態に係る摺動抑止力Fおよび回動抑止力Tとヒンジ軸部18の関係を示している。
【0061】
上記実施の形態では、アンテナユニット2を回動した際に、ホルダ部10の環状ばね42の板ばね部44−1、44−2・・・44−5をヒンジ軸部18に設けられた溝部46−1、46−2・・・46−4のいずれかに嵌合させる嵌合構造である。斯かる構造では、
図13の関係線TF3に示すように、摺動抑止力Fを適正範囲に維持しつつ、回動抑止力Tを増加させることが可能である。この場合、関係線TF3における回動抑止力をT3とすると、このT3は、
T3=(n×μ×R’×F)+α ・・・(6)
である。ヒンジ軸部18の回動時に板ばね部44がヒンジ軸部18の溝部46−1、46−2・・・46−4のいずれかに嵌合する。これにより、回動抑止力Tが生成され、TF3に示すように、摺動抑止力Fが適正範囲に保たれ、回動抑止力Tの増加を図ることができる。この場合、W、W’は部品精度を表し、W=W’(部品精度一定)である。
【0062】
TF3において、ポイントH3は、摺動抑止力Fの上限であり、回動抑止力Tの適正範囲にある。そして、αは、板ばね部44−1、44−2・・・44−5とヒンジ軸部18の溝部46−1、46−2・・・46−4との嵌合構造により、回動抑止力Tの増加分を示している。
【0064】
図14のAは、単一の溝部46をヒンジ軸部18に備えた場合の回動抑止力Tの遷移を示している。
図14のAは、横軸に回動位相η、縦軸に摺動抑止力Fを取っている。
【0065】
Δθは、溝部46と板ばね部44との一つの嵌合および非嵌合の区間を示している。この場合、Δθ=2π/Nspである。但し、Nspは、板ばね部44の数である。
【0066】
板ばね部44とヒンジ軸部18の溝部46との嵌合により生じる回動抑止力Tは板ばね部44の数nによって決定される。板ばね部44の数nは、ホルダ部10やヒンジ軸部18の小径化により制限を受け、加工面や強度面からも回動抑止点を細かく配置することに限界がある。
【0067】
図14のBは、複数の溝部46をヒンジ軸部18に備えた場合の回動抑止力Tの遷移を示している。
図14のBも同様に、横軸に回動位相η、縦軸に摺動抑止力Fを取っている。
【0068】
ヒンジ軸部18に複数の溝部46を設置すれば、回動抑止点を細かに配置できる。この場合、Δθ’は、Δθと同様に、溝部46と板ばね部44との一つの嵌合および非嵌合の区間である。この場合、既述のΔθより小さくなり、Δθ’<Δθである。
【0069】
図15は、回動抑止力Tの変動遷移を示している。ヒンジ軸部18に複数の溝部46を配置しても、板ばね部44との嵌合により摺動抑止力Fが変動する。区間θaでは、単一の板ばね部44が溝部46に嵌合した場合の摺動抑止力Fの低下ΔFが生じている。これに対し、区間θbでは、複数nの板ばね部44が溝部46に嵌合した場合である。この場合、単一の板ばね部44の嵌合の際に生じる摺動抑止力Fの低下ΔFのn倍となり、溝部46に嵌合する板ばね部44の数nに応じた摺動抑止力Fの低下n×ΔFを生じる。
【0070】
このように、ヒンジ軸部18の回動角度が異なれば、摺動抑止力Fの低下ΔFは、摺動抑止力Fの低下n×ΔFに大幅に低減されることになる。つまり、一回転における、摺動抑止力Fの変動が大きくなり、摺動抑止力Fは適正範囲外となることが予想される。
【0071】
図16は、適正な回動抑止力Tの遷移を示している。ヒンジ軸部18の溝部46−1、46−2・・・46−4に対して、複数の板ばね部44−4、44−2・・・44−5の内の単一の板ばね部のみが溝部46−1、46−2・・・46−4のいずれかに合致して嵌合する場合には、単一の嵌合による摺動抑止力Fの低下ΔFが変動することなく一定値で、しかも、小さい値に抑えられるので、方向調整の回動や伸縮時の摺動の操作性を損なうことなく、ヒンジ軸部18の保持力を高めることができる。
【0073】
(1) 既述のように、ヒンジ軸部18の外周表面に複数の溝部46を設け、これら溝部46のいずれかが複数の板ばね部44のいずれかに嵌合することにより、回動抑止力または摺動抑止力を変化させている。つまり、複数の板ばね部44とヒンジ軸部18の周面との接触により十分な保持力が得られるとともに、板ばね部44の溝部46との嵌合時と非嵌合時のロッド部14の摺動抑止力や回動抑止力の差を小さくでき、操作性を損なうことなく、回動および伸縮可能なロッド部14の保持機能が得られ、この保持機能を高めることが可能である。
【0074】
(2) いずれかの板ばね部44が溝部46のいずれかに嵌合した場合と、溝部46のいずれにも嵌合していない場合と回動抑止力または摺動抑止力の差は上記実施の形態では、単一の板ばね部44と溝部46の増加分である。この増加分により、ロッド部14の回動時、必要なトルク感やクリック感が得られる。しかも、ロッド部14の伸縮または回動の操作方向の荷重を必要以上に増減させることもない。
【0075】
(3) ヒンジ軸部18に複数の溝部46が設けられており、各溝部46は板ばね部44の配置と異なったピッチで設けられている。これにより、ヒンジ軸部18の溝部46と板ばね部44の嵌合を単一化でき、複数の同時嵌合を防止できる。このような嵌合形態および嵌合数により、アンテナユニット2の伸長および収縮に対するロッド部14の保持荷重の急激な増減を回避でき、伸長または短縮の際の操作力の変化を最小限に抑えることができる。
【0076】
(4) 斯かる操作性および保持機能を備えたことにより、電波受信に必要な角度や長さにアンテナユニット2を調整できるとともに、調整された位置および長さに維持でき、良好な電波受信状態に操作することができる。
【0077】
(5) 上記実施の形態から明らかなように、上記操作性および保持機能がヒンジ軸部18とホルダ部10との間に設置された環状ばね42、その板ばね部44とヒンジ軸部18にある溝部46との嵌合で実現される。部品点数を増加することがないので、ホルダ部10を小型化でき、収容スペースを縮小することができる。これにより、このアンテナユニット2を搭載可能な携帯端末装置4などの電子機器の薄型化や小型化に寄与することができる。
【0079】
図17のAおよびBは、第2の実施の形態に係るアンテナユニットの環状ばねおよびヒンジ軸部の一例を示している。
【0080】
この実施の形態では、
図17のAに示すように、第1の実施の形態と同様の環状ばね42が用いられる。第1の実施の形態(
図8のB)では、ヒンジ軸部18に複数の溝部46−1、46−2・・・46−4を備えているのに対し、この実施の形態では
図17のBに示すように、複数の山部66−1、66−2・・・66−4が形成されている。各山部66−1、66−2・・・66−4は凸部の一例である。各山部66−1、66−2・・・66−4は、溝部46−1、46−2・・・46−4に代えて各溝部46−1、46−2・・・46−4と同位置に形成されている。各山部66−1、66−2・・・66−4の幅d3は各溝部46−1、46−2・・・46−4の幅d2と同様に各板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5に合致する大きさである。この場合、ヒンジ軸部18の中心Oから、山部66−1、66−2、66−3、66−4の最頂部の半径r3が設定されている。この半径r3はヒンジ軸部18の半径Rより大きく設定されている。
【0081】
図18のAは、各板ばね部44−1、44−2、44−3、44−4、44−5とヒンジ軸部18との関係を示している。一例として、板ばね部44−1が山部66−1に合致した場合、他の板ばね44−2、44−3、44−4、44−5のいずれも山部66−2、66−3、66−4の位置から外れ、いずれにも合致しない関係である。このため、板ばね部44−1は山部66−1を圧接し、他の板ばね44−2、44−3、44−4、44−5は、山部66以外のヒンジ軸部18の周面に圧接される。つまり、板ばね部44−1により山部66−1側では摺動抑止力F+ΔFとなる。この摺動抑止力Fの増加分ΔFは山部66−1の高さで板ばね部44−1から加わる圧接力である。これ以外の部分では、摺動抑止力Fが他の板ばね44−2、44−3、44−4、44−5とヒンジ軸部18の周面上の圧接によって生じる。この場合、摺動抑止力Fと摺動抑止力F+ΔFの差は、ひとつの山部66−1と板ばね44−1の圧接による増加分のみである。これにより、摺動抑止力の差を小さくすることができる。
【0082】
図18のBは、
図18のAのXVIIIB部を拡大して示している。Nは、ヒンジ軸部18の回転方向を示している。この回転N方向からすれば、
図18のBに示す状態は、ヒンジ軸部18の山部66−4が板ばね部44−5に到達する直前にある。
【0083】
この場合、山部66−4の傾斜壁面68が板ばね部44−5の縁部に衝突し、ヒンジ軸部18の回転が阻止されている。これにより、ヒンジ軸部18の回転モーメントMがばね荷重未満であれば、ロック状態が維持される。ヒンジ軸部18に加えられる回転モーメントMがばね荷重を超えれば、ヒンジ軸部18を回転させることができる。
【0085】
既述のように、ヒンジ軸部18の外周表面に複数の山部66を設け、これら山部66のいずれかに複数の板ばね部44のいずれかが合致することにより、回動抑止力または摺動抑止力を増加させることができる。この増加分は山部66のいずれかに複数の板ばね部44のいずれかが合致することによるので、操作性を損なうことがなく、必要なトルク感やクリック感を得ることができる。したがって、斯かる構成によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0087】
図19のAおよびBは、第3の実施の形態に係るヒンジ軸部18と板ばね部44との回動阻止の関係を示している。
【0088】
既述の溝部46の傾斜壁面部54の傾斜角度θは
図19のAに示すように、ヒンジ軸部18の円周面の接線方向に対して90〔°〕未満に設定すればよい。斯かる構成とすれば、ヒンジ軸部18の回転方向Nの回転を受けた際に、溝部46と嵌合してロック状態にある板ばね部44をこのロック状態から緩やかに脱出させることができる。
【0089】
また、斯かる構成を山部66の傾斜壁面68の角度θに設定すれば、ヒンジ軸部18の回転方向Nの回転を受けた際に、板ばね部44を山部66に緩やかに乗り上げることが可能である。
【0090】
既述の溝部46の傾斜壁面部54の傾斜角度θを
図19のBに示すように、ヒンジ軸部18の円周面の接線方向に対して90〔°〕に設定した場合には、板ばね部44の角部をたとえば、だらし形状として湾曲面70に形成すればよい。斯かる構成とすれば、ヒンジ軸部18の回転方向Nの回転を受けた際に、溝部46と嵌合してロック状態にある板ばね部44をロック状態から緩やかに脱出させることができる。
【0091】
また、斯かる構成を山部66の傾斜壁面68の角度θに設定すれば、ヒンジ軸部18の回転方向Nの回転を受けた際に、板ばね部44を山部66に緩やかに乗り上げることが可能である。
【0093】
(1) 既述のとおりの角度の設定や形状により、溝部46や山部66に板ばね部44が移動する際にスムーズな移動やシフトが可能となり、回動時の操作性の向上とともに、ロック感覚や回動摩擦による操作感覚を高めることができる。
【0094】
(2) 板ばね部44の角部を湾曲させれば、ロッド部14の回動操作性が高められ、滑らかに回動することができる。しかも、ロッド部14と板ばね部44の接触ないし干渉による損傷を防止できる。
【0096】
a) 上記実施の形態でロッド部14の支持部材であるヒンジ軸部18に溝部46や山部66を備えているが、ロッド部14の基部に同様に溝部や山部を備えてもよい。
【0097】
b) 上記実施の形態では、複数の板ばね部44の角度を同一角度で配置しているが、異なる角度で配置してもよい。溝部46の配置角度も異なる角度としてもよい。
【0098】
c) 上記実施の形態では、板ばね部44の個数が溝部46の個数より多いが、必要な保持力に応じて少なく設定してもよい。
【0099】
d)上記実施の形態では、複数の溝部46を設定しているが、単一であってもよい。
【0100】
e) 上記実施の形態では、アンテナユニット2を備える携帯端末装置4を例示したが、携帯端末装置以外の電子機器であってもよい。
【0101】
以上説明したように、本開示の技術の最も好ましい実施の形態などについて説明した。本発明は上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。