特許第6048304号(P6048304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6048304
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】蓄電装置及び蓄電装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/30 20060101AFI20161212BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20161212BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20161212BHJP
   H01G 11/82 20130101ALI20161212BHJP
【FI】
   H01M2/30 D
   H01M2/20 A
   H01G11/74
   H01G11/82
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-98613(P2013-98613)
(22)【出願日】2013年5月8日
(65)【公開番号】特開2014-220116(P2014-220116A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2015年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】南形 厚志
(72)【発明者】
【氏名】奥田 元章
【審査官】 松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−145742(JP,A)
【文献】 特開2007−188787(JP,A)
【文献】 特開2003−197176(JP,A)
【文献】 特開2006−324178(JP,A)
【文献】 特開2007−128801(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3181383(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/30
H01G 11/74
H01G 11/82
H01M 2/20
F16B 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に電極組立体が収容されるとともに、前記電極組立体と電気を授受する電極端子を備え、
前記電極端子は、前記ケースの壁部から突出した極柱部を有するとともに、前記極柱部の外周面に雄ねじ部を有し、
前記雄ねじ部に螺合されたナットにより前記電極端子が前記壁部に固定されている蓄電装置であって、
前記電極端子は、前記壁部からの前記極柱部の突出方向の先端面から凹む雌ねじ穴を有し、該雌ねじ穴には、前記先端面に導通部材を接触させて固定可能とする固定部材が螺合可能であり、
前記雌ねじ穴の有する雌ねじ部よりも奥の内底面に、治具が回転しない状態で係合可能な治具用係合部を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記極柱部の軸方向に沿った平面視では、前記治具用係合部は多角形であり、前記治具の前記治具用係合部への係合部は、前記治具の軸方向に直交する断面が多角形である請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記蓄電装置は二次電池である請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
ケース内に電極組立体が収容されるとともに、前記電極組立体と電気を授受する電極端子を備え、
前記電極端子は、前記ケースの壁部から突出した極柱部を有するとともに、前記極柱部の外周面に雄ねじ部を有し、
前記雄ねじ部に螺合されたナットにより前記電極端子が前記壁部に固定されている蓄電装置の製造方法であって、
前記電極端子は、前記壁部からの前記極柱部の突出方向の先端面から凹む雌ねじ穴を有しており、
前記雌ねじ穴の有する雌ねじ部よりも奥の内底面に形成された治具用係合部に治具を回転しない状態で係合し、該治具を保持しながら前記雄ねじ部に前記ナットを螺合する工程を含むことを特徴とする蓄電装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナットにより電極端子がケースの壁部に固定されている蓄電装置、及び蓄電装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池やキャパシタのような蓄電装置は再充電が可能であり、繰り返し使用することができるため電源として広く利用されている。一般に、容量の大きな二次電池(蓄電装置)はケースを備え、そのケース内に電極組立体及び電解液が収容されているとともに、電極組立体から電気を取り出すための電極端子が、導電部材を介して電極組立体に接続されている。また、電極端子は、ケースの蓋を貫通して、ケース外に突出する極柱部を有し、この極柱部は外周面に雄ねじ部を備える構造が知られている。そして、前記構造にて、電極組立体に接続された電極端子は、雄ねじ部にナットを螺合することで蓋に固定される。
【0003】
ところで、電極端子にナットを螺合する際、ナットと共に電極端子が連れ回りすると、電極端子に一体の導電部材がケースに接触して短絡の原因になる虞がある。そこで、ナットを螺合する際の電極端子の連れ回りを防止する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図10に示すように、特許文献1の電気二重層キャパシタでは、金属ケース80の封口蓋体81に固定された電極端子82は、ねじ端子80aを備えるとともに、このねじ端子80aの一端に係止板83を備える。電極端子82は、ワッシャ84を介してナット85により封口蓋体81に固定されている。
【0005】
また、封口蓋体81の内側には、ねじ端子80a、ワッシャ84、及び係止板83を、封口蓋体81と絶縁する電気絶縁体86が設けられている。この電気絶縁体86は、係止板83と係合する係合面86aを有する。そして、係止板83は、ねじ端子80aと一体化されているため、ナット85をねじ端子80aに螺合させたとき、ねじ端子80aが連れ回りしようとしても、係止板83が電気絶縁体86に係合し、ねじ端子80aの連れ回りが防止される。
【0006】
しかし、特許文献1では、ナットの連れ回りの防止のために、電気絶縁体との係合を必要としている。この場合、電気絶縁体には、連れ回りの方向に対し、連れ回りの防止を可能とするだけの剛性を付加する必要があり、電気絶縁体の肉厚の増加や形状の変更が必要になる。また、ケースや蓋との係合により、連れ回りの防止を図る場合にも、同様の問題が生じる。
【0007】
そこで、重量を増加させずにナットの連れ回りを防止する方法として、電極端子において、極柱部の先端面に治具を係合させ、治具により電極端子を回り止めしながらナットを極柱部に螺合する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−195561号公報
【特許文献2】特開2000−145742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、二次電池は、電極端子に外部の導通部材を接続して使用されるが、この導通部材を電極端子の極柱部に固定する方法として、極柱部の内周面に雌ねじ部を形成し、この雌ねじ部にボルトのような固定部材を螺合する方法がある。このとき、外部の導通部材は、挿通部を有する板状部材により形成され、極柱部の先端面と固定部材とで挟持される。しかし、極柱部の先端面に治具を係合させる溝等が形成されていると、極柱部の先端面と、導通部材との接触面積が減少して好ましくない。
【0010】
本発明は、導通部材と極柱部との接触面積を減らすことなく、ナット螺合の際の電極端子の連れ回りを防止することができる蓄電装置及び蓄電装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の蓄電装置は、ケース内に電極組立体が収容されるとともに、前記電極組立体と電気を授受する電極端子を備え、前記電極端子は、前記ケースの壁部から突出した極柱部を有するとともに、前記極柱部の外周面に雄ねじ部を有し、前記雄ねじ部に螺合されたナットにより前記電極端子が前記壁部に固定されている蓄電装置であって、前記電極端子は、前記壁部からの前記極柱部の突出方向の先端面から凹む雌ねじ穴を有し、該雌ねじ穴には、前記先端面に導通部材を接触させて固定可能とする固定部材が螺合可能であり、前記雌ねじ穴の有する雌ねじ部よりも奥の内底面に、治具が回転しない状態で係合可能な治具用係合部を有することを要旨とする。
【0012】
これによれば、電極組立体に電極端子が接続されるとともに、極柱部がケースの壁部から突出した状態において、極柱部の雄ねじ部にナットを螺合する際、治具用係合部に治具を係合させることができる。そして、治具を回り止めした状態でナットを雄ねじ部に螺合すると、ナットの回転に電極端子が連れ回りしようとするが、回り止めされた治具に治具用係合部が係合し、電極端子の連れ回りが防止される。
【0013】
そして、治具用係合部は、電極端子内に設けられている。このため、治具用係合部は、極柱部の先端面の面積を減少させておらず、電極端子の連れ回り防止の構成を電極端子に設けても、導通部材と極柱部との接触面積が減少することもない。
【0014】
また、蓄電装置において、前記極柱部の軸方向に沿った平面視では、前記治具用係合部は多角形であり、前記治具の前記治具用係合部への係合部は、前記治具の軸方向に直交する断面が多角形であるのが好ましい。
【0015】
これによれば、治具用係合部には係合面が複数設けられ、治具の係合部にも係合面が複数設けられる。このため、係合面同士の係合箇所が複数形成され、ナットの回転方向への力が係合箇所に作用しても、各係合箇所に発生する応力が分散され、電極端子の連れ回りを容易に防止できる。さらには、治具用係合部及び治具の係合部が損傷を受けにくくなる。
【0016】
また、前記蓄電装置は二次電池である。
請求項4に記載の蓄電装置の製造方法は、ケース内に電極組立体が収容されるとともに、前記電極組立体と電気を授受する電極端子を備え、前記電極端子は、前記ケースの壁部から突出した極柱部を有するとともに、前記極柱部の外周面に雄ねじ部を有し、前記雄ねじ部に螺合されたナットにより前記電極端子が前記壁部に固定されている蓄電装置の製造方法であって、前記電極端子は、前記壁部からの前記極柱部の突出方向の先端面から凹む雌ねじ穴を有しており、前記雌ねじ穴の有する雌ねじ部よりも奥の内底面に形成された治具用係合部に治具を回転しない状態で係合し、該治具を保持しながら前記雄ねじ部に前記ナットを螺合する工程を含むことを要旨とする。
【0017】
これによれば、極柱部の雄ねじ部にナットを螺合する工程は、治具用係合部に治具を係合させ、その治具を回り止めした状態で行う。すると、ナットの回転に電極端子が連れ回りしようとするが、回り止めされた治具に治具用係合部が係合し、電極端子の連れ回りを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、導通部材と極柱部との接触面積を減らすことなく、ナット螺合の際の電極端子の連れ回りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態の二次電池を示す分解斜視図。
図2】実施形態の二次電池の外観を示す斜視図。
図3】正極端子の雌ねじ部及び治具用係合部を示す断面図。
図4】正極端子の治具用係合部を示す部分平面図。
図5】各極柱部にナットを螺合する状態及び治具を示す分解斜視図。
図6】治具用係合部に治具を係合させた状態を示す部分断面図。
図7】ナットを増し締めする状態を示す斜視図。
図8】電池パックを示す斜視図。
図9】(a)及び(b)は治具用係合部の別例を示す部分平面図。
図10】背景技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、蓄電装置を二次電池に具体化した一実施形態を図1図8にしたがって説明する。
図1図3に示すように、二次電池10において、金属製のケース12には電極組立体20及び電解液(図示せず)が収容されている。また、ケース12は、開口部13dを有する直方体状のケース本体13と、ケース本体13の開口部13dを閉塞する矩形平板状の蓋14とを備える。ケース本体13と蓋14は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)であり、ケース本体13と蓋14はレーザー溶接によって接合されている。また、本実施形態の二次電池10は、その外周が角型をなす角型電池であり、リチウムイオン電池である。
【0021】
電極組立体20は、正極電極21、負極電極22、及び正極電極21と負極電極22とを絶縁するセパレータを有する。正極電極21は、正極金属箔(アルミニウム箔)の両面に正極活物質を備える。負極電極22は、負極金属箔(銅箔)の両面に負極活物質を備える。そして、電極組立体20は、複数の正極電極21と複数の負極電極22が交互に積層されるとともに、両電極の間にセパレータが介在された積層構造である。
【0022】
正極電極21は、一辺(長辺)の一部に正極集電タブ31を有し、負極電極22は、一辺(長辺)の一部に負極集電タブ32を有する。複数の正極電極21は、それぞれの正極集電タブ31が積層方向に沿って列状に配置されるように積層される。同様に、複数の負極電極22は、それぞれの負極集電タブ32が、正極集電タブ31と重ならないように積層方向に沿って列状に配置されるように積層される。電極組立体20は、正極集電タブ31を集めてなる正極タブ群45を備える。この正極タブ群45の少なくとも最外の正極集電タブ31が、正極導電部材33と溶接されており、正極タブ群45が電極組立体20における正極端子41への接続部となる。また、電極組立体20は、負極集電タブ32を集めてなる負極タブ群46を備える。この負極タブ群46の少なくとも最外の負極集電タブ32が負極導電部材37と溶接されており、負極タブ群46が電極組立体20における負極端子42への接続部となる。
【0023】
正極導電部材33には、電極端子としての正極端子41が溶接されるとともに、負極導電部材37には、電極端子としての負極端子42が溶接されている。正極端子41、及び負極端子42は、それぞれ電極組立体20と電気を授受する。正極端子41及び負極端子42は、それぞれ四角板状をなす基部43を有する。基部43の中央からは円筒状の極柱部44が立設されるとともに、極柱部44の外周面に雄ねじ部44aを有する。基部43において、蓋14の内面14aに対向する面を座面43aとするとともに、基部43の厚み方向に座面43aと反対側の面を組立体側端面43bとする。
【0024】
図1及び図3に示すように、基部43には、樹脂製の端子カバー50が装着されている。端子カバー50は、基部43の座面43aと、蓋14の内面14aとの間に配置される蓋側絶縁板51を備える。蓋側絶縁板51は、極柱部44が挿入される平面視U字状の挿入部51aを有する。蓋側絶縁板51は、挿入部51aの開口する端縁と反対側の端縁にケース側絶縁板52を備え、このケース側絶縁板52は蓋14から離れる方向に向けて延びている。ケース側絶縁板52は矩形板状であり、蓋側絶縁板51に対し垂直に延びている。ケース側絶縁板52において、蓋14から離れた側の先端には、組立体側絶縁板53が蓋側絶縁板51と同じ方向に向けて、かつ組立体側端面43bに沿って延設されている。ケース側絶縁板52は矩形板状に形成されている。
【0025】
蓋側絶縁板51の挿入部51aには極柱部44が挿入され、蓋側絶縁板51が極柱部44のほぼ全周を取り囲んでいる。また、蓋側絶縁板51は基部43の座面43a上に支持されている。基部43の座面43a上には、Oリング56が極柱部44を取り囲む状態に設けられている。組立体側絶縁板53は、基部43の組立体側端面43bより電極組立体20側に配置されるとともに、組立体側端面43bに沿って延びている。また、組立体側絶縁板53は、基部43と電極組立体20との間に介装されている。
【0026】
そして、端子カバー50における蓋側絶縁板51により、蓋14と正極端子41及び負極端子42が電気的に絶縁されている。また、ケース側絶縁板52により、ケース本体13と、正極端子41及び負極端子42とが電気的に絶縁されている。さらに、組立体側絶縁板53により、電極組立体20と正極端子41及び負極端子42とが電気的に絶縁されている。
【0027】
極柱部44は、蓋14の透孔14bを貫通してケース12の外部に突出(露出)している。よって、本実施形態では、蓋14が、ケース12の壁部を構成する。透孔14bの内周面と、極柱部44の外周面とは、絶縁部材19によって絶縁されている。絶縁部材19は、筒状部24と、この筒状部24の軸方向一端縁に設けられたフランジ部25と、を有する。筒状部24は、透孔14bの内周面と、極柱部44の外周面との間に介装されている。フランジ部25は、蓋14の外面14cにおいて透孔14bの周囲に係止されている。
【0028】
極柱部44の雄ねじ部44aにはナット55が螺合されている。蓋14の外面14cと、ナット55との間には、絶縁部材19のフランジ部25が挟圧され、フランジ部25によってナット55と蓋14が絶縁されている。また、ナット55と基部43との間に、フランジ部25、蓋14、Oリング56及び蓋側絶縁板51が狭圧されるとともに正極端子41及び負極端子42が蓋14に固定されている。この固定状態では、Oリング56は、圧縮状態で蓋14の内面14a及び基部43の座面43aに密接し、透孔14bの周囲をシールしている。
【0029】
次に、正極端子41及び負極端子42の雌ねじ穴47について詳細に説明する。
図3及び図4に示すように、極柱部44において、蓋14からの突出方向の先端に位置する面を先端面44fとすると、極柱部44は、先端面44fから極柱部44の軸方向に沿って円穴状に凹む雌ねじ穴47を備える。そして、極柱部44は、雌ねじ穴47の内周面に雌ねじ部44bを有する。
【0030】
また、極柱部44は、その内底面44cに治具用係合部44dを備える。治具用係合部44dは、極柱部44の軸方向に沿った平面視で六角形状であり、軸方向に沿って内底面44cから六角形状に凹んでいる。そして、治具用係合部44dは、6つ内側面から形成される6つの係合面44gを等間隔おきに備える。
【0031】
図5に示すように、治具用係合部44dには、治具としての六角レンチ48の先端に設けられた係合部48aが係合可能である。六角レンチ48は、軸方向全体に亘って断面が六角形状であり、6つの側面から形成される6つの係合面48bを備える。
【0032】
そして、図6に示すように、係合部48aを治具用係合部44dに挿入すると、治具用係合部44dの6つの係合面44gと、六角レンチ48の6つの係合面48bが係合し、係合箇所が6箇所形成されるようになっている。また、六角レンチ48は、係合部48aを治具用係合部44dに係合させた状態で、極柱部44の先端面44fから突出する長さを有する。
【0033】
図8に示すように、各二次電池10は、正極端子41が隣り合う二次電池10の負極端子42に、負極端子42が隣り合う二次電池10の正極端子41にそれぞれ導通部材60を介して接続され、接続された複数の二次電池10によって電池パック71が構成されている。
【0034】
図1に示すように、二次電池10同士を電気的に接続する導通部材60は、矩形板状であり、一対の挿通部60aを有する。この導通部材60は、固定部材61によって極柱部44に固定されている。固定部材61は、雌ねじ部44bに螺合する固定用雄ねじ部61aと、固定用雄ねじ部61aの軸方向一端の頭部61bとを有する。
【0035】
次に、二次電池10の製造方法について作用とともに説明する。
さて、図5に示すように、正極導電部材33及び負極導電部材37に、正極端子41及び負極端子42の基部43を溶接し、正極導電部材33と正極端子41を一体化するとともに、負極導電部材37と負極端子42を一体化する。次に、正極導電部材33を、電極組立体20の正極タブ群45に溶接し、負極導電部材37を、電極組立体20の負極タブ群46に溶接する。続いて、正極端子41及び負極端子42にOリング56及び端子カバー50を装着する。次に、蓋側絶縁板51上に蓋14を載せるとともに、透孔14bに極柱部44を挿通させ、さらに、透孔14bの内周面と極柱部44の外周面との間に絶縁部材19を介装させる。
【0036】
次に、図6に示すように、正極端子41及び負極端子42の各極柱部44内に六角レンチ48を挿入し、六角レンチ48の係合部48aを治具用係合部44dに係合させ、係合面44g,48b同士の係合箇所を6箇所形成する。そして、両六角レンチ48を、図示しない工具等で回り止めした状態で極柱部44の雄ねじ部44aにナット55を螺合する工程を行う。この螺合工程の際、正極端子41及び負極端子42は、ナット55に連れ回りしようとするが、各係合箇所において、回り止めされた六角レンチ48の各係合面48bに、治具用係合部44dの各係合面44gが当接し、正極端子41及び負極端子42が回転すること(連れ回り)が防止される。
【0037】
その結果、ナット55によって、正極端子41及び負極端子42が蓋14に固定される。次に、六角レンチ48を極柱部44から抜き取った後、電極組立体20をケース本体13内に収容するとともに、蓋14をケース本体13に接合し、ケース12を形成すると、二次電池10が組立てられる。
【0038】
その後、図7に示すように、蓋14に固定された正極端子41及び負極端子42の各極柱部44内に六角レンチ48を挿入し、六角レンチ48の係合部48aを治具用係合部44dに係合させ、係合面44g,48b同士の係合箇所を6箇所形成する。そして、両六角レンチ48を、図示しない工具等で回り止めした状態でナット55を増し締めする。この増し締めを行う工程の際も、上記と同様に、六角レンチ48と治具用係合部44dとの係合により、正極端子41及び負極端子42が回転すること(連れ回り)が防止される。
【0039】
複数の二次電池10を接続して電池パック71を製造する場合は、固定部材61の固定用雄ねじ部61aを、雌ねじ穴47の雌ねじ部44bに螺合し、頭部61bによって、導通部材60を極柱部44の先端面44fに向けて押圧するとともに、挿通部60aの周囲を極柱部44の先端面44fに押し付ける。すると、固定部材61によって導通部材60が正極端子41及び負極端子42に固定され、導通部材60によって、二次電池10同士が電気的に接続されるとともに、電池パック71が製造される。
【0040】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)正極端子41及び負極端子42の極柱部44において、雌ねじ穴47の内底面44cに治具用係合部44dを形成した。そして、治具用係合部44dに六角レンチ48を係合し、六角レンチ48を回り止めした状態でナット55を雄ねじ部44aに螺合することで、正極端子41及び負極端子42の連れ回りを防止できる。
【0041】
よって、正極端子41及び負極端子42をナット55で蓋14に固定する際、各端子41,42に溶接された各導電部材33,37が連れ回りすることが防止され、各導電部材33,37が電極組立体20の外形から飛び出てしまうことを無くすことができる。その結果、電極組立体20をケース本体13に挿入する際、各導電部材33,37がケース本体13に干渉することなく、速やかに電極組立体20をケース本体13に挿入できる。また、ナット55を増し締めする際は、各導電部材33,37がケース本体13の内面に接触してしまうことが防止され、短絡する虞を無くすことができる。さらに、ナット55の螺合及び増し締めの際、各導電部材33,37に溶接された各タブ群(接続部)45,46が捻られることが防止できる。
【0042】
(2)治具用係合部44dは、正極端子41及び負極端子42内に設けられている。このため、正極端子41及び負極端子42の連れ回り防止のために、正極端子41及び負極端子42を蓋側絶縁板51や蓋14に係合する必要がなく、蓋側絶縁板51や蓋14の剛性向上を図る必要がない。このため、二次電池10の重量が増加することもない。
【0043】
(3)治具用係合部44dは、極柱部44の内底面44cに設けられ、雌ねじ穴47における雌ねじ部44bよりも奥に設けられている。このため、治具用係合部44dは、極柱部44の先端面44fの面積を減少させていない。したがって、治具用係合部44dを正極端子41及び負極端子42を設けても、導通部材60と極柱部44との接触面積が減少することがなく、極柱部44と導通部材60との間での電気抵抗が増加しない。
【0044】
(4)治具用係合部44dは、平面視六角形状であり、6つの係合面44gを有する。また、六角レンチ48も断面六角形状であり、6つの係合面48bを有する。よって、治具用係合部44dに六角レンチ48の係合部48aを係合させると係合箇所が6箇所形成される。したがって、ナット55の回転方向への力が係合箇所に作用しても、各係合箇所に発生する応力が分散され、各端子41,42の連れ回りを容易に防止できる。さらには、治具用係合部44dに応力集中が発生せず、治具用係合部44dの各係合面44gが潰れたりすることが防止できる。
【0045】
(5)治具用係合部44dは平面視六角形状であり、六角レンチ48も断面六角形状である。このため、治具用係合部44dに六角レンチ48を係合させるとき、六角レンチ48を最大で60度回転させれば、係合部48aを治具用係合部44dに係合させることができ、治具用係合部44dと六角レンチ48を係合させる作業を簡単に行うことができる。
【0046】
(6)治具用係合部44dを、雌ねじ穴47における雌ねじ部44bより奥に凹設した。そして、極柱部44に導通部材60が固定されるまでは、雌ねじ穴47は開放されているため、ケース本体13に蓋14を接合し、二次電池10が完成した後も、治具用係合部44dに六角レンチ48を係合することができる。よって、二次電池10が完成した後に、ナット55の増し締めを行うことができる。
【0047】
(7)二次電池10の製造工程において、正極端子41及び負極端子42の連れ回りが防止できるため、製造された二次電池10において、正極導電部材33及び負極導電部材37がケース本体13に接触して短絡することを無くすことができる。また、二次電池10を複数接続した電池パック71において、連れ回り防止の治具用係合部44dを極柱部44に設けても、導通部材60と極柱部44との接触面積が減小しないため、電池パック71の出力が低下することがない。
【0048】
(8)治具用係合部44dは、極柱部44の内底面44cに形成されており、正極端子41及び負極端子42は、治具用係合部44dを形成しても貫通していない。よって、ケース12内の電解液が正極端子41及び負極端子42から漏れることがない。
【0049】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図9(a)に示すように、極柱部44の内底面44cに十字状に凹む治具用係合部44hを形成し、治具の軸方向一端面に十字状の係合部を形成してもよい。
【0050】
又は、図9(b)に示すように、極柱部44の内底面44cに、円形状に凹むとともに、その円の周方向の一部からキー溝状に凹む治具用係合部44jを形成し、軸の先端に治具用係合部44jに係合可能な鍵状の係合部を形成してもよい。
【0051】
すなわち、治具用係合部に治具の係合部を係合させたとき、正極端子41及び負極端子42の連れ回りが防止できれば、治具用係合部、及び治具の係合部の形状は適宜変更してもよい。
【0052】
○ 実施形態では、ケース12の壁部を蓋14に具体化したが、ケース本体13の側壁又は底壁をケース12の壁部とし、それら側壁や底壁から極柱部44を突出させてもよい。
【0053】
○ 電極組立体20において、正極集電タブ31及び負極集電タブ32がそれぞれ電極組立体20の異なる端面から突出する構成としてもよい。
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池に限らず、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池等の他の二次電池であってもよい。
【0054】
○ 二次電池10は電解液が必須ではなく、例えば、セパレータが高分子電解質で形成されていてもよい。
○ 電極組立体20は正極導電部材33及び負極導電部材37を備えておらず、正極タブ群45が正極端子41に直接溶接され、負極タブ群46が負極端子42に直接溶接されていてもよい。
【0055】
○ 蓄電装置は、二次電池10に限らず、例えば、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ等のようなキャパシタであってもよい。
○ 導通部材60は、電池パック71において、二次電池10同士を導通するものに限定されない。例えば、導通部材が、外部機器の配線の先端に配置される端子であってもよく、この場合でも同様の効果が得られる。
【0056】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記治具は、軸方向全体に亘って断面多角形である蓄電装置。
【符号の説明】
【0057】
10…蓄電装置としての二次電池、12…ケース、14…壁部としての蓋、20…電極組立体、41…電極端子としての正極端子、42…電極端子としての負極端子、44…極柱部、44a…雄ねじ部、44b…雌ねじ部、44c…内底面、44d,44h,44j…治具用係合部、44f…先端面、47…雌ねじ穴、48…治具としての六角レンチ、48a…係合部、55…ナット、60…導通部材、61…固定部材。
図1
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